説明

車両運転支援装置

【課題】より快適に確認操作に対する報知を実施できるようにする。
【解決手段】車両周辺の状況における運転者の確認操作の監視項目を特定し、監視項目の全てに対する確認操作が実施されたか否かを判定し、監視項目の全てに対する確認操作が実施されていないと判定された場合、実施されなかった確認操作を記憶手段に記憶させ(S108)、次回、車両周辺の状況が、監視項目の全てに対する確認操作が実施されなかった状況と一致した場合、実施されなかった確認操作について運転者に報知する(S206)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の運転者の運転操作に対する支援を行う車両運転支援装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、運転者に運転操作等のための各種情報を提供するようにしたものが種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−1377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、交通事故が発生する大きな要因の1つに、運転者の確認漏れがある。そこで、車両に運転者の確認操作に対する報知を行う車両運転支援装置を搭載するようにして、運転者の確認漏れをなくすことが考えられる。しかし、このような車両運転支援装置において、運転者に対して一律に運転操作に対する報知を行うようにすると報知の頻度が多くなり、運転者に煩わしさを感じさせてしまう。例えば、車両が交差点を左折する際には、信号機の状態、横断歩道上の歩行者や自転車、左後方の死角等を視認する必要があるが、これらの確認項目について、どの運転者に対しても一律に注意喚起が行われると、運転者に煩わしさを感じさせてしまうといった問題がある。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みたもので、より快適に確認操作に対する報知を実施できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、車両の運転者の運転操作に対する支援を行う車両運転支援装置であって、車両周辺の状況を特定し、当該車両周辺の状況が予め用意された特定の状況に該当するか否かに基づいて運転者の確認操作を監視すべき状況か否かを判定する状況判定手段と、状況判定手段により運転者の確認操作を監視すべき状況であると判定された場合、車両周辺の状況における運転者の確認操作の監視項目を特定する監視項目特定手段と、運転者の確認操作の実施状況を判定するための情報を取得し、当該運転者の確認操作の実施状況を判定するための情報に基づいて監視項目特定手段により特定された監視項目の全てに対する確認操作が実施されたか否かを判定する確認操作実施判定手段と、確認操作実施判定手段により監視項目の全てに対する確認操作が実施されていないと判定された場合、実施されなかった確認操作を記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、次回、車両周辺の状況が、監視項目の全てに対する確認操作が実施されなかった状況と一致した場合、実施されなかった確認操作について運転者に報知する報知手段と、を備えたことを特徴としている。
【0007】
このような構成によれば、車両周辺の状況を特定し、当該車両周辺の状況が予め用意された特定の状況に該当するか否かに基づいて運転者の確認操作を監視すべき状況か否かを判定し、運転者の確認操作を監視すべき状況であると判定された場合、車両周辺の状況における運転者の確認操作の監視項目を特定し、運転者の確認操作の実施状況を判定するための情報を取得し、当該運転者の確認操作の実施状況を判定するための情報に基づいて監視項目の全てに対する確認操作が実施されたか否かを判定し、監視項目の全てに対する確認操作が実施されていないと判定された場合、実施されなかった確認操作を記憶手段に記憶させ、次回、車両周辺の状況が、監視項目の全てに対する確認操作が実施されなかった状況と一致した場合、実施されなかった確認操作について運転者に報知するので、例えば、どの運転者に対しても一律に注意喚起が行われることなく、より快適に確認操作に対する報知を実施することができる。
【0008】
また、請求項2に記載の発明は、運転者の確認操作の特性を特定する確認操作特性判定手段を備え、報知手段は、確認操作特性判定手段により特定された運転者の確認操作の特性により、実施されなかった確認操作についての報知方法を変更することを特徴としている。
