説明

輸送用パレット、およびロール状物の収納方法

【課題】シャフトに通すことなく、かつ個別梱包をすることなくロール状物を輸送することができる。
【解決手段】フォーク穴114が形成された本体部2110の上面に貼り付けられ又は載置された下地材を囲うように、ロール状物の径方向の長さより高さを有するスリーブ部材3120が本体部上面に配置され、本体部の上面材と同型の基材の両面に、下地材と同型の板材2130が貼り付けられた蓋部材2100によりスリーブ部材上部に蓋がされる。
このスリーブ部材3120を構成する板材のうち、対向する一対の板材3121に、ロール状物の芯材3120の端部を載置するための切り欠き3124を有し、切り欠き3124に芯材3210の端部を載置することにより、その一対の板材3121に長尺物が架設される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送用パレット、およびロール状物の収納方法に関し、特に芯材に長尺物を巻き取ったロール状物を収納するロール状物の収納方法、および収納した状態で輸送することができる輸送用パレットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、芯材に長尺物を巻き取ったロール状物を輸送するときには、そのロール状物に対して個別に、もしくは少量の単位数量ごとに包装して輸送していた。
【0003】
しかし、この方法によると、輸送資材として大量の包装資材が必要であり、資材コストが高くなってしまう。
また、少量ずつ包装するので包装工程が多くなり、作業コストが高くなってしまう。
【0004】
さらに輸送後においても、包装を解く工程が多くなり、作業コストが高くなるとともに、大量の包装資材を廃棄するための廃棄コスト、および廃棄のための焼却処理時における大量の温室効果ガスの発生、合成樹脂材料を使用している場合には有毒ガスの発生が懸念される。
【0005】
そこで、包装資材の量を少なくすべく、パレット上に側板を立設することにより収容空間を形成し、その空間に複数のシャフトを立設し、ロール状物の芯材の中空部を支柱となる該シャフトが通るように、複数のロール状物を垂直方向に積み重ねて配置されるロール製品輸送用コンテナが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−261042号公報(段落番号〔0005〕〜〔0011〕、図1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記発明は、コンテナ内に立設したシャフトがロール状物の芯材の中空部を通るように複数のロール状物を垂直方向に積み重ねるという煩雑な作業が必要になるという問題がある。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みてなされたものであり、ロール状物にシャフトを通すことなく、かつ少量ずつの個別梱包をすることなくロール状物を収納することができるロール状物の収納方法、および収納した状態で輸送することができる輸送用パレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明では上記問題を解決するために、両端を残して芯材に長尺物を巻き取ったロール状物を収納した状態で輸送することができる輸送用パレットにおいて、フォーク穴が形成された本体部と、前記本体部の上面に貼り付けられ又は載置された下地材と、前記下地材を囲うように前記本体部上面に配置され、前記ロール状物の径方向の長さより高さを有するスリーブ部材と、前記本体部の上面材と同型の基材の両面に、前記下地材と同型の板材が貼り付けられた蓋部材とを備え、前記スリーブ部材を構成する板材のうち、対向する一対の板材には、前記ロール状物の径方向の長さより長い間隔で前記一対の板材間に前記ロール状物が架設されるように、前記ロール状物の芯材の端部を載置するための切り欠きを有し、前記本体部、前記下地材、前記スリーブ部材、および前記蓋部材が段ボールで作製されていることを特徴とする輸送用パレットが提供される。
更に、前記スリーブ部材を構成する対向する二対の板材のうち、切り欠きが設けられていない一対の板材に、前記切り欠きが設けられたスリーブ部の板材と同じ板材を組んで、各板材間にロール状物を架設することもできる。
【0010】
これにより、フォーク穴が形成された本体部の上面に貼り付けられ又は載置された下地材を囲うように、ロール状物の径方向の長さより高さを有するスリーブ部材が本体部上面に配置され、本体部の上面材と同型の基材の両面に、下地材と同型の板材が貼り付けられた蓋部材によりスリーブ部材上部に蓋がされる。
【0011】
