説明

車両用防眩装置

【課題】運転者であっても、助手席側のサンバイザーを自身に適した位置に容易に移動させることができる車両用防眩装置を提供すること。
【解決手段】車両用防眩装置100は、車両の助手席側に設けられ、車両のフロントガラスを透過して運転者の目に入射しようとする入射光を低減するものであり、複数の位置に移動可能なサンバイザー10と、サンバイザー10を移動させる制御部30及び駆動部40と、車両の運転席の周辺に設けられ、乗員によって操作されるものであり、操作に基づいてサンバイザー10を移動させるように指示する操作部20と、を備える。そして、制御部30及び駆動部40は、操作部20からの指示に基づいてサンバイザー10を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のフロントガラスを透過して運転者の目に入射する入射光を低減させる車両用防眩装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用防眩装置の一例として、特許文献1に開示されたサンバイザー制御装置があった。
【0003】
このサンバイザー制御装置は、自車両周辺の天気が晴れであると判断した場合、太陽光の自車に対する入射角度が車内へ侵入する角度であるか否かを判断する。そして、太陽光入射角度が侵入する角度であると判断した場合、太陽光の入射角度方向に遮蔽物が存在するか否かを判断する。さらに、太陽光の入射角度方向に遮蔽物が存在しないことが判断されたときには、入射角度に基づいてサンバイザーの最適位置を割出し、割り出された位置にサンバイザーを移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−227217号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、運転者(運転席に座っている乗員)の目の位置は、運転者の体格や運転姿勢などによって異なる。しかしながら、特許文献1に開示されているサンバイザー制御装置では、運転者の体格や運転姿勢などは考慮されていないため、運転者に適した位置にサンバイザーを移動させることができない可能性がある。
【0006】
一方、サンバイザーとしては、乗員が手動で移動させるものもある。通常、このように手動で移動させるサンバイザーは、天井のフロントガラス付近に、運転席側と助手席側のそれぞれに設けられている。よって、運転者は、運転席側のサンバイザーであれば、容易に自身に適した位置に移動させることができる。つまり、運転者は、運転姿勢を崩すことなく(又は、さほど運転姿勢を崩すことなく)、運転席側のサンバイザーを自身に適した位置に移動させることができる。
【0007】
ところが、車室内への太陽光の入射角度は、車両の進行方向や太陽の位置などによって刻々と変化するものである。従って、車室内への太陽光の入射角度によっては、運転席側のサンバイザーでは運転者の目に入射する入射光を低減できないこともある。逆に、車両に対する太陽光の入射角度によっては、助手席側のサンバイザーによって、運転者の目に入射する入射光を低減できることもある。しかしながら、運転者が助手席側のサンバイザーを移動させるのは容易ではない。特に、車両が走行しているときは、運転者が助手席側のサンバイザーを移動させるのは好ましくない。
【0008】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、運転者であっても、助手席側のサンバイザーを自身に適した位置に容易に移動させることができる車両用防眩装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために請求項1に記載の車両用防眩装置は、
車両のフロントガラスを透過して運転者の目に入射しようとする入射光を低減するものであり、車両の助手席側に移動可能に設けられたサンバイザーと、
サンバイザーを移動させる駆動部と、
車両の運転席の周辺に設けられ、乗員によって操作されるものであり、操作に基づいてサンバイザーを移動させるように指示する操作部と、
を備え、
駆動部は、操作部からの指示に基づいてサンバイザーを移動させることを特徴とする。
【0010】
このように、サンバイザーを駆動する駆動部と、駆動部に対してサンバイザーを移動させるように指示する操作部とを備えることによって、乗員は、操作部を操作することで助手席側のサンバイザーを移動させることができる。また、この操作部は、運転席の周辺に設けられているため、運転者が容易に操作することができる。よって、運転者であっても、容易に助手席側のサンバイザーを自身に適した位置に移動させることができる。
