説明

車両用電源ポジション切替装置

【課題】車載機器へ電源を供給する電源ポジションの切り替えは自動で行い、乗員はエンジンスタート時にスイッチ操作すれば良い簡単な操作とする。
【解決手段】電源ポジションを1回のスイッチ操作、または、ブレーキを踏みながらのスイッチ操作でエンジン始動ポジションに切り替える手動操作用のエンジンスタートスイッチと、乗員検出手段で乗員を検出すると、電源ポジションをオフポジションからACCポジションに自動的に切り替える電源ポジション自動切替手段を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は車両用電源ポジション切替装置に関し、乗員の電源ポジションの切替操作を簡単にするものである。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の電源ポジションは、OFFポジション→ACC(アクセサリ)ポジション→IG(イグニッション)ポジション→エンジン始動ポジションの4ポジションがあり、運転者のイグニッションキーの回転操作またはプッシュスイッチ(エンジンスタートスイッチ)の押圧操作で前記電源ポジションを切り替えている。
【0003】
前記プッシュスイッチによる電源ポジション切替装置は、従来、プッシュスイッチの押圧回数と押し方(例えば、ブレーキを踏みながらプッシュスイッチを押す、シフトポジションの違い)により電源ポジションを図9および図10に示すように切り替えている。図9は従来の電源ポジション切替を制御する構成を示す図であり、図10は電源ポジションの切替チャートを示す図である。
即ち、エンジンスタートスイッチを1回押すと、ACCポジションに切り替わり、エンジンスタートスイッチを再度押すとIGポジションに切り替わり、この状態で、ブレーキを踏みながらエンジンスタートスイッチを再度押すとエンジンが始動する。
一方、ACCポジションで設定時間放置されるとOFFポジションに戻る。また、エンジン始動ポジションで、かつ、シフトポジションをPレンジでエンジンスタートスイッチを押すとOFFポジションに切り替えられる。
【0004】
前記電源ポジションは運転者からみて、OFFポジション、ACCポジション、IGポジション、エンジン始動ポジションの4ポジションがあり、運転者は所要ポジションに電源ポジションを切り替え操作するために設定回数エンジンスタートスイッチを押圧操作しなければならず、操作回数と現在の電源ポジションに留意しなければならない煩わしさがある。
【0005】
前記電源ポジションの切り替えを容易とするため、特開2008−7014号公報では、電源ポジションをオンポジションとオフポジションに切り替えるプッシュスイッチを設け、オフポジションでプッシュスイッチを押すとオンポジションに切り替えている。
前記のように、プッシュスイッチを押して電源ポジションをオンポジションとした状態で、ブレーキを操作した状態で再度プッシュスイッチを押圧操作することにより、エンジンを作動し、電源ポジションをオンポジションに維持している。即ち、エンジンを作動するためには、プッシュボタンを前記従来例と同様に2回押す必要がある。
また、プッシュスイッチを押して、電源ポジションをオンポジションとした状態で、電源制御ECUの制御によってACCポジションとIGポジションに切替制御しており、IGシステムの全てがオフ状態であると、ACCポジションに切り替えている。また、IGシステムの少なくとも一つ作動スイッチがオン状態であると、IGポジションに切替制御している。
このように、ACCポジションとIGポジションは、乗員がプッシュスイッチを押してオン状態とした後、電源が供給される電気システムのオン、オフ状態を検出して自動切り替えしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−7014号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前記特許文献1の電源ポジション切替装置では、プッシュスイッチを1回押圧操作してオンポジションとした後は、ACCポジションとIGポジションに自動的に切り替えられるが、IGシステム、ACCシステムに電源を供給するためには、まず、プッシュスイッチを押圧操作して電源ポジションをオフポジションからオンポジションに切り替える必要がある。
また、ACCポジションとIGポジションの自動切り替えは、全ての電気システムの操作スイッチのオン状態とオフ状態とを検出し、電源制御ECUで、電源ポジションをIGポジション、ACCポジションに切り替えている。よって、プッシュスイッチをオンポジションとした状態で全ACCシステムおよびIGシステムの操作スイッチのオン/オフ検出部および電源制御ECUに電源を供給し、これらシステムの操作を検出した後でしかACCポジション、IGポジションへの自動切り替えはなされない。
