説明

輪転機の折り連結部

【課題】、印刷物の幅が変わったとしても、常に印刷物の幅方向中央をグリッパーでつかむことができるようにする輪転機の折り連結部を提供すること。
【解決手段】輪転機において折り機10と載荷コンベヤー部30をつなぐ折り連結部20において、折り機10から搬入された印刷物を幅方向にスライドさせ、その印刷物の幅方向中央を、載荷コンベヤー部30の後段に配置されたグリッパーのつかみ位置に合わせるスライド機構として、印刷物の幅方向に首振りするスライドコンベヤー40を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輪転機において折り機と載荷コンベヤー部をつなぐ折り連結部に関する。
【背景技術】
【0002】
新聞等を印刷する輪転機では、折り機で最終形状とされた印刷物を折り連結部及び載荷コンベヤー部を介してグリッパーへ送り込む(非特許文献1参照)。そして、グリッパーは印刷物を一部ずつつかみ、所定の脱荷位置まで搬送する。
【0003】
従来、とくに新聞を印刷する輪転機の場合、新聞の幅は一定であることを前提としていたため、折り連結部では新聞(印刷物)を単に平行に搬送するようにしていた。
【0004】
ところが、印刷物の幅が変わった場合、折り機の機構上、折り機による印刷物の山折り部は搬送路の一側部に揃うので、折り連結部において搬送される印刷物の幅方向中央位置がずれてしまう。
【0005】
一方で、印刷物の幅方向に対するグリッパーの位置は固定されているので、印刷物の幅の変化によって折り連結部における印刷物の幅方向中央位置がずれると、グリッパーのつかみ位置が印刷物の幅方向中央からずれてしまう。そうすると、印刷物がグリッパーによって適切に搬送されず、搬送の途中で印刷物が脱落あるいは破損したり、印刷物が汚れるなどの問題が生じる。また、印刷物が所定の脱荷位置に落とされず、その後のカウンタースタッカーへの収納に支障が生じる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】社団法人日本新聞協会技術委員会編、「新聞印刷ハンドブック 改訂版」、社団法人日本新聞協会、2006年4月1日、p.266
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、印刷物の幅が変わったとしても、常に印刷物の幅方向中央をグリッパーでつかむことができるようにする輪転機の折り連結部を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、輪転機において折り機と載荷コンベヤー部をつなぐ折り連結部であって、折り機から搬入された印刷物を幅方向にスライドさせ、その印刷物の幅方向中央を、載荷コンベヤー部の後段に配置されたグリッパーのつかみ位置に合わせるスライド機構を備えたものである。
【0009】
スライド機構は、印刷物の幅方向に首振りするスライドコンベヤーを備えたものとすることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、スライド機構によって、折り機から搬入された印刷物を幅方向にスライドさせ、その印刷物の幅方向中央を、載荷コンベヤー部の後段に配置されたグリッパーのつかみ位置に合わせることができるので、印刷物の幅が変わったとしても、常に印刷物の幅方向中央をグリッパーでつかむことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の折り連結部とその近傍を示す平面図である。
【図2】図1のA方向矢視図である。
【図3】図2のB方向矢視図である。
【図4】図2のC方向矢視図である。
【図5】図2のD方向矢視図である。
【図6】本発明の作用を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面に示す実施例に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0013】
図1は、本発明の折り連結部とその近傍を示す平面図である。輪転機において、折り連結部20は折り機10と載荷コンベヤー部30をつなぐ。すなわち、折り連結部20は、折り機10のデリバリーベルト11から印刷物を受け取り、これを載荷コンベヤー部30まで搬送する。そして載荷コンベヤー部30は、印刷物をグリッパー(図示せず)の待機位置まで搬送する。グリッパーは印刷物を一部ずつつかみ、これを所定の脱荷位置まで搬送する。なお、図1中の符号31は載荷コンベヤー部30において搬送される印刷部の幅方向の位置を揃える紙揃え装置である。
