説明

車線逸脱警報装置

【課題】車線逸脱警報装置において誤って車線逸脱警報が発生することを抑制すること。
【解決手段】車両1が走行車線を逸脱した又は逸脱するおそれがあると判定した場合に、車両1の運転者に車線逸脱警報を発する車線逸脱警報装置100であって、車両1の位置情報を受信するGPS装置20と、誤判定の原因となる外乱の位置情報を記憶する外乱位置記憶部33とを備え、外乱位置記憶部33に記憶された位置情報は、外部メモリー61に記憶された位置情報に基づいて更新され、車両1が外乱位置記憶部33に記憶された地点から所定の範囲内に位置する場合には、車線逸脱警報を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行する車両の走行車線の逸脱に警報を発する車線逸脱警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両に取り付けられた画像センサによって車両の前方を撮像し、画像処理によって走行車線を認識し、車両が走行車線を逸脱したこと又は車両が走行車線を逸脱するおそれのあることを判定して運転者に警報を行う車線逸脱警報装置が知られている。
【0003】
一般に、車線逸脱警報装置では、撮像した画像から道路上の白線を認識することによって走行車線を認識している。そのため、白線が経時劣化によって認識困難な状態にある場合や、道路工事跡によって白線が途切れている場合などには、走行車線を正確に認識することができない。走行車線を正確に認識できない場合には、実際には車両は走行車線から逸脱しない場合にも、車両が走行車線を逸脱するおそれがあると判定して誤警報を発するおそれがある。
【0004】
特許文献1には、走行中に道路の走行レーンにおける白線を認識し、車両の走行レーン逸脱を予測した場合に運転者に対して警報を発する車両用警報装置が開示されている。この車両用警報装置では、過去に誤警報が発生した区間では警報が発生し難い条件に変更することによって、誤警報を低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−92794号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の警報装置では、過去に誤警報が発生した区間でなければ誤警報を低減することはできない。そのため、車両が過去に走行したことのない区間において誤警報を低減することは不可能である。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、車線逸脱警報装置における誤警報を更に抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、車両が走行車線を逸脱した又は逸脱するおそれがあると判定した場合に、当該車両の運転者に車線逸脱警報を発する車線逸脱警報装置であって、前記車両の位置情報を受信する位置情報受信部と、誤判定の原因となる外乱の位置情報を記憶する外乱位置記憶部と、を備え、前記外乱位置記憶部に記憶された位置情報は、外部記憶装置に記憶された位置情報に基づいて更新され、前記車両が前記外乱位置記憶部に記憶された地点から所定の範囲内に位置する場合には、前記車線逸脱警報を停止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、外乱位置記憶部に記憶された位置情報は、外部記憶装置に記憶された外乱の位置情報によって更新される。よって、車両が過去に走行したことのない区間であっても、外部記憶装置から更新した外乱の位置情報に基づいて車線逸脱警報を停止することができる。したがって、誤って車線逸脱警報が発生することを更に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】(a)及び(b)は、車線逸脱警報装置の概要を説明する図である。
【図2】(a)及び(b)は、車線逸脱警報装置に置いて走行車線を逸脱すると判定される場合を説明する図である。
【図3】外乱について説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る車線逸脱警報装置の構成図である。
【図5】本発明の実施の形態に係る車線逸脱警報装置の作用を説明するフローチャート図である。
【図6】本発明の実施の形態に係る車線逸脱警報装置の作用を説明するフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る車線逸脱警報装置100について説明する。
【0012】
