説明

車載用ディスク装置及び車載用ディスク装置の記憶制御方法

【課題】ディスク装置が車両に搭載されているか否かを判断し、車両に搭載されているときのみ診断情報を更新記憶する車載用ディスク装置を提供する。
【解決手段】車載用のディスク装置であって、筐体内に設けたターンテーブルに装填されたディスクを回転駆動し、ディスクの再生処理を行う信号処理部と、筐体内の機器及び信号処理部の動作を制御するシステム制御部と、筐体内での機器の状態を検出して診断情報を生成する情報生成部と、診断情報を記憶する不揮発性メモリと、ディスク装置が車両に搭載されているか否かを判断し、車両に搭載されている場合は診断情報を不揮発性メモリに更新記憶し、車両に搭載されていない場合は診断情報の記憶更新を禁止するように制御する記憶制御部と、を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用ディスク装置に係り、特にエラーが発生したときの装置の状態を不揮発性メモリに記憶し、記憶した情報に基づいてエラー発生の原因解析を行う車載用ディスク装置及び記憶制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載用のチェンジャ型ディスク装置では、複数枚のディスクをトレイに保持し、所望のディスクを選択してターンテーブルに載せて再生するようにしている。チェンジャ型ディスク装置では、複雑な機構を備えているため、ディスクの誤挿入等によってエラーが発生した場合は、エラーの原因追及に時間がかかる。
【0003】
このため、エラー発生時の装置の状態を不揮発性メモリに記憶するようにしている。不揮発性メモリに記憶する情報は、エラーの原因を解析する診断情報として使用される。診断情報としては、エラー発生時の各種センサやスイッチの状態を示す情報のほかに、エラーに至るまでの状態遷移を示す情報(エラー・トレース情報)が記憶される。エラーの原因を診断する際には、不揮発性メモリに記憶した診断情報を読み出し、エラー発生の原因を把握するようにしている。
【0004】
ところで、ディスク装置にエラーが発生した場合、オーディオ製品メーカのサービスセンター等でエラー確認や一次解析が行われるが、その間に発生した新たなエラーや各種の操作に伴う状態遷移の情報が診断情報として不揮発性メモリに記憶される。
【0005】
このエラー確認や一次解析時の新たな診断情報は、エラーの原因を解析する上で診断の妨げとなるノイズでしかなく、ユーザ操作によってエラーが発生したときの直後の状態が保存されているのが望ましい。しかしながら、現状では製品がユーザの手元を離れたのか、サービスセンター等にあるのか、どのような状態にあるのかを切り分ける手段はなく、通電されている限り常に診断情報が更新記憶されていた。
【0006】
特許文献1には、機器(ディスク装置)の診断方法について記載されている。特許文献1の例では、診断機能部を実装した基板が機器に装着されていない基板単体時に、基板に通電がされたか否かを監視し、基板単体時に通電されたときは機器の状態を不揮発性メモリに保存しないようにしている。
【0007】
しかしながら、特許文献1の診断方法では、サービスセンター等において機器を分解せずに各種の確認操作を行った場合は、新たな診断情報が更新記憶されるため、更なる改善が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−287326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来のディスク装置では、エラーが発生した場合、オーディオ製品メーカのサービスセンター等でエラー確認や一次解析が行われるが、その間に発生した新たな診断情報が不揮発性メモリに記憶されるという不具合があった。また特許文献1の例では、機器を分解せずに各種の確認操作を行った場合は、新たな診断情報が更新記憶されるため、更なる改善が求められている。
【0010】
