説明

軟質木質繊維ボードを含む成形ブロック

【課題】3つの層を備え、層は接着剤により相互に結合されている成形ブロックを改良する。
【解決手段】層11は、単数または複数の軟質木質繊維ボード111を備えており、層12は、2枚の木質材料ボード121,123と、これらの木質材料ボードの間に位置する単数または複数の軟質木質繊維ボード122を備えており、層13は、単数または複数の軟質木質繊維ボード131を備えており、層12は、中央に配置されており、成形ブロック1は、大体において直方体状であり、x:y:z=4〜6:1〜5:2〜5の辺の比を有しており、成形ブロック1は、0.005m3〜0.2m3の体積を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着剤により結合された軟質木質繊維ボードと木質材料ボードとから成る多層の成形ブロックに関し、そのような複数の成形ブロックを備えた建築要素に関し、そのような成形ブロックおよび建築要素を製造する方法に関し、ならびにそのような成形ブロックおよび建築要素の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
既に、木質繊維および/または木質ボードを含む様々な成形ブロックが公知である。成形ブロックは、特別な利用に適合し、建築において普遍的に利用されるものではない。特に公知の成形ブロックは、同時に支持作用および絶縁作用(または断熱作用)を有していて、市販のモルタルもしくは市販の接着剤を用いて標準的な方法で建築場所において加工するようには、設計されていない。
【0003】
欧州特許出願公開第0838557号明細書において、建築物を造作するための建築システムが開示されており、この建築システムは、区切りを構成するための支持構造と成形ブロックとを備えている。この建築システムは、比較的手間の掛かるものであり、さらに一般的な建築物の建築構造に対して互換性がない。とりわけ前掲文献に開示された成形ブロックから支持作用を有する壁体を形成することはできない。さらにこの成形ブロックは、層構造を有していない。
【0004】
さらに国際公開第2005/093182号パンフレットにおいて、再生可能な素材から成る孔付ブロックおよび中実ブロックを用いた、支持作用を有する組積構造物を造作する方法が開示されている。この文献に開示された、支持作用を有する壁体を造作する壁体を造作する方法は、比較的手間が掛かり、したがってあまり実用的ではない。コンクリートまたは同等の支持作用を有する要素が用いられる。さらに前掲文献で開示された成形ブロックは、層構造を有していない。
【0005】
米国特許出願公開第2004/0163352号明細書、米国特許第3016316号明細書およびオーストリア国特許409646号明細書には、相互に結合された個々の木質ボードから成り、さねはぎ(キー溝)結合を提供する特別な木構造用ブロックが開示されている。このようなブロックは、自己支持作用を有する壁体を造作するために用いることができる。しかし、材料に基づいて、従来慣用の組積ブロックを用いた加工は不可能である。
【0006】
国際公開第2008/074170号パンフレットにおいて、木材から成る建築要素が開示されており、この建築要素は、外側に位置する木質ボードと内側に位置する繊維ボードとから形成されている。この建築要素は、比較的高い製造コストが掛かり、また、使用される材料に起因して従来慣用の組積ブロックのようには加工することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0838557号明細書
【特許文献2】国際公開第2005/093182号パンフレット
【特許文献3】米国特許出願公開第2004/0163352号明細書
【特許文献4】米国特許第3016316号明細書
【特許文献5】オーストリア国特許409646号明細書
【特許文献6】国際公開第2008/074170号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって本発明の課題は、上述の単数または複数の欠点を解消する成形ブロックおよび建築要素、ならびに成形ブロックおよび建築要素に関する相応の方法を提供することである。特に建築場所において従来慣用のように加工することができ、かつ支持作用および絶縁作用(もしくは遮断作用)を有する、という成形ブロックの要求が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この課題は、独立請求項の特徴部に記載された構成により解決される。従属請求項は、好適な態様を成している。別の好適な態様は、発明を実施するための態様および図面の記載から看取される。本発明に関して得られる一般的な、好適な、および特に好適な態様や構造範囲等は、任意に組み合わせることができる。同様に個々の定義や態様等は、省略してもよく、または相互に関係付けしなくてもよい。
【0010】
本発明の構成では、成形ブロックであって、3つの層を備え、層は、接着剤により相互に結合(接着)されているものにおいて、1つの層は、単数または複数の軟質木質繊維ボードを備えており、1つの層は、2枚の木質材料ボードと、これらの木質材料ボードの間に位置する単数または複数の軟質木質繊維ボードを備えており、1つの層は、単数または複数の軟質木質繊維ボードを備えており、1つの層は、中央に配置されており、成形ブロックは、大体において直方体状であり、x:y:z=4〜6:1〜5:2〜5の辺の比を有しており、成形ブロックは、0.005m3〜0.2m3の体積を有している。
【0011】
好適には、ボードは、部分的または全面的に相互に接着されている。
【0012】
好適には、接着剤は、天然系または合成系の木工用接着剤であり、好適にはPVAC接着剤およびPU接着剤の群から選択されている。
【0013】
好適には、成形ブロックは、狭幅面で、好適には突き合わせ部分で、形状結合で相互に係合する凹凸形状部分を備えている。