このスリーブ部材を構成する板材のうち、対向する一対の板材に、ロール状物の径方向の長さより長い間隔で、ロール状物の芯材の端部を載置するための切り欠きを有し、その切り欠きに長尺物の芯材の端部を載置することにより、その一対の板材に長尺物が架設される。
更に、前記スリーブ部材を構成する対向する二対の板材のうち、切り欠きが設けられていない一対の板材に、前記切り欠きが設けられたスリーブ部の板材と同じ板材を組んで、各板材間にロール状物を架設することもできる。
【0012】
また、本発明では、芯材に長尺物を巻き取ったロール状物を収納した状態で輸送することができる輸送用パレットにおいて、フォーク穴が形成された本体部と、前記本体部の上面に貼り付けられ又は載置された下地材と、前記下地材を囲うように前記本体部上面に配置され、前記ロール状物の径方向の長さより高さを有するスリーブ部材と、前記本体部の上面材と同型の基材の両面に、前記下地材と同型の板材が貼り付けられた蓋部材とを備え、前記スリーブ部材を構成する対向する二対の板材のうち、少なくとも一対の板材には、前記スリーブ部材よりも高さが低い仕切り板が組まれることにより、前記ロール状物を横置きする収納部が複数形成され、前記本体部、前記下地材、前記スリーブ部材、および前記蓋部材が段ボールで作製されていることを特徴とする輸送用パレットが提供される。
前記スリーブ部材を構成する対向する二対の板材に組まれる仕切り板については、望ましくは、一方の対は、前記ロール状物の径方向の長さと同間隔に、他方の対は、前記ロール状物の巻取り幅と同間隔に組まれる。
【0013】
これにより、ロール状物の径方向の長さより高さを有するスリーブ部材が、フォーク穴が形成された本体部の上面に貼り付けられ又は載置された下地材を囲うように本体部上面に配置され、スリーブ部材を構成する対向する二対の板材のうち、少なくとも一対の板材に、前記スリーブ部材よりも高さが低い仕切り板が組まれることにより、ロール状物を横置きする収納部が複数形成され、収納部にロール状物が収納され、本体部の上面材と同型の基材の両面に、前記下地材と同型の板材が貼り付けられた蓋部材が、スリーブ部材上に載置される。
【0014】
また、本発明では、両端を残して芯材に長尺物を巻き取ったロール状物を収納する収納方法において、前記ロール状物の径方向の長さより高さを有するスリーブ部材が、フォーク穴が形成された本体部の上面に貼り付けられ又は載置された下地材を囲うように前記本体部上面に配置され、前記スリーブ部材を構成する板材のうち、対向する一対の板材に、前記ロール状物の径方向の長さより長い間隔で形成された切り欠きに、前記一対の板材間に前記ロール状物が架設されるように前記ロール状物の芯材の端部を載置し、前記本体部の上面材と同型の基材の両面に、前記下地材と同型の板材が貼り付けられた蓋部材が、前記スリーブ部材上に載置されることを特徴とするロール状物の収納方法が提供される。
更に、前記スリーブ部材を構成する対向する二対の板材のうち、切り欠きが設けられていない一対の板材に、前記切り欠きが設けられたスリーブ部の板材と同じ板材を組んで、各板材間にロール状物を架設することもできる。
【0015】
これにより、ロール状物の径方向の長さより高さを有するスリーブ部材が、フォーク穴が形成された本体部の上面に貼り付けられ又は載置された下地材を囲うように本体部上面に配置され、スリーブ部材を構成する板材の対向する一対の板材にロール状物の径方向の長さより長い間隔で形成された切り欠きに、その切り欠きが形成された一対の板材間にロール状物が架設されるようにロール状物の芯材の端部を載置し、本体部の上面材と同型の基材の両面に、下地材と同型の板材が貼り付けられた蓋部材が、スリーブ部材上に載置される。
更に、前記スリーブ部材を構成する対向する二対の板材のうち、切り欠きが設けられていない一対の板材に、前記切り欠きが設けられたスリーブ部の板材と同じ板材を組んで、各板材間にロール状物を架設されるようにロール状物の芯材の端部を載置し、蓋部材をスリーブ部材上に載置することもできる。
【0016】
また、本発明では、芯材に長尺物を巻き取ったロール状物を収納する収納方法において、前記ロール状物の径方向の長さより高さを有するスリーブ部材が、フォーク穴が形成された本体部の上面に貼り付けられ又は載置された下地材を囲うように前記本体部上面に配置され、前記スリーブ部材を構成する対向する二対の板材のうち、少なくとも一対の板材には、前記スリーブ部材よりも高さが低い仕切り板が組まれることにより、前記ロール状物を横置きする収納部が複数形成され、前記収納部に前記ロール状物が収納され、前記本体部の上面材と同型の基材の両面に、前記下地材と同型の板材が貼り付けられた蓋部材が、前記スリーブ部材上に載置されることを特徴とするロール状物の収納方法が提供される。
