説明

車載用バックカメラアダプター

【課題】車体の位置を微調整するときに、バックカメラからの映像を車載用モニタで確認可能にすると共に、取付容易な車載用バックカメラアダプターを提供する。
【解決手段】車載用バックカメラアダプター10は、バックギアRへのシフトチェンジを検知する検知手段11と、カーナビゲーション又はカーテレビによる通常画像と、バックカメラ3で撮像した車体後方画像とをバックギア検知信号に従って切り替える画像切替手段12との間に、バックギア検知信号を一定時間遅れて出力する遅延回路20と、該遅延回路20を回避してバックギア検知信号を直接出力するバイパス回路21を有している。遅延回路20によって、バックギアRをドライブギアDにシフトチェンジした後も、一定時間バックギア検知信号は画像切替手段12に流れ、車載用モニタ4は車体後方画像を表示するので、車載用モニタ4で車体位置を確認しながら、該車体位置を微調整することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車載用モニタと車体の後方視界を撮像するバックカメラとを接続する車載用バックカメラアダプターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バックギアにシフトチェンジしたとき、バックカメラを起動させて、車体後方の視界、特に死角となる範囲を中心に撮像した映像をバックモニタに表示することにより、ドライバーに対して車体をバックさせる際の運転補助を行っている。そのため、ドライバーは、バックモニタを確認することにより、死角に位置する車体後方の障害物の存在や、駐車場の区画線までの距離等を容易に確認することができる。
なお、バックカメラとは、車体の後方視界を撮像するカメラであって、トランクリッドやバックウインドウの枠に固定又はパン・チルト方向に可動可能に取り付けられているカメラをいう。また、バックモニタとは、カーナビゲーションシステム或いはカーテレビの車載用モニタと兼用され、通常時にはナビゲーション画面又はテレビ放送画面を表示し、バックギアにシフトチェンジされたときのみ車体の後方画像を表示するモニタをいう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】引用無し
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のバックカメラは、バックギアへシフトチェンジしたとき、バックギア電圧信号を該バックカメラの電源に直接入力して、該バックカメラを作動させている。
ここで、バックギア電圧信号とは、トランスミッションからメーターパネル等に設けられたシフトインジケータに伝送され、現在のシフト位置を表示するための電圧信号のうち、バックギアに入ったことを報知する電圧信号をいう。
上記のように、バックカメラは、バックギア電圧信号で直接作動させられていることから、車載用モニタに表示される車体の後方画像は、バックギアから他のギアにシフトチェンジしたとき、すなわち、バックギア電圧信号がバックカメラに入力されなくなると、バックカメラから車載用モニタへ車体の後方画像が伝送されなくなっている。
このようにシフトチェンジと共に車載用モニタの表示画面がすぐさま切り替わると、ドライバーが、車体後方の死角にある障害物から少しだけ車体を前に離したい場合や、駐車場の区画線に対して車体が平行か否か確認したい場合等、車体の位置を微調整したいときに、車載用モニタで確認することができない。
【0005】
また、上記のバックカメラを作動させるバックギア電圧信号は、トランスミッションとシフトインジケータとを接続している信号線をコネクタ等で分岐して用いている。
しかし、バックギアの電圧信号線は、ハーネス等により他のギアの電圧信号線とまとめられていることから、見つけ難い。
そのため、取付作業の際には、バックカメラと電圧信号線を一本一本を接続してカメラテストをしながら作業を行ったり、或いは、テスターで信号線の電圧を一本一本計測しながら取り付ける等しなければならないので、手間がかかっている。
【0006】
