説明

軽量の電気機械式自動胸部圧迫装置およびその温度調節システム

軽量な電気機械式胸部圧迫装置である。前記装置にはモータ、ブレーキ、ドライブスプール、制御システム、及び金属製チャンネルビームが設けられて、装置を強化するとともに圧迫ベルトをガイドする。前記ベルトは、前記チャンネルビームに取り付けられたベルトカートリッジ内に設けられる。使用時、前記ベルトは、患者の周りに固定されて、前記ドライブスプールに取り付けられる。前記モータは、前記ドライブスプールを回転させることで、前記ベルトを締め付ける。前記電気機械式胸部圧迫装置は、電源を組み込んだときでも30ポンド未満の重量である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下に説明する本発明は、心肺蘇生の分野に関し、特に自動胸部圧迫装置に関する。
【背景技術】
【0002】
心肺蘇生術(CPR)。は心停止に陥った人々を救急蘇生させるために用いられる、周知の貴重な救急処置である。CPRは心臓および胸腔を締め付け、血液を体内に送り出すために胸部の反復圧迫を必要とする。肺に空気を供給するためにはマウス・トゥ・マウス式人工呼吸などの人工呼吸、またはバッグマスク装置が用いられる。救急処置を施す者が手動で効果的に胸部圧迫を行なうと、体内の血流は正常な血流の25%から30%になる。しかし、経験の長い救急救命士でも充分な胸部圧迫を数分間以上続けることはできない。Hightower, et al., Decay in Quality of Chest Compressions Over Time, 26 Ann. Emerg. Med. 300 (Sep. 1995)(ハイタワー他、「胸部圧迫特性の経時的減衰」、26 Ann. Emerg. Med. 300 (Sep. 1995))。このように、CPRによる患者の維持または蘇生はしばしば成功しないことがある。しかし胸部圧迫が充分に続けられれば、心停止の被害者を長時間維持することが可能である。長時間のCPR実施(45分から90分間)。の後、被害者が冠状動脈バイパス手術により命を救われたという報告も時折報告されている。Tovar, et al., Successful Myocardial Revascularization and Neurologic Recovery, 22 Texas Heart J. 271 (1995)(トバー他、「効を奏する血管再生および神経回復」、22 Texas Heart J. 271 (1995))を参照されたい。
【0003】
より効果的に血流を提供し、居合わせた者による蘇生努力の効果を高めるべく、CPR用に各種の機械的装置が提案されている。このような装置の一形態ではベルトが患者の胸の周りに配置され、自動的な胸部圧迫装置がベルトを締めて胸部の圧迫をもたらす。我々自身の特許、Mollenauer 他のResuscitation device having a motor driven belt to constrict/compress the chest(胸部を締め付け/圧迫するためにモータ駆動のベルトを有する蘇生装置)、米国特許第6,142,962号(2000年11月7日)、Bystrom他のResuscitation and alert system(蘇生および警報システム)、米国特許第6,090,056号(2000年7月18日)、Sherman他のModular CPR assist device(モジュラーCPR補助装置)、米国特許第6,066,106号(2000年5月23日)、およびSherman他のModular CPR assist device(モジュラーCPR補助装置)、米国特許第6,398,745号、(2002年6月4日)、ならびに2001年5月21日に出願された我々の出願番号第09/866,377号および2002年7月10日に出願された出願番号第10/192,771号はベルトを用いて患者の胸を圧迫する胸部圧迫装置を開示している。これらの特許または出願は各々引用によりその全体が本明細書に組み入れられている。
【特許文献1】米国特許第6,142,962号
【特許文献2】米国特許第6,090,056号
【特許文献3】米国特許第6,066,106号
【特許文献4】米国特許第6,398,745号
【特許文献5】米国特許出願第09/866,377号
【特許文献6】米国特許出願第10/192,771号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
緊急の場合は1秒を争うため、CPR装置はいずれも使用が簡単で、患者に素早く取り付けられることが必要である。我々自身の装置は素早く取り付け易く、患者の生存の可能性を相当に高めることができる。しかし、さらに使い易さを高め、さらに素早い取り付けを可能にし、装置の寿命および利便性を増加させるために、新規の胸部圧迫装置が設計された。
【0005】
軽量小型の電気機械式胸部圧迫装置を作製する際に遭遇した問題は、装置が過熱する可能性があるということであった。(モータ、ブレーキ、および電気システムは全て熱を発生する)。過熱は装置を破損し、患者に傷害を与える可能性がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下に説明する装置および方法は完全に組み立てられた状態で30ポンド未満の電気機械式胸部圧迫装置を提供する。装置は圧迫の力の殆どが加えられる点において装置を強化するためにチャネルビームを備えており、それにより中空の装置を作製し、より軽量の材料を用いることが可能になった。チャネルビームはさらに圧迫ベルトカートリッジを装着できる台の役割も有し、それにより使用毎に容易にベルトを交換することができる。スロット付きのドライブスプールがチャネルビームに架設されている。ドライブスプールは、ドライブスプールを回転させることができるモータに付いている。チャネルビームの両端にスピンドルが配置され、圧迫中ベルトを導いて省エネルギーに貢献する。
【0007】
使用の際、圧迫ベルトカートリッジが提供され、ベルトはドライブスプールのスロットに取り付けられ、ベルトを伸ばして両スピンドルにかけられる。次に、カートリッジのカバー板がチャネルビームに取り付けられる。そして、患者が装置の上に置かれベルトが患者の胸部の周りに固定される。モータが回転すると、ベルトがドライブスプールの周りに巻き付き、それによりベルトを締める。ベルトが患者の胸を圧迫するように充分なトルクが発生する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は胸部圧迫ベルトを患者1に装着した状態を示す。胸部圧迫装置2は、ベルトの右部分3Rおよびベルトの左部分3Lを有するベルト3で圧迫を行なう。胸部圧迫装置2は、ベルトドライブプラットフォーム4および圧迫ベルトカートリッジ5(ベルトを含む)を有する。ベルトドライブプラットフォームは患者が横たわるハウジング6を含み、ベルトを締め付ける手段、プロセッサ、およびユーザインタフェースがハウジングに配置される。ベルトは締めストラップ18,19、およびベルトの両端に広幅荷重分布部16,17を含む。ベルトを締め付ける手段は、ドライブスプールに接続されたモータを含み、使用中ドライブスプールの周りにベルトが巻かれて締められる。本明細書で示す胸部圧迫装置の設計は、軽量の電気機械式胸部圧迫装置を可能にする。完全に組み立てられた胸部圧迫装置は重さが29ポンドしかなく、従って長距離を手で運ぶことができる。(装置自体は22.0から23.0ポンドの重さで、電池の重さが約5.0ポンド、ベルトカートリッジの重さが約0.8ポンド、および患者を固定するストラップの重さが約1.6ポンドある)。現在まで、以下に説明する胸部圧迫装置は発明者の知る限り、重さが30ポンド未満である唯一の自給電気機械式の、またはベルトに基づく自動胸部圧迫装置である。
【0009】