本発明はこのような事情に鑑みて、ディスク装置が車両に搭載されているか否かを判断し、車両に搭載されているときのみ診断情報を更新記憶するようにした車載用ディスク装置及び記憶制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の本発明は、車載用のディスク装置であって、筐体内に設けたターンテーブルに装填されたディスクを回転駆動し、前記ディスクの再生処理を行う信号処理部と、前記筐体内の機器及び前記信号処理部の動作を制御するシステム制御部と、前記筐体内での機器の状態を検出して診断情報を生成する情報生成部と、前記診断情報を記憶する不揮発性メモリと、前記ディスク装置が車両に搭載されているか否かを判断し、車両に搭載されている場合は前記診断情報を前記不揮発性メモリに更新記憶し、車両に搭載されていない場合は前記診断情報の記憶更新を禁止するように制御する記憶制御部と、を具備したことを特徴とする。
【0012】
請求項5記載の本発明は、車載用ディスク装置の記憶制御方法であって、筐体内に設けたターンテーブルにディスクを装填して前記ディスクの再生処理を行う際に、前記筐体内での機器の状態を検出して診断情報を生成し、前記ディスク装置が車両に搭載されているか否かを判断して、前記ディスク装置が車両に搭載されている場合は前記診断情報を不揮発性メモリに更新記憶し、車両に搭載されていない場合は前記診断情報の記憶更新を禁止することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明の車載用ディスク装置では、ユーザの手によらない操作/エラーは、診断情報として不揮発性メモリに更新記憶されないため、エラー発生の原因を解析する際に、邪魔な情報がなくなり解析を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の一実施形態に係る車載用ディスク装置の全体構成を示すブロック図。
【図2】同実施形態におけるホストとディスク装置の関係を示す構成図である。
【図3】不揮発性メモリに記憶される診断情報の一例を示す説明図。
【図4】診断情報を更新記憶する際の設定手順を示すフローチャート。
【図5】モードセレクトコマンドのフォーマットの一例を示す説明図。
【図6】診断情報の更新トリガが発生したときの更新記憶の手順を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、この発明の車載用ディスク装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【実施例1】
【0016】
図1は、車載用ディスク装置100の構成を示すブロック図であり、ディスクチェンジャ型の再生装置を例に示している。図1のディスク装置100は、ディスクDの回転や記録信号の検出等を行う再生メカ部10と、再生メカ部10で検出した信号を処理する信号処理部と、ディスクチェンジャ部30等を備えている。
【0017】
再生メカ部10とディスクチェンジャ部30は、筐体内に設けられた機器を構成する。また筐体内の機器には、ディスクDをターンテーブル11に載置したり、排出するための搬送機構(図示せず)も含まれる。
【0018】
再生メカ部10は、ディスクDの回転や記録信号の検出等を行う部分であり、ディスクDを載置するターンテーブル11と、ディスクDを一定の線速度で回転させるスピンドルモータ12と、ディスクDに記録された信号を検出する光ピックアップ13と、光ピックアップ13をディスクDの半径方向へ送るスレッドモータ14を備えている。
【0019】
サーボ制御部15は、後述するシステム制御部23等から供給される制御信号に応じて、スピンドルモータ12の回転を制御する。またサーボ制御部15は、光ピックアップ13のトラッキング制御、フォーカス制御、及びスレッドモータ14の駆動制御を行う。
【0020】
RFアンプ16は、光ピックアップ13によって読み出したデータに対応するRF信号を増幅してデジタル信号処理部17に供給する。またRFアンプ16は、RF信号からフォーカス制御用の信号及びトラッキング制御用の信号を分離して、これらの制御信号をサーボ制御部15に送る。
【0021】
サーボ制御部15は、フォーカス制御用の信号に基づいて光ピックアップ13のアクチュエータ(図示せず)を制御し、光ビームが、ディスクD上に常時ジャストフォーカスとなるように制御する。また、トラッキング制御用の信号に基づいてアクチュエータを制御し、光ピックアップ13のトラッキング方向の移動を制御する。これにより、データの再生を正確に行うことができる。