また、ACCポジションへの切り替えは全IGシステムの操作スイッチがオフであることが検出された後に、IGポジションから切り替えられている。
このように、電源ポジションのACCポジションへの切り替えは、乗員がプッシュボタンを押して、電源ポジションをオンポジションに切り替えた後に、全IGシステムの操作スイッチがオフであることを検出した後にしか、切り替えられない問題がある。
さらに、エンジンを作動する時、運転者は従来と同様に、プッシュスイッチを2回押圧操作しなければ、エンジン始動ポジションに切り替えることができない。
【0008】
本発明は前記問題に鑑みてなされたもので、乗員(運転者)はエンジン始動時のみエンジンスタートスイッチを操作するだけでよく、乗員のスイッチ操作がなされなくとも、ACCシステムへのACC電源を供給できるように、電源ポジションをACCポジションに自動的に切り替えることができるようにし、乗員の電源ポジション切替操作を非常に簡単なものとすることを課題としている。
さらに、IGポジションへの自動切替もできるようにして、乗員の電源ポジション切替操作をより簡単にすることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、第1の発明として、
電源ポジションを1回のスイッチ操作またはブレーキを踏みながらのスイッチ操作でエンジン始動ポジションに切り替える手動操作用のエンジンスタートスイッチと、
乗員検出手段で乗員を検出すると、電源ポジションをオフポジションからACCポジションに自動的に切り替える電源ポジション自動切替手段を備えていることを特徴とする車両用電源ポジション切替装置を提供している。
【0010】
前記のように、本発明では、乗員の電源ポジションをエンジン始動ポジションに切り替える操作は乗員の手動操作としているが、車載機器へのACC電源の供給は乗員を検出すると自動的にACCポジションに切り替えるようにしている。
乗車した後、エンジンを始動する時に手動スイッチを操作すればよく、プッシュスイッチであれば、1回の押圧操作もしくは1回の押圧操作とブレーキ操作をするだけでエンジン始動ポジションに切り替えるようにしている。
【0011】
一方、乗車後においては、乗員の手動スイッチの操作の有無と関係なく、乗員を検出すると、電源ポジションをオフポジションからACCポジションに自動的に切り替えている。即ち、乗員による電源ポジションのスイッチ操作が行われていない状態でも、ACCポジションで電源が供給される機器に対してACC電源を供給している。また、乗員が前記手動スイッチでエンジンを停止しても、乗員が乗車している間は電源ポジションはACCポジションに保持される。このように、乗員はオフポジションからACCポジションに、ACCポジションからオフポジションに手動操作する必要はない。
また、乗員が乗車してACCポジションに自動的に切り替えられた後に、乗員の不検出が設定時間経過すると、自動的にACCポジションからオフポジションに切り替えている。よって、乗員が単に自動車内に載置している荷物等を取りにきた場合等では、設定時間経過後に自動的にオフポジションに戻る。
【0012】
前記乗員検出手段は、人感センサー、シートセンサー、車内設置カメラ等からなる。これら乗員検出手段および該乗員検出手段と接続した電源ポジション自動切替手段には、電源ポジションがオフ状態でもバッテリから電源を供給している。または、所定の入力(ドアロックの開錠、施錠信号入力やドアカーテシスイッチの入力信号など)があった時に、検出を開始する。これは、非検出時の消費電力を低減するためである。
前記電源ポジション自動切替手段は、具体的には、前記人感センサー等と接続した電源切替用の電子制御ユニット(ECU)と、該ECUと接続すると共にACC切替用リレーを搭載した電気接続箱とで構成してもよい。また、前記ECUにACC切替用の基板実装リレーを搭載してもよい。
前記乗員が操作する手動スイッチも前記電源ポジション自動切替手段の前記ECUに接続し、該ECUからのスイッチ操作信号を電気接続箱に送信し、該電気接続箱内でACCリレーを動作して電源ポジションを切り替える構成とすることが好ましい。
【0013】
さらに、第1の発明では、IGシステムの機器操作検出手段を設け、該機器操作検出手段で操作されていることを検出すると、電源ポジションをACCポジションからIGポジションに自動的に切り替える電源ポジション自動切替手段を備えている。
【0014】
前記IGポジションへ自動的に切り替える電源ポジション自動切替手段は、前記ACCポジションへ切り替える電源ポジション自動切替手段にIGポジションへの切替信号を送信しても良いし、前記電源ポジションを切り替える電気接続箱に直接に切替信号を送信してもよい。
【0015】
さらに、前記IGシステムの全てが操作検出手段でオフ位置であることを検出すると共に該オフ位置が設定時間続くと、電源ポジションをIGポジションからACCポジションに切り替え、更にACCシステム全てがオフ位置で設定時間が続くと、オフポジションに自動に切り替える。