【0014】
好適には、成形ブロックは、同じまたは異なるタイプ(同種または異種)の軟質木質繊維ボードを備えており、同じまたは異なるタイプの木質材料ボードを備えており、かつ/または、単数または複数の面で、外側被覆を有している。
【0015】
好適には、軟質木質繊維ボードは、80kg/m3〜300kg/m3のかさ密度を有するボードの群から選択されており、かつ/または、木質材料ボードは、250kg/m3〜800kg/m3のかさ密度を有するボードの群から選択されている。
【0016】
好適には、軟質木質繊維ボードは、10mm〜60mm、好適には15mm〜25mmの厚さを有しており、かつ/または、木質材料ボードは、15mm〜40mm、好適には24mm〜36mmの厚さを有している。
【0017】
好適には、成形ブロックは、中実ブロックまたは中空ブロックとして構成されている。
【0018】
この課題を解決するために本発明の構成では、成形ブロックを製造する方法であって、以下の順序で行われるステップを有しているものにおいて、(態様A)ボード複合体を形成するための層を供給して接着し、形成されたボード複合体を切断し、場合によっては凹凸形状部分を形成し、場合によっては被覆を形成し、場合によっては固定手段を形成するか、または、(態様B)層を供給して切断し、形成された層を接着し、場合によっては凹凸形状部分を形成し、場合によっては被覆を形成し、場合によっては固定手段を形成するステップを有している。
【0019】
好適には、全てのステップを連続的に行う。
【0020】
本発明の構成では、建築要素、特に建築用ブロック複合体は、複数の成形ブロックと、好適には接着剤の群から選択された結合材料とを備えている。
【0021】
好適には、建築要素は、支持作用を有するかまたは支持作用を有していない壁体として構成され、特に支持作用を有するかまたは支持作用を有していない1重の壁体として構成されている。
【0022】
好適には、結合材料は、支承接合部にしか設けられていない。
【0023】
本発明の構成では、建築要素を造作するために成形ブロックを用いる。
【0024】
好適には、結合手段を用いて成形ブロックを組積する、特に接合部をずらして組積することにより、建築要素を造作する。
【0025】
好適には、第1列の成形ブロックを供給して位置決めし、第1列の成形ブロックの支承面に結合材料の層を設け、別の列の成形ブロックを結合材料の層に供給して位置決めし、場合によってはこれらのステップを繰り返す。
【発明の効果】
【0026】
本発明において用いられる用語(概念)は、一般的なものであり、専門家にとって慣用の意味で用いられるものである。直接的なつながりから別の意味が得られないものにおいては、以下の用語は、特に記載された意味を有するものとする。
【0027】
「成形ブロック」とは、少なくとも2つの面平行な面(たとえば「可視面(外側から視認される面)」(図1のx−z平面)または「支承面」(図1のx−y面))を有する3次元的な本体を備えていて、建築要素、特に組積複合体を造作するのに適切である。典型的には、成形ブロックは、大体において直方体状である。可視面の横に位置する別の側面は、「狭幅面」と云われ、垂直の狭幅面は、「突き合わせ面」と云われ、水平の狭幅面は、「支承面」と云われる。さらに成形ブロックは、別の成形ブロックを結合するための要素(凹凸形状部分)を備えている。「成形ブロック」は、「成形体」、「建築用ブロック」または一般的に「規格化された建築要素」とも云われる。
【0028】
「軟質木質繊維ボード」(木質繊維断熱ボードとも云われる)は、典型的には木質繊維から成る80〜90質量%の広く知られたボードであり、これは、鋸くず(背板、削りくず)とチップとから形成される。軟質木質繊維ボードは、湿式または乾式の方法で製造可能である。木質繊維が大体においてまたは完全に針葉樹材から形成される軟質木質繊維ボードが好適である。軟質木質繊維ボードは、2対の切断縁(「縁面」)ならびに上面および下面を備えており、これらは典型的には区別不能である(「側面」もしくは「面」)。
【0029】
「木質材料ボード(木質ボード)」(wood based panelとも云われる)は、広く知られたボードであり、集成材(Solid Wood Panels;SWP)、化粧張り木質ボード(化粧板、ベニヤ、製材、;LVL)、合板、配向性ストランドボード(Oriented Standard Board;OSB)、パーティクルボード(Particleboard(樹脂または接着材による接合))、(中密度)繊維ボード(Fibreboard、たとえばMDF)を含み、これらは支持作用を有する建築要素に関するEN(欧州規格)13986において記載されている。木質材料ボードは、同様に2対の切断縁(「縁面」)ならびに上面および下面を備えており、これらは典型的には区別不能である(「側面」もしくは「面」)。したがって木質材料ボードの用語には、本発明の範囲内では、軟質木質繊維ボードは含まれない。
【0030】
「接着剤」は、いわゆるボードを面付着および内部強度、つまり付着力および凝集力により結合する広く知られた材料である。その用語には、特に水性または非水性のベースを有する有機材料が含まれ、特に40℃を超える温度および比較的高い圧力で固まる材料が含まれる。本発明では、接着剤は、産業において上述の成形ブロックを製造する際に用いられる。
【0031】
「結合材料」は、上述の成形ブロックを面付着および内部強度、つまり付着力および凝集力により結合する広く知られた材料である。その用語には、特にモルタル(つまり大体において無機材料で水硬性)および接着剤(つまり大体において有機材料で化学的に室温で圧力作用なく固まる)が含まれる。本発明では、結合材料は、上述の成形ブロックを用いて建築要素を造作する際に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】直方体状の成形ブロックを概略的に示す図である。