【0011】
また、請求項2に示すように、操作部は、車両のステアリングホイールに設けられていてもよい。
【0012】
このようにすることによって、運転者は、ステアリングホイールを握った状態で(つまり、運転者は、運転姿勢を崩すことなく)、助手席側のサンバイザーを自身に適した位置に移動させることができる。
【0013】
また、操作部は、請求項3に示すように、運転席側ドアのアームレストに設けられていてもよいし、請求項4に示すように、運転席上方の天井に設けられていてもよいし、請求項5に示すように、センターコンソールに設けられていてもよい。このようにすることによっても、運転者は、さほど運転姿勢を崩すことなく、助手席側のサンバイザーを自身に適した位置に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施の形態における車両用防眩装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態における車両用防眩装置を搭載した車両(車室内)のイメージ図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるサンバイザーの概略構成を示すイメージ図である。
【図4】(a)〜(f)は、本発明の実施の形態におけるサンバイザーの動作を示すイメージ図である。
【図5】変形例1における車両用防眩装置の概略構成を示すブロック図である。
【図6】(a)〜(g)は、変形例1におけるサンバイザーの動作を示すイメージ図である。
【図7】変形例2における車両用防眩装置の概略構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0016】
図1に示すように、本実施形態における車両用防眩装置100は、サンバイザー(助手席側)10、操作部20、制御部30、駆動部40などを備えて構成されている。
【0017】
サンバイザー10は、図2などに示すように、略長方形の平面部11を有する板状部材であり、車両のフロントガラス50を透過して乗員の目に入射しようとする入射光を低減するものである。サンバイザー10は、車両の助手席62側に設けられている。より具体的には、サンバイザー10は、車両の天井における助手席62側の前方(フロントガラス50の近傍)に、支持部12(図3参照)を介して取り付けられている。なお、車室内には、図2に示すように、運転席61側にもサンバイザー10aが設けられていてもよい。
【0018】
また、サンバイザー10は、車両のフロントガラス50を透過して乗員の目に入射しようとする入射光を低減する必要がないときは、図2の実線で示すような格納位置(初期位置)に配置されている。このサンバイザー10の格納位置とは、運転席側からみて、平面部11がフロントガラス50を覆うことなく、平面部11が車両の天井と略平行に配置された位置である。サンバイザー10は、格納位置においては、自身の長手方向が車両の左右方向、且つ自身の短手方向が車両の前後方向となるように配置されている。
【0019】
このサンバイザー10は、自身の長手方向に伸びる軸を中心軸として回転可能(例えば無段階に回転可能)に構成されている。つまり、サンバイザー10は、格納位置にある状態で、車両の車幅方向(図2の左右方向)に延びる軸を中心軸として回転可能に構成されている。以下、この軸をX軸とも称する。ここでは、一例として、図2,3に示すように、サンバイザー10は、格納位置において、フロントガラス50と天井との境界近傍で自身の長手方向に伸びる軸を中心軸として回転可能に構成されている例を採用する。なお、サンバイザー10は、図3に示すように、後ほど説明するX軸角度調整アクチュエータ41からの駆動力によって、X軸を中心軸として回転する。
【0020】
サンバイザー10は、このようにX軸を中心軸として回転することで、遮光位置と格納位置との間で移動できるように構成されている。なお、この遮光位置とは、フロントガラス50を透過して乗員の目に入射しようとする入射光を低減できる位置である。例えば図2の一点鎖線で示すように、運転席側からみて、平面部11がフロントガラス50の一部を覆う位置である。
【0021】
さらに、サンバイザー10は、自身の短手方向に伸びる軸を中心軸として回転可能(例えば無段階に回転可能)に構成されている。つまり、サンバイザー10は、Z軸に対して平面部11が垂直となる位置(垂直位置)にある状態で、車両の車高方向(図2の上下方向)に延びる軸を中心軸として回転可能に構成されている。以下、この軸をY軸とも称する。ここでは、一例として、図2,3に示すように、サンバイザー10は、垂直位置において、フロントガラス50と助手席62側のサイドガラスとの境界近傍で自身の短手方向に伸びる軸を中心軸として回転可能に構成されている例を採用する。なお、サンバイザー10は、図3に示すように、後ほど説明するY軸角度調整アクチュエータ42からの駆動力によって、Y軸を中心軸として回転する。なお、Z軸は、X軸とY軸とが交差する点を通り、車両の進行方向に平行な軸である。