【0016】
前記のように、IGシステムがオンであることを検出すると、IGポジションに自動的に切り替えるため、乗員が電源ポジションのスイッチ操作を全くしていない状態であっても、IGシステムに対してIG電源を供給することができ、例えば、パワーウインドの開閉、エアコンによる車室温度の調整等を行うことができる。
【0017】
かつ、乗員検出手段により設定時間、乗員が検出されないと、IGポジションからACCポジションを経由してオフポジションに自動切り替えするため、乗員が機器をオン操作したままでオフ操作を忘れても、IGシステムに電源は供給されず、電源の消費量を低減できる。
このように、乗員(運転者)は、エンジン始動時のみエンジンスタートスイッチの操作を行えばよく、それ以外の車載電気システムの操作では、エンジンスタートスイッチの操作を行う必要がない。
【0018】
第2の発明として、電源ポジションを、1回のスイッチ操作でIGポジションに切り替え、再度、ブレーキを踏みながらスイッチ操作してエンジン始動ポジションに切り替える手動操作用のエンジンスタートスイッチと、
乗員検出手段で乗員を検出すると、電源ポジションをオフポジションからACCポジションに自動的に切り替える電源ポジション自動切替手段を備えていることを特徴とする車両用電源ポジション切替装置を提供している。
【0019】
前記のように、第2の発明は、オフポジションからACCポジションへの切り替えは乗員のスイッチ操作なしで乗員を検出すると自動的に行い、ACCポジションへの切り替え操作なしで自動的にACCポジションに切り替えられる。
IGポジションへの切り替えは、乗員のスイッチ操作で行っている。かつ、該乗員の1回目のスイッチ操作でIGポジションに切り替え、乗員がブレーキを踏みながら再度スイッチ操作してエンジン始動ポジションに切り替えている。
【0020】
第3の発明として、電源ポジションを1回のスイッチ操作、またはブレーキを踏みながらのスイッチ操作でエンジン始動ポジションに切り替える手動操作用のエンジンスタートスイッチと、
乗員検出手段で乗員を検出すると、電源ポジションをオフポジションからACCポジションとIGポジションとを統合したポジションに自動的に切り替える電源ポジション自動切替手段を備えていることを特徴とする車両用電源ポジション切替装置を提供している。
【0021】
前記のように、第3の発明では、電源ポジションはオフポジションと、エンジン始動ポジションと、ACCポジションとIGポジションとを統合したポジションの3つのポジションとし、乗員検出手段で乗員を検出すると統合ポジションに自動的に切り替わる。
該構成とすると、電源ポジションを自動切り替えするために設けるIGシステムの操作検出手段を不要とでき、かつ、これら操作検出手段と電源制御ECUとを接続する信号線も無くすことができ、構成を簡単にすることができる。
【0022】
前記第1乃至第3の発明のいずれも、電源ポジションがエンジン始動ポジションである時、前記エンジンスタートスイッチを押圧してオフポジションに切り替えてエンジンを停止できるようにしている。
【0023】
また、電源ポジションをオフポジションに戻す切り替えは、前記ACCポジションで乗員検出手段により乗員が設定時間検出されない時、または、前記IGポジションで前記IGシステムの機器操作検出手段によりIGシステムの機器が設定時間操作されない時且つACCシステムが動作していない時である。
【発明の効果】
【0024】
前述したように、第1の発明の車両用電源ポジション切替装置では、乗員はエンジンスタート時にスイッチ操作を1回すれば良く、車載機器を駆動するため電源ポジションを切り替え操作する必要はなく、乗員の操作を極めて簡単にすることができる。
かつ、ACCポジションへは車両内で乗員を検出すると、乗員がスイッチ操作していなくとも、電源ポジションは自動的にオフポジションからACCポジションに切り替えられ、ACC電源が必要な機器に迅速に電源を供給することができる。
かつ、乗員のスイッチ操作と関係なく、IGシステムを機器操作検出手段によりオンであると検出すると、ACCポジションからIGポジションに自動的に切り替えられる。よって、乗員が電源ポジションのスイッチ操作しなくとも、任意の車載機器を駆動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1の発明における電源ポジション切替を制御する構成を示す図である。
【図2】第1の発明の電源ポジションの切替チャートを示す図である。
【図3】第1の発明での電源切替動作のフローチャートを示す図である。
【図4】第2の発明における電源ポジション切替を制御する構成を示す図である。
【図5】第2の発明の電源ポジションの切替チャートを示す図である。
【図6】第3の発明における電源ポジション切替を制御する構成を示す図である。
【図7】第3の発明の電源ポジションの切替チャートを示す図である。