【図2】層の多板状の構造を概略的に示す図である。
【図3】本発明による成形ブロックの凹凸形状部分の例を概略的に示す図である。
【図4】成形ブロックの列から成る建築要素を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1には、凹凸形状部分がない中実ブロックの構成をした直方体状の成形ブロック(1)を概略的に示しており、図1において、x−z平面は、可視面を形成し、y−z平面は、突き合わせ面を形成し、x−y平面は、支承面を形成し、個々の層(11)(12)(13)は視認可能であり、使用される接着剤は図示していない。
【0034】
図2には、層(11)(13)および(12)の多板状の構造を概略的に示しており、図2において、(11)は、3枚の軟質木質繊維ボードから形成され、(13)は、5枚の軟質木質繊維ボードから形成され、(12)は、2つの木質材料ボード(121)(123)および3枚の軟質木質繊維ボード(122)から形成されている。
【0035】
図3には、本発明による成形ブロック(1)の凹凸形状部分の例を概略的に示しており、図3において、成形ブロックの個々の層は強調しており、接着剤ならびに結合材料は図示していない。図3(上側)には、突き合わせ面に沿って凹凸形状部分が形成された成形ブロック(1)を図示していて、図3(下側)には、支承面に沿って凹凸形状部分が形成された成形ブロック(1)を図示している。
【0036】
図4には、成形ブロック(1a)(1b)(1c)の列から成る建築要素を概略的に示しており、この態様では、結合材料(3)は、専ら支承面に設けられている。
【0037】
第1の思想によれば、本発明は、成形ブロック(1)であって、3つの層(11)(12)(13)を備えており(つまり3つの層(11)(12)(13)を含み、または3つの層(11)(12)(13)から成る)、層(11)(12)(13)は、接着剤により相互に結合(接着)されているものにおいて、(a)層(11)は、単数または複数の軟質木質繊維ボード(111)を備えており、(b)層(12)は、2枚の木質材料ボード(121)(123)と、これらの木質材料ボードの間に位置する単数または複数の軟質木質繊維ボード(122)を備えており、(c)層(13)は、単数または複数の軟質木質繊維ボード(131)を備えており、(d)層(12)は、中央に(つまり層(11)と層(13)との間に)配置されており、(e)当該成形ブロック(1)は、大体において直方体状であり、x:y:z=4〜6:1〜5:2〜5の辺の比を有しており、(f)当該成形ブロック(1)は、0.005m3〜0.2m3の体積を有していることを特徴とする。このような成形ブロックはたとえば壁体、組積構造物や柱を造作するのに適切である。本発明による成形ブロックは、簡単に製造可能であり、加工可能であり、粗塗りおよび/または上塗りを行うために適切である。特に本発明による成形ブロックは、支持作用、絶縁作用および/または断熱作用(あとで説明する)を有していて、したがって1重の壁構造に適切である。さらに本発明による成形ブロックは、第3の思想において記載するように、壁体を市販の結合材料(モルタルまたは接着剤)を用いて造作するのに適切である。
【0038】
本発明による成形ブロックの別の特徴および態様について以下に説明する。
【0039】
軟質木質繊維ボードの用語は、上述していて、好適にはEN13171に対応する軟質木質繊維ボードが用いられる。適切な軟質木質繊維ボードの寸法は、広範囲に変化させることができ、特に製造技術に係る設計に依存している。たとえば10mm〜140mmの厚さ、好適には10mm〜60mmの厚さ、特に15mm〜25mmの厚さを有する軟質木質繊維ボードが適切である。適切な軟質木質繊維ボードの厚さは、広範囲に変化させることができ、特に所望の利用目的に依存している。たとえば80kg/m3〜400kg/m3のかさ密度、好適には80kg/m3〜300kg/m3のかさ密度、特に110kg/m3〜230kg/m3のかさ密度を有する軟質木質繊維ボードが適切である。そのようなボードは、公知の方法で製造可能であり、広く知られた方法で本発明による成形ブロックに加工することができる。
【0040】
木質材料ボードの用語は、上述していて、好適にはEN13986に対応し、かつ/または相応の設計に基づいて支持作用を有する建築要素に使用することができる木質材料ボードが用いられる。適切な木質材料ボードの寸法は、広範囲に変化させることができ、特に製造技術に係る設計に依存している。たとえば15mm〜40mmの厚さ、好適には24mm〜36mmの厚さを有する木質材料ボードが適切である。適切な木質材料ボードの密度は、広範囲に変化させることができ、特に所望の利用目的に依存している。たとえば250kg/m3〜800kg/m3のかさ密度、好適には350kg/m3〜550kg/m3のかさ密度を有する木質材料ボードが適切である。たとえばパーティクルボード、OSBボード、3層CCボード(等級C−Cの3層ボード)として構成されている。そのようなボードは、公知の方法で製造可能であり、広く知られた方法で本発明による成形ブロックに加工することができる。
【0041】
本発明による成形ブロックに上述のボードを面状に配置することにより、成形ブロックの多板状の(多層)構造が得られる。本発明において言及する成形ブロックの好適な態様によれば、軟質木質繊維ボードおよび木質材料ボードは、その面が成形ブロックの可視面(図1のx−z平面)に対して平行に位置するように、配置されている。これにより縦置きの面平行な面から成る多板状の構造が形成され、成形ブロックを形成する個々のボードは、「板」(たとえば(111)(112)(122)等)とも云われる。これらの板は、層(11,12,13)にまとめられ、その際、層(12)は中央に、つまり(11)と(13)との間に配置されている。このような配置構造は、後述するように、建築要素の有利な断熱特性および支持特性を達成するために好適である。
