説明

軟組織疾患の診断のための、および口腔ケア介入のための療法的標的としてのタンパク質バイオマーカー

口腔の疾患または病気を処置するのに有用な化合物を同定するための方法を本明細書で記述する。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0001] 歯周疾患は、部分的には、歯周の有機マトリックスの異常な、および過度の分解により特性付けられる。このマトリックスには、歯肉、歯周靭帯、セメント質および歯槽骨が含まれる。これらの事象は結果として歯肉後退、ポケット形成、付着の喪失、および最終的には歯の喪失を含む歯周炎の臨床症状をもたらす。歯周疾患に冒された歯周組織により多くの異なる炎症仲介物質が産生される。これらの仲介物質の一部は歯周疾患の症例において観察される破壊的プロセスにおいて中心的な役割を果たしているようであり、それは、一部の研究者を、特定の炎症仲介物質を進行性の病変に関するバイオマーカーとして用いる可能性について検討するよう導いてきた(Sorsa, T. et al. Arch. Oral. Biol. 35: 193S-196S, 1990; Page, R. C., J. Periodont. Res. 26: 230-242, 1991)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0002】
【非特許文献1】Sorsa, T. et al. Arch. Oral. Biol. 35: 193S-196S, 1990
【非特許文献2】Page, R. C., J. Periodont. Res. 26: 230-242, 1991
【発明の概要】
【0003】
[0002] 本発明は、以下のことを含む哺乳類において歯周疾患を診断するための方法を含む:その哺乳類から歯肉および/または唾液試料を得て、その歯肉試料中のバイオマーカーの存在を検出し、その試料中のそのバイオマーカーのレベルを検出し、検出されたバイオマーカーのレベルに基づいてその生物が歯周疾患を有すると診断する。
【0004】
[0003] バイオマーカーは、FAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13からなるグループから選択される少なくとも1つのメンバーである。
【0005】
[0004] 本発明は、哺乳類において歯周疾患を診断するための方法であって、その哺乳類から歯肉および/または唾液試料を得て、その試料中のバイオマーカーの存在を検出し、その試料中のそのバイオマーカーのレベルを検出し、その試料中のバイオマーカーのレベルを、バイオマーカーのレベルを歯周疾患と相関させる予め決められた参照値と比較し、その試料中のそのバイオマーカーのレベルがその参照値が歯周疾患と相関させるバイオマーカーのレベルに相当する場合に、その哺乳類が歯周疾患を有すると診断することを含む方法も含む。
【0006】
[0005] 本発明は、哺乳類において歯周疾患を診断するための方法であって、その哺乳類から歯肉および/または唾液試料を得て、その試料中のバイオマーカーの存在を検出し、その試料中のそのバイオマーカーのレベルを検出し、その試料中のバイオマーカーのレベルを対照試料中の同じバイオマーカーのレベルと比較することを含む方法も含み、ここでその試料中でそのバイオマーカーのその対照試料と比較して変化したレベルが検出された場合、その哺乳類は歯周疾患を有すると診断される。
【0007】
[0006] 1観点において、バイオマーカーのレベルはその試料中で対照試料と比較してより大きい。
[0007] 本発明は、FAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13からなるグループから選択される2種類以上のバイオマーカーを含む、哺乳類において歯周疾患を検出するための一群のバイオマーカーを含み、ここでそのバイオマーカーは歯周疾患を有すると診断された哺乳類の歯肉および/または唾液試料から得られる。
【0008】
[0008] 本発明はさらに、哺乳類において歯周疾患を監視するための方法であって、第1の時点においてその哺乳類から第1の歯肉および/または唾液試料を得て、第2の時点においてその哺乳類から第2の歯肉および/または唾液試料を得て、その第1および第2の試料中の少なくとも1種類のバイオマーカーの存在を検出し、その第1および第2の試料中のその少なくとも1種類のバイオマーカーのレベルを検出し、そしてその第1および第2の試料中のバイオマーカーのレベルを比較することを含む方法を含み、ここでその第2の試料中のそのバイオマーカーのレベルの、第1の試料と比較した減少は、その哺乳類における歯周疾患の減少を示す。
【0009】
[0009] 本発明は、哺乳類において歯周疾患を処置するための方法であって、細胞をFAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13からなるグループから選択される少なくとも1種類のバイオマーカーを下方制御する薬剤と接触させることを含む方法を含み、ここでそのバイオマーカー(単数または複数)の下方制御はその歯周疾患と関係する少なくとも1種類の症状の低減と相関する。
【0010】
[0010] 本発明は、哺乳類において歯周疾患を処置するのに有用な化合物を同定する方法も含み、その方法は細胞を試験化合物と接触させ、その試験化合物がFAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13からなるグループから選択される少なくとも1種類のバイオマーカーを下方制御するかどうかを決定することを含み、ここでそのバイオマーカー(単数または複数)の下方制御はその試験化合物が歯周疾患を処置するのに有用であることを示すものである。
【0011】
[0011] 本発明はさらに、哺乳類において歯肉炎を診断するための方法であって、その哺乳類から歯肉および/または唾液試料を得て、その試料中のバイオマーカーの存在を検出し、その試料中のそのバイオマーカーのレベルを検出し、検出されたバイオマーカーのレベルに基づいてその生物が歯肉炎を有すると診断することを含む方法を含む。
【0012】
[0012] 本発明は、哺乳類において歯肉炎を診断するための方法であって、その哺乳類から歯肉および/または唾液試料を得て、その試料中のバイオマーカーの存在を検出し、その試料中のそのバイオマーカーのレベルを検出し、その試料中のバイオマーカーのレベルを、バイオマーカーのレベルを歯肉炎と相関させる予め決められた参照値と比較し、その試料中のそのバイオマーカーのレベルがその参照値が歯肉炎と相関させるバイオマーカーのレベルに相当する場合に、その哺乳類が歯肉炎を有すると診断することを含む方法も含む。
【0013】
[0013] 本発明は、哺乳類において歯肉炎を診断するための方法であって、その哺乳類から歯肉および/または唾液試料を得て、その試料中のバイオマーカーの存在を検出し、その試料中のそのバイオマーカーのレベルを検出し、そしてその試料中のバイオマーカーのレベルを対照試料中の同じバイオマーカーのレベルと比較することを含む方法も含み、ここでその歯肉および/または唾液試料中でそのバイオマーカーのその対照試料と比較して増大したレベルが検出された場合、その哺乳類は歯肉炎を有すると診断される。
【0014】
[0014] 本発明は、哺乳類において歯肉炎を監視するための方法であって、第1の時点においてその哺乳類から第1の歯肉および/または唾液試料を得て、第2の時点においてその哺乳類から第2の歯肉および/または唾液試料を得て、その第1および第2の試料中の少なくとも1種類のバイオマーカーの存在を検出し、その第1および第2の試料中のその少なくとも1種類のバイオマーカーのレベルを検出し、そしてその第1および第2の試料中のバイオマーカーのレベルを比較することを含む方法を含み、ここでその第2の試料中のそのバイオマーカーのレベルの、第1の試料と比較した減少は、その哺乳類における歯肉炎の減少を示す。
【0015】
[0015] 本発明は、哺乳類において歯肉炎を処置するための方法であって、細胞をFAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13からなるグループから選択される少なくとも1種類のバイオマーカーを下方制御する薬剤と接触させることを含む方法も含み、ここでその少なくとも1種類のバイオマーカーの下方制御はその歯肉炎と関係する少なくとも1種類の症状の低減と相関する。1観点において、そのバイオマーカーのレベルは正常として受け入れられるレベルまで戻る。別の観点において、そのバイオマーカーのレベルはベースラインレベルまで戻る。
【0016】
[0016] 本発明はさらに、哺乳類において歯肉炎を処置するのに有用な化合物を同定する方法を含み、その方法は細胞を試験化合物と接触させ、その試験化合物がFAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13からなるグループから選択される少なくとも1種類のバイオマーカーを下方制御するかどうかを決定することを含み、ここでそのバイオマーカーの少なくとも1種類の下方制御はその試験化合物が歯肉炎を処置するのに有用であることを示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】[0017] 図1は、TNFαに誘導される単球のMMP−9産生における、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルの作用を図説する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[0018] 当技術で必要とされるのは、歯周疾患の状態で上昇したバイオマーカーを含む、バイオマーカーのレベルに関する診断および/または予後検査である。そのようなバイオマーカーには、FAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13が含まれる。歯周疾患に関する診断および/または予後検査も当技術で必要とされており、それは歯肉試料、例えば歯肉溝滲出液(GCF)中の、または唾液試料中の炎症仲介物質のレベルを評価するであろう。さらに、FAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13の内の1種類以上の高いレベルの抑制を含む、それを必要とする患者における歯周疾患の処置も必要とされている。