【0009】
このような構成によれば、運転者の確認操作の特性により、実施されなかった確認操作についての報知方法を変更されるので、運転者に適した報知を行うことが可能である。
【0010】
また、請求項3に記載の発明のように、運転者の顔面を撮影した画像から運転者の視線の動向を検出する視線動向検出手段を備え、確認操作特性判定手段は、視線動向検出手段により検出された運転者の視線の動向から運転者の確認操作の特性を特定し、報知手段は、運転者の視線の動向により、実施されなかった確認操作についての報知方法を変更することができる。
【0011】
また、請求項4に記載の発明のように、運転者の顔面を撮影した画像から運転者の視線の動向を検出する視線動向検出手段を備え、確認操作実施判定手段は、視線動向検出手段により検出された運転者の視線の動向を運転者の確認操作の実施状況を判定するための情報として取得することができる。
【0012】
また、請求項5に記載の発明のように、運転者の確認操作を監視すべき状況は、車両が交差点を左折する状況、車両が交差点を右折する状況、車両が路肩に停車している車両を回避して通過する状況の少なくとも1つとすることができる。
【0013】
また、請求項6に記載の発明のように、状況判定手段は、車両周辺を撮影するカメラにより撮影された画像、ナビゲーション装置により特定される地図上の車両位置、方向指示スイッチの状態の少なくとも1つに基づいて車両周辺の状況を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る車両運転支援装置の構成を示す図である。
【図2】制御部による確認操作記憶処理のフローチャート
【図3】監視項目について説明するための図である。
【図4】制御部による報知処理のフローチャート
【図5】実施されなかった確認操作を表すアイコンの表示例である。
【図6】運転者の視線の動きに応じて、実施されなかった確認操作を表すアイコンの表示位置を変更する場合の表示例である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の一実施形態に係る車両運転支援装置の構成を図1に示す。本車両運転支援装置1は、車両に搭載され、運転者の運転操作に対する支援を行う。本車両運転支援装置1は、車両前方カメラ10、視線動向検出装置11、ヘッドアップディスプレイ12、スピーカ13および制御部14を備えている。制御部14には、ナビゲーション装置20および方向指示スイッチ30が接続されている。
【0016】
車両前方カメラ10は、車両前方を撮影ためのカメラで、撮影した画像を制御部14へ出力する。
【0017】
視線動向検出装置11は、運転者の顔面を撮影する運転席カメラ(図示せず)を有し、当該運転席カメラにより撮影された画像に画像認識処理を施して運転者の視線方向を算出して運転者の視線の動向を検出し、運転者の視線の動向を特定するための情報を制御部14へ出力する。
【0018】
ヘッドアップディスプレイ12は、光映像を投影する投影装置と、該投影装置から照射された光映像を反射させてフロントガラスに設けられたコンバイナへ投影する反射鏡(いずれも図示せず)とを備え、乗員からコンバイナを通して虚像が視認されるように表示を行う。
【0019】
スピーカ13は、制御部14から入力される音声信号に応じた音声を出力するものである。
【0020】
制御部14は、CPU、メモリ、RAM、ROM、フラッシュメモリ、I/O等を備えたコンピュータとして構成されており、CPUはROMに記憶されたプログラムに従って各種処理を実施する。
【0021】
ナビゲーション装置20は、位置検出器、地図データ取得部、操作部、制御部等(いずれも図示せず)を備えている。ナビゲーション装置20の制御部は、位置検出器より入力される現在位置を特定するための情報に基づいて現在位置を特定する現在位置特定処理、地図データ取得部から現在位置周辺の地図データを取得して現在位置周辺の地図上に自車位置マークを重ねて表示させる地図表示処理、ユーザの操作部に対する操作に応じて目的地を検索する目的地検索処理、出発地から目的地に至る最適な案内経路を探索する経路探索処理、案内経路に従って走行案内を行う走行案内処理等がある。
【0022】
方向指示スイッチ30は、ステアリングコラムからステアリングの右側に延びるように方向指示レバーの位置に応じた信号を出力する。方向指示レバーの先端が中立位置よりも下側に押し下げられると、方向指示スイッチ30から「右折」を表す信号が出力され、方向指示レバーの先端が中立位置よりも上側に押し上げられると、方向指示スイッチ30から「左折」を表す信号が出力され、方向指示レバーの先端が中立位置に操作されると、方向指示スイッチ30から「中立位置」を表す信号が出力されるようになっている。
