説明

車載機器操作システム

【課題】車両の乗員が端末にバーコードを容易に読み取らせ、車載装置を操作することができる車載機器操作システムを提供すること。
【解決手段】記憶手段22に記憶された操作情報の読み取り手段23を備えた端末11と、端末11から操作信号を受信する通信装置12及び操作信号に基づき機器14を制御する制御装置13とを有する車載機器20と、を有し、車室内に表示又は埋設された記憶手段22から車載機器20の操作情報を読み取った端末11が、受け付けた操作と前記操作情報に基づき生成した前記操作信号を前記通信装置12に送信する、車載機器操作システム100であって、記憶手段2から操作情報を読み取り可能な位置に端末11を保持する保持手段21、を有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、端末が車載装置を操作する車載機器操作システムに関し、特に、端末が記憶手段から車載装置の操作情報を読み取り車載装置を操作する車載機器操作システムに関する。
【背景技術】
【0002】
高度化した技術が車両にも積極的に導入される結果、車両の高機能化・電子化が進み、車両には種々の電子機器が搭載されるようになった。例えば、電子機器を利用してレーザクルーズのような車両制御に関する車載装置だけでなく、ブルーレイディスクのようなAV装置に関する車載装置も導入が進んでいる。
【0003】
運転者が操作しやすいインストルメントパネル等には、このような種々の車載装置毎に専用のハードキーが搭載されるが、限られたスペースに多くのハードキーを搭載するため、ハードキーが多すぎて運転者が探しにくい、ハードキーが小さくて押しにくい、運転者からハードキーが目視できない、等の不都合が生じている。
【0004】
また、ハードキーに対応して機能が増えると、運転者はハードキーが何の機能のスイッチか分からないという不都合も生じる。ハードキーのキートップに機能名を印刷してもよいが、ハードキーの小型化が進んでいるので運転者が表記を読み取ることが困難になってきている。
【0005】
例えば、ナビゲーションシステムではタッチパネルと一体の表示装置に、車載装置毎に適切なソフトキーを配置することで、車載装置の多様化に対応している。しかし、この方法は、画面のデザインのコストアップや画面の階層化をもたらす。また、ナビゲーションシステムが高価なため、導入しずらい。
【0006】
また、1つのハードキーに複数の機能を割り当てるマルチスイッチにより、車載装置の多様化に対応することもできるが、運転者が押下回数と機能の関係を把握して操作しなければならないので、操作性が低下してしまう。
【0007】
また、外部のリモコンを利用することが考えられる。例えば、AV装置と一体のナビゲーションシステムでは、リモコンが付属していることが多い。しかし、このリモコンはナビゲーションシステムしか操作できないので、車載される車載装置の数や車載装置の機能の数が増えるとリモコンの数も増大してしまう。
【0008】
ここで、汎用的な機器を操作手段として活用することが考えられる(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1には、携帯電話でバーコードを読み取り、該バーコードに記述された情報コードに従って、指定されたデジタル家電を操作するバーコード表示媒体が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004−110148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載されたバーコード表示媒体は、バーコードの読み取りの支援について考慮されていないという問題がある。バーコードを読み取るには、バーコードに対し撮像素子を正しく配置しなければ、焦点が合わなかったり、バーコードの全体が撮像素子に撮影されない等の撮影ミスが生じやすい。しかしながら、特許文献1には、エアコン以外のテレビや電子レンジなどそれぞれのデジタル家電に対応したバーコードを読み取るとしか記載されていない。このため、運転者が携帯電話でバーコードを読み取らせることを面倒に感じるおそれがある。
【0011】
特に車両に乗車中、バーコードが正しく撮影されるように運転者が携帯電話の位置を調整することは困難な場合が多い。
【0012】