上記の課題を解決するためになされた本発明は、車体の位置を微調整するときに、バックカメラからの映像を車載用モニタで確認可能にすると共に、取付容易な車載用バックカメラアダプターを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の車載用バックカメラアダプターは、カーナビゲーションシステム又はカーテレビ類の通常画像を表示する車載用モニタと、車体の後方視界を撮像するバックカメラと、前記車載用モニタに前記通常画像又は前記バックカメラで撮像した車体後方画像を択一的に切り替えて表示させる画像切替手段と、バックギアにシフトチェンジされている間、バックギア検知信号を前記画像切替手段に出力する検知手段とを備え、前記画像切替手段に前記バックギア検知信号が入力されている間、前記車載用モニタに前記車体後方画像を表示するようにした車載用バックカメラアダプターであって、前記検知手段と前記画像切替手段の間に、前記バックギア検知信号を一定時間遅らせて前記検知手段から前記画像切替手段へ伝送する遅延回路と、該遅延回路を回避して前記バックギア検知信号を前記検知手段から前記画像切替手段へ直接伝送するバイパス回路とを設けたことを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の車載用バックカメラアダプターは、請求項1に記載の発明において、前記画像切替手段として、
前記バックカメラに供給する電源を接続又は遮断し、前記バックギア検知信号が入力されている間、該バックカメラに電源を供給するバックカメラ用電源スイッチと、
前記車載用モニタに表示される前記通常画像と前記車体後方画像とを切り替え、前記バックギア検知信号が入力されている間、前記車載用モニタに前記車体後方画像を表示する表示画面切替信号を前記車載用モニタに出力する出力端子とを設けたことを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の車載用バックカメラアダプターは、請求項1若しくは請求項2に記載の発明において、前記検知手段に直接接続され、前記バックギア検知信号が入力されている間、点灯する表示灯を設けたことを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の車載用バックカメラアダプターは、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の発明において、前記バックカメラが撮像する車体の後方視界を照射するバックライトを設け、
該バックライトに供給する電源を接続又は遮断し、前記バックギア検知信号が入力されている間、該バックライトに電源を供給するバックカメラ用電源スイッチを前記画像切替手段に並設したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の車載用バックカメラアダプターによれば、バックギア検知信号を一定時間遅らせて検知手段から画像切替手段へ伝送する遅延回路を、検知手段と画像切替手段の間に設けたことにより、バックギアから他のギアへシフトチェンジした後も、車載用バックカメラアダプターは、遅延回路を介して画像切替手段へ一定時間遅れて伝送されるバックギア検知信号によって、バックカメラを撮像可能にしておくことができる。そして、車載用バックカメラアダプターは、一定時間遅れて画像切替手段に伝送されるバックギア検知信号によって、バックカメラで撮像した車体後方の画像を、一定時間車載用モニタに表示することができる。
そのため、ドライバーは、車を僅かな時間前進させて車体の位置を微調整したいとき、車載用モニタで車体後方の画像を確認することができる。
一方、遅延回路を回避してバックギア検知信号を検知手段から画像切替手段へ直接伝送するバイパス回路とを、検知手段と画像切替手段の間に設けたことにより、他のギアからバックギアにシフトチェンジしたとき、車載用バックカメラアダプターは、バイパス回路を介して直接画像切替手段に伝送されるバックギア検知信号によって、バックカメラを瞬時に立ち上げることができる。そして、車載用バックカメラアダプターは、直接画像切替手段に伝送されるバックギア検知信号によって、車載用モニタの表示画面をカーナビゲーション又はカーテレビの通常画像から車体後方画像へ瞬時に切り替えることができる。
【0012】
請求項2に記載の車載用バックカメラアダプターによれば、バックカメラに供給する電源を接続又は遮断するバックカメラ用電源スイッチを設けた。これにより、バックカメラの電源を入れたり、或いは切ったりすることでバックカメラの作動或いは非作動を制御することができる。
このとき、バックギア検知信号は遅延回路を通って、バックカメラ用電源スイッチへ一定時間遅れて伝送されるので、バックギアから他のギアへシフトチェンジした後も、車載用バックカメラアダプターは、バックカメラを一定時間撮像可能にしておくことができる。
そのため、ドライバーは、車を僅かな時間前進させて車体の位置を微調整したいとき、車載用モニタで車体後方の画像を確認することができる。
一方、車載用モニタに表示される通常画像を車体後方画像へ切り替える表示画面切替信号を、車載用モニタに出力する出力端子を設けた。これにより、車載用モニタにバックカメラで撮像した車体の後方画像を割り込ませて表示することができる。