【0022】
デジタル信号処理部17は、RFアンプ16からのRF信号をデジタル化し、デジタル化された信号の復調処理と誤り訂正処理を行い、信号処理の過程で得られたデータをRAM18に格納する。またデジタル信号から制御信号を分離し、分離した制御信号をサーボ制御部15及び後述するシステム制御部23に送る。
【0023】
オーディオデコーダ19は、ディスクDに記録した信号の圧縮方法に応じた復号化処理を行い、復号化処理の過程で得られたデータをRAM20に格納する。オーディオデコーダ19の出力はオーディオ出力部21に供給される。オーディオ出力部21は、D/A変換器を含みデジタルオーディオ信号をアナログオーディオ信号に変換してスピーカ22に出力する。RFアンプ16からスピーカ22までの回路は、ディスクDを回転駆動しディスクDの再生処理を行う信号処理部を構成する。
【0024】
システム制御部23は、CPU、ROM、RAM等を含むマイクロコンピュータであり、ROMに格納されたプログラムに従ってディスク装置100内の機器及び信号処理部の動作を制御する。またシステム制御部23は、デジタル信号処理部17からの信号を受けてサーボ制御部15等を制御する。またホストコンピュータ40(以下、ホストと略称する)からの各種の指示信号を受けて再生、停止、早送り、ボリューム設定などの各種制御を行う。
【0025】
システム制御部23には、温度検出部24、不揮発性メモリ25(EEPROM)が接続されている。温度検出部24は、ディスク装置100の内部温度を測定するものであり、EEPROM25は、エラーが発生した場合に、エラーの原因を解析する診断情報を記憶する。
【0026】
CDチェンジャ部30は、複数枚(図では4枚)のディスクが保持されたトレイ31と、ディスクの交換を行うチェンジャ32を備えている。ディスクの交換時にチェンジャ32は、再生メカ部10のターンテーブル11に載置されているディスクDをトレイ31に戻し、トレイ31から所望のディスクを選択してターンテーブル11に載せるように動作する。
【0027】
このようなディスクの交換制御を行うために、ディスクチェンジャ部30及び再生メカ部10には、ディスクを移動する移動機構(トラバース、ローラ等)と、ディスクやトレイ31の位置を検出する複数のメカニカルスイッチやフォトセンサ(図示せず)を設けている。
【0028】
システム制御部23は、ディスクチェンジャ部30を制御するメカ制御信号をディスクチェンジャ部30に供給し、ディスクチェンジャ部30から複数のメカニカルスイッチやフォトセンサの検出信号を受信し、ディスク交換時にディスクチェンジャ部30及び再生メカ部10の機構系を制御する。
【0029】
システム制御部23は、ホストコンピュータ(以下、ホストと略称する)とのインターフェースを備え、ホストからの指示に従って例えば所望のディスクを選択し、所望の曲を再生するよう制御する。
【0030】
図2は、ホスト40とディスク装置100との関係を示す構成図である。図2において、100はディスク装置であり、再生メカ部10とディスクチェンジャ部30などを備えている。ディスク装置100のシステム制御部23は、インターフェース26を介してバスライン41に接続されている。バスライン41にはホスト40が接続されており、ディスク装置100はホスト40からのコマンドを、インターフェース26を介してシステム制御部23に送ったり、ディスク装置100のデータをホスト40に送る。
【0031】
またバスライン41には、ラジオチューナ42、TV(テレビ)チューナ43等の受信機器が接続されており、ホスト40はユーザの指示に応答してディスク装置100、ラジオチューナ42、TVチューナ43のいずれかを選択してソース切り替えを行い、任意の受信機器を動作させる。ラジオチューナ42、テレビチューナ43以外にHDDプレーヤなどが接続されることもある。
【0032】