【0019】
[0019] 例えば、マトリックスメタロプロテアーゼ13(MMP−13;CLG3としても知られている)は歯周炎および歯周疾患における主要な破壊的コラゲナーゼである。MMP−13は病気にかかった歯周組織および歯肉溝滲出液中で、ならびに唾液中で見つけることができる。この酵素のレベルは歯周炎の臨床指標に正に相関している。すなわち、MMP−13の高い、または“正常より上の”レベルは、歯周疾患を示すものである。その測定は、MMP−13の酵素、RNA、または生物学的活性についてなされてよい。MMP−13の活性および/または存在の阻害は歯周疾患の処置に有用である。
【0020】
[0020] 本明細書で述べられる下記の歯周疾患のバイオマーカーは、それぞれの酵素、タンパク質、RNA、または生物学的活性を用いて検出する、および/またはそのレベルを測定することもできる。下記のバイオマーカーの、単独または互いの1種類以上との組み合わせのどちらかでの高い、または“正常より上の”レベルも、歯周疾患を示している。MMP−13に関しては、MMP−13の活性および/または存在の阻害は歯周疾患の処置に有用である:
[0021] FAS(ALPS1AおよびAPO−1としても知られている)はアポトーシスに関わっており、リガンドと結合すると“DISC”、死誘導シグナル伝達複合体を形成する。
【0021】
[0022] インターロイキン1−ベータ(IL−1B)は炎症性サイトカインであり、哺乳類の感染に対する免疫応答に関わっている。
[0023] インターロイキン8(IL−8;3−10CおよびAMCF−1としても知られている)はC−X−Cケモカインファミリーの一員であり、自然免疫応答の一部として標的好中性顆粒球(neutrophil gfanulocytes)における化学走化性の誘導に関わっている。
【0022】
[0024] マトリックスメタロプロテアーゼ9(MMP−9;GELBおよびCLG4Bとしても知られている)はゼラチナーゼであり、歯周疾患における主要な破壊的マトリックスメタロプロテアーゼでもある。
【0023】
[0025] デフェンシン(Defensin)ベータ4(DEFB4;BETA2およびDEFB−2としても知られている)はデフェンシンである。DEFB4は炎症により局所的に制御される抗生物質ペプチド(antiobiotic peptide)である。
【0024】
[0026] カテプシンS(CTSS;MGC3886としても知られている)はC1ペプチダーゼファミリーの一員であり、MHCクラスII分子への抗原タンパク質/ペプチドの提示において役割を果たしているシステインプロテアーゼである。
【0025】
[0027] インターロイキン17B(IL−17B;IL−20としても知られている)はIL−17関連サイトカインである。IL−17Bは単球からのIL−1BおよびTNF−アルファの放出を刺激する。
【0026】
[0028] カスパーゼ(Casspase)動員ドメインファミリーメンバー10(CARD10;BIMP1およびCARMA3としても知られている)はアポトーシスのシグナル伝達に関わっている。CARD10はNF−カッパ−Bも活性化し、膜結合性グアニル酸キナーゼファミリーに属する。
【0027】
[0029] ビグリカン(Biglycan)(BGN;DSPG1およびPG−S1としても知られている)は2個の結合したグリコサミノグリカン鎖を含むマトリックスプロテオグリカンであり、デコリン(decorin)に関連する。それはコラーゲン原線維に結合し、成長因子ベータを運ぶと信じられている。
【0028】
[0030] B−因子、プロペルジン(BF;CFABおよびGBGとしても知られている)は、補体活性化の代替経路の構成要素である。その活性なサブユニットは予備活性化された(preactivated)Bリンパ球の増殖に関わるセリンプロテアーゼである。
【0029】
[0031] インターロイキン12A(IL−12A;CLMFとしても知られている)はT細胞およびナチュラルキラー細胞に作用するサイトカインであり、Th1およびTh2細胞両方の分化、ならびにインターフェロンガンマのT細胞非依存性の誘導に関わっている。
【0030】
[0032] インターロイキン6(IL−6;BSF2およびHGFとしても知られている)は細胞表面のシグナル伝達複合体を活性化する免疫調節性サイトカインである。それは炎症性および抗炎症性サイトカイン両方として働き、外来性の病原体に対する応答を含め、外傷に対する免疫応答を刺激する。
【0031】
[0033] リポカリン(Lipocalin)8(LCN8)は、哺乳類における免疫系活性化によりもたらされる炎症および解毒プロセスに関わるタンパク質のファミリーに属する。
【0032】
[0034] ラクトペルオキシダーゼ(LPO)は感染に対する宿主防御に関わる抗酸化酵素である。
[0035] 全体において用いられるように、範囲はその範囲内にあるそれぞれおよび全ての値を記述するための略記として用いられる。範囲内のあらゆる値は、範囲の末端として選択することができる。加えて、本明細書において引用される全ての参考文献をそのまま本明細書に援用する。本開示における定義および引用された参考文献の定義において不一致がある場合には、本開示が統制する。
【0033】
[0036] 本明細書で用いられる用語“歯周疾患”は、歯周炎、歯肉炎および歯肉疾患を含む。
[0037] 本明細書で用いられる“歯肉炎”は歯肉組織の炎症を意味し、炎症が歯肉内に局在しており骨および歯周靭帯には病変が起きていない状態である。
【0034】
[0038] 本明細書において用いられる用語“歯周炎”は、歯肉、歯周靭帯、セメント質および歯槽骨を含む歯周の有機マトリックスの異常な、および過度の分解を指す。歯周炎の臨床症状には、歯肉後退、ポケット形成、マトリックスの付着の喪失、歯および骨の喪失が含まれるが、それらに限定されない。歯周炎は早期歯周炎、中等度歯周炎または進行性歯周炎として特性付けることができる。しかし、当業者には理解されるであろうが、歯周炎は本明細書で述べられるそれらの症状および続発症のみに限定されるべきでは無い。早期歯周炎は、とりわけ以下の症状の1種類以上により臨床的に示される:プロービング(probing)の際の出血;ポケット(3〜4mm)の存在;限局性の後退の領域;付着の喪失(3〜4mm);骨の喪失(例えば水平方向);およびクラスI分岐部侵入領域(class I furcation invasion areas)。中等度歯周炎は、とりわけ以下の症状の1種類以上により臨床的に示される:ポケット(4〜6mm)の存在;付着の喪失(4〜6mm)の存在;プロービングの際の出血;グレードIおよび/またはグレードII分岐部侵入領域;クラスI歯牙動揺;骨の喪失(例えば水平方向および/または垂直方向);ならびに支持歯槽骨の1/3の喪失(すなわち、1:1の歯冠歯根比)。進行性歯周炎は以下の症状の1種類以上により臨床的に示される:プロービングの際の出血;ポケット(6mmを超える)の存在;付着の喪失(6mmを超える);グレードIIおよび/またはグレードIII分岐部侵入領域;クラスIIおよび/またはクラスIII歯牙動揺;骨の喪失(例えば水平方向および/または垂直方向);ならびに支持歯槽骨の1/3を超える喪失(すなわち、2:1以上の歯冠歯根比)。歯周炎は以下のものを含む下位分類に分けられるが、それらに限定されない:成人性歯周炎(例えばプラークと関係するもの);早発性歯周炎(例えば青春期前、若年性、急速進行性、および同様のもの);全身性疾患と関係する歯周炎;壊死性潰瘍性歯周炎;難治性歯周炎;インプラント周囲炎(peri−implantitis)および同様のもの。
【0035】
[0039] 本明細書で用いられる用語“処置”は、哺乳類を本発明の口腔用組成物と、および/または本発明の方法に従って接触させた際の、有害な病気の検出可能な改善および/またはその病気の症状の減少を指す。
【0036】
[0040] 用語“歯周炎の処置”は、哺乳類における歯周炎の予防、および哺乳類における歯周炎と関係する1種類以上の前から存在する病気の進行の抑制を含むことは理解されるであろう。本明細書で用いられる用語“抑制する”および“抑制”は、療法的処置および/または予防が結果としてもたらすような、歯周炎の、処置無しでのその病気と比較した部分的な抑制または完全な抑制を指す。従って、本発明に従う歯周炎の処置は、本明細書で述べた症状および/または続発症の1種類以上の低減、抑制、改善、減少、減弱、休止、または消失を含む。
【0037】
[0041] 本明細書で用いられる“病的過剰”は、許容される正常なレベルを上回る活性を指す。例えば、マトリックスメタロプロテアーゼ活性の“病的過剰”は、疾患では無い状態で通常見られるレベルを上回るマトリックスメタロプロテアーゼ活性のレベルである。本明細書で用いられる“マトリックスメタロプロテアーゼ活性の病的過剰”は、歯周炎と関係するマトリックスメタロプロテアーゼ活性のレベルである。
【0038】