【0042】
本発明による成形ブロック(1)の好適な態様によれば、成形ブロック(1)は、同一サイズの多板を備えるか、同一サイズの多板から成っている。成形ブロックの個々の板は、a)同一面積であるが異なる厚さを有するか、または、b)同一面積および同一厚さを有していてよい。
【0043】
本発明による成形ブロックの別の好適な態様によれば、成形ブロック(1)は、同一または異なるタイプの軟質木質繊維ボード(111)(122)(131)を備えている。
【0044】
本発明において言及する成形ブロックの別の好適な態様によれば、成形ブロック(1)は、同一または異なるタイプの木質材料ボード(121)(123)を備えている。
【0045】
本発明において言及する成形ブロックの別の好適な態様によれば、成形ブロック(1)は、(i)4枚〜40枚、好適には6枚〜25枚の軟質木質繊維ボードから成っていて、(ii)2枚〜6枚、好適には2枚の木質材料ボードから成っている。これらのボートの数は、成形ブロックの所望の強度、良好な安定性および良好な絶縁性を得るために好適なものと認められている。
【0046】
本発明において言及する成形ブロックに用いられる軟質木質繊維ボードもしくは木質材料ボードは、同一であってよいが、同一である必要はない。
【0047】
本発明において言及する成形ブロックの1つの態様によれば、成形ブロックは、同じタイプの軟質木質繊維ボードおよび木質材料ボードを備えている。そのような成形ブロックは、特に簡単に製造可能および加工可能である。
【0048】
本発明において言及する成形ブロックの別の態様によれば、成形ブロックは、異なるタイプの木質材料ボードを備えている。そのような成形ブロックは、特別な要求に適合させることができる。特別な態様によれば、そのような成形ブロックは、比較的高い密度PHDを有する外側の軟質木質繊維ボードと、比較的低い密度PNDを有する単数または複数の軟質木質繊維ボードとを備えており、これによりたとえばPHD−PND−PHDのボード並びが得られる。そのような成形ブロックは、特に断熱特性、重量および支持能力に関して最適化することができる。別の特別な態様によれば、そのような成形ブロックは、比較的高い密度を有する外側の軟質木質繊維ボードならびに中央の単数または複数の軟質木質繊維ボードと、これらの軟質木質繊維ボードの間に位置する比較的低い密度を有する単数または複数の軟質木質繊維ボードとを備えており、これによりたとえばPHD−PND−PHD−PND−PHDのボード並びが得られる。そのような成形ブロックは、特に凹凸形状部分の安定性に関して好適な特性、たとえば改善された安定性を有している。
【0049】
接着剤の用語は、上述している。接着剤は、部分的(たとえば点状、部分面状)または全面的に、上述の層もしくは板の間に被着するかもしくは設けることができる。本発明において言及する成形ブロックの好適な態様によれば、上述の層もしくは多板は、相互に全面的にまたは大体において全面的に接着される。形成された接着剤層の厚さは、変化させることができ、とりわけ接着剤の種類および塗布の方式に依存している。典型的には、接着剤の層厚さは、<5mm(5mm以下)、好適には0.5mm〜3mmである。
【0050】
本発明において言及する成形ブロックの好適な態様によれば、接着剤は、天然系または合成系の木工用接着剤であり、好適には、白色の木工用接着剤(つまりPVACをベースとする)、メラミン樹脂、フェノール樹脂およびポリウレタンを含む群から選択されている。そのような接着剤は、市場で入手可能であるか、または広く知られた方法で製造可能である。上述のボードと木工用接着剤との組み合わせにより、一連の利点が得られ、耐水性および/または耐湿性が高まり、強度が高まり、ならびに簡単な製造が実現される。
【0051】
本発明による成形ブロックの別の態様によれば、成形ブロックは、別の成形ブロックと結合するための要素(凹凸形状部分)を備えている。したがって本発明において言及する成形ブロックによれば、成形ブロックは、狭幅面で、形状結合(形状結合とは、嵌め合いまたは噛み合いなどの部材相互の形状的関係に基づく結合・拘束を意味する)で相互に係合する凹凸形状部分を備えている。そのような凹凸形状部分は、一般的に公知である。本発明は、特別な凹凸形状部分に制限されるものではなく、むしろ凹凸形状部分は、慣用のあらゆる構成で提供され、たとえば相互に適合するさねはぎ(N+F)の構成をした結合部の相互に適合する段部として提供することができる。このような要素は、「しゃくり」もしくは「突き合わせしゃくり」と云われる。これにより所定の成形ブロックは、確実に、鉛直および/または水平の隣接する成形ブロックの凹凸形状部分に嵌め込まれる。そのような凹凸形状部分の形成は広く公知であり、慣用の機械加工方法、たとえば切削加工に従って形成することができる。さらに単数または複数の板のずらした配置により凹凸形状部分を形成することができる。
【0052】
本発明による成形部材の1つの態様によれば、成形ブロック(1)は、突き合わせ面および/または支承面に、凹凸形状部分を備えている。本発明による成形ブロックの好適な態様によれば、成形ブロック(1)は、突き合わせ面に凹凸形状部分を備えていて、支承面に凹凸形状部分を備えていない。
【0053】
さらに本発明において言及する成形ブロックは、表面被覆を有することができる。本発明による成形ブロックの別の態様によれば、成形ブロックは、外側被覆を有している(「被覆された成形ブロック」)。そのような被覆は、一般的に公知である。本発明は、特別な被覆に制限されるものではなく、むしろ被覆は、通常のあらゆる構成で提供するか、または単数または複数のワニス層もしくは塗料層、単数または複数の上塗り層、単数または複数のポリマー層として提供してよい。本発明による成形ブロックは、全てのまたは個々の面で外側被覆を有してよく、好適には、一方または両方の可視面が、外側被覆を有している。2つ以上の面が被覆される場合には、これらの面の被覆は、同一であっても異なっていてもよい。可視面の被覆は、建築要素の造作前後に、後述するように、広く知られた方法で取り付けることができる。側面の被覆は、建築要素の造作前に、後述するように、広く知られた方法で取り付けることができる。
