説明

車両誘導システムおよび車両誘導方法

【課題】電源が故障しても車両の誘導が続行可能な技術を提供する。
【解決手段】点灯部と電源とフリップフロップとをそれぞれ備えるとともに道路に沿って互いに間隔をあけて配置される複数の点灯装置と、複数の点灯装置がそれぞれ備えるフリップフロップが直列したシフトレジスタにおいて点灯部の点灯制御を行うための制御データを転送させる制御装置と、を備える車両誘導システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路に沿って互いに間隔をあけて配置された複数の点灯装置によって車両を誘導する車両誘導システムおよび車両誘導方法に関する。
【背景技術】
【0002】
道路に沿って互いに間隔をあけて配置された複数の点灯装置を制御装置によって統合的に点灯制御することにより車両を誘導する車両誘導システムが知られている(特許文献1、参照。)。特許文献1においては、制御装置が備える給電回路から複数の点灯装置に対して一括して電源を供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−240018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、制御装置が備える給電回路が故障した場合には、複数の点灯装置のすべてにおいて点灯を行わせることができなくなり、車両を誘導することが完全に不可能になってしまうという問題があった。
本発明は、前記課題を解決せんとするもので、電源が故障しても車両の誘導が続行可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するため、本発明の車両誘導システムにおいて、点灯部と電源とフリップフロップとをそれぞれ備える複数の点灯装置が、道路に沿って互いに間隔をあけて配置される。さらに、車両誘導システムは制御装置を備え、当該制御装置は、複数の点灯装置がそれぞれ備えるフリップフロップが直列したシフトレジスタにおいて点灯部の点灯制御を行うための制御データを転送させる。点灯装置は、自らの電源によって点灯部を点灯させるための動作を行わせ、自らの電源によってフリップフロップも動作させる。複数の点灯装置はそれぞれ電源を備えるため、ある点灯装置の電源が遮断状態となった場合でも、電源が給電状態となっている別の点灯装置において正常にフリップフロップも動作させ、点灯部の点灯制御を続行させることができる。例えば、図1Aに示すように制御装置に対する接続順が(N−X)段目の点灯装置の電源が遮断状態となっていても、1〜(N−X−1)段目までの点灯装置の電源がそれぞれ給電状態となっていれば1〜(N−X−1)段目の点灯装置においてフリップフロップを正常に動作させることができ、1〜(N−X−1)段目の点灯装置における点灯部の点灯により車両の誘導を続行できる。
【0006】
さらに、本発明の車両誘導システムは、電源が遮断状態となっている点灯装置よりも制御装置に対する接続順が後段の点灯装置においても車両の誘導を続行可能とする構成を備えてもよい。すなわち、図1Aに示すように制御装置に対する接続順(括弧内)が(N−X)〜(N−1)段目の点灯装置の電源のそれぞれが遮断状態となっている前段遮断状態である場合において、N段目の点灯装置のフリップフロップには、(N−X−1)段目の点灯装置のフリップフロップから制御データが入力される。前段遮断状態においては、(N−X)〜(N−1)段目の点灯装置のフリップフロップが正常に動作できず、これらの点灯装置のフリップフロップを経由して制御データをN段目の点灯装置に正常に転送できない。これに対して、電源が遮断状態となっている(N−X)〜(N−1)段目の点灯装置の直前段の(N−X−1)段目のフリップフロップからN段目の点灯装置のフリップフロップに制御データを入力させるため、(N−X)〜(N−1)段目の点灯装置のフリップフロップにて制御データの転送を停止させることなく制御データをN段目の点灯装置まで転送できる。
【0007】
さらに、本発明の車両誘導システムは、電源が遮断状態となっている点灯装置を制御装置が特定可能な構成を備えてもよい。すなわち、図1Aに示すようにN段目の点灯装置は、前段遮断状態において、前段遮断状態であることを制御装置に通知する通知手段を備える。(N−X)〜(N−1)段目の点灯装置のそれぞれの電源が遮断状態である前段遮断状態においては、(N−X)〜(N−1)段目の点灯装置が自らの電源が遮断状態であることを通知することができないが、(N−X)〜(N−1)段目の点灯装置と異なるN段目の点灯装置の通知手段によって前段遮断状態であることを通知できる。従って、制御装置は、N段目の点灯装置からの通知に基づいて、電源が遮断状態となっている(N−X)〜(N−1)段目の点灯装置を特定できる。
【0008】
ここで、Xは1であってもよくXが1である場合、前段遮断状態は、(N−1)〜(N−1)段目、すなわち(N−1)段目の点灯装置の電源のみが遮断状態となっている状態を指す。さらに、Xが2以上である場合、前段遮断状態は、(N−X)〜(N−1)段目の点灯装置の電源が複数連続して遮断状態となっている状態を指す。なお、Nは点灯装置の設置個数以下の任意の自然数であり、Xも任意の自然数である。ただし、(N−X−1)段目の点灯装置が存在する必要があるため、(N−X−1)は1以上となる。
【0009】
N段目の点灯装置は以下の具体的構成を備えてもよい。すなわち、図1Bに示すようにN段目の点灯装置の判定手段は、(N−Y)〜(N−1)段目の点灯装置が備えるフリップフロップのそれぞれと接続する1〜Y番目の入力端子(白丸)を備える。すなわち、N段目の点灯装置の1,2,3・・・Y番目の入力端子には、それぞれ(N−1),(N−2),(N−3)・・・(N−Y)段目の点灯装置のフリップフロップが接続される。そして、N段目の点灯装置の判定手段は各入力端子に対して入力される制御データが正常であるか否かを判定し、当該判定の結果に基づいて前段遮断状態であるか否かを判定する。
【0010】
具体的に、N段目の点灯装置の判定手段は、1番目の入力端子に対して正常に制御データが入力された場合に、前段遮断状態でないと判定する。すなわち、判定手段は、N段目の点灯装置の直前段の(N−1)段目の点灯装置のフリップフロップから正常に制御データが入力される場合に、(N−1)段目の点灯装置の電源が給電状態であると判定できる。すなわち、N段目の点灯装置の前段の点灯装置は遮断状態でないと判定できる。このように前段遮断状態でない場合において、N段目の点灯装置のフリップフロップには、1番目の入力端子から制御データが入力される。すなわち、(N−1)段目の点灯装置の電源が給電状態である場合に、N段目の点灯装置の1番目の入力端子を介して、(N−1)段目の点灯装置のフリップフロップからN段目の点灯装置のフリップフロップへと制御データを転送させることができる。
【0011】
一方、N段目の点灯装置の判定手段は、1〜X番目の入力端子に対してそれぞれ正常に制御データが入力されず、かつ、(X+1)番目の入力端子に対して正常に制御データが入力された場合に、前段遮断状態であると判定できる。ここで、1〜X番目の入力端子に対して正常に制御データが入力されていない場合には、これらの入力端子に接続している(N−X)〜(N−1)段目の点灯装置のフリップフロップが正常に動作しておらず、判定手段は、(N−X)〜(N−1)段目の点灯装置の電源が遮断状態であると判定できる。すなわち、N段目の点灯装置は前段遮断状態であると判定できる。このような前段遮断状態において、N段目の点灯装置のフリップフロップには、(X+1)番目の入力端子から制御データが入力される。すなわち、電源が遮断状態となっている(N−X)〜(N−1)段目の点灯装置の直前段の(N−X−1)段目のフリップフロップからN段目の点灯装置のフリップフロップに制御データを入力させるため、(N−X)〜(N−1)段目の点灯装置のフリップフロップにて制御データの転送を停止させることなく、制御データをN段目の点灯装置まで転送できる。
【0012】