[0042] 本明細書で用いられる用語“ベースライン”は、有害な事象の前に対象中に存在する因子(例えばバイオマーカー)のレベル、または療法的処置の後に存在するであろうレベルを指す。例えば、バイオマーカーの“ベースライン”レベルは、“正常な”または“健康な”対象を反映していると考えられるバイオマーカーのレベルである可能性がある。あるいは、バイオマーカーの“ベースライン”レベルは、歯周疾患の発症の前に存在するバイオマーカーのレベルを反映している可能性があり、ここでそのバイオマーカーのレベルは、歯周疾患の発症の前に、おそらくその歯周疾患と関係の無い病気により、既に“正常な”または“健康な”レベルより上に上昇していた。2番目の例では、この例におけるベースラインレベルは許容される“健康な”レベルより上に上昇しているという事実にも関わらず、バイオマーカーのレベルを“ベースライン”レベルまで戻すための対象の処置は“歯周炎の処置”を反映する可能性がある。
【0039】
[0043] 本明細書で用いられる用語“下方制御する”は、酵素活性の低下、酵素活性のレベルの低下、タンパク質および/またはそのようなタンパク質をコードする核酸のレベルの低下、またはタンパク質、例えばMMP−8、MMP−9、およびMMP−13の内の1種類以上の存在の生化学的作用の低下を指す。
【0040】
[0044] 本明細書で用いられる用語“歯肉試料”は、歯肉から、歯肉において、または歯肉付近で得られた組織、細胞、流体を指す。
[0045] 本明細書で用いられる“歯肉溝滲出液”および“GCF”は、遊離歯肉において毛細血管からの漏出によりもたらされた、歯肉溝中で集められる血漿の漏出液を指す。
【0041】
[0046] 本明細書で用いられる用語“診断”は、特定の疾患、障害、医学的状態、または危険性の存在を決定する、または検出することを指す。
[0047] “前歯肉炎状態”は、その用語が本明細書で用いられる際、完全に歯肉炎と関わっているわけではないが、歯肉炎へと進む傾向がある“正常”以外のいずれかの状態である状態、およびもし手当てをされないままであるとそれから歯肉炎が発現し得る状態を指す。
【0042】
[0048] 本明細書で用いられる用語“検出試薬”は、生物学的または化学的なものを指す。“検出剤”は、組成物に添加される追加の試薬であってよく、またはそれは検出剤として働く組成物の最初の構成要素であってよい(例えば視覚的FRET抗体技法)。
【0043】
[0049] 本発明の一部の態様は、口腔の疾患または病気を処置するのに有用な化合物を同定する方法を提供し、その方法は以下のことを含む:口腔の疾患または病気を患う哺乳類から第1の歯肉試料を得て;前記の哺乳類の口腔から第2の歯肉試料を得て;前記の第1の試料を試験化合物と接触させ;前記の第2の試料を陽性対照と接触させ、ここで前記の陽性対照は1種類以上のバイオマーカーの発現を下方制御することが知られている化合物であり;前記のバイオマーカーの1種類以上の発現が前記の試験化合物により下方制御される程度を測定し;前記のバイオマーカーの1種類以上の発現が前記の陽性対照により下方制御される程度を測定し;そして、前記のバイオマーカーの1種類以上の発現が前記の試験化合物により下方制御される程度を前記のバイオマーカーの1種類以上の発現が前記の陽性対照により下方制御される程度と比較する;ここで、前記のバイオマーカーの1種類以上の発現を前記の陽性対照と同等の、またはより大きな程度まで下方制御する試験化合物は口腔の疾患または病気を処置するのに有用な化合物である。
【0044】
[0050] 一部の態様において、その1種類以上のバイオマーカーは次のものからなるグループから選択される:FAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13。さらなる態様において、その陽性対照はFAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13の発現を下方制御する。
【0045】
[0051] 一部の態様において、その口腔の疾患または病気は歯肉炎または歯周炎である。
[0052] 一部の態様において、その陽性対照はハロゲン化ジフェニルエーテルである。他の態様において、その陽性対照はトリクロサンである。
【0046】
[0053] さらに他の態様は、その試験化合物が前記のバイオマーカーの1種類以上の発現を前記の陽性対照より大きな程度まで下方制御する方法を提供する。一部の態様において、その試験化合物はFAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13の発現を前記の陽性対照より大きな程度まで下方制御する。さらなる態様において、その陽性対照はMMP−9の発現を下方制御する。さらに他の態様において、その陽性対照はMMP−13の発現を下方制御する。
【0047】
[0054] 1観点において、本発明は哺乳類において歯周疾患を診断するための方法であって、その哺乳類から歯肉試料を得て、その歯肉試料中のバイオマーカーの存在を検出し、その歯肉試料中のそのバイオマーカーのレベルを検出し、検出されたバイオマーカーのレベルに基づいてその生物が歯周疾患を有すると診断することを含む方法を特徴とする。そのバイオマーカーは、FAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13からなるグループから選択される少なくとも1つのメンバーである。1態様において、哺乳類はヒトである。
【0048】
[0055] 歯肉試料は当技術で現在既知である、またはまだ発見されていないあらゆる方法により得ることができる。すなわち、本発明は歯肉試料を得る方法により限定されない。限定的で無い例として、歯肉試料は口腔から口の組織の試料を得ることにより得ることができる。歯肉生検を含め、歯肉試料は型にはまった歯科の手順により得られる。口の組織には、口腔から得られた線維芽細胞および上皮細胞、ならびに歯周組織(periodontum)および歯肉から得られた組織および/または細胞試料が含まれるがそれらに限定されない。
【0049】
[0056] 当業者は、歯肉試料と関係する、および/またはそれにより分泌されるバイオマーカーを含め、どのように歯肉試料においてバイオマーカーを同定するかを理解するであろう。バイオマーカーの存在を検出するための代表的な方法には、試験対象の口腔から歯肉試料を得て、その生物学的試料においてバイオマーカーの核酸またはその核酸によりコードされるバイオマーカーのペプチドの存在が検出されるように、その試料を本明細書で記述したバイオマーカー(例えばMMP−9、またはMMP−13)、例えばバイオマーカーの核酸(例えば、とりわけmRNA、ゲノムDNA)またはそのバイオマーカーの核酸によりコードされるバイオマーカーのペプチド(例えば、とりわけペプチド断片またはタンパク質)の1種類以上を検出することができる化合物または薬剤と接触させることが含まれる。1態様において、バイオマーカーのmRNAまたはバイオマーカーのゲノムDNAを検出するための薬剤は、バイオマーカーのmRNAまたはゲノムDNAにハイブリダイズすることができる標識された核酸のプローブである。その核酸のプローブは、例えば、完全長のバイオマーカーの核酸またはその一部であることができる。本発明の診断アッセイにおける使用に関する他の適切なプローブを本明細書で記述する。
【0050】
[0057] 別の態様において、バイオマーカーのペプチドを検出するための薬剤はバイオマーカーのペプチドに結合することができる抗体、例えば検出可能な標識を有する抗体である。抗体はポリクローナルまたはモノクローナルであることができる。完全な抗体、またはその断片(例えばFabまたはF(ab’))を用いることができる。プローブまたは抗体に関する用語“標識された”は、検出可能な物質をそのプローブまたは抗体に結合させる(すなわち物理的に連結させる)ことによるそのプローブまたは抗体の直接的な標識、および直接標識されている別の試薬との反応性によるそのプローブまたは抗体の間接的な標識を含むことを意図する。間接的な標識の例には、蛍光標識された二次抗体を用いる一次抗体の検出、およびそれを蛍光標識されたストレプトアビジンにより検出することができるようなDNAプローブのビオチンによる末端標識が含まれる。
【0051】
[0058] 本明細書で用いられる用語“歯肉試料”(および用語“生物学的試料”)は、対象の口腔から分離された組織、細胞および生物学的流体、ならびに対象の口腔内に存在する組織、細胞および流体を含むことを意図する。唾液試料は歯肉と同じ構成要素の一部または全部を含んでいてよく、または含んでいなくてよい。すなわち、本発明の検出法は、インビトロおよびインビボにおいて生物学的試料中のバイオマーカーのmRNA、ペプチド(例えばタンパク質)、またはゲノムDNAを検出するために用いることができる。限定的では無い例として、バイオマーカーのmRNAの検出のためのインビトロの技法にはノーザンハイブリダイゼーションおよびインサイチューハイブリダイゼーションが含まれる。バイオマーカーのペプチドの検出のためのインビトロの技法には酸素結合免疫吸着検査法(ELISA)、ウェスタンブロット、免疫沈降および免疫蛍光が含まれる。バイオマーカーのゲノムDNAの検出のためのインビトロの技法にはサザンハイブリダイゼーションが含まれる。バイオマーカーのペプチドの検出のためのインビボの技法には、対象の口腔中への標識された抗バイオマーカー抗体の導入が含まれる。例えば、その抗体は、対象中でのそれの存在および位置を標準的な画像化技法により検出することができる放射性バイオマーカーで標識することができる。
【0052】
[0059] バイオマーカーのレベルは、当技術で現在既知である、またはまだ発見されていないあらゆる方法を用いて定量することができる。すなわち、本発明はバイオマーカーを定量する方法により限定されない。バイオマーカーの定量のための方法には、そのバイオマーカーの検出に関して本明細書の他の箇所で述べたそれらの方法、または当業者には理解されるであろうそのような方法の適切な修正が含まれてよい。1態様において、バイオマーカーを定量するためにELISAに基づくアッセイが用いられる(例えば、IL−1Bを定量するためのPGEの使用)。別の態様において、バイオマーカーを定量するためにフローサイトメトリーに基づく方法が用いられる(例えば、フローサイトメトリーおよびレーザーに基づく検出を含むLUMINEX技術)。
【0053】
[0060] 1観点において、FAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13からなるグループから選択されるバイオマーカーが当技術において“正常である”と見なされるレベルを超えて上昇している場合、哺乳類は歯周疾患を有すると診断される。あらゆる所与のバイオマーカーの“正常な”レベルは単一の値であってよく、またはそれは実際にはそのバイオマーカーの濃度の範囲であってよいことは理解されるであろう。バイオマーカーの“正常な”レベルは、健康な状態、または歯周疾患が無い、もしくは実質的に無い健康の状態と関係するレベルである。そのような値および範囲は当技術で既知である可能性があり、または当業者はそれを、歯周疾患、あるいは歯周疾患の症状を有していないことが既知である哺乳類の対象集団から得られた歯肉試料に対してバイオマーカーの検出アッセイを実施することを含むがそれに限定されない、当技術で既知の方法を用いて確かめることができる。別の態様において、特定の哺乳類の対象に関するバイオマーカーの“正常な”レベル/範囲は、その特定の哺乳類の対象に関して、その哺乳類の対象が歯周疾患、あるいは歯周疾患の症状を有していないことが既知である時点において決定することができる。
【0054】
[0061] バイオマーカーの“正常な”レベル、値、または範囲は、哺乳類において歯周疾患が存在しないこと、または実質的に存在しないことに関する予め決められた参照値として用いることができる。別の観点において、バイオマーカーの正常な値または範囲より上の値は、哺乳類において歯周疾患が存在することに関する予め決められた参照値として用いることができる。
【0055】
[0062] 1態様において、哺乳類において歯周疾患を診断するための方法は、その哺乳類から歯肉および/または唾液試料を得て、その試料中のバイオマーカーの存在を検出し、その試料中のそのバイオマーカーのレベルを検出し、その試料中のバイオマーカーのレベルを、バイオマーカーのレベルを歯周疾患と相関させる予め決められた参照値と比較し;そして、その試料中のそのバイオマーカーのレベルがその参照値が歯周疾患と相関させるバイオマーカーのレベルに相当する場合に、その哺乳類が歯周疾患を有すると診断することを含み、ここでそのバイオマーカーはFAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13からなるグループから選択される少なくとも1つのメンバーである。1態様において、その歯周疾患は歯周炎である。別の態様において、その歯周疾患は歯肉炎である。
【0056】
[0063] 別の態様において、哺乳類において歯周疾患を診断するための方法は、その哺乳類から歯肉および/または唾液試料を得て、その試料中のバイオマーカーの存在を検出し、その試料中のそのバイオマーカーのレベルを検出し、その歯肉および/または唾液試料中のバイオマーカーのレベルを対照試料中の同じバイオマーカーのレベルと比較することを含み、ここでその歯肉および/または唾液試料中でそのバイオマーカーのその対照試料と比較して変化したレベルが検出された場合、その哺乳類は歯周疾患を有すると診断され、ここでそのバイオマーカーはFAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13からなるグループから選択される少なくとも1つのメンバーである。1観点において、バイオマーカーのレベルはその歯肉および/または唾液試料中でその対照試料と比較してより大きい。1態様において、その歯周疾患は歯周炎である。別の態様において、その歯周疾患は歯肉炎である。
【0057】
[0064] 本発明は、FAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13からなるグループから選択される2種類以上のバイオマーカーを含む、哺乳類において歯周疾患を検出するための一群のバイオマーカーも提供し、ここでそのバイオマーカーは歯周疾患を有すると診断された哺乳類の歯肉および/または唾液試料から得られる。1態様において、その歯周疾患は歯周炎である。別の態様において、その歯周疾患は歯肉炎である。
【0058】
[0065] 本発明は、哺乳類において歯周疾患を監視するための方法であって、第1の時点においてその哺乳類から第1の歯肉および/または唾液試料を得て、第2の時点においてその哺乳類から第2の歯肉および/または唾液試料を得て、その第1および第2の試料中の少なくとも1種類のバイオマーカーの存在を検出し、その第1および第2の試料(gsamples)中のその少なくとも1種類のバイオマーカーのレベルを検出し、そしてその第1および第2の試料中のバイオマーカーのレベルを比較することを含む方法も含み、ここでその第2の試料中のそのバイオマーカーのレベルの、第1の試料と比較した減少は、その哺乳類における歯周疾患の減少を示し、ここでその少なくとも1種類のバイオマーカーはFAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13からなるグループから選択される。1態様において、その歯周疾患は歯周炎である。別の態様において、その歯周疾患は歯肉炎である。
【0059】
[0066] 1観点において、本発明は哺乳類において歯周疾患を処置するための方法を特徴とし、ここでその哺乳類はFAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13からなるグループから選択される少なくとも1種類のバイオマーカーの上昇したレベルを有する。本明細書の他の箇所で記述されるように、1種類以上のそのようなバイオマーカーの正常より上のレベルは、本明細書で開示される、または当技術で既知のあらゆる方法を用いて決定し、適宜歯周疾患と相関させることができる。従って、本発明は、歯周疾患を有する哺乳類において歯周疾患を処置するための方法を特徴とし、その方法は細胞をFAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13からなるグループから選択される少なくとも1種類のバイオマーカーを下方制御する薬剤と接触させることを含み、ここでそのバイオマーカーの下方制御はその歯周疾患と関係する少なくとも1種類の症状の低減と相関する。
【0060】
[0067] 1態様において、バイオマーカーを下方制御する薬剤は口腔用組成物内に含まれ、その口腔用組成物を哺乳類に投与して歯周疾患を処置する。
[0068] その哺乳類の口腔に口腔用組成物を投与することにより歯周炎を処置する方法において、1種類以上のバイオマーカーの活性は本明細書の他の箇所で記述されるように低減させることができる。1種類以上のバイオマーカーは、本明細書の他の箇所で記述されるように、例えば、哺乳類の口腔中のMMP−9の量の低減に関して、哺乳類の口腔中のMMP−9の量の低減に関して述べられるように低減させることができる。すなわち、MMPは核酸およびタンパク質レベルの一方または両方で低減させ、それにより口腔においてMMP−9の活性を低減させることができる。同様に、MMP−9の下方制御またはMMP−9のレベルの低減は、本明細書の他の箇所で詳細に記述されるように、核酸およびタンパク質レベルのどちらかまたは両方での作用によりもたらすことができる。
【0061】
[0069] 別の観点において、本発明は、それを必要とする哺乳類において歯周疾患を処置するのに有用な化合物を同定する方法であって、細胞を試験化合物と接触させ、その試験化合物がバイオマーカーFAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13の1種類以上を下方制御するかどうかを決定することを含む方法を提供する。そのバイオマーカーの少なくとも1種類の下方制御はその試験化合物が歯周疾患に悩む哺乳類において歯周疾患を処置するのに有用であることを示すものであり、ここでそのバイオマーカーの増大したレベルは歯周疾患と関係している、および/または歯周疾患の徴候を表している。1態様において、その歯周疾患は歯周炎である。別の態様において、その歯周疾患は歯肉炎である。
【0062】
[0070] 1態様において、歯周疾患を処置する方法は、本明細書で記述されるスクリーニングアッセイにより同定された薬剤、または歯周疾患の1種類以上のバイオマーカーを抑制する薬剤の組み合わせを投与することを含み、ここでその薬剤の少なくとも1種類は本明細書で記述されるスクリーニングアッセイにより同定された薬剤である。
【0063】
[0071] 1態様において、本発明は、歯周疾患の処置のための方法であって、療法上有効量の歯周疾患を抑制する薬剤をそのような処置を必要とする対象に投与する段階を含む方法を提供する。本明細書で定められる薬剤の療法上有効量(すなわち、有効な投与量)は、0.001から30mg/kg体重まで、好ましくは0.01から25mg/kg体重まで、より好ましくは0.1から20mg/kg体重まで、さらにもっと好ましくは1から10mg/kg体重まで、2から9mg/kg体重まで、3から8mg/kg体重まで、4から7mg/kg体重まで、または5から6mg/kg体重までの範囲である。当業者は、疾患または障害の重症度、以前の処置、対象の全身の健康状態および/または年齢、および存在する他の疾患を含むがそれらに限定されない特定の要因が、対象を効果的に処置するのに必要な投与量に影響を及ぼす可能性があることを理解するであろう。さらに、療法上有効量の阻害剤を用いた対象の処置は単独の処置を含むことができ、または、好ましくは一連の処置を含むことができる。処置のために用いられる有効な投与量は個々の処置の過程にわたって増加または減少してよいことも理解されるであろう。投与量の変化は、本明細書で記述されるような診断アッセイの結果からもたらされてよい。例として、その薬剤は単独で、医薬組成物の一部として、または他の組成物の中でもとりわけ口腔用組成物の一部として投与される。