図1から図3を参照して、車線逸脱警報装置100の概要について説明する。
【0013】
図1(a)に示すように、車線逸脱警報装置100は、車両1に搭載され車両1の進行方向の画像を撮像するカメラ10を備える。車線逸脱警報装置100は、車両1が走行車線を逸脱した又は逸脱するおそれがある場合に、車両1の運転者に車線逸脱警報を発するものである。
【0014】
車両1が実際に走行車線を逸脱したと判定する場合と、車両1が走行車線を逸脱するおそれがあると判定する場合とは、判定に用いる閾値が相違するのみである。よって、ここでは、車両1が走行車線を逸脱するおそれがあることを判定する場合についてのみ説明する。
【0015】
図1(b)に示すように、カメラ10によって撮像された画像には、車両1のボンネット1aと、進行方向の路面5とが映されている。
【0016】
車線逸脱警報装置100では、撮像した画像内の路面5から車両1の走行車線の左右の白線6を認識し、車両1に対する白線6の現在の位置や角度、及び将来の位置関係などを演算することによって、車両1が白線6を跨いで走行車線を逸脱するおそれがあるか否かを判定している。
【0017】
図2(a)に示すように、車両1が白線6を跨いで走行車線を逸脱するおそれがある場合には、カメラ10によって図2(b)に示すような画像が撮像される。車線逸脱警報装置100では、撮像された画像から所定時間後の車両1の位置を予測し、所定時間後に車両1が白線6を跨ぐおそれがある場合には、車両1が走行車線を逸脱するおそれがあると判定する。
【0018】
車線逸脱警報装置100は、カメラ10によって撮像された画像から路面5の白線6を認識するものであるため、撮像された画像内に誤判定の原因となる外乱が存在することによって、白線6を正確に認識できない場合がある。
【0019】
ここで、外乱とは、実際には車両1が走行車線を逸脱するおそれがないのにも関わらず、車両1が走行車線を逸脱するおそれがあると誤判定させる要因である。外乱の代表的な例を図3に示す。
【0020】
図3に示すように、路面5上に横断歩道5aがある場合や、減速路面表示5bがある場合には、これらが白線6であると認識し、走行車線が誤認識されるおそれがある。合流地点5cにおいては、外側の白線6が途切れている部分があるため、走行車線を認識できない。この場合、走行車線と合流車線との継ぎ目など、画像内の他の要素を白線6であると認識するおそれがある。
【0021】
路面5上に「追突注意」などの文字5dが描いてある場合や、道路の修復跡5eがある場合にもまた、これらが白線6であると認識し、走行車線が誤認識されるおそれがある。この他にも、路面5上の落下物,水溜まり,汚れ,排水溝なども外乱となり得る。また、ガードレールや歩道など路面5上にないものが外乱となることも考えられる。
【0022】
次に、図4を参照して、車線逸脱警報装置100の構成について説明する。
【0023】
車線逸脱警報装置100は、車両1の進行方向の画像を撮像するカメラ10と、車両1の位置情報を受信する位置情報受信部としてのGPS(Global Positioning System:全地球測位システム)装置20と、車線逸脱警報を発するための制御を行うコントローラ30とを備える。また、車線逸脱警報装置100は、車両1のメータ内に設けられ運転者に向けて警報メッセージを表示する警報表示部41と、車両1の車内に設けられ運転者に向けて警報音を鳴らす警報ブザー42とを備える。
【0024】
車線逸脱警報装置100は、コントローラ30によって制御され、車両1が走行車線を逸脱するおそれがある場合に、警報表示部41に表示される警報メッセージと警報ブザー42とによる車線逸脱警報を運転者に向けて発するものである。
【0025】
カメラ10は、車両1におけるフロントウィンドウの上部に、車両1の進行方向に向けて設置される小型の撮像装置である。カメラ10は、コントローラ30に接続され、撮像した画像を送信する。
【0026】
GPS装置20は、GPS衛星200から車両1の絶対的な位置情報を取得するものである。GPS装置20は、コントローラ30に接続され、車両1の位置情報を送信する。ここでいう位置情報とは、地球上の緯度及び経度である。GPS装置20として、車両に搭載されるカーナビゲーションシステムが有するGPSを用いてもよい。
【0027】