図2は、電気機械式胸部圧迫装置2の前側を示す。胸部圧迫装置は、ベルトドライブプラットフォーム4およびベルトカートリッジ5を含む。ベルトドライブプラットフォームは、患者の頭を支える頭もたれ板20、および患者の背中を支える背もたれ板21を含む。頭もたれ板および背もたれ板は、材料の一体プレートの一部となっていることが好ましい。胸部圧迫装置2は、患者の背中が背もたれ板の上にあって、患者の頭が頭もたれ板に載っている場合での患者との関係において説明される。従って、通常の使用において装置の上部が前側22(使用中に患者が横たわる側)、装置の下部が後側23(図3および4に示すように、使用中地面に面する側)、装置の前部が上側24、および装置の後部が下側25である。装置の左側26および右側27は使用中各々患者の左側および右側にある。
【0010】
装置は軽量小型である。装置の(矢印28に沿う)。上下方向の高さは約32インチで、装置の(矢印29に沿う)。横の幅は約19インチである。装置の前後方向の厚みは、約3インチである。左ベルトスピンドル30および右ベルトスピンドル31は約12インチから約22インチの範囲内にある。患者の大半に対応できるよう、スピンドル間の距離は約15インチであることが好ましい。前記距離は、具体的に、片方のスピンドル側部の外縁から他方のスピンドル側部の外縁までである。(大きい患者に対応するために装置をより大型にすることは可能である)。
【0011】
使用中、ベルトカートリッジが提供され、図3乃至5について説明されるように胸部圧迫装置の後側に固定される。次に患者が装置の上に置かれる。ベルトは、左側スピンドルおよび右側スピンドルの周囲、患者の腋窩の下(脇の下)、および患者に胸の周囲にわたって巻かれる。荷重分布部が次に患者の胸の上に固定される。胸部圧迫装置は次にベルトを反復的に締め付けて、胸部圧迫を行なう。
【0012】
図3および4は各々下側および上側の方向から見た胸部圧迫装置の後側23を示す。(図3および4の斜視図において、平均サイズの患者の臀部および患者の脚の裏側は下側のバンパ(bumper)40を越えて延びることになる)。装置はハウジングに対して横方向の頑丈なチャネルビーム41の周りに構築される。チャネルビームは、圧迫中に発生する力に対して装置を支持する。チャネルビームはさらに、ベルトカートリッジを取り付ける構造体となる。チャネルビーム41は、平たい底部に垂直な2つの壁を形成する1片の鋳造アルミニウム合金で成形される。(チャネルビームは、分離した構成要素で形成することもでき、鋼鉄、マグネシウム、または強化高分子複合材料など他の適度に強くて硬い材料から形成することもできる)。ベルトに合わせるために、チャネルビームは、(上下方向の)高さ約2.5インチ、(左右方向の)長さ約12インチから16インチ、および(底部から壁部の上端までの)深さ約2インチである。
【0013】
チャネルビーム41は、装置の横幅にわたって延びる溝を形成する。圧迫中、ベルトは溝の中に配置されて移動する。ベルトは、前記溝に架設されたドライブスプール42に取り付けられる。ドライブスプールは、圧迫ベルトを作動させるモータに接続する手段の役割を果たす。(ドライブスプールがチャネルビームの底面近くに位置していることを示すために、図3において点線で示される)ドライブスプールは、長さが3インチ未満で、直径が1インチ未満である。ドライブスプールは、チャネルビーム内の任意の箇所に位置することができる。ドライブスプールは、装置の垂直中心線から多少片寄った箇所でチャネルビームを横切って伸びていることが好ましい。
【0014】
例えば、ドライブスプールは円錐形で、締めストラップに接続されたケーブル(またはベルトと置き換えられたケーブル)と共に使用される。初期の巻き付けの際、ケーブルは円錐の底部に巻かれ、それが圧迫を開始する際に大きな機械的な利点となる。ケーブルは次に円錐の長さ方向に巻かれて、頂点に向かって巻かれる。ケーブルが円錐のより小径部分に巻かれるにつれて、ドライブスプールはケーブルにさらにトルクを加え、これにより圧迫に対する胸部の抵抗が最も高くなる圧迫の終局近くでより大きな力を患者に加えることになる。(ドライブスプールの形状が装置の巻き付け外形になる。巻き付け外形は、動力伝達または患者胸部の粘弾性効果による速度対トルクの交換(trade-off)を巧く利用すべく特別に作ることができる)。
【0015】
ドライブスプールには、スプール軸の長さに沿って配置されるスロット43が備わっている。ベルトに取り付けられたスプラインは、ドライブスプールのスロットの形状に合わせられている。従って、スプラインがドライブスプールのスロットに挿入されると、ベルトはドライブスプールにしっかりと固定される。チャネルビームの壁にある溝44が、ドライブスプールのスロットに対してスプラインの位置合わせと固定の手助けとなる。同様に、チャネルビームの一方または両方の壁に装着した1つ以上のディスクまたはガイド板もスプラインをドライブスプールのスロットに位置合わせし固定することを手助けする。(ガイド板はドライブスプールまたはドライブスプールとチャネルビーム双方に取り付けても操作上可能である)。ガイド板がチャネルの中や外に容易に動くようにするバネにガイド板は取り付けられ、これによりスプラインの取外しが簡単になる。クリップ挿入後ガイド板がバネの弾みで戻ると、ガイド板はスプラインを定位置に固定する手助けをする。ガイド板はスプラインを受け入れるような大きさと寸法のスロットを備えることもでき、これによりドライブスプールのスロット内でさらにスプラインが固定される。
【0016】
左側スピンドル30および右側スピンドル31はチャネルビーム41の両端に配置され、シール軸受けを介してチャネルビームの壁に装着される。スピンドルは重量および慣性のモーメントを最小限にするために中空アルミニウムの円筒で、約2.5インチの長さおよび約0.75インチの直径を有する。左側および右側のスピンドルは圧迫ベルトが最小限の摩擦で装置の左側および右側を容易に移動できるようにして、エネルギーを節約する。左側および右側スピンドルは、患者が装置上に載せられた際に容易にベルトが患者の周りに巻けるよう、装置の上下方向に配置される。スピンドルは患者、救助者、および装置の構成要素を保護するためにハウジングの側面にはめ込まれている。図5に示すように、ベルトカートリッジに配置されたべルトガードもスピンドルを覆う。ベルトガードはさらに患者、救助者、および装置の構成要素を保護する。
【0017】
チャネルビーム上またはその近傍には、さらに、圧迫ベルトカートリッジをチャネルビームに固定する手段が配置される。例えば、いくつかの止り穴またはスロット45がハウジング内およびチャネルビームの端に沿って配置される。圧迫ベルトカートリッジに配置された対応位置合わせタブがスロット内に嵌合する。さらにスロットは外側に延び、チャネル内に部分的に入るボスまたはデテント46を有する。圧迫ベルトカートリッジに配置されるスナップ掛金が、取外し可能ではあるが、しっかりとボスまたはデテントに嵌合する。同様に、いくつかの開口47がハウジング内およびチャネルビーム41の端に沿って配置される。圧迫ベルトカートリッジは開口に嵌合するタブまたはフックを備え、さらにカートリッジをチャネルビームに固定する。スロットおよび開口は装置の内側軸の周囲に対称的に配置される。しかし、スロットおよび開口を装置の内側軸の周囲に非対称的に配置すると、カートリッジが一方向の向きにのみチャネルビームに取り付けられることを保証することができる。
【0018】
さらに、使用者が圧迫ベルトカートリッジを正しく取り付ける手助けとなるように、ハウジングには三角48などのラベルが備わっている。圧迫ベルトカートリッジが装置と正確に位置合わせされると、ハウジング上のラベルはカートリッジに配置される対応ラベルと合わせられる。使用者がカートリッジの位置合わせを行なうのをさらに支援するために、対比色が三角の領域に使用される。患者と装置の位置合わせを支援するため、または警告、使用説明、または宣伝情報を提供するために、さらにラベル49を加えることができる。例えば、装置の幅にわたって配置される凹み50(図2に図示)は視覚的な位置合わせのマーカとなる。この凹み50は、装置の表面から流体が流れ落ちるのに役立つ。
【0019】