本発明は、上記課題に鑑み、車両の乗員が端末にバーコードを容易に読み取らせ、限られた運転席周囲のスペースで車載装置を操作することができる車載機器操作システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題に鑑み、本発明は、記憶手段に記憶された操作情報の読み取り手段を備えた端末と、前記端末から操作信号を受信する通信装置、及び、前記操作信号に基づき機器を制御する制御装置を有する車載機器と、を有し、車室内に表示又は埋設された前記記憶手段から前記車載機器の前記操作情報を読み取った前記端末が、受け付けた操作と前記操作情報に基づき生成した前記操作信号を前記通信装置に送信する、車載機器操作システムであって、前記記憶手段から前記操作情報を読み取り可能な位置に前記端末を保持する保持手段、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
車両の乗員が端末にバーコードを容易に読み取らせ、限られたインパネスペースで分かりやすい使い方や操作系を提供できる。従来は、ハード的又はディスプレイで意匠が限定されていたが、インパネを柔軟に設計できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】車載機器操作システムの概略を説明する図の一例である。
【図2】車載機器操作システムの概略構成図の一例である。
【図3】ガイドレールの側方断面図における、操作手段とバーコード又はICタグの相対位置を説明する図の一例である。
【図4】ガイドレールの正面図と側方位置決め手段の関係を示す図の一例である。
【図5】操作手段の使用状況を説明する図の一例である。
【図6】車載装置のスイッチと操作説明の一例を示す図である。
【図7】選択メニュー表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は、本実施形態の車載機器操作システム100の概略を説明する図の一例である。携帯電話がインストルメントパネルに形成されたガイドレール21に載置されている。ガイドレール21は、例えば、その周囲よりも凹状に窪むように形成され、携帯電話をガイドレール21に沿って摺動させることで、撮影手段23と各バーコード22の相対位置が定まりやすくなっている。
【0018】
したがって、運転者(以下、運転者には助手席や後席の乗員が含まれるものとする)は携帯電話を窪みに載置するだけで、バーコード22を読み取るために好適な場所に携帯電話を載置することができる。また、別のバーコード22を読み取る際、ガイドレール21の携帯電話を摺動させればよいので、携帯電話で複数のバーコード22を容易に読み取ることができる。
【0019】
図2は、車載機器操作システム100の概略構成図の一例である。車載機器操作システム100は、操作手段11と車両側機器20を有する。操作手段11は、ディスプレイ15を有し、バーコード22又はICタグを読み取れればよく、例えば、携帯電話、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)、UMPC(ウルトラモバイル
ピーシー)、等が例示される。また、いくつかのハードキーを有するスマートキー(登録商標。以下、電子キーという)にディスプレイ15や、バーコード22又はICタグを読み取れる機能が搭載されている場合、電子キーを操作手段11としてもよい。
【0020】
車両側機器20は、通信装置12、エアコン操作装置13、及び、エアコン本体14を有する。通信装置12は、例えば次の装置を実体とする。
【0021】
〔通信装置12〕
操作手段11が携帯電話の場合:Bluetooth(登録商標)通信装置(ハンズフリー通話用) or 赤外線通信装置
操作手段11が電子キーの場合:電子キー通信装置
・操作手段11が携帯電話で、通信装置12がBluetooth(登録商標)通信装置の場合
この場合、携帯電話もBluetooth(登録商標)通信装置を有する必要がある(以下、BT通信装置という)。2つのBT通信装置が通信する場合、両者をペアリングする作業(携帯電話のディスプレイ15に初期設定画面を表示して、パスキー(パスコード、PIN コード等とも呼ばれる)を入力する作業)が必要である。なお、自車両に乗車する場合はハンズフリー通話などが既に通信が可能なはずなのでペアリングの作業を省略してもよい。