さらに、N段目の点灯装置は、N段目の点灯装置のK番目の入力端子のそれぞれを、N段目の点灯装置のフリップフロップを経由することなく(N+1)段目の点灯装置の(K+1)番目の入力端子と接続させるバイパスラインを備えてもよい。これにより、N段目の点灯装置のフリップフロップを経由しない制御データを(N+1)段目の点灯装置の2〜Y番目の入力端子に入力させることができる。ここで、(N−X)段目の点灯装置に注目すると、図2Aに示すように(N−X)段目の点灯装置の1番目(端子番号は括弧内)の入力端子には(N−X−1)段目の点灯装置のフリップフロップが接続することとなり、1番目の入力端子はさらにバイパスライン(太線)を介して(N−X+1)段目の点灯装置の2番目の入力端子と接続される。さらに、(N−X−1)段目の点灯装置のフリップフロップが接続する(N−X+1)段目の点灯装置の2番目の入力端子は、バイパスライン(太線)を介して(N−X+2)段目の点灯装置の3番目の入力端子と接続される。このように、(N−X)段目の点灯装置に対して1段ずつ後段の点灯装置になるにつれて(N−X−1)段目の点灯装置のフリップフロップが接続される入力端子の端子番号が1番ずつ大きくなる。従って、(N−X+X)=N段目の点灯装置の(X+1)番目の入力端子には(N−X−1)段目の点灯装置のフリップフロップを接続させることができる。すなわち、(N−X−1)段目の点灯装置とN段目の点灯装置とを直接接続する配線を設けなくても、接続順が連続する点灯装置同士を接続していくことにより、(N−X−1)段目の点灯装置のフリップフロップとN段目の点灯装置の(X+1)番目の入力端子とを接続できる。従って、点灯装置間の配線長を抑制できる。むろん、(N−Y)〜(N−1)段目の点灯装置の前記フリップフロップとN段目の点灯装置の1〜Y番目の入力端子のそれぞれとを直接接続する配線を設けてもよい。
【0013】
さらに、N段目の点灯装置は、N段目の点灯装置の電源が給電状態である場合にバイパスラインを遮断するとともに、N段目の点灯装置の電源が遮断状態である場合にN段目の点灯装置のフリップフロップと(N+1)段目の点灯装置の1番目の入力端子とを接続する配線を遮断するリレー手段を備えてもよい。このようなリレー手段を備えることにより、N段目の点灯装置においてフリップフロップと接続する入力端子を切り替えるスイッチを設けなくても、前段遮断状態でない場合において1番目の入力端子のみから制御データを入力させるとともに、前段遮断状態において(X+1)番目の入力端子のみから制御データを入力させることができる。以下、リレー手段の作用について説明する。
【0014】
まず、図2Bに示すようにN段目の点灯装置の電源が給電状態である場合を考える。この場合、N段目の点灯装置のリレー手段がバイパスラインを遮断(×)するため、(N+1)段目の点灯装置の2〜Y番目の入力端子に制御データが入力されない。その一方で、N段目の点灯装置のリレー手段は、N段目の点灯装置のフリップフロップと(N+1)段目の点灯装置の1番目の入力端子とを接続する配線(太線)を遮断しない。従って、N段目の点灯装置の電源が給電状態である場合に、N段目の点灯装置のフリップフロップから(N+1)段目の点灯装置の1番目の入力端子のみに制御データを入力させることができる。同様に、(N−1)段目の点灯装置の電源が給電状態である場合、すなわちN段目の点灯装置が前段遮断状態でない場合において、(N−1)段目の点灯装置のフリップフロップからN段目の点灯装置の1番目の入力端子のみに制御データを入力させ、他の入力端子には制御データを入力させないようにできる。
【0015】
次に、N段目の点灯装置が前段遮断状態である場合、すなわち(N−X−1)段目の点灯装置の電源が給電状態であり、(N−X)〜(N−1)段目の点灯装置の電源がそれぞれ遮断状態である場合について検討する。図2Cに示すように電源が給電状態である(N−X−1)段目の点灯装置のリレー手段はバイパスラインのそれぞれを遮断するとともに、(N−X−1)段目の点灯装置のフリップフロップから制御データを(N−X)段目の1番目の入力端子に入力させる配線(太線)を遮断しない。従って、(N−X−1)段目の点灯装置のフリップフロップから出力された制御データのみを(N−X)段目の点灯装置の1番目の入力端子に入力させ、2〜Y番目の入力端子には制御データを入力させないようにすることができる。次の(N−X)段目の点灯装置のリレー手段は、バイパスラインのそれぞれを遮断しないとともに、(N−X)段目の点灯装置のフリップフロップから制御データを(N−X+1)段目の1番目の入力端子に入力させる配線を遮断する。(N−X)段目の点灯装置の1番目の入力端子のみに(N−X−1)段目の点灯装置のフリップフロップから制御データが入力されるため、(N−X+1)段目の点灯装置の3〜Y番目の入力端子にはバイパスラインを介して制御データを入力させず、(N−X+1)段目の点灯装置の2番目の入力端子にはバイパスライン(太線)を介して(N−X−1)段目の点灯装置のフリップフロップから制御データを入力させることができる。(N−X)段目の点灯装置のフリップフロップと(N−X+1)段目の1番目の入力端子とを接続する配線は遮断されるため、(N−X+1)段目の点灯装置の1番目の入力端子にも制御データが入力されない。すなわち、(N−X+1)段目の点灯装置の入力端子のうち2番目の入力端子のみに(N−X−1)段目の点灯装置のフリップフロップから制御データを入力させ、他の入力端子には制御データを入力させないようにできる。
【0016】
さらに、(N−X+2)段目の点灯装置についても同様の検討を行うと、(N−X+2)段目の点灯装置の入力端子のうち3番目の入力端子のみに(N−X−1)段目の点灯装置のフリップフロップから制御データを入力させ、他の入力端子には制御データを入力させないようにできる。すなわち、(N−X−1)段目の点灯装置の電源が給電状態であり、(N−X)段目以降の点灯装置の電源が連続して遮断状態である場合、(N−X)段目以降の点灯装置の入力端子には(N−X−1)段目の点灯装置のフリップフロップからの制御データのみを入力させることができる。上述のように(N−X)段目の点灯装置に対して1段ずつ後段の点灯装置になるにつれて(N−X−1)段目の点灯装置のフリップフロップが接続される入力端子の端子番号が1番ずつ大きくなるため、(N−X−1)段目の点灯装置のフリップフロップとN段目の点灯装置の(X+1)番目の入力端子とが接続することとなる。従って、(N−X−1)段目の点灯装置の電源が給電状態であり、(N−X)〜(N−1)段目の点灯装置がそれぞれ遮断状態である場合、すなわち前段遮断状態において、(N−X−1)段目の点灯装置のフリップフロップからN段目の点灯装置の(X+1)番目の入力端子のみに制御データを入力させ、他の入力端子には制御データを入力させないようにできる。
【0017】
以上のように、前段遮断状態でない場合において、(N−1)段目の点灯装置のフリップフロップからN段目の点灯装置の1番目の入力端子のみに制御データを入力させ、他の入力端子には制御データを入力させないようにできる。また、前段遮断状態において、(N−X−1)段目の点灯装置のフリップフロップからN段目の点灯装置の(X+1)番目の入力端子のみに制御データを入力させ、他の入力端子には制御データを入力させないようにできる。N段目の点灯装置においてフリップフロップと接続する入力端子を切り替えるスイッチを設けなくても、前段遮断状態でない場合において1番目の入力端子のみから制御データを入力させるとともに、前段遮断状態において(X+1)番目の入力端子のみから制御データを入力させることができる。
【0018】
さらに、N段目の点灯装置の通知手段は以下の具体的構成を備えてもよい。すなわち、前段遮断状態である場合に、N段目の点灯装置について電源が給電状態であることを示す給電データと、(N−X)〜(N−1)段目の点灯装置のそれぞれの電源が遮断状態であることをそれぞれ示す遮断データとを、当該給電データと当該遮断データとに対応する点灯装置の接続順にしたがってシリアル結合した通知データを生成する。そして、N段目の点灯装置の通知手段は、通知データを制御装置まで転送させる。N段目の点灯装置の通知手段は、前段遮断状態である場合において、電源が遮断状態で通知手段が機能できない(N−X)〜(N−1)段目の点灯装置の代わりに遮断データを生成する。これにより、制御装置は、(N−X)〜(N−1)段目の点灯装置についての遮断データのビットが欠落していない通知データを転送により取得でき、遮断データのビット位置に基づいて電源が遮断状態の点灯装置を特定できる。
【0019】
さらに、制御装置は、通知手段による通知に基づいて、電源が給電状態である点灯装置が備える点灯部の点灯制御を行うためのデータを含み、電源が遮断状態である点灯装置が備える点灯部の点灯制御を行うためのデータを含まない制御データをシフトレジスタに転送させてもよい。これにより、電源が遮断状態である点灯装置が備える点灯部の点灯制御を行うためのデータが、電源が給電状態であると点灯装置が備えるフリップフロップに転送されて点灯部の点灯制御が不適切に行われることが防止できる。
【0020】
さらに、本発明のように点灯装置のそれぞれが異常であることを通知する手法は、方法としても適用可能である。また、以上のような車両誘導システム、方法は、単独のシステムとして実現される場合もあれば、他のシステムと共有の構成を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、車両誘導システムを構成する各手段が複数のシステムに分散して備えられてもよい。各手段が複数の実体的なシステムに分散して備えられる場合に、各手段を機能させるために必要なデータを送受信する通信手段が備えられてもよい。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】(1A),(1B)は発明概念図である。
【図2】(2A)〜(2C)は発明概念図である。
【図3】車両誘導システムのブロック図である。
【図4】点灯装置のブロック図である。
【図5】検査用の制御データを示すタイミングチャートである。
【図6】(6A)〜(6C)は点灯装置の動作模式図である。
【図7】通知部を示す図である。
【図8】(8A),(8B)は通知データを転送する様子を示す図である。
【図9】(9A)は車両誘導システムの設置図、(9B)は点灯用の制御データを修正する様子を示す表である。
【図10】(10A)は点灯可否設定処理のフローチャート、(10B)は制御処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)車両誘導システムの構成:
(2)制御装置の処理:
(3)他の実施形態:
【0023】
(1)車両誘導システムの構成:
図3は、本発明の一実施形態にかかる車両誘導システム1のブロック図である。車両誘導システム1は、制御装置10とM個(Mは3以上の自然数)の点灯装置20とを備える。点灯装置20は、それぞれ点灯部21と電源23とFF(フリップフロップ)24とを備えており、M個の点灯装置20が備えるFF24が直列するシフトレジスタが制御装置10に接続されている。なお、制御装置10の制御装置10に対する接続順序をN段目(NはM以下の自然数)と表すこととする。
【0024】
制御装置10は、CPU11とRAM12とROM13等を備え、ROM13に記録された制御プログラムをRAM12上にロードして、当該制御プログラムをCPU11が実行させるコンピュータである。制御装置10は、制御プログラムの機能によりシリアルデータである制御データCDを生成するとともに、当該制御データCDをM個の点灯装置20のFF24が直列したシフトレジスタにおいて転送させる。さらに、制御装置10は、点灯装置20から転送されたシリアルデータである通知データRDを制御プログラムの機能により取得する。
【0025】
M個の点灯装置20は、それぞれ同一の構成を有している。点灯装置20は、点灯部21と制御回路22と電源23とを備える。点灯部21は、図示しない点灯素子と駆動回路とを備える。点灯素子は発光可能な素子であればよく、例えば電球や蛍光灯やLED等とされる。制御回路22は、点灯素子の点灯状態を切り替えるための回路である。制御回路22は、FF24を備え、FF24は点灯素子の点灯状態を指示するデータを保持する。本実施形態では、点灯装置20につき1個のFF24が備えられ、FF24には点灯素子の点灯状態を指示するデータとして、点灯素子を点灯させるためのデータ(1)と点灯させないためのデータ(0)とが記憶される。従って、制御データCDは、各ビットが0または1となるビットを少なくともM個含むシリアルデータとなる。点灯部21の駆動回路は、FF24に記憶されたデータが1であれば点灯素子を点灯させるための電気信号を生成し、点灯素子に出力する。
【0026】
図4は、点灯装置20を示すブロック図である。M個の点灯装置20はそれぞれ同一の構成を有するため、N段目と(N+1)段目の点灯装置20についてのみ図示することとする。制御回路22は、FF24とリレー部22aと判定部22bと通知部22cと通知切替部22dと入力端子I(K)と出力端子O(K)と通知データ入力端子IRと通知データ出力端子ORと第1補助信号入力端子IAと第1補助信号出力端子OAと第2補助信号入力端子IBと第2補助信号出力端子OBとを備える。リレー部22aはリレー手段に相当し、判定部22bは判定手段に相当し、通知部22cと通知切替部22dとは通知手段に相当する。
【0027】
N段目の点灯装置20の第1補助信号出力端子OAと、(N+1)段目の点灯装置20の第1補助信号入力端子IAとが接続されており、クロック信号CL1と、ラッチ信号LTと、イネーブル信号ENとが制御装置10から各点灯装置20に対してそれぞれ独立した信号ラインにより出力される。なお、図を簡略化するためクロック信号CL1と、ラッチ信号LTと、イネーブル信号ENとを伝送する信号ラインを一本の線で表しているが、これらのそれぞれが電気的に独立した信号ラインにより伝送される。クロック信号CL1は、FF24において制御データCDを1クロックにつき1ビットずつ後段の点灯装置20に転送させるためのパルス信号である。ラッチ信号LTは、FF24に記憶されたデータを点灯素子の駆動回路に出力するタイミングを指定するための信号である。イネーブル信号ENは、点灯素子の点灯を許可するか否かを指定するための信号である。
【0028】
(N+1)段目の点灯装置20の通知データ出力端子ORと、N段目の点灯装置20の通知データ入力端子IRとが接続されており、通知データRDを制御データCDとは反対方向、すなわち制御装置10に向かう方向へと転送することが可能となっている。また、N段目の点灯装置20の第2補助信号出力端子OBと(N+1)段目の点灯装置20の第2補助信号入力端子IBとが接続されており、クロック信号CL2と、リセット信号RSとが制御装置10から各点灯装置20に対してそれぞれ独立した信号ラインにより伝送される。なお、図を簡略化するためクロック信号CL2と、リセット信号RSと信号ラインを一本の線で表しているが、これらのそれぞれが電気的に独立した信号ラインにより伝送される。なお、クロック信号CL2は、1クロックにつき1ビットずつ前段の点灯装置20に通知データRDを転送させるために制御装置10が出力するパルス信号である。リセット信号RSは、通知データRDの転送開始タイミングにて通知部22cが備えるFFのデータをリセットするために制御装置10が出力する信号である。
【0029】
本実施形態において、各点灯装置20につき入力端子I(K)と出力端子O(K)とがそれぞれ3(Y=3)個ずつ備えられている。なお、Kは入力端子I(K)と出力端子O(K)の端子番号を表し、端子番号Kは1〜3(1〜Y)の値となる。前段の点灯装置20の制御回路22の出力端子O(K)と、後段の点灯装置20の制御回路22の入力端子I(K)とが端子番号Kを対応させて互いに接続されている。
【0030】
N段目の点灯装置20の制御回路22において、白丸で図示するFF24の出力端子24Oは、リレー部22aを介して、1番目の出力端子O(1)と接続される。すなわち、N段目の点灯装置20のFF24の出力端子24Oは、リレー部22aおよび出力端子O(1)を介して、(N+1)段目の点灯装置20の1番目の入力端子I(1)に接続される。また、N段目の点灯装置20の制御回路22において、1番目の入力端子I(1)と2番目の出力端子O(2)とがバイパスラインB(1)とリレー部22aを介して接続され、2番目の入力端子I(2)と3番目の出力端子O(3)とがバイパスラインB(2)とリレー部22aを介して接続される。すなわち、N段目の点灯装置20のK番目の入力端子I(K)は、バイパスラインB(K)とリレー部22aと出力端子O(K+1)とを介して、(N+1)段目の点灯装置20の(K+1)番目の入力端子I(K+1)と接続する。(K+1)はY(=3)以下とならなければならないため、(K+1)が4となる3番目の入力端子I(3)は、いずれの出力端子O(K)とも接続していない。
【0031】
リレー部22aはリレー回路であり、実線で示す1個のリレー接点と、破線で示す2個のリレー接点とを備える。リレー部22aにおける実線のリレー接点は、FF24の出力端子24Oと出力端子O(1)との間に介在し、一点鎖線で示す電源23が給電状態である場合にのみ導通する。一方、リレー部22aにおける破線のリレー接点は、K番目の入力端子I(K)と出力端子O(K+1)との間に介在し、電源23が遮断状態である場合にのみ導通する。
【0032】
従って、N段目の点灯装置20の電源23が給電状態である場合に、リレー部22aは、N段目の点灯装置20のFF24の出力端子24Oと、(N+1)段目の点灯装置20の1番目の入力端子I(1)との接続を遮断しない。一方、N段目の点灯装置20の電源23が給電状態である場合に、リレー部22aは、N段目の点灯装置20のK番目の入力端子I(K)と、(N+1)段目の点灯装置20の(K+1)番目の入力端子I(K+1)とを接続するバイパスラインB(K)を遮断する。
【0033】
また、N段目の点灯装置20の電源23が遮断状態である場合に、リレー部22aは、N段目の点灯装置20のFF24の出力端子24Oと、(N+1)段目の点灯装置20の1番目の入力端子I(1)との接続を遮断する。一方、N段目の点灯装置20の電源23が遮断状態である場合に、リレー部22aは、N段目の点灯装置20のK番目の入力端子I(K)と、(N+1)段目の点灯装置20の(K+1)番目の入力端子I(K+1)とを接続するバイパスラインB(K)を遮断しない。なお、図4において、リレー部22aの導通状態が電源23の状態に依存することを示すために電源23を図示したが、電源23が制御回路22内に備えられることを意味するものではない。また、リレー部22aは、リレー接点が電源23の給電状態に連動して機械的・電磁的に開閉するリレー回路とすることができる。
【0034】
判定部22bは、1〜Y番目の入力端子I(K)のそれぞれとFF24の入力端子24Iとの間に介在する回路である。判定部22bは、正常に制御データCDが入力されているか否かを入力端子I(1)〜I(Y)のそれぞれについて判定する。そして、1番目の入力端子I(1)に対して正常に制御データCDが入力された場合に、(N−1)段目の点灯装置20の電源23が給電状態であると判定する。さらに、判定部22bは、(N−1)段目の点灯装置20の電源23が給電状態である場合に、図示しないレジスタに(N−1)段目の点灯装置20の電源23が給電状態であること、すなわち前段遮断状態でないことを示す診断データを記憶させる。
【0035】
一方、判定部22bは、1〜X番目の入力端子I(1)〜I(X)のそれぞれに対して正常に制御データCDが入力されず、かつ、(X+1)番目の入力端子I(X+1)に対して正常に制御データCDが入力された場合に、(N−X)〜(N−1)段目の点灯装置の電源がそれぞれ遮断状態となっている前段遮断状態であると判定する。そして、判定部22bは、正常に制御データCDが入力されなかった入力端子I(K)が1番目から連続している範囲(1番目だけの場合も含む)の最大の端子番号KであるXを特定する。なお、Xは後述する前段遮断個数を表す。ここで、正常に制御データCDが入力されなかった入力端子I(K)が1番目から連続している範囲の次の入力端子I(X+1)には正常に制御データCDが入力されたこととなる。そして、判定部22bは、(N−X)〜(N−1X)段目の点灯装置の電源がそれぞれ遮断状態である場合に、前記レジスタに前段遮断個数Xを示す診断データを記憶させる。
【0036】
ここで、前段遮断個数Xは、正常に制御データCDが入力されなかった入力端子I(K)が1番目から連続している範囲の最大の端子番号Kを意味する。従って、1〜X番目の入力端子I(1)〜I(X)に接続されている前段の出力端子24Oを経由するFF24は正常に動作しておらず、当該FF24を備える(N−X)〜(N−1)段目の点灯装置20の電源23はそれぞれ遮断状態であると判断できる。従って、前段遮断個数Xに基づいて、電源23が遮断状態である点灯装置20の範囲が特定できる。また、前段遮断個数Xを示す診断データは、前段遮断状態であること示す診断データであると言える。
【0037】
なお、判定部22bにおいて、1〜Y番目の入力端子I(K)のそれぞれとFF24の入力端子24Iとが電気的に接続されているため、入力端子I(K)のいずれからもFF24の入力端子24Iに制御データCDが入力され得る。しかしながら、上述したリレー部22aの作用により、単一の入力端子I(K)に対してのみ制御データCDが入力されるため、FF24の入力端子24Iに対しても単一の入力端子I(K)のみから制御データCDが入力される。以下、リレー部22aの作用を点灯装置20の動作例とともに説明する。
【0038】
図5は、点灯装置20の電源23を診断するために制御装置10が1段目の点灯装置20の入力端子I(1)に出力する診断用の制御データCDの例を示す。縦軸は信号の信号レベルを示し、横軸は時刻を示す。本実施形態において、診断用の制御データCDは点灯装置20の個数であるM個のクロック信号CL1と同期して出力され、クロック信号CL1が出力される期間において制御データCDは常時1とされる。診断用の制御データCDを出力させる期間においては、イネーブル信号ENを常時0とし、点灯素子の点灯を禁止する。以下、図5に示す診断用の制御データCDがシフトレジスタにおいて転送されたものとして、点灯装置20の動作例を説明する。
【0039】
図6A〜6Cは、それぞれ1〜5段目の点灯装置20の動作例を模式的に示す図である。1段目の点灯装置20の入力端子I(1)に制御装置10から診断用の制御データCDが入力され、各点灯装置20のFF24にクロック信号CL1を入力することにより、順次、制御データCDを後段の点灯装置20へと転送することができる。入力端子I(K)に正常に制御データCDが入力されるとは、入力端子I(K)の信号レベルが1であることを意味する。図6A〜6CにおいてFF24の入力端子24Iと出力端子24Oの図示を省略し、文字"FF"の左側が入力端子24Iを意味し、文字"FF"の右側が出力端子24Oを意味することとする。また、FF24に対して制御データCDが入力される場合に、FF24の入力端子24Iに向かう矢印を示し、当該矢印の始点を3個の入力端子I(K)のうちFF24の入力端子24Iに制御データCDを入力させる入力端子I(K)としている。図6A〜6Cにおいてリレー部22aの図示を省略し、リレー部22aが遮断する配線上に×を付す。また、正常に制御データCDが転送される配線を太線で示す。
【0040】
図6Aは、1〜5段目の点灯装置20の電源23がすべて給電状態である場合を示す。図6Aに示すように、1段目の点灯装置20の入力端子I(2),I(3)には何も接続しない。従って、1段目の点灯装置20の入力端子I(K)のうち1番目の入力端子I(1)にのみ診断用の制御データCDが入力される。従って、1段目の点灯装置20のFF24の入力端子24Iには1番目の入力端子I(1)から診断用の制御データCDが入力されることとなる。また、1番目の入力端子I(1)に正常に制御データCDが入力されるため、判定部22bは、(N−1)段目の点灯装置20の電源23が給電状態であること、すなわち前段遮断状態でないことを示す診断データをレジスタに記憶させる。なお、1段目の点灯装置20において(N−1)段目の点灯装置20が存在しないが、便宜的に前段遮断状態でないことを示す診断データをレジスタに記憶させることとする。
【0041】
さらに、1段目の点灯装置20の電源23は給電状態であるため、リレー部22aは×で示すように1段目の点灯装置20のK番目の入力端子I(K)と、2段目の点灯装置20の(K+1)番目の入力端子I(K+1)とを接続するバイパスライン(K)を遮断する。また、リレー部22aは、1段目の点灯装置20のFF24の出力端子24Oと、2段目の点灯装置20の1番目の入力端子I(1)との接続を遮断しない。
【0042】
以上により、正常に動作する1段目のFF24を介して、2段目の点灯装置20の1番目の入力端子I(1)に対してのみ診断用の制御データCDを正常に入力させることができる。2段目の点灯装置20も、電源23が給電状態、かつ、1番目の入力端子I(1)のみに制御データCDが入力された状態であるため、1段目の点灯装置20と同様に動作する。さらに、3〜5段目の点灯装置20も、2段目の点灯装置20と同様に動作する。すなわち、1〜5段目の点灯装置20のFF24は、1番目の入力端子I(1)と出力端子O(1)を介して制御データCDを順次後段の点灯装置20へと転送することができる。また、1〜5段目のすべての点灯装置20において、1番目の入力端子I(1)に正常に制御データCDが入力されるため、判定部22bはレジスタに前段遮断状態でないことを示す診断データを記憶させることなる。
【0043】
図6Bは、3段目の点灯装置20の電源23のみが遮断状態である場合の動作を示す。この場合も、1〜2段目の点灯装置20の動作は、図6Aと同様である。3段目の点灯装置20の電源23が遮断状態であるため、×で示すようにFF24自体が正常に動作できない。さらに、3段目の点灯装置20の電源23は遮断状態であるため、リレー部22aは×で示すように3段目の点灯装置20のFF24の出力端子24Oと、4段目の点灯装置20の1番目の入力端子I(1)との接続を遮断する。一方、リレー部22aは、3段目の点灯装置20のK番目の入力端子I(K)と、4段目の点灯装置20の(K+1)番目の入力端子I(K+1)とをFF24を経由することなく接続するバイパスラインB(K)を遮断しない。
【0044】
従って、4段目の点灯装置20の1番目の入力端子I(1)に正常に制御データCDが入力されない。さらに、4段目の点灯装置20の3番目の入力端子I(3)は、3段目の点灯装置20のバイパスラインB(2)と接続するが、2段目の点灯装置20においてリレー部22aがバイパスラインB(1)を遮断しているため、4段目の点灯装置20の3番目の入力端子I(3)にも正常に制御データCDが入力されない。一方、4段目の点灯装置20の2番目の入力端子I(2)は、2〜3段目の点灯装置20のリレー部22aを介して、電源23が給電状態の2段目の点灯装置20のFF24の出力端子24Oと接続している。従って、4段目の点灯装置20の2番目の入力端子I(2)のみに正常に制御データCDが入力されることとなる。従って、4段目の点灯装置20のFF24の入力端子24Iには、矢印で示すように2番目の入力端子I(2)のみを介して、電源23が給電状態の2段目の点灯装置20のFF24の出力端子24Oから制御データCDが入力される。
【0045】
これにより、電源23が給電状態の2段目((N−X−1)段目)の点灯装置20のFF24の出力端子24Oから、電源23が遮断状態の3段目((N−X)〜(N−1)段目)の点灯装置20のFF24を経由することなく、4段目(N段目)の点灯装置20の2番目の入力端子I(2)に正常に制御データCDを入力させることができる。従って、3段目の点灯装置20の電源23が遮断状態である場合でも、点灯装置20において制御データCDの転送が可能となる。
【0046】
また、4段目の点灯装置20の1番目の入力端子I(1)に正常に制御データCDが入力されないため、4段目の点灯装置20の判定部22bは、(N−1)〜(N−X)段目の点灯装置の電源がそれぞれ遮断状態となっている前段遮断状態であると判定する。さらに、4段目の点灯装置20の判定部22bは、正常に制御データCDが入力されなかった入力端子I(K)が1番目から連続している範囲(1番目だけ)の最大の端子番号K、すなわち前段遮断個数Xが1であると特定する。そして、4段目の点灯装置20の判定部22bは、レジスタに前段遮断個数Xが1であることを示す診断データを記憶させる。
【0047】
5段目の点灯装置20の動作は、図6Aと同様である。従って、1〜2,5段目の点灯装置20において、判定部22bはレジスタに前段遮断状態でないことを示す診断データを記憶させることなる。一方、3段目の点灯装置20は電源23が遮断状態であるため、判定部22bは動作できず、前記レジスタに診断データを記録することができない。
【0048】
図6Cは、2〜3段目の点灯装置20の電源23が連続して遮断状態である場合の動作を示す。1,5段目の点灯装置20の動作は、図6A,6Bと同様である。2段目の点灯装置20は、図6Bの3段目の点灯装置20と同様の動作を行う。従って、3段目の点灯装置20のFF24の入力端子24Iには2番目の入力端子I(2)のみを介して、1段目の点灯装置20のFF24の出力端子24Oから正常に制御データCDが入力される。3段目の点灯装置20も電源23が遮断状態であるため、リレー部22aは×で示すように3段目の点灯装置20のFF24の出力端子24Oと、4段目の点灯装置20の1番目の入力端子I(1)との接続を遮断する。また、3段目の点灯装置20のリレー部22aは、3段目の点灯装置20のK番目の入力端子I(K)と、4段目の点灯装置20の(K+1)番目の入力端子I(K+1)とをFF24を経由することなく接続するバイパスラインB(K)を遮断しない。
【0049】
従って、4段目の点灯装置20の1番目の入力端子I(1)に正常に制御データCDが入力されない。一方、4段目の点灯装置20の2番目の入力端子I(2)は、3段目の点灯装置20のバイパスラインB(1)と接続するが、2段目の点灯装置20のリレー部22aにより2段目の点灯装置20のFF24の出力端子24Oとの接続が遮断されているため、4段目の点灯装置20の2番目の入力端子I(2)にも正常に制御データCDが入力されない。一方、4段目の点灯装置20の3番目の入力端子I(3)は、1〜3段目の点灯装置20のリレー部22aを介して、電源23が給電状態の1段目の点灯装置20のFF24の出力端子24Oと接続している。従って、4段目の点灯装置20の3番目の入力端子I(3)のみに正常に制御データCDが入力されることとなる。従って、4段目の点灯装置20のFF24の入力端子24Iには、矢印で示すように3番目の入力端子I(3)のみを介して、電源23が給電状態の1段目の点灯装置20のFF24の出力端子24Oから制御データCDが入力される。
【0050】
これにより、電源23が給電状態の1段目((N−X−1)段目)の点灯装置20のFF24の出力端子24Oから、電源23が遮断状態の2〜3段目((N−X)〜(N−1)段目)の点灯装置20のFF24を経由することなく、4段目(N段目)の点灯装置20の3番目の入力端子I(3)に正常に制御データCDを入力させることができる。従って、2〜3段目の点灯装置20の電源23が連続して遮断状態である場合でも、点灯装置20において制御データCDの転送できる。
【0051】
また、4段目の点灯装置20の1番目の入力端子I(1)に正常に制御データCDが入力されないため、4段目の点灯装置20の判定部22bは、(N−1)〜(N−X)段目の点灯装置の電源がそれぞれ遮断状態となっている前段遮断状態であると判定する。さらに、4段目の点灯装置20の判定部22bは、正常に制御データCDが入力されなかった入力端子I(K)が1番目から連続している範囲(1〜2番目)の最大の端子番号Kである前段遮断個数Xが2であると特定する。そして、4段目の点灯装置20の判定部22bは、レジスタに前段遮断個数Xが2であることを示す診断データを記憶させる。
【0052】
1,5段目の点灯装置20において、1番目の入力端子I(1)に正常に制御データCDが入力されるため、判定部22bはレジスタに前段遮断状態でないことを示す診断データを記憶させることなる。一方、2〜3段目の点灯装置20は電源23が遮断状態であるため、判定部22bは動作できず、レジスタに診断データを記録することができない。
【0053】
また、1〜4段目の点灯装置20を順番に接続することにより、1段目の点灯装置20のFF24の出力端子24Oと4段目の点灯装置20の3番目の入力端子I(3)とをバイパスラインB(K)を介して接続することができる。すなわち、1段目の点灯装置20と4段目の点灯装置20とを直接接続する必要がないため、点灯装置20間の配線長を短くすることができる。次に、通知部22cについて説明する。
【0054】
N段目の点灯装置20の通知部22cは、前段遮断個数Xに基づいて、(N−X)〜(N−1)段目の点灯装置20の電源23がそれぞれ遮断状態であることを制御装置10に通知する回路である。通知切替部22dは、リレー回路であり、図4に示すように実線で示すリレー接点と、破線で示すリレー接点とを備える。通知切替部22dにおける実線のリレー接点は、通知部22cと通知データ出力端子ORとの間に介在し、一点鎖線で示す電源23が給電状態である場合にのみ導通する。すなわち、電源23が給電状態である場合、通知部22cを経由して通知データRDが制御装置10へと転送される。一方、通知切替部22dにおける破線のリレー接点は、通知部22cを経由することなく通知データ入力端子IRと通知データ出力端子ORとを直結する配線に介在し、一点鎖線で示す電源23が遮断状態である場合にのみ導通する。すなわち、電源23が遮断状態である場合、通知部22cを経由することなく通知データRDが制御装置10へと転送される。
【0055】
図7は、通知部22cを示すブロック図である。通知部22cは、3個のFF25(N−2),FF25(N−1),FF25(N)と、スイッチSWとを備える。FF25(N)の入力端子25Iは制御回路22の通知データ入力端子IRと接続され、FF25(N)の出力端子25OとFF25(N−1)の入力端子25Iとが接続される。さらに、FF25(N−1)の出力端子25OとFF25(N−2)の入力端子25Iとが接続され、FF25(N−2)の出力端子25Oが配線L1を介してスイッチSWと接続されている。従って、通知部22cは、紙面右側から左側へと通知データRDを転送する。