【0054】
言及する成形ブロックの別の態様では、成形ブロックは、中実ブロックまたは中空ブロックとして構成されている。本発明の範囲内において、上述のボードおよび接着剤層が成形ブロックの容積を完全にもしくは大体において完全に充填する場合、成形ブロックは中実ブロックである。
【0055】
成形ブロック(1)のサイズおよびサイズ比については上述しており、したがって成形ブロックは、建築場所で個人により取り扱えるように設計されている。特に成形ブロック(1)は、大体において直方体状であり、好適にはx:y:z=4〜6:1〜5:2〜5の辺の比を有している。さらに本発明による成形ブロック(1)は、好適には0.005m3〜0.2m3、好適には0.01m3〜0.1m3の体積を有している。このような寸法設定に基づいて、成形ブロック(1)は、予め製造された建築要素、たとえば完成した壁体とは区別される。
【0056】
個々の層(11)(12)(13)の厚さは、広範囲に変化させることができるが、成形ブロック(1)の全体厚さ(図1のy軸)が得られるように、変化させることができる。層(12)は、たとえば150mm〜250mmの厚さ、特に194mm〜200mmの厚さを有してよい。層(11)(13)は、同一厚さ(たとえば内壁用)または異なる厚さ(たとえば外壁用)を有してよい。(11)と(13)とが同一厚さの場合には、厚さは、たとえば50mm〜150mm、特に60mm〜120mmであり、(11)と(13)とが異なる厚さの場合には、厚さは、たとえば50mm〜100mmおよび100mm〜200mm、特に60mm〜90mmおよび120mm〜150mmである。層(11)と(13)とが異なる厚さである場合には、両方の層の厚い方は、好適には断熱作用を有する外側層として設計されているかまたは設けられている。さらに好適には、建設業において一般的な規格に対して互換性がある成形ブロックが提供され、したがって170mm、250mmおよび360mmの厚さを有する成形ブロックが好適である。
【0057】
さらに本発明において言及する成形ブロックは、個々の層および/または板の間に追加的な結合要素(固定手段)を備えている。その際、相互に接着された個々の板は、追加的に単数または複数の結合要素と結合される。適切な結合要素は、広く知られており、当業者が任意に選択することができる。たとえば木製、プラスチック製または金属製のダボ、ねじ、釘が適切であり、特に木製ダボが適切である。成形ブロックは、単数または複数の固定手段を備えることができ、さらに固定手段は、単数または複数の板または層を相互に結合することができる。そのような固定手段により、追加的に成形ブロックの安定性が高まり、その製造が簡単になる。
【0058】
本発明において言及する成形ブロックの別の好適な態様によれば、個々の層および/または板は、専ら接着剤により相互に結合されていて、したがって結合要素から解放されている。そのような成形ブロックは、特に簡単に製造することができ、顧客により極めて好適なものと認められている。
【0059】
さらに本発明は、建築要素、特に組積複合体を造作するための本発明において言及する成形ブロックを使用することに関する。さらに本発明は、1重の壁構造、特に1重の外壁構造における成形ブロックを使用することに関する。本発明において言及する成形ブロックの好適な性質に基づいて、煉瓦、有孔コンクリートまたは石灰石から形成される公知の外壁構造と較べて約25%〜33%薄い外壁構造を実現することができる。したがって本発明による成形ブロックは、同時に組積ブロックおよび断熱体であり、建築要素(特に組積複合体)のこれら両方の機能は、本発明のような構成を有しない場合には、建築場所において様々な材料(組積ブロックおよび断熱材料)の結合によりはじめて達成される。したがって本発明による成形ブロックは、少なくとも2N/mm2、好適には3N/mm2の支持能力および/または少なくとも0.043W/m2K、好適には0.041W/m2Kの絶縁値もしくは断熱値を有している。
【0060】
本発明による第2の思想は、言及する成形ブロックを製造する方法に関する。この方法の出発材料として、(11)(12)(13)に従った層構造を有するボードが適切である。そのようなボードは、(態様A)提供されて、接着され、次いで切断されるか、または(態様B)提供されて、切断されて、次いで接着される。
【0061】
本発明による成形ブロックを製造する方法の1つの態様によれば、以下の順序で行われるステップを有している。:即ち、
・ボード複合体を形成するための層(11)(12)(13)を供給して接着し、
・形成されたボード複合体を切断し、
・場合によっては凹凸形状部分を形成し、
・場合によっては被覆を形成し、
・場合によっては固定手段を形成する、ステップを有している。
【0062】
本発明による成形ブロックを製造する方法の別の1つの態様によれば以下の順序で行われるステップを有している。:即ち、
・層(11)(12)(13)を供給して切断し、
・形成された層を接着し、
・場合によっては凹凸形状部分を形成し、
・場合によっては被覆を形成し、
・場合によっては固定手段を形成する、
ステップを有している。
【0063】
前者の方法(態様A)では、先ずボード複合体が形成され、このボード複合体は、所望の成形ブロックの厚さを有しており、後続の切断により、成形ブロック(1)の側面が形成される。態様Bの方法では、先ず個々の層が形成され、次いで接着により成形ブロック(1)が形成される。方法の個々のステップは、連続的または非連続的に実施することができるので、態様AまたはBによる製造プロセス全体は、連続的、部分連続的または非連続的である。本発明による製造プロセスの個々のステップおよび好適な態様については、以下に説明する。
