車両用警報装置
【課題】注意が必要な方向を精度よく運転者に知らせることができる車両用警報装置を提供すること。
【解決手段】車両100の周辺における注意が必要となる要注意地点を検知するとともに、車両100に対する要注意地点の方向を検知する危険検知部10と、複数の超音波素子30が設けられ、運転者の右耳及び左耳の夫々に対して複数の超音波を放射可能な超音波素子アレイ部31〜34と、複数の超音波素子30を制御するものであり、運転者の右耳及び左耳の夫々の位置で複数の超音波の位相を一致させることで運転者の右耳及び左耳の夫々に対して限定的に警報音を発生させる制御部20と、を備える。そして、制御部20は、車両100に対する要注意地点の方向に応じて、警報音が車両100に対する要注意地点の方向を示す態様となるように複数の超音波素子30を制御する。
【解決手段】車両100の周辺における注意が必要となる要注意地点を検知するとともに、車両100に対する要注意地点の方向を検知する危険検知部10と、複数の超音波素子30が設けられ、運転者の右耳及び左耳の夫々に対して複数の超音波を放射可能な超音波素子アレイ部31〜34と、複数の超音波素子30を制御するものであり、運転者の右耳及び左耳の夫々の位置で複数の超音波の位相を一致させることで運転者の右耳及び左耳の夫々に対して限定的に警報音を発生させる制御部20と、を備える。そして、制御部20は、車両100に対する要注意地点の方向に応じて、警報音が車両100に対する要注意地点の方向を示す態様となるように複数の超音波素子30を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者に対して警報を行う車両用警報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用警報装置の一例として、特許文献1に開示された車載外界認識装置がある。この車載外界認識装置は、自車両に対する障害物(接近車両)を特定するとともに、自車両の運転者側から障害物を眺望する捕獲断面の方角から運転者に対して警告音(警報音)を発するものである。具体的には、一般乗用車に装備されている前後左右の4チャネル・スピーカー(一般的なスピーカ)、又は、比較的指向性の高い一対のスピーカを用いた音源位置調整機能によって、警報音を発する方向(仮想音源位置)を設定する。そして、この設定した仮想音源位置から警報音を発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2002−133596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載外界認識装置は、上述のように仮想音源位置を設定することによって、運転者が障害物の方向を特定し得るように警報音を発するものである。しかしながら、車内において一般的なスピーカや比較的指向性が高いスピーカから警報音を発する場合、車両の窓ガラス(サイドガラス、フロントガラス、リアガラス)や天井などによる音の反射や回り込みの影響によって、仮想音源位置が定まりにくい。よって、運転者に対して、注意が必要な方向を精度よく知らせることは難しい。換言すると、運転者は、注意が必要な方向を認識しにくい。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、注意が必要な方向を精度よく運転者に知らせることができる車両用警報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1に係る車両用警報装置は、車両(100)に搭載され、車両(100)の運転者に対して警報を行うものであって、
車両(100)の周辺における注意が必要となる要注意地点を検知するとともに、車両(100)に対する要注意地点の方向を検知する要注意地点検知部(10)と、
複数の超音波素子(30)が設けられ、運転者の右耳及び左耳の夫々に対して複数の超音波を放射可能な超音波素子アレイ部(31〜34)と、
複数の超音波素子(30)を制御するものであり、運転者の右耳及び左耳の夫々の位置で複数の超音波の位相を一致させることで運転者の右耳及び左耳の夫々に対して限定的に警報音を発生させる制御部(20)と、を備え、
制御部(20)は、要注意地点検知部(10)によって検知された車両(100)に対する要注意地点の方向に応じて、警報音が車両(100)に対する要注意地点の方向を示す態様となるように複数の超音波素子(30)を制御することを特徴とする。
【0007】
このように、複数の超音波の位相を一致させることで運転者の右耳及び左耳の夫々に対して限定的に警報音を発生させることによって、警報音が車両(100)の窓ガラスや天井などで反射したり回り込んだりすることを抑制できる。つまり、超音波素子アレイ部と運転者の耳との間では、車両(100)の窓ガラスや天井などで反射したり回り込んだりすることを抑制できる。よって、複数の超音波の位相を一致させることで運転者の右耳及び左耳の夫々に対して限定的に警報音を発生させつつ、この警報音が車両(100)に対する要注意地点の方向を示す態様となるようにすることによって、車両(100)に対する要注意地点の方向(注意が必要な方向)を精度よく運転者に知らせることができる。
【0008】
なお、運転者の前方から超音波を放射させて警報音を発生させる場合と、運転者の後方から超音波を放射させて警報音を発生させる場合とでは、警報音の聞こえ方が異なる。また、通常、左右の耳に音が聞こえるタイミングは、音の発生地点と人との位置関係に依存するものである。
【0009】
そこで、請求項2に示すように、要注意地点の方向に応じて、運転者の前方又は後方のいずれかの方向から超音波を放射させるとともに、運転者の右耳及び左耳の夫々に対する警報音の発生タイミングを調整することで、車両(100)に対する要注意地点の方向で実際に警報音が発生しているかのように、警報音を発生させることができる。つまり、警報音を車両(100)に対する要注意地点の方向を示す態様とすることができる。
【0010】
具体的には、運転者の耳よりも車両(100)の前進方向に要注意地点がある場合は運転者の前方から超音波を放射させ、逆に、運転者の耳よりも車両(100)の後進方向に要注意地点がある場合は運転者の後方から超音波を放射させる。また、運転者の左右の耳において、要注意地点から遠い方の耳に対する警報音の発生タイミングよりも、近い方の耳に対する警報音の発生タイミングを早くする。また、車両(100)の前進方向正面、又は車両(100)の後進方向正面に要注意地点がある場合は、要注意地点と左右夫々の耳との距離とは、略同じになるため、各耳に対する警報音の発生タイミングを一致させる。
【0011】
また、通常、左右の耳に聞こえる音の大きさは、音の発生地点と人との位置関係に依存するものである。そこで、請求項3に示すように、要注意地点の方向に応じて、運転者の前方又は後方のいずれかの方向から超音波を放射させるとともに、運転者の右耳及び左耳の夫々に対する警報音の音量(大きさ)を調整することで、車両(100)に対する要注意地点の方向で実際に警報音が発生しているかのように、警報音を発生させることができる。つまり、警報音を車両(100)に対する要注意地点の方向を示す態様とすることができる。
【0012】
具体的には、運転者の左右の耳において、要注意地点から遠い方の耳に対する警報音の音量(大きさ)よりも、近い方の耳に対する警報音の音量(大きさ)を大きくする。また、車両(100)の前進方向正面、又は車両(100)の後進方向正面に要注意地点がある場合は、要注意地点と左右夫々の耳との距離とは、略同じになるため、各耳に対する警報音の音量(大きさ)を一致させる。なお、超音波を放射させる方向(運転者の前方又は後方のいずれかの方向)の具体例は、請求項2における説明と同様である。
【0013】
また、請求項2と請求項3とを組み合わせて、要注意地点の方向に応じて、運転者の前方又は後方のいずれかの方向から超音波を放射させるとともに、運転者の右耳及び左耳における要注意地点から遠い方の耳に対する警報音の発生タイミングよりも、近い方の耳に対する警報音の発生タイミングを早くし、且つ、遠い方の耳に発生させる警報音の音量よりも、近い方の耳に発生させる警報音の音量を大きくするようにしてもよい。なお、車両(100)の前進方向正面、又は車両(100)の後進方向正面に要注意地点がある場合は、各耳に対する警報音の発生タイミングを一致させるとともに、各耳に対する警報音の音量(大きさ)を一致させる。このようにすることによって、実際に要注意地点で発生した警報音に、より一層近い警報音を発生させることができるので好ましい。
【0014】
また、請求項4に示すように、
要注意地点検知部(10)は、車両(100)と前記要注意地点との距離を検知するものであり、
制御部(20)は、車両(100)と前記要注意地点との距離が短くなるに連れて警報音の音量を大きくし、車両(100)と前記要注意地点との距離が長くなるに連れて警報音の音量を小さくするようにしてもよい。
【0015】
このようにすることによって、車両(100)と要注意地点との距離感を車両(100)の運転者に知らせることができる。
【0016】
また、請求項5に示すように、
要注意地点検知部(10)は、車両(100)と要注意地点との距離を検知するものであり、
制御部(20)は、車両(100)と前記要注意地点との距離が短くなるに連れて警報音の発生回数を増やし、車両(100)と前記要注意地点との距離が長くなるに連れて警報音の発生回数を減らすようにしてもよい。
【0017】
このようにすることによって、車両(100)と要注意地点との距離感を車両(100)の運転者に知らせることができる。
【0018】
また、請求項6に示すように、要注意地点検知部(10)は、要注意地点として、車両(100)の周辺における障害物の位置を検知するようにしてもよい。
【0019】
このようにすることによって、車両(100)の周辺における障害物の方向を精度よく運転者に知らせることができる。
【0020】
また、請求項7に示すように、要注意地点検知部(10)は、要注意地点として、車両(100)の進行方向において、車両(100)が走行している道路に車両(10)の進行方向とは異なる方向から人又は他車両が進入可能な地点を検知するようにしてもよい。
【0021】
このようにすることによって、車両(100)が走行している道路に人又は他車両が進入可能な地点の方向を精度よく運転者に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態における車両用警報装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態におけるスピーカ(超音波素子アレイ部)の概略構成を示す正面図である。
【図3】(a)〜(c)は、本発明の実施形態におけるスピーカ(超音波素子アレイ部)の配置例を示すイメージ図である。
【図4】(a)は左右の耳に音が聞こえるタイミングが、音の発生地点(音源)と人(左右の耳)との位置関係に依存することを説明するイメージ図であり、(b)は本発明の実施形態における警報音の発生領域(音の焦点)を示すイメージ図である。
【図5】(a)は要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の一例を示すイメージ図であり、(b)は図5(a)の場合における本発明の実施形態における車両用警報装置の処理動作を示すタイムチャートである。
【図6】(a)は要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の一例を示すイメージ図であり、(b)は図6(a)の場合における本発明の実施形態における車両用警報装置の処理動作を示すタイムチャートである。
【図7】(a)は要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の一例を示すイメージ図であり、(b)は図7(a)の場合における本発明の実施形態における車両用警報装置の処理動作を示すタイムチャートである。
【図8】変形例1における車両用警報装置の処理動作を示すタイムチャートであり、(a)は図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(b)は図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(c)は図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものである。
【図9】変形例2における車両用警報装置の処理動作を示すタイムチャートであり、(a)は図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(b)は図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(c)は図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものである。
【図10】変形例3における車両用警報装置の処理動作を示すタイムチャートであり、(a)は図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(b)は図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(c)は図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものである。
【図11】変形例4における車両用警報装置の処理動作を示すタイムチャートであり、(a)は図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(b)は図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(c)は図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものである。
【図12】(a)は参考例における車両用警報装置の概略構成を示すブロック図であり、(b)は参考例におけるスピーカ(超音波素子アレイ部)の概略構成を示す正面図である。
【図13】(a)〜(d)は、参考例の車両用警報装置において、各超音波素子から放射される超音波の所定時間毎のイメージ図である。
【図14】(a)〜(c)は、要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)が各位置関係にある場合の、参考例の車両用警報装置における警報音の発生領域(音の焦点)を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態における車両用警報装置は、車両100に搭載されるものであり、危険検知部10、制御部20、スピーカ31〜34、及びこれらを電気的に接続する信号線を備えて構成される。この車両用警報装置は、自身(車両用警報装置)が搭載されている車両100の運転者(運転席に着座している乗員)に対して警報を行うものである。換言すると、車両用警報装置は、スピーカ31〜34を用いたフェーズドアレイ制御により警報音(危険信号音)を出力することで、車両の運転者に危険の方向と度合いを知らせることを目的とする。なお、以下の説明において、車両用警報装置が搭載された車両100を自車両100とも称する。
【0024】
危険検知部10は、本発明の特許請求の範囲における要注意地点検知部に相当するものであり、車両100の周辺における注意が必要となる要注意地点を検知するとともに、車両100に対する要注意地点の方向を検知する。さらに、危険検知部10は、車両100と要注意地点との距離を検知する。つまり、危険検知部10は、車両100の周辺における注意が必要となる要注意地点を検知すると、車両100に対する要注意地点の方向を検知するとともに、車両100と要注意地点との距離を検知する。
【0025】
この要注意地点は、例えば、車両100の周辺における障害物200(つまり、障害物200の位置)を示すものである。この場合、危険検知部10は、車両100の周辺における障害物200(障害物200の位置)、車両100に対する障害物200の方向、及び車両100と障害物200との距離を検知する。よって、危険検知部10は、障害物検知部と言い換えることもできる。なお、本実施形態では、危険検知部10として、車両100の周辺における障害物200(有無、方向、距離)検知する例を採用する。また、本実施形態における障害物200とは、人(歩行者、自転車を運転している人)や他車両などの移動物を示すものである。
【0026】
また、危険検知部10は、障害物200(有無、方向、距離)を検知する場合、周知の障害物検知技術(障害物検知手段、障害物検知装置、障害物検知機能)を採用することができる。この障害物検知技術としては、例えば、レーザーレーダを用いる技術(手段、装置、機能)や、撮像装置(カメラ)で撮像された画像を用いる技術(手段、装置、機能)などがある。
【0027】
さらに、障害物検知技術としては、車両100と他車両との間の車車間通信や、車両100と路側機との間の路車間通信を用いて、障害物200に関する障害物情報(障害物の有無、位置などを含む情報)を取得する技術(手段、装置、機能)を採用することもできる。このように、他車両や路側機から障害物情報を取得する技術(手段、装置、機能)を採用することによって、壁や建屋で隠れて運転者からは見えない障害物200を検知することができる。
【0028】
また、要注意地点は、障害物200(障害物200の位置)に限定されるものではない。要注意地点としては、例えば、車両100の進行方向において、車両100が走行している道路に車両10の進行方向とは異なる方向から人又は他車両が進入可能な地点を採用することもできる。この場合、危険検知部10は、車両100の進行方向において、車両100が走行している道路に車両10の進行方向とは異なる方向から人又は他車両が進入可能な地点(要注意地点)、車両100に対するその地点(要注意地点)の方向、及び車両100とその地点との距離を検知する。危険検知部10は、周知のカーナビゲーション装置から道路地図データや自車位置情報を取得することで、車両100が走行している道路に人又は他車両が進入可能な地点(有無、方向、距離)を検知することができる。
【0029】
なお、車両100が走行している道路に人又は他車両が進入可能な地点としては、特に、建屋における車両100が走行している道路に面した出入口や車両100が走行している道路と路地(建物と建物との間の狭い道)とが繋がる角などの、見通しの悪い地点や人や他車両が飛び出してくる可能性が高い地点を採用すると好ましい。
【0030】
制御部20は、CPU(CentralProcessing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/O(Input/Output)などを備えて構成される周知のマイクロコンピュータ(マイコン)などを採用できる。この制御部20は、CPUが予めROMなどに格納されたプログラムをRAMに読出して実行することで、I/Oを介して危険検知部10、後ほど説明するスピーカ31〜34と通信するとともに所定の処理を実行する。制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、スピーカ31〜34に設けられた複数の超音波素子30を制御するものである。なお、制御部20は、各超音波素子30から放射させる超音波の位相、周波数、振幅などを制御することができる。
【0031】
例えば、制御部20は、複数の超音波素子30を制御することで、運転者の右耳及び左耳の夫々の位置で複数の超音波の位相を一致(複数の超音波が一致(山と山、谷と谷が一致)、複数の超音波が収束)させることで運転者の右耳及び左耳の夫々に対して限定的に警報音(危険信号音)を発生(再生)させる(図4(b)における一点鎖線で囲った領域(音の焦点)で警報音が再生される)。つまり、制御部20は、運転者の右耳及び左耳の夫々の位置で複数の超音波の位相が一致するように、複数の超音波素子30を制御する。換言すると、制御部20は、複数の超音波素子30を制御することで、運転者の右耳及び左耳の夫々の位置で複数の超音波の位相を一致させ、運転者の右耳及び左耳の夫々に対して限定的に音の焦点を形成することで警報音を発生させる。このように、運転者の右耳及び左耳の夫々の位置で複数の超音波の位相が一致(収束)して自己復調することによって可聴帯域音波(警報音)が再生される。なお、制御部20は、複数の超音波素子30から超音波を放射させるタイミング(複数の超音波素子30から放射させる超音波の位相)を調整することで、運転者の右耳及び左耳の夫々の位置で複数の超音波の位相を一致させることができる。
【0032】
なお、音の焦点の大きさは超音波発振周波数で決まる。例えば、40kHzであればλ=8mmとなるので焦点部直径はφ8程度となる。警報音を聞かせる範囲を広げたい場合は、フェーズドアレイ制御を用いて、この音の焦点を高速でスキャンさせればよい。このように、フェーズドアレイ制御を用いることで音の焦点位置を自在に変更できる。よって、障害物200(歩行者)の動きに合わせて音の焦点位置を変えることも可能である。
【0033】
また、制御部20は、危険検知部10によって検知された車両100に対する障害物200の方向に応じて、警報音が車両100に対する要注意地点の方向を示す態様となるように複数の超音波素子30を制御する。
【0034】
通常、運転者の前方から超音波を放射させて警報音を発生させる場合と、運転者の後方から超音波を放射させて警報音を発生させる場合とでは、警報音の聞こえ方が異なる。また、図4(a)に示すように、左右の耳に音が聞こえるタイミングは、音の発生地点(音源)と人との位置関係に依存するものである。到達時間の遅延(Δt、後ほどの説明で登場するΔt1〜Δt3)はΔL/音速となる。また、左右の耳に聞こえる音の大きさに関しても、音の発生地点と人との位置関係に依存するものである。換言すると、左右の耳に音が聞こえるタイミング及び左右の耳に聞こえる音の大きさは、右耳と音源との距離及び左耳と音源との距離に依存する。