【0064】
[0072] 限定的では無い例として、細胞をTNFαと接触させることによりMMP−9のレベルをインビトロで確認することができる。1態様において、細胞は単球である。細胞をTNFαと接触させた後、MMP−9のレベルをタンパク質または核酸レベルのどちらかで検出する。1観点において、抗細菌剤の存在下でも細胞をTNFαと接触させることによりMMP−9のレベルをインビトロで確認する。1態様において、その抗細菌剤は2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルである。本発明の1観点において、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルは本明細書で述べたバイオマーカーを下方制御するのに有用な薬剤である。バイオマーカーのレベルを決定するのに有用なアッセイには、とりわけ結合および/または機能活性の決定に有用なあらゆるアッセイが含まれる。そのようなアッセイの例には、LUMINEXに基づくアッセイ、抗体−抗原アッセイ、ペプチド切断アッセイ、比色アッセイが含まれるが、それらに限定されない。
【0065】
[0073] 本発明の態様において、MMP−9のレベルを検出することによるMMP−9の下方制御の測定は、抗細菌剤の存在下で細胞をTNFαと接触させ、抗細菌剤、例えば2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルの非存在下で細胞をTNFαと接触させることによりインビトロで確認されたMMP−9のレベルを比較することによりインビトロで確認され、ここでその実験条件はその他の点では同じである。抗細菌剤の存在下でのMMP−9のタンパク質、核酸または酵素活性の、抗細菌剤の非存在下におけるよりも低いレベルは、その抗細菌化合物がMMP−9を下方制御することを示すものである。本発明の他のバイオマーカーを同様の方法で分析してよいことは理解されるであろう。加えて、MMP−9またはあらゆる他のバイオマーカーを、本明細書の他の箇所で述べるような歯周炎の処置において有用であると同定された薬剤を含むがそれらに限定されない、この目的に有用なあらゆる薬剤を用いて下方制御に関して分析してよい。
【0066】
[0074] バイオマーカーの下方制御のインビトロでの測定はインビボでの作用、観察または結果に相関させることができることは理解されるであろう。限定的では無い例として、MMP−9の下方制御のインビトロでの測定はインビボでの作用、観察または結果に相関させることができることは理解されるであろう。1観点において、インビトロで測定されるMMP−9の下方制御は、歯周疾患の処置、インビボでバイオマーカーおよび/またはバイオマーカーの活性の病的過剰を低減させる方法、ならびに歯周疾患を処置する、および/またはインビボでバイオマーカーおよび/またはバイオマーカーの活性の病的過剰を低減させるのに有用な化合物を同定する方法を含むがそれらに限定されないインビボでの観察を確証するものである。例えば、Modeer et al. (1996) J. Clin. Periodont., 23:927-933を参照。別の観点において、インビトロで測定されるバイオマーカーの下方制御は、歯周疾患の処置、インビボでバイオマーカーおよび/またはバイオマーカーの活性の病的過剰を低減させる方法、ならびに歯周疾患を処置する、および/またはインビボでバイオマーカーおよび/またはバイオマーカーの活性の病的過剰を低減させるのに有用な化合物を同定する方法を含むがそれらに限定されないインビボでの結果を予測するものである。
【0067】
[0075] 1観点において、本発明は、それを必要とする哺乳類の口腔において少なくとも1種類のバイオマーカーの病的過剰を低減させる方法であって、その哺乳類の口腔にFAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13からなるグループから選択される少なくとも1種類のバイオマーカーを下方制御する薬剤を、その哺乳類の口腔においてそのバイオマーカーのレベルを低減させるのに有効な量で投与することを含む方法を提供し、ここでそのバイオマーカーのレベルの抑制は、結果として歯周疾患の処置をもたらす。1態様において、本発明は、それを必要とする哺乳類の口腔において少なくとも1種類のバイオマーカー、例えばMMP−9またはMMP−13の病的過剰を低減させる方法であって、その哺乳類の口腔に2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルを含む口腔用組成物を、その哺乳類の口腔においてMMP−9またはMMP−13のレベルを低減させるのに有効な量で投与することを含む方法を提供し、ここでMMP−9またはMMP−13のレベルの抑制は結果として結合組織のマトリックスタンパク質構成要素の過剰な分解の抑制をもたらす。
【0068】
[0076] バイオマーカーは、本明細書で述べるように口腔において多数の方式の1つで低減させることができる。1態様において、バイオマーカーは、本明細書の他の箇所で述べるように、バイオマーカーを核酸レベルで下方制御することにより口腔において低減させることができる。そのような低減は、結果としてバイオマーカーをコードする核酸(例えばmRNA)および口腔中へと発現されるバイオマーカーのタンパク質/酵素の1種類以上の低減をもたらすことができる。バイオマーカーをコードするmRNAの低減は、例えば、当業者には理解されるであろうが、本明細書で述べられる開示で武装した際に、多数の技法の内の1種類以上により達成することができる。例にはバイオマーカーをコードするmRNAの転写の低減およびバイオマーカーをコードするmRNAの分解/排除が含まれる。
【0069】
[0077] 別の態様において、バイオマーカーは口腔においてバイオマーカーのタンパク質の量を直接低減させることにより低減させることができる。バイオマーカーのタンパク質の低減は、当業者には理解されるであろうが、本明細書で述べられる開示で武装した際に、多数の技法の内の1種類以上により達成することができる。例には、とりわけ小分子阻害剤によるそのバイオマーカーの結合/複合体化、天然の、または生物由来の(biologically−derived)分子による阻害、そのバイオマーカーのタンパク質分解による分解、およびそのバイオマーカーの口腔からの親和性に基づく排除が含まれる。バイオマーカーを低減させる薬剤は、本明細書で記述される薬剤、例えば2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル(トリクロサン)であってよく、またはそれは別の抗細菌剤であってよい。そのように、本発明は歯周疾患に悩む人を処置する方法を提供する。
【0070】
[0078] 別の観点において、本発明は、それを必要とする哺乳類において歯周疾患を処置する方法であって、その哺乳類の口腔中の細胞を本明細書で述べたバイオマーカーを下方制御する薬剤と接触させることを含む方法を提供する。本発明にしたがって、そのバイオマーカーの下方制御はその歯周疾患と関係する少なくとも1種類の症状の低減と相関する。
【0071】
[0079] 1観点において、本明細書で述べた口腔用組成物の歯周疾患を処置する能力は、2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルのバイオマーカーの下方制御への作用をその口腔用組成物のバイオマーカーの下方制御への作用と比較することにより確認される。別の観点において、あらゆる口腔用組成物の歯周炎を処置する能力は、その口腔用組成物の作用を、インビボまたはインビトロのどちらかで、本明細書で述べた口腔用組成物の作用と比較することにより確認される。
【0072】
[0080] 1観点において、インビトロで測定されたバイオマーカー(例えばメタロプロテアーゼ)の下方制御は、歯周炎の処置、インビボでバイオマーカー(例えば、メタロプロテアーゼおよび/またはメタロプロテアーゼ活性)の病的過剰を低減させる方法、ならびに歯周炎を処置する、および/またはインビボでバイオマーカーまたはバイオマーカーの活性の病的過剰を低減させるのに有用な化合物を同定する方法を含むがそれらに限定されないインビボでの観察を確証するものである。例えば、Golub et al., Inflamm. Res. (1997) 46:310-9, Preshaw et al., J. Clin. Periodontol. (2004) 31:697-707; Mantyla et al., J. Periodontal. Res. (2003) 38:436-439; Lorencini et al., Histol. Histopathol. (2009) 24:157-166;およびPozo et al., J. Periodontal Res. (2005) 40:199-207を参照。
【0073】
[0081] 本発明はさらに、本発明の方法における使用のための口腔用組成物、例えば歯磨剤を含む。1観点において、口腔用組成物は歯周疾患を処置するのに有用な薬剤を含む。典型的な態様において、その薬剤は非陽イオン性抗細菌剤である。例えば米国特許第5,288,480号を参照、それをそのまま本明細書に援用する。その非陽イオン性抗細菌剤は、口腔用組成物中に0.25〜0.35重量%、好ましくは0.3%の有効抗プラーク量で存在する。その抗細菌剤は実質的に水に不溶性であり、これはその溶解度が25℃の水中で1重量%未満であることを意味し、さらに0.1%未満であってよい。1態様において、その抗細菌剤は2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテルである。1態様において、その抗細菌剤はドキシサイクリンである。別の態様において、その口腔用組成物は2種類以上の抗細菌剤を含む。別の態様において、その口腔用組成物は抗細菌剤以外の薬剤を含み、1種類以上の抗細菌剤である追加の薬剤を含んでいてよく、または含んでいなくてよい。