【0064】
(11)(12)(13)による層構造を有するボードの製造は、広く知られた方法で、たとえば湿式または乾式の方法および後続の接着により行われる。連続的または非連続的なプロセスに対するそのようなボードの供給は、広く知られている。
【0065】
ボードもしくは相応のボード複合体の切断は、広く知られており、公知の方法で行われる。
【0066】
軟質木質繊維ボードもしくは相応の板および層の接着は、広く知られており、公知の方法で行われる。上述のように、接着は、点状、部分面状または全面的に行われ、好適には全面的に行われる。接着は、i)たとえば慣用の被覆方法に従ってボードの表面に接着剤を被着し、ii)形成された接着剤層に別のボードを取り付け、iii)場合によっては圧力および/または熱を作用させながら接着剤結合部を硬化する、ステップを含んでいる。3つまたは4つ以上の層を形成するために、ステップi)〜iii)が繰り返されるか、または専らステップi)およびii)が繰り返される。
【0067】
凹凸形状部分の形成は、広く知られていて、公知の機械加工方法に従って、たとえば切削加工により行うことができる。さらに態様Bによる製造に関して、単数または複数の板をずらして、特に面平行にずらして配置することができ、そうして凹凸形状部分が形成される。
【0068】
成形ブロックの被覆は、広く知られていて、公知の方法で行うことができる。
【0069】
本発明による第3の思想は、多数の成形ブロック(1)と場合によっては結合材料(3)とを備えた建築要素(2)に関する。第3の思想の特徴および好適な態様について、以下に説明する。成形ブロックは、側面が直にまたは場合によっては存在する結合材料を介して相互に接触するように、建築要素に配置されている。換言すると、本発明による構成要素(2)において、言及する成形ブロック(1)の可視面もしくは可視面に取り付けられた被覆が視認できる。
【0070】
建築要素の用語は、広く知られていて、特に建築用ブロック複合体、たとえば建築物である壁体、組積体、柱、支持体、階段ならびにこれらの建築物の一部を含むものである。したがって本発明は、建築物を造作するための、多数の成形ブロック(1)と場合によっては結合材料(3)とを備えた、特に支持作用を有する壁体、補強作用を有する壁体、支持作用を有していない壁体として構成された建築要素に関する。さらに本発明による建築要素(2)によれば、建築要素(2)は、建築物の外壁または内壁として構成されている。「壁体」は、本発明において、鉛直のパネルとして構成された構造体であり、その長さおよび高さは、その厚さよりも極めて大きく(特に>5)、特に建築物の壁体、たとえば外壁および内壁である。
【0071】
本発明による成形ブロックは、結合材料(「モルタル」「接着剤」(3))により相互に結合可能である。そのような結合材料は、成形ブロックの間に水平および/または垂直の接合部(継ぎ目)を形成する。結合材料として、市販のモルタル、たとえばセメントモルタル、または市販の接着剤、たとえば接合剤を用いることができ、好適には接着剤が用いられる。結合材料の層厚さもしくは接合部の厚さは、広範囲に変化させることができ、この厚さは、典型的には、モルタルの場合、成形ブロックの厚さの1/100〜1/150の範囲にあり、接着剤の場合、0.2mm〜2mmの範囲にある。
【0072】
本発明による建築要素(2)の別の態様によれば、建築要素(2)は、鉛直および/または水平の突き合わせ部分を備えた、結合材料(3)により結合される多数の成形ブロック(1)を有している。
【0073】
本発明による建築要素(2)の別の態様によれば、建築要素(2)は、多数の成形ブロック(1)を備えており、成形ブロック(1)は、結合材料(3)により、専ら支承接合部(つまり突き合わせ接合部ではない)で結合されている。この態様によれば、好適には、成形ブロック(1)は、突き合わせ面で凹凸形状部分を有していて、支承面には有していない。
【0074】
本発明による建築要素は、完全にまたは部分的に、好適には完全に、本発明による成形ブロックから形成することができる。したがって本発明による成形ブロックは、古典的な組積ブロック、たとえば煉瓦、コンクリートブロック、気泡コンクリートブロックに対して完全にまたは部分的に代用するために適切である。したがって本発明による建築要素(2)は、多数の成形ブロック(1)と場合によっては結合材料(3)とを含む(つまりこれらを備えるかまたはこれらから成る)ものである。
【0075】
さらに本発明は、骨組み建築物に関し、骨組み構造物の区切り部分は、言及する成形ブロックを備えている。このような態様によれば、本発明による成形ブロックは、従来使用された区切りを充填するブロックまたは区切りを充填する材料に対して代用される。
【0076】
本発明による建築要素(2)の別の態様によれば、建築要素(2)は、1重の構造で、多数の成形ブロック(1)と結合材料(3)とを備えている。本発明による成形ブロック(1)および建築要素(2)の良好な支持特性および絶縁特性は、特に好適であり、これらの特性により、1重の構造の外壁(および同様に内壁)を造作することができる。したがって多重の構造(支持作用を有する層、絶縁作用を有する(もしくは断熱作用を有する)層および場合によっては別の層から成る構造)は、省略される。1重の構造の建築要素(2)は、典型的には、0.14W/m2K、好適には0.10W/m2KのU値(熱貫流率)を有している。
【0077】
さらに本発明は、建築物を造作するためかつ/または建築物に部屋を造作するために、言及する建築要素、特に組積複合体を使用することに関する。本発明による成形ブロックは、建築物を造作する際に、古典的な中実構造または木構造で用いることができる。