【0035】
そこで、具体的には、制御部20は、車両100に対する障害物200の方向に応じて、運転者の前方又は後方のいずれかの方向から超音波を放射させるとともに、運転者の右耳及び左耳における障害物200から遠い方の耳に対する警報音の発生タイミングよりも、近い方の耳に対する警報音の発生タイミングを早くし、且つ、遠い方の耳に発生させる警報音の音量よりも、近い方の耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、車両100の前進方向正面、又は車両100の後進方向正面に要注意地点がある場合は、各耳に対する警報音の発生タイミングを一致させるとともに、各耳に対する警報音の音量(大きさ)を一致させる。このようにすることによって、実際に要注意地点で発生した警報音に、より一層近い警報音を発生させることができるので好ましい。つまり、精度よく、警報音を車両100に対する要注意地点の方向を示す態様とすることができる。なお、警報音の音量は、複数の超音波素子30から放射させる超音波の振幅又は周波数をかえることによって調整することができる。
【0036】
さらに、制御部20は、車両100と障害物200との距離に応じて、警報音の音量を調整する。つまり、制御部20は、車両100と障害物200との距離が短くなるに連れて警報音の音量を大きくし、車両100と障害物との距離が長くなるに連れて警報音の音量を小さくする。
【0037】
また、制御部20は、警報音が車両100に対する要注意地点の方向を示す態様となるようにするために、警報音データが予め設定されている。この警報音データは、制御部20のROMなどの記憶部に予め記憶しておくこができる。例えば、警報音データは、車両100と障害物200との位置関係を示す情報と、各位置関係において運転者の左右の耳の夫々に警報音を発生させる発生タイミングを示す情報と、各位置関係及び車両100と障害物200との各距離において運転者の左右の耳の夫々に発生させる警報音の大きさを示す情報とが関連付けられたものを採用することができる。しかしながら、本発明は、警報音データを記憶部に記憶しておくことに限定されるものではない。本発明は、警報音を車両100に対する要注意地点の方向を示す態様とすることができるものであれば採用することができる。
【0038】
スピーカ31〜34は、本発明の特許請求の範囲における超音波素子アレイ部に相当するものであり、例えば超音波パラメトリックスピーカを採用することができる。スピーカ31〜34は、夫々に複数の超音波素子(30)が設けられ、運転者の右耳及び左耳の夫々に対して複数の超音波を放射可能なものである。本実施形態においては、図1に示すように、超音波素子アレイ部として、運転手の前方に配置された二つのスピーカ31,32、及び運転手の後方に配置された二つのスピーカ33,34の計四つのスピーカ31〜34を採用する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。超音波素子アレイ部は、複数の超音波素子30が設けられ、運転者の前方及び後方から超音波を放射可能であり、運転者の右耳及び左耳の夫々に対して複数の超音波を放射可能なものであれば、特に限定されるものではない。
【0039】
なお、スピーカ31は、運転者の右側前方から運転者の右耳に複数の超音波を放射し、右耳に限定的に警報音を発生させるためのものであり、右側前方スピーカ31(RFスピーカ31)とも称する。スピーカ32は、運転者の左側前方から運転者の左耳に複数の超音波を放射し、左耳に限定的に警報音を発生させるためのものであり、左側前方スピーカ32(LFスピーカ32)とも称する。スピーカ33は、運転者の右側後方から運転者の右耳に複数の超音波を放射し、右耳に限定的に警報音を発生させるためのものであり、右側後方スピーカ33(RRスピーカ33)とも称する。スピーカ34は、運転者の左側後方から運転者の左耳に複数の超音波を放射し、左耳に限定的に警報音を発生させるためのものであり、左側後方スピーカ34(LRスピーカ34)とも称する。
【0040】
各スピーカ31〜34は、全て同じ構成をなすものである。一例として、図2に、スピーカ31の正面図を示す。例えば、図2に示すように、複数の超音波素子30(ここでは、20個の超音波素子30)は、超音波の放射面が矩形状(マトリクス状)となるように配列されている。
【0041】
また、一例として、図3(a)〜(c)に、スピーカ31〜34の設置例を示す。例えば、図3(a)に示すように、RRスピーカ33は、運転席の背もたれ41の上部右側に設置され、LRスピーカ34は、運転席の背もたれ41の上部左側に設置される。また、その他、図3(b)に示すように、RRスピーカ33は、運転席のヘッドレストレイント(ヘッドレスト)42の右側に設置され、LRスピーカ34は、運転席のヘッドレストレイント(ヘッドレスト)42の左側に設置される。
【0042】
また、図3(c)に示すように、RFスピーカ31は、運転席前方のダッシュボード上部51においてステアリングホイール70よりも右側に設置され、LFスピーカ32は、運転席のダッシュボード上部51においてステアリングホイール70よりも左側に設置される。換言すると、RFスピーカ31は、運転席前方のインストルメントパネル52とフロントガラス60との間の部位においてステアリングホイール70よりも右側に設置され、LFスピーカ32は、運転席前方のインストルメントパネル52とフロントガラス60との間の部位においてステアリングホイール70よりも左側に設置される。また、RFスピーカ31及びLFスピーカ32は、インストルメントパネル52に配置されるようにしてもよい。
【0043】
ここで、図5〜図7を用いて、車両用警報装置の処理動作を説明する。
【0044】
まず、図5(a)に示すように、車両100の左前方に障害物200(歩行者)がある場合を一例として説明する。この例では、図5(a)に示すように、車両100は、タイミングt1からタイミングt2までの間に、障害物200が移動している道路と交わる方向(紙面下側から上側)に走行するものである。一方、図5(a)に示すように、障害物200は、タイミングt1からタイミングt2までの間に、車両100が走行している道路と交わる方向(紙面左側から右側)に向かって移動するものである。
【0045】
このような状況(車両100と障害物200との位置関係)の場合、車両用警報装置の危険検知部10は、タイミングt1で障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。
【0046】
そして、図5(b)のタイミングt1に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。
【0047】
また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt1後に、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。
【0048】
さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0049】
また、車両用警報装置の危険検知部10は、次にタイミング(タイミングt1とタイミングt2の間)で障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。車両100に対する障害物200の方向は、タイミングt1のときから変化している。また、車両100と障害物200との距離は、タイミングt1のときよりも近い。
【0050】
このとき、図5(b)のタイミングt1とt2の間に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1のときと同様に、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1で左耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして警報音を発生させる。
【0051】
また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、左耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt2(Δt1<Δt2)後に、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1で右耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして警報音を発生させる。
【0052】
さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0053】
また、車両用警報装置の危険検知部10は、タイミングt2で障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。車両100に対する障害物200の方向は、タイミングt1及び前回タイミング(t1とt2の間)のときから変化している。また、車両100と障害物200との距離は、タイミングt1及び前回タイミングのときよりも近い。
【0054】
このとき、図5(b)のタイミングt2に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミングのときと同様に、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、前回タイミングで左耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして警報音を発生させる。
【0055】
また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRFスピーカ31の複数の超音波素子を制御して、左耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt3(Δt2<Δt3)後に、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、前回タイミングで右耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして警報音を発生させる。
【0056】
さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0057】
次に、図6(a)に示すように、車両100が走行している道路において、車両100の前方正面に障害物200(歩行者)がある場合を一例として説明する。この例では、図6(a)に示すように、車両100は、タイミングt1からタイミングt2までの間に、障害物200に向かって前方(紙面下側から上側)に走行するものである。一方、図6(a)に示すように、障害物200は、タイミングt1からタイミングt2までの間に、車両100に向かって前方(紙面上側から下側)に向かって移動するものである。
【0058】
このような状況(車両100と障害物200との位置関係)の場合、車両用警報装置の危険検知部10は、タイミングt1で障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。
【0059】
そして、図6(b)のタイミングt1に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量と左耳に発生させる警報音の音量を同等にする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0060】
また、車両用警報装置の危険検知部10は、次にタイミング(タイミングt1とタイミングt2の間)で障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。車両100に対する障害物200の方向は、タイミングt1のときから変化していない。また、車両100と障害物200との距離は、タイミングt1のときよりも近い。
【0061】
このとき、図6(b)のタイミングt1とt2の間に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1のときと同様に、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1で左耳及び右耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量と左耳に発生させる警報音の音量を同等にする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0062】
また、車両用警報装置の危険検知部10は、タイミングt2で障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。車両100に対する障害物200の方向は、タイミングt1及び前回タイミング(t1とt2の間)のときから変化していない。また、車両100と障害物200との距離は、タイミングt1及び前回タイミングのときよりも近い。
【0063】
このとき、図6(b)のタイミングt2に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミングのときと同様に、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミングで左耳及び右耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量と左耳に発生させる警報音の音量を同等にする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0064】
次に、図7(a)に示すように、車両100の右後方に障害物200(歩行者)がある場合を一例として説明する。つまり、車両100を駐車場300に駐車させる場合の例である。この例では、図7(a)に示すように、車両100は、タイミングt1からタイミングt2までの間に、後進しつつ、後進方向に向かって右方向(紙面左上側から右下側)に走行するものである。一方、図7(a)に示すように、障害物200は、タイミングt1からタイミングt2までの間に、車両100方向(紙面右側から左側)に向かって移動するものである。
【0065】
このような状況(車両100と障害物200との位置関係)の場合、車両用警報装置の危険検知部10は、タイミングt1で障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。
【0066】
そして、図7(b)のタイミングt1に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33の複数の超音波素子を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。
【0067】
また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLRスピーカ34の複数の超音波素子30を制御して、右耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt1後に、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0068】
また、車両用警報装置の危険検知部10は、次にタイミング(タイミングt1とタイミングt2の間)で障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。車両100に対する障害物200の方向は、タイミングt1のときから変化している。また、車両100と障害物200との距離は、タイミングt1のときよりも近い。
【0069】
このとき、図7(b)のタイミングt1とt2の間に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1のときと同様に、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33の複数の超音波素子を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1で右耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして警報音を発生させる。
【0070】
また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLRスピーカ34の複数の超音波素子30を制御して、右耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt2(Δt1<Δt2)後に、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1で左耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして警報音を発生させる。
【0071】
さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0072】
また、車両用警報装置の危険検知部10は、タイミングt2で障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。車両100に対する障害物200の方向は、タイミングt1及び前回タイミング(t1とt2の間)のときから変化している。また、車両100と障害物200との距離は、タイミングt1及び前回タイミングのときよりも近い。
【0073】
このとき、図7(b)のタイミングt2に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミングのときと同様に、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33の複数の超音波素子を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、前回タイミングで左耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして警報音を発生させる。
【0074】
また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLRスピーカ34の複数の超音波素子30を制御して、右耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt3(Δt2<Δt3)後に、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、前回タイミングで右耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして警報音を発生させる。
【0075】
さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0076】
これまで説明したように、運転者の右耳及び左耳の夫々に複数の超音波の位相を一致させることで、運転者の右耳及び左耳の夫々に対して限定的に警報音を発生させることによって、警報音が車両100の窓ガラスや天井などで反射したり回り込んだりすることを抑制できる。よって、複数の超音波の位相を一致させることで運転者の右耳及び左耳の夫々に対して限定的に警報音を発生させつつ、この警報音が車両100に対する障害物200(要注意地点)の方向を示す態様となるようにすることによって、車両100に対する障害物200(要注意地点)の方向を精度よく運転者に知らせることができる。
【0077】
なお、要注意地点として、車両(100)が走行している道路に人又は他車両が進入可能な地点を検知する場合は、車両(100)が走行している道路に人又は他車両が進入可能な地点の方向を精度よく運転者に知らせることができる。
【0078】
また、車両100と障害物200との距離が短くなるに連れて、警報音の音量を大きくすることによって、車両100と障害物200との距離感を車両100の運転者に知らせることができる。なお、ここでは、説明していないが、車両100と障害物との距離が長くなるに連れて警報音の音量を小さくするようにしても、車両100と障害物200との距離感を車両100の運転者に知らせることができる。
【0079】
また、複数の超音波の位相が一致する点(音の焦点)を各耳を覆う範囲内でスキャンさせて、耳を覆うように警報音を発生させるようにしてもよい。
【0080】
なお、スピーカ31〜34は、車両用オーディオスピーカとしても使用可能である。よって、スピーカ31〜34を車両用オーディオスピーカとして使用しているときに、障害物200が検知された場合は、音楽の音量を小さくしつつ、警報音を発生させるようにしてもよい。
【0081】
また、従来、運転者に歩行者(障害物200)を知らせる技術として、歩行者マーカ技術がある。これは、車両周辺に歩行者がいた場合、歩行者が映っている車両周辺の撮像画像をディスプレイに表示するとともに、その画像における歩行者を目立つように(例えば線で囲うなど)表示するものである。しかしながら、本発明の車両用警報装置を採用することによって、この歩行者マーカ技術を用いることなく、運転者に対して車両100の周辺に歩行者がいることを知らせることができる。ただし、本発明の車両用警報装置と歩行者マーカ技術とを組み合わせて実施することによって、運転者に対して車両100の周辺に歩行者がいることをより明確に、知らせることができる。