コントローラ30は、CPU(中央演算処理装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、及びI/Oインターフェース(入出力インターフェース)を備えたマイクロコンピュータで構成される。RAMはCPUの処理におけるデータを記憶し、ROMはCPUの制御プログラム等を予め記憶し、I/Oインターフェースは接続された機器との情報の入出力に使用される。CPUやRAMなどをROMに格納されたプログラムに従って動作させることによって車線逸脱警報装置100の制御が実現される。コントローラ30については、後で詳細に説明する。
【0028】
警報表示部41は、車両1が走行車線を逸脱するおそれがある場合に、車両1の運転者に向けて警報メッセージを表示するものである。警報メッセージは、例えば、「WARNING」という文字の表示や、警報インジケータの点灯などである。
【0029】
警報ブザー42は、車両1が走行車線を逸脱するおそれがある場合に、車両1の運転者に向けて警報音を鳴らすものである。警告音は、例えば、「車線を逸脱します」という音声や、電子音などである。
【0030】
以下、コントローラ30について詳細に説明する。
【0031】
コントローラ30は、カメラ10によって撮像された画像を受信して認識する画像認識部31と、車両1が走行車線を逸脱するおそれがあるか否かを判定する警報条件判定部32と、外乱の位置情報を記憶する外乱位置記憶部33とを備える。また、コントローラ30は、警報表示部41に警報メッセージを表示する制御を行う表示制御部38と、警報ブザー42を鳴らす制御を行うブザー制御部39とを備える。
【0032】
画像認識部31は、カメラ10によって撮像された画像から、路面5上の左右の白線6を認識する。画像認識部31は、画像内の白線6の位置や角度を警報条件判定部32に出力する。
【0033】
外乱位置記憶部33は、カメラ10によって撮像された画像内に外乱がある地点の位置情報を記憶するものである。外乱位置記憶部33に記憶された外乱の位置情報は、一括に又は個別に更新可能である。外乱位置記憶部33には、外乱が存在する全ての地点を記憶するのではなく、外乱が存在する地点の中から、実際に外乱によって誤って車線逸脱警報が発生した誤警報地点の位置情報だけを記憶してもよい。このようにした場合、外乱位置記憶部33に記憶される情報の量を抑制することができる。
【0034】
警報条件判定部32は、画像認識部31によって認識された白線6の位置や角度に基づいて、車両1が走行車線を逸脱するおそれがあるか否かを判定する。警報条件判定部32は、車両1が走行車線を逸脱するおそれがあると判定し、かつ、車両1の現在位置が外乱の位置情報と一致しない場合には、表示制御部38とブザー制御部39とに、車線逸脱警報を発する命令を出力する。これにより、車両1が走行車線を逸脱するおそれがあることを、車両1の運転者に報知することができる。
【0035】
また、警報条件判定部32は、外乱位置記憶部33に記憶された外乱の位置情報と照合し、GPS装置20によって取得された車両1の現在位置が、外乱の存在する地点から所定の範囲内である場合には、車線逸脱警報を発しない。つまり、車両1の現在位置が外乱の存在する地点から所定の範囲内である場合には、車両1が走行車線を逸脱するか否かの判定に関わらず、車線逸脱警報を発することが停止される。これにより、車両1が走行車線を逸脱するおそれがないのにも関わらず、画像内の外乱によって誤判定され、運転者に誤って車線逸脱警報を発することが防止される。
【0036】
外乱の存在する地点からの所定の範囲は、車両1の現在位置からの半径が、(車両1の速度)×(GPS遅れ時間+余裕時間)+(警報非作動範囲)+(GPS計測誤差)によって算出される円形の範囲である。例えば、車両1の速度が60km/h,GPS遅れ時間と余裕時間との和が3秒,警報非作動範囲が20m,GPS計測誤差が10mである場合には、(60×1000/3600)×3+20+10=80mであるため、車両1の現在位置から半径80mの範囲に設定される。
【0037】
この所定の範囲は、誤差などを考慮しなければ、車両1の現在位置から半径20mの範囲の警報非作動範囲のみである。しかし、実際には、車両1のGPS装置20とGPS衛星200との通信にかかる時間分の距離と、GPSの計測時に生じる誤差分の距離とを警報非作動範囲に加えた範囲に設定される。
【0038】
以下、コントローラ30における外乱の位置情報データの更新について説明する。
【0039】
コントローラ30は、外乱の位置情報が記憶された外部記憶装置としての外部メモリー61によって外乱位置記憶部33に記憶された外乱の位置情報を更新可能である。コントローラ30は、外部からデータ入力可能な外部入力装置80が接続される入力装置接続部35と、外部メモリー61が接続されるメモリー接続部36とを備える。
【0040】
入力装置接続部35は、例えば、USB(Universal Serial Bus)端子であり、接続される外部入力装置80は、例えば、USBキーボードである。外部入力装置80からは、外乱位置記憶部33に緯度及び経度を入力可能である。外乱位置記憶部33は、外部入力装置80から入力された位置情報によって外乱の位置情報のデータを更新可能である。
【0041】
メモリー接続部36は、例えば、SDメモリーカードスロットであり、外部メモリー61は、例えば、SDメモリーカードである。メモリー接続部36に外部メモリー61が挿入されると、外部メモリー61と外乱位置記憶部33との間でデータの送受信が可能となる。
【0042】
外部メモリー61には、外乱位置記憶部33に記憶するための外乱の位置情報と、外乱位置記憶部33から削除するための外乱の位置情報とが記憶される。外部メモリー61は、外部メモリー61内に記憶された外乱の位置情報によって外乱位置記憶部33のデータを更新する場合の他、外乱位置記憶部33に記憶された外乱の位置情報を記憶して外部に持ち出すことにも用いられる。外部メモリー61に記憶された外乱の位置情報は、パソコン62によって編集可能である。
【0043】
パソコン62は、外部メモリー61が接続されるメモリー接続部62aと、インターネット通信を実行可能な通信部62bと備える。パソコン62では、メモリー接続部62aを介して外部メモリー61に記憶された外乱の位置情報を編集可能である。パソコン62は、通信部62bを介して外部データベース70と通信可能である。
【0044】
外部データベース70は、車両1の外部に設置され、外乱の位置情報を記憶可能なデータベースサーバーである。外部データベース70には、最新の状態に更新された外乱の位置情報が記憶される。
【0045】
なお、車線逸脱警報装置100を搭載した複数の車両1に記憶された外乱の位置情報が送信され、外部データベース70に蓄えられるようにしてもよい。これにより、複数の車両1が有する外乱の位置情報を、データベースとして共有することができる。
【0046】
パソコン62を使用することによって、外部データベース70から外乱の位置情報をダウンロードして外部メモリー61に保存し、外部メモリー61を介して外乱位置記憶部33に記憶された外乱の位置情報を更新することが可能である。よって、車両1が過去に走行したことのない区間であっても、外部メモリー61から更新した外乱の位置情報に基づいて車線逸脱警報を停止することができる。したがって、誤って車線逸脱警報が発生することを抑制することができる。
【0047】
なお、車線逸脱警報装置100に通信部62bを設け、外乱位置記憶部33に外乱の位置情報を外部データベース70から直接ダウンロードできるようにしてもよい。この場合、外部データベース70が外部記憶装置に該当する。このように構成すれば、複数の車両1が有する外乱の位置情報の共有が容易である。
【0048】
また、車線逸脱警報装置100は、車両1の車内に設けられ運転者によって操作可能な地点登録スイッチ51と地点削除スイッチ52とを備える。
【0049】
地点登録スイッチ51及び地点削除スイッチ52は、コントローラ30に接続され、運転者による操作に応じて信号の出力を行う。
【0050】
地点登録スイッチ51は、外部入力装置80から入力された地点の位置情報、又は車両1が走行している現在位置の位置情報を、外乱の位置情報に追加登録するためのスイッチである。車両1の走行中に、任意の地点で運転者によって地点登録スイッチ51が操作されると、操作された地点の位置情報が、外乱の位置情報として外乱位置記憶部33に登録される。
【0051】
地点削除スイッチ52は、外部入力装置80から入力された地点の位置情報、又は車両1が走行している現在位置の位置情報を、外乱の位置情報から削除するためのスイッチである。外乱の位置情報が登録されている地点を車両1が走行しているときに地点削除スイッチ52が運転者によって操作されると、操作された地点における外乱の位置情報が、外乱位置記憶部33から削除される。
【0052】
なお、この他にも、コントローラ30には、車両1において車線逸脱警報が発せられた地点の位置情報の履歴が保存されている。車線逸脱警報は、運転者の操作によって車両1が走行車線を逸脱した場合に発せられるものである。車線逸脱警報が同一の地点で二度発せられた場合には、運転者の操作によって車両1が走行車線を逸脱したのではなく、撮像される画像内に何らかの外乱が存在する可能性が高い。そこで、保存された履歴に基づいて、同一の地点で再び車線逸脱警報が発せられた場合には、その地点には外乱が存在すると判定して、その地点の位置情報が外乱位置記憶部33に記憶されるようにしている。
【0053】
次に、図5及び図6を参照して、車線逸脱警報装置100の作用について説明する。
【0054】
車線逸脱警報装置100が起動されると、図5及び図6に示す制御が実行される。
【0055】
ステップ501では、メモリー接続部36に外部メモリー61が接続されているか否かを判定する。ステップ501において、外部メモリー61が接続されていると判定された場合には、ステップ502に移行する。一方、ステップ501において、外部メモリー61が接続されていないと判定された場合には、ステップ503に移行する。
【0056】
ステップ502では、コントローラ30が、外部メモリー61に登録された外乱の位置情報を自動的に読み込み、外乱位置記憶部33に記憶された外乱の位置情報を更新する。これにより、メモリー接続部36に外部メモリー61を接続した状態でシステムを起動すると、外部メモリー61に記憶された外乱の位置情報によって、外乱位置記憶部33のデータが自動的に更新される。
【0057】
ステップ503では、入力装置接続部35に外部入力装置80が接続されているか否かを判定する。ステップ503において、外部入力装置80が接続されていると判定された場合には、ステップ504に移行する。一方、ステップ503において、外部入力装置80が接続されていないと判定された場合には、図6におけるステップ601に移行する。
【0058】
ステップ504では、車両1の車速が0km/hを超えるか否かを判定する。ステップ504において、車速が0km/hを超えていないと判定された場合、即ち車両1が停車中の場合には、ステップ505に移行する。一方、ステップ504において、車速が0km/hを超えたと判定された場合、即ち車両1が走行を開始した場合には、図6におけるステップ601に移行する。
【0059】
続けて、ステップ505からステップ510は、外乱位置記憶部33に記憶された外乱の位置情報を、外部入力装置80を用いて編集するものである。なお、ステップ504において車速が0km/hを超えたと判定された場合には、ステップ601に移行するため、外部入力装置80を用いた手動の入力作業は、車両1が停車している場合にのみ可能である。外部入力装置80を用いた手動の入力作業は、車両1が走行を開始するまで、又は外部入力装置80が取り外されるまで繰り返される。
【0060】
ステップ505では、運転者によって、外部入力装置80から緯度の入力が行われる。このとき、警報表示部41に、「緯度を入力してください」という表示を行い、同時に警報ブザー42から「緯度を入力してください」という音声を鳴らしてもよい。同様に、ステップ506では、運転者によって、外部入力装置80から経度の入力が行われる。
【0061】
続けて、ステップ507及びステップ509では、地点登録スイッチ51及び地点削除スイッチ52の操作状態を判定する。ステップ507において、地点登録スイッチ51が操作されていると判定された場合には、ステップ508において、ステップ505及びステップ506で入力された緯度及び経度を、コントローラ30の外乱位置記憶部33に記憶し、ステップ503にリターンする。一方、ステップ507において、地点登録スイッチ51が操作されていないと判定された場合には、ステップ509に移行する。
【0062】
ステップ509において、地点削除スイッチ52が操作されていると判定された場合には、ステップ510において、ステップ505及びステップ506で入力された緯度及び経度を、コントローラ30の外乱位置記憶部33から削除し、ステップ503にリターンする。一方、ステップ509において、地点削除スイッチ52が操作されていないと判定された場合には、ステップ507にリターンする。
【0063】
図6におけるステップ601では、GPS装置20によって、車両1の絶対位置を取得する。ステップ602において、GPS装置20によって車両1の絶対位置を取得できた場合には、ステップ603に移行する。GPS装置20によって車両1の絶対位置が取得された場合には、警報条件判定部32では、外乱の位置情報を利用した判定が実行可能となる。一方、ステップ602において、GPS装置20によって車両1の絶対位置を取得できなかった場合には、ステップ610に移行する。これにより、GPS装置20によって車両1の絶対位置が取得されなかった場合には、外乱の位置情報を利用しないで判定が実行される。
【0064】
ステップ603では、地点登録スイッチ51が運転者によって操作されているか否かを判定する。ステップ603において、地点登録スイッチ51が操作されていると判定された場合には、ステップ604において、GPS装置20によって取得された車両1の絶対位置を、外乱位置記憶部33に記憶する。これにより、車両1が走行中の地点を、外乱位置記憶部33に登録することができる。車両1の運転者が、走行中に外乱が存在すると判断した場合には、その地点を外乱位置記憶部33に登録可能である。一方、ステップ603において、地点登録スイッチ51が操作されていないと判定された場合には、ステップ605に移行する。
【0065】
ステップ605では、外乱位置記憶部33に記憶された外乱の位置情報と、車両1が現在走行している絶対位置の位置情報とを比較する。ステップ605において、車両1の現在位置が、外乱の存在する位置から所定の範囲内であると判定された場合には、ステップ606に移行する。これにより、外乱が存在する地点を車両1が走行していると判定され、車線逸脱警報装置100によって車線逸脱警報を発することが停止される。一方、ステップ605において、車両1の現在位置が、外乱の存在する位置から所定の範囲内でないと判定された場合には、ステップ609に移行する。
【0066】
ステップ606では、車線逸脱警報が停止されていることの警告が行われる。具体的には、車線逸脱警報が停止されている旨が警報表示部41に表示され、警報音が警報ブザー42から発せられる。つまり、車両1が外乱位置記憶部33に記憶された地点から所定の範囲内に位置することによって車線逸脱警報が停止している場合、車線逸脱警報が停止していることが車両1の運転者に通知される。これにより、車線逸脱警報が停止中である旨が運転者に通知され、注意が促される。
【0067】
ステップ607では、地点削除スイッチ52が運転者によって操作されているか否かを判定する。ステップ607において、地点削除スイッチ52が操作されていると判定された場合には、ステップ608において、車両1の現在位置に該当する外乱の位置情報を外乱位置記憶部33から削除する。これにより、この地点において、車両1が走行車線を逸脱するおそれがある場合には、車線逸脱警報が発せられることとなる。車両1の運転者が、走行中に外乱が存在しないと判断した場合には、その地点を外乱位置記憶部33から削除可能である。一方、ステップ607において、地点削除スイッチ52が操作されていないと判定された場合には、ステップ601にリターンする。
【0068】
ステップ609では、カメラ10によって、車線逸脱警報を行うために必要な画像が撮像され、画像認識部31に送信される。画像認識部31では、画像内から路面5上の左右の白線6を認識し、白線6の位置や角度を警報条件判定部32に出力する。
【0069】
ステップ610では、警報条件判定部32によって、車線逸脱警報の作動条件が成立するか否かが判定される。ステップ610において、車線逸脱警報の作動条件が成立すると判定された場合には、ステップ611に移行する。一方、ステップ610において、車線逸脱警報の作動条件が成立しないと判定された場合には、ステップ601にリターンする。
【0070】
ステップ611では、車両1の現在位置が、過去に車線逸脱警報が発せられた地点から所定の範囲内であるか否かを判定する。ここでいう所定の範囲は、ステップ605における所定の範囲と同じ範囲である。
【0071】
ステップ611において、車両1の現在位置が過去に車線逸脱警報が発せられた地点から所定の範囲内であると判定された場合には、ステップ612に移行する。一方、ステップ611において、車両1の現在位置が過去に車線逸脱警報が発せられた地点から所定の範囲内でないと判定された場合には、ステップ613に移行する。
【0072】
ステップ612では、車線逸脱警報が同一の地点で二度発せられたことにより、この地点には外乱が存在するとして外乱位置記憶部33に位置情報を記憶する。これにより、車線逸脱警報が二度発せられた地点では、それ以降車線逸脱警報が発せられなくなる。
【0073】
ステップ613では、警報条件判定部32から表示制御部38及びブザー制御部39に対して、車線逸脱警報を発する命令が送信される。これにより、警報表示部41に表示される警報メッセージと警報ブザー42とによる車線逸脱警報が、運転者に向けて発せられる。
【0074】
ステップ614では、車線逸脱警報が発せられた地点の位置情報を、コントローラ30のメモリ内に記憶し、ステップ601にリターンする。これにより、ステップ611における過去に車線逸脱警報が発せられた地点との照合が可能となる。