【0017】
これにより、ロール状物の径方向の長さより高さを有するスリーブ部材が、フォーク穴が形成された本体部の上面に貼り付けられ又は載置された下地材を囲うように本体部上面に配置され、スリーブ部材を構成する対向する二対の板材のうち、少なくとも一対の板材に、前記スリーブ部材よりも高さが低い仕切り板が組まれることにより、前記ロール状物を横置きする収納部が複数形成され、収納部にロール状物が収納され、本体部の上面材と同型の基材の両面に、前記下地材と同型の板材が貼り付けられた蓋部材が、スリーブ部材上に載置される。
【発明の効果】
【0018】
本発明の輸送用パレット、およびロール状物の収納方法によれば、ロール状物が収納部に収納され、またはスリーブを構成する板材間に架設されるので、ロール状物に対して個別の固定具などを用いなくとも輸送することができる。
これにより、従来の個別包装や少量単位毎の包装と比較して、包装資材の削減及び包装作業の効率化を実現できる。又、廃棄物が削減され、結果として廃棄時の温室効果ガス、合成樹脂材料等に由来する有毒ガスの発生を抑制することができる。
【0019】
そして、蓋部には、その上面にも板材が貼り付けられているので、スリーブ上部を蓋部で蓋をする際に蓋部材の上下面を気にすることなく梱包作業をすることができるので、作業コストを低減することができる。
【0020】
また、一回に輸送するロール状物の数に応じて段積みをすることができ、この場合、スリーブおよび蓋部材等の部材は各段で同じ構成のものを使うことができるので、輸送量に応じて適切な輸送形態を柔軟且つ容易に選択できる。
【0021】
また、各種部材を組み合わせることにより段ボールで作製しても必要強度を確保することができ、部材をすべて段ボールで作製する副次的な効果として、輸送用パレット全体としての重量や材料コストを低減することもできる。
【0022】
さらに、素材が段ボールなので、部材が破損等により部材の交換が必要になったときでも、容易且つ低廉に部材を作製することができるので、すぐに交換可能であり、輸送パフォーマンスを落とすことなく運用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施の形態に係るパレットの上方斜視図である。
【図2】本実施の形態に係るパレット本体部の上方斜視図である。
【図3】パレット本体部にロール状物を載置した様子を示す図である。
【図4】パレットの蓋部を浮かせた状態の上方斜視図である。
【図5】本実施の形態のパレットを段積みした様子を示す図である。
【図6】ひもで縛るときに用いられる蓋部材の平面図である。
【図7】段積みしたパレットをひもで縛ったときの様子を示す図である。
【図8】本実施の形態に係るパレットの上方斜視図である。
【図9】パレット本体部にロール状物を載置した様子を示す図である。
【図10】パレットの蓋部を浮かせた状態の上方斜視図である。
【図11】本実施の形態のパレットを段積みした様子を示す図である。
【図12】本実施の形態に係るパレットの上方斜視図である。
【図13】パレット本体部にロール状物を載置した様子を示す図である。
【図14】パレットの蓋部を浮かせた状態の上方斜視図である。
【図15】本実施の形態のパレットを段積みした様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
以下、第1〜3の実施の形態の輸送用パレットは安価で軽量な段ボールで作製される。ロール状物を積重ねることなく並べて収納することを基本単位とした構成なので、スリーブや蓋部材などそれぞれの部材の設計強度を低くすることができるので、全てを段ボールで作製しても必要強度を確保することができる。
但し、目的に応じて、他の代替材料を適宜使用することができる。
【0025】
〔第1の実施の形態〕
図1〜5を用いて、本実施の形態に係る輸送用パレットについて説明する。
パレットの全体構造を示す。
パレット100は、パレット本体部110、下地材116、スリーブ120、および蓋部130を備えている。
パレット本体部110の上面に、下地材116が貼り付け又は載置され、その周辺にスリーブ120が載置され、さらにその上部に蓋部130が載置される。
従って、パレット本体部110の上面には、パレット本体部110の上板111、スリーブ120、および蓋部130で区切られた密閉空間が形成される。
【0026】
本体部110は、ほぼ正方形の上板111と底板112に脚部113を挟み込んで構成される。
脚部113は、上板111と底板112の四隅、各辺の中央部、および中心部(不図示)に設けられる。