【0022】
BT通信では、通信により利用可能な使用事例がプロファイルとして定義されている。両者のBT通信装置が同じプロファイルに従うことで、通信することが可能になる。本実施形態の使用事例は、各種の機器の操作である。このような使用事例に対しては、HID(Human Interface Device Profile)が知られている。また、オーディオ機器に対してはAVRCP(Audio/Video Remote Control Profile)が知られている。携帯電話と通信装置12のBT通信装置は、使用するプロファイルを指定してプロファイルに従って通信する。以下、操作手段11から通信装置12に送信される、車載装置の制御ための信号を制御信号情報という。
【0023】
・操作手段11が携帯電話で、通信装置12が赤外線通信装置の場合
この場合、携帯電話も赤外線通信装置を有する必要がある。赤外線通信装置は、標準規格であるIrDAの物理層規格(IrSIR、IrMIR等)に定められる変調方式基づき、赤外線による発光パルスをデジタルデータ化して互いに通信する。また、赤外線通信では、OSI基本参照モデルに基づき、その第2層から第4層に、装置発見手順、アクセス制御、論理経路の確立、フロー制御、データ分割再構成等の手順が規格化されている。また、第5層にはデータ交換用などのアプリケーションに対応したIrMC(Infrared Mobile Communication)等が規格化されている。携帯電話側のアプリケーションが、制御信号情報を生成し、第5層のファームウェアが提供するサービスを呼び出すことで、携帯電話の赤外線通信装置が赤外線通信により制御信号情報を通信装置12の赤外線通信装置に送信することが可能になる。
【0024】
・操作手段11が電子キーで、通信装置12が電子キー通信装置の場合
電子キーを搭載した車両は、ドアの外部から所定距離及び運転席周辺に電子キーの検知エリアを形成している。具体的には電子キー通信装置はリクエスト電波を定期的に送信しており、電子キーがリクエスト電波に応答してレスポンス電波を電子キー通信装置に送信する。
【0025】
本実施例では、乗員が電子キーのキーを押下したことをトリガーに、電子キーから電子キー通信装置に制御信号情報を送信する。こうすることで、乗員が車載装置を操作するときにだけ制御信号情報を送信することができ、電力消費を抑制できる。
【0026】
〔エアコン操作装置13、エアコン本体14〕
エアコン操作装置13は、運転者によるエアコン操作を受け付け、エアコン本体14を操作する装置である。エアコン操作装置13が提供する操作内容は、例えば、温度設定、風量の設定、風吹き出し口の選択、Auto設定(温度以外は風量、風吹き出し口、吹き出し口の選択を自動に任せる)等である。
【0027】
従来では、これらの操作に対応したハードキーがインストルメントパネルに設けられるか、又は、タッチパネルにソフトキーが生成されていた。本実施例でも、ハードキー又はソフトキーによるエアコン操作は可能である。運転者が、ハードキー又はソフトキーからエアコンを操作して、例えば温度設定した場合、エアコン操作装置13は、現在の室温と設定温度の差に応じて、エアコン本体14のコンプレッサの冷媒吐出量やヒータコアによる加熱量、冷媒を気化するエバポレータのバルブ開放量等を決定する。
【0028】
運転者が操作手段11から操作した場合、エアコン操作装置13はハードキー又はソフトキーによる操作と区別せずに同様にエアコン本体14を制御する。
【0029】
〔バーコード22又はICタグに記憶される情報〕
バーコード22又はICタグに含まれる情報について説明する。なお、バーコード22は2次元コードでなく1次元のバーコードでもよい。バーコード22としてQRコード(登録商標)が知られている。
【0030】
また、バーコード22をインストルメントパネルに貼付すると、意匠性が低下するおそれがあるので、バーコード22を記憶媒体に用いる場合、バーコード22を肉眼では不可視のインクで印刷していてもよい。例えば、常態では透明又はインストルメントパネルと同じ色の発光塗料でバーコード22を印刷しておき、操作手段11で読み出す際に操作手段11等が紫外線やブラックライトを照射する。こうすることで、意匠性を低下させずにバーコード22を貼付することが容易になる。また、バーコード22をカバーなどで隠しておいてもよい。