【図8】(A)(B)は第1〜3の発明での、電源ポジション切替の構成の変形例を示す図である。
【図9】従来の電源ポジション切替を制御する構成を示す図である。
【図10】従来の電源ポジションの切替チャートを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の車両用電源ポジション切替装置の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図3に第1の発明の第一実施形態を示す。
バッテリ1から供給される電源の電源ポジション切替手段として、乗員が操作するエンジンスタートスイッチ2と、電源ポジション自動切替手段を備えている。
本実施形態では、前記手動操作するエンジンスタートスイッチ2を電源ポジション自動切替手段を構成する電源切替制御ユニット(以下、電源切替ECUと称する)4に接続している。
【0027】
乗員により手動操作する前記エンジンスタートスイッチ2は本実施形態ではプッシュスイッチとしている。該エンジンスタートスイッチ2はエンジン始動時に1回の押し込み操作で、電源ポジションをエンジン始動ポジションに切り替えている。または、ブレーキを踏みながらのエンジンスタートスイッチ2の1回の押し込み操作で電源ポジションをエンジン始動ポジションに切り替えている。
エンジン停止時にも1回の押し込み操作で、電源ポジションはエンジン始動ポジションからオフポジションに切り替えている。
【0028】
電源ポジション自動切替手段として、前記電源切替ECU4と、該電源切替ECU4とバッテリ1との間に介設した電気接続箱(J/B)6を備えている。
電気接続箱6にバッテリー1の電源回路7と接続した電源回路8を設け、該電源回路8をバッテリ電源(+B)回路8aと、ACC電源回路8bと、IG電源回路8cを分岐させた並列回路として設け、前記ACC電源回路8bにACCリレー9、IG電源回路8cにICリレー10を介設している。
【0029】
電気接続箱6に電源ポジション切替信号を送信する前記電源切替ECU4は、人感センサおよびシートセンサからなる乗員検出装置13と接続している。また、前記のようにエンジンスタートスイッチ2およびドアキー用ECU14を接続している。
前記人感センサとシートセンサの少なくともいずれか一方から乗員検出信号が電源切替ECU4に送信されると、該電源切替ECU4から電気接続箱6にACCリレーのオン信号を送信し、電気接続箱6のACCリレー9を切り替えて電源ポジションをACCポジションとしている。また、人感センサ13Aおよびシートセンサ13Bのいずれからも設定時間、検出信号が送信されない場合、電源切替ECU4から電気接続箱6にACCリレーのオフ信号を送信し、電源ポジションをACCポジションからオフポジションに切り替えている。
【0030】
前記電気接続箱6は電源ポジションがオフポジション時にも、接続した前記電源切替ECU4、人感センサおよびシートセンサや撮像装置などの乗員検出装置13、IGシステム操作検出装置21から信号を受信している。さらに、前記エンジンスタートスイッチ2およびドアキー用ECU14、ストップランプスイッチ22、シフトポジション検出装置23に接続している。さらにまた、電気接続箱6および電源切替ECU4と接続する他の所要のECU24、25や、負荷26、27に電源を供給している。
【0031】
前記ECU24は、ACC電源が供給されるACC負荷26と接続する。乗員検出されたときに、電源切替ECU4から、電気接続箱6にACC信号を出力し、電源ポジションをACCポジションに自動的に切り替え、ECU24と負荷26にACC電源が供給される。
また、前記ECU25は、IG電源が供給されるIG負荷27と接続する。IGシステム操作検出装置21より、IGシステムの操作検出されたときに、電源切替ECU4から、電気接続箱6にIG信号を出力し、電源ポジションをIGポジションに自動的に切り替え、ECU25と負荷27にIG電源が供給される。
【0032】
前記信号を送信する信号線は、通信プロトコルをCANとした通信線を用いたネットワークで形成して前記電源切替ECU4と接続している。
各ECUや負荷への電源供給や電源ポジションの通知には、図8に示すように、CANで通信してもよいし、ACC、IG電源線を介して通知してもよい。
【0033】
前記構成からなる電源ポジション切替装置の処理動作を図3のフローチャートに示す。
【0034】
ドアロックが施錠され、乗員が乗車していない状態では、電源ポジションはオフポジションである。
ドアロックの施錠か開錠、またはドアカーテシスイッチの入力信号を元に、乗員検出装置13、例えば、人感センサ、シートセンサや撮像装置などからなるセンサで乗員検出動作を開始する。
ドアロックが解錠されただけで、前記センサで乗員が検出されず、センサ反応なしとなり、ドアロック解錠後設定時間が経過するとタイムアウトとなり、ドアロックが自動施錠となる。