またバスライン41には、車両情報部44からの車両情報が供給される。車両情報としては、車両の速度を示す車速情報や、車両が停車していることを示すパーキングブレーキ情報などがある。車両の本体部とバスライン41は、例えばコネクタを介して接続されており、ディスク装置100は、ホスト40を介して車両情報を入手することができる。
【0033】
尚、ディスク装置100が故障した場合などは、車両から取り外してサービスセンター等で修理・点検等を行うが、ディスク装置100が車両から取り外された場合は、ラジオチューナ42、TVチューナ43との接続が断たれ、また車両情報の入手が途切れるため、車両から取り外されたことをディスク装置100側で判別することができる。
【0034】
またシステム制御部23には、EEPROM等の不揮発性メモリ25が接続されている。本実施形態では、ディスクDの誤挿入や異型ディスクの挿入、あるいはディスクチェンジ時のチェンジミスによりディスクがトレイに引っ掛かった場合など、エラーの発生時に、エラーの原因を解析する診断情報(DIAG情報)を不揮発性メモリ25に記憶する(DIAGは、Diagnosisの略)。
【0035】
DIAG情報としては、ディスクチェンジャ部30でのスイッチ/センサ信号だけでなく、エラーに至るまでの状態遷移を示す情報(エラー・トレース情報)を記憶する。DIAG情報には、エラー発生までの状態遷移が記憶されているため、この診断情報を読み出すことにより、どの様な過程を経てエラーに至ったのか等、発生メカニズムが把握可能となる。
【0036】
ディスクチェンジャ部30や再生メカ部10は、筐体内の機器の状態を検出するためメカニカルスイッチやセンサを有し、筐体内の機器の状態を示す診断情報(DIAG情報)をシステム制御部23に送る。またシステム制御部23は、エラー発生時の時間情報等を生成する。したがって、ディスクチェンジャ部30、再生メカ部10、システム制御部23は、情報生成部を構成する。
【0037】
図3は、EEPROM25に格納されるDIAG情報の一例を示す。DIAG情報は、定期的あるいはエラー発生時にEEPROM25に記憶され、記憶された情報を用いてエラー発生原因の解析などを行う。
【0038】
図3において、通番1は最新ステータス状態、例えば、ディスク挿入待ち、プレイ中、ディスク排出待ち、チャッキング確認、チャッキング解除、トレイ上昇中、トレイ下降中等、機構系の状態を示す情報であり、最新の状態をEEPROM25の所定の記憶エリアに上書き保存する。
【0039】
そのほか通番2〜9で示すような各種のDIAG情報(メカの通電時間、ディスクロード回数、イジェクト回数、トレイのチェンジ回数、各動作のリトライ/リカバリ発生回数)が格納される。また通番10に示すような、ユーザ原因とみられる異常操作履歴の情報も記憶される。そのほか、装置内部の最高温度及び最低温度を温度検出部24によって検出し時間情報と共にEEPROM25に記憶してもよい。
【0040】
ところで、ディスク装置100が故障した場合、オーディオ製品メーカのサービスセンター等でエラー確認や一次解析が行われるが、先にも述べたようにサービスセンター等で生じた新たなエラー情報や状態遷移情報がEEPROM25に記憶されると、エラーの原因を解析する上で妨げとなる。
【0041】
そこで本発明の実施形態では、ディスク装置100が車両に取り付けられている場合のみDIAG情報をEEPROM25に記憶し、ディスク装置100が車両から取り外された場合には、DIAG情報をEEPROM25に更新記憶しないようにした点に特徴がある。
【0042】
図4は、DIAG情報を更新記憶する際の設定手順を示すフローチャートである。DIAG情報をEEPROM25に記憶するか否かの設定は、ディスク装置100のモードセレクトコマンドにDIAG更新機能のオン/オフ設定を登録することで実現することができる。モードセレクトコマンドの設定は、車両情報の有無やラジオチューナ42、TVチューナ43からの信号入力の有無に応じてシステム制御部23の制御のもとに行われる。
【0043】
図4において、ステップS0(メカ起動)はディスク装置100の起動を示し、ステップS1では、車速信号入力があるか否かを判断する。車速信号入力がある場合はステップS5に進み、車速信号入力がない場合は、ステップS2でパーキングブレーキ信号入力があるか否かを判断し、パーキングブレーキ信号入力がある場合はステップS5に進む。