このとき、表示画面切替信号は、バックギア検知信号にしたがって、遅延回路から一定時間遅れて車載用モニタに伝送されるので、バックギアから他のギアへシフトチェンジした後も、車載用バックカメラアダプターは、一定時間車載用モニタに車体後方の画像を、表示することができる。
そのため、ドライバーは、車を僅かな時間前進させて車体の位置を微調整したいとき、車載用モニタで車体後方の画像を確認することができる。
【0013】
請求項3に記載の車載用バックカメラアダプターによれば、前記検知手段に表示灯を直接接続したことにより、他のギアからバックギアにシフトチェンジしたときに、該表示灯を瞬時に点灯させることができ、バックギアから他のギアにシフトチェンジしたときに、該表示灯を瞬時に消灯させることができる。これにより、該表示灯の点滅で車載用バックカメラアダプターが正常に起動していることを容易に確認することができる。
また、車載用バックカメラアダプターの取付作業においては、該表示灯が点灯していることをもって、バックギア電圧信号が車載用バックカメラアダプターへ正常に伝送されていることを確認することができる。
その後、車載用バックカメラアダプターを介して、バッテリーとバックカメラを繋ぎ、車載用モニタへ画像表示切替信号を出力するケーブルを車載用バックカメラに繋ぐことで、バックカメラとバックギア電圧信号線を直接繋ぐ作業よりも、バックカメラの取付作業を容易にすることができる。
【0014】
請求項4に記載の車載用バックカメラアダプターによれば、バックカメラの照明補助用にバックライトを設けると共に、該バックライトに供給する電源を接続又は遮断するバックライト用電源スイッチを設けた。これにより、バックライトの電源を入れたり、或いは切ったりすることでバックライトの点滅を制御することができる。
このとき、バックギア検知信号は遅延回路を通って、バックライト用電源スイッチへ一定時間遅れて伝送され、バックカメラの作動タイミングと容易に同期するので、ドライバーは、車を僅かな時間前進させて車体の位置を微調整したいとき、バックライトで明るく照らされた車体後方の画像を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施例に係る車載用バックカメラアダプターの構成の概略を示すブロック図である。
【図2】本実施例に係る車載用バックカメラアダプターの入出力端子のオン・オフを示すタイミングチャートを示す説明図である。
【実施例1】
【0016】
本実施例に係る車載用バックカメラアダプター10を、添付した図1にしたがって、以下、説明する。
車載用バックカメラアダプター10には、トランスミッション1からのバックギア電圧信号線2、バックカメラ3、車載用モニタ4、及びバックライト5が接続されている。
バックカメラ3とは、バックギアRにシフトチェンジしたとき起動して、車体の後方視界を撮像するカメラをいう。バックカメラ3で撮像された車体の後方視界の画像は、車載用モニタ4に表示される。
バックライト5とは、バックギアRにシフトチェンジしたとき点灯して、車体の後方のバックカメラ3の撮像エリアを照射するライトをいう。バックライト5は、予め車体に取り付けられているライトに加えて、さらにバックカメラ3の撮影補助用として補助バックライトを取り付けても良い。
ここで、車載用バックカメラアダプター10は、検知手段11と、画像切替手段12と、表示灯13を有している。また、検知手段11と画像切替手段12との間には、遅延回路20とバイパス回路21が形成されている。
遅延回路20は、入力信号を一定時間遅らせて検知手段11から画像切替手段12へ伝送する回路であって、バイパス回路21は、該遅延回路20を回避して入力信号を検知手段11から画像切替手段12へ直接伝送する回路である。
【0017】
検知手段11は、信号入力端子25を有し、トランスミッション1が、他のギア(以下「ドライブギアD」という)からバックギアRにシフトチェンジしたか、或いはバックギアRからドライブギアDへシフトチェンジしたかを検知している。
当該シフトチェンジを検知する信号は、バックギアRの電圧信号を用いている。バックギアRの電圧信号とは、トランスミッション1でバックギアRにシフトしたとき、12Vの電圧が印加され、他のギアにシフトしたときに0Vとなる信号をいう。該電圧信号は、シフトチェンジしたことをメータパネル等に設けたシフトインジケータの「R」ポジションを点灯させて、バックギアにシフトチェンジしたことをドライバーに報知するために用いられている。