【0074】
[0082] 1態様において、抗細菌増進剤(AEA)はその抗細菌剤の口の表面への送達およびそれの口の表面上での保持を増進する。1観点において、AEAは接着性物質を含む。本発明のAEA物質に有用である物質および組成物の記述に関して、ならびに本発明において有用な口腔用組成物、例えば歯磨組成物の一般的な記述に関して、米国特許第5,288,480号を参照。限定的では無い例として、組成物中の接着性物質は100,000〜2,500,000(両端を含む)の数平均分子量を有するポリマーである。1観点において、その接着性物質はポリビニルホスホン酸、ポリ(1−ホスホノプロペン)スルホン酸、ポリ(ベータスチレンホスホン酸)、アルファスチレンホスホン酸、合成陰イオン性ポリマー性ポリカルボキシレート、無水マレイン酸、マレイン酸、およびメチルビニルエーテルのポリマーから選択される。別の観点において、その接着性分子はメチルビニルエーテルおよび無水マレイン酸のポリマーである。
【0075】
[0083] 本明細書で用いられる“送達増進基”は、AEA(抗細菌剤を運んでいる)を口(例えば歯および歯肉)の表面に付着させ、または実質的に、接着により、凝集により(cohesively)、もしくは他の方式で結合させ、それにより抗細菌剤をそのような表面に“送達する”基を指す。別の態様において、その“送達増進基”は、場合により抗細菌剤以外の薬剤を口の表面に付着させ、または実質的に、接着により、凝集により、もしくは他の方式で結合させ、それにより抗細菌剤をそのような表面に“送達する”基を指す。さらに別の態様において、その“送達増進基”は少なくとも1種類の抗細菌剤および少なくとも1種類の抗細菌性では無い薬剤を歯に送達する。一般に疎水性である有機性の保持増進基は、その薬剤および/または抗細菌剤をAEAに付着させ、またはそうでなければ結合させ、それによりその抗細菌剤のAEAへの、および間接的に口の表面上での保持を促進する。一部の場合において、特にAEAが架橋されたポリマーである場合、その抗細菌剤の付着はAEAによるそれの物理的な捕捉(entrapment)により起こり、その構造はそのような捕捉のための多くの部位を生得的に提供する。架橋されたポリマーにおけるより高い分子量、より疎水的な架橋部分の存在は、その抗細菌剤のその架橋されたAEAポリマーへの、またはその架橋されたAEAポリマーによるその抗細菌剤の物理的捕捉をさらにもっと促進する。
【0076】
[0084] 典型的な歯磨剤において、湿潤剤を有する水相を含む口に許容可能なビヒクルが存在する。水は典型的には少なくとも3重量%、一般には3〜35%の量で存在し、湿潤剤、好ましくはグリセリンおよび/またはソルビトールは典型的には合計でその歯磨剤の6.5〜75重量%または80重量%、より典型的には10〜75%の量で存在する。本発明において必須では無いが、ここで、場合により0.25〜0.35%の水に不溶性の非陽イオン性抗細菌剤が存在し、その抗細菌剤の唾液中での可溶化を助ける追加の成分がその水−湿潤剤ビヒクルに組み込まれてよい。そのような任意の可溶化剤には、湿潤剤ポリオール類、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、およびヘキシレングリコール、セロソルブ類(cellosolves)、例えばメチルセロソルブおよびエチルセロソルブ、直鎖中に少なくとも12個の炭素を含む植物油およびワックス、例えばオリーブ油、ヒマシ油およびワセリン、ならびにエステル類、例えば酢酸アミル、酢酸エチルおよび安息香酸ベンジルが含まれる。本明細書で用いられる“プロピレングリコール”には、1,2−プロピレングリコールおよび1,3−プロピレングリコールが含まれる。かなり大きな量のポリエチレングリコール、特に600以上の分子量のものは、ポリエチレングリコールが非陽イオン性抗細菌剤の抗細菌活性を効果的に阻害するため、避けるべきである。例えば、ポリエチレングリコール(PEG)600は、25トリクロサン:1PEG600の重量比でトリクロサンと一緒に存在する場合、トリクロサンの抗細菌活性をポリエチレングリコールの非存在下で発揮される抗細菌活性から10〜20分の1に低減させる。
【0077】
[0085] 口腔用組成物のpHは、一般には4.5〜10、別の観点では6.5〜7.5の範囲にある。本発明の組成物は、5未満のpHで歯のエナメル質を実質的に脱灰する、または他の方式で損傷すること無く口に適用することができることは注目に値する。そのpHは、酸(例えばクエン酸または安息香酸)もしくは塩基(例えば水酸化ナトリウム)で制御する、または緩衝する(例えばクエン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、または炭酸水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等を用いて)ことができる。
【0078】
[0086] あらゆる研磨性微粒子を用いてよく、それは炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム(例えばリン酸二カルシウム二水和物)、硫酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、シリカ(例えば水和シリカ)、酸化鉄、酸化アルミニウム、パーライト、プラスチック粒子、例えばポリエチレン、およびそれらの組み合わせから選択されてよい。特に、その研磨剤はリン酸カルシウム(例えばリン酸二カルシウム二水和物)、硫酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、シリカ(例えば水和シリカ)、ピロリン酸カルシウムおよび組み合わせから選択されてよい。沈降シリカ類またはシリカゲル類のようなあらゆるタイプのシリカを用いてよい。商業的に入手可能なシリカ類、例えばIneos Silicas、英国ウォリントンから入手可能なINEOS AC43が好ましい。他の研磨剤も本発明に従って用いることができる。米国特許第4,358,437号において述べられているように、研磨剤の形の粉末型炭酸カルシウムはそのような研磨剤の1つの重要な種類を構成している。これらの研磨剤の例は、製粉した石灰石もしくは大理石、白亜類、例えばアラレ石、方解石またはそれらの混合物、および合成的に沈降させた白亜類、例えば水道(waterworks)白亜である。一般に、その炭酸カルシウムは40ミクロン未満、好ましくは15ミクロン未満の重量中央値直径(weight median diameter)を有しているべきである。第2の種類の研磨剤は粉末状シリカ類、特に米国特許第3,538,230号において定義されているシリカキセロゲル類である。シリカに基づく構成要素は1から100μmまでの平均粒径を有するシリカ粒子を含んでいてよく、それはその範囲内のあらゆる特定の粒径を含む。
【0079】
[0087] 1態様において、口腔用組成物は場合によりシリカ性研磨剤を含む。その研磨剤はシリカ性物質、例えば含水シリカゲル、シリカキセロゲルまたは複合非晶質アルカリ金属アルミノシリケートもしくはジルコノシリケートまたは沈降シリカであってよい。コロイド状シリカ材料には、商標SYLOIDの下で売られているコロイド状シリカ材料、例えばSYLOID 72およびSYLOID 74として売られてきたコロイド状シリカ材料が含まれる。沈降シリカ類には、商標ZEODENTの下で売られている沈降シリカ類、例えばZEODENT 113およびZEODENT 115およびZEODENT 119が含まれる。口腔用組成物はシリカ性研磨剤を0から36%までの量で含んでいてよい。別の態様において、口腔用組成物はシリカ性研磨剤を0.01から36%までの量で含んでいてよい。
【0080】
[0088] それによりこの発明の利点が得られた理論に束縛されるわけではないが、抗細菌剤(例えば2,4,4’−トリクロロ−2’−ヒドロキシジフェニルエーテル)のための特別な可溶化物質の非存在下においてさえも、薬剤の量が0.25重量%〜0.35重量%であり、ポリカルボキシレートが存在する場合、MMP−8、MMP−9またはMMP−13の少なくとも1種類の下方制御を経て歯周炎の処置を達成するのに十分な薬剤が存在すると信じられる。これは本明細書で記述される他の水に不溶性の非陽イオン性抗細菌剤に同様に適用可能である。
【0081】
[0089] 口腔用組成物(例えば歯磨剤)は、フッ化物イオンの源、またはフッ素を提供する構成要素を、抗齲食剤として、25ppm〜5,000ppmのフッ化物イオンを供給するのに十分な量で含んでいてもよい。これらの化合物は、水中でわずかに可溶性であってよく、または完全に水溶性であってよい。それらは、水中でフッ化物イオンを放出するそれらの能力により、および口腔用製剤の他の化合物との望まれない反応が実質的に無いことにより特性付けられる。これらの物質の中には、無機フッ化物塩類、例えば可溶性アルカリ金属、アルカリ土類金属塩類、例えば(or example)フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フッ化アンモニウム、フッ化カルシウム、フッ化銅、例えばフッ化第一銅(cuprous fluoride)、フッ化亜鉛、フッ化バリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、フルオロジルコン酸ナトリウム、フルオロジルコン酸アンモニウム、モノフルオロリン酸ナトリウム、モノ−およびジ−フルオロリン酸アルミニウム、ならびにフッ素化ナトリウムカルシウムピロホスフェートがある。アルカリ金属およびスズフッ化物類、例えばフッ化ナトリウムおよびフッ化第一スズ、モノフルオロリン酸ナトリウム(MFP)ならびにそれらの混合物が好ましい。典型的には、アルカリ金属フッ化物の場合、この構成要素は製剤の重量に基づいて2重量%まで、好ましくは0.05%〜1%の範囲の量で存在する。モノフルオロリン酸ナトリウムの場合、その化合物は0.1〜3%、1態様において0.7〜0.8%の量で存在してよい。