乗員が降車後に施錠したら、乗員検出で検出がなくなりオフポジションを保持する。
【0035】
前記センサの反応があり、乗員を検出すると、前記電源切替ECU4から電気接続箱6にACC信号が送信され、ACCリレー9を動作して電源ポジションを自動的にACCポジションに切り替える。これにより、ACC電源で動作するACCシステムの機器(ラジオ等)にACC電源が供給される。即ち、乗員が電源ポジションを切り替えるエンジンスタートスイッチ2の操作なしで、電源ポジションはACCポジションに自動切り替えされる。また、同時に、前記IGシステム操作検出手段21でIGシステム機器の操作検出を開始する。
【0036】
前記IGシステム操作検出手段21からの検出信号が無い状態ではACCポジションを保持し、ACCシステムにACC電源を供給し、ACCシステムの機器の操作だけがなされ、該操作が終了してもACCポジションを保持する。
ACCポジションに切り替えられた後、ACCシステムの操作がなされず、かつ、IGシステムも操作されず、この状態で、設定時間が経過すると、タイムアウトとなり、電源切替ECU4から電気接続箱6への信号でACCリレー9をオフ動作させて電源ポジションをオフポジションに戻す。
【0037】
前記ACCポジションで、IGシステム操作検出手段21の少なくとも1つからIGシステムの機器がオンである検出信号が電源切替ECU4に送信されると、電源切替ECU4から電気接続箱6にIG信号を送信し、IGリレー10をオン動作して電源ポジションをIGポジションに自動的に切り替える。
【0038】
電源ポジションがIGポジションに切り替えられ、IGシステム25、27(例えば、パワーウインド、エアコン等)に電源が供給され、これらの機器を作動させることができる。即ち、乗員が電源ポジションを切り替え操作することなく、かつ、エンジンスタートスイッチをオン操作する前に、前記機器を作動させることができる。
【0039】
前記IGシステムの全ての操作が終了した状態で、前記操作検出手段の検出信号がオフの状態が設定時間経過すると、自動的にACCポジションに切り替えられる。このACCポジションで前記のように、IG電源およびACC電源で作動する機器の機器操作検出信号が検出されない状態が設定時間経過すると、電源ポジションはオフポジションに自動的に戻る。
【0040】
一方、前記したように、乗員の手動操作はエンジンスタート時とエンジン停止時のみエンジンスタートスイッチ2をそれぞれ1回の押圧操作で行う。
乗員が乗車後にエンジンをスタートさせたい時に、エンジンスタートスイッチ2を1回押し込み操作する。該手動操作がなされると、電源ポジションがオフポジション、ACCポジション、IGポジションのいずれの位置でも、エンジン始動ポジションに切り替わり、エンジンを駆動することができる。
一方、エンジンを停止したい時、エンジンスタートスイッチ2を1回押圧操作すると、電源ポジションはエンジン始動ポジションからACCポジションに切り替わる。
【0041】
この状態で、前記と同様に乗員検出手段のセンサで車室内の乗員を検出し、乗員の不検出(センサ反応なし)が設定時間継続すると、電源ポジションをオフポジションに切り替える。一方、乗員が検出されると、前記のように、ACCポジションを保持し、また、IGシステム機器操作検出手段でIGシステムの機器操作が検出されると、IGポジションに自動的に切り替えられる。よって、エンジン停止後も車室内に止まって機器を操作した時に、電源ポジションをACCポジション、IGポジションに乗員が切り替え操作する必要はない。
【0042】
図4および図5に第2の発明の第二実施形態を示す。
図4は第二実施形態の電源ポジション切替を制御する構成を示す図であり、図5は電源ポジションの切替チャートを示す図である。
第二実施形態では、第一実施形態と同様に、乗員検出手段で電源ポジションをオフポジションからACCポジションに切り替えているが、IGポジションへの切り替えは乗員のエンジンスタートスイッチ2の押圧操作で切り替えている。
このIGポジションへ切り替えた状態で、乗員がブレーキを踏みながらエンジンスタートスイッチを再度押圧操作することにより、エンジン始動ポジションに切り替えている。
放置によりオフポジションに自動的に戻るようにしていることは第一実施形態と同様である。
この場合、運転者からみて電源ポジションの切り替えは、IGポジションへの切り替えと、エンジン始動ポジションへの2位置への切り替えだけでよい。
他の構成および作用は第一実施形態と同様であり、同一部材は同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
図6および図7に第3の発明の第三実施形態を示す。
図6は第三実施形態の電源ポジション切替を制御する構成を示す図であり、図7は電源ポジションの切替チャートを示す図である。
第三実施形態では、電源ポジションのACCポジションとIGポジションが同じポジションとして統合されている。