【0082】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
【0083】
(変形例1)
上述の実施形態における車両用警報装置は、車両100と要注意地点(障害物200)との距離が短くなるに連れて警報音の音量を調整する例を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。つまり、変形例1における車両用警報装置に示すように、車両100と要注意地点(障害物200)との距離が短くなるに連れて警報音の音量を調整しなくても本発明の目的は達成することができる。変形例1における車両用警報装置は、車両100に対する障害物200の方向に応じて、運転者の前方又は後方のいずれかの方向から超音波を放射させるとともに、運転者の右耳及び左耳における障害物200から遠い方の耳に対する警報音の発生タイミングよりも、近い方の耳に対する警報音の発生タイミングを早くし、且つ、遠い方の耳に発生させる警報音の音量よりも、近い方の耳に発生させる警報音の音量を大きくするものである。
【0084】
ここで、図8に基づいて、変形例1における車両用警報装置に関して説明する。変形例1における車両用警報装置と、上述の実施形態における車両用警報装置とは、共通する箇所が多いため、ここでは異なる点を重点的に説明する。なお、変形例1と上述の実施形態とでは、車両用警報装置の構成は略同じである。また、変形例1においては、例えば、警報音データは、車両100と障害物200との位置関係を示す情報と、各位置関係において運転者の左右の耳の夫々に警報音を発生させる発生タイミングを示す情報と、各位置関係において運転者の左右の耳の夫々に発生させる警報音の大きさを示す情報とが関連付けられたものを採用することができる。
【0085】
図8は、変形例1における車両用警報装置の処理動作を示すタイムチャートであり、(a)は図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(b)は図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(c)は図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものである。
【0086】
まず、図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合について説明する。
【0087】
図8(a)のタイミングt1に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRFスピーカ31の複数の超音波素子を制御して、左耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt1後に、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0088】
また、図8(a)のタイミングt1とt2の間に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1のときと同様に、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、タイミングt1で左耳に発生させた警報音と同等の音量で警報音を発生させる。
【0089】
また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRFスピーカ31の複数の超音波素子を制御して、左耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt2(Δt1<Δt2)後に、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、タイミングt1で右耳に発生させた警報音と同等の音量で警報音を発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0090】
また、図8(a)のタイミングt2に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミングのときと同様に、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、タイミングt1及び前回タイミングで左耳に発生させた警報音と同等の音量で警報音を発生させる。
【0091】
また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRFスピーカ31の複数の超音波素子を制御して、左耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt3(Δt2<Δt3)後に、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、タイミングt1及び前回タイミングで右耳に発生させた警報音と同等の音量で警報音を発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0092】
次に、図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合について説明する。
【0093】
図8(b)に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRFスピーカ31及びLFスピーカ32の複数の超音波素子30を制御して、タイミングt1〜t2の全てのタイミングにおいて、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1〜t2の全てのタイミングにおいて、右耳に発生させる警報音の音量と、左耳に発生させる警報音の音量を同等にする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0094】
次に、図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合について説明する。
【0095】
図8(c)のタイミングt1に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33の複数の超音波素子を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLRスピーカ34の複数の超音波素子30を制御して、右耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt1後に、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0096】
また、図8(c)のタイミングt1とt2の間に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1のときと同様に、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33の複数の超音波素子を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、タイミングt1で右耳に発生させた警報音と同等の音量で警報音を発生させる。
【0097】
また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLRスピーカ34の複数の超音波素子30を制御して、右耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt2(Δt1<Δt2)後に、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、タイミングt1で左耳に発生させた警報音と同等の音量で警報音を発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0098】
また、図8(c)のタイミングt2に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミングのときと同様に、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33の複数の超音波素子を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、タイミングt1及び前回タイミングで右耳に発生させた警報音と同等の音量で警報音を発生させる。
【0099】
また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLRスピーカ34の複数の超音波素子30を制御して、右耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt3(Δt2<Δt3)後に、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、タイミングt1及び前回タイミングで左耳に発生させた警報音と同等の音量で警報音を発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0100】
このように、本発明の車両用警報装置は、運転者の左右の耳の夫々に独立して警報音を発生させることができる(すなわち、音の回り込みのない)ので、単純に警報音の発生タイミングを変えるだけで方向感を出すことができる。
【0101】
(変形例2)
上述の実施形態における車両用警報装置は、車両100に対する要注意地点(障害物200)の方向に応じて警報音の発生タイミングを調整する例を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。つまり、変形例2における車両用警報装置に示すように、車両100に対する要注意地点(障害物200)の方向に応じて警報音の発生タイミングを調整しなくても本発明の目的は達成することができる。変形例2における車両用警報装置は、車両100に対する障害物200の方向に応じて、運転者の前方又は後方のいずれかの方向から超音波を放射させるとともに、運転者の右耳及び左耳における障害物200から遠い方の耳に発生させる警報音の音量よりも、近い方の耳に発生させる警報音の音量を大きくするものである。さらに、変形例2における車両用警報装置は、車両100と要注意地点(障害物200)との距離が短くなるに連れて警報音の音量を調整するものである。
【0102】
ここで、図9に基づいて、変形例2における車両用警報装置に関して説明する。変形例2における車両用警報装置と、上述の実施形態における車両用警報装置とは、共通する箇所が多いため、ここでは異なる点を重点的に説明する。なお、変形例2と上述の実施形態とでは、車両用警報装置の構成は略同じである。また、変形例2においては、例えば、警報音データは、車両100と障害物200との位置関係を示す情報と、各位置関係及び車両100と障害物200との各距離において運転者の左右の耳の夫々に発生させる警報音の大きさを示す情報とが関連付けられたものを採用することができる。
【0103】
図9は、変形例2における車両用警報装置の処理動作を示すタイムチャートであり、(a)は図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(b)は図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(c)は図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものである。
【0104】
まず、図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合について説明する。
【0105】
図9(a)のタイミングt1に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。また、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0106】
また、図9(a)のタイミングt1とt2の間に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1のときと同様に、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1で右耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして右耳に警報音を発生させるとともに、タイミングt1で左耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして左耳に警報音を発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0107】
また、図9(a)のタイミングt2に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミング(タイミングt1とt2の間)のときと同様に、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミングで右耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして右耳に警報音を発生させるとともに、タイミングt1及び前回タイミングで左耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして左耳に警報音を発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0108】
なお、図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合、変形例2における車両用警報装置の制御部20は、図9(b)に示すように、上述の実施形態と同様の処理動作を行うため説明は省略する。
【0109】
次に、図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合について説明する。
【0110】
図9(c)のタイミングt1に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33及びLRスピーカ34を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。また、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0111】
また、図9(c)のタイミングt1とt2の間に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1のときと同様に、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33及びLRスピーカ34の複数の超音波素子30を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1で左耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして左耳に警報音を発生させるとともに、タイミングt1で右耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして右耳に警報音を発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0112】
また、図9(c)のタイミングt2に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミング(タイミングt1とt2の間)のときと同様に、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33及びLRスピーカ34の複数の超音波素子30を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミングで左耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして左耳に警報音を発生させるとともに、タイミングt1及び前回タイミングで右耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして右耳に警報音を発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0113】
なお、変形例2においては、車両100と障害物との距離が長くなるに連れて警報音の音量を小さくするようにしてもよい。これによっても、車両100と障害物200との距離感を車両100の運転者に知らせることができる。
【0114】
(変形例3)
上述の実施形態における車両用警報装置は、車両100に対する要注意地点(障害物200)の方向に応じて警報音の発生タイミングを調整する例を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。つまり、変形例3における車両用警報装置に示すように、車両100に対する要注意地点(障害物200)の方向に応じて警報音の発生タイミングを調整しなくても本発明の目的は達成することができる。変形例2における車両用警報装置は、車両100に対する障害物200の方向に応じて、運転者の前方又は後方のいずれかの方向から超音波を放射させるとともに、運転者の右耳及び左耳における障害物200から遠い方の耳に発生させる警報音の音量よりも、近い方の耳に発生させる警報音の音量を大きくするものである。
【0115】
さらに、上述の実施形態における車両用警報装置は、車両100と要注意地点(障害物200)との距離が短くなるに連れて警報音の音量を調整する例を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。変形例2における車両用警報装置は、車両100と要注意地点(障害物200)との距離が短くなるに連れて警報音の発生回数を調整するものである。具体的には、車両用警報装置は、車両100と要注意地点(障害物200)との距離が短くなるに連れて、警報音の発生回数を増やす。このようにすることによって、車両100と要注意地点(障害物200)との距離感を車両100の運転者に知らせることができる。
【0116】
ここで、図9に基づいて、変形例3における車両用警報装置に関して説明する。変形例3における車両用警報装置と、上述の実施形態における車両用警報装置とは、共通する箇所が多いため、ここでは異なる点を重点的に説明する。なお、変形例3と上述の実施形態とでは、車両用警報装置の構成は略同じである。また、変形例3においては、例えば、警報音データは、車両100と障害物200との位置関係を示す情報と、各位置関係において運転者の左右の耳の夫々に発生させる警報音の大きさを示す情報と、車両100と障害物200との各距離において運転者の左右の耳の夫々に発生させる警報音の回数が関連付けられたものを採用することができる。
【0117】
図10は、変形例3における車両用警報装置の処理動作を示すタイムチャートであり、(a)は図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(b)は図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(c)は図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものである。
【0118】
まず、図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合について説明する。
【0119】
図10(a)のタイミングt1に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。例えば、左右の耳の夫々に、短時間の間に警報音を2回発生させる。また、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0120】
また、図10(a)のタイミングt1とt2の間に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1のときと同様に、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1で右耳に発生させた警報音の回数よりも回数を増やして右耳に警報音を発生させるとともに、タイミングt1で左耳に発生させた警報音の回数よりも回数を増やして左耳に警報音を発生させる。例えば、左右の耳の夫々に、短時間の間に警報音を4回発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0121】
また、図10(a)のタイミングt2に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミング(タイミングt1とt2の間)のときと同様に、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミングで右耳に発生させた警報音の回数よりも回数を増やして右耳に警報音を発生させるとともに、タイミングt1及び前回タイミングで左耳に発生させた警報音の回数よりも回数を増やして左耳に警報音を発生させる。例えば、左右の耳の夫々に、短時間の間に警報音を6回発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0122】
なお、図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合について説明する。
【0123】