【0078】
第4の思想において、本発明は、建築要素(2)を造作する方法に関する。上述のように、本発明による成形ブロックは、既知の組積ブロック、たとえば煉瓦または気泡コンクリートブロックに対して代用するのに適切である。本発明による成形ブロックの加工は、当業者には慣用の広く知られた方法と同様に行われる。したがって本発明は、結合手段を用いて言及する成形ブロックを組積することにより建築要素を造作する方法に関する。
【0079】
建築要素(2)を造作する方法の1つの態様によれば、以下に述べる、所定の順序で行われるステップを有している。:即ち、
・成形ブロック(1)を供給して位置決めし、
・成形ブロック(1)の支承面および場合によっては突き合わせ面に結合手段(3)を着け、
・これらのステップを繰り返す、
というステップを有している。
【0080】
この態様によれば、支承面および好適には突き合わせ面に結合手段(3)が被着される。
【0081】
建築要素(2)を造作する方法の別の1つの態様によれば、以下に述べる、所定の順序で行われるステップを有している。即ち、
・第1列の成形ブロック(1)を供給して位置決めし、
・第1列の成形ブロック(1)の支承面に結合手段(3)の層を取り付け、
・結合手段(3)の層に別の列の成形ブロック(1b)を供給して位置決めし、
・これらのステップを繰り返す、
というステップを有している。
【0082】
この態様によれば、支承面に結合手段(3)が被着されるが、突き合わせ面には被着されない。
【0083】
建築要素の造作は、建築場所だけでなく部分完成構造物(そこでは建築要素の一部が前造作される)でも行うことができる。本発明による建築要素を造作する方法の1つの態様によれば、建築要素の一部、好適には平らな壁要素が前造作され、別の同一または異なる建築要素と組み合わせるために、建築場所にもたらされる。この方法によれば、建築要素に掛かる造作時間が短縮可能である。
【0084】
相応に本発明は、たとえば建築場所または部分完成構造物において建築要素(2)を造作するために成形ブロック(1)を使用することに関する。
【0085】
以下に挙げる例は、本発明を詳しく説明するためのものであり、本発明の何らかの制限を行うものではない。
【0086】
1.成形ブロック
製造:
軟質木質繊維ボードおよび木質材料ボードは、市販のセメント状の流動性の接着剤を用いて相互に層を成すように、約1mmの厚さの層を形成しながら後述のように接着される。その際、先ず層(11)(12)(13)が形成され、次いでこれらの層は相互に接着される。成形ブロックは、後述の寸法、約10kgの重量、10mmの突き合わせ接合部(層(12)をずらした配置による)を有している。
1.1 成形ブロック L/B/H 580/254/374mm;(H=厚さ)、
・層(11):6枚のボード Inthermo HFD、厚さ20mm、250kg/m3
・層(12):2枚のボード 3層 C−C、カバー層254の繊維方向、厚さ27mm、その間に7枚のボード Pavawall、厚さ20mm、155kg/m3
・層(13):3枚のボード Inthermo HFD、厚さ20mm、250kg/m3
1.2 成形ブロック L/B/H 495/243/370mm;(H=厚さ)、
・層(11):6枚のボード Inthermo HFD、厚さ20mm、250kg/m3
・層(12):2枚のボード 3層 C−C、カバー層254の繊維方向、厚さ19mmもしくは32mm、その間に7枚のボード Pavawall、厚さ20mm、155kg/m3
・層(13):3枚のボード Inthermo HFD、厚さ20mm、250kg/m3
【0087】
試験:
1.2のブロックは、DIN EN(欧州規格のドイツ版) 722−1および772−16に従って、かさ密度および耐圧性に関して試験される。平均の耐圧性(形状係数なし)は、1.6N/mm2、平均のかさ密度は、221kg/m3である。
【0088】
2.試験壁体
製造:
たとえば1.2の成形ブロックから、Ytongモルタル下地を備えた、長さ125cm、高さ250cm、厚さ(ブロック厚さ)37cmの接合部をずらした3つの壁体が得られる。モルタルは、モルタルローラを用いて専ら支承面に被着され、突き合わせ面は、モルタルなしに音を立てながら突き合わされる。
【0089】
壁体は、試験まで20日間、18℃〜22℃、40%〜60%の相対湿度で保管される。
【0090】
耐圧性に関する試験:
壁体は、DIN EN 1052−1に従って、5000knの圧力試験器において、中心の、均等に分配された荷重で試験される。耐圧性は、上述の試験壁体において0.7−0.7−0.8N/mm2である。
【0091】
熱通過抵抗試験:
壁体は、DIN EN 1934に従って試験される。熱通過抵抗は、0.042W/m2Kであり、これは、予想された0.050W/m2Kの値を下回り、したがって良好な結果を表している。したがって熱伝導率に関する測定値として、0.046W/m2Kの値を表示することができる。したがってここで測定するように、壁のU値は、0.123W/m2Kである。したがって値は、パッシブハウスもしくはミネルギーハウス建築の基準値を十分に満たすものであり、U=0.15W/m2Kである。
【0092】
3.結び
記載の試みが示すように、本発明による成形ブロックを用いると、実証されたモルタル技術を用いて、支持作用を有する壁体を造作することができる。このような壁体は、直に建築場所で造作することができる。さらにこの壁体は、直に上塗りすることができ、かつ/またはライン敷設のための取付平面として用いることができる。
【0093】
さらに記載の試みが示すように、本発明による成形ブロックを用いると、実証されたモルタル技術を用いて、良好な絶縁特性(断熱性および拡散特性)を有する壁体を造作することができる。このような壁体では、追加的な絶縁手段の取付けが省略され、しかもミネルギーハウスの境界値を上回ることができる。