【0056】
通知部22cは、FF25(N−2),FF25(N−1),FF25(N)をすべて直列に経由してスイッチSWに通知データRDを入力する配線L1と、FF25(N−2)を経由することなくFF25(N−1),FF25(N)を経由してスイッチSWに通知データRDを入力する配線L2と、FF25(N−2),FF25(N−1)を経由することなくFF25(N)のみを経由してスイッチSWに通知データRDを入力する配線L3とを備える。FF25(N−2),FF25(N−1),FF25(N)はそれぞれ1ビットのデータを記憶し、リセット信号RSに基づく通知データRDの転送開始タイミングにおいてデータをリセットする。具体的に、FF25(N)は、N段目の点灯装置20の電源23が給電状態であることを示す給電データ(1)へとデータをリセットする。FF25(N−1),FF25(N−2)は、それぞれ(N−1),(N−2)段目の点灯装置20の電源23が遮断状態であることを示す遮断データ(0)へとデータをリセットする。
【0057】
スイッチSWは、上述した判定部22bのレジスタに記憶された診断データに基づいて通知データ出力端子ORと接続する配線L1〜L3を切り替える。診断データが前段遮断状態でないことを示す場合、スイッチSWは通知データ出力端子ORと配線L3とを接続させる。すなわち、診断データが前段遮断状態でないことを示す場合、通知部22cにおいてFF25(N−2),FF25(N−1)を経由することなくFF25(N)のみを経由して通知データRDが制御装置10へと転送される。診断データが前段遮断状態でないことを示す場合、スイッチSWは通知データRDを転送させるシフトレジスタに1個のFF25を直列させるということができる。
【0058】
前段遮断個数Xが1であることを診断データが示す場合、スイッチSWは通知データ出力端子ORと配線L2とを接続させる。すなわち、前段遮断個数Xが1であることを診断データが示す場合、通知部22cにおいてFF25(N−2)を経由することなくFF25(N−1),FF25(N)を経由して通知データRDが制御装置10へと転送される。前段遮断個数Xが2であることを診断データが示す場合、スイッチSWは通知データ出力端子ORと配線L1とを接続させる。すなわち、前段遮断個数Xが2であることを診断データが示す場合、FF25(N−2),FF25(N−1),FF25(N)をすべて経由して通知データRDが制御装置10へと転送される。診断データが前段遮断個数Xを示す場合、スイッチSWは通知データRDを転送させるシフトレジスタに(X+1)個のFF25を直列させるということができる。
【0059】
ここで、制御装置10は、通知データRDの転送を開始させるにあたり、リセット信号RSによって、FF25(N−2),FF25(N−1),FF25(N)が記憶するデータをそれぞれリセットする。そして、リセット後にFF25(N−2),FF25(N−1),FF25(N)に対して、クロック信号CL2を出力する。これにより、制御装置10は、FF25(N−2),FF25(N−1),FF25(N)にてリセットさせたデータを1ビットずつ転送させ、通知データRDとして取得できる。
【0060】
次に、以上説明した通知部22cの動作例を説明する。図8A〜8Bは、それぞれ1〜5段目の点灯装置20の通知部22cの動作状態を模式的に示す図である。図8A〜8Bにおいて、通知部22cを簡略化して示しており、1〜5段目の点灯装置20の通知部22cのFF25(N−2),FF25(N−1),FF25(N)が矩形で示されている。×が付されたFF25(N−2),FF25(N−1),FF25(N)は、スイッチSWの動作により、経由されなくなったFF25(N−2),FF25(N−1)を示す。また、FF25(N−2),FF25(N−1),FF25(N)には、リセットされた場合に記憶されるデータ(給電データ:1,遮断データ:0)を付している。
【0061】
図8Aは図6Aに示す診断データが判定部22bのレジスタに記憶された場合に、通知データRDを制御装置10に向けて転送する様子を示す。図6Aでは、1〜5段目のすべての点灯装置20の判定部22bのレジスタにて前段遮断状態でないことを示す診断データが記憶されている。この場合、1〜5段目のすべての点灯装置20において、通知切替部22dが図4に示す実線のリレー接点を導通させることにより、通知部22cを経由して通知データRDが制御装置10へと転送される。さらに、1〜5段目のすべての点灯装置20において、通知部22cはFF25(N−2),FF25(N−1)を経由させることなくFF25(N)のみを経由させて通知データRDを制御装置10へと転送する。
【0062】
従って、リセット後にFF25(N−2),FF25(N−1),FF25(N)に対して、クロック信号CL2を出力することにより、通知データRDの転送経路にて経由されるFF25(N)にてリセットした給電データ(1)を、順次、制御装置10側へと1ビットずつ転送させることができる。図8Aの場合、1個の点灯装置20につき1個のFF25(N)から出力された給電データ(1)が点灯装置20の接続順にしたがって結合された通知データRD(1,1,1,1,1...)が制御装置10へ転送される。従って、制御装置10が取得する通知データRDのビット位置は点灯装置20の制御装置10に対する接続順と一致する。
【0063】
図8Bは図6Cに示す診断データが判定部22bのレジスタに記憶された場合に、通知データRDを制御装置10に向けて転送する様子を示す。図6Cでは、1,5段目の点灯装置20の判定部22bのレジスタにて給電状態であることを示す診断データが記憶されており、1,5段目の点灯装置20の通知部22cは図8Aと同様に動作する。一方、2〜3段目の点灯装置20の電源23が遮断状態となっているため、通知切替部22dが図4に示す破線のリレー接点を導通させることにより、2〜3段目の点灯装置20の通知部22c(不図示)を経由することなく通知データRDが制御装置10へと転送される。
【0064】
さらに、4段目の点灯装置20の診断データは、前段遮断個数Xが2であることを示すため、4段目の点灯装置20の通知部22cのFF25(N−2),FF25(N−1),FF25(N)をすべて経由して通知データRDが制御装置10へと転送される。リセット後にFF25(N−2),FF25(N−1),FF25(N)に対して、クロック信号CL2を出力することにより、FF25(N−2),FF25(N−1),FF25(N)にてリセットしたデータを、順次、制御装置10側へと1ビットずつ転送させることができる。ここで、4段目の点灯装置20の通知部22cのFF25(N−2),FF25(N−1),FF25(N)においては、(N−2),(N−1)段目の点灯装置20のそれぞれの電源23が遮断状態であることそれぞれを示す2個の遮断データ(0)と、N段目の点灯装置20の電源23が給電状態であることを示す1個の給電データ(1)とがリセット時に記憶される。従って、2個の遮断データと1個の給電データ(1)とが、これらのデータに対応する2〜4段目の点灯装置20の接続順にしたがってシリアル結合された通知データRDが制御装置10に転送される。
【0065】
また、4段目の点灯装置20の通知部22cのFF25(N−2),FF25(N−1),FF25(N)に対して、前段側(制御装置10側)に1段目の点灯装置20の通知部22cのFF25(N)が接続され、後段側に5段目の点灯装置20の通知部22cのFF25(N)が接続される。従って、1〜5段目の点灯装置20についてのデータ(給電データ,遮断データ)を、1〜5段目の点灯装置20の接続順にしたがってシリアル結合された通知データRD(1,0,0,1,1...)を制御装置10に転送させることができる。図8Bのように2〜3段目の点灯装置20の電源23が遮断状態であり、2〜3段目の点灯装置20自体が電源23の状態を通知するデータを生成できない場合にも、4段目の点灯装置20の通知部22cが2〜3段目の点灯装置20の代わりにデータ(給電データ,遮断データ)を生成するため、通知データRDにおいて2〜3段目の点灯装置20に対応するビットが欠落することはない。従って、図8Bの場合にも、制御装置10が取得する通知データRDのビット位置は点灯装置20の制御装置10に対する接続順と一致する。