図10(b)に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、タイミングt1〜t2の各タイミングにおいて、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1からタイミングt2に連れて、警報音を発生させる回数を増やす。例えば、タイミングt1では、左右の耳の夫々に対して警報音を2回発生させる。そして、タイミングt1とt2の間では、左右の耳の夫々に対して警報音を4回発生させる。そして、タイミングt2では、左右の耳の夫々に対して警報音を6回発生させる。また、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1〜t2の全てのタイミングにおいて、右耳に発生させる警報音の音量と、左耳に発生させる警報音の音量を同等にする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0124】
次に、図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合について説明する。
【0125】
図10(c)のタイミングt1に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33及びLRスピーカ34の複数の超音波素子30を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。例えば、左右の耳の夫々に、短時間の間に警報音を2回発生させる。また、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0126】
また、図10(c)のタイミングt1とt2の間に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1のときと同様に、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33及びLRスピーカ34の複数の超音波素子30を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1で左耳に発生させた警報音の回数よりも回数を増やして左耳に警報音を発生させるとともに、タイミングt1で右耳に発生させた警報音の回数よりも回数を増やして右耳に警報音を発生させる。例えば、左右の耳の夫々に、短時間の間に警報音を4回発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0127】
また、図10(c)のタイミングt2に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミング(タイミングt1とt2の間)のときと同様に、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33及びLRスピーカ34の複数の超音波素子30を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミングで左耳に発生させた警報音の回数よりも回数を増やして左耳に警報音を発生させるとともに、タイミングt1及び前回タイミングで右耳に発生させた警報音の回数よりも回数を増やして右耳に警報音を発生させる。例えば、左右の耳の夫々に、短時間の間に警報音を6回発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0128】
なお、変形例3においては、車両100と障害物との距離が長くなるに連れて警報音の発生回数を減らすようにしてもよい。これによっても、車両100と障害物200との距離感を車両100の運転者に知らせることができる。
【0129】
(変形例4)
上述の実施形態における車両用警報装置は、車両100に対する要注意地点(障害物200)の方向に応じて警報音の発生タイミングを調整するとともに、車両100と要注意地点(障害物200)との距離が短くなるに連れて警報音の音量を調整する例を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。つまり、変形例4における車両用警報装置に示すように、車両100に対する要注意地点(障害物200)の方向に応じて警報音の発生タイミングを調整したり、車両100と要注意地点(障害物200)との距離が短くなるに連れて警報音の音量を調整したりしなくても本発明の目的は達成することができる。変形例4における車両用警報装置は、車両100に対する障害物200の方向に応じて、運転者の前方又は後方のいずれかの方向から超音波を放射させるとともに、遠い方の耳に発生させる警報音の音量よりも、近い方の耳に発生させる警報音の音量を大きくするものである。
【0130】
ここで、図11に基づいて、変形例4における車両用警報装置に関して説明する。変形例1における車両用警報装置と、上述の実施形態における車両用警報装置とは、共通する箇所が多いため、ここでは異なる点を重点的に説明する。なお、変形例4と上述の実施形態とでは、車両用警報装置の構成は略同じである。また、変形例4においては、例えば、警報音データは、車両100と障害物200との位置関係を示す情報と、各位置関係において運転者の左右の耳の夫々に発生させる警報音の大きさを示す情報とが関連付けられたものを採用することができる。
【0131】
図11は、変形例4における車両用警報装置の処理動作を示すタイムチャートであり、(a)は図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(b)は図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(c)は図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものである。
【0132】
まず、図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合について説明する。
【0133】
図11(a)に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、タイミングt1〜t2の各タイミングにおいて、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1〜t2の全てのタイミングにおいて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0134】
なお、図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合、変形例4における車両用警報装置の制御部20は、図11(b)に示すように、上述の変形例1と同様の処理動作を行うため説明は省略する。
【0135】
次に、図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合について説明する。
【0136】
図11(c)に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、タイミングt1〜t2の各タイミングにおいて、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1〜t2の全てのタイミングにおいて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0137】
このように、本発明の車両用警報装置は、運転者の左右の耳の夫々に独立して警報音を発生させることができる(すなわち、音の回り込みのない)ので、単純に警報音の大きさを変えるだけで方向感を出すことができる。
【0138】
(参考例)
本発明に車両用警報装置は、上述の実施形態及び変形例1乃至4において説明したように、車両100の運転者に対して警報を行うことによって、車両100に対する要注意地点の方向を運転者に知らせるものである。この車両用警報装置に車両外用のスピーカ35,36を設けて、車両外部の人に対して警報音を発生(再生)して、車両外部の人に自車両100の存在を知らせるようにしてもよい(参考例)。つまり、参考例の車両用警報装置は、スピーカ(超音波素子アレイ部)35,36を用いたフェーズドアレイ制御により警報音(危険信号音)を出力することで、車両外部の人に危険の方向と度合いを知らせることを目的とする。
【0139】
図12(a)に、参考例における車両用警報装置の概略構成を示すブロック図を示す。図12(a)に示すように、参考例における車両用警報装置は、上述の車両用警報装置に加えて、車両の前方及び後方に車外用のスピーカ(超音波素子アレイ部)35,36を備えて構成される。参考例における車両用警報装置と上述の車両用警報装置とは、スピーカ35,36以外の構成は同じである。なお、参考例における車両用警報装置においては、車外の人に対してのみ警報を行う場合は車内用のスピーカ31〜34を設けなくてもよい。
【0140】
スピーカ35とスピーカ36とは同じ構成を有するものである。スピーカ35,35は、例えば超音波パラメトリックスピーカを採用することができ、複数の超音波素子(ここでは、15個の超音波素子30a〜30o)を備える。このスピーカ35,36は、車両外の地点に対して複数の超音波を放射可能なものである。代表して、図12(b)に参考例におけるスピーカ(超音波素子アレイ部)35の概略構成を示す。図12(b)に示すように、スピーカ35は、超音波素子30a〜30oが直線的に配列されている。参考例における超音波素子アレイ部は、複数の超音波素子が設けられ、車両外部の地点(要注意地点、歩行者や他車両などの障害物の位置、以下、単に要注意地点とも称する)に対して複数の超音波を放射可能なものであれば、特に限定されるものではない。
【0141】
例えば、制御部20は、複数の超音波素子30を制御することで、要注意地点で複数の超音波の位相を一致(複数の超音波が一致(山と山、谷と谷が一致)、複数の超音波が収束)させることで要注意地点に対して限定的に警報音(危険信号音)を発生(再生)させる。つまり、制御部20は、要注意地点で複数の超音波の位相が一致するように、複数の超音波素子30a〜30oを制御する。例えば、図13(a)〜(c)に示すように、両端の超音波素子30a,30oから中央の超音波素子30fに順番に超音波を放射させることによって、図13(d)に示すように、音の焦点(警報音の発生領域)を形成することができる。換言すると、制御部20は、複数の超音波素子30a〜30oを制御することで、要注意地点で複数の超音波の位相を一致させ、要注意地点に対して限定的に音の焦点を形成することで警報音を発生させる。このように、要注意地点で複数の超音波の位相が一致(収束)して自己復調することによって可聴帯域音波(警報音)が再生される。
【0142】
なお、例えば、危険検知部10によって複数の歩行者が検知された場合など、警報音を発生させる地点を広めたい場合、又は、異なる要注意地点に警報音を発生させたい場合もある。このような場合、制御部20は、複数の超音波の位相が一致する点(音の焦点)をスキャンさせて、警報音を発生させる地点を広めたり、異なる要注意地点に警報音を発生させたりすることもできる。参考例の車両用警報装置は、電気的に(フェーズドアレイ制御により)複数の超音波素子30a〜30oを制御することで、複数の超音波の位相が一致する点(音の焦点)をスキャンするので、複数の要注意地点に略同時に警報音を発生させることができる。つまり、参考例の車両用警報装置は、車両外部の任意の地点に警報音を発生させることができるとともに、任意の範囲に警報音を発生させることができる。参考例の車両用警報装置は、このように複数の超音波の位相が一致する点(音の焦点)をスキャンするので、機械的にスピーカ35又は36を動かして音の焦点を移動させるよりも、警報音を発生させる地点を高精度に制御でき信頼性を向上させることができる。
【0143】
なお、参考例の車両用警報装置においても、車両100と障害物200との距離に応じて、警報音の音量(大きさ)や警報音の発生回数を変化させてもよい。つまり、車両100と障害物200との距離が近づくに連れて警報音の音量(大きさ)を大きくし、距離が遠ざかるに連れて警報音の音量(大きさ)を小さくする。また、車両100と障害物200との距離が近づくに連れて警報音の発生回数を増やし、距離が遠ざかるに連れて警報音の発生回数を少なくする。
【0144】
ここで、図14を用いて、参考例の車両用警報装置の処理動作を説明する。図14(a)〜(c)は、要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)が各位置関係にある場合の、参考例の車両用警報装置における警報音の発生領域(音の焦点)を示すイメージ図である。
【0145】
まず、図14(a)に示すように、車両100の左前方に障害物200(歩行者)がある場合を一例として説明する。この例では、図14(a)に示すように、車両100は、障害物200が移動している道路の方向(紙面下側から上側)に走行するものである。一方、図14(a)に示すように、障害物200は、車両100が走行している道路の方向(紙面左側から右側)に向かって移動するものである。
【0146】
このような状況(車両100と障害物200との位置関係)の場合、車両用警報装置の危険検知部10は、障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。
【0147】
このとき、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、スピーカ35(車両の前方)から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてスピーカ35の複数の超音波素子を制御して、スピーカ35から放射された複数の超音波の位相を障害物200又は障害物200の近傍で一致させることで、障害物200に対して限定的に警報音を発生させる。なお、警報音は、障害物200がいる道路と車両100が走行している道路とが交わる角に発生させてもよい。換言すると、障害物200がいる道路と車両100が走行している道路とが交わる角を要注意地点とみなしてもよい。また、図14(a)に示すように、複数の超音波の位相が一致する点(音の焦点)をスキャンさせて、警報音を発生させる地点を角部を含む所定範囲に広めるようにしてもよい。
【0148】
次に、図14(b)に示すように、車両100の左前方及び右前方に障害物200(左前方は歩行者、右前方は他車両)がある場合を一例として説明する。この例では、図14(b)に示すように、車両100は、障害物200が移動している道路の方向(紙面下側から上側)に走行するものである。一方、図14(b)に示すように、左前方の障害物200は、車両100が走行している道路の方向(紙面左側から右側)に向かって移動するものである。また、右前方の障害物200は、車両100が走行している道路の方向(紙面右側から左側)に向かって移動するものである。
【0149】
このような状況(車両100と障害物200との位置関係)の場合、車両用警報装置の危険検知部10は、障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。
【0150】
このとき、車両用警報装置の制御部20は、図14(a)の場合と同様に、危険検知部10の検知結果に応じて、スピーカ35(車両の前方)から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてスピーカ35の複数の超音波素子を制御して、スピーカ35から放射された複数の超音波の位相を障害物200又は障害物200の近傍で一致させることで、障害物200に対して限定的に警報音を発生させる。なお、警報音は、障害物200がいる道路と車両100が走行している道路とが交わる角部に発生させてもよい。換言すると、障害物200がいる道路と車両100が走行している道路とが交わる角を要注意地点とみなしてもよい。また、図14(b)に示すように、複数の超音波の位相が一致する点(音の焦点)をスキャンさせて、警報音を発生させる地点を角部を含む所定範囲に広めるようにしてもよい。
【0151】
次に、図14(c)に示すように、車両100の右後方に障害物200(歩行者)がある場合を一例として説明する。つまり、車両100を駐車場300に駐車させる場合の例である。この例では、図14(c)に示すように、車両100は、後進しつつ、後進方向に向かって右方向(紙面左上側から右下側)に走行するものである。一方、図14(c)に示すように、障害物200は、車両100の後方にいるものである。
【0152】
このような状況(車両100と障害物200との位置関係)の場合、車両用警報装置の危険検知部10は、障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。
【0153】
このとき、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、スピーカ36(車両の後方)から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてスピーカ35の複数の超音波素子を制御して、スピーカ35から放射された複数の超音波の位相を障害物200又は障害物200の近傍で一致させることで、障害物200に対して限定的に警報音を発生させる。なお、図14(c)に示すように、複数の超音波の位相が一致する点(音の焦点)をスキャンさせて、警報音を発生させる地点を障害物200を含む所定範囲に広めるようにしてもよい。
【0154】
このように、参考例における車両用警報装置は、車両の外に警報音を発生するものである。よって、車両用警報装置は、電気モータを原動機として備えた電気自動車、燃料電池自動車、ハイブリッド自動車に搭載して好適なものである。換言すると、車両用警報装置は、自身が搭載された車両が電気モータを原動機として走行しており、且つ、車両100の周辺における注意が必要となる要注意地点を検知した場合に警報音を発生させると好ましい。このようにすることによって、必要なときだけ、警報音を発生させることができる。
【符号の説明】
【0155】
10 要注意地点検知部(障害物検知部、危険検知部)、20 制御部、30 超音波素子、31〜34 スピーカ(超音波素子アレイ部)、41 背もたれ、42 ヘッドレストレイント、51 ダッシュボード上部 52 インストルメントパネル、60 フロントガラス、70 ステアリングホイール、100 車両(自車両)、200 障害物(歩行者)、300 駐車場
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者に対して警報を行う車両用警報装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用警報装置の一例として、特許文献1に開示された車載外界認識装置がある。この車載外界認識装置は、自車両に対する障害物(接近車両)を特定するとともに、自車両の運転者側から障害物を眺望する捕獲断面の方角から運転者に対して警告音(警報音)を発するものである。具体的には、一般乗用車に装備されている前後左右の4チャネル・スピーカー(一般的なスピーカ)、又は、比較的指向性の高い一対のスピーカを用いた音源位置調整機能によって、警報音を発する方向(仮想音源位置)を設定する。そして、この設定した仮想音源位置から警報音を発する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平2002−133596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車載外界認識装置は、上述のように仮想音源位置を設定することによって、運転者が障害物の方向を特定し得るように警報音を発するものである。しかしながら、車内において一般的なスピーカや比較的指向性が高いスピーカから警報音を発する場合、車両の窓ガラス(サイドガラス、フロントガラス、リアガラス)や天井などによる音の反射や回り込みの影響によって、仮想音源位置が定まりにくい。よって、運転者に対して、注意が必要な方向を精度よく知らせることは難しい。換言すると、運転者は、注意が必要な方向を認識しにくい。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、注意が必要な方向を精度よく運転者に知らせることができる車両用警報装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために請求項1に係る車両用警報装置は、車両(100)に搭載され、車両(100)の運転者に対して警報を行うものであって、
車両(100)の周辺における注意が必要となる要注意地点を検知するとともに、車両(100)に対する要注意地点の方向を検知する要注意地点検知部(10)と、
複数の超音波素子(30)が設けられ、運転者の右耳及び左耳の夫々に対して複数の超音波を放射可能な超音波素子アレイ部(31〜34)と、
複数の超音波素子(30)を制御するものであり、運転者の右耳及び左耳の夫々の位置で複数の超音波の位相を一致させることで運転者の右耳及び左耳の夫々に対して限定的に警報音を発生させる制御部(20)と、を備え、
制御部(20)は、要注意地点検知部(10)によって検知された車両(100)に対する要注意地点の方向に応じて、警報音が車両(100)に対する要注意地点の方向を示す態様となるように複数の超音波素子(30)を制御することを特徴とする。
【0007】
このように、複数の超音波の位相を一致させることで運転者の右耳及び左耳の夫々に対して限定的に警報音を発生させることによって、警報音が車両(100)の窓ガラスや天井などで反射したり回り込んだりすることを抑制できる。つまり、超音波素子アレイ部と運転者の耳との間では、車両(100)の窓ガラスや天井などで反射したり回り込んだりすることを抑制できる。よって、複数の超音波の位相を一致させることで運転者の右耳及び左耳の夫々に対して限定的に警報音を発生させつつ、この警報音が車両(100)に対する要注意地点の方向を示す態様となるようにすることによって、車両(100)に対する要注意地点の方向(注意が必要な方向)を精度よく運転者に知らせることができる。