【0082】
[0090] 1観点において、組成物はさらに、スズイオン剤;フッ化物化合物;フッ化ナトリウム;クロルヘキシジン;アレキシジン;ヘキセチジン;サンギナリン;塩化ベンザルコニウム;サリチルアニリド;臭化ドミフェン;塩化セチルピリジニウム(CPC);塩化テトラデシルピリジニウム(TPC);塩化N−テトラデシル−4−エチルピリジニウム(TDEPC);オクテニジン;デルモピノール(delmopinol);オクタピノール(octapinol);ナイシン(nisin);亜鉛イオン剤;銅イオン剤;精油;フラノン類;バクテリオシン類、エチルラウロイルアルギネート(ethyllauroyl arginate)、マグノリアの抽出物、金属イオン源、重炭酸アルギニン、ホノキオール(honokiol)、マゴノール(magonol)、ウルソール酸(ursolic acid)、ウスニン酸、モリン、シーバックソーンの抽出物、過酸化物、酵素、ツバキ抽出物、フラボノイド、フラバン、ハロゲン化ジフェニルエーテル、クレアチン、およびプロポリスから選択される薬剤を含む。
【実施例】
【0083】
[0091] 本発明は下記の実施例においてさらに記述される。その実施例は単に説明的なものであり、記述され、特許請求される本発明の範囲を限定するものでは決して無い。
実施例1:MMP−9の調製および特性付け
[0092] U937細胞およびRPMI 1640培養培地はATCCから得た。ヒトMMP−9 ELISAキット(QUANTIKINE)はR&D Systemsから得た。ウシ胎児血清(FBS)はVWRから得て、ペニシリン−ストレプトマイシン溶液および腫瘍壊死因子α(TNFα)はSigmaから得た。
【0084】
[0093] ヒト白血病U937単球性リンパ腫細胞を、10%FBSおよび1%ペニシリン−ストレプトマイシン溶液を補ったRPMI 1640培地中で培養した。細胞を5%CO2および95%空気を含む加湿した雰囲気中で37℃で培養した。処置の前に、細胞を1%FBSを含むRPMI中に一夜移した。細胞を48ウェルプレート上に蒔いた。細胞培養培地は、TNFα(250ng/mL)、トリクロサン(1ppm)のどちらかを、もしくは両方の薬剤を一緒に含んでいた、または薬剤を含んでいなかった(対照)。処置の後、細胞を24時間培養した。条件培地(Conditioned media)を集め、分析まで−80℃で保管した。条件培地の試料に対して、市販のELISAプロトコルに従ってMMP−9に関する酸素結合免疫吸着検査法(ELISA)を行った(図1)。
【0085】
[0094] TNFαで刺激したU937細胞は、MMP−9のレベルの増大をもたらした。1ppmでのトリクロサンは、TNFαで刺激したU937細胞においてMMP−9のレベルを有意に低減させた。
【0086】
[0095] 表1:トリクロサンのMMP−9産生への作用を示す、図1に関するデータ。
【0087】
【表1】

【0088】
実施例2:MMP−13の調製および特性付け
[0096] 副甲状腺ホルモン(ラットPTH 1−34)はSigmaから購入した。UMR 106−01細胞を、25mM Hepes pH7.4、1%非必須アミノ酸、100ユニット/mlペニシリン、100μg/mlストレプトマイシン、5%ウシ胎児血清を補ったイーグル最小必須培地(EMEM)中で培養した。リアルタイム定量RT−PCRを次の方法に従って実施した:UMR 106−01細胞を12ウェルプレート中で蒔き、細胞培養培地中で2〜3日培養した。細胞がコンフルエントになったら、細胞飢餓(cell starvation)のため、細胞培養培地を一夜1%ウシ胎児血清と交換した。細胞を歯磨剤と共に15分間前保温し、次いでPTH(10−8M)と共に4時間保温した。
【0089】
[0097] PTHで刺激した、またはPTH無しのUMR 106−01細胞からTRIzol試薬を用いて全RNAを単離した。InvitrogenのSUPERSCRIPTキットを用いて、製造業者の説明書に従って全RNA(0.1μg)を逆転写してcDNAにした。プライマーを用いてcDNAに対してPCRを実施し、それの配列を表2に示す。それぞれのプライマー(0.2μM)および12.5μlのPlatinum SYBR Green qPCR SuperMix UDG (Invitrogen)を含むPCR混合物(22.5μl)に2.5μlのcDNAを添加することにより、全てのcDNAを増幅した。反応物を50℃で2分間前保温してUDGによりdUを含むDNAの混入を除去し(decontaminate)、次いで95℃で2分間前保温してUDGを不活性化し、Taqを活性化した。PCRプログラムは、95℃における変性を15秒間、60℃におけるプライマーのアニーリングおよび伸長を30秒間、を49サイクル続けた。遺伝子発現の相対的定量を2−デルタデルタCT法(2−delta delta CT method)を用いることにより決定し、ここで遺伝子発現の倍率変化は対照試料と比較してである。全ての試料はβ−アクチンに対して標準化された。
【0090】
[0098] 全ての結果を三つ組み(triplicate)測定の平均±標準誤差(S.E.)として表し、全ての実験を少なくとも3回繰り返した。Studentのt検定を用いて統計分析を行った。
【0091】
[0099] PTHで刺激したUMR細胞は、MMP−13の発現の増大をもたらした。10ppm、4ppm、および1ppmでのトリクロサンは、PTHで刺激したUMR細胞においてMMP−13の発現を有意に低減させた。10ppmのトリクロサンを含む歯磨剤スラリーは、PTHで刺激したUMR細胞においてMMP−13の発現を有意に低減させた。
【0092】
[00100] 表2:プライマー配列。
【0093】
【表2】

【0094】
実施例3:抗炎症性有効物質に関するアッセイ
[00101] 化合物を、IL−1B、IL−6、IL−8、GM−CSFおよび/またはTNF−αを阻害する能力を分析することにより、抗炎症活性の可能性に関して分析した。生物学的試料(例えば唾液)またはインビトロの試料(例えば細胞培養の上清)中で見つかるサイトカイン類および/または他の炎症性マーカーを評価した。例えば、特定の濃度におけるマーカーの抑制のパーセント量を生成し、それを同じ方式で評価される他のマーカーを比較するために用いた。
【0095】
[00102] 細胞培養上清をポルフィロモナス・ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)接触細胞培養物から調製した。細胞培養物は当技術で既知のいずれかの方法に従って調製することができる。例えば、歯肉細胞をウシ胎児血清(FBS)を含む0.5%血清を含む96ウェルプレート上で一夜培養した。次の日に、培地を除去し、新しいFBSを含まない培地を添加し、そのプレートを37℃でさらなる使用まで培養する。熱殺菌したポルフィロモナス・ジンジバリス(HKPG)を用いて、10mlの培地に100μlのHKPG(1010/mlストック)を添加することにより培地の別のストックを調製した。
【0096】
[00103] 試験薬剤(例えばマーカー)を、2μlの薬剤を10/ml HKPGを含む培地198μlに添加することにより1%ストックから前希釈した。次いでその試験薬剤を1ppmおよび0.5ppmの終濃度まで、HKPGを含む培地を用いて希釈した(ミラープレート)。陰性対照は、HKPGまたは試験薬剤無しの培地であった。陽性対照はHKPGを含む培地であった。
【0097】
[00104] 試験薬剤希釈物を含むマイクロプレートを培地で1回洗浄した。ミラープレートからの条件培地を細胞プレート上の同じ試料の位置に添加し、一夜培養した。次の日に、フローサイトメトリーに基づくアッセイ(例えばLUMINEX)における使用のためにそれぞれのウェルから50μlの培地を分離した。
【0098】
[00105] LUMINEX 5−PLEXアッセイのために試薬を調製した。洗浄溶液を、285mlの脱イオン水を15mlのストック洗浄溶液に添加することにより調製した。アッセイビーズを、2.25mlの洗浄溶液を0.25mlの10×ビーズストックに添加することにより調製した。1×のビオチン化抗体を、9mlの脱イオン水を1mlの10×ビオチン化検出剤に添加することにより調製した。1×のストレプトアビジン−RPEを、9mlの脱イオン水を1mlの10×ストレプトアビジン−RPEストックに添加することにより調製した。
【0099】
[00106] 5−PLEXアッセイのため、製品の説明書に従い、アッセイ希釈液(例えば唾液)を再構成することにより、または50%アッセイ希釈液/50%培養培地を用いることにより、標準を調製した。その標準タンパク質を室温で10分間再水和させた(1時間以内に使用しなければならない)。その再構成された標準をアッセイ希釈液(唾液)または50%アッセイ希釈液/50%培養培地中で系列希釈することにより、一連の希釈を実施して1:729希釈された試料を調製することにより標準曲線を作成した。
【0100】
[00107] 5−PLEXアッセイのため、ピペットで0.2mlの洗浄溶液をそれぞれのウェルの中に入れることによりプレートのウェルを予め濡らし、15〜30秒間待ち、次いで吸引マニホールドを用いて溶液を吸い出した。希釈したビーズ溶液を30秒間ボルテックスして撹拌し、次いでアッセイにおける使用の直前に少なくとも30秒間超音波処理した。その希釈されたビーズ溶液(25μl)をそれぞれのウェルの中に入れ、光が当たらないようにした。洗浄溶液(0.2ml)をそれぞれのウェルに添加し、15〜30秒後に吸引マニホールドを用いて洗浄溶液を吸い出した。その洗浄の工程を繰り返し、次いで残留した液体をプレートの底から吸い取った。インキュベーション緩衝液(50μl)をそれぞれのウェルに添加し、続いて100μlの適切な標準希釈物をそれぞれの指定されたウェルの中に添加し、続いて50μlのアッセイ希釈液、次いで50μlの試料を指定された試料ウェルの中に添加した。プレートを室温でオービタルシェーカー上で500〜600RPMの振盪速度で2時間保温した。
【0101】
[00108] プレートのウェルから吸引マニホールドを用いて液体を除去し、0.2mlの洗浄溶液をウェルに添加し、15〜30秒間保温し、次いで洗浄の工程を繰り返し、続いてプレートの底を吸い取って乾燥させた。ビオチン化検出抗体(1×、100μl)をそれぞれのウェルに添加し、プレートを室温でオービタルシェーカー上で500〜600RPMの振盪速度で1時間保温した。次いで吸引マニホールドを用いてウェルから液体を除去し、続いて上記のように洗浄した。ストレプトアビジン−RPE(1×、100μl)をそれぞれのウェルに添加した。次いでプレートを室温でオービタルシェーカー上で500〜600RPMの振盪速度で30分間保温した。
【0102】
[00109] プレートを保温している間、LUMINEX100装置をアッセイのために準備した。吸引マニホールドを用いてプレートのウェルから液体を除去し、0.2mlの洗浄溶液をウェルに添加し、10秒間保温し、次いで洗浄の工程を2回繰り返した。それぞれのウェルに洗浄溶液(100μl)を添加し、プレートを室温でオービタルシェーカー上で500〜600RPMの振盪速度で2〜3分間保温した。次いでプレートのカバーを外し、読み取りおよび分析のためにLUMINEX装置の中に挿入した。
【0103】
[00110] 試料の濃度を標準曲線から適切な曲線当てはめソフトウェアを用いて決定した。それぞれの濃度の試験薬剤からのサイトカイン阻害を、まず陽性対照中のサイトカインのレベルから薬剤有りでのサイトカインのレベルを減じることにより計算した。次いで、その値を陽性対照中のサイトカインのレベルで割り、100を掛けてそれぞれの個々の薬剤によるパーセント阻害を得た。
【0104】
[00111] 標準曲線は、様々な既知の濃度のマーカーの試料の吸光度をプロットすることにより、あらゆるマーカーに関しても生成することができる。次いでその標準曲線を、後のアッセイおよび分析においてマーカーの濃度の決定を容易にするために用いることができる。
【0105】
実施例4:マーカーおよび疾患状態の免疫化学的分析
[00112] 次のマーカーに対して抗体を産生させた:FAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、IL−12A、IL−6、LCN8、B−因子およびLPO。抗体産生のためのドメイン選択は、特異性、免疫原性、疎水性、およびcDNAの入手可能性を含む基準に基づいて実施された。それぞれの標的配列をcDNAの鋳型からPCRで増幅し、2種類の原核生物発現ベクターの中に挿入し、一方は抗原の生成のためであり、一方は親和性リガンドの生成のためであった。
【0106】
[00113] 商業的に入手できる抗体を用いた試験も実施した。商業的に入手できる抗体のウェスタンブロット分析は、IL−6およびMMP−9はさらなる分析および試験のための優れた候補であることを示した。
【0107】
[00114] 産卵鶏(レグホンおよびロードアイランドレッド)に抗原を注射した。試験試料を集め、最初の抗原刺激の10日後および2回目の抗原刺激の5日後に試験試料を集めた。組み換えタンパク質/ペプチドを用いるウェスタンブロットまたはELISAアッセイを用いて試料を試験した。親和性精製を用いて抗体を精製した。Jurkat、A549、HELA、およびHEK293細胞からの細胞抽出物を、抗体を試験するために用いた。
【0108】
[00115] IL−6、MMP−9およびBFa(B−因子)に対する抗体を、様々な健康な、および病気にかかった状態と相関する組織中のバイオマーカーの存在および/またはレベルを同定するための免疫組織化学的(IHC)試験において用いた。歯肉炎を有する3人の対象(2人は軽度の症例、および1人は中等度の症例)から歯肉組織標本を得た。健康な歯肉を有する5人の対象からも歯肉組織を得た。パラフィン包埋したホルマリン固定した組織スライド(slides)を分析のために生成した。炎症、出血、腫大、および表面の質感(texture)の変化の臨床的証拠を有する歯肉炎組織源から多数のスワイプ(swipes)を得た。健康な歯肉の源は抜歯または歯冠修復からのものであった。標本の情報には、プロービングの深さ、歯の数、面積および収集された歯肉の量が含まれている。対照の組織は、IL−6およびBFaに関して正常な骨髄、ならびにMMP−9に関して乳癌組織であった。
【0109】
[00116] MMP−9は健康な組織および歯肉炎を有する組織の両方において強い染色を示した。MMP−9の結果は、例えば本明細書で述べた他のバイオマーカーからのデータ(例えば、他のMMP類に関して得られたデータ)と組み合わせて患者における歯周疾患の個別の診断をもたらすことができる。IL−6は単核細胞においてのみ染色され、これはウェスタンブロットの結果(すなわち、Jurkat細胞と反応する)と一致する。パラフィン包埋した組織での抗−IL−6抗体および抗−BFa抗体を用いた健康な、および病気にかかった組織の間の比較に関しても相関的な傾向が観察されたが、それはMMP−9に関して得られた相関的な傾向ほど明白では無かった。
【0110】
[00117] 本発明は本明細書において特定の好ましい態様への参照により記述された。しかし、当業者にはそれについての明らかな変形が明らかになると考えられるため、本発明はそれに限定されるものと考えられるべきでは無い。どこかで引用されている全ての特許、特許出願、および参考文献をそのまま本明細書に援用する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔の疾患または病気を処置するのに有用な化合物を同定する方法であって、以下の:
口腔の疾患または病気を患う哺乳類から第1の歯肉試料を得て;
前記の哺乳類の口腔から第2の歯肉試料を得て;
前記の第1の試料を試験化合物と接触させ;
前記の第2の試料を陽性対照と接触させ、ここで前記の陽性対照は1種類以上のバイオマーカーの発現を下方制御することが知られている化合物であり;
前記のバイオマーカーの1種類以上の発現が前記の試験化合物により下方制御される程度を測定し;
前記のバイオマーカーの1種類以上の発現が前記の陽性対照により下方制御される程度を測定し;そして
前記のバイオマーカーの1種類以上の発現が前記の試験化合物により下方制御される程度を前記のバイオマーカーの1種類以上の発現が前記の陽性対照により下方制御される程度と比較する;
ことを含み、ここで前記のバイオマーカーの1種類以上の発現を前記の陽性対照と等しいか、またはより大きな程度まで下方制御する試験化合物は口腔の疾患または病気を処置するのに有用な化合物である、前記方法。
【請求項2】
前記の1種類以上のバイオマーカーがFAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13からなるグループから選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記の陽性対照がFAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13の発現を下方制御する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記の口腔の疾患または病気が歯肉炎または歯周炎である、前記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記の陽性対照がハロゲン化ジフェニルエーテルである、前記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記の陽性対照がトリクロサンである、前記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記の試験化合物が前記のバイオマーカーの1種類以上の発現を前記の陽性対照より大きな程度まで下方制御する、前記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記の試験化合物がFAS、IL−1B、IL−8、MMP−9、DEFB4、CTSS、IL−17B、CARD10、BGN、BE、IL−12A、IL−6、LCN8、LPOおよびMMP−13の発現を前記の陽性対照より大きな程度まで下方制御する、前記の請求項のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記の陽性対照がMMP−9の発現を下方制御する、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
前記の陽性対照がMMP−13の発現を下方制御する、請求項2に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2012−522994(P2012−522994A)
【公表日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503717(P2012−503717)
【出願日】平成22年4月1日(2010.4.1)
【国際出願番号】PCT/US2010/029674
【国際公開番号】WO2010/115034
【国際公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(590002611)コルゲート・パーモリブ・カンパニー (147)
【氏名又は名称原語表記】COLGATE−PALMOLIVE COMPANY
【Fターム(参考)】