【0022】
このように、サンバイザー10は、X軸及びY軸を中心軸として回転可能であるため、遮光位置及び格納位置に移動可能である。なお、サンバイザー10の格納位置は、上述のように、ある決まった一つの位置である。一方、サンバイザー10の遮光位置は、フロントガラス50を透過して乗員の目に入射しようとする入射光を低減できる位置である。よって、サンバイザー10が移動できる複数の位置が遮光位置となりうる。つまり、サンバイザー10は、遮光位置としての複数の位置に移動可能である。
【0023】
操作部20は、車両の運転席61の周辺に設けられ、乗員によって操作されるものである。そして、操作部20は、乗員による操作に基づいてサンバイザー10を駆動するように指示する(指示信号を出力する)。この操作部20は、図1に示すように、サンバイザー10のX軸を中心軸とした回転を指示するためのX軸角度調整スイッチ21と、サンバイザー10のY軸を中心軸とした回転を指示するためのY軸角度調整スイッチ22とを含む。
【0024】
つまり、運転者は、X軸を中心軸としてサンバイザー10を回転させて、サンバイザー10の回転角度(位置)を調整しようとする場合、X軸角度調整スイッチ21を操作する。一方、運転者が、Y軸を中心軸としてサンバイザー10を回転させて、サンバイザー10の回転角度(位置)を調整しようとする場合、Y軸角度調整スイッチ22を操作する。また、本実施形態では、図2に示すように、操作部20は、車両のステアリングホイール70に設けられる例を採用する。
【0025】
X軸角度調整スイッチ21は、例えば、二方向に操作可能なものであり、一方に操作されるとサンバイザー10のX軸を中心軸とした一方向への回転を指示し、他方に操作されるとサンバイザー10のX軸を中心軸とした他方向への回転を指示するものを採用できる。
【0026】
同様に、Y軸角度調整スイッチ22は、例えば、二方向に操作可能なものであり、一方に操作されるとサンバイザー10のY軸を中心軸とした一方向への回転を指示し、他方に操作されるとサンバイザー10のY軸を中心軸とした他方向への回転を指示するものを採用できる。しかしながら、X軸角度調整スイッチ21及びY軸角度調整スイッチ22は、このような二方向に操作可能なものに限定されるものではない。
【0027】
制御部30は、CPU(CentralProcessing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び記憶内容が書き換え可能な不揮発性メモリ(例えばEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)やフラッシュROM)などを備えて構成される周知のマイクロコンピュータである。この制御部30は、操作部20のX軸角度調整スイッチ21からの指示信号(指示)に基づいて駆動部40のX軸角度調整アクチュエータ41に駆動信号を供給する。また、制御部30は、操作部20のY軸角度調整スイッチ22からの信号(指示)に基づいて駆動部40のY軸角度調整アクチュエータ42に駆動信号を出力する。
【0028】
駆動部40は、制御部30からの駆動信号に基づいてサンバイザー10を駆動するものである。駆動部40は、図3に示すように、X軸角度調整アクチュエータ41と、Y軸角度調整アクチュエータ42とを含む。X軸角度調整アクチュエータ41は、X軸を中心軸としてサンバイザー10を回転させるものであり例えばモータなどを含む。Y軸角度調整アクチュエータ42は、Y軸を中心軸としてサンバイザー10を回転させるものであり例えばモータなどを含む。
【0029】
このように、制御部30及び駆動部40は、操作部20(X軸角度調整スイッチ21、Y軸角度調整スイッチ22)からの指示に基づいてサンバイザー10を駆動する。つまり、制御部30及び駆動部40は、本発明の請求項における駆動部に相当するものである。
【0030】
ここで、図4(a)〜(f)を参照しつつ、車両用防眩装置100の処理動作に関して説明する。図4(a)〜(f)は、車室内から見たサンバイザー10を示すものである。図4(a)は、格納位置にあるサンバイザー10(実線)を示すものである。図4(a)において一点鎖線で示す位置は、サンバイザー10が取りうる遮光位置の一例である。この図4(a)において一点鎖線で示す位置は、Z軸に対して平面部11が垂直となる位置であり、以下、垂直位置とも称する。図4(b)〜図4(f)は、遮光位置にあるサンバイザー10の一例を示すものである。