【0023】
制御部14は、視線動向検出装置11により検出された運転者の視線の動向に基づいて、運転者が車両におけるどの領域をどれくらいの時間視認したかを認識することができるようになっている。例えば、車両前方カメラ10の撮影画像に信号機が含まれており、視線が正面の上向きになった場合には、信号機の状態を確認しているものと認識することができる。また、方向指示スイッチ30から「左折」を表す信号が入力され、車両前方カメラ10の撮影画像に交差点が含まれており、視線が正面中央になった場合には、対向車を確認しているものと認識することができる。また、方向指示スイッチ30から「左折」を表す信号が入力され、車両前方カメラ10の撮影画像に交差点が含まれており、視線が左方向になった場合には、左折路に設けられている横断歩道の歩行者等確認しているものと認識することができる。また、方向指示スイッチ30から「左折」を表す信号が入力されており、視線が左下方向になった場合には、左側ドアミラーを視認して、左折時の巻き込み事故防止のための左後方を確認しているものと認識することができる。
【0024】
なお、巻き込み事故防止のための左後方確認操作では、振り返って左後方を直接視認する場合もあるため、方向指示スイッチ30から「左折」を表す信号が入力されており、視線動向検出装置11より入力される運転者の視線の動向を特定するための情報に基づいて振り返って左後方を直接視認していると判定された場合にも、左後方を確認しているものと認識することができる。
【0025】
また、交差点を右折する状況についても、同様の考え方に基づいて運転者がどの領域を視認して何を確認しているのか認識することが可能である。
【0026】
制御部14は、車両前方カメラ10により撮影された画像、ナビゲーション装置20により特定された地図上の車両位置および方向指示スイッチ30の状態から車両周辺の状況を特定し、車両周辺の状況が予め用意された特定の状況に該当するか否かに基づいて運転者の確認操作を監視すべき状況か否かを判定し、運転者の確認操作を監視すべき状況であると判定された場合、車両周辺の状況における運転者の確認操作の監視項目を特定するとともに、運転者の確認操作の実施状況を判定するための情報を取得し、当該運転者の確認操作の実施状況を判定するための情報に基づいて監視項目特定手段により特定された監視項目の全てに対する確認操作が実施されたか否かを判定し、監視項目の全てに対する確認操作が実施されていないと判定された場合、実施されなかった確認操作を記憶手段に記憶させる確認操作記憶処理を実施する。
【0027】
図2に、この確認操作記憶処理のフローチャートを示す。運転者の操作に応じて車両のイグニッションスイッチがオンすると本車両運転支援装置1およびナビゲーション装置20等は動作状態となり、制御部14は、図2に示す確認操作記憶処理を周期的に実施する。
【0028】
まず、車両前方カメラ10により撮影された画像、ナビゲーション装置20により特定された地図上の車両位置および方向指示スイッチ30の状態から車両周辺の状況を特定する(S100)。本実施形態では、車両が交差点を左折する状況であるか、車両が交差点を右折する状況であるか、路肩に停車している車両を回避して通過する状況であるかを特定する。
【0029】
次に、車両周辺の状況が予め用意された特定の状況に該当するか否かに基づいて運転者の確認操作を監視すべき状況か否かを判定する(S102)。本実施形態において、予め用意された特定の状況とは、車両が交差点を左折する状況、車両が交差点を右折する状況、車両が路肩に停車している車両を回避して通過する状況のことをいう。
【0030】
ここで、車両周辺の状況が予め用意された特定の状況に該当しない場合、S102の判定はNOとなり、S100へ戻る。また、車両周辺の状況が予め用意された特定の状況に該当する場合、S102の判定はYESとなり、次に、監視項目を特定する(S104)。
【0031】
例えば、車両が交差点を左折する状況では、図3に示すように、(1)信号機の状態の確認、(2)対向車の確認、(3)左折路に設けられている横断歩道の歩行者等の確認および(4)巻き込み事故防止のための左後方の確認を監視項目として特定する。
【0032】
また、車両が交差点を右折する状況では、(1)信号機の状態の確認、(2)対向車の確認および(3)右折路に設けられている横断歩道の歩行者等の確認を監視項目として特定する。
【0033】