【0008】
なお、運転者の前方から超音波を放射させて警報音を発生させる場合と、運転者の後方から超音波を放射させて警報音を発生させる場合とでは、警報音の聞こえ方が異なる。また、通常、左右の耳に音が聞こえるタイミングは、音の発生地点と人との位置関係に依存するものである。
【0009】
そこで、請求項2に示すように、要注意地点の方向に応じて、運転者の前方又は後方のいずれかの方向から超音波を放射させるとともに、運転者の右耳及び左耳の夫々に対する警報音の発生タイミングを調整することで、車両(100)に対する要注意地点の方向で実際に警報音が発生しているかのように、警報音を発生させることができる。つまり、警報音を車両(100)に対する要注意地点の方向を示す態様とすることができる。
【0010】
具体的には、運転者の耳よりも車両(100)の前進方向に要注意地点がある場合は運転者の前方から超音波を放射させ、逆に、運転者の耳よりも車両(100)の後進方向に要注意地点がある場合は運転者の後方から超音波を放射させる。また、運転者の左右の耳において、要注意地点から遠い方の耳に対する警報音の発生タイミングよりも、近い方の耳に対する警報音の発生タイミングを早くする。また、車両(100)の前進方向正面、又は車両(100)の後進方向正面に要注意地点がある場合は、要注意地点と左右夫々の耳との距離とは、略同じになるため、各耳に対する警報音の発生タイミングを一致させる。
【0011】
また、通常、左右の耳に聞こえる音の大きさは、音の発生地点と人との位置関係に依存するものである。そこで、請求項3に示すように、要注意地点の方向に応じて、運転者の前方又は後方のいずれかの方向から超音波を放射させるとともに、運転者の右耳及び左耳の夫々に対する警報音の音量(大きさ)を調整することで、車両(100)に対する要注意地点の方向で実際に警報音が発生しているかのように、警報音を発生させることができる。つまり、警報音を車両(100)に対する要注意地点の方向を示す態様とすることができる。
【0012】
具体的には、運転者の左右の耳において、要注意地点から遠い方の耳に対する警報音の音量(大きさ)よりも、近い方の耳に対する警報音の音量(大きさ)を大きくする。また、車両(100)の前進方向正面、又は車両(100)の後進方向正面に要注意地点がある場合は、要注意地点と左右夫々の耳との距離とは、略同じになるため、各耳に対する警報音の音量(大きさ)を一致させる。なお、超音波を放射させる方向(運転者の前方又は後方のいずれかの方向)の具体例は、請求項2における説明と同様である。
【0013】
また、請求項2と請求項3とを組み合わせて、要注意地点の方向に応じて、運転者の前方又は後方のいずれかの方向から超音波を放射させるとともに、運転者の右耳及び左耳における要注意地点から遠い方の耳に対する警報音の発生タイミングよりも、近い方の耳に対する警報音の発生タイミングを早くし、且つ、遠い方の耳に発生させる警報音の音量よりも、近い方の耳に発生させる警報音の音量を大きくするようにしてもよい。なお、車両(100)の前進方向正面、又は車両(100)の後進方向正面に要注意地点がある場合は、各耳に対する警報音の発生タイミングを一致させるとともに、各耳に対する警報音の音量(大きさ)を一致させる。このようにすることによって、実際に要注意地点で発生した警報音に、より一層近い警報音を発生させることができるので好ましい。
【0014】
また、請求項4に示すように、
要注意地点検知部(10)は、車両(100)と前記要注意地点との距離を検知するものであり、
制御部(20)は、車両(100)と前記要注意地点との距離が短くなるに連れて警報音の音量を大きくし、車両(100)と前記要注意地点との距離が長くなるに連れて警報音の音量を小さくするようにしてもよい。
【0015】
このようにすることによって、車両(100)と要注意地点との距離感を車両(100)の運転者に知らせることができる。
【0016】
また、請求項5に示すように、
要注意地点検知部(10)は、車両(100)と要注意地点との距離を検知するものであり、
制御部(20)は、車両(100)と前記要注意地点との距離が短くなるに連れて警報音の発生回数を増やし、車両(100)と前記要注意地点との距離が長くなるに連れて警報音の発生回数を減らすようにしてもよい。
【0017】
このようにすることによって、車両(100)と要注意地点との距離感を車両(100)の運転者に知らせることができる。
【0018】
また、請求項6に示すように、要注意地点検知部(10)は、要注意地点として、車両(100)の周辺における障害物の位置を検知するようにしてもよい。
【0019】
このようにすることによって、車両(100)の周辺における障害物の方向を精度よく運転者に知らせることができる。
【0020】
また、請求項7に示すように、要注意地点検知部(10)は、要注意地点として、車両(100)の進行方向において、車両(100)が走行している道路に車両(10)の進行方向とは異なる方向から人又は他車両が進入可能な地点を検知するようにしてもよい。
【0021】
このようにすることによって、車両(100)が走行している道路に人又は他車両が進入可能な地点の方向を精度よく運転者に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施形態における車両用警報装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態におけるスピーカ(超音波素子アレイ部)の概略構成を示す正面図である。
【図3】(a)〜(c)は、本発明の実施形態におけるスピーカ(超音波素子アレイ部)の配置例を示すイメージ図である。
【図4】(a)は左右の耳に音が聞こえるタイミングが、音の発生地点(音源)と人(左右の耳)との位置関係に依存することを説明するイメージ図であり、(b)は本発明の実施形態における警報音の発生領域(音の焦点)を示すイメージ図である。
【図5】(a)は要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の一例を示すイメージ図であり、(b)は図5(a)の場合における本発明の実施形態における車両用警報装置の処理動作を示すタイムチャートである。
【図6】(a)は要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の一例を示すイメージ図であり、(b)は図6(a)の場合における本発明の実施形態における車両用警報装置の処理動作を示すタイムチャートである。
【図7】(a)は要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の一例を示すイメージ図であり、(b)は図7(a)の場合における本発明の実施形態における車両用警報装置の処理動作を示すタイムチャートである。
【図8】変形例1における車両用警報装置の処理動作を示すタイムチャートであり、(a)は図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(b)は図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(c)は図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものである。
【図9】変形例2における車両用警報装置の処理動作を示すタイムチャートであり、(a)は図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(b)は図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(c)は図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものである。
【図10】変形例3における車両用警報装置の処理動作を示すタイムチャートであり、(a)は図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(b)は図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(c)は図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものである。
【図11】変形例4における車両用警報装置の処理動作を示すタイムチャートであり、(a)は図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(b)は図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(c)は図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものである。
【図12】(a)は参考例における車両用警報装置の概略構成を示すブロック図であり、(b)は参考例におけるスピーカ(超音波素子アレイ部)の概略構成を示す正面図である。
【図13】(a)〜(d)は、参考例の車両用警報装置において、各超音波素子から放射される超音波の所定時間毎のイメージ図である。
【図14】(a)〜(c)は、要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)が各位置関係にある場合の、参考例の車両用警報装置における警報音の発生領域(音の焦点)を示すイメージ図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図に基づいて説明する。図1に示すように、本実施形態における車両用警報装置は、車両100に搭載されるものであり、危険検知部10、制御部20、スピーカ31〜34、及びこれらを電気的に接続する信号線を備えて構成される。この車両用警報装置は、自身(車両用警報装置)が搭載されている車両100の運転者(運転席に着座している乗員)に対して警報を行うものである。換言すると、車両用警報装置は、スピーカ31〜34を用いたフェーズドアレイ制御により警報音(危険信号音)を出力することで、車両の運転者に危険の方向と度合いを知らせることを目的とする。なお、以下の説明において、車両用警報装置が搭載された車両100を自車両100とも称する。
【0024】
危険検知部10は、本発明の特許請求の範囲における要注意地点検知部に相当するものであり、車両100の周辺における注意が必要となる要注意地点を検知するとともに、車両100に対する要注意地点の方向を検知する。さらに、危険検知部10は、車両100と要注意地点との距離を検知する。つまり、危険検知部10は、車両100の周辺における注意が必要となる要注意地点を検知すると、車両100に対する要注意地点の方向を検知するとともに、車両100と要注意地点との距離を検知する。
【0025】
この要注意地点は、例えば、車両100の周辺における障害物200(つまり、障害物200の位置)を示すものである。この場合、危険検知部10は、車両100の周辺における障害物200(障害物200の位置)、車両100に対する障害物200の方向、及び車両100と障害物200との距離を検知する。よって、危険検知部10は、障害物検知部と言い換えることもできる。なお、本実施形態では、危険検知部10として、車両100の周辺における障害物200(有無、方向、距離)検知する例を採用する。また、本実施形態における障害物200とは、人(歩行者、自転車を運転している人)や他車両などの移動物を示すものである。
【0026】
また、危険検知部10は、障害物200(有無、方向、距離)を検知する場合、周知の障害物検知技術(障害物検知手段、障害物検知装置、障害物検知機能)を採用することができる。この障害物検知技術としては、例えば、レーザーレーダを用いる技術(手段、装置、機能)や、撮像装置(カメラ)で撮像された画像を用いる技術(手段、装置、機能)などがある。
【0027】
さらに、障害物検知技術としては、車両100と他車両との間の車車間通信や、車両100と路側機との間の路車間通信を用いて、障害物200に関する障害物情報(障害物の有無、位置などを含む情報)を取得する技術(手段、装置、機能)を採用することもできる。このように、他車両や路側機から障害物情報を取得する技術(手段、装置、機能)を採用することによって、壁や建屋で隠れて運転者からは見えない障害物200を検知することができる。
【0028】
また、要注意地点は、障害物200(障害物200の位置)に限定されるものではない。要注意地点としては、例えば、車両100の進行方向において、車両100が走行している道路に車両10の進行方向とは異なる方向から人又は他車両が進入可能な地点を採用することもできる。この場合、危険検知部10は、車両100の進行方向において、車両100が走行している道路に車両10の進行方向とは異なる方向から人又は他車両が進入可能な地点(要注意地点)、車両100に対するその地点(要注意地点)の方向、及び車両100とその地点との距離を検知する。危険検知部10は、周知のカーナビゲーション装置から道路地図データや自車位置情報を取得することで、車両100が走行している道路に人又は他車両が進入可能な地点(有無、方向、距離)を検知することができる。
【0029】
なお、車両100が走行している道路に人又は他車両が進入可能な地点としては、特に、建屋における車両100が走行している道路に面した出入口や車両100が走行している道路と路地(建物と建物との間の狭い道)とが繋がる角などの、見通しの悪い地点や人や他車両が飛び出してくる可能性が高い地点を採用すると好ましい。
【0030】
制御部20は、CPU(CentralProcessing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、I/O(Input/Output)などを備えて構成される周知のマイクロコンピュータ(マイコン)などを採用できる。この制御部20は、CPUが予めROMなどに格納されたプログラムをRAMに読出して実行することで、I/Oを介して危険検知部10、後ほど説明するスピーカ31〜34と通信するとともに所定の処理を実行する。制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、スピーカ31〜34に設けられた複数の超音波素子30を制御するものである。なお、制御部20は、各超音波素子30から放射させる超音波の位相、周波数、振幅などを制御することができる。
【0031】
例えば、制御部20は、複数の超音波素子30を制御することで、運転者の右耳及び左耳の夫々の位置で複数の超音波の位相を一致(複数の超音波が一致(山と山、谷と谷が一致)、複数の超音波が収束)させることで運転者の右耳及び左耳の夫々に対して限定的に警報音(危険信号音)を発生(再生)させる(図4(b)における一点鎖線で囲った領域(音の焦点)で警報音が再生される)。つまり、制御部20は、運転者の右耳及び左耳の夫々の位置で複数の超音波の位相が一致するように、複数の超音波素子30を制御する。換言すると、制御部20は、複数の超音波素子30を制御することで、運転者の右耳及び左耳の夫々の位置で複数の超音波の位相を一致させ、運転者の右耳及び左耳の夫々に対して限定的に音の焦点を形成することで警報音を発生させる。このように、運転者の右耳及び左耳の夫々の位置で複数の超音波の位相が一致(収束)して自己復調することによって可聴帯域音波(警報音)が再生される。なお、制御部20は、複数の超音波素子30から超音波を放射させるタイミング(複数の超音波素子30から放射させる超音波の位相)を調整することで、運転者の右耳及び左耳の夫々の位置で複数の超音波の位相を一致させることができる。
【0032】
なお、音の焦点の大きさは超音波発振周波数で決まる。例えば、40kHzであればλ=8mmとなるので焦点部直径はφ8程度となる。警報音を聞かせる範囲を広げたい場合は、フェーズドアレイ制御を用いて、この音の焦点を高速でスキャンさせればよい。このように、フェーズドアレイ制御を用いることで音の焦点位置を自在に変更できる。よって、障害物200(歩行者)の動きに合わせて音の焦点位置を変えることも可能である。
【0033】
また、制御部20は、危険検知部10によって検知された車両100に対する障害物200の方向に応じて、警報音が車両100に対する要注意地点の方向を示す態様となるように複数の超音波素子30を制御する。
【0034】
通常、運転者の前方から超音波を放射させて警報音を発生させる場合と、運転者の後方から超音波を放射させて警報音を発生させる場合とでは、警報音の聞こえ方が異なる。また、図4(a)に示すように、左右の耳に音が聞こえるタイミングは、音の発生地点(音源)と人との位置関係に依存するものである。到達時間の遅延(Δt、後ほどの説明で登場するΔt1〜Δt3)はΔL/音速となる。また、左右の耳に聞こえる音の大きさに関しても、音の発生地点と人との位置関係に依存するものである。換言すると、左右の耳に音が聞こえるタイミング及び左右の耳に聞こえる音の大きさは、右耳と音源との距離及び左耳と音源との距離に依存する。
【0035】
そこで、具体的には、制御部20は、車両100に対する障害物200の方向に応じて、運転者の前方又は後方のいずれかの方向から超音波を放射させるとともに、運転者の右耳及び左耳における障害物200から遠い方の耳に対する警報音の発生タイミングよりも、近い方の耳に対する警報音の発生タイミングを早くし、且つ、遠い方の耳に発生させる警報音の音量よりも、近い方の耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、車両100の前進方向正面、又は車両100の後進方向正面に要注意地点がある場合は、各耳に対する警報音の発生タイミングを一致させるとともに、各耳に対する警報音の音量(大きさ)を一致させる。このようにすることによって、実際に要注意地点で発生した警報音に、より一層近い警報音を発生させることができるので好ましい。つまり、精度よく、警報音を車両100に対する要注意地点の方向を示す態様とすることができる。なお、警報音の音量は、複数の超音波素子30から放射させる超音波の振幅又は周波数をかえることによって調整することができる。
【0036】
さらに、制御部20は、車両100と障害物200との距離に応じて、警報音の音量を調整する。つまり、制御部20は、車両100と障害物200との距離が短くなるに連れて警報音の音量を大きくし、車両100と障害物との距離が長くなるに連れて警報音の音量を小さくする。
【0037】
また、制御部20は、警報音が車両100に対する要注意地点の方向を示す態様となるようにするために、警報音データが予め設定されている。この警報音データは、制御部20のROMなどの記憶部に予め記憶しておくこができる。例えば、警報音データは、車両100と障害物200との位置関係を示す情報と、各位置関係において運転者の左右の耳の夫々に警報音を発生させる発生タイミングを示す情報と、各位置関係及び車両100と障害物200との各距離において運転者の左右の耳の夫々に発生させる警報音の大きさを示す情報とが関連付けられたものを採用することができる。しかしながら、本発明は、警報音データを記憶部に記憶しておくことに限定されるものではない。本発明は、警報音を車両100に対する要注意地点の方向を示す態様とすることができるものであれば採用することができる。
【0038】
スピーカ31〜34は、本発明の特許請求の範囲における超音波素子アレイ部に相当するものであり、例えば超音波パラメトリックスピーカを採用することができる。スピーカ31〜34は、夫々に複数の超音波素子(30)が設けられ、運転者の右耳及び左耳の夫々に対して複数の超音波を放射可能なものである。本実施形態においては、図1に示すように、超音波素子アレイ部として、運転手の前方に配置された二つのスピーカ31,32、及び運転手の後方に配置された二つのスピーカ33,34の計四つのスピーカ31〜34を採用する。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。超音波素子アレイ部は、複数の超音波素子30が設けられ、運転者の前方及び後方から超音波を放射可能であり、運転者の右耳及び左耳の夫々に対して複数の超音波を放射可能なものであれば、特に限定されるものではない。
【0039】
なお、スピーカ31は、運転者の右側前方から運転者の右耳に複数の超音波を放射し、右耳に限定的に警報音を発生させるためのものであり、右側前方スピーカ31(RFスピーカ31)とも称する。スピーカ32は、運転者の左側前方から運転者の左耳に複数の超音波を放射し、左耳に限定的に警報音を発生させるためのものであり、左側前方スピーカ32(LFスピーカ32)とも称する。スピーカ33は、運転者の右側後方から運転者の右耳に複数の超音波を放射し、右耳に限定的に警報音を発生させるためのものであり、右側後方スピーカ33(RRスピーカ33)とも称する。スピーカ34は、運転者の左側後方から運転者の左耳に複数の超音波を放射し、左耳に限定的に警報音を発生させるためのものであり、左側後方スピーカ34(LRスピーカ34)とも称する。
【0040】
各スピーカ31〜34は、全て同じ構成をなすものである。一例として、図2に、スピーカ31の正面図を示す。例えば、図2に示すように、複数の超音波素子30(ここでは、20個の超音波素子30)は、超音波の放射面が矩形状(マトリクス状)となるように配列されている。
【0041】