【0031】
バーコード22又はICタグには、通信装置12と通信するための情報、車載装置を操作するための情報(例えば、エアコン本体14の操作内容をエアコン操作装置13に指示するための情報等)が記憶されている。1つのバーコード22には1つの操作対象の車載装置のためだけの情報を含めてもよいし、1つのバーコード22に複数の操作対象の車載装置の情報を含めても良い。また、ICタグの場合は記憶容量が大きいので、1つのICタグは複数の操作対象の車載装置の情報を記憶することができる。
・通信装置12がBT通信装置の場合
操作対象の名称、必要なプロファイル、操作対象の車載装置に対し設定可能な機能のリスト、操作対象の車載装置に対し設定可能な各機能の制御信号情報
・通信装置12が赤外線通信装置の場合
操作対象の名称、操作対象の車載装置に対し設定可能な機能のリスト、操作対象の車載装置に対し設定可能な各機能の制御信号情報
「操作対象の名称」は、例えば、エアコン、AV装置、各種のウィンドウ等である。「必要なプロファイル」はエアコンの場合はHIDであり、AV機器の場合はAVRCPとなる。「操作対象の車載装置に対し設定可能な機能のリスト」は、例えばエアコンの場合、温度設定、ドライバ席の温度設定、助手席の温度設定、後席の温度設定、外気温の表示、空気清浄機能、等である。
【0032】
「操作対象の車載装置に対し設定可能な各機能の制御信号情報」は、例えば、「機能の識別情報+設定値」である。例えば、予め機能の識別情報が定められており、温度設定は「A」、ドライバ席の温度設定は「B」、助手席の温度設定は「C」、後席の温度設定は「D」、外気温の表示は「E」、空気清浄機能オンは「F」のように、操作手段11から操作を指示する機能の識別情報が定められている。また、設定値は、この場合は温度であるので温度の単位に応じた数値、例えば「25」等である。したがって、操作手段11は、運転者の操作に応じて「A+25」のような制御信号情報を通信装置12側に送信すればよいことになる。
【0033】
なお、「操作対象の車載装置に対し設定可能な各機能の制御信号情報」は、バーコード22やICタグに記憶させずに、操作手段11と通信装置12の間で通信が確立した後に、操作手段11が通信装置12を介してエアコン操作装置13から取得してもよい。例えば、操作対象の車載装置に機能が多く、バーコード22やICタグに記憶しきれない場合に有効である。
【0034】
〔操作手段11のアプリケーション〕
操作手段11は、バーコード22を読み取りデコードする撮影手段23、又は、ICタグを読み取るICタグ読み取り手段の少なくとも一方を有する。また、操作画面を表示するためのアプリケーションを記憶しており、アプリケーションを実行するためのCPUを有する。
【0035】
バーコード22を読み取る場合、運転者は予めアプリケーションを立ち上げておき、ICタグを読み取る場合は操作手段11がICタグを読み取ることで自動的にアプリケーションが立ち上がる。アプリケーションは、運転者の操作がなくてもバーコード22やICタグを自動で読み取る。
【0036】
アプリケーションは、操作対象の車載装置の操作画面をディスプレイ15に表示し、運転者の操作を受け付け、操作内容を制御信号情報に変換して通信装置12に送信する。アプリケーションは、バーコード22又はICタグから読み出した「操作対象の名称」から、画面を生成するための画面データを特定する。「操作対象の名称」が「エアコン」であれば、アプリケーションはエアコンの操作画面の画面データを読み出す。
【0037】
また、アプリケーションは、画面データに機能の名称を取り込むため、「操作対象の車載装置に対し設定可能な機能のリスト」に基づき、操作ボタンを決定する。操作ボタンには、テキストデータや記号、アイコン等が表示される。「操作対象の車載装置に対し設定可能な機能のリスト」が設定温度であれば、テキストデータは例えば「高くする」「低くする」であり、記号は「<」「>」等である。これらリストと操作ボタンの対応関係は、予めアプリケーションがテーブルデータとして保持している。
【0038】
そして、アプリケーションは「操作対象の名称」や「機能の名称」及び操作ボタンが含まれる画面をディスプレイ15に表示する。図1の例では、「ドライバ席温度設定(機能の名称)」「<」「>」が表示される。
【0039】