バックギアRの電圧信号は、バックギア電圧信号線2をトランスミッション1から検知手段11に向かって伝送し、該電圧信号線2は、信号入力端子25に接続されている。
さらに、検知手段11は、画像切替手段12に向かって、バックギアRの電圧信号に基づくバックギア検知信号を出力している。
本実施例において、バックギア検知信号は、上記12Vを呈するバックギアRの電圧信号を利用しているが、これに限定されるものではなく、例えば、コンバータで適当な電圧に変換した出力信号を形成しても良い。
【0018】
画像切替手段12は、バックカメラ用電源スイッチ26と、表示画面切替信号の信号出力端子27とを有している。
バックカメラ用電源スイッチ26は、バッテリー8から供給される電源をバックカメラ3へ供給する電源供給回路上に設けられ、バックギア検知信号が入力されている間は接続しているスイッチである。
表示画面切替信号とは、車載用モニタ4に表示されるカーナビゲーションのナビゲーション画像、又はカーテレビのテレビ画像等といった画像(以下「通常画像」という)を表示している画面を、バックカメラで撮像した車体の後方視界の画像(以下「車体後方画像」という)の表示画面に切り替えるための信号をいう。該表示画面切替信号は、信号出力端子27から出力され、切替信号線6を伝送して車載用モニタ4の切替信号入力端子に入力されている。
【0019】
また、バックカメラ用電源スイッチ26と並列して、バックライト用電源スイッチ28が設けられている。
バックライト用電源スイッチ28もバックカメラ用電源スイッチ26と同様に、バッテリー8から供給される電源をバックライト5へ供給する電源供給回路上に設けられ、バックギア検知信号が入力されている間は接続しているスイッチである。
ここで、バッテリー8から供給される電源は、車載用バックカメラアダプター10の電源入力端子29に入力される。一方、バックカメラ3に供給する電源は、車載用バックカメラアダプターの電源出力端子30aから出力し、バックライト5に供給する電源は、電源出力端子30bから出力する。
【0020】
遅延回路20は、水晶振動子を備えたタイマ回路を有し、入力されたバックギア検知信号を一定時間遅らせて、バックカメラ電源用スイッチ26及びバックライト電源用スイッチ28に出力すると共に、一定時間遅らせたバックギア検知信号を信号出力端子27から切替信号線6を介し、表示画面切替信号として車載用モニタ4に出力している。
そのため、バックギアRからドライブギアDへシフトチェンジした後も、バックカメラ電源用スイッチ26及びバックライト電源用スイッチ28の接続を一定時間保持することができ、車載用モニタ4にバックカメラからの車体後方画像を一定時間表示させることができる。
本実施例において、タイマ回路の遅延時間の初期設定は、3秒間となっている。
なお、タイマ回路で設定された3秒間という時間は、ドライバーが例えば車体後方の障害物からとりあえず離れたことを車載用モニタ4で確認することができる時間であって、徐行運転では、50センチ程度前進する時間である。
また、3秒程度を境として、ドライバーの注意は、車体後方から車体前方へ自然に向けられるという経験則から、タイマの初期設定値を3秒とした。そのため、タイマの設定値は適宜調整することができる。
【0021】
一方、バイパス回路21は、遅延回路20を回避し、入力されたバックギア検知信号を、バックカメラ電源用スイッチ26及びバックライト電源用スイッチ28に直接出力すると共に、バックギア検知信号を信号出力端子27から切替信号線6を介し、表示画面切替信号として車載用モニタ4に直接出力している。
そのため、トランスミッション1のシフトチェンジ操作にしたがって、バックギア検知信号のオン・オフが瞬時にバックカメラ電源用スイッチ26、画像切替信号出力端子27、バックライト電源用スイッチ28に伝送されている。
【0022】
表示灯13は、LED等からなり、検知手段11に直接接続されている。これにより、電圧信号線2からバックギア電圧信号が入力されている間は点灯し、バックギア電圧信号が入力されないときは消灯するように構成されている。
したがって、表示灯13が点灯すれば、車載用バックカメラアダプター10が正しくバックギアの電圧信号を検知しているといえる。
ここで、通常バックギアの電圧信号線2を含めて、多くの電圧信号線は、ハーネスにまとめられている。そして、バックカメラ3の取付作業の際には、バックギアの電圧信号線2をハーネスから選び出すために、各電圧信号線の電圧を一本一本テスターで測定している。また、従来バックカメラ3と車載用モニタ4は、直接接続されていることが多いことから、実際にバックギアRにシフトチェンジさせて、バックカメラ3が正常に起動するか否かを確認している。