また、一例として、図3(a)〜(c)に、スピーカ31〜34の設置例を示す。例えば、図3(a)に示すように、RRスピーカ33は、運転席の背もたれ41の上部右側に設置され、LRスピーカ34は、運転席の背もたれ41の上部左側に設置される。また、その他、図3(b)に示すように、RRスピーカ33は、運転席のヘッドレストレイント(ヘッドレスト)42の右側に設置され、LRスピーカ34は、運転席のヘッドレストレイント(ヘッドレスト)42の左側に設置される。
【0042】
また、図3(c)に示すように、RFスピーカ31は、運転席前方のダッシュボード上部51においてステアリングホイール70よりも右側に設置され、LFスピーカ32は、運転席のダッシュボード上部51においてステアリングホイール70よりも左側に設置される。換言すると、RFスピーカ31は、運転席前方のインストルメントパネル52とフロントガラス60との間の部位においてステアリングホイール70よりも右側に設置され、LFスピーカ32は、運転席前方のインストルメントパネル52とフロントガラス60との間の部位においてステアリングホイール70よりも左側に設置される。また、RFスピーカ31及びLFスピーカ32は、インストルメントパネル52に配置されるようにしてもよい。
【0043】
ここで、図5〜図7を用いて、車両用警報装置の処理動作を説明する。
【0044】
まず、図5(a)に示すように、車両100の左前方に障害物200(歩行者)がある場合を一例として説明する。この例では、図5(a)に示すように、車両100は、タイミングt1からタイミングt2までの間に、障害物200が移動している道路と交わる方向(紙面下側から上側)に走行するものである。一方、図5(a)に示すように、障害物200は、タイミングt1からタイミングt2までの間に、車両100が走行している道路と交わる方向(紙面左側から右側)に向かって移動するものである。
【0045】
このような状況(車両100と障害物200との位置関係)の場合、車両用警報装置の危険検知部10は、タイミングt1で障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。
【0046】
そして、図5(b)のタイミングt1に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。
【0047】
また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt1後に、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。
【0048】
さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0049】
また、車両用警報装置の危険検知部10は、次にタイミング(タイミングt1とタイミングt2の間)で障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。車両100に対する障害物200の方向は、タイミングt1のときから変化している。また、車両100と障害物200との距離は、タイミングt1のときよりも近い。
【0050】
このとき、図5(b)のタイミングt1とt2の間に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1のときと同様に、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1で左耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして警報音を発生させる。
【0051】
また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、左耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt2(Δt1<Δt2)後に、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1で右耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして警報音を発生させる。
【0052】
さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0053】
また、車両用警報装置の危険検知部10は、タイミングt2で障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。車両100に対する障害物200の方向は、タイミングt1及び前回タイミング(t1とt2の間)のときから変化している。また、車両100と障害物200との距離は、タイミングt1及び前回タイミングのときよりも近い。
【0054】
このとき、図5(b)のタイミングt2に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミングのときと同様に、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、前回タイミングで左耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして警報音を発生させる。
【0055】
また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRFスピーカ31の複数の超音波素子を制御して、左耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt3(Δt2<Δt3)後に、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、前回タイミングで右耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして警報音を発生させる。
【0056】
さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0057】
次に、図6(a)に示すように、車両100が走行している道路において、車両100の前方正面に障害物200(歩行者)がある場合を一例として説明する。この例では、図6(a)に示すように、車両100は、タイミングt1からタイミングt2までの間に、障害物200に向かって前方(紙面下側から上側)に走行するものである。一方、図6(a)に示すように、障害物200は、タイミングt1からタイミングt2までの間に、車両100に向かって前方(紙面上側から下側)に向かって移動するものである。
【0058】
このような状況(車両100と障害物200との位置関係)の場合、車両用警報装置の危険検知部10は、タイミングt1で障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。
【0059】
そして、図6(b)のタイミングt1に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量と左耳に発生させる警報音の音量を同等にする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0060】
また、車両用警報装置の危険検知部10は、次にタイミング(タイミングt1とタイミングt2の間)で障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。車両100に対する障害物200の方向は、タイミングt1のときから変化していない。また、車両100と障害物200との距離は、タイミングt1のときよりも近い。
【0061】
このとき、図6(b)のタイミングt1とt2の間に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1のときと同様に、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1で左耳及び右耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量と左耳に発生させる警報音の音量を同等にする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0062】
また、車両用警報装置の危険検知部10は、タイミングt2で障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。車両100に対する障害物200の方向は、タイミングt1及び前回タイミング(t1とt2の間)のときから変化していない。また、車両100と障害物200との距離は、タイミングt1及び前回タイミングのときよりも近い。
【0063】
このとき、図6(b)のタイミングt2に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミングのときと同様に、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミングで左耳及び右耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量と左耳に発生させる警報音の音量を同等にする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0064】
次に、図7(a)に示すように、車両100の右後方に障害物200(歩行者)がある場合を一例として説明する。つまり、車両100を駐車場300に駐車させる場合の例である。この例では、図7(a)に示すように、車両100は、タイミングt1からタイミングt2までの間に、後進しつつ、後進方向に向かって右方向(紙面左上側から右下側)に走行するものである。一方、図7(a)に示すように、障害物200は、タイミングt1からタイミングt2までの間に、車両100方向(紙面右側から左側)に向かって移動するものである。
【0065】
このような状況(車両100と障害物200との位置関係)の場合、車両用警報装置の危険検知部10は、タイミングt1で障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。
【0066】
そして、図7(b)のタイミングt1に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33の複数の超音波素子を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。
【0067】
また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLRスピーカ34の複数の超音波素子30を制御して、右耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt1後に、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0068】
また、車両用警報装置の危険検知部10は、次にタイミング(タイミングt1とタイミングt2の間)で障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。車両100に対する障害物200の方向は、タイミングt1のときから変化している。また、車両100と障害物200との距離は、タイミングt1のときよりも近い。
【0069】
このとき、図7(b)のタイミングt1とt2の間に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1のときと同様に、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33の複数の超音波素子を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1で右耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして警報音を発生させる。
【0070】
また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLRスピーカ34の複数の超音波素子30を制御して、右耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt2(Δt1<Δt2)後に、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1で左耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして警報音を発生させる。
【0071】
さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0072】
また、車両用警報装置の危険検知部10は、タイミングt2で障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。車両100に対する障害物200の方向は、タイミングt1及び前回タイミング(t1とt2の間)のときから変化している。また、車両100と障害物200との距離は、タイミングt1及び前回タイミングのときよりも近い。
【0073】
このとき、図7(b)のタイミングt2に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミングのときと同様に、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33の複数の超音波素子を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、前回タイミングで左耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして警報音を発生させる。
【0074】
また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLRスピーカ34の複数の超音波素子30を制御して、右耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt3(Δt2<Δt3)後に、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、前回タイミングで右耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして警報音を発生させる。
【0075】
さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0076】
これまで説明したように、運転者の右耳及び左耳の夫々に複数の超音波の位相を一致させることで、運転者の右耳及び左耳の夫々に対して限定的に警報音を発生させることによって、警報音が車両100の窓ガラスや天井などで反射したり回り込んだりすることを抑制できる。よって、複数の超音波の位相を一致させることで運転者の右耳及び左耳の夫々に対して限定的に警報音を発生させつつ、この警報音が車両100に対する障害物200(要注意地点)の方向を示す態様となるようにすることによって、車両100に対する障害物200(要注意地点)の方向を精度よく運転者に知らせることができる。
【0077】
なお、要注意地点として、車両(100)が走行している道路に人又は他車両が進入可能な地点を検知する場合は、車両(100)が走行している道路に人又は他車両が進入可能な地点の方向を精度よく運転者に知らせることができる。
【0078】
また、車両100と障害物200との距離が短くなるに連れて、警報音の音量を大きくすることによって、車両100と障害物200との距離感を車両100の運転者に知らせることができる。なお、ここでは、説明していないが、車両100と障害物との距離が長くなるに連れて警報音の音量を小さくするようにしても、車両100と障害物200との距離感を車両100の運転者に知らせることができる。
【0079】
また、複数の超音波の位相が一致する点(音の焦点)を各耳を覆う範囲内でスキャンさせて、耳を覆うように警報音を発生させるようにしてもよい。
【0080】
なお、スピーカ31〜34は、車両用オーディオスピーカとしても使用可能である。よって、スピーカ31〜34を車両用オーディオスピーカとして使用しているときに、障害物200が検知された場合は、音楽の音量を小さくしつつ、警報音を発生させるようにしてもよい。
【0081】
また、従来、運転者に歩行者(障害物200)を知らせる技術として、歩行者マーカ技術がある。これは、車両周辺に歩行者がいた場合、歩行者が映っている車両周辺の撮像画像をディスプレイに表示するとともに、その画像における歩行者を目立つように(例えば線で囲うなど)表示するものである。しかしながら、本発明の車両用警報装置を採用することによって、この歩行者マーカ技術を用いることなく、運転者に対して車両100の周辺に歩行者がいることを知らせることができる。ただし、本発明の車両用警報装置と歩行者マーカ技術とを組み合わせて実施することによって、運転者に対して車両100の周辺に歩行者がいることをより明確に、知らせることができる。
【0082】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
【0083】
(変形例1)
上述の実施形態における車両用警報装置は、車両100と要注意地点(障害物200)との距離が短くなるに連れて警報音の音量を調整する例を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。つまり、変形例1における車両用警報装置に示すように、車両100と要注意地点(障害物200)との距離が短くなるに連れて警報音の音量を調整しなくても本発明の目的は達成することができる。変形例1における車両用警報装置は、車両100に対する障害物200の方向に応じて、運転者の前方又は後方のいずれかの方向から超音波を放射させるとともに、運転者の右耳及び左耳における障害物200から遠い方の耳に対する警報音の発生タイミングよりも、近い方の耳に対する警報音の発生タイミングを早くし、且つ、遠い方の耳に発生させる警報音の音量よりも、近い方の耳に発生させる警報音の音量を大きくするものである。
【0084】
ここで、図8に基づいて、変形例1における車両用警報装置に関して説明する。変形例1における車両用警報装置と、上述の実施形態における車両用警報装置とは、共通する箇所が多いため、ここでは異なる点を重点的に説明する。なお、変形例1と上述の実施形態とでは、車両用警報装置の構成は略同じである。また、変形例1においては、例えば、警報音データは、車両100と障害物200との位置関係を示す情報と、各位置関係において運転者の左右の耳の夫々に警報音を発生させる発生タイミングを示す情報と、各位置関係において運転者の左右の耳の夫々に発生させる警報音の大きさを示す情報とが関連付けられたものを採用することができる。
【0085】
図8は、変形例1における車両用警報装置の処理動作を示すタイムチャートであり、(a)は図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(b)は図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(c)は図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものである。
【0086】
まず、図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合について説明する。
【0087】
図8(a)のタイミングt1に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRFスピーカ31の複数の超音波素子を制御して、左耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt1後に、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0088】
また、図8(a)のタイミングt1とt2の間に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1のときと同様に、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、タイミングt1で左耳に発生させた警報音と同等の音量で警報音を発生させる。
【0089】
また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRFスピーカ31の複数の超音波素子を制御して、左耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt2(Δt1<Δt2)後に、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、タイミングt1で右耳に発生させた警報音と同等の音量で警報音を発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0090】
また、図8(a)のタイミングt2に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミングのときと同様に、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、タイミングt1及び前回タイミングで左耳に発生させた警報音と同等の音量で警報音を発生させる。
【0091】
また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRFスピーカ31の複数の超音波素子を制御して、左耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt3(Δt2<Δt3)後に、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、タイミングt1及び前回タイミングで右耳に発生させた警報音と同等の音量で警報音を発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0092】