【0066】
(2)制御装置の処理:
図9Aは、道路における車両誘導システム1の設置例を示す。同図に示すように道路Rに沿って12(=M)個の点灯装置20が一定距離Lの空間周期で配置されている。点灯装置20の配置順は、制御装置10に対する点灯装置20の接続順と一致する。制御装置10は、通知データRDに基づいて点灯許可および点灯禁止とする点灯装置20を設定する点灯可否設定処理を実行する。
【0067】
図10Aは、制御装置10が実行する点灯可否設定処理のフローチャートである。ステップS100において制御装置10は、診断用の制御データCDを複数の点灯装置20のFF24にて転送させる。ステップS110において制御装置10は、通知データRDを取得する。すなわち、図5の診断用の制御データCDの転送が完了した時点における入力端子I(K)の信号レベルに基づいて各点灯装置20の判定部22bが診断データを更新し、当該診断データに基づいて通知部22cが通知データRDを転送させるシフトレジスタにFF25を直列させる。そして、制御装置10は、各FF25のデータをリセットさせた上で、各FF25にクロック信号CL2を出力することにより、通知データRDを取得する。
【0068】
ステップS120において制御装置10は、通知データRDにおいて信号レベルが0(遮断データ)となっているビットのビット位置に基づいて電源23が遮断状態となっている点灯装置20を特定する。ステップS130において制御装置10は、電源23が遮断状態の点灯装置20が1個でも存在するか否かを判定する。電源23が遮断状態の点灯装置20が1個も存在しないと判定された場合、制御装置10は点灯禁止の点灯装置20を設定することなく処理を終了させる。すなわち、電源23が遮断状態の点灯装置20が1個も存在しないと判定された場合、すべての点灯装置20における点灯素子の点灯が許可される。
【0069】
ステップS130において電源23が遮断状態の点灯装置20が1個でも存在すると判定された場合、ステップS140において制御装置10は点灯許可の点灯装置20を設定する。制御装置10は、遮断状態の個数の点灯装置20を避けた設定を行う場合には、電源23が遮断状態の点灯装置20が連続している個数(1個も含む)に1を加えた数と等しい数の周期上の点灯装置20を点灯許可とし、かつ、当該周期上の点灯装置20に電源23が遮断状態の点灯装置20の直前段および直後段の点灯装置20が含まれるようにする。なお、ここでいう周期とは、点灯装置20の制御装置10に対する接続順における周期を意味する。ステップS140において制御装置10は、点灯許可の点灯装置20以外の点灯装置20を点灯禁止とする。
【0070】
図9Bは、通知データRDと点灯装置20の点灯可否を示す表である。図9Bでは、図6C,8B,9Aのように2〜3段目の点灯装置20の電源23が連続して遮断状態であることを示す通知データRDがステップS110にて取得されたこととする。なお、図9Aにおいて電源23が遮断状態で点灯素子が点灯できない点灯装置20に×を付している。この場合において、電源23が遮断状態の点灯装置20が連続している個数は2個となり、当該個数に1を加えた3個周期上の点灯装置20が点灯許可とされる。さらに、点灯許可とされる点灯装置20の周期上には電源23が遮断状態の点灯装置20の直前段および直後段の1,4段目の点灯装置20が含まれる。このようにすることにより、1段目と4段目との間において電源23が遮断状態の2〜3段目の点灯装置20を点灯禁止とすることができる。なお、本実施形態においては、電源23が連続して遮断状態となっている点灯装置20が一群のみ存在する場合を説明したが、電源23が連続して遮断状態となっている点灯装置20が複数群存在する場合には、遮断状態に応じた接続順の周期からなる別のアルゴリズムによりステップS140を実行してもよい。
【0071】
図10Bは、制御装置10が実行する点灯制御処理のフローチャートである。ステップS200において制御装置10は、点灯用の制御データCDを取得する。例えば、制御装置10は、ROMに記憶された点灯用の制御データCDや、外部から受信した点灯用の制御データCDを取得する。ステップS210において制御装置10は、点灯禁止と設定されている点灯装置20の点灯素子を消灯させるように点灯用の制御データCDを修正する。すなわち、点灯用の制御データCDにおいて点灯禁止と設定されている点灯装置20に対応するビットを特定し、当該ビットの値を0へと修正する。
【0072】
図9Bにおいて、各ステップS200〜220終了時の点灯用の制御データCDを示す。なお、点灯用の制御データCDは点灯装置20の制御装置10に対する接続順に転送されるシリアルデータであるため、点灯装置20の制御装置10に対する接続順と、点灯用の制御データCDにおけるビット位置とは逆順になる。例えば、接続順が最後段の点灯装置20に対応するビットが点灯用の制御データCDの先頭ビットとなる。図9Bにおいて、すべての点灯装置20にて点灯素子を点灯させる点灯用の制御データCDがステップS200にて取得されているが、ステップS210において点灯禁止と設定されている点灯装置20に対応するビットの値が0に修正されている。これにより、制御装置10に対する接続順において一定周期上の点灯装置20の点灯素子を点灯させる点灯用の制御データCDを生成できる。
【0073】
ステップS220において制御装置10は、電源23が遮断状態となっている点灯装置20に対応するビットを点灯用の制御データCDから削除する。これにより、点灯用の制御データCDは、電源23が給電状態となっている点灯装置20の点灯素子の点灯制御を行うためのデータを含み、電源23が遮断状態となっている点灯装置10の点灯素子の点灯制御を行うためのデータを含まないデータとなる。図9Bにおいて、電源23が遮断状態となっている2〜3段目の点灯装置20に対応するビットが削除されている。すなわち、2〜3段目の点灯装置20に対応するビットとして、先頭ビットから数えて10〜11ビット目のビットが削除されている。なお、点灯用の制御データCDから10〜11ビット目のビットを削除することにより、後続の12ビット目のビットは10ビット目のビットに繰り上がる。また、点灯用の制御データCDのデータ長は、12ビットから10ビットへと短縮される。
【0074】
ステップS230において制御装置10は、点灯用の制御データCDを複数の点灯装置20のFFにて転送させる。具体的に制御装置10は、10個のクロック信号CL1を出力して点灯用の制御データCDを転送させる。図6Cに示すように、2〜3段目の点灯装置20の電源23が遮断状態である場合には、2〜3段目の点灯装置20のFF24を経由しない10段のシフトレジスタが形成されるため、10個のクロック信号CL1により点灯用の制御データCDの先頭ビットを、最終の12段目の点灯装置20のFF24まで転送できる。転送が完了した段階でラッチ信号LTにより、FF24に記憶されたデータを点灯素子の駆動回路に出力させる。ここで、電源23が遮断状態となっている点灯装置20に対応するビットが削除されているため、電源23が遮断状態となっている点灯装置20に対応するビットのデータが他の点灯装置20のFF24に転送されて誤った点灯制御がなされることが防止できる。図9Bの例において2〜3段目の点灯装置20に対応するビットを削除しないと当該ビットのデータが1段目の点灯装置20のFF24に記憶されてしまうが、2〜3段目の点灯装置20に対応するビットを削除しておけば1段目の点灯装置20に対応するデータを1段目の点灯装置20のFF24に記憶させることができる。
【0075】
図9Aにおいて、図9Bのように修正された点灯用の制御データCDによる点灯制御の結果を示している。白丸で示す点灯装置20が点灯されている点灯装置20を示し、黒丸で示す点灯装置20が点灯されてない点灯装置20を示す。点灯装置20のそれぞれが電源23を備えるため、図9Aに示すように一部の点灯装置20の電源23が遮断状態となっても、電源23が給電状態となっている他の点灯装置20のFF24で構成されるシフトレジスタにより点灯用の制御データCDを転送させることができ、車両の誘導を続行できる。さらに、制御装置10に対する点灯装置20の接続順における周期は、道路Rの方向における空間周期と一致する。従って、制御装置10に対する接続順において一定周期上の点灯装置20の点灯素子を点灯させる点灯用の制御データCDによって、道路Rの方向において一定の空間周期上に存在する点灯装置20の点灯素子を点灯させることができる。これにより、車速が低下したと運転者が誤認識し、不必要に車両を加速させることが防止できる。