【0031】
なお、図4(a)〜(f)において、点線XはX軸(X回転軸)を示すものであり、点線YはY軸(Y回転軸)を示すものである。一方、二点鎖線X1は地面に対して平行且つ車両の車幅方向(左右方向)に平行な軸(X基準軸)を示すものであり、二点鎖線Y1は地面に対して垂直な軸(Y基準軸)を示すものであり、点ZはX軸とY軸とが交差する点を通り車両の進行方向に平行な軸(基準軸、Z軸)を示すものである。また、図4(a),(b),(c)においては、X基準軸(X1)とX軸(X)とが一致しているため、このX基準軸(X1)とX軸(X)とをまとめて点線で示している。同様に、図4(a),(d),(e)においては、Y基準軸(Y1)とY軸とが一致しているため、このY基準軸(Y1)とY軸(Y)とをまとめて点線で示している。
【0032】
制御部30は、操作部20(X軸角度調整スイッチ21、Y軸角度調整スイッチ22)が操作されている間(操作信号が出力されている間)、駆動部40(X軸角度調整アクチュエータ41、Y軸角度調整スイッチ22)に駆動信号を出力する。そして、駆動部40は、制御部30から駆動信号が出力されている間、サンバイザー10を駆動する(回転させる)。換言すると、操作部20が操作されている間、駆動部40に電源を供給する。そして、駆動部40は、制御部30から電源が供給されている間、サンバイザー10を駆動する(回転させる)。
【0033】
例えば、サンバイザー10が格納位置(図4(a)の実線)にあるとき、運転者によってX軸角度調整スイッチ21が一方に操作されると、制御部30は、サンバイザー10がX軸を中心軸として遮光位置となる方向に回転するように、駆動部40に対して駆動信号を出力する。つまり、サンバイザー10がX軸を中心軸として、図4(a)の一点鎖線で示す位置となる方向(正方向、X軸周りの正方向)に回転するように、駆動部40に対して駆動信号を出力する。そして、駆動部40のX軸角度調整アクチュエータ41は、駆動信号が出力されている間動作して、X軸を中心軸として正方向(X軸周りの正方向)にサンバイザー10を回転させる(駆動する)。これによって、格納位置にあったサンバイザー10は、例えば図4(a)の一点鎖線で示す位置まで移動することになる。
【0034】
また、例えばサンバイザー10が垂直位置にあるとき、運転者によってX軸角度調整スイッチ21が一方に操作されると、制御部30は、サンバイザー10がX軸を中心軸として正方向(X軸周りの正方向)に回転するように、駆動部40に対して駆動信号を出力する。そして、駆動部40のX軸角度調整アクチュエータ41は、駆動信号が出力されている間動作して、X軸を中心軸としてサンバイザー10を正方向(X軸周りの正方向)に回転させる(駆動する)。これによって、垂直位置にあったサンバイザー10は、例えば図4(b)に示す位置まで移動することになる。
【0035】
また、例えばサンバイザー10が垂直位置にあるとき、運転者によってX軸角度調整スイッチ21が他方に操作されると、制御部30は、サンバイザー10がX軸を中心軸として格納位置となる方向(逆方向、正方向の反対方向、X軸周りの逆方向)に回転するように、駆動部40に対して駆動信号を出力する。そして、駆動部40のX軸角度調整アクチュエータ41は、駆動信号が出力されている間動作して、X軸を中心軸としてサンバイザー10を逆方向(X軸周りの逆方向)に回転させる(駆動する)。これによって、垂直位置にあったサンバイザー10は、例えば図4(c)に示す位置まで移動することになる。
【0036】
また、例えばサンバイザー10が垂直位置にあるとき、運転者によってY軸角度調整スイッチ22が一方に操作されると、制御部30は、サンバイザー10がY軸を中心軸として図4(d)に示す位置となる方向(正方向、Y軸周りの正方向)に回転するように、駆動部40に対して駆動信号を出力する。そして、駆動部40のY軸角度調整アクチュエータ42は、駆動信号が出力されている間動作して、Y軸を中心軸としてサンバイザー10を正方向(Y軸周りの正方向)に回転させる(駆動する)。これによって、垂直位置にあったサンバイザー10は、例えば図4(d)に示す位置まで移動することになる。
【0037】
また、例えばサンバイザー10が垂直位置にあるとき、運転者によってY軸角度調整スイッチ22が他方に操作されると、制御部30は、サンバイザー10がY軸を中心軸として図4(e)に示す位置となる方向(逆方向、正方向の反対方向、Y軸周りの逆方向)に回転するように、駆動部40に対して駆動信号を出力する。そして、駆動部40のY軸角度調整アクチュエータ42は、駆動信号が出力されている間動作して、Y軸を中心軸としてサンバイザー10を逆方向(Y軸周りの逆方向)に回転させる(駆動する)。これによって、垂直位置にあったサンバイザー10は、例えば図4(e)に示す位置まで移動することになる。