また、車両が路肩に停車している車両を回避して通過する状況では、(2)路肩に停車している車両の周囲の確認と、(2)右側に車線がある場合には、右側車線の車両との接触事故防止のための右後方の確認とを監視項目として特定する。
【0034】
次に、運転者の確認操作の実施状況を判定するための情報を取得し、当該運転者の確認操作の実施状況を判定するための情報に基づいて監視項目特定手段により特定された監視項目の全てに対する確認操作が実施されたか否かを判定する(S106)。具体的には、運転者の確認操作の実施状況を判定するための情報として、視線動向検出装置11により特定された運転者の視線の動向を取得し、この運転者の視線の動向に基づいて、S104にて特定された監視項目の全てに対する確認操作が実施されたか否かを判定する。
【0035】
ここで、監視項目の全てに対する確認操作が実施されていない場合、S106の判定はNOとなり、車両がおかれた状況と実施されていない確認操作をフラッシュメモリに記憶させる(S108)。例えば、車両が交差点を左折する状況で、運転者が巻き込み事故防止のための左後方の確認を怠った場合、「車両が交差点を左折する状況」と、「巻き込み事故防止のための左後方の確認」がフラッシュメモリに記憶される。なお、この時点では、まだ、巻き込み事故防止のための左後方の確認を怠ったことについての注意喚起は実施されない。
【0036】
また、監視項目の全てに対する確認操作が実施された場合には、S106の判定はYESとなり、フラッシュメモリへの記憶を実施することなく、本処理を終了する。
【0037】
制御部14は、車両周辺の状況が、監視項目の全てに対する確認操作が実施されなかった状況と一致した場合、実施されなかった確認操作について運転者に報知する報知処理を実施する。
【0038】
図4に、この報知処理のフローチャートを示す。制御部14は、図2に示した確認操作記憶処理と並行して、図4に示す処理を実施する。
【0039】
まず、車両前方カメラ10により撮影された画像、ナビゲーション装置20により特定された地図上の車両位置および方向指示スイッチ30の状態から車両周辺の状況を特定する(S200)。本実施形態では、車両が交差点を左折する状況であるか、車両が交差点を右折する状況であるか、路肩に停車している車両を回避して通過する状況であるかを特定する。
【0040】
次に、運転者の確認操作の特性を特定する(S202)。具体的には、視線動向検出装置11より入力される視線の動向を特定するための情報に基づいて運転者の視覚範囲および瞳孔の動きの速さを特定する。運転者の視覚範囲は、広域、中域、境域の3段階で特定する。また、瞳孔の動きの速さについても、高速、中側、低速の3段階で特定する。
【0041】
次に、車両周辺の状況が、前に、確認操作が実施されなかった状況と一致するか否かを判定する(S204)。例えば、車両が交差点を左折する状況で、運転者が巻き込み事故防止のための左後方の確認を怠り、「車両が交差点を左折する状況」と、「巻き込み事故防止のための左後方の確認」がフラッシュメモリに記憶されており、再度、車両周辺の状況が、車両が交差点を左折する状況になった場合、S204の判定はYESとなり、実施されなかった確認操作について報知する(S206)。具体的には、ヘッドアップディスプレイ12を介してフロントウィンドウに、実施されなかった確認操作を表す表示体(アイコン)を表示させるとともに、注意喚起音をスピーカ13より出力させる。
【0042】
図5に、実施されなかった確認操作を表すアイコンの表示例を示す。この図には、車両が左折する際の、巻き込み事故防止のための左後方の確認操作を表すアイコン50aと、左折路に設けられている横断歩道の歩行者等の確認操作を表すアイコン50bが示されている。
【0043】
なお、本実施形態において、運転者の視線の動きに応じて、実施されなかった確認操作を表すアイコンの表示位置を変更するようにしている。具体的には、視覚範囲が狭い運転手Aの場合には、図6(a)に示すように、運転者の負担にならないように、実施されなかった確認操作を表すアイコンをフロントガラスの中央付近にまとめて表示させ、視覚範囲が広い運転手Bの場合には、図6(b)に示すように、なるべく視界を遮らないように、実施されなかった確認操作を表すアイコンをフロントガラスの端部に表示させる。また、視覚範囲が広い運転手であっても、瞳孔の動きの遅い運転手の場合には、運転者の負担にならないように、実施されなかった確認操作を表すアイコンをフロントガラスの中央付近にまとめて表示させ、瞳孔の動きの速い運転手の場合には、なるべく視界を遮らないように、実施されなかった確認操作を表すアイコンをフロントガラスの端部に表示させる。このように、視覚範囲と瞳孔の動きの速さに応じて実施されなかった確認操作を表すアイコンの表示位置が変更されるようになっている。