操作対象の車載装置を操作する場合、現在の設定をディスプレイ15に表示することが好ましい。このため、アプリケーションは、「操作対象の名称」から現在の設定を取得すべきであると判定して、通信装置12に現在の設定状況を送信するよう要求する。すわなち、現在の設定温度、現在のドライバ席の設定温度、現在の助手席の設定温度、現在の後席の設定温度、外気温、空気清浄機能のオン/オフの状態、要求する。こうすることで、アプリケーションは「現在の設定温度」等を取得できる。
【0040】
そして、アプリケーションは、操作画面に表示している機能(図1(a)の場合は「ドライバ席温度設定」という機能)に対応づけて、取得した設定温度を表示する。図1(a)の例では「25」が表示される。
【0041】
運転者は、ディスプレイ15に描画された「ドライバ席温度設定」からドライバ席の温度設定画面であることを把握し、取得した設定温度により現在の設定温度を把握し、「<」「>」からこのハードキーを押下することで温度を高くしたり低くできることを把握できる。また、タッチパネルに対応した操作手段11であれば、ディスプレイ15の「<」「>」をそのまま操作することもできる。運転者がハードキー又はディスプレイ15を押下すると、アプリケーションは表示している設定温度の値を増減する。
【0042】
運転者が例えば「決定」ボタンを押下すると、アプリケーションは「ドライバ席の設定温度」という機能に対し、「○○度」という操作を受け付ける。アプリケーションは、「操作対象の車載装置に対し設定可能な各機能の制御信号情報」に基づき、例えば「B+○○」という制御信号情報を通信装置12に送信する。通信装置12は受信した制御信号情報をエアコン操作装置13に送出するので、エアコン操作装置13は制御信号情報に基づきドライバ席の温度が設定された温度になるようにエアコン本体14を制御する。
【0043】
また、次述するガイドレール21に沿って操作手段11を摺動させると、図1(b)に示すように、操作手段11は1つのバーコード22分移動する。アプリケーションは、このバーコード22を読み取り、バーコード22に対応した次の車載装置の操作画面を表示する。図1(b)では、エアコン操作装置13の操作画面が表示されているが、例えばAV装置の操作画面を表示してもよい。バーコード22が含む情報量に応じて、操作手段11の載置位置と操作画面の関係は変更される。
【0044】
〔バーコード22又はICタグの貼付場所〕
バーコード22又はICタグは、インストルメントパネルやセンタークラスタに貼付される。また、所定のスイッチのキートップに貼付されてもよい。スイッチのバーコード22やICタグには、そのスイッチにより運転者が操作する車載装置を操作するための情報が記憶されている。
【0045】
また、バーコード22を貼付するのでなく、メータパネルの液晶表示部に表示してもよい。この場合、バーコード22の表示位置を修正したり、同じ位置に別のバーコード22を表示することが可能になり、バーコード22を常態では表示しないようにできる。
【0046】
〔ガイドレール21〕
ガイドレール21について説明する。ガイドレール21は、操作手段11がバーコード22又はICタグから情報を確実に読み取れるように、操作手段11の筐体とバーコード22又はICタグとの相対位置を規定する。
【0047】
図3(a)〜(c)は、ガイドレール21の側方断面図における、操作手段11とバーコード22又はICタグの相対位置を説明する図の一例である。インストルメントパネルの下方には、車幅方向に沿って段差が設けられている。図3(a)では4つの段差が設けられているが、1つ以上であれば5つ以上あってもよい。この段差がガイドレール21である。ガイドレール21よりも上方にはバーコード22又はICタグが貼付されている。一方、操作手段11は図示する位置に撮影手段23又はICタグ読み取り手段を有する。運転者はガイドレール21を使って、バーコード22又はICタグの位置に対し、撮影手段23又はICタグ読み取り手段を合わせることができる。
【0048】
図3(a)のように、操作手段11がガイドレール21の最上段に載置されていると、バーコード22又はICタグの位置と撮影手段23又はICタグ読み取り手段の位置がずれている。そこで、図3(b)に示すように、運転者が操作手段11をガイドレール21の3段目に載置すると、撮影手段23がバーコード22を撮影でき、又は、ICタグ読み取り手段がICタグを読み取ることができるようになる。