これにより、本体部110の側面には、全方向からフォークを挿し入れることができるようにフォーク穴114が形成される。
【0027】
下地材116は、ロール状物200の芯材210の径に合わせられた芯材と嵌合するための嵌合穴115が複数設けられた板材よりなる。
この下地材116は、本体部110の上板111に貼り付けられ又は載置される。
【0028】
スリーブ120は、その高さ方向の長さがロール状物200の長尺物の芯材の長さと同等である板材よりなる。
スリーブ120は、パレット本体部110の上面に貼り付けられ又は載置された下地材116の周辺部を取り囲むように載置され、下地材116が上板111に貼り付けられ又は載置されていることによる段差により上板111の面方向に固定される。
【0029】
蓋部130は、両面に下地材と同一の穴板が貼り付けられた板材よりなる。
蓋部130により、スリーブ120上部の開口部を蓋部130がふさがれるが、その際、その開口部に蓋部130の下面の穴板がはめ合わされることにより、蓋部130は、その面方向に固定される。
前述の通りスリーブ120の上部の開口部がふさがれた場合、蓋部130の下面の穴板の嵌合穴は、パレット本体部110の上面の下地材116の嵌合穴115に対応する位置に形成されている。
【0030】
ロール状物200は、長尺物の巻取り幅より長い芯材が使用されることにより、芯材の両端から一定の長さの部分が外観上視認されるものに限定される。ロール状物200としては、たとえば芯材にフィルムを巻き取ったものが考えられる。
【0031】
収納方法は、まず、本体部上面の下地材116に複数設けられた嵌合穴115にロール状物の芯材をはめ合わせることによって、ロール状物の芯材の軸方向が上下方向になるようにパレット本体部110の上面に載置する。
これにより、ロール状物200が本体部上面の上板111の面方向に固定される。
次に、スリーブ120上部の開口部を蓋部130でふさぐことにより密閉するが、その際、蓋部130の下面に貼り付けられた穴板の嵌合穴に、本体部上面に載置されたロール状物200の芯材210がはめ合わされることになる。
これにより、ロール状物200の芯材210が上下方向から嵌合穴により固定されるので、ロール状物200に対して個別の固定具などを用いなくとも輸送することができる。
【0032】
また、図1に示すように、蓋部130には、その上面にも穴板が貼り付けられているので、スリーブ120上部の開口部を蓋部130でふさいだ後に、さらにその上にスリーブ120を載置し、嵌合穴にロール状物200の芯材210をはめ合わせ、蓋部材130によって蓋をすることにより多段積みをすることができる。
図5は、本実施の形態のパレットを段積みした様子を示す図である。この図は、パレット本体部110の上に5段積みした様子を示している。
【0033】
本実施の形態のパレットの構成によると、一回に輸送するロール状物200の数が少ないときには段積みすることなく輸送することができ、一回に輸送するロール状物200の数が多いときには段積みして輸送することができるので、一回に輸送するロール状物200の数に応じて柔軟に対応することが可能となる。
【0034】
また、多段積みにするにしても、スリーブ120および蓋部材130は同じ構成の部材を使うことができるので、多段積みすることによるコスト増加を少なくすることができる。
【0035】
また、ロール状物を積み重ねることなく並べて収納することを基本単位とした構成なので、もともと大きなコンテナとして設計するよりも、スリーブ120や蓋部材130などそれぞれの部材の設計強度を低くすることができる。
【0036】
したがって、本実施の形態の発明のように、すべてを段ボールで作製しても必要強度を確保することができる。
【0037】
また、部材をすべて段ボールで作製する副次的な効果として、輸送用コンテナ全体としての重量や材料コストを低減することもできる。
【0038】
さらに、素材が段ボールなので、部材が破損した場合、または臭いや汚れによって部材の交換が必要になったときでも、部材の作製が容易で、かつ低廉に作製することができるので、すぐに交換可能であり、輸送パフォーマンスを落とすことなく運用することができる。
【0039】
なお、図5に示すような段積みにしたときに安定感に不安があるときには、パレット本体部110のフォーク穴114にひもを通して縛ってもよい。
図6は、ひもで縛るときに用いられる蓋部材の平面図である。
図6に示すように、蓋部材130を構成する基材の外周部には切り込み131が所定位置に設けられている。この切り込み131は一対をなして設けられており、一対の切り込み131の間に形成された舌状部132の位置にひもをかけることにより蓋部材130の基材を変形させることなく、段積みしたパレットを縛ることができる。