【0044】
またパーキングブレーキ信号入力がない場合は、ステップS3でラジオチューナ42,TVチューナ43からの信号入力があるか否かを判断し、信号入力がある場合はステップS5に進む。ラジオチューナ42,TVチューナ43からの信号入力がない場合は、ステップS4に進む。
【0045】
ステップS4では、車両情報(車速信号、パーキングブレーキ信号等)の入力がなく、受信機器(ラジオチューナ42,TVチューナ43)からの信号入力もないときに、DIAG情報の更新設定をオフにして、EEPROM25への記憶更新を禁止するように設定する。またステップS5では、車両情報(車速信号、パーキングブレーキ信号等)又は受信機器(ラジオチューナ42,TVチューナ43)からの信号入力があるときに、DIAG情報の更新設定をオンにしてEEPROM25への更新記憶を行うように設定する。ステップS6では、メカ起動後にモードセレクトコマンドを送信し、ディスク装置100の動作設定を行う。
【0046】
図5は、モードセレクトコマンドのフォーマットの一例を示す。モードセレクトコマンドは、ディスク装置100の動作を設定するコマンドであり、イジェクトエラーやロードエラーがあったときのリトライ回数や、圧縮メディア毎の再生対応、特殊再生の動作など、各種の設定を変更することができる。例えば、図5の最下欄のReservedに、DIAG情報の更新をオン/オフ設定するコマンドを登録する。したがって、メカ起動時、ディスク装置100は車両に搭載されているか否かを判別し、搭載されていなければDIAG更新機能をオフにし、搭載されていればDIAG更新機能をオンにする。
【0047】
図6は、DIAG情報の更新トリガが発生したときのEEPROM25への更新記憶の手順を示すフローチャートである。EEPROM25への更新記憶は、システム制御部23の制御のもとに行われる。したがって、システム制御部23はEEPROM25へのDIAG情報の記憶更新を制御する記憶制御部としての機能を有する。
【0048】
図6において、ステップS10は、DIAG情報の更新トリガ発生ステップであり、エラー発生等がトリガとなる。ステップS11では、車速信号入力があるか否かを判断する。車速信号入力がある場合はステップS16に進み、車速信号入力がない場合は、ステップS12でパーキングブレーキ信号入力があるか否かを判断し、パーキングブレーキ信号入力がある場合は、ステップS16に進む。
【0049】
またパーキングブレーキ信号入力がない場合は、ステップS13でラジオチューナ42,TVチューナ43からの信号入力があるか否かを判断し、信号入力がある場合はステップS16に進む。ラジオチューナ42,TVチューナ43からの信号入力がない場合は、ステップS14に進む。ステップS14は、DIAG情報の更新設定が手動操作によってオンまたはオフされたかを判断するステップであり、オン設定されているときは、ステップS16に進み、オフ設定されているときはステップS15に進む。
【0050】
こうしてステップS15では、車両情報(車速信号、パーキングブレーキ信号等)の入力がなく、受信機器(ラジオチューナ42,TVチューナ43)からの信号入力もなく、かつ手動操作によって更新設定がオフされているときは、DIAG情報の更新記憶を禁止する。またステップS16では、車両情報(車速信号、パーキングブレーキ信号等)又は受信機器(ラジオチューナ42,TVチューナ43)からの信号入力があるとき、或いは手動操作によって更新設定がオンされているときは、DIAG情報の更新記憶を許可する。
【0051】
ディスク装置100が修理・点検のためにマーサービスセンター等に持ち込まれたとき、車両から取り外されているため、新たなDIAG情報が記憶されることはない。つまりディスク装置100が車両に搭載されている場合、走行していれば車速信号が得られるし、駐車していればパーキングブレーキ信号が得られる。また停車中であってもラジオ又はTVが受信されている。したがって、この3つの信号の内いずれかがディスク装置100に入力されていれば車両に搭載されているとみなし、DIAG情報の更新を許可する。いずれの信号も入力されていなければ車両には搭載されていないと判断し、DIAG情報の更新を禁止する。