【0049】
操作手段11が携帯電話の場合、操作手段11のどこに撮影手段23又はICタグ読み取り手段が搭載されるかは機種によって様々なので、ガイドレール21に段差をもうけることで様々な機種に対応しやすくなる。一方、操作手段11が電子キーの場合、操作手段11のどこに撮影手段23又はICタグ読み取り手段が搭載されるかは車両のメーカが設計できるので、ガイドレール21の段差を1つとすることもできる。
【0050】
また、図3(c)に示すように、ガイドレール21をインストルメントパネルの上方にも設けてもよい。ガイドレール21がバーコード22又はICタグを挟んで上下にあれば、操作手段11の上部がインストルメントパネルに接触することを防止できる。また、バーコード22又はICタグと、撮影手段23又はICタグ読み取り手段の間に空間を設けることができるので、バーコード22やICタグのマークがかすれることを防止でき、撮影手段23がバーコード22を読み取りやすくなる。
【0051】
図4は、ガイドレール21の正面図と側方位置決め手段24の関係を示す。車両に搭載される車載装置の数が多くなると、インストルメントパネルに複数のバーコード22又はICタグが貼付されると考えられる。このため、ガイドレール21は、上下方向だけでなく、車幅方向における操作手段11の位置を決める側方位置決め手段24を有する。
【0052】
側方位置決め手段24は、ガイドレール21の段差に設けられた突起物である。突起物の段差に対する高さは、1〜5mm程度である。側方位置決め手段24を超えて操作手段11を車幅方向に移動するには、重力に逆らってこの高さだけ操作手段11の重心を移動させる必要がある。したがって、この突起物があることにより、運転者が操作手段11をガイドレール21に沿って車幅方向に摺動させた場合、操作手段11が係止されその位置が定まる。
【0053】
また、側方位置決め手段24である突起物を、バネやゴムなどの弾性体で、ガイドレール21から上方向に付勢してもよく、また、可逆変形するゴム等の部材で設けてもよい。このような場合、操作手段11を強く摺動させると側方位置決め手段24がガイドレール21内にストロークしたり変形するので、運転者の力加減によって操作手段11を側方位置決め手段24で係止させたり、通過させたりでき、操作性が向上する。
【0054】
側方位置決め手段24は、操作手段11の側面が接触した場合に、操作手段11の撮影手段23又はICタグ読み取り手段が、少なくともバーコード22を撮影できるように又はICタグを読み取れるように配置される。操作手段11の幅が5cmで、操作手段11の撮影手段23又はICタグ読み取り手段が幅方向の略中央に配置されている場合、側方位置決め手段24はバーコード22又はICタグの中央から車幅方向に2.5cm程度の位置に配置される。ガイドレール21における操作手段11の車幅方向の位置は、左側方又は右側方の一方が決まれば十分なので、側方位置決め手段24は携帯電話の幅よりも十分に広い間隔(例えば、6cm)で設けられる。運転者は、操作手段11の左側方又は右側方のどちらか一方だけが、側方位置決め手段24に当接するまで摺動させればよい。
【0055】
また、特にバーコード22の場合、撮影手段23とバーコード22の相対位置のずれの許容度が狭い可能性があるので、同じ情報を記憶したバーコード22を車幅方向に複数個配置したり、上下方向に複数個配置してもよい。こうすることで、撮影手段23がよりバーコード22を撮影しやすくなる。
【0056】
また、操作手段11の天地関係とバーコード22又はICタグの上下関係が一致している必要はない。ICタグではよく知られているように、ICタグの向きとICタグ読み取り装置の向きにはほとんど制約がなく、撮影手段23がバーコード22を上下逆さに撮影してもバーコード22をデコードできるためである。運転者が操作手段11の天地を逆さにガイドレール21に載置した場合、アプリケーションは操作手段11内のGセンサにより載置方向を検出して、ディスプレイ15に表示する操作画面の方向を逆にする。
【0057】