【0040】
段積みしたパレットを縛った様子を図7に示す。
このときひも101は、フォークをフォーク穴114に挿入するときになるべく接触しないようにすべく、隣接するフォーク穴114の離間方向側端部近傍にかけられる。また、蓋部材130に設けられる切り込み131および舌状部132は、ひも101をかける一に対応する位置に設けられるものであるので、蓋部材130をスリーブ上に載置したときにフォーク穴114の離間方向側端部近傍に対応する位置に設けられることになる。
なお、図7においてはひも101を一方向に縛った様子を示しているが、より安定性を確保したいときにはさらに直行する方向にもひも101で縛ってもよい。また、段積みしたパレットにおいて、最上部に載置されている蓋部材の上面に貼り付けられている下地材は不要であるため、最上部に載置する蓋部材は片面のみに下地材が貼り付けられているものを、下地材が貼り付けられている面を下向きにして用いるようにしてもよい。
〔第2の実施の形態〕
【0041】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態の輸送用パレットは、スリーブが外周板を組み合わせることによって形成され、そのスリーブ内をさらに一方向に仕切り板でロール状物の径方向の長さと同間隔で区切って六面体形状の複数の収容部を形成することにより、その収容部にロール状物を横置きする構成となっていることが異なる以外は、第1の実施の形態で示した構成と同様である。
このため、上記第1の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
【0042】
図8〜11を用いて、本実施の形態に係る輸送用パレットについて説明する。
パレットの全体構造を示す。
パレット2100は、パレット本体部2110、下地材2116、スリーブ2120、仕切り板および蓋部2130を備えている。
パレット本体部2110の上面に、下地材2116が貼り付け又は載置され、その周辺にスリーブ2120が載置され、そのスリーブに仕切り板が組まれ、さらにその上部には蓋部2130が載置される。
従って、パレット本体部2110の上面には、パレット本体部2110の上板、スリーブ2120、および蓋部2130で区切られた密閉空間が形成され、この空間内部に仕切り板が配列される。
【0043】
下地材2116は、第1の実施の形態と異なり嵌合穴が形成されていない板2116よりなる。
下地材2116は、本体部2110の上板の上面に貼り付けられ又は載置される。
【0044】
スリーブ2120は、その高さ方向の長さがロール状物200の径方向の長さと同等である板材よりなる。
スリーブ2120は、外周板2121,2122を各外周板に形成された組み合わせ溝2123を組み合わせることによって形成され、パレット本体部2110の上面の下地材2116の周辺部を取り囲み、且つ、その高さがロール状物の径方向の長さと同等となるように載置される。
そして、下地材2116が上板2111に貼り付けられ又は載置されていることによる段差により上板2111の面方向に固定される。
スリーブの高さは、蓋部材2130により蓋をしたときに蓋部材2130の下面がロール状物2200に接触しないように設定される。
図9においては、4つの収納部が形成されるように、外周板2121に組み合わせ溝2123が形成されているパレット示している。
【0045】
仕切り板2124は、ロール状物2200の径方向の長さと同間隔に、外周板2121に形成される組み合わせ溝2123に対して組み合わされ、ロール状物2200を収納するための収納部を形成する。
なお、仕切り板2124の高さは、スリーブ2120の高さに比べて若干低くされる。これは、蓋部材2130の下面に貼り付けられた板が、スリーブ2120上部の開口部
にはめ合わされるようにするためである。
【0046】
蓋部2130には、本体部上面に貼り付けられた又は載置された板と同様の板が両面にも貼り付けられた板材よりなる。
スリーブ2120上部を蓋部2130でふさぐことによって、蓋部2130の下面に貼り付けられた板がスリーブ2120上部の開口部にはめ合わされる。これにより、蓋部2130は、その面方向に固定される。
蓋部2130により、スリーブ2120上部の開口部を蓋部2130がふさがれるが、その際、その開口部に蓋部2130の下面の穴板がはめ合わされることにより、蓋部2130は、その面方向に固定される。
【0047】
収納されるロール状物2200は、長尺物の巻取り幅と芯材の長さが同一のものが適する。ロール状物2200としては、たとえば芯材にフィルムを巻き取ったものが考えられる。
【0048】
収納方法については、まずスリーブ2120と仕切り板により形成された収納部にロール状物を載置し、その後、スリーブ2120上部の開口部を蓋部2130でふさぐ。
以上より、ロール状物2200が収納部に収まるので、ロール状物2200に対して個別の固定具などを用いなくとも輸送することができる。
【0049】
また、図6に示すように、蓋部2130には、その上面にも板が貼り付けられているので、スリーブ2120上部を蓋部2130でふさいだ後に、さらにその上にスリーブ2120を載置し、仕切り板2122を組み合わせることに収納部を形成し、その収納部にロール状物2200を収納し、蓋部材2130によって蓋をすることにより多段積みをすることができる。
図11は、本実施の形態のパレットを段積みした様子を示す図である。この図は、パレット本体部2110の上に5段積みした様子を示している。
【0050】
本実施の形態のパレットの構成によると、一回に輸送するロール状物2200の数が少ないときには段積みすることなく輸送することができ、一回に輸送するロール状物2200の数が多いときには段積みして輸送することができるので、一回に輸送するロール状物2200の数に応じて柔軟に対応することが可能となる。
【0051】
また、多段積みにするにしても、スリーブ2120(外周板2121,2122)、仕切り板2124、および蓋部材2130は同じ構成の部材を使うことができるので、多段積みすることによるコスト増加を少なくすることができる。
【0052】
また、ロール状物を積み重ねることなく並べて収納することを基本単位とした構成なので、もともと大きなコンテナとして設計するよりも、スリーブ2120や蓋部材2130などそれぞれの部材の設計強度を低くすることができる。
【0053】
したがって、本実施の形態の発明のように、すべてを段ボールで作製しても必要強度を確保することができる。
【0054】
また、部材をすべて段ボールで作製する副次的な効果として、輸送用コンテナ全体としての重量や材料コストを低減することもできる。
【0055】
さらに、素材が段ボールなので、部材が破損した場合、または臭いや汚れによって部材の交換が必要になったときでも、部材の作製が容易で、かつ低廉に作製することができるので、すぐに交換可能であり、輸送パフォーマンスを落とすことなく運用することができる。
【0056】
なお、本実施の形態のスリーブ2120は、外周板2121,2122から構成され、仕切り板2124を外周板2122と平行に組み合わせることによってロール状物2200を一列に収納するための収納部を形成する旨の説明をしたが、ロール状物2200の巻き取り幅方向の長さが短いときには、さらにスリーブ2120に対して外周板2121に平行に仕切り板を組むことによってロール状物2200が複数列収納できるように収納部を形成するようにしてもよい。
〔第3の実施の形態〕
【0057】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。本実施の形態の輸送用パレットは、仕切り板にロール状物の芯材を架設するための架設溝が形成されていることが異なる以外は、第2の実施の形態で示した構成と同様である。このため、上記第2の実施の形態とほぼ同様の構成部分については同一の符号を付すなどして適宜その説明を省略する。
【0058】
図12〜15を用いて、本実施の形態に係る輸送用パレットについて説明する。
パレットの全体構造を示す。
パレット3100は、パレット本体部2110、スリーブ3120及び蓋部2130を備えている。
パレット本体部2110の上面に、下地材2116が貼り付けられ又は載置され、その周辺にスリーブ3120が載置され、さらにその上部には蓋部2130が載置される。
従って、パレット本体部2110の上面には、パレット本体部2110の上板、スリーブ3120、および蓋部2130で区切られた密閉空間が形成される。
【0059】
スリーブ3120は、その高さ方向の長さがロール状物3200の径方向の長さと同等である、板材3122と切り欠きを有する板材3121よりなる。
板材3121の切り欠き3124は、ロール状物3200の芯材3210の両端を架設するための架設溝として機能する。
このスリーブ3120は、仕切り板3121,3122を各仕切り板に形成された組み合わせ溝3123を組み合わせることによって形成され、パレット本体部2110の上面に貼り付けられ又は載置された下地材2116の周辺部を取り囲み、且つ、その高さがロール状物3200の径方向の長さと同等になるように載置される。
そして、下地材2116が上板に貼り付けられ又は載置されていることによる段差により上板の面方向に固定される。
図13においては、4つのロール状物3200が架設されるように板材3121に4つの架設溝3124が形成されているパレットを示している。
【0060】
ロール状物3200は、長尺物の巻取り幅より長い芯材が使用されることにより、芯材の両端から一定の長さの部分が外観上視認されるものに限定される。ロール状物3200としては、たとえば芯材にフィルムを巻き取ったものが考えられる。
【0061】
収納方法については、まずスリーブを構成する板材3121の切り欠き部3124にロール状物3200の芯材3210の両端が架設されるようにロール状物を載置し、次に、スリーブ上部の開口部を蓋部でふさぐ。
以上より、ロール状物が固定されて収納部に収まるので、ロール状物に対して個別の固定具などを用いなくとも輸送することができる。
【0062】
上述の第2の実施の形態と同様に、蓋部には、その上面にも板が貼り付けられているので、スリーブ3120上部を蓋部でふさいだ後に、さらにその上にスリーブ3120を載置し、その仕切り板3121にロール状物3200を架設収納し、蓋部材によって蓋をすることにより多段積みをすることができる。
図15は、本実施の形態のパレットを段積みした様子を示す図である。
図15に示すように、パレット本体部2110の上に5段積みした様子を示している。
【0063】
本実施の形態のパレットの構成によると、一回に輸送するロール状物3200の数が少ないときには段積みすることなく輸送することができ、一回に輸送するロール状物3200の数が多いときには段積みして輸送することができるので、一回に輸送するロール状物3200の数に応じて柔軟に対応することが可能となる。
【0064】
また、本実施の形態においては、仕切り板3121の間隔が特に問題となるが、この点についても柔軟に対応可能である。
【0065】
さらに、多段積みにするにしても、スリーブ3120(仕切り板3121,3122)および蓋部材2130は同じ構成の部材を使うことができるので、多段積みすることによるコスト増加を少なくすることができる。
【0066】
また、ロール状物を積み重ねることなく並べて収納することを基本単位とした構成なので、もともと大きなコンテナとして設計するよりも、スリーブ3120や蓋部材2130などそれぞれの部材の設計強度を低くすることができる。
【0067】
したがって、本実施の形態の発明のように、すべてを段ボールで作製しても必要強度を確保することができる。
【0068】
また、部材をすべて段ボールで作製する副次的な効果として、輸送用コンテナ全体としての重量や材料コストを低減することもできる。
【0069】
さらに、素材が段ボールなので、部材が破損した場合、または臭いや汚れによって部材の交換が必要になったときでも、部材の作製が容易で、かつ低廉に作製することができるので、すぐに交換可能であり、輸送パフォーマンスを落とすことなく運用することができる。
【0070】
なお、本実施の形態のスリーブ3120は、仕切り板3121,3122から構成され、切り欠き3124が形成された一対の仕切り板3121の間にロール状物3200が架設される旨の説明をしたが、ロール状物3200の芯材3210の長さが短いときには、さらにスリーブ3120に対して仕切り板3121に平行に仕切り板を組むことによってロール状物3200が複数列架設できるようにしてもよい。
このとき、巻き取り幅方向に隣接するロール状物3200の芯材3210同士が接触しないように、スリーブ3120の中程に組まれる仕切り板は一定間隔離間して一対ずつ設けることが考えられる。
【符号の説明】
【0071】
100 パレット
110 パレット本体部
111 上板
112 底板
113 脚部
114 フォーク穴
115 嵌合穴
116 下地材
120 スリーブ
130 蓋部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
両端を残して芯材に長尺物を巻き取ったロール状物を収納した状態で輸送することができる輸送用パレットにおいて、
フォーク穴が形成された本体部と、
前記本体部の上面に貼り付けられ又は載置された下地材と、
前記下地材を囲うように前記本体部上面に配置され、前記ロール状物の径方向の長さより高さを有するスリーブ部材と、
前記本体部の上面材と同型の基材の両面に、前記下地材と同型の板材が貼り付けられた蓋部材と、
を備え、
前記スリーブ部材を構成する板材のうち、対向する一対の板材には、前記ロール状物の径方向の長さより長い間隔で前記一対の板材間に前記ロール状物が架設されるように、前記ロール状物の芯材の端部を載置するための切り欠きを有し、
前記本体部、前記下地材、前記スリーブ部材、および前記蓋部材が段ボールで作製されていることを特徴とする輸送用パレット。