【0075】
以上の実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
【0076】
外部メモリー61に記憶された外乱の位置情報によって、外乱位置記憶部33に記憶された外乱の位置情報を更新することができる。外部メモリー61は、インターネット接続されるパソコン62によって外部データベース70と通信可能である。そのため、外部データベース70にアップロードされた最新の状態に更新された外乱の位置情報のデータを、外部メモリー61を介して外乱位置記憶部33に記憶させることができる。
【0077】
よって、車両1が過去に走行したことのない区間であっても、外部メモリー61から更新した外乱の位置情報に基づいて車線逸脱警報を停止することができる。したがって、誤って車線逸脱警報が発生することを抑制することができる。
【0078】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【0079】
例えば、車両1が走行車線を逸脱するおそれがある場合に車線逸脱警報を発するのではなく、ステアリング操作をアシストする制御を行い、車両1が走行車線を逸脱しないようにする車線維持装置にも適用可能である。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明の車線逸脱警報装置は、走行中の車両が走行車線を逸脱することを防止する装置として利用することができる。
【符号の説明】
【0081】
100 車線逸脱警報装置
1 車両
5 路面
6 白線
10 カメラ
20 GPS装置
30 コントローラ
31 画像認識部
32 警報条件判定部
33 外乱位置記憶部
34 外乱位置更新部
35 入力装置接続部
36 メモリー接続部
41 警報表示部
42 警報ブザー
61 外部メモリー
62 パソコン
62b 通信部
70 外部データベース
80 外部入力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が走行車線を逸脱した又は逸脱するおそれがあると判定した場合に、当該車両の運転者に車線逸脱警報を発する車線逸脱警報装置であって、
前記車両の位置情報を受信する位置情報受信部と、
誤判定の原因となる外乱の位置情報を記憶する外乱位置記憶部と、を備え、
前記外乱位置記憶部に記憶された位置情報は、外部記憶装置に記憶された位置情報に基づいて更新され、
前記車両が前記外乱位置記憶部に記憶された地点から所定の範囲内に位置する場合には、前記車線逸脱警報を停止することを特徴とする車線逸脱警報装置。
【請求項2】
前記外乱位置記憶部は、前記外乱によって誤って車線逸脱警報が発生した誤警報地点の位置情報を記憶することを特徴とする請求項1に記載の車線逸脱警報装置。
【請求項3】
前記外部記憶装置は、外部メモリーであり、
前記外部メモリーが接続されるメモリー接続部を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の車線逸脱警報装置。
【請求項4】
前記外部記憶装置は、前記車両の外部に設置され外乱の位置情報が記憶された外部データベースであり、
前記外部データベースと通信可能な通信部を更に備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の車線逸脱警報装置。
【請求項5】
外部入力装置が接続される入力装置接続部を更に備え、
前記外乱位置記憶部は、前記外部入力装置から入力される位置情報によって更新されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の車線逸脱警報装置。
【請求項6】
前記車両が前記外乱位置記憶部に記憶された地点から所定の範囲内に位置することによって前記車線逸脱警報が停止している場合、前記車線逸脱警報が停止していることが前記車両の運転者に通知されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の車線逸脱警報装置。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−69053(P2012−69053A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−215222(P2010−215222)
【出願日】平成22年9月27日(2010.9.27)
【出願人】(000003908)UDトラックス株式会社 (1,028)
【Fターム(参考)】