なお、運転者は、バーコード22又はICタグと操作対象の車載装置の対応関係を把握していなくてもよいし、把握していてもよい。把握させるため、例えばバーコード22又はICタグに操作対象の車載装置の名称やアイコンのシールを貼付する。このようなシールがない場合でも、運転者がガイドレール21に沿って操作手段11を摺動させ、ディスプレイ15を目視するだけで操作対象の車載装置を把握することができる。
【0058】
以上説明したように、本実施例の車載機器操作システム100は、操作手段11に車載装置を操作する画面を表示するので、ハードキーの車載スペースに制約がある場合も、操作内容を大きな画面で表示して操作することができる。バーコード22は比較的小さく、ハードキーと違い内部の配線が不要なので、インストルメントパネルに貼付する場合もそれほど車載スペースを占有しない。また、ガイドレール21を設けることで、運転中の運転者がほとんど視線移動することなく、操作手段11をバーコード22又はICタグに対し適切な位置に載置できる。
【実施例2】
【0059】
実施例1では、操作手段11をガイドレール21に載置することを特徴としたが、操作手段11を必ずしもガイドレール21に載置しなければ車載装置を操作できないわけではない。
【0060】
図5は、本実施例の操作手段11の使用状況を説明する図の一例である。車両が静止した状態では、運転者が操作手段11でバーコード22を撮影することは難しくなく、ICタグなら操作手段11を近づけるだけでも情報を読み取ることができる。
【0061】
また、ガイドレール21上で操作手段11がバーコード22又はICタグを読み取った後は、運転者が操作手段11を手に把持しても、操作手段11と通信装置12が通信することができる。通信装置12が赤外線通信装置の場合、運転者は操作手段11の受発光素子を通信装置12側の受発光素子に向ける必要があるが、この操作は走行中も困難ではない。また、通信装置12がBT通信装置の場合、運転者は操作手段11と通信装置12の距離さえ考慮する必要もない。
【0062】
したがって、操作手段11がバーコード22又はICタグを読み取った後は、運転者が操作手段11を把持して操作できる。
【実施例3】
【0063】
実施例1又は2では、操作手段11から操作することを前提にしたが、操作手段11から車載装置を操作するのでなく、操作手段11に車載装置の操作説明を表示してもよい。この場合、運転者は操作手段11に表示された操作説明を読んで車載装置の機能や操作方法を把握でき、直接、車載装置を操作することができる。
【0064】
図6は、車載装置のスイッチと操作説明の一例を示す図である。車両にPCS(Pre-Crash Safety)が搭載されている場合、PCSスイッチ25が配置されることがある。PCSスイッチ25のキートップには、バーコード22が貼付されている。バーコード22の代わりにICタグを埋設してもよい。
【0065】
操作手段11の撮影手段23がバーコード22を撮影してデコードすると、アプリケーションが図示するように操作内容をディスプレイ15に表示する。図ではPCSの操作説明として「前方の車に接近したときに警告音を鳴らし、ブレーキアシストする装置です。現在システムが動作するモードになっています。」と表示されている。運転者はこの操作説明を読んで、PCSスイッチ25をオフにしたりまたオンにすることができる。
【0066】
このような車載装置の機能の説明は、取扱説明書に記載されている。しかし、図示するようにスイッチにバーコード22又はICタグを配置しておくことで、運転者がわざわざ取扱説明書を読む手間を省くことができる。したがって、車載装置の使用率を向上させることができる。また、取扱説明書を簡易的に製本したり、取扱説明書の配布を省略することもできるので、省資源化が可能になる。
【0067】
なお、本実施例の車載機器操作システム100は、実施例1の車載機器操作システム100と共に車載することもできるし、単体で車載することもできる。
【実施例4】
【0068】
実施例1又は4にて説明したように、本実施形態の車載機器操作システム100は操作手段11から種々の車載装置を操作することができる。しかし、操作手段11のディスプレイ15も大きさには制限があるので、全ての車載装置の操作画面を一度に表示することは困難である。そこで、使用頻度の高い操作画面を優先的に呼び出せるようにする車載機器操作システム100について説明する。
【0069】