【0038】
さらに、例えばサンバイザー10が図4(c)に示す位置にあるとき、運転者によってY軸角度調整スイッチ22が一方に操作されると、制御部30は、サンバイザー10がY軸を中心軸として図4(f)に示す位置となる方向(正方向、Y軸周りの正方向)に回転するように、駆動部40に対して駆動信号を出力する。そして、駆動部40のY軸角度調整アクチュエータ42は、駆動信号が出力されている間動作して、Y軸を中心軸としてサンバイザー10を正方向(Y軸周りの正方向)に回転させる(駆動する)。これによって、図4(c)に示す位置にあったサンバイザー10は、例えば図4(f)に示す位置まで移動することになる。
【0039】
これまで説明したように、サンバイザー10を駆動するための制御部30及び駆動部40と、制御部30に対してサンバイザー10を駆動するように指示する操作部20とを備えることによって、乗員は、操作部20を操作することでサンバイザー10を移動させることができる。つまり、乗員は、操作部20を操作することで、X軸を中心軸としてサンバイザー10を回転させることができるとともに、Y軸を中心軸としてサンバイザー10を回転させることができる。また、この操作部20は、運転席61の周辺に設けられているため、運転者が運転席61に座ったままで、容易に操作することができる。よって、運転席61に座っている運転者であっても、助手席62側のサンバイザー10を自身に適した位置に容易に移動させることができる。
【0040】
換言すると、本実施形態における車両用防眩装置100は、運転者の意思で助手席62側のサンバイザー10の位置を電動で調節することができる。すなわち、運転者であっても、運転席61に座ったままで、フロントガラス50の助手席62側から入射する入射光を低減することができる。また、このように、運転席61に座っている運転者であっても助手席62側のサンバイザー10を自身に適した位置に容易に移動させることができるため、車両を停車させることなく、サンバイザー10の位置を調整することができる。
【0041】
また、本実施形態のように、操作部20をステアリングホイール70に設けることによって、運転者は、ステアリングホイール70を握った状態で(つまり、運転者は、運転姿勢を崩すことなく)、助手席62側のサンバイザー10を自身に適した位置に移動させることができる。
【0042】
なお、本実施形態においては、操作部20をステアリングホイール70に設けた例を採用したが本発明はこれに限定されるものではない。例えば、操作部20は、運転席61側ドアの車内側(アームレスト)に設けるようにしてもよい。また、操作部20は、運転席61上方の天井に設けるようにしてもよい。また、操作部20は、センターコンソールに設けるようにしてもよい。このようにすることによっても、運転者は、さほど運転姿勢を崩すことなく、助手席62側のサンバイザー10を自身に適した位置に移動させることができる。
【0043】
また、制御部30は、例えば車両のイグニッションキーの位置がACC(アクセサリー)になると、遮光位置にあるサンバイザー10を格納位置に戻すようにX軸角度調整アクチュエータ41、Y軸角度調整アクチュエータ42に駆動信号を出力するようにしてもよい。この場合、制御部30は、例えばX軸角度調整アクチュエータ41であるモータ及びY軸角度調整アクチュエータ42であるモータの回転角などに基づいて、サンバイザー10の現在位置を検出する。また、制御部30は、サンバイザー10を現在位置から格納位置まで移動させるためのX軸角度調整アクチュエータ41に対する駆動信号、及びY軸角度調整アクチュエータ42に対する駆動信号を生成する。そして、制御部30は、イグニッションキーの位置がACCになると、生成した駆動信号をX軸角度調整アクチュエータ41及びY軸角度調整アクチュエータ42に出力する。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変形が可能である。
【0045】
(変形例1)
上述の実施の形態においては、サンバイザー10として、X軸及びY軸の夫々を中心軸として回転可能に構成されたものを一例として採用した。つまり、操作部20としてX軸角度調整スイッチ21及びY軸角度調整スイッチ22を備え、駆動部40としてX軸角度調整アクチュエータ41及びY軸角度調整アクチュエータ42を備える構成を一例として採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。