【0044】
上記した構成によれば、車両周辺の状況を特定し、当該車両周辺の状況が予め用意された特定の状況に該当するか否かに基づいて運転者の確認操作を監視すべき状況か否かを判定し、運転者の確認操作を監視すべき状況であると判定された場合、車両周辺の状況における運転者の確認操作の監視項目を特定し、運転者の確認操作の実施状況を判定するための情報を取得し、当該運転者の確認操作の実施状況を判定するための情報に基づいて監視項目の全てに対する確認操作が実施されたか否かを判定し、監視項目の全てに対する確認操作が実施されていないと判定された場合、実施されなかった確認操作を記憶手段に記憶させ、次回、車両周辺の状況が、監視項目の全てに対する確認操作が実施されなかった状況と一致した場合、実施されなかった確認操作について運転者に報知するので、例えば、どの運転者に対しても一律に注意喚起が行われることなく、より快適に確認操作に対する報知を実施することができる。
【0045】
また、運転者の確認操作の特性により、実施されなかった確認操作についての報知方法を変更されるので、運転者に適した報知を行うことが可能である。
【0046】
また、運転者の顔面を撮影した画像から運転者の視線の動向を特定する視線動向検出装置11を備え、視線動向検出装置11により特定された運転者の視線の動向から運転者の確認操作の特性を特定し、運転者の視線の動向により、実施されなかった確認操作についての報知方法を変更することができる。
【0047】
また、運転者の顔面を撮影した画像から運転者の視線の動向を特定する視線動向検出装置11を備え、視線動向検出装置11により特定された運転者の視線の動向を運転者の確認操作の実施状況を判定するための情報として取得することができる。
【0048】
また、運転者の確認操作を監視すべき状況は、車両が交差点を左折する状況、車両が交差点を右折する状況、車両が路肩に停車している車両を回避して通過する状況の少なくとも1つとすることができる。
【0049】
また、車両周辺を撮影するカメラにより撮影された画像、ナビゲーション装置により特定される地図上の車両位置、方向指示スイッチの状態の少なくとも1つに基づいて運転者の確認操作を監視すべき状況か否かを判定することができる。
【0050】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々なる形態で実施することができる。
【0051】
例えば、上記実施形態では、車両が交差点を左折する状況、車両が交差点を右折する状況および車両が路肩に停車している車両を回避して通過する状況を運転者の確認操作を監視すべき状況として説明したが、例えば、インターチェンジで本線に合流する状況、左側車線に車線変更する状況、右側車線に車線変更する状況等を、運転者の確認操作を監視すべき状況として特定してもよい。
【0052】
また、各状況における監視すべき項目は、上記実施形態に記載した項目と必ずしも一致する必要はない。
【0053】
また、上記実施形態では、監視項目の全てに対する確認操作が実施されたか否かを判定し、監視項目の全てに対する確認操作が実施されていないと判定された場合、実施されなかった確認操作をフラッシュメモリに記憶させ、次回、車両周辺の状況が、監視項目の全てに対する確認操作が実施されなかった状況と一致した場合、実施されなかった確認操作について運転者に報知するように構成したが、監視項目の全てに対する確認操作が実施されていないと判定され、実施されなかった確認操作がフラッシュメモリに記憶された後、同様の車両周辺の状況で、監視項目の全てに対する確認操作が実施されたと判定された場合、先にフラッシュメモリに記憶された「実施されなかった確認操作」を消去または無効とするように構成してもよい。具体的には、S106にてYESと判定された場合に、フラッシュメモリに記憶された「実施されなかった確認操作」を消去または無効とするステップを追加するようにしてもよい。このような構成とすることにより、監視項目の全てに対する確認操作を実施すれば報知が行われなくなるので、より煩わしさを低減することができる。また、確認操作を怠ると報知が行われ、監視項目の全てに対する確認操作を実施すれば報知が行われなくなるということを繰り返すことになり、確認操作を怠らないように習慣化することができ、運転者の運転技術の向上を図ることが可能である。
【0054】
また、上記実施形態では、車両前方を撮影する車両前方カメラ10を用いて車両周辺を撮影したが、車両前方カメラに限定されるものではない。