本実施例では、アプリケーションは、一度、バーコード22又はICタグから取得した、操作対象の名称、必要なプロファイル、操作対象の車載装置に対し設定可能な機能のリスト、操作対象の車載装置に対し設定可能な各機能の制御信号情報を記憶しておく。
【0070】
そして、アプリケーションは、運転者が操作する毎に、操作対象の名称及び操作対象の車載装置に対し操作した機能を特定し、操作回数をカウントする。例えば、運転者が、操作手段11から、ドライバ席の温度を設定した場合、アプリケーションは、エアコンのドライバ席の温度設定回数をN1回、のようにカウントする。したがって、アプリケーションは、各車載装置の操作回数(N1+N2+…)、及び、各車載装置の機能毎の操作回数N1を検出し保持している。
【0071】
運転者がアプリケーションを立ち上げた場合、すなわち、例えばバーコード22の読み取り用に立ち上げた場合や運転者が操作して立ち上げた場合、アプリケーションは操作頻度の高い順に選択メニューを表示する。なお、ICタグの読み取りによりアプリケーションが自動で立ち上がった場合、そのICタグに記憶された車載装置のための操作画面が表示されてもよいし、操作頻度に応じた選択メニューが表示されてもよい。
【0072】
操作頻度を利用した表示態様には次のようなものがある。
・過去の所定期間の操作回数が多い順に車載装置の機能を呼び出すメニューを表示する。
・同様に、過去の所定期間の操作回数が多い順に車載装置の操作画面を呼び出すメニューを表示する。
・操作した履歴の新しい順に、車載装置の機能を呼び出すメニューを表示する。
【0073】
また、運転者が、表示する車載装置の操作画面や機能を呼び出すメニューを自由に取捨して、選択メニュー表示画面をカスタマイズしてもよい。
【0074】
図7は、選択メニュー表示画面の一例を示す図である。図7の選択メニュー表示画面は、「過去の所定期間の操作回数が多い順に車載装置の機能を呼び出すメニューを表示」した選択メニュー表示画面である。例えば、操作回数の多い機能として、ディスプレイ15の上から順番に「ドライバ席温度設定」「助手席温度設定」「PCS SW」が表示されている。画面をスクロールさせることで、さらに別のメニューが表示される。
【0075】
運転者は、使用頻度の多い機能からメニューを選択でき、目的の機能の操作画面を早期に表示されることができる。運転者は、タッチパネルのディスプレイ15からそのままソフトキーを押下してもよいし、操作手段11に設けられた上下のハードキーで選択メニューを選択してもよい。
【0076】
このように、バーコード22又はICタグから取得した情報を記憶しておき操作回数をカウントすることで、各車載装置の操作画面を表示するだけでなく、運転者がよく使う機能のメニューを優先的に表示するなどのカスタマイズが可能になる。
【符号の説明】
【0077】
11 操作手段
12 通信装置
15 ディスプレイ
21 ガイドレール
22 バーコード(又はICタグ)
23 撮影手段(又はICタグ読み取り手段)
24 側方位置決め手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶手段に記憶された操作情報の読み取り手段を備えた端末と、
前記端末から操作信号を受信する通信装置、及び、前記操作信号に基づき機器を制御する制御装置を有する車載機器と、を有し、
車室内に表示又は埋設された前記記憶手段から前記車載機器の前記操作情報を読み取った前記端末が、受け付けた操作と前記操作情報に基づき生成した前記操作信号を前記通信装置に送信する、
ことを特徴とする車載機器操作システム。
【請求項2】
前記記憶手段から前記操作情報を読み取り可能な位置に前記端末を保持する保持手段、を有することを特徴とする請求項1記載の車載機器操作システム。
【請求項3】
前記保持手段は、前記端末が前記操作情報を読み取り可能な位置に該端末を摺動可能に案内する、
ことを特徴とする請求項2記載の車載機器操作システム。
【請求項4】
前記端末が、ハードキーの表面に表示又は埋設された前記記憶手段を読み取ると、該端末の表示部に前記ハードキーにより操作される前記車載機器の説明を表示する、
ことを特徴とする請求項1記載の車載機器操作システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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