このとき、第一実施形態と同様に、乗員検出を行うと、電源ポジションをオフポジションからACC+IG統合ポジションに切り替える。このとき、ACCシステムとIGシステムのどちらも使用可能となる。
エンジン始動は、第一実施形態と同様に、エンジンスイッチの押圧操作または、ブレーキを踏みながらのエンジンスイッチの押圧操作で切り替える。
この第三実施形態の場合、運転者からみて電源ポジションの切替は、エンジン始動への切替の1位置への切替だけでよい。
他の構成および作用は第一実施形態と同様であり、同一部材は同一符号を付して説明を省略する。
【0044】
前記第一〜第三実施形態の電源ポジション切替の構成は前記図1、図4、図6の構成に限定しない。例えば、図8(A)の構成では、ACCシステムとIGシステムのECUは、ACCリレー、IGリレーの下流に接続しており、リレーのON/OFF状態を元に、電源ポジション状態を判断する。例えば、IGシステムECU25は、IGリレーがONであれば、IGポジションであると判断して、IGシステム負荷27に電源を供給する。
これに対して、図8(B)の構成では、ACCシステムとIGシステムのECUは、CAN通信線に接続しており、CAN通信により電源ポジションの状態を判断する。例えば、IGシステムECU25は、CAN通信によりIGポジションであることを認識すると、スリープ状態から立ちあがるとともに、IGシステム負荷27に電源を供給する。ここでIGポジションに入る前にECU25が、スリープ状態にあるのは、非操作時の消費電力を低減するためである。
【符号の説明】
【0045】
1 バッテリ
2 エンジンスタートスイッチ
4 電源切替ECU
6 電気接続箱
9 ACCリレー
10 IGリレー
13 乗員検出装置
21 IGシステム操作検出手段
24、25 ECU
26、27 負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源ポジションを1回のスイッチ操作、またはブレーキを踏みながらのスイッチ操作でエンジン始動ポジションに切り替える手動操作用のエンジンスタートスイッチと、
乗員検出手段で乗員を検出すると、電源ポジションをオフポジションからACCポジションに自動的に切り替える電源ポジション自動切替手段を備えていることを特徴とする車両用電源ポジション切替装置。
【請求項2】
IGシステムの機器操作検出手段を設け、該機器操作検出手段で操作されていることを検出すると、電源ポジションをACCポジションからIGポジションに自動的に切り替える電源ポジション自動切替手段を備えている請求項1に記載の車両用電源ポジション切替装置。
【請求項3】
電源ポジションを、1回のスイッチ操作でIGポジションに切り替え、またはブレーキを踏みながらスイッチ操作してエンジン始動ポジションに切り替える手動操作用のエンジンスタートスイッチと、
乗員検出手段で乗員を検出すると、電源ポジションをオフポジションからACCポジションに自動的に切り替える電源ポジション自動切替手段を備えていることを特徴とする車両用電源ポジション切替装置。
【請求項4】
電源ポジションを1回のスイッチ操作、またはブレーキを踏みながらのスイッチ操作でエンジン始動ポジションに切り替える手動操作用のエンジンスタートスイッチと、
乗員検出手段で乗員を検出すると、電源ポジションをオフポジションからACCポジションとIGポジションとを統合したポジションに自動的に切り替える電源ポジション自動切替手段を備えていることを特徴とする車両用電源ポジション切替装置。
【請求項5】
前記エンジン始動ポジションで、前記エンジンスタートスイッチを押圧してACCポジションに切り替えている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の車両用電源ポジション切替装置。
【請求項6】
前記ACCポジションで乗員検出手段により乗員が設定時間検出されない時、前記IGポジションで前記機器操作検出手段により機器が設定時間操作されていない時、前記電源ポジション自動切替手段で電源ポジションをオフポジションに自動的に切り替える請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の車両用電源ポジション切替装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−16507(P2011−16507A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−164261(P2009−164261)
【出願日】平成21年7月10日(2009.7.10)
【出願人】(395011665)株式会社オートネットワーク技術研究所 (2,668)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)