【請求項2】
前記ロール状物を複数列架設されるように、前記スリーブ部材を構成する対向する二対の板材のうち、前記切り欠きを有する板材と同一の切り欠きが形成され、かつ前記切り欠きを有する板材より高さが低い板材を、前記切り欠きを有する板材と平行に前記スリーブ部材に組むことを特徴とする請求項1記載の輸送用パレット。
【請求項3】
前記スリーブ部材が、板材の高さ方向に形成された溝同士を組むことにより構成されることを特徴とする請求項1記載の輸送用パレット。
【請求項4】
芯材に長尺物を巻き取ったロール状物を収納した状態で輸送することができる輸送用パレットにおいて、
フォーク穴が形成された本体部と、
前記本体部の上面に貼り付けられ又は載置された下地材と、
前記下地材を囲うように前記本体部上面に配置され、前記ロール状物の径方向の長さより高さを有するスリーブ部材と、
前記本体部の上面材と同型の基材の両面に、前記下地材と同型の板材が貼り付けられた蓋部材と、
を備え、
前記スリーブ部材を構成する対向する二対の板材のうち、少なくとも一対の板材には、前記スリーブ部材よりも高さが低い仕切り板が組まれることにより、前記ロール状物を横置きする収納部が複数形成され、
前記本体部、前記下地材、前記スリーブ部材、および前記蓋部材が段ボールで作製されていることを特徴とする輸送用パレット。
【請求項5】
前記スリーブ部材を構成する対向する二対の板材のうち、
一方の対には、前記ロール状物の径方向の長さと同間隔に前記スリーブ部材よりも高さが低い仕切り板が組まれ、
他方の対には、前記ロール状物の巻取り幅方向の長さと同間隔に前記スリーブ部材よりも高さが低い仕切り板が組まれることにより、
前記ロール状物を横置きする収納部が複数列形成されることを特徴とする請求項4記載の輸送用パレット。
【請求項6】
前記スリーブ部材が、板材の高さ方向に形成された溝同士を組むことにより構成されることを特徴とする請求項4記載の輸送用パレット。
【請求項7】
両端を残して芯材に長尺物を巻き取ったロール状物を収納する収納方法において、
前記ロール状物の径方向の長さより高さを有するスリーブ部材が、フォーク穴が形成された本体部の上面に貼り付けられ又は載置された下地材を囲うように前記本体部上面に配置され、
前記スリーブ部材を構成する板材のうち、対向する一対の板材に、前記ロール状物の径方向の長さより長い間隔で形成された切り欠きに、前記一対の板材間に前記ロール状物が架設されるように前記ロール状物の芯材の端部を載置し、
前記本体部の上面材と同型の基材の両面に、前記下地材と同型の板材が貼り付けられた蓋部材が、前記スリーブ部材上に載置されることを特徴とするロール状物の収納方法。
【請求項8】
前記本体部、前記下地材、前記スリーブ部材、および前記蓋部材が段ボールで作製されていることを特徴とする請求項7記載のロール状物の収納方法。
【請求項9】
芯材に長尺物を巻き取ったロール状物を収納する収納方法において、
前記ロール状物の径方向の長さより高さを有するスリーブ部材が、フォーク穴が形成された本体部の上面に貼り付けられ又は載置された下地材を囲うように前記本体部上面に配置され、
前記スリーブ部材を構成する板材のうち、対向する一対の板材に、前記ロール状物の径方向の長さと同間隔に、前記スリーブ部材よりも高さが低い仕切り板が組まれることにより、前記ロール状物を横置きする収納部が複数形成され、
前記収納部に前記ロール状物が収納され、
前記本体部の上面材と同型の基材の両面に、前記下地材と同型の板材が貼り付けられた蓋部材が、前記スリーブ部材上に載置されることを特徴とするロール状物の収納方法。
【請求項10】
前記本体部、前記下地材、前記スリーブ部材、および前記蓋部材が段ボールで作製されていることを特徴とする請求項9記載のロール状物の収納方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−275015(P2010−275015A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−209550(P2009−209550)
【出願日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【分割の表示】特願2009−132441(P2009−132441)の分割
【原出願日】平成21年6月1日(2009.6.1)
【特許番号】特許第4420257号(P4420257)
【特許公報発行日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(591012392)日本マタイ株式会社 (17)
【Fターム(参考)】