説明

農作業機

【課題】安定かつ精度の良い茎葉切断作業ができる農作業機を提供する。
【解決手段】農作業機は、トラクタに連結する機体を備え、機体には回転しながらビートの茎葉部を荒切りする荒切り手段を回転可能に設ける。機体には回動アーム体の前端部を回動自在に連結し、この回動アーム体の後端部にはフレーム体21を回動自在に連結する。フレーム体21の前部にはビートの残存茎葉部上を滑走するガイド体23を取り付ける。フレーム体21の後部にはビートの高さに追従するように上下動しながらビートの残存茎葉部を切断する切断刃体24を取り付ける。ガイド体23の後端と切断刃体24の前端との離間距離Lが切断刃体24の自由端部側に向うに従って徐々に長くなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定かつ精度の良い茎葉切断作業ができる農作業機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ビートを収穫する前に圃場のビートに対して茎葉切断作業を行う農作業機として、例えば歯状輪と切断刃とを備え、これら歯状輪と切断刃との間隔を調整できるようにしたビート用茎葉切断装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特公昭44−30564号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の農作業機のように歯状輪と切断刃とを備えその切断刃で圃場のビートの茎葉を切断する構成では、圃場に生育したビートの茎葉の量等によっては茎葉切断作業が不安定となりがちである。
【0004】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、安定かつ精度の良い茎葉切断作業ができる農作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1記載の農作業機は、走行車に連結される機体と、この機体に回転可能に取り付けられ、所定方向に回転しながら農作物の茎葉部を荒切りする荒切り手段と、前記機体に回動自在に連結された回動アーム体と、この回動アーム体に回動自在に連結されたフレーム体と、このフレーム体に取り付けられ、農作物の残存茎葉部上を追従するガイド体と、前記フレーム体に取り付けられ、前記ガイド体の後方位置で農作物の高さに追従するように上下動しながら農作物の残存茎葉部を切断する切断刃体とを備え、前記ガイド体の後端と前記切断刃体の前端との離間距離が、前記切断刃体の前記フレーム体側とは反対の自由端部側に向うに従って徐々に長くなっているものである。
【0006】
請求項2記載の農作業機は、請求項1記載の農作業機において、ガイド体の後端と切断刃体の前端との離間距離が調節可能となっているものである。
【0007】
請求項3記載の農作業機は、請求項2記載の農作業機において、ガイド体の後端と切断刃体の前端との離間距離は、切断刃体のフレーム体側の端部を中心とする回動調節により調節可能となっているものである。
【0008】
請求項4記載の農作業機は、請求項1ないし3のいずれか一記載の農作業機において、ガイド体は、回転しながらビートの残存茎葉部上を移動する回転部を有するものである。
【0009】
請求項5記載の農作業機は、請求項1ないし4のいずれか一記載の農作業機において、ビートの高さの増大に応じて切断刃体による切断深さが浅くなるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、農作物の茎葉部を荒切りする荒切り手段と、回動アーム体に回動自在に連結されたフレーム体と、フレーム体に取り付けられ農作物の残存茎葉部上を追従するガイド体と、フレーム体に取り付けられガイド体の後方位置で農作物の高さに追従するように上下動しながら農作物の残存茎葉部を切断する切断刃体とを備える構成であるから、安定かつ精度の良い茎葉切断作業ができ、しかも、ガイド体の後端と切断刃体の前端との離間距離が切断刃体の自由端側に向うに従って徐々に長くなっているため、切断された残存茎葉部がガイド体の後端と切断刃体の前端との間に詰まることを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の農作業機の一実施の形態を図1ないし図7を参照して説明する。
【0012】
図1および図2において、1は農作業機で、この農作業機1は、走行車であるトラクタ(図示しない)の後部の作業機昇降支持装置である3点リンク部に連結されこのトラクタの走行により圃場上を畝に沿って進行方向前方に移動しながら、ビート収穫作業の前処理として圃場の畝に生育した農作物であるビートAに対して茎葉切断作業を行うビート用茎葉切断装置(追従型茎葉切断装置)である。
【0013】
農作業機1は、トラクタの後部の3点リンク部に連結される機体2を備えている。機体2には、トラクタの図示しないPTO軸にシャフトおよびユニバーサルジョイント等を介して連結される入力軸3からの動力を伝動手段(図示せず)を介して受けて左右方向の回転中心軸線を中心として所定方向に回転しながらビートAの茎葉部A1を荒切り砕断する荒切り手段4が回転可能に取り付けられている。荒切り手段4は、左右方向に長手状の回転軸5を有し、この回転軸5の外周側には複数のフレール式、例えばL字状またはカップ状の刈刃6が取り付けられている。