【0046】
図5に示す変形例1のように、車両用防眩装置200は、操作部20としてX軸角度調整スイッチ21及びY軸角度調整スイッチ22に加えて、前後調整スイッチ23、左右調整スイッチ24、Z軸角度調整スイッチ25を備え、駆動部40としてX軸角度調整アクチュエータ41及びY軸角度調整アクチュエータ42に加えて、前後調整アクチュエータ43、左右調整アクチュエータ44、Z軸角度調整アクチュエータ45を備えて構成されている。つまり、車両用防眩装置200におけるサンバイザー10は、X軸及びY軸の夫々を中心軸として回転可能、且つ、Z軸を中心軸として回転可能であり、さらに、Z軸方向(前後方向)及びX軸方向(左右方向)に移動可能に構成されている。
【0047】
なお、前後調整スイッチ23、左右調整スイッチ24、Z軸角度調整スイッチ25は、上述のX軸角度調整スイッチ21及びY軸角度調整スイッチ22と同様のものを採用することができる。つまり、前後調整スイッチ23は、二方向に操作可能なものであり、一方に操作されるとサンバイザー10のZ軸に沿った一方向へのスライドを指示し、他方に操作されるとサンバイザー10のZ軸に沿った他方向へのスライドを指示するものを採用できる。左右調整スイッチ24は、二方向に操作可能なものであり、一方に操作されるとサンバイザー10のX軸に沿った一方向へのスライドを指示し、他方に操作されるとサンバイザー10のX軸に沿った他方向へのスライドを指示するものを採用できる。Z軸角度調整スイッチ25は、例えば、二方向に操作可能なものであり、一方に操作されるとサンバイザー10のZ軸を中心軸とした一方向への回転を指示し、他方に操作されるとサンバイザー10のZ軸を中心軸とした他方向への回転を指示するものを採用できる。
【0048】
また、前後調整アクチュエータ43は、Z軸に沿ってサンバイザー10をスライドさせるものであり例えばモータなどを含む。左右調整アクチュエータ44は、X軸に沿ってサンバイザー10をスライドさせるものであり例えばモータなどを含む。Z軸角度調整アクチュエータ45は、Z軸を中心軸としてサンバイザー10を回転させるものであり例えばモータなどを含む。
【0049】
ここで、図6(a)〜(g)を参照しつつ、車両用防眩装置100の処理動作に関して説明する。なお、上述の実施形態における車両用防眩装置100と変形例1における車両用防眩装置200とで共通する箇所に関しては、説明を省略する。
【0050】
図6(a)〜(g)は、車室内から見たサンバイザー10を示すものである。ただし、フロントガラス50は省略している。また、図6(a)〜(g)における二点差線X1,Y1,Zは、上述の図4と同様の基準軸を示すものである。また、図6(a)は、垂直位置にあるサンバイザー10を示すものである。
【0051】
例えば、サンバイザー10が垂直位置(図6(a))にあるとき、運転者によってZ軸角度調整スイッチ25が一方に操作されると、制御部30は、サンバイザー10がZ軸を中心軸として図6(b)に示す位置となる方向(正方向、Z軸周りの正方向)に回転するように、駆動部40に対して駆動信号を出力する。そして、駆動部40のZ軸角度調整アクチュエータ45は、駆動信号が出力されている間動作して、Z軸を中心軸として正方向(X軸周りの正方向)にサンバイザー10を回転させる(駆動する)。これによって、垂直位置にあったサンバイザー10は、例えば図6(b)に示す位置まで移動することになる。
【0052】
また、サンバイザー10が垂直位置(図6(a))にあるとき、運転者によってZ軸角度調整スイッチ25が他方に操作されると、制御部30は、サンバイザー10がZ軸を中心軸として図6(c)に示す位置となる方向(逆方向、正方向の反対方向、Z軸周りの逆方向)に回転するように、駆動部40に対して駆動信号を出力する。そして、駆動部40のZ軸角度調整アクチュエータ45は、駆動信号が出力されている間動作して、Z軸を中心軸として逆方向(Z軸周りの逆方向)にサンバイザー10を回転させる(駆動する)。これによって、垂直位置にあったサンバイザー10は、例えば図6(c)に示す位置まで移動することになる。
【0053】
また、サンバイザー10が垂直位置(図6(a))にあるとき、運転者によって前後調整スイッチ23が一方に操作されると、制御部30は、サンバイザー10がZ軸に沿って図6(d)に示す位置となる方向(正方向、Z軸に沿う正方向)にスライドするように、駆動部40に対して駆動信号を出力する。そして、駆動部40の前後調整アクチュエータ43は、駆動信号が出力されている間動作して、Z軸に沿って正方向にサンバイザー10をスライドさせる(駆動する)。これによって、垂直位置にあったサンバイザー10は、例えば図6(d)に示す位置まで移動することになる。