【0014】
図1に示す折り連結部20は、印刷物を幅方向にスライドさせ、その印刷物の幅方向中央をグリッパーのつかみ位置に合わせるスライド機構として、支点41を中心に印刷物の幅方向に首振りするスライドコンベヤー40を備えている。
【0015】
図2〜5を参照すると、スライドコンベヤー40は支点41を含む架台42に支持されており、この架台42が支点41を中心に印刷物の幅方向に首振りすることで、スライドコンベヤー40が同様に首振りする。
【0016】
図4及び5に示すように、架台42には雌ねじ部43が一体的に設けられており、雌ねじ部43には雄ねじ棒44が螺合されている。雄ねじ棒44の先端44aは雄ねじ棒44が進退しないように固定されている。したがって、雄ねじ棒44の操作部44bを手動又は電動により操作して雄ねじ棒44を回転させると、雌ねじ部43が印刷物の幅方向(図4及び5において上下方向)にスライドする。上述のとおり雌ねじ部43は架台42に一体的に設けられているので、架台42は雌ねじ部43のスライドに伴い、支点41を中心に印刷物の幅方向に首振りする。これによって架台42に支持されたスライドコンベヤー40が支点41を中心に印刷物の幅方向に首振りする。なお、折り連結部20(スライドコンベヤー40)の駆動は折り機10からとり、輪転機停止時は単独モータで駆動している。
【0017】
次に本発明の折り連結部の作用を図6を参照して説明する。
【0018】
図6(a)は印刷物P1を搬送する場合を示す。この場合、折り機10からスライドコンベヤー40に搬送された印刷物P1の幅方向中央位置はグリッパーのつかみ位置C1と一致している。したがって、スライドコンベヤー40は印刷物の搬入方向と平行にし、そのまま印刷物P1を搬送する。
【0019】
図6(b)は印刷物P1よりも幅広の印刷物P2を搬送する場合を示す。この場合、折り機10の機構上、折り機10による印刷物P2の山折り部(図面上P2の上辺)の位置は上述の印刷物P1の山折り部と一致することから、スライドコンベヤー40に搬送された印刷物P2の幅方向中央位置はグリッパーのつかみ位置C1より図6(b)において下側にずれているので、スライドコンベヤー40を図6(b)において下側に首振りさせる。そうすると、印刷物P2は図6(b)において上側にスライドしながら搬送され、印刷物P2の幅方向中央位置がグリッパーのつかみ位置C1と一致するようになる。
【0020】
図6(c)は印刷物P1よりも幅狭の印刷物P3を搬送する場合を示す。この場合、折り機10の機構上、折り機10による印刷物P3の山折り部(図面上P3の上辺)の位置は上述の印刷物P1の山折り部と一致することから、スライドコンベヤー40に搬送された印刷物P3の幅方向中央位置はグリッパーのつかみ位置C1より図6(c)において上側にずれているので、スライドコンベヤー40を図6(c)において上側に首振りさせる。そうすると、印刷物P3は図6(c)において下側にスライドしながら搬送され、印刷物P3の幅方向中央位置がグリッパーのつかみ位置C1と一致するようになる。
【0021】
このように、各印刷部P1〜P3の幅に応じてスライドコンベヤー40を首振りさせて、各印刷物P1〜P3の幅方向中央位置をグリッパーのつかみ位置C1と一致させることができる。
【0022】
なお、上述の実施例では、3種類の印刷物P1〜P3の搬送について説明し、印刷物P1の場合にはスライドコンベヤー40を首振りさせずに搬送するようにしたが、2種類の印刷物を搬送する場合には、2種類の印刷物のいずれの場合も、その印刷物の幅方向中央位置がグリッパーのつかみ位置C1と一致するようにスライドコンベヤー40を首振りさせるようにすることもできる。
【符号の説明】
【0023】
10 折り機
11 デリバリーベルト
20 折り連結部
30 載荷コンベヤー部
31 紙揃え装置
40 スライドコンベヤー
41 支点
42 架台
43 雌ねじ部
44 雄ねじ棒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
輪転機において折り機と載荷コンベヤー部をつなぐ折り連結部であって、
折り機から搬入された印刷物を幅方向にスライドさせ、その印刷物の幅方向中央を、載荷コンベヤー部の後段に配置されたグリッパーのつかみ位置に合わせるスライド機構を備えた輪転機の折り連結部。
【請求項2】
前記スライド機構が、印刷物の幅方向に首振りするスライドコンベヤーを備えてなる請求項1に記載の輪転機の折り連結部。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate