説明

車輪ユニット

【課題】自動車に於いて、主要部である車両部と車輪部が、機構的に入り組み、密接に関連していた事により複雑な構造を余儀なくされていた従来の自動車の欠点を無くして、より簡単な構造の自動車を実現する。
【解決手段】自動車を車両10と車輪100とに分割する。車両10は運転者が乗り操作するだけの操作部品としてユニット化する。車輪100の方は、一個の独立した移動用機構としての部品として車輪ユニットと部品化する。この車輪ユニットの中に、車輪100とこの車輪100へ回転を付与する手段と、この回転力を制動して停止可能にする手段40A、40Bを有する。この様にユニット化した車輪100を、単なる車両に取り付けるだけで自動車が出来る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車軸と車輪と軸受けが一体的に車輪枠内に納められてなる車輪ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の自動車は原動機を車両内に有し、車輪は車両外にあった。
【0003】
このため、原動機と車輪との間の回転力伝達のためにデファレンシャルギア等や変速機の複雑な駆動力伝達機構が介在していた。
【0004】
さらに自動車の方向を決めるハンドル機構や停止のためのブレーキ機構等の車体制御機構も、車両内から車両外の車輪に亙って装置する事が必要であった。
【0005】
この様に、車両内に装置された機構と、車両外の車輪に装置された機構が密接に関連し、動作するため複雑な機構なってしまうのである。
【0006】
この様な複雑な機構は、内燃エンジン駆動自動車でも電気モーター駆動自動車でも基本的に同じである。
【0007】
電気モーター駆動自動車に於いては、車輪をダイレクト駆動させる事により、複雑さが若干は解消されるが、車両内から車輪に亙って装置された各機構を動作させる点に於いて、基本的には従来の様な複雑さを免れえない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
駆動機構と制御機構とを車輪と共に車輪ユニット内に一体化して有し、運転者が乗り運転する車両部と分離する事により、この複雑な機構が解消される。
【0009】
駆動部たる車輪ユニットと、運転部たる車両部とは機械的接触は無く、無線通信又は電線で制御情報がやり取りされるだけである。
【0010】
つまり自動車を、駆動及び制御するためのハードウェアー部としての車輪部と、これを運転する人間の操作を含むソフトウェアー部としての車両部とに別けて考え、それぞれをユニット化すると云う発想である。
【発明の効果】
【0011】
車輪ユニットと車両ユニットとを、各々部品として考え、別々に設計、製造する事が出来る。
これは、コンピュータプログラム開発に於けるオブジェクト指向と似た発想で、標準化された独立した機能の各部品毎を、他との関係を考慮する事無く自由なに組み合わせ多彩な自動車が設計できるのである。
【0012】
このオブジェクト指向的発想で、たとえば本発明を椅子に取り付ければ障害者用自動車椅子、リヤカーに取り付ければ自動リヤカー、自転車フレームに取付ければ、原動機付き自転車が実現する。
【0013】
そして新規開発、生産管理、修理等が効率的に行えるのである。
【0014】
なにより、従来のように、車軸が車両を横断しないので、居住性の良い自動車が実現できるので、キャンピングカー等には最適である。
【0015】
更に、車両部は密閉空間にする事が出来るので、車輪部にスクリュー等を具備する事により、水陸両用車が簡単に実現できるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下図を使って原動機とブレーキ機構を内臓する本発明について説明する。
原動機300の回転軸と結合された車輪100の車軸110は、車輪カバーを兼ねる車輪枠200のベアリング210で回転自在に支承されている。
この車輪は2/3程度が車輪枠200に覆われている。
【0017】
この車輪枠200の中には、車軸110に直結したブレーキ板40Aと、車輪枠200に設備されたブレーキパッド40Bによりブレーキ機構40が形成される。
【0018】
この様に本発明には車輪単体として、駆動力を発揮す事が出来、且つこれを制動して停止する事の出来る最低限度の要素を有するので、これに具備された取り付け具290で、駆動機構を持たない単なる車体に取り付けるだけで自動車が形成されるのである。
【0019】
図5は箱型の車両10に本発明を取り付けた自動車の例である。
車両10内でのハンドル12及びアクセルペダル15及びブレーキペダル17の操作情報は通信経路80を通って車輪枠200の内部に伝えられ、この操作情報に応じて原動機300やブレーキが作動するのであるが、この作動状況は操作者へフィードバックされる。
【0020】
この操作情報の通信を無線で行えば車両10と本発明間の物理的接続が不要になる。
現実的には有線による電気的な接続は必要となるが、従来のように、回転シャフトの接続等の機械的接続は全く不要になる。
【0021】
図6は椅子に二個の本発明を取り付けた原動機付き車椅子の例である。
椅子20の両脇に取り付け具290で本発明を取り付けるだけで電動車椅子が簡単に作る事が出来るのである。
【0022】
図7は自転車フレームに2個の本発明を取り付けた原動機付き自転車の例である。
【0023】
図8〜図11は請求項4の本発明を示したものであるが、ベアリング220により、少なくとも3箇所で、タイヤ180を支えるリム140の周面を回転自在に支承する事により、スポークレス車輪が形成される。(このリム周面のベアリング支持によるスポークレス車輪は既に実用化されている)。
このスポークレス車輪の中央が空洞Kになっていて、車輪固定枠200も空洞Kが設けられる。
【0024】
この様に空洞部Kを有する請求項4の本発明を、同じく空洞部K有するリヤカー車体50の空洞部同士を合致させて車輪枠200に取り付ける事により、図11に示す様に、リヤカーを横断する貫通穴15が形成され、この中にプロパンボンベB等の重い物を入れる。
これにより、重い物を持ち上げずに、この空洞部に出し入れする事が出来るのである。
【0025】
上記説明したように、車両に本発明を取り付けるだけで二輪〜四輪の色々な形状の移動車両を簡単に作る頃事が出来るのである。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】ブレーキ機構を内臓する本発明の斜視図
【図2】ブレーキ機構と原動機を内臓する本発明の斜視図
【図3】ブレーキ機構と原動機を内臓する本発明の正面図
【図4】ブレーキ機構と原動機を内臓する本発明の側面図
【図5】ブレーキ機構と原動機を内臓する本発明を取り付けた自動車の正面図
【図6】ブレーキ機構と原動機を内臓する本発明を椅子に取り付けた車椅子の斜視図
【図7】ブレーキ機構と原動機を内臓する本発明を自転車フレームに取り付けた自動車の側面図
【図8】中空状車輪とブレーキ機構を有する本発明の斜視図
【図9】中空状車輪とブレーキ機構を有する本発明の正面図
【図10】中空状車輪とブレーキ機構を有する本発明をリヤカーに取り付けた斜視図
【図11】中空状車輪の本発明を取り付けたリヤカーにボンベを乗せた斜視図
【符号の説明】
【0027】
10 車両
12 ハンドル
15 アクセルペダル
17 ブレーキペダル
20 椅子
22 コントローラー
30 自転車フレーム
32 ハンドル
50 リヤカー車体
80 ブレーキ機構
80A ブレーキ板
80B ブレーキパッド
100 車輪
110 車軸
120 スポーク
140 リム
180 タイヤ
200 車輪固定枠
210 軸受け
220 ベアリング
290 取り付け具
300 原動機
400 通信ケーブル
B ボンベ
K 空洞部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
車輪と、これを回転自在に支承して覆う車輪カバーを兼ねる車軸固定枠とが一体的である車輪ユニットであって、この内部に、この車輪へのブレーキ機構を有する車輪ユニット
【請求項2】
車輪と、これを回転自在に支承して覆う車輪カバーを兼ねる車軸固定枠とが一体的である車輪ユニットであって、この内部に、この車輪への駆動機構とブレーキ機構を有する車輪ユニット
【請求項3】
車輪と、これを回転自在に支承して車輪カバーを兼ねる車軸固定枠とが一体的である車輪ユニットであって、この内部の各機構を制御する手段とこの制御信号の送受信手段を有する車輪ユニット
【請求項4】
リム周面がベアリングにより回転自在に支承されるスポークの無い中空状車輪である本発明に於いて、車軸固定枠にこの車輪の中空部と合致させて穴を穿つ事を特徴とする請求項記載1及び請求項記載2及び請求項記載3記載の車輪ユニット


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2007−313980(P2007−313980A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−144068(P2006−144068)
【出願日】平成18年5月24日(2006.5.24)
【出願人】(592024147)