【0054】
また、サンバイザー10が垂直位置(図6(a))にあるとき、運転者によって前後調整スイッチ23が他方に操作されると、制御部30は、サンバイザー10がZ軸に沿って図6(e)に示す位置となる方向(逆方向、正方向の反対方向、Z軸に沿う逆方向)にスライドするように、駆動部40に対して駆動信号を出力する。そして、駆動部40の前後調整アクチュエータ43は、駆動信号が出力されている間動作して、Z軸に沿って逆方向にサンバイザー10をスライドさせる(駆動する)。これによって、垂直位置にあったサンバイザー10は、例えば図6(e)に示す位置まで移動することになる。
【0055】
なお、サンバイザー10を前後方向(車両の進行方向)にスライドさせるためには、例えば、車両の前後方向(車両の進行方向)に延びるレールを天井に設ける。そして、このレールに支持部12をスライド可能に配置する。このようにすることによって、サンバイザー10を前後調整アクチュエータ43によって前後方向(車両の進行方向)にスライドさせることができる。
【0056】
また、サンバイザー10が垂直位置(図6(a))にあるとき、運転者によって左右調整スイッチ24が一方に操作されると、制御部30は、サンバイザー10がX軸に沿って図6(f)に示す位置となる方向(正方向、X軸に沿う正方向)にスライドするように、駆動部40に対して駆動信号を出力する。そして、駆動部40の左右調整アクチュエータ44は、駆動信号が出力されている間動作して、X軸に沿って正方向にサンバイザー10をスライドさせる(駆動する)。これによって、垂直位置にあったサンバイザー10は、例えば図6(f)に示す位置まで移動することになる。
【0057】
また、サンバイザー10が垂直位置(図6(a))にあるとき、運転者によって左右調整スイッチ24が一方に操作されると、制御部30は、サンバイザー10がX軸に沿って図6(g)に示す位置となる方向(逆方向、正方向の反対方向、X軸に沿う逆方向)にスライドするように、駆動部40に対して駆動信号を出力する。そして、駆動部40の左右調整アクチュエータ44は、駆動信号が出力されている間動作して、X軸に沿って逆方向にサンバイザー10をスライドさせる(駆動する)。これによって、垂直位置にあったサンバイザー10は、例えば図6(g)に示す位置まで移動することになる。
【0058】
また、サンバイザー10を左右方向(車両の車幅方向)にスライドさせるためには、例えば、車両の左右方向に延びるレールをサンバイザー10に設ける。そして、このレールに支持部12をスライド可能に配置する。このようにすることによって、サンバイザー10を左右調整アクチュエータ44左右方向にスライドさせることができる。
【0059】
このように、X軸及びY軸の夫々を中心軸として回転可能、且つ、Z軸を中心軸として回転可能であり、Z軸方向(前後方向)及びX軸方向(左右方向)に移動可能なサンバイザー10を採用することによって、より一層運転者に適した位置にサンバイザー10を移動させることができる。
【0060】
(変形例2)
上述の実施の形態、変形例1においては、操作部20と駆動部40とが制御部30を介して電気的に接続された構成を一例として採用した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではない。図7に示す変形例2のように、車両用防眩装置300は、操作部20と駆動部40とが直接電気的に接続された構成であっても採用することができる。
【0061】
なお、変形例1及び変形例2においては、サンバイザー10として、X軸、Y軸、及びZ軸の夫々を中心軸として回転可能であり、且つ前後及び左右に移動可能な構成を採用したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0062】
例えば、サンバイザー10は、前後及び左右に移動できない構成であってもよい。つまり、サンバイザー10として、X軸、Y軸、及びZ軸の夫々を中心軸として回転可能に構成されたものであっても採用することができる。よって、車両用防眩装置は、操作部20としてX軸角度調整スイッチ21及びY軸角度調整スイッチ22に加えて、Z軸角度調整スイッチ25を備え、駆動部40としてX軸角度調整アクチュエータ41及びY軸角度調整アクチュエータ42に加えて、Z軸角度調整アクチュエータ45を備えて構成されてもよい。
【0063】