チャネルビーム41が装置の中心的支持構造をなしているが、装置のハウジングがさらに装置を補強している。図3および4を再度参照すると、枠組みのハウジングは2つの後側のカバー板に取り付けられた前側カバー板60、上側カバー板61および下側カバー板62からなる。前側カバー板は、穴63に配置された複数のネジ部品、またははまり合う連結機構により上側カバー板および下側カバー板に取り付けられる。
【0020】
上側カバー板61はチャネルビーム41の上方に配置され、下側カバー板62はチャネルビームの下方に配置される。(3つのカバー板を使用することは図2乃至7に示される装置の好ましい設計であるが、ハウジングはより多い、またはより少ないカバー板で形成されることができる)。3つの部分からなる枠組みは、カバー板を接続するファスナに加えられるせん断力を最小限にし、装置の耐久性を高める。(チャネルビームがほとんどのせん断力を吸収する)。さらに、チャネルの後側の縁は、上側および下側カバー板の隆起部と連結して、カバー板をチャネルに接続するファスナを保護する。位置合わせピンおよびバンパ(bumpers)が重なり合うカバー板と互いに噛み合って、さらにせん断力に対する保護を提供する。
【0021】
ハウジングは、人間または装置への衝撃損傷を最小限に抑えるために、縁に丸みをつけて構築される。ハウジングは洗浄が容易な硬くて耐液体性の材料で形成され、熱伝導性が低く、火、電気、化学薬品、太陽露出、および極端な天候条件に対して耐性を有する。(このような材料は、アクリロニトリルブタジエンスチレン、高分子量ポリエチレン、他のポリマプラスチック、およびアルミニウムおよびチタンなどの軽量金属を含む。ただし、金属の場合、ハジングが非導電性になるようにコーティングまたは他の特徴を備える必要がある)。
【0022】
図5は、胸部圧迫装置で用いられる圧迫ベルトカートリッジを示す。カートリッジはベルト3、ベルトを胸部圧迫装置に取り付けるためのスプライン65、ベルトを保護するためのベルトカバー板66、およびヒンジ68によりベルトカバー板に回転可能な形で取り付けられたベルトガード67を有する。(ベルトガードは使用中スピンドルの周りに配置される)。ベルトカートリッジはさらに、圧迫中ベルトと患者の胸骨との間に置かれる圧迫ブラダ69を備えることができる。圧迫ブラダの例は、2002年7月10日に出願された我々の特許出願10/192,771号に示される。
【0023】
ベルトカートリッジを胸部圧迫装置に取り付けるには、ベルトスプライン65をドライブスプールスロット43に挿入する。次に、ベルトカバー板上のフック70を装置上で対応する開口47に挿入し、タブおよびスナップ掛け金71を装置上のスロット45およびボスに挿入することにより、ベルトカバー板66がチャネルビーム41およびハウジング6に固定される。(スロット、開口、タブおよびフックは位置合わせされているので、ボス内でスナップ掛け金が係合する前に滑動してかみ合い始める)。さらに、ベルトカバー板に配置されるラベル72は、使用者がベルトカバー板とチャネルビームとの位置合わせをする手助けとなる。
【0024】
図6および7は、胸部圧迫装置の内部構成要素を示す。モータ79が作動して、クラッチ80およびギアボックス81によりドライブスプール42にトルクを与える。モータの上側に取り付けられたブレーキ82が作動してドライブスプールの動作を制動する。ブレーキのハブは、モータのロータ軸に直接接続している。
【0025】
チャネルを横切って延びるドライブスプールは、ベアリングによりチャネルビームの壁に回転可能な形で取り付けられる。ドライブスプール、クラッチ、ギアボックス、およびブレーキは、併せて装置の動力伝達機構を構成する。動力伝達機構は、ドライブスプールがチャネルビームに接続している以外は、装置の他の構成要素のいずれにも、また装置のハウジングにも接続していないことが好ましい。そのために、動力伝達機構は、チャネルビームから片持ちで突出している。チャネルビームから片持ちで突出していると、動力伝達機構は回転抵抗および回転慣性が最小限になり、動力伝達機構の構成要素に対する望ましくない曲げまたはせん断力を削減し、かつ装置全体の重量を削減し、動力伝達機構の構成要素の周囲における空気の流れを向上させる(それにより、これら構成要素の冷却を向上させる)。
【0026】
ギアボックスは、クラッチまたはモータ駆動軸に対してドライブスプールの速度を減少させる歯車比を有する歯車システムを含む。歯車比は、約10対1であることが好ましい。使用できる歯車システムは、モータ軸から(ドライブスプールの軸となる)出力軸へ直接的に作用する遊星歯車システムを含む。他の歯車システムは直線的に作用しないので、モータと出力軸は同じ線上にある必要がない。図6および7に示される装置において、ドライブスプールはギアボックスの出力軸である。
【0027】
クラッチは、ドライブスプールに過大のトルクが加えられた場合に、モータをギアボックスから切る。他の検出パラメータに基づき制御システムもクラッチを切ることができる。例えば、製造者により予め設定された過大の荷重が荷重プレートで感知された場合、ソフトウェアエラーが生じた場合、または他の条件により、コントローラがクラッチを制御して切ることができる。このように、クラッチは胸部圧迫装置の安全機構の役割を持つ。圧迫のタイミングを補助し、エネルギーを節約するために、圧迫中クラッチを能動的に用いることも選択肢としてある。クラッチのこのような使用は、我々の米国特許第6,142,962号に見られる。ブレーキ、モータ、ギアボックス、クラッチ、およびドライブスプールは、チャネルビーム41に垂直で一直線に並ぶことが好ましい。
【0028】
モータ79およびブレーキ82は、プロセッサユニット83、モータ制御装置84、および出力制御装置85により制御され、これらはすべて、前側カバー板60の内側に装着される。(電池収納部をはっきりと示すため、図6に出力制御装置は図示されていない)。プロセッサユニットは、コンピュータプロセッサ、不揮発性メモリデバイス、およびディスプレイを含む。使用者は、ハウジングの開口部86からディスプレイを見ることができる。さらに、ブラケット88に装着されるスピーカ87によって、使用者にフィードバックが与えられる。
【0029】
プロセッサユニットは、出力制御装置およびモータ制御装置を制御するソフトウェアを備える。プロセッサユニット、出力制御装置、およびモータ制御装置は、併せてモータの作動を精密に制御できる制御システムを構成する。このように、圧迫のタイミングおよび力は、各種サイズの患者に対して自動的かつ精密に制御される。圧迫ベルトのタイミング方法の例は、我々の米国特許第6,066,106号および特許出願09/866,377号に見られる。
【0030】
モータ制御装置はさらに、モータがドライブスプールに加えるトルクを感知するトルクセンサに作動可能に接続されることができる。この場合、モータ制御装置は、トルクが所定の閾値を超えた場合に、自動的に装置を停止させる機能を有する。モータ制御装置またはプロセッサはさらに、呼吸終期の二酸化炭素、脈拍、または血圧などの生体的パラメータを感知する生体センサに接続されることができる。これにより、プロセッサおよびモータ制御装置は、感知された生体的パラメータに基づき装置の動作を制御することができる。モータ制御および生体的フィードバック制御の例は、我々の特許、Mollenauer他のResuscitation Device Having a Motor Driven Belt to Constrict/Compress the Chest(胸部を締め付け/圧迫するためにモータ駆動のベルトを有する蘇生装置)、米国特許第6,142,962号(2000年11月7日)に見られる。モータ制御装置またはプロセッサは、モータ内の電流を感知するために電流センサに接続することができる。モータ電流の突然のスパイクは、モータに突然の負荷がかかったことを示し、これによりどれだけのトルクが患者に加えられているかを示す。従ってモータ内の測定電流に基づき、制御システムは装置の動作を制御することができる。
【0031】
プロセッサユニットはさらに、ハウジングの下側部分に配置され、かつチャネルビーム41に装着されたロータリーエンコーダ100に接続される。(ロータリーエンコーダは、ベルトに対し作動可能に配置されたリニアエンコーダで置き換えることも可能である)。ロータリーエンコーダは、ドライブスプール42の回転を測定し、ドライブスプールの回転に対応するスプールデータを出力する。プロセッサは、ハウジングの下側部分に装着されたエンコーダコントローラ101と相俟ってベルト巻取りの合計量およびシステムが達成した圧迫の合計深さにスプールデータを変換する。エンコーダコントローラは、エンコーダからのパルスを計数および方向信号に変換し、プロセッサはこの信号を用いて装置を制御する。(エンコーダコントローラおよびエンコーダは、装置の別の場所に位置しても良い。例えば、エンコーダはギアボックスに配置され、歯車軸の1つに作動可能な形で接続されることができる)。胸部圧迫装置と用いられるエンコーダの例は、我々の特許、Sherman他のModular CPR assist device(モジュラーなCPR補助装置)、米国特許第6,066,106号(2000年5月23日)および2001年5月25日に出願された我々の特許出願09/866,377号に見られる。
【0032】
さらに、図6および7を再度参照すると、装置の利便性および安全を向上させるため追加機能がいくつか提供される。装置をさらに補強するためにリブ102、103、および104が提供される。リブは、使用中にハウジングを支持する金属板で、装置および装置の構成要素を保護する。すべてのリブは、場所を節約するためにモータと同じ平面に配置される。さらに装置を補強するために、より多くのリブを加えることができる。装置に液体が入った場合、コントローラボード、配電ボード、モータ制御装置、および他の電子装置や関連ケーブルに接触しないよう、リブの縁は発泡体でシールされている。
【0033】
ハウジングのカバー板と一体的に形成された中空支柱105により、さらなる補強が提供される。中空支柱は、カバー板を互いに接続するためにねじ込みファスナを挿入する一端が開口している。(支柱の開口部は、図3および4の穴63に対応している)。加えて、電子システムを実装して装置の床から浮かせるために、内部実装支柱106が提供される。このように、内部実装支柱は、装置に入る液体が電子装置に溜まるのを防ぐのに役立つ。さらに、装置のハウジング全体にわたって実装される隅板107により補強が提供される。装置における複数の追加の補強、および、ぴったりと嵌り合って仕切られた設計は、力、衝撃、および振動に対し高度な保護を提供する。図2乃至7に示される装置は、1,200ポンドを超える分布力に耐えられる。
【0034】
患者および使用者を不測の作動、またはベルトが装置に固定されていないときの作動から保護するために、ベルトの存在を感知する手段が提供される。ドライブスプールスロット43には、ドライブスプールおよびロータリーエンコーダを通して縦方向に移動可能なピン108が備わっている。ピンは、ドライブスプールスロットにピンを推すバネに接続される。ベルトスプラインがドライブスプールスロットに挿入されると、ピンはドライブスプールおよびロータリーエンコーダを貫通して接触スイッチ109に向かって押される。接触スイッチはブレース(brace)110に実装され、ブレース自体はチャネルビーム41に実装される。接触スイッチは作動可能な形でエンコーダコントローラに(またそれによりプロセッサに)接続される。ベルトが挿入されると、ピンが接触スイッチに押され、装置はそれによりベルトスプラインの存在と正しい挿入を記録する。さらに安全を提供するために、スプラインはドライブスプールのスロットの形状に合わせられているので、スプラインがスロットに挿入されない限りピンが接触スイッチに向かって移動するのを防止するようになっている。ベルトの存在を感知する他の手段を使用することもできる。例えば、ドライブスプールのスロットはベルトの存在を感知する電気的接触子を備えることもできる。
【0035】
さらに、スプール軸は、スプラインが取り除かれた場合に軸を所定位置に固定するデテント(detent)を備えている。デテントは、スプラインの挿入を助けるためにスプール軸を特定の位置に保持する。スプール軸を特定の位置に保持することは、スプールの実際の物理的な位置と制御システムが測定したスプールの位置との関係を維持することにもなる。このように、スプール軸の開始位置は、装置がオフ状態では変わらない。このことは、圧迫の際に実際のベルト移動量の測定精度を維持するのに役立つ。
【0036】
胸部圧迫装置は、ベルトがどのようにドライブスプールの周りに巻き付けられるかを制御する制御システムを備えている。例えばドライブスプールは、圧迫の合間(すなわち、次の圧迫を開始する直前に装置が患者の周りのベルトを緩めたとき)に、ベルトがある程度ドライブスプールに巻き付いたままであるように制御する。圧迫中は常にドライブスプールの1回転に対応する長さのベルトがドライブスプールに巻き付かれたままであることが好ましい。これにより、ベルトはその巻かれた形状を維持し、圧迫中ベルトにしわが生じる可能性が削減され、ドライブスプールの周りにベルトを巻きつける効率が高まる。
【0037】
図6および7はさらに、患者の頭部付近傍にある電池収納部の位置も示す。電池パックおよび電池収納部の位置および設計は、電池の迅速な交換を可能にする。電池パックが完全にかつ正しく収納部に挿入されない限り、収納部の奥にあるバネが電池パックを強制的に押し出す。凹部120が電池収納部121内のバネの位置を示す。電池収納部の端にあるプラスチックの格子122は凹部を補強する。
【0038】
装置および装置の電子装置を冷却するために送風器123が提供され、装置内で空気を循環させる。外気が左側のルーバ付き通気孔124または上側のルーバ付き通気孔125から吸い込まれ、他方の通気孔から排出されて、装置の構成要素の冷却に役立つ。(図2乃至7に図示される装置において、空気は左の通気孔から吸い込まれ、上側の通気孔から排出される)。通気孔はハウジングに配置される、内側に傾斜する凹部に位置する。凹部は、液体が通気孔に入るのを防ぐ。
【0039】
ハウジング内の温度は、前側カバー板の内側に実装される温度計またはサーミスタなどの温度センサ127で測定される。温度が所定温度を超えると、プロセッサが装置のシステムを制御して装置を冷却するようにプログラムされている。例えば、プロセッサは、送風器の速度を速めたり、モータ速度を遅くしたりすることができ、または塞がった通気孔をきれいにするようにあるいは患者および装置をより涼しい場所に移動させるように、使用者に注意喚起することができる。
【0040】
力の測定手段が作動可能な形で装置に接続される。力の測定手段は、患者が装置に加える力および圧迫の力を測定するように作動する。力の測定手段は、2つの荷重セル129に取り付けられた荷重プレートである。チャネルビームに作動可能な形で取り付けられた1つ以上のひずみゲージなど、力または重量を感知する他の手段も用いることができる。液体や他の汚染物質に対し装置の内部を密閉するべく、高密度ポリエチレンポリマ、サントプレンゴム、または類似の材料でできた荷重プレートカバー130も提供される。
【0041】
バックアップ電池をシステムに設けて、主電池が装着されない場合に電力を提供してもよい。バックアップ電池は、チャネルビーム41の装着板131に装着される。装着板は、チャネルビーム自体の厚みをつけた部分であるが、チャネルビームに取り付けられた別個の構成要素でも良い。
【0042】
図8は、装置の前側22から見た自動胸部圧迫装置2の一部の分解図を示す。装置は地面に置かれ使用されている場合に対応する方向で示される。患者の頭は前側のカバー板60の頭もたれ板20の部分に置かれ、患者の胴は荷重板128に、患者の背中は前側のカバー板60の背もたれ板21の部分にそれぞれ置かれ、患者の脚および臀部は装置の下側にある取っ手140を越えて延びる。
【0043】
図8はさらに、チャネルビーム41に対する荷重セル129を示す。荷重セルは、荷重セルのスロット141に設置することによりチャネルビームに装着される。荷重セルは、スロットに備えられた段部142に載っている。荷重セルに配置されるボス143は荷重板に接触し、荷重セルが荷重板128に与えられる力を測定することができる。このように荷重セルは患者の胸郭および装置が荷重セルに加える力を測定することができ、これは患者に加えられた全圧迫力に対応する。
【0044】
荷重セルは、ひずみに基づく方法で印加荷重を電気信号に変換する。(抵抗器、コンデンサ、空気圧アクチュエータ、圧電アクチュエータ、および他の力または圧力の測定手段など、他の荷重測定装置を使用することもできる)。プロセッサおよびソフトウェアは、荷重セルが発生する荷重信号に基づき装置の動作を制御する。例えば、装置は、荷重板に対する患者の重量に一部基づいて、どれだけの力を加えるか決定する。装置はさらに、圧迫の力を監視し、患者に過度の力が加わるのを防ぐ。過度の圧迫力とは、患者および使用実施形態により、(荷重分布部分全体で)約600ポンドから約1000ポンドの範囲である。
【0045】
図9は、患者1に対して胸部圧迫を行なう方法を図示する。患者の頭156は輪176の間の頭もたれ板20に載り、患者の胸部157は荷重板128の上に載り、患者の背中158の腰部はハウジングの背もたれ板21に載り、患者の臀部および脚は下側の取っ手140を越えて延びる(装置の使用中、臀部および脚は地面、台車付担架、または他の表面に載っている)。ベルト3はドライブスプール42からスピンドル30および31に延び、患者の胸部の上にかかる。使用中にモータがドライブスプールを回転されるにしたがって、ドライブスプールはベルトを締め付け、それにより患者の胸部を圧迫する。
【0046】
図9に示すように、装置の背もたれ板部分21は、患者および装置オペレータ双方にとって人間工学に基づく形を備えている。患者の頭は、現行米国心臓病協会(AHA)の指針で推奨されるように容易に傾けることができる。デザインはさらに、気管内挿管および気管内挿管中の視覚化が簡単であるようになっている。背もたれ板のデザインはさらに、患者の頭、胴、および臀部を安全かつ容易に固定することを可能にする。具体的に、ハウジングの背もたれ板部分は、ベルト駆動プラトフォームに下側の端に向かい地面方向に傾斜している。これにより、装置は、患者が背もたれ板に載っている際、患者の背中の腰椎曲線に対応している。
【0047】
図2を再度参照すると、装置は、使い易く長持ちするようにいくつかの工夫が加えられている。複数の人間工学に基づいた取っ手140が備わり、使用者が装置をいくつかの異なった向きで運ぶことが可能となり、または患者がハウジング上に横たわっているとき、複数の人間が装置を運ぶことができる。装置の側面は、装置の上から下に向かい緩やかに傾斜しているように形作られている。(言い換えれば、装置の左および右側面の前側部分が装置の左および右側面の後側部分に向かい緩やかに湾曲している)。これにより、装置が地面に置かれた場合、取っ手140ならびに通気口124および125は地面から多少持ち上げられている。この形状は、液体がルーバ付きの通気孔に入るのを防ぐために役立つ。形状はさらに、使用者が指をこすることなく装置を地面に置き、装置を持ち上げまたは位置を移動することを容易にする。加えて、形状は、患者を装置の側面から横に降ろすことをより容易にする。
【0048】
装置の使用中に、救助者が容易に装置とやり取りをできるように、また患者の衣服または身体部分からの妨害を減らすために、ユーザインタフェース159は患者の頭付近で装置の左側に置かれる。ユーザインタフェースには、使い易いように色分けされたスイッチまたはボタン160が備わっている。(好ましい実施形態では薄いメンブレンスイッチまたはタッチパネルが用いられる)。ユーザインタフェースは、ボタンその他のインタフェースの不注意な作動を減らすために、ハウジングの凹部に入れられる。ユーザインタフェースはさらに、液体がインタフェースを破損することを防ぐために、プラスチックカバー161で覆われている。1つ以上のスロット162がユーザインタフェースの凹部に配置されて、液体が凹部から排水されるようになっている。
【0049】
さらに、耳163および装置側面に取り付けられたバンパ40が図2に示される。バンパは衝撃および振動に対するさらなる保護を提供する。バンパはまた、装置が壁または他の物体に立てかけられた場合に滑ることを防ぐ。耳に取り付けられたバンパは、装置の他の部分のバンパより厚みがある。バンパはすべて、GLSコーポレーションが製造するダイナフレックス(商標)(Dynaflex)どの熱可塑性エラストマ化合物で作られているが、ゴムおよび他のエラストマ材料を用いることもできる。バンパは、ガスケットとしての役割を果たすように、ハウジングのカバー板の間にはまるような形、サイズ、および寸法を有することが好ましい。装置をさらに密閉するために、付加的なガスケットが設けられる。スピンドルおよびチャネルビームの縁を含めて装置の周囲全体は、ガスケット、接着剤、および圧縮ゴムシールの組み合わせで密閉される。
【0050】
左の隙間173および右の隙間174が各々ハウジングの左側26および右側27で耳と取っ手との間に備わる。隙間により追加ストラップを装置に固定することができる。さらに、データポート175が隙間の片方または双方に押し込まれた形でハウジングの縁に配置される。データポートは、装置が他の装置またはプロセッサと通信できるようにする。データポートは、赤外線ポート、ブルートゥースポート、イーサネットケーブル、電話用ジャック、USBポート、無線トランスミッタ、または他の任意のデータ伝送に適した手段で良い。(データポートは、装置の他の箇所に配置してもよい)。
【0051】
図2および9はさらに、ハウジングの頭もたれ板部分に装着されるいくつかの柔軟な輪176を示す。柔軟な輪は、プラスチック被覆の金属ケーブルである。頭部拘束ストラップ、または他の頭部拘束手段を、輪に通し又は装着して、患者の頭または肩の周囲に配置することができる。頭部拘束手段は、治療および搬送中患者の頭を装置に固定する。(柔軟な輪は、備え付きの頭部拘束枠など、患者の頭を装置に固定する他の手段で置き換えることができる)。
【0052】
ストラップまたは、他の拘束手段を周囲に配置できるような複数の固定用具177がさらに備わっている。(これにより、装置は容易に台車付担架またはベッドに固定でき、または装置は搬送用に簡単に患者に固定されることができる)。固定用具は、隙間173,174内で取っ手140に装着される。固定用具は、その周囲に配置されたストラップのスピンドルの役割を果たすべく、ハウジング内で回転可能にすることができる。固定用具はさらに、取っ手の補強の役割を果たす。
【0053】
装置の各構成要素を固定するために用いられるファスナは、装置内またはハウジングの後側(使用中の装置の底部)に配置される。ファスナもまた、衣服または他の物体に引っかからないよう、ハウジングについた穴の中に設置される。ファスナはすべてプラスチック製で、装置の内外に電流が流れるのを防ぐ。さらに、装置の前側にこぼれた流体はファスナの穴に溜まらないので、装置の流体に対する耐性が高まる。(装置を容易に開けるよう、ねじ込みファスナは掛け金またはスナップ式掛け金で置き換えても良い)。
【0054】
図3および4を再度参照すると、装置はその利便性を高めるためにさらに工夫が加えられている。装置の上側の端に配置された電池収納部121は、収納部内に収まるように設計された1つ以上の電池を保持する。電池収納部内のピン型電気コネクタが装置に電池を電気的に接続する。電気コネクタは、電池が装置に接続されると圧縮される発泡体のシールまたはガスケットを備える。発泡体のシールは、電気接続部を液体に対して密閉する。
【0055】
(上側のカバー板の内側の)収納部の底には、角形電池の対応バネ掛け金を受ける切欠き部、ボス、またはデテントが備わっている。これにより、電池パックを電池収納部に固定すると音を出してはまる。
【0056】
電池収納部、または収納部の開口部は、特定の電池パックに合う形状をしている。従って、装置に使用する設計をされていない電池は、収納部に挿入できず、装置に使用できない。同様に、収納部の形状は、電池パックが正しく挿入されることを保証する。収納部に配置された位置合わせ用隆起部183がさらに位置合わせおよび電池の挿入に役立つ。加えて、柔軟な金属帯を(前側のカバー板の内側の)収納部の天井に装着されたレール184の間に配置することができる。金属帯は、レールから多少離れるよう曲げられている。金属帯は、電池パックを収納部の底方向に押すような力を加える。このように、レールは、電池パックを収納部内に固定し、電池が滑り込む際に電池と電気コネクタとの位置合わせをするのに役立つ。
【0057】
電池収納部121は、電池収納部カバー板185により液体およびその他の汚染物質に対して密閉される。ガスケットまたはシールを収納部カバー板とハウジングとの間に備え、さらに液体が入ることを防ぐことができる。
【0058】
電池状態を示すために装置または電池パック(または双方)は電池状態を判断する手段に作動可能な形で接続された電池状態を表示する手段を備えることができる。例えば、LEDを電池パックに加えて電池の状態を示し、またはディスプレイ上で電池状態を表示するようプロセッサをプログラミングしても良い。
【0059】
電源スイッチ186が装置の上側に配置され、不注意な作動を防ぐためにハウジングの凹部に収められる。電源スイッチは柔軟な防水カバーで保護されたボタンであるが、トグル型スイッチまたはその他の装置作動または装置停止のための手段を用いることができる。電源スイッチは、ハウジングの他の位置に配置しても良い。
【0060】
電気ショックまたはサージに対する保護は、接地要素の役割を果たすチャネルビームにより提供される。さらに、外枠の内側に施された薄い金属被膜がチャネルビームに接続される。金属被膜は、迷走電流をチャネルビームに伝導して接地する。被膜はさらに、装置による電磁放射を制限して、ペースメーカまたは他の電気医療機器を付けた患者を保護する。ハウジングも非導電性材料からなり、さらに電気絶縁を向上させる。装置は、他の形の電気絶縁または保護を備えることもできる。
【0061】
装置にさらに安全機能を加えることができる。例えば、装置が鍵なしには作動しないように装置を設計することができる。同様に、特定の機能を作動させるために複数の動作を必要とすることもできる。例えば、装置の作動および作動停止にねじりおよび押しの動作を要求しても良い。あるいは、装置を作動させるために2つ以上のボタンを場合によっては特定の順序で押すことを要求しても良い。さらに、装置は使用者の訓練度に基づき、異なった使用者に対して装置機能の異なった操作のレベルを提供することができる。段階的操作の緊急装置の例は、我々の米国特許第6,398,744号に見られる。
【0062】
プロセッサはまた、装置の状態を監視して、特定の事象に応じて適当な行動を採ることができる。例えば、装置が作動した時点で、装置は緊急電話番号または中央手術センタに連絡することができる。装置はさらに、電池が切れそうになり、または電池の寿命が切れた場合に、顧客または製造者に通知することができる。装置による監視の例は、我々の米国特許第6,142,962号に見られる。
【0063】
図10は、装置のいくつかの内部構成要素の分解図を示す(図7でも図示)。動力伝達機構周囲の通気路を示すために、ディスプレイおよびプロセッサユニット83、リブ102,103,104、送風器123、ドライブスプール42、モータ79、クラッチ80、ギアボックス81およびブレーキ82、チャネルビーム41の一部、左側スピンドル30および右側スピンドル31、ならびに中央リブ102およびモータ制御装置84が分離されている。モータ、ブレーキ、および電子装置はすべて、装置の不具合または永久的な損傷の原因となるような過度の熱を発生する。過度の熱は、装置が加熱した場合、さらに患者または救助者に危害を加える可能性がある。従って、装置から熱を除去するために冷却機構が必要となる。
【0064】
熱を除去する1つの手段は、装置全体に外気を循環させ、熱せられた空気を装置外に排除することである。図6および7に関して説明したように、送風器は、外気を一方の通気孔から吸い込み、送風器の上を通過させる。次に、送風器は、リブ104の開口部187を通して空気を装置の中に吐き出す。空気は、装置内を循環して、最終的には他方の通気孔から吐き出される。(送風器が装置内から装置外へ空気を送風するように空気の流れを逆にしても良い)。送風器自体はコムエア/ロトロン型(ComAir/Rotron Model)WT12B3-E2の12ボルトの送風器である。任意の適当な送風器、ファン、または他の類似風量の冷却装置を用いることができるが、送風器は、ファンより小型で、ファンに比べ電磁ノイズが少ないので好ましい。
【0065】
空冷の効果を高めるために、装置は気流が動力伝達機構(ドライブスプール42、モータ79、クラッチ80、ギアボックス81、およびブレーキ82)に沿って誘導されるよう構成される。具体的には、リブ102,103,104が動力伝達機構の周囲の気流ガイドの役割を果たす。リブは、より高い気流速度、ひいてはより強い対流冷却をもたらすべく、動力伝達機構から狭い間隔で配置される。図示される装置の動力伝達機構に沿った気流路は矢印で表される。一般的に、空気は動力伝達機構とリブとの間を流れるが、ギアボックス、クラッチ、およびモータの上下双方に空気は流れる。さらに、リブは、プロセッサ、出力制御装置、および他の構成要素など、装置の発熱または感熱内部構成要素のすべての上または下に空気が流れることを可能にする区画を形成する。
【0066】
さらなる冷却は、前側カバー板の内側表面に金属フォイルを装着することにより提供される(銅、スチール、その他任意の数の金属を用いることができる)。金属フォイルは、チャネルビームから装置の上側端まで及び、装置の横幅にわたっている。金属フォイルは、モータから発生する熱を吸収し、その熱を広い面積にわたって分布させることにより、熱放散を高める。(金属フォイルはさらに、赤外線放射を装置内に反射させ、装置の外側が患者を過熱することを防ぐ)。さらに、ブレーキおよびモータ付近では、前側のカバー板と金属フォイルとの間に断熱層が加えられる。断熱層は、前側のカバー板への、ひいては患者への、熱伝導率を減らす。加えて、モータ、ブレーキ、電子装置、および装置の他の発熱構成要素は、空気を充填した空間により金属シートおよび装置の外部表面から隔離されている。この空間は、直接的熱伝導を防ぎ、装置の外部表面および患者への熱伝導率をさらに減らす。
【0067】
さらなる冷却がモータ、リブ、およびシステムの他の構成要素に配置されたヒートシンク189により提供される。ヒートシンクは、これらの構成要素の表面面積を増加させ、より多くの熱が周囲の気流に放散できるようにする。さらに、モータ、ブレーキ、ギアボックス、およびクラッチは物理的に熱接続されている。物理的な熱接続は、これらの熱発生装置に対してさらなるヒートシンクの役割を果たす。さらなるヒートシンクが中央リブ102に備わるブレース190の形で提供される。ブレ−スは、モータ制御装置84を保持し、モータ制御装置と中央リブとの間に物理的な熱接続を提供する。中央リブは、それによりモータ制御装置のヒートシンクとして作用する。装置全体にわたる他の接続も過度の熱を除去する能力をさらに増加させる追加的ヒートシンクを提供する。
【0068】
温度は、(使用中の患者近傍であって)前側カバー板の内側に装着された温度計またはサーミスタなど温度センサにより測定される。従って、温度センサは、患者に直接接触している表面より多少高温の位置で温度を監視し、このことは患者の過熱の可能性が早期に検出されることを意味する。(患者の体温も別のセンサでシステムにより測定・追跡することができる)。図7について説明したように、プロセッサは、温度が所定の温度を超えると装置または患者を冷却し、または使用者が装置または患者を冷却する措置を採るように注意喚起するようにプログラミングされている。
【0069】
装置のハウジングは、熱伝導性の低い素材で作られているので、患者の過熱する可能性が低く、装置を熱源の近傍または日光の下に晒した場合の影響が低減される。使用中に装置をさらに冷却するために、ラジエータ、熱電冷却装置、または噴霧/滴下装置など他の熱放散機構を加えることができる。このように、装置および方法の好ましい実施形態がその開発環境に関連して説明されたが、これらは発明の原理を例示するのみである。他の実施形態および構成もまた、発明の精神および添付請求項の範囲を逸脱せずに考案することができる。
【0070】
装置は、患者が完全に装置に載るように大型化でき、または装置から外側に引き出せる出し入れ自在の板をハウジングに備えることもできる。出し入れ自在の板は、搬送中に患者の脚を装置に載せられ、装置を使用していないときはより携帯しやすくできる。(板は、必ずしも出し入れ自在である必要はなく、ヒンジまたは板をハウジングに接続する他の適当な手段によりハウジングに接続しても良い)。同様に、装置は手袋、呼吸器、ECGモニタ、血圧計、脈拍酸素計、細動除去器、または他の緊急装置などの補足装置を収納する格納部を備えることもできる。
【0071】
さらに、1つ以上のスタンドまたはブレースを装置に加えることができる。装置を起伏のある表面上で使用する場合、スタンドまたはブレースが使用中に装置を安定化させる。このように、装置および方法の好ましい実施形態がその開発環境に関連して説明されたが、これらは発明の原理を例示するのみである。他の実施形態および構成もまた、発明の精神および添付請求項の範囲を逸脱せずに考案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】自動胸部圧迫装置を用いて患者に胸部圧迫を行なう方法を示す。
【図2】電気機械式胸部圧迫装置の前側を示す。
【図3】自動胸部圧迫装置の下側および後側を示す。
【図4】自動胸部圧迫装置の上側および後側を示す。
【図5】胸部圧迫装置に用いる圧迫ベルトカートリッジを示す。
【図6】上側および下側のカバー板を取り除いた自動胸部圧迫装置の下側および後側を示す。
【図7】後側からみた自動胸部圧迫装置の分解図を示す。
【図8】後側の構成要素をいくつか省略して、前側から見た自動胸部圧迫装置の一部の分解図を示す。
【図9】患者に胸部圧迫を行なう方法を横側から図示する。
【図10】装置の内部構成要素のいくつかの分解図を示す。
【符号の説明】
【0073】
1…患者
2…胸部圧迫装置
3…ベルト
4…ベルトドライブプラットフォーム
5…圧迫ベルトカートリッジ
16,17…荷重分布部
18,19…引きストラップ
22…前側
23…後側
24…上側
25…下側
30…左ベルトスピンドル
31…右ベルトスピンドル
40…バンパ
41…チャンネルビーム
43…スロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置されたモーターと、
前記ハウジングおよび前記モータに操作可能に接続された電源と、
前記モータに回転自在に取り付けられて、前記モータが回転可能にさせるドライブスプールと、
前記ライブスプールに装着されたベルトとを備え、前記ベルトは患者の胸部の周りに少なくとも部分的に伸びることができ、前記ドライブスプールの回転が前記ベルトを締め付けて患者の胸部を圧迫し、
前記ハウジング、前記モータ、前記ドライブスプール、前記電源、及び前記ベルトの総重量が、約30ポンド未満であることを特徴とする電気機械式胸部圧迫装置。
【請求項2】
前記モータに操作可能に取り付けられたブレーキを更に備え、前記装置の全構成要素の総重量が約30ポンド未満であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記モータに操作可能に取り付けられたクラッチを更に備え、前記装置の全構成要素の総重量が約30ポンド未満であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
ギアボックスを更に備え、前記ギアボックスは前記モータ及び前記ドライブスプールに操作可能に取り付けられたギアシステムを含み、前記ギアシステムは1未満のギア比を有し、前記装置の全構成要素の総重量が約30ポンド未満であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記ハウジング内に配置され、前記モータに操作可能に取り付けられたた制御システムを更に備え、前記制御システムは前記モータの動作を制御可能で、前記装置の全構成要素の総重量が約30ポンド未満であることを特徴とする請求項1に項記載の装置。
【請求項6】
前記制御システムはプロセッサを含むことを特徴とする請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記制御システムはモータ制御装置を更に含むことを特徴とする請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記制御システムは電源制御装置を更に含むことを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記ハウジングは、患者を前記ハウジングに置き、前記ハウジングに置いた状態で患者を輸送できるようにしたサイズと寸法に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
ハウジングと、
前記ハウジングに配置されたモータと、
前記ハウジングに取り付けられ、前記ハウジングに対して横方向に向いており、かつ前記ハウジングを横切るチャネルを画定するチャネルビームと、
前記チャネルビームに架かり、前記モータに操作可能に取り付けられるとともに前記チャネルビームに回転自在に取り付けられ、かつ前記モータが回転可能にさせるドライブスプールと、
前記ドライブスプールに取り付けられるとともに前記チャネル内に配置され、患者の胸部の周りに少なくとも部分的に伸びることができ、かつ前記ドライブスプールの回転で締め付けられて患者の胸部を圧迫するベルトと、を備えることを特徴とする電気機械式胸部圧迫装置。
【請求項11】
前記モータに操作可能に取り付けられたブレーキを更に備え、前記ブレーキは前記モータの動作に制動を加えるように操作可能であることを特徴とする請求項10に記載の胸部圧迫装置。
【請求項12】
前記モータ及び前記ドライブスプールに操作可能に取り付けられたクラッチを更に備え、前記クラッチは使用中に前記ドライブスプールを前記モータに選択的に接続するように操作可能であることを特徴とする請求項11に記載の胸部圧迫装置。
【請求項13】
前記ブレーキ、前記モータ、前記クラッチ、及び前記ドライブスプールが全て同一の線上に整列していることを特徴とする請求項12に記載の胸部圧迫装置。
【請求項14】
ギアシステムを含むギアボックスを更に備え、前記ギアシステムは前記クラッチと前記ドライブスプールに操作可能に取り付けられ、前記ギアシステムは1未満のギア比を有することを特徴とする請求項12に記載の胸部圧迫装置。
【請求項15】
前記ブレーキ、前記モータ、前記クラッチ、及び前記ドライブスプールが全て同一の線上に整列していることを特徴とする請求項14に記載の胸部圧迫装置。
【請求項16】
前記ブレーキ、前記モータ、前記クラッチ、及び前記ギアボックスが同一の線上に整列してないことを特徴とする請求項14に記載の胸部圧迫装置。
【請求項17】
前記ドライブスプールの長さが約3インチ以下であることを特徴とする請求項10に記載の胸部圧迫装置。
【請求項18】
前記ドライブスプールの直径が約1インチ以下であることを特徴とする請求項10に記載の胸部圧迫装置。
【請求項19】
前記ベルトに取り付けられたスプラインと、
前記ドライブスプールの長さ方向に配置され、前記スプラインのサイズと寸法に近似するようなサイズと寸法を有するスロットとを更に備え、前記スプラインが前記スロット内に配置されているときに、前記ベルトが前記ドライブスプールに取り付けられることを特徴とする請求項10に記載の胸部圧迫装置。
【請求項20】
ガイド板を更に備え、
前記ガイド板は、前記ドライブスプール、前記チャネルビーム、又は前記ドライブスプールと前記チャネルビームの双方で構成されているグループから選択される胸部圧迫装置の一構成要素に操作可能に取り付けられ、
前記スプラインが前記ドライブスプールスロットに挿入されるときに、前記ガイド板は前記スプラインをドライブスプールスロット内に固定させるように、前記ガイド板が配置されていることを特徴とする請求項19に記載の胸部圧迫装置。
【請求項21】
前記チャネルビームの第1端部に回転自在に取り付けられた第1スピンドルと、前記チャネルの第2端部に回転自在に取り付けられた第2スピンドルとを更に備え、前記第2スピンドルは前記第1スピンドルに対向して配置されていることを特徴とする請求項10に記載の胸部圧迫装置。
【請求項22】
前記第1スピンドルと前記第2スピンドル間の距離は約12インチから約22インチの範囲であることを特徴とする請求項21に記載の胸部圧迫装置。
【請求項23】
前記第1スピンドルと前記第2スピンドルは、前記ハウジングの縁部から距離を置いて挿入されていることを特徴とする請求項21に記載の胸部圧迫装置。
【請求項24】
前記ハウジング及び前記モータに操作可能に取り付けられた制御システムを更に備え、前記制御システムは前記モータの動作を制御するためにプログラムされていることを特徴とする請求項10に記載の胸部圧迫装置。
【請求項25】
前記胸部圧迫装置に操作可能に取り付けられた力測定手段を更に備え、前記力測定手段は、患者が前記装置に置かれた際に患者が前記装置に加える力の量を測定するように操作可能であり、前記力測定手段は、圧迫中に患者に加えられる力も測定するために操作可能であることを特徴とする請求項10に記載の胸部圧迫装置。
【請求項26】
前記ハウジング、前記モータ、及び前記力測定手段に操作可能に取り付けられた制御システムを更に備え、前記制御システムは前記力測定手段により測定された力の量に基づき前記モータの動作を制御するためにプログラムされていることを特徴とする請求項25に記載の胸部圧迫装置。
【請求項27】
電流を測定する手段を更に備え、前記電流測定手段は前記胸部圧迫装置に操作可能に取り付けられており、前記電流測定手段は前記モータが駆動中に前記モータにより消費される電流の量を測定するために操作可能であることを特徴とする請求項10に記載の胸部圧迫装置。
【請求項28】
前記ハウジング、前記モータ、及び前記電流測定手段に操作可能に取り付けられた制御システムを更に備え、前記制御システムは前記モータが駆動中に前記モータにより消費される電流の量に基づき前記モータの動作を制御するためにプログラムされていることを特徴とする請求項27に記載の胸部圧迫装置。
【請求項29】
前記ハウジングに配置された排気口を更に備え、前記排気口は前記装置内で空気の循環を可能とせしめることを特徴とする請求項10に記載の胸部圧迫装置。
【請求項30】
前記排気口は前記ハウジング内に配置された凹部に配置されていることを特徴とする請求項29に記載の胸部圧迫装置。
【請求項31】
前記ハウジングは、患者が前記ハウジングに置かれている状態で輸送可能なようなサイズおよび寸法に形成されていることを特徴とする請求項10に記載の胸部圧迫装置。
【請求項32】
前記ドライブスプールおよび前記チャネルビームで構成されるグループから選択される胸部圧迫装置の構成要素に操作可能に取り付けられたデテントを更に備え、
前記胸部圧迫装置が使用中でないときに、前記スプール軸が回転不能であるように前記デテントが配置されていることを特徴とする請求項10に記載の胸部圧迫装置。
【請求項33】
前記ベルトに取り付けられたスプラインと、
前記ドライブスプールの長さ方向に沿って前記ドライブスプール内に配置されたスロットとを更に備え、前記スロットは前記スプラインのサイズと寸法に近似するようなサイズと寸法を有し、前記スプラインが前記スロット中に配置されているときに前記ベルトが前記ドライブスプールに取り付けられ、
前記スプラインが前記ドライブスプールスロットに挿入されるとき、前記スプール軸が回転可能となるように前記デテントが配置されていることを特徴とする請求項32に記載の胸部圧迫装置。
【請求項34】
ハウジングと、
前記ハウジング内に配置されたモータと、
前記モータに回転自在に取り付けられて、前記モータが回転可能にさせるドライブスプールと、
前記ドライブスプールに取り付けられ、患者の胸部の周りに少なくとも部分的に伸びることができ、かつ前記ドライブスプールの回転により締め付けられて患者の胸部を圧迫するベルトと、
前記ハウジング内に配置され、前記ハウジング内の空気流通の量を増やすために操作可能であり、かつブロワーおよびファンで構成されるグループから選択される空気循環手段と、を備えることを特徴とする電気機械式胸部圧迫装置。
【請求項35】
前記ハウジングに配置された排気口を更に備え、前記排気口は前記ハウジングの内外で空気が流れることを可能とすることを特徴とする請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記ハウジングは前部カバー板と、前記前部カバー板に取り付けられた上部カバー板と、前記前部カバー板に取り付けられた下部カバー板とを含み、
前記胸部圧迫装置は前記前部カバー板の内面に取り付けられた金属箔を更に備えることを特徴とする請求項34に記載の装置。
【請求項37】
前記前部カバー板と前記金属箔との間に配置された絶縁体層を更に備えることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項38】
前記前部カバー板の内表面に配置された絶縁体層を更に備えることを特徴とする請求項36に記載の装置。
【請求項39】
前記ハウジング内に配置され、かつ前記モータに対して平行に方向付けられたリブを更に備えることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項40】
前記リブは、前記モータと前記リブ間に狭い空間を形成するように配置されていることを特徴とする請求項39に記載の装置。
【請求項41】
前記リブは前記装置を少なくとも2つの区画に分けており、前記リブは前記装置の1つの前記区画に取り付けられて前記区画間の熱障壁として機能することを特徴とする請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記リブは、更に前記ハウジングに接続されて、液体が前記区画間を通過するのを防止することを特徴とする請求項41に記載の装置。
【請求項43】
前記電気機械的胸部圧迫装置に熱的に接続された温度センサを更に備えることを特徴とする請求項34に記載の装置。
【請求項44】
前記ハウジング内に配置され、前記温度センサ及び前記モータに操作可能に接続されたプロセッサを更に備え、
前記プロセッサは、前記温度センサで測定された温度をモニタして、前記温度センサで測定された温度に基づいて前記モータの動作を制御するようにプログラムされていることを特徴とする請求項43に記載の装置。
【請求項45】
前記ハウジングは低熱伝導率を有する材料からなることを特徴とする請求項34に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−508125(P2007−508125A)
【公表日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−535670(P2006−535670)
【出願日】平成16年10月13日(2004.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2004/033969
【国際公開番号】WO2005/037179
【国際公開日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
【出願人】(500087017)ゾール・サーキュレイション・インコーポレイテッド (13)
【氏名又は名称原語表記】Zoll Circulation, Inc.
【Fターム(参考)】