【0076】
(3)他の実施形態:
以上においては3(=Y)個の入力端子I(K)を備える点灯装置20を例示したが、点灯装置20は3個よりも多くの入力端子I(K)を備えてもよい。すなわち、本発明によれば、N番目の点灯装置20の1〜Y番目の入力端子I(K)における信号レベルに基づいて、(N−Y)〜(N−1)段目のY個の点灯装置20の電源23が連続して遮断状態となっているか否かを判定できるため、入力端子I(K)の個数を多くすることによりN段目の点灯装置20にてより多くの点灯装置20を診断できる。また、(N−Y+1)〜(N−1)段目の(Y−1)個の点灯装置20の電源23が連続して遮断状態となっていても、Y番目の入力端子I(Y)にて電源23が給電状態の(N−Y)段目の点灯装置20のFF24と接続することができるため、入力端子I(K)の個数を多くすることにより電源23の異常に対する耐性の高い車両誘導システム1を提供できる。
【0077】
なお、点灯用の制御データCDは、経時的に変化してもよい。例えば、点灯素子を点灯させる点灯装置20を1段ずつ遷移させるようにしてもよい。この場合であっても、点灯許可となっている点灯素子20のみを点灯させることにより、点灯している点灯素子の遷移速度が不均一になることが防止できる。また、前記実施形態においては、通知データRDに応じて点灯用の制御データCDを生成するものを例示したが、通知データRDに応じて制御装置10が所定の通信回線を利用して異常警告を発するようにしてもよい。例えば、電源23が遮断状態の点灯装置20の個数が所定個数以上である場合は、異常警告を発するようにしてもよい。
【0078】
前記実施形態では、制御データCDと通知データRDとが互いに反対方向に転送されるようにしたが、制御データCDと同様に接続順が後段側の点灯装置20へと通知データRDを転送してもよい。この場合、最終段の点灯装置20から通知データRDを制御装置10に帰還する配線を設けておけばよい。さらに、制御データCDと通知データRDとを転送する配線を共用してもよい。この場合、共用される配線にて制御データCDと通知データRDとが干渉しないように、制御データCDと通知データRDとは互いに異なる期間に転送すればよい。
【0079】
前記実施形態では、バイパスラインB(K)とリレー部22aとを備えることにより、電源23が遮断状態となっている点灯装置20よりも後段の点灯装置20においても車両の誘導を続行可能としたが、点灯装置20はバイパスラインB(K)とリレー部22aとを備えていなくてもよい。この場合でも、電源23が遮断状態となっている点灯装置20よりも前段の点灯装置20にて正常に点灯用の制御データCDを転送することができ、車両の誘導を続行させることができる。電源23が遮断状態となっている点灯装置20よりも前段の点灯装置20にて車両を誘導する場合には、点灯用の制御データCDを修正しなくてもよい。従って、点灯装置20は、通知手段(判定部22b,通知部22c,通知切替部22d)を備えなくてもよい。
【0080】
本発明の点灯装置20は、1個のFF24と1個の点灯部21とを備えるものに限られない。すなわち、1個の点灯装置20が、直列に接続した複数のFF24と当該複数のFF24のそれぞれと接続する複数の点灯部21とを備え、当該複数の点灯部21を個別に制御してもよい。この場合、点灯禁止とする点灯装置20が備えるFF24の個数分のビットを点灯用の制御データCDから削除すればよい。
【符号の説明】
【0081】
1…車両誘導システム、10…制御装置、20…点灯装置、21…点灯部、22…制御回路、22…制御回路、22a…リレー部22ab…判定部、22c…通知部、22d…通知切替部、23…電源、CD…制御データ、24…FF、I…入力端子、O…出力端子、RD…通知データ、X…前段遮断個数。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
点灯部と電源とフリップフロップとをそれぞれ備えるとともに道路に沿って互いに間隔をあけて配置される複数の点灯装置と、
複数の前記点灯装置がそれぞれ備える前記フリップフロップが直列したシフトレジスタにおいて前記点灯部の点灯制御を行うための制御データを転送させる制御装置と、
を備える車両誘導システム。
【請求項2】
前記制御装置に対する接続順がN段目の前記点灯装置の前記フリップフロップには、
(N−X)〜(N−1)段目の前記点灯装置のそれぞれの前記電源が遮断状態となっている前段遮断状態において、(N−X−1)段目の前記点灯装置の前記フリップフロップから前記制御データが入力される、
請求項1に記載の車両誘導システム。
【請求項3】
N段目の前記点灯装置は、
前記前段遮断状態であることを前記制御装置に通知する通知手段を備える、
請求項2に記載の車両誘導システム。
【請求項4】
N段目の前記点灯装置は、
(N−Y)〜(N−1)段目の前記点灯装置の前記フリップフロップとそれぞれ接続する1〜Y番目の入力端子と(ただし、YはN未満かつXより大きい自然数とする。)、
1番目の前記入力端子に対して正常に前記制御データが入力された場合に、前記前段遮断状態でないと判定するとともに、
1〜X番目の前記入力端子のそれぞれに対して正常に前記制御データが入力されず、かつ、(X+1)番目の前記入力端子に対して正常に前記制御データが入力された場合に、前記前段遮断状態であると判定する判定手段と、を備えるとともに、
N段目の前記点灯装置の前記フリップフロップには、
前記前段遮断状態でない場合において、1番目の前記入力端子から前記制御データが入力され、
前記前段遮断状態において、(X+1)番目の前記入力端子から前記制御データが入力される、
請求項2または請求項3のいずれかに記載の車両誘導システム。
【請求項5】
N段目の前記点灯装置は、
N段目の前記点灯装置のK番目の前記入力端子のそれぞれを、N段目の前記点灯装置の前記フリップフロップを経由することなく(N+1)段目の前記点灯装置の(K+1)番目の前記入力端子と接続させるバイパスラインを備える(ただし、(K+1)はY以下の自然数であるとする。)、
請求項4に記載の車両誘導システム。
【請求項6】
N段目の前記点灯装置は、
N段目の前記点灯装置の前記電源が遮断状態である場合に、N段目の前記点灯装置の前記フリップフロップと(N+1)段目の前記点灯装置の1番目の前記入力端子とを接続する配線を遮断するとともに、
N段目の前記点灯装置の前記電源が給電状態である場合に、前記バイパスラインを遮断する遮断するリレー手段を備える、
請求項5に記載の車両誘導システム。
【請求項7】
N段目の前記点灯装置の前記通知手段は、
前記前段遮断状態において、N段目の前記点灯装置の前記電源が給電状態であることを示す給電データと、(N−X)〜(N−1)段目の前記点灯装置のそれぞれの前記電源が遮断状態であることをそれぞれ示す遮断データとを、当該給電データと当該遮断データとに対応する前記点灯装置の接続順にしたがって結合した通知データを生成するとともに、前記通知データを前記制御装置まで転送させる、
請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の車両誘導システム。
【請求項8】
前記制御装置は、
前記通知手段による通知に基づいて、前記電源が給電状態の前記点灯装置の前記点灯部の点灯制御を行うためのデータを含み、前記電源が遮断状態の前記点灯装置の前記点灯部の点灯制御を行うためのデータを含まない前記制御データを生成し、前記シフトレジスタにおいて転送させる、
請求項2から請求項6のいずれか一項に記載の車両誘導システム。
【請求項9】
点灯部と電源とフリップフロップとをそれぞれ備えるとともに道路に沿って互いに間隔をあけて配置される複数の点灯装置と、複数の前記点灯装置がそれぞれ備える前記フリップフロップが直列したシフトレジスタにおいて前記点灯部の点灯制御を行うための制御データを転送させる制御装置と、
により車両を誘導する車両誘導方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−97865(P2013−97865A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−236381(P2011−236381)
【出願日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【出願人】(000243881)名古屋電機工業株式会社 (107)
【Fターム(参考)】