次に、図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合について説明する。
【0093】
図8(b)に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRFスピーカ31及びLFスピーカ32の複数の超音波素子30を制御して、タイミングt1〜t2の全てのタイミングにおいて、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1〜t2の全てのタイミングにおいて、右耳に発生させる警報音の音量と、左耳に発生させる警報音の音量を同等にする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0094】
次に、図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合について説明する。
【0095】
図8(c)のタイミングt1に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33の複数の超音波素子を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLRスピーカ34の複数の超音波素子30を制御して、右耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt1後に、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0096】
また、図8(c)のタイミングt1とt2の間に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1のときと同様に、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33の複数の超音波素子を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、タイミングt1で右耳に発生させた警報音と同等の音量で警報音を発生させる。
【0097】
また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLRスピーカ34の複数の超音波素子30を制御して、右耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt2(Δt1<Δt2)後に、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、タイミングt1で左耳に発生させた警報音と同等の音量で警報音を発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0098】
また、図8(c)のタイミングt2に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミングのときと同様に、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33の複数の超音波素子を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、タイミングt1及び前回タイミングで右耳に発生させた警報音と同等の音量で警報音を発生させる。
【0099】
また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLRスピーカ34の複数の超音波素子30を制御して、右耳に対して限定的に警報音を発生させたΔt3(Δt2<Δt3)後に、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、タイミングt1及び前回タイミングで左耳に発生させた警報音と同等の音量で警報音を発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0100】
このように、本発明の車両用警報装置は、運転者の左右の耳の夫々に独立して警報音を発生させることができる(すなわち、音の回り込みのない)ので、単純に警報音の発生タイミングを変えるだけで方向感を出すことができる。
【0101】
(変形例2)
上述の実施形態における車両用警報装置は、車両100に対する要注意地点(障害物200)の方向に応じて警報音の発生タイミングを調整する例を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。つまり、変形例2における車両用警報装置に示すように、車両100に対する要注意地点(障害物200)の方向に応じて警報音の発生タイミングを調整しなくても本発明の目的は達成することができる。変形例2における車両用警報装置は、車両100に対する障害物200の方向に応じて、運転者の前方又は後方のいずれかの方向から超音波を放射させるとともに、運転者の右耳及び左耳における障害物200から遠い方の耳に発生させる警報音の音量よりも、近い方の耳に発生させる警報音の音量を大きくするものである。さらに、変形例2における車両用警報装置は、車両100と要注意地点(障害物200)との距離が短くなるに連れて警報音の音量を調整するものである。
【0102】
ここで、図9に基づいて、変形例2における車両用警報装置に関して説明する。変形例2における車両用警報装置と、上述の実施形態における車両用警報装置とは、共通する箇所が多いため、ここでは異なる点を重点的に説明する。なお、変形例2と上述の実施形態とでは、車両用警報装置の構成は略同じである。また、変形例2においては、例えば、警報音データは、車両100と障害物200との位置関係を示す情報と、各位置関係及び車両100と障害物200との各距離において運転者の左右の耳の夫々に発生させる警報音の大きさを示す情報とが関連付けられたものを採用することができる。
【0103】
図9は、変形例2における車両用警報装置の処理動作を示すタイムチャートであり、(a)は図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(b)は図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(c)は図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものである。
【0104】
まず、図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合について説明する。
【0105】
図9(a)のタイミングt1に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。また、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0106】
また、図9(a)のタイミングt1とt2の間に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1のときと同様に、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1で右耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして右耳に警報音を発生させるとともに、タイミングt1で左耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして左耳に警報音を発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0107】
また、図9(a)のタイミングt2に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミング(タイミングt1とt2の間)のときと同様に、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミングで右耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして右耳に警報音を発生させるとともに、タイミングt1及び前回タイミングで左耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして左耳に警報音を発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0108】
なお、図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合、変形例2における車両用警報装置の制御部20は、図9(b)に示すように、上述の実施形態と同様の処理動作を行うため説明は省略する。
【0109】
次に、図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合について説明する。
【0110】
図9(c)のタイミングt1に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33及びLRスピーカ34を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。また、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0111】
また、図9(c)のタイミングt1とt2の間に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1のときと同様に、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33及びLRスピーカ34の複数の超音波素子30を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1で左耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして左耳に警報音を発生させるとともに、タイミングt1で右耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして右耳に警報音を発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0112】
また、図9(c)のタイミングt2に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミング(タイミングt1とt2の間)のときと同様に、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33及びLRスピーカ34の複数の超音波素子30を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミングで左耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして左耳に警報音を発生させるとともに、タイミングt1及び前回タイミングで右耳に発生させた警報音よりも音量を大きくして右耳に警報音を発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0113】
なお、変形例2においては、車両100と障害物との距離が長くなるに連れて警報音の音量を小さくするようにしてもよい。これによっても、車両100と障害物200との距離感を車両100の運転者に知らせることができる。
【0114】
(変形例3)
上述の実施形態における車両用警報装置は、車両100に対する要注意地点(障害物200)の方向に応じて警報音の発生タイミングを調整する例を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。つまり、変形例3における車両用警報装置に示すように、車両100に対する要注意地点(障害物200)の方向に応じて警報音の発生タイミングを調整しなくても本発明の目的は達成することができる。変形例2における車両用警報装置は、車両100に対する障害物200の方向に応じて、運転者の前方又は後方のいずれかの方向から超音波を放射させるとともに、運転者の右耳及び左耳における障害物200から遠い方の耳に発生させる警報音の音量よりも、近い方の耳に発生させる警報音の音量を大きくするものである。
【0115】
さらに、上述の実施形態における車両用警報装置は、車両100と要注意地点(障害物200)との距離が短くなるに連れて警報音の音量を調整する例を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。変形例2における車両用警報装置は、車両100と要注意地点(障害物200)との距離が短くなるに連れて警報音の発生回数を調整するものである。具体的には、車両用警報装置は、車両100と要注意地点(障害物200)との距離が短くなるに連れて、警報音の発生回数を増やす。このようにすることによって、車両100と要注意地点(障害物200)との距離感を車両100の運転者に知らせることができる。
【0116】
ここで、図9に基づいて、変形例3における車両用警報装置に関して説明する。変形例3における車両用警報装置と、上述の実施形態における車両用警報装置とは、共通する箇所が多いため、ここでは異なる点を重点的に説明する。なお、変形例3と上述の実施形態とでは、車両用警報装置の構成は略同じである。また、変形例3においては、例えば、警報音データは、車両100と障害物200との位置関係を示す情報と、各位置関係において運転者の左右の耳の夫々に発生させる警報音の大きさを示す情報と、車両100と障害物200との各距離において運転者の左右の耳の夫々に発生させる警報音の回数が関連付けられたものを採用することができる。
【0117】
図10は、変形例3における車両用警報装置の処理動作を示すタイムチャートであり、(a)は図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(b)は図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(c)は図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものである。
【0118】
まず、図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合について説明する。
【0119】
図10(a)のタイミングt1に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。例えば、左右の耳の夫々に、短時間の間に警報音を2回発生させる。また、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0120】
また、図10(a)のタイミングt1とt2の間に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1のときと同様に、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1で右耳に発生させた警報音の回数よりも回数を増やして右耳に警報音を発生させるとともに、タイミングt1で左耳に発生させた警報音の回数よりも回数を増やして左耳に警報音を発生させる。例えば、左右の耳の夫々に、短時間の間に警報音を4回発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0121】
また、図10(a)のタイミングt2に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミング(タイミングt1とt2の間)のときと同様に、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミングで右耳に発生させた警報音の回数よりも回数を増やして右耳に警報音を発生させるとともに、タイミングt1及び前回タイミングで左耳に発生させた警報音の回数よりも回数を増やして左耳に警報音を発生させる。例えば、左右の耳の夫々に、短時間の間に警報音を6回発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)からは超音波を放射させない。
【0122】
なお、図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合について説明する。
【0123】
図10(b)に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、タイミングt1〜t2の各タイミングにおいて、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1からタイミングt2に連れて、警報音を発生させる回数を増やす。例えば、タイミングt1では、左右の耳の夫々に対して警報音を2回発生させる。そして、タイミングt1とt2の間では、左右の耳の夫々に対して警報音を4回発生させる。そして、タイミングt2では、左右の耳の夫々に対して警報音を6回発生させる。また、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1〜t2の全てのタイミングにおいて、右耳に発生させる警報音の音量と、左耳に発生させる警報音の音量を同等にする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0124】
次に、図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合について説明する。
【0125】
図10(c)のタイミングt1に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33及びLRスピーカ34の複数の超音波素子30を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。例えば、左右の耳の夫々に、短時間の間に警報音を2回発生させる。また、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0126】
また、図10(c)のタイミングt1とt2の間に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1のときと同様に、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33及びLRスピーカ34の複数の超音波素子30を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1で左耳に発生させた警報音の回数よりも回数を増やして左耳に警報音を発生させるとともに、タイミングt1で右耳に発生させた警報音の回数よりも回数を増やして右耳に警報音を発生させる。例えば、左右の耳の夫々に、短時間の間に警報音を4回発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0127】
また、図10(c)のタイミングt2に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミング(タイミングt1とt2の間)のときと同様に、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてRRスピーカ33及びLRスピーカ34の複数の超音波素子30を制御して、RRスピーカ33から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、LRスピーカ34から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させる。このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1及び前回タイミングで左耳に発生させた警報音の回数よりも回数を増やして左耳に警報音を発生させるとともに、タイミングt1及び前回タイミングで右耳に発生させた警報音の回数よりも回数を増やして右耳に警報音を発生させる。例えば、左右の耳の夫々に、短時間の間に警報音を6回発生させる。さらに、このとき、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0128】
なお、変形例3においては、車両100と障害物との距離が長くなるに連れて警報音の発生回数を減らすようにしてもよい。これによっても、車両100と障害物200との距離感を車両100の運転者に知らせることができる。
【0129】
(変形例4)
上述の実施形態における車両用警報装置は、車両100に対する要注意地点(障害物200)の方向に応じて警報音の発生タイミングを調整するとともに、車両100と要注意地点(障害物200)との距離が短くなるに連れて警報音の音量を調整する例を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。つまり、変形例4における車両用警報装置に示すように、車両100に対する要注意地点(障害物200)の方向に応じて警報音の発生タイミングを調整したり、車両100と要注意地点(障害物200)との距離が短くなるに連れて警報音の音量を調整したりしなくても本発明の目的は達成することができる。変形例4における車両用警報装置は、車両100に対する障害物200の方向に応じて、運転者の前方又は後方のいずれかの方向から超音波を放射させるとともに、遠い方の耳に発生させる警報音の音量よりも、近い方の耳に発生させる警報音の音量を大きくするものである。