【0055】
また、上記実施形態では、ヘッドアップディスプレイ12を用いてフロントガラスに表示体を投影する構成を示したが、このような構成に限定されるものではなく、例えば、メータ内に設けられたインジケータ等を用いて各種情報を表示するように構成してもよい。
【0056】
なお、上記実施形態における構成と特許請求の範囲の構成との対応関係について説明すると、S100、S200が状況判定手段に相当し、S104が監視項目特定手段に相当し、S106が確認操作実施判定手段に相当し、S108が記憶制御手段に相当し、S204、S206が報知手段に相当し、S202が確認操作特性判定手段に相当し、視線動向検出装置11が視線動向検出手段に相当する。
【符号の説明】
【0057】
1 車両運転支援装置
10 車両前方カメラ
11 視線動向検出装置
12 ヘッドアップディスプレイ
13 スピーカ
14 制御部
20 ナビゲーション装置
30 方向指示スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転者の運転操作に対する支援を行う車両運転支援装置であって、
前記車両周辺の状況を特定し、当該車両周辺の状況が予め用意された特定の状況に該当するか否かに基づいて前記運転者の確認操作を監視すべき状況か否かを判定する状況判定手段と、
前記状況判定手段により前記運転者の確認操作を監視すべき状況であると判定された場合、前記車両周辺の状況における前記運転者の確認操作の監視項目を特定する監視項目特定手段と、
前記運転者の確認操作の実施状況を判定するための情報を取得し、当該運転者の確認操作の実施状況を判定するための情報に基づいて前記監視項目特定手段により特定された前記監視項目の全てに対する確認操作が実施されたか否かを判定する確認操作実施判定手段と、
前記確認操作実施判定手段により前記監視項目の全てに対する確認操作が実施されていないと判定された場合、実施されなかった確認操作を記憶手段に記憶させる記憶制御手段と、
次回、前記車両周辺の状況が、前記監視項目の全てに対する確認操作が実施されなかった状況と一致した場合、前記実施されなかった確認操作について前記運転者に報知する報知手段と、を備えたことを特徴とする車両運転支援装置。
【請求項2】
前記運転者の確認操作の特性を特定する確認操作特性判定手段を備え、
前記報知手段は、前記確認操作特性判定手段により特定された前記運転者の確認操作の特性により、前記実施されなかった確認操作についての報知方法を変更することを特徴とする請求項1に記載の車両運転支援装置。
【請求項3】
前記運転者の顔面を撮影した画像から前記運転者の視線の動向を検出する視線動向検出手段を備え、
前記確認操作特性判定手段は、前記視線動向検出手段により検出された前記運転者の視線の動向から前記運転者の確認操作の特性を特定し、
前記報知手段は、前記運転者の視線の動向により、前記実施されなかった確認操作についての報知方法を変更することを特徴とする請求項2に記載の車両運転支援装置。
【請求項4】
前記運転者の顔面を撮影した画像から前記運転者の視線の動向を検出する視線動向検出手段を備え、
前記確認操作実施判定手段は、前記視線動向検出手段により検出された前記運転者の視線の動向を前記運転者の確認操作の実施状況を判定するための情報として取得することを特徴とする請求項1または2に記載の車両運転支援装置。
【請求項5】
前記運転者の確認操作を監視すべき状況は、前記車両が交差点を左折する状況、前記車両が交差点を右折する状況、前記車両が路肩に停車している車両を回避して通過する状況の少なくとも1つであることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1つに記載の車両運転支援装置。
【請求項6】
前記状況判定手段は、車両周辺を撮影するカメラにより撮影された画像、ナビゲーション装置により特定される地図上の車両位置、方向指示スイッチの状態の少なくとも1つに基づいて前記車両周辺の状況を特定することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1つに記載の車両運転支援装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−97605(P2013−97605A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240410(P2011−240410)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】