対して、本実施例においては、表示灯13の点滅によって、バックギアRの電圧信号線2が正しく接続されていることを確認することができる。そのため、テスターで測定する工程を省くことができる。
また、電源入出力端子29,30a,30bを設けたことから、車載用バックカメラアダプター10を介して、バックギアRの電圧信号線2をバックカメラ3に接続することができ、電圧信号が検知されていることを確認することができれば、カメラテストを省くことができる。
したがって、取付作業を容易にすることができる。
【0023】
なお、本実施例において、バックカメラ3で撮像した車体後方画像は、バックカメラ3の映像出力端子と車載用モニタ4の映像入力端子を映像ケーブル7で直接接続して、車載用モニタ4へ伝送させているが、車体後方画像の伝送方法はこれに限定されるものではなく、車載用バックカメラアダプター10に映像信号の入出力端子を設けて、車載用バックカメラアダプター10を介してバックカメラ3で撮像した車体後方画像を車載用モニタ4に送ってもよい。
【0024】
上記の構成を有する車載用バックカメラアダプター10は、以下のように作動する。添付した図2にしたがって、説明する。図2は、本実施例に係る車載用バックカメラアダプター10の入出力端子のタイミングチャートを示したものである。
【0025】
トランスミッション1をドライブギアDからバックギアRへシフトチェンジしたとき、図2のAに示すように、表示灯13は瞬時に点灯する。また、バイパス回路21は瞬時にバックギア検知信号を、バックカメラ用電源スイッチ26及びバックライト用電源スイッチ28へ伝送すると共に、表示画面切替信号を出力する。
したがって、電源出力端子30a,30bから電源がすぐにバックカメラ3及びバックライト5へ供給され、信号出力端子27から表示画面切替信号が車載用モニタ4へ伝送される。
【0026】
ここで、バックギア検知信号は、図1に示すように、遅延回路20及びバイパス回路21の前段階で分岐されている。また、遅延回路20は、入力されたバックギア検知信号を一定時間(3秒)遅れて画像切替手段12側へ出力するように構成されている。
したがって、図2のA’に示すように、遅延回路20に入力されたバックギア検知信号は、バイパス回路21に入力されたバックギア検知信号と比べて3秒遅れて立ち上がる。
【0027】
次に、トランスミッション1をバックギアRからドライブギアDへシフトチェンジしたとき、図2のBに示すように、表示灯13は瞬時に消灯する。また、バックギア検知信号の停止にしたがって、バイパス回路21を通過していた信号は停止する。
一方、遅延回路20を通過しているバックギア検知信号は、図2のB’に示すように、バイパス回路21に入力されたバックギア検知信号と比べて3秒遅れて立ち下がる。
そのため、バックカメラ用電源スイッチ26及びバックライト用電源スイッチ28は、一定時間(3秒)接続が維持され、表示画面切替信号の信号出力端子27からは一定時間(3秒)信号が出力される。
【0028】
バックギア検知信号が入力されている間は、バックカメラ3の電源は電源出力端子30aから供給され、バックライト5の電源は電源出力端子30bから供給される。また、バックギア検知信号が入力されている間は、車載用モニタ4には、表示画面切替信号によって、車体後方画像が表示される。
したがって、バックギアRをドライブギアDへシフトチェンジした後も、一定時間(3秒)車載用モニタ4には、車体後方画像が表示される。
その後、一定時間の経過と共に、遅延回路20に入力されていたバックギア検知信号が停止するので、車載用モニタ4に表示されていた車体後方画像は、通常画像に切り替わる。
【0029】
ここで、バックギアRからドライブギアDに戻した時間が一定時間以下の場合、図2のCに示すように、バックカメラ用電源スイッチ26、表示画面切替信号出力端子27、及びバックライト用電源スイッチ28は、バックギア検知信号が途中で途切れない。そのため、車載用モニタ4に表示されている画面は途中で切り替わらないので、見易くすることができる。
一方、バックギアRからドライブギアDに戻した時間が一定時間を越えた場合、図2のDに示すように、一旦、車載用モニタ4の画面は、通常画像に切り替わる。
これにより、ドライブギアDにシフトチェンジして、一定時間を越えて進んだ場合に、ドライバーの注意を車体後方から車体前方に向けるように、促すことができる。
【0030】
本実施例に係る車載用バックカメラアダプター10によれば、車庫入れや、縦列駐車等、車を何度も切り返す場合であって、車体を車止め等の障害物から少し離したいときや駐車場の区分け線に沿って平行に車体を駐車させたいとき等、車をバックさせた後、少し前進させて、車体の位置を微調整したいとき、車載用モニタ4の表示画面がすぐに切り替わらず、しばらくバックカメラ3からの画像を表示したままにすることができる。