【0130】
ここで、図11に基づいて、変形例4における車両用警報装置に関して説明する。変形例1における車両用警報装置と、上述の実施形態における車両用警報装置とは、共通する箇所が多いため、ここでは異なる点を重点的に説明する。なお、変形例4と上述の実施形態とでは、車両用警報装置の構成は略同じである。また、変形例4においては、例えば、警報音データは、車両100と障害物200との位置関係を示す情報と、各位置関係において運転者の左右の耳の夫々に発生させる警報音の大きさを示す情報とが関連付けられたものを採用することができる。
【0131】
図11は、変形例4における車両用警報装置の処理動作を示すタイムチャートであり、(a)は図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(b)は図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものであり、(c)は図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合のものである。
【0132】
まず、図5(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合について説明する。
【0133】
図11(a)に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、タイミングt1〜t2の各タイミングにおいて、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1〜t2の全てのタイミングにおいて、右耳に発生させる警報音の音量よりも、左耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0134】
なお、図6(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合、変形例4における車両用警報装置の制御部20は、図11(b)に示すように、上述の変形例1と同様の処理動作を行うため説明は省略する。
【0135】
次に、図7(a)に示す要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)の位置関係の場合について説明する。
【0136】
図11(c)に示すように、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、RRスピーカ33及びLRスピーカ34(運転者の後方)の夫々から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてLFスピーカ32及びRFスピーカ31の複数の超音波素子30を制御して、タイミングt1〜t2の各タイミングにおいて、LFスピーカ32から放射された複数の超音波の位相を運転者の左耳で一致させることで左耳に対して限定的に警報音を発生させるとともに、同じタイミングで、RFスピーカ31から放射された複数の超音波の位相を運転者の右耳で一致させることで右耳に対して限定的に警報音を発生させる。また、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、タイミングt1〜t2の全てのタイミングにおいて、左耳に発生させる警報音の音量よりも、右耳に発生させる警報音の音量を大きくする。なお、このとき、制御部20は、RFスピーカ31及びLFスピーカ32(運転者の前方)からは超音波を放射させない。
【0137】
このように、本発明の車両用警報装置は、運転者の左右の耳の夫々に独立して警報音を発生させることができる(すなわち、音の回り込みのない)ので、単純に警報音の大きさを変えるだけで方向感を出すことができる。
【0138】
(参考例)
本発明に車両用警報装置は、上述の実施形態及び変形例1乃至4において説明したように、車両100の運転者に対して警報を行うことによって、車両100に対する要注意地点の方向を運転者に知らせるものである。この車両用警報装置に車両外用のスピーカ35,36を設けて、車両外部の人に対して警報音を発生(再生)して、車両外部の人に自車両100の存在を知らせるようにしてもよい(参考例)。つまり、参考例の車両用警報装置は、スピーカ(超音波素子アレイ部)35,36を用いたフェーズドアレイ制御により警報音(危険信号音)を出力することで、車両外部の人に危険の方向と度合いを知らせることを目的とする。
【0139】
図12(a)に、参考例における車両用警報装置の概略構成を示すブロック図を示す。図12(a)に示すように、参考例における車両用警報装置は、上述の車両用警報装置に加えて、車両の前方及び後方に車外用のスピーカ(超音波素子アレイ部)35,36を備えて構成される。参考例における車両用警報装置と上述の車両用警報装置とは、スピーカ35,36以外の構成は同じである。なお、参考例における車両用警報装置においては、車外の人に対してのみ警報を行う場合は車内用のスピーカ31〜34を設けなくてもよい。
【0140】
スピーカ35とスピーカ36とは同じ構成を有するものである。スピーカ35,35は、例えば超音波パラメトリックスピーカを採用することができ、複数の超音波素子(ここでは、15個の超音波素子30a〜30o)を備える。このスピーカ35,36は、車両外の地点に対して複数の超音波を放射可能なものである。代表して、図12(b)に参考例におけるスピーカ(超音波素子アレイ部)35の概略構成を示す。図12(b)に示すように、スピーカ35は、超音波素子30a〜30oが直線的に配列されている。参考例における超音波素子アレイ部は、複数の超音波素子が設けられ、車両外部の地点(要注意地点、歩行者や他車両などの障害物の位置、以下、単に要注意地点とも称する)に対して複数の超音波を放射可能なものであれば、特に限定されるものではない。
【0141】
例えば、制御部20は、複数の超音波素子30を制御することで、要注意地点で複数の超音波の位相を一致(複数の超音波が一致(山と山、谷と谷が一致)、複数の超音波が収束)させることで要注意地点に対して限定的に警報音(危険信号音)を発生(再生)させる。つまり、制御部20は、要注意地点で複数の超音波の位相が一致するように、複数の超音波素子30a〜30oを制御する。例えば、図13(a)〜(c)に示すように、両端の超音波素子30a,30oから中央の超音波素子30fに順番に超音波を放射させることによって、図13(d)に示すように、音の焦点(警報音の発生領域)を形成することができる。換言すると、制御部20は、複数の超音波素子30a〜30oを制御することで、要注意地点で複数の超音波の位相を一致させ、要注意地点に対して限定的に音の焦点を形成することで警報音を発生させる。このように、要注意地点で複数の超音波の位相が一致(収束)して自己復調することによって可聴帯域音波(警報音)が再生される。
【0142】
なお、例えば、危険検知部10によって複数の歩行者が検知された場合など、警報音を発生させる地点を広めたい場合、又は、異なる要注意地点に警報音を発生させたい場合もある。このような場合、制御部20は、複数の超音波の位相が一致する点(音の焦点)をスキャンさせて、警報音を発生させる地点を広めたり、異なる要注意地点に警報音を発生させたりすることもできる。参考例の車両用警報装置は、電気的に(フェーズドアレイ制御により)複数の超音波素子30a〜30oを制御することで、複数の超音波の位相が一致する点(音の焦点)をスキャンするので、複数の要注意地点に略同時に警報音を発生させることができる。つまり、参考例の車両用警報装置は、車両外部の任意の地点に警報音を発生させることができるとともに、任意の範囲に警報音を発生させることができる。参考例の車両用警報装置は、このように複数の超音波の位相が一致する点(音の焦点)をスキャンするので、機械的にスピーカ35又は36を動かして音の焦点を移動させるよりも、警報音を発生させる地点を高精度に制御でき信頼性を向上させることができる。
【0143】
なお、参考例の車両用警報装置においても、車両100と障害物200との距離に応じて、警報音の音量(大きさ)や警報音の発生回数を変化させてもよい。つまり、車両100と障害物200との距離が近づくに連れて警報音の音量(大きさ)を大きくし、距離が遠ざかるに連れて警報音の音量(大きさ)を小さくする。また、車両100と障害物200との距離が近づくに連れて警報音の発生回数を増やし、距離が遠ざかるに連れて警報音の発生回数を少なくする。
【0144】
ここで、図14を用いて、参考例の車両用警報装置の処理動作を説明する。図14(a)〜(c)は、要注意地点(障害物の位置)と車両(車両用警報装置)が各位置関係にある場合の、参考例の車両用警報装置における警報音の発生領域(音の焦点)を示すイメージ図である。
【0145】
まず、図14(a)に示すように、車両100の左前方に障害物200(歩行者)がある場合を一例として説明する。この例では、図14(a)に示すように、車両100は、障害物200が移動している道路の方向(紙面下側から上側)に走行するものである。一方、図14(a)に示すように、障害物200は、車両100が走行している道路の方向(紙面左側から右側)に向かって移動するものである。
【0146】
このような状況(車両100と障害物200との位置関係)の場合、車両用警報装置の危険検知部10は、障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。
【0147】
このとき、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、スピーカ35(車両の前方)から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてスピーカ35の複数の超音波素子を制御して、スピーカ35から放射された複数の超音波の位相を障害物200又は障害物200の近傍で一致させることで、障害物200に対して限定的に警報音を発生させる。なお、警報音は、障害物200がいる道路と車両100が走行している道路とが交わる角に発生させてもよい。換言すると、障害物200がいる道路と車両100が走行している道路とが交わる角を要注意地点とみなしてもよい。また、図14(a)に示すように、複数の超音波の位相が一致する点(音の焦点)をスキャンさせて、警報音を発生させる地点を角部を含む所定範囲に広めるようにしてもよい。
【0148】
次に、図14(b)に示すように、車両100の左前方及び右前方に障害物200(左前方は歩行者、右前方は他車両)がある場合を一例として説明する。この例では、図14(b)に示すように、車両100は、障害物200が移動している道路の方向(紙面下側から上側)に走行するものである。一方、図14(b)に示すように、左前方の障害物200は、車両100が走行している道路の方向(紙面左側から右側)に向かって移動するものである。また、右前方の障害物200は、車両100が走行している道路の方向(紙面右側から左側)に向かって移動するものである。
【0149】
このような状況(車両100と障害物200との位置関係)の場合、車両用警報装置の危険検知部10は、障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。
【0150】
このとき、車両用警報装置の制御部20は、図14(a)の場合と同様に、危険検知部10の検知結果に応じて、スピーカ35(車両の前方)から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてスピーカ35の複数の超音波素子を制御して、スピーカ35から放射された複数の超音波の位相を障害物200又は障害物200の近傍で一致させることで、障害物200に対して限定的に警報音を発生させる。なお、警報音は、障害物200がいる道路と車両100が走行している道路とが交わる角部に発生させてもよい。換言すると、障害物200がいる道路と車両100が走行している道路とが交わる角を要注意地点とみなしてもよい。また、図14(b)に示すように、複数の超音波の位相が一致する点(音の焦点)をスキャンさせて、警報音を発生させる地点を角部を含む所定範囲に広めるようにしてもよい。
【0151】
次に、図14(c)に示すように、車両100の右後方に障害物200(歩行者)がある場合を一例として説明する。つまり、車両100を駐車場300に駐車させる場合の例である。この例では、図14(c)に示すように、車両100は、後進しつつ、後進方向に向かって右方向(紙面左上側から右下側)に走行するものである。一方、図14(c)に示すように、障害物200は、車両100の後方にいるものである。
【0152】
このような状況(車両100と障害物200との位置関係)の場合、車両用警報装置の危険検知部10は、障害物200を検知すると、車両100に対する障害物200の方向及び車両100と障害物200との距離を検知する。
【0153】
このとき、車両用警報装置の制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じて、スピーカ36(車両の後方)から複数の超音波を放射させる。そして、制御部20は、危険検知部10の検知結果に応じてスピーカ35の複数の超音波素子を制御して、スピーカ35から放射された複数の超音波の位相を障害物200又は障害物200の近傍で一致させることで、障害物200に対して限定的に警報音を発生させる。なお、図14(c)に示すように、複数の超音波の位相が一致する点(音の焦点)をスキャンさせて、警報音を発生させる地点を障害物200を含む所定範囲に広めるようにしてもよい。
【0154】
このように、参考例における車両用警報装置は、車両の外に警報音を発生するものである。よって、車両用警報装置は、電気モータを原動機として備えた電気自動車、燃料電池自動車、ハイブリッド自動車に搭載して好適なものである。換言すると、車両用警報装置は、自身が搭載された車両が電気モータを原動機として走行しており、且つ、車両100の周辺における注意が必要となる要注意地点を検知した場合に警報音を発生させると好ましい。このようにすることによって、必要なときだけ、警報音を発生させることができる。
【符号の説明】
【0155】
10 要注意地点検知部(障害物検知部、危険検知部)、20 制御部、30 超音波素子、31〜34 スピーカ(超音波素子アレイ部)、41 背もたれ、42 ヘッドレストレイント、51 ダッシュボード上部 52 インストルメントパネル、60 フロントガラス、70 ステアリングホイール、100 車両(自車両)、200 障害物(歩行者)、300 駐車場
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(100)に搭載され、車両(100)の運転者に対して警報を行う車両用警報装置であって、
車両(100)の周辺における注意が必要となる要注意地点を検知するとともに、車両(100)に対する要注意地点の方向を検知する要注意地点検知部(10)と、
複数の超音波素子(30)が設けられ、運転者の右耳及び左耳の夫々に対して複数の超音波を放射可能な超音波素子アレイ部(31〜34)と、
複数の超音波素子(30)を制御するものであり、運転者の右耳及び左耳の夫々の位置で複数の超音波の位相を一致させることで運転者の右耳及び左耳の夫々に対して限定的に警報音を発生させる制御部(20)と、を備え、
前記制御部(20)は、前記要注意地点検知部(10)によって検知された車両(100)に対する前記要注意地点の方向に応じて、警報音が車両(100)に対する要注意地点の方向を示す態様となるように複数の超音波素子(30)を制御することを特徴とする車両用警報装置。
【請求項2】
前記制御部(20)は、前記要注意地点の方向に応じて、運転者の前方又は後方のいずれかの方向から超音波を放射させるとともに、運転者の右耳及び左耳の夫々に対する警報音の発生タイミングを調整することを特徴とする請求項1に記載の車両用警報装置。
【請求項3】
前記制御部(20)は、前記要注意地点の方向に応じて、運転者の前方又は後方のいずれかの方向から超音波を放射させるとともに、運転者の右耳及び左耳の夫々に対する警報音の音量を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用警報装置。
【請求項4】
前記要注意地点検知部(10)は、車両(100)と前記要注意地点との距離を検知するものであり、
前記制御部(20)は、前記車両(100)と前記要注意地点との距離が短くなるに連れて警報音の音量を大きくし、前記車両(100)と前記要注意地点との距離が長くなるに連れて警報音の音量を小さくすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両用警報装置。
【請求項5】
前記要注意地点検知部(10)は、車両(100)と前記要注意地点との距離を検知するものであり、
前記制御部(20)は、前記車両(100)と前記要注意地点との距離が短くなるに連れて警報音の発生回数を増やし、前記車両(100)と前記要注意地点との距離が長くなるに連れて警報音の発生回数を減らすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両用警報装置。
【請求項6】
前記要注意地点検知部(10)は、前記要注意地点として、前記車両(100)の周辺における障害物の位置を検知することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車両用警報装置。
【請求項7】
前記要注意地点検知部(10)は、前記要注意地点として、前記車両(100)の進行方向において、前記車両(100)が走行している道路に車両(10)の進行方向とは異なる方向から人又は他車両が進入可能な地点を検知することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の車両用警報装置。
【請求項1】
車両(100)に搭載され、車両(100)の運転者に対して警報を行う車両用警報装置であって、
車両(100)の周辺における注意が必要となる要注意地点を検知するとともに、車両(100)に対する要注意地点の方向を検知する要注意地点検知部(10)と、
複数の超音波素子(30)が設けられ、運転者の右耳及び左耳の夫々に対して複数の超音波を放射可能な超音波素子アレイ部(31〜34)と、
複数の超音波素子(30)を制御するものであり、運転者の右耳及び左耳の夫々の位置で複数の超音波の位相を一致させることで運転者の右耳及び左耳の夫々に対して限定的に警報音を発生させる制御部(20)と、を備え、
前記制御部(20)は、前記要注意地点検知部(10)によって検知された車両(100)に対する前記要注意地点の方向に応じて、警報音が車両(100)に対する要注意地点の方向を示す態様となるように複数の超音波素子(30)を制御することを特徴とする車両用警報装置。
【請求項2】
前記制御部(20)は、前記要注意地点の方向に応じて、運転者の前方又は後方のいずれかの方向から超音波を放射させるとともに、運転者の右耳及び左耳の夫々に対する警報音の発生タイミングを調整することを特徴とする請求項1に記載の車両用警報装置。
【請求項3】
前記制御部(20)は、前記要注意地点の方向に応じて、運転者の前方又は後方のいずれかの方向から超音波を放射させるとともに、運転者の右耳及び左耳の夫々に対する警報音の音量を調整することを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用警報装置。
【請求項4】
前記要注意地点検知部(10)は、車両(100)と前記要注意地点との距離を検知するものであり、
前記制御部(20)は、前記車両(100)と前記要注意地点との距離が短くなるに連れて警報音の音量を大きくし、前記車両(100)と前記要注意地点との距離が長くなるに連れて警報音の音量を小さくすることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両用警報装置。
【請求項5】
前記要注意地点検知部(10)は、車両(100)と前記要注意地点との距離を検知するものであり、
前記制御部(20)は、前記車両(100)と前記要注意地点との距離が短くなるに連れて警報音の発生回数を増やし、前記車両(100)と前記要注意地点との距離が長くなるに連れて警報音の発生回数を減らすことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の車両用警報装置。
【請求項6】
前記要注意地点検知部(10)は、前記要注意地点として、前記車両(100)の周辺における障害物の位置を検知することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の車両用警報装置。
【請求項7】
前記要注意地点検知部(10)は、前記要注意地点として、前記車両(100)の進行方向において、前記車両(100)が走行している道路に車両(10)の進行方向とは異なる方向から人又は他車両が進入可能な地点を検知することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の車両用警報装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−65260(P2013−65260A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204832(P2011−204832)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】
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