また、サンバイザー10は、Z軸を中心軸として回転できない構成であってもよい。つまり、サンバイザー10として、X軸、Y軸の夫々を中心軸として回転可能であり、且つ、前後及び左右に移動可能に構成されたものであっても採用することができる。よって、車両用防眩装置は、操作部20としてX軸角度調整スイッチ21及びY軸角度調整スイッチ22に加えて、前後調整スイッチ23、左右調整スイッチ24を備え、駆動部40としてX軸角度調整アクチュエータ41及びY軸角度調整アクチュエータ42に加えて、前後調整アクチュエータ43、左右調整アクチュエータ44を備えて構成されてもよい。
【0064】
また、サンバイザー10は、前後に移動できない構成であってもよい。つまり、サンバイザー10として、X軸、Y軸、及びZ軸の夫々を中心軸として回転可能であり、且つ左右に移動可能に構成されたものであっても採用することができる。よって、車両用防眩装置は、操作部20としてX軸角度調整スイッチ21及びY軸角度調整スイッチ22に加えて、Z軸角度調整スイッチ25、左右調整スイッチ24を備え、駆動部40としてX軸角度調整アクチュエータ41及びY軸角度調整アクチュエータ42に加えて、Z軸角度調整アクチュエータ45、左右調整アクチュエータ44を備えて構成されてもよい。
【0065】
また、サンバイザー10は、左右に移動できない構成であってもよい。つまり、サンバイザー10として、X軸、Y軸、及びZ軸の夫々を中心軸として回転可能であり、且つ前後に移動可能に構成されたものであっても採用することができる。よって、車両用防眩装置は、操作部20としてX軸角度調整スイッチ21及びY軸角度調整スイッチ22に加えて、Z軸角度調整スイッチ25、前後調整スイッチ23を備え、駆動部40としてX軸角度調整アクチュエータ41及びY軸角度調整アクチュエータ42に加えて、Z軸角度調整アクチュエータ45、前後調整アクチュエータ43を備えて構成されてもよい。
【0066】
なお、変形例2においては、上述の実施形態のように、サンバイザー10は、X軸、Y軸の夫々を中心軸として回転可能な構成であっても採用することができる。つまり、X軸角度調整スイッチ21とX軸角度調整アクチュエータ41とが直接電気的に接続され、Y軸角度調整スイッチ22とY軸角度調整アクチュエータ42とが直接電気的に接続された構成であっても採用することができる。
【符号の説明】
【0067】
10 サンバイザー(助手席側)、10a サンバイザー(運転席側)、11 平面部、12 支持部、20 操作部、21 X軸角度調整スイッチ、22 Y軸角度調整スイッチ、23 前後調整スイッチ、24 左右調整スイッチ、25 Z軸角度調整スイッチ、30 制御部、40 駆動部、41 X軸角度調整アクチュエータ、42 Y軸角度調整アクチュエータ、43 前後調整アクチュエータ、44 左右調整アクチュエータ、45 Z軸角度調整アクチュエータ、50 フロントガラス、61 運転席、62 助手席、70 ステアリングホイール、100,200,300 車両用防眩装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のフロントガラスを透過して運転者の目に入射しようとする入射光を低減するものであり、車両の助手席側に移動可能に設けられたサンバイザーと、
前記サンバイザーを移動させる駆動部と、
車両の運転席の周辺に設けられ、乗員によって操作されるものであり、当該操作に基づいて前記サンバイザーを移動させるように指示する操作部と、
を備え、
前記駆動部は、前記操作部からの指示に基づいて前記サンバイザーを移動させることを特徴とする車両用防眩装置。
【請求項2】
前記操作部は、車両のステアリングホイールに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用防眩装置。
【請求項3】
前記操作部は、運転席側ドアのアームレストに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用防眩装置。
【請求項4】
前記操作部は、運転席上方の天井に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用防眩装置。
【請求項5】
前記操作部は、センターコンソールに設けられていることを特徴とする請求項1に記載の車両用防眩装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−56592(P2013−56592A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195335(P2011−195335)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)