そのため、車載用バックカメラアダプター10は、車載用モニタ4の表示画面を見易くすることができるので、ドライバーは、車止め等に対して、車体の位置を容易に把握することができる。
【0031】
また、車載用バックカメラアダプター10の表示灯13によれば、バックギアRの電圧信号が検知手段11へ正しく入力されていれば点灯する。そのため、車載用バックカメラアダプター10が正確にバックギアRの電圧信号線2に接続されているか確認することが容易にできる。また、車載用バックカメラアダプター10が正常に動作しているか表示灯13で確認することができる。
そのため、車載用バックカメラアダプター10の取付作業を容易にすることができ、電圧信号線2を信号入力端子25に接続した車載用バックカメラアダプター10の信号出力端子27に、表示画面切替信号の信号線6を接続し、電源入力端子29にバッテリー8を、電源出力端子30a,30bにバックカメラ3、バックライト5を接続することにより、容易にバックカメラ3、車載用モニタ4、及びバックライト5からなるバックカメラシステムを容易に組み上げることができる。
【符号の説明】
【0032】
1…トランスミッション、2…バックギアの電圧信号線、3…バックカメラ、4…車載用モニタ、5…バックライト、6…表示画像切替信号の信号線、7…映像ケーブル、8…バッテリー、
10…車載用バックカメラアダプター、11…検知手段、12…画像切替手段、13…表示灯、
20…遅延回路、21…バイパス回路、
25…信号入力端子、26…バックカメラ用電源スイッチ、27…信号出力端子、28…バックライト用電源スイッチ、29…電源入力端子、30a…バックカメラ用電源出力端子、30b…バックライト用電源出力端子、
R…バックギア、D…ドライブギア。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーナビゲーションシステム又はカーテレビ類の通常画像を表示する車載用モニタと、車体の後方視界を撮像するバックカメラと、
前記車載用モニタに前記通常画像又は前記バックカメラで撮像した車体後方画像を択一的に切り替えて表示させる画像切替手段と、
バックギアにシフトチェンジされている間、バックギア検知信号を前記画像切替手段に出力する検知手段とを備え、
前記画像切替手段に前記バックギア検知信号が入力されている間、前記車載用モニタに前記車体後方画像を表示するようにした車載用バックカメラアダプターであって、
前記検知手段と前記画像切替手段の間に、
前記バックギア検知信号を一定時間遅らせて前記検知手段から前記画像切替手段へ伝送する遅延回路と、
該遅延回路を回避して前記バックギア検知信号を前記検知手段から前記画像切替手段へ直接伝送するバイパス回路とを設けたことを特徴とする車載用バックカメラアダプター。
【請求項2】
前記画像切替手段として、
前記バックカメラに供給する電源を接続又は遮断し、前記バックギア検知信号が入力されている間、該バックカメラに電源を供給するバックカメラ用電源スイッチと、
前記車載用モニタに表示される前記通常画像と前記車体後方画像とを切り替え、前記バックギア検知信号が入力されている間、前記車載用モニタに前記車体後方画像を表示する表示画面切替信号を前記車載用モニタに出力する出力端子とを設けたことを特徴とする請求項1に記載の車載用バックカメラアダプター。
【請求項3】
前記検知手段に直接接続され、前記バックギア検知信号が入力されている間、点灯する表示灯を設けたことを特徴とする請求項1若しくは請求項2に記載の車載用バックカメラアダプター。
【請求項4】
前記バックカメラが撮像する車体の後方視界を照射するバックライトを設け、
該バックライトに供給する電源を接続又は遮断し、前記バックギア検知信号が入力されている間、該バックライトに電源を供給するバックカメラ用電源スイッチを前記画像切替手段に並設したことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の車載用バックカメラアダプター。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−215059(P2010−215059A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−62690(P2009−62690)
【出願日】平成21年3月16日(2009.3.16)
【出願人】(593079944)株式会社ビートソニック (37)