【0052】
このように、本発明の車載用ディスク装置では、ユーザの手によらない操作/エラーは、DIAG情報として記憶されないため、エラー発生の原因を解析する際に、邪魔な情報がなくなり解析を容易にすることができる。
【0053】
尚、本発明の実施形態は、以上説明した構成に限定されるものではない。例えば、診断情報(DIAG情報)をEEPROMに記憶する例を説明したが、EEPROMに限ることはなく、不揮発性メモリであれば良い。また複数のトレイにディスクを収納して、いずれか1枚のディスクを再生するようにしたチェンジャ型ディスク装置について説明したが、1枚のディスクを再生するタイプのディスク装置に適用することもできる。また特許請求の範囲を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0054】
100…ディスク装置
D…ディスク
10…再生メカ部
11…ターンテーブル
12…スピンドルモータ
13…光ピックアップ部
14…スレッドモータ
15…サーボ制御部
16…RFアンプ
17…デジタル信号処理部
18,20…RAM
19…オーディオデコーダ
21…オーディオ出力部
22…スピーカ
23…システム制御部
24…温度検出部
25…不揮発性メモリ(EEPROM)
26…インターフェース
30…ディスクチェンジャ部
31…トレイ
32…チェンジャ
40…ホスト
41…バスライン
42…ラジオチューナ
43…TVチューナ
44…車両情報部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載用のディスク装置であって、
筐体内に設けたターンテーブルに装填されたディスクを回転駆動し、前記ディスクの再生処理を行う信号処理部と、
前記筐体内の機器及び前記信号処理部の動作を制御するシステム制御部と、
前記筐体内での機器の状態を検出して診断情報を生成する情報生成部と、
前記診断情報を記憶する不揮発性メモリと、
前記ディスク装置が車両に搭載されているか否かを判断し、車両に搭載されている場合は前記診断情報を前記不揮発性メモリに更新記憶し、車両に搭載されていない場合は前記診断情報の記憶更新を禁止するように制御する記憶制御部と、
を具備したことを特徴とする車載用ディスク装置。
【請求項2】
前記記憶制御部は、車両情報の有無に応じて前記ディスク装置が車両に搭載されているか否かを判断することを特徴とする請求項1記載の車載用ディスク装置。
【請求項3】
前記記憶制御部は、前記ディスク装置に接続された受信機器からの信号入力の有無に応じて前記ディスク装置が車両に搭載されているか否かを判断することを特徴とする請求項1記載の車載用ディスク装置。
【請求項4】
前記筐体内の機器は、複数のトレイに保持したディスクを選択して前記ターンテーブルに載置するディスクチェンジャ部と、前記ディスクに記録した情報をピックアップする再生メカ部を含み、前記不揮発性メモリは、少なくともエラーが発生したときの前記ディスク及び前記トレイの状態を示す情報を前記診断情報として記憶することを特徴とする請求項1記載の車載用ディスク装置。
【請求項5】
車載用ディスク装置の記憶制御方法であって、
筐体内に設けたターンテーブルにディスクを装填して前記ディスクの再生処理を行う際に、前記筐体内での機器の状態を検出して診断情報を生成し、
前記ディスク装置が車両に搭載されているか否かを判断して、前記ディスク装置が車両に搭載されている場合は前記診断情報を不揮発性メモリに更新記憶し、車両に搭載されていない場合は前記診断情報の記憶更新を禁止することを特徴とする車載用ディスク装置の記憶制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−272157(P2010−272157A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121922(P2009−121922)
【出願日】平成21年5月20日(2009.5.20)
【出願人】(504113008)東芝アルパイン・オートモティブテクノロジー株式会社 (110)