【符号の説明】
【0094】
1,1a,1b,1c 成形ブロック、 2 建築要素、 3 結合材料、 11,12,13 層、 121,123 木質材料ボード、 122 軟質木質繊維ボード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形ブロック(1)であって、
3つの層(11)(12)(13)を備え、
該層(11)(12)(13)は、接着剤により相互に結合(接着)されているものにおいて、
(a)層(11)は、単数または複数の軟質木質繊維ボード(111)を備えており、
(b)層(12)は、2枚の木質材料ボード(121)(123)と、これらの木質材料ボードの間に位置する単数または複数の軟質木質繊維ボード(122)を備えており、
(c)層(13)は、単数または複数の軟質木質繊維ボード(131)を備えており、
(d)層(12)は、中央に配置されており、
(e)当該成形ブロック(1)は、大体において直方体状であり、x:y:z=4〜6:1〜5:2〜5の辺の比を有しており、
(f)当該成形ブロック(1)は、0.005m3〜0.2m3の体積を有している、
ことを特徴とする、成形ブロック。
【請求項2】
前記ボードは、部分的または全面的に相互に接着されている、請求項1記載の成形ブロック。
【請求項3】
前記接着剤は、天然系または合成系の木材用接着剤であり、好適にはPVAC接着剤およびPU接着剤の群から選択されている、請求項2記載の成形ブロック。
【請求項4】
当該成形ブロック(1)は、狭幅面で、好適には突き合わせ部分で、形状結合で相互に係合する凹凸形状部分を備えている、請求項1から3までのいずれか1項記載の成形ブロック。
【請求項5】
当該成形ブロックは、
(a)同一または異なるタイプの軟質木質繊維ボード(111)(122)(131)を備えており、
(b)同一または異なるタイプの木質材料ボード(121)(123)を備えており、かつ/または、
(c)単数または複数の面で、外側被覆を有している、
請求項1から4までのいずれか1項記載の成形ブロック。
【請求項6】
(a)前記軟質木質繊維ボードは、80kg/m3〜300kg/m3のかさ密度を有するボードの群から選択されており、かつ/または、
(b)前記木質材料ボードは、250kg/m3〜800kg/m3のかさ密度を有するボードの群から選択されている、
請求項1から5までのいずれか1項記載の成形ブロック。
【請求項7】
(a)前記軟質木質繊維ボードは、10mm〜60mm、好適には15mm〜25mmの厚さを有しており、かつ/または、
(b)前記木質材料ボードは、15mm〜40mm、好適には24mm〜36mmの厚さを有している、請求項1から6までのいずれか1項記載の成形ブロック。
【請求項8】
当該成形ブロックは、中実ブロックまたは中空ブロックとして構成されている、請求項1から7までのいずれか1項記載の成形ブロック。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の成形ブロック(1)を製造する方法であって、以下の順序で行われるステップを有しているものにおいて、
(態様A)
・ボード複合体を形成するための層(11)(12)(13)を供給して接着し、
・形成されたボード複合体を切断し、
・場合によっては凹凸形状部分を形成し、
・場合によっては被覆を形成し、
・場合によっては固定手段を形成するか、または、
(態様B)
・層(11)(12)(13)を供給して切断し、
・形成された層を接着し、
・場合によっては凹凸形状部分を形成し、
・場合によっては被覆を形成し、
・場合によっては固定手段を形成する、
ステップを有していることを特徴とする、成形ブロックを製造する方法。
【請求項10】
全てのステップを連続的に行う、請求項9記載の方法。
【請求項11】
請求項1から8までのいずれか1項記載の複数の成形ブロック(1)と、好適には接着剤の群から選択された結合材料(3)とを備えていることを特徴とする、建築要素(2)、特に建築用ブロック複合体。
【請求項12】
支持作用を有するかまたは支持作用を有していない壁体として構成された、特に支持作用を有するかまたは支持作用を有していない1重の壁体として構成された、請求項11記載の建築要素。
【請求項13】
結合材料(3)は、支承接合部にしか設けられていない、請求項11または12記載の建築要素。
【請求項14】
建築要素(2)を造作するために、請求項1から8までのいずれか1項記載の成形ブロック(1)を用いる使用。
【請求項15】
前記結合手段(3)を用いて前記成形ブロック(1)を組積する、特に接合部をずらして組積することにより、請求項11から13までのいずれか1項記載の建築要素(2)を造作する方法。
【請求項16】
(a)第1列の成形ブロック(1a)を供給して位置決めし、
(b)第1列の成形ブロックの支承面に結合材料(3)の層を設け、
(c)別の列の成形ブロック(1b)を前記結合材料(3)の層に供給して位置決めし、
(d)場合によってはステップ(b)および(c)を繰り返す、
ステップを有している、請求項15記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−211501(P2012−211501A)
【公開日】平成24年11月1日(2012.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−81693(P2012−81693)
【出願日】平成24年3月30日(2012.3.30)
【出願人】(512084639)パヴァテックス ソシエテ・アノニム (3)
【氏名又は名称原語表記】Pavatex SA
【住所又は居所原語表記】Route de la Pisciculture 37, CH−1701 Fribourg, Switzerland