【0014】
また、機体2は、上下方向に長手状で後方に向って開口した断面略コ字状をなす左右2つのフレーム保持部8と、各フレーム保持部8に上下位置調節可能に取り付けられたフレーム部9とを有している。フレーム保持部8には複数の取付用孔10が形成され、これら複数の取付用孔10の中から選択された取付用孔10に挿入された取付具11によってフレーム部9がフレーム保持部8に脱着可能に取り付けられている。取付具11を挿入する取付用孔10の変更によりフレーム保持部8に対してフレーム部9の上下位置が調節可能となっている。
【0015】
そして、機体2の左右のフレーム部9の各々には、回動アーム体15の前端部が左右方向の軸16を介して回動自在に連結されている。回動アーム体15は、例えば互いに平行な平行リンク17a,17bにて構成され、片方のリンク17aが角度調節手段であるターンバックル18にて構成されている。
【0016】
また、回動アーム体15の後端部には、略板状のフレーム体21が左右方向の軸22を介して回動自在に連結されている。
【0017】
そして、図3および図4に示すように、フレーム体21の前部には、荒切り手段4の後方位置でビートAの残存茎葉部A2上を追従(移動)、例えば滑走するそり体等のガイド体23が上下位置調節可能に取り付けられている。また、フレーム体21の後部には、ガイド体23の後方位置で、ビートAの高さつまりビートAの畝上面(圃場面である地面)からの突出量に追従するように回動アーム体15の上下回動に伴ってフレーム体21およびガイド体23とともに上下動しながら、ビートAの残存茎葉部(例えば残存茎葉と本体部頭部とからなる部分)A2を切断除去する略板状の切断刃体24が取り付けられている。
【0018】
ここで、フレーム体21の前部には上下方向にやや長手状の取付用長孔31が形成され、この取付用長孔31に挿入された取付具32によってガイド体23がフレーム体21に脱着可能に取り付けられている。取付具32の取付用長孔31における挿入位置の変更によりフレーム体21に対してガイド体23の上下位置が調節可能となっている。
【0019】
ガイド体23は、取付具32にてフレーム体21に取り付けられた取付板部33を有し、この取付板部33からは下方に向って開口した断面略コ字状のアーム部34が横斜め後方に向って水平状に突出している。アーム部34には、垂直面に略沿った複数、例えば6枚のそり板部としてのガイド板部35が互いに間隔をおいて並設され、各ガイド板部35は作業時にビートAの残存茎葉部A2上を滑走する。そして、作業時にガイド体23がビートAの残存茎葉部A2上に円滑に順次乗り上がるようにそのガイド体23のガイド板部35の前縁部が略円弧状に形成されている。
【0020】
なお、ここでいう略円弧状の形状には、曲率半径100mm以上の円弧形状、曲率半径100mm以上の円弧に類似する曲線形状、曲率半径100mm以上の円弧に類似した直線を含む形状等が含まれる。また、隣合うガイド板部35間の間隔は55mm以下であることが好ましい。また、ガイド板部35をアーム部34に左右位置調節可能に取り付けてもよい。
【0021】
一方、切断刃体24は、例えば細長い矩形板状の刃部41にて構成され、この刃部41の一端側がフレーム体21の水平板状の被取付部42の下面に連結手段43を介して回動調節可能に取り付けられ、この刃部41の他端部が自由端部となっている。
【0022】
そして、図4に示すように、平面視でガイド体23のガイド板部35の後端と切断刃体24の刃部41の前端との前後の離間距離Lが切断刃体24の刃部41の自由端部側に向うに従って徐々に長くなっている。また、そのガイド体23のガイド板部35の後端と切断刃体24の刃部41の前端との離間距離Lは、刃部41をこの刃部41の一端側の連結部材43を中心として回動調節することによって調節可能となっている。すなわち、各ガイド板部35の後端を結んだ線と刃部41の前端に沿った線とのなす角度θが平面視で所定範囲内において調節可能となっている。
【0023】
また、図5に示すように、切断刃体24の刃部41は、例えば作業時に水平面である畝上面(地面)に対して前下り状に傾斜した状態、例えば角度αをもった前下り傾斜状態で、ビートAの残存茎葉部A2を切断除去する。すなわち例えば図3に示されるように、切断刃体24の刃部41の長手方向に沿った前端部で切断された残存茎葉部A2は、刃部41上をこの刃部41の長手方向に沿うように側方に向って移動し、ビートAの本体部上方位置から除去される。なお、切断刃体24の刃部41の水平面に対する角度αは、回動アーム体15のターンバックル18の長さの変更により所定範囲、例えば10°以内において調節可能となっている。なお、切断刃体24の刃部41を水平にすることも可能である。
【0024】
また一方、農作業機1は、ガイド体23を上方に向けて付勢してガイド体23の重量を軽くする重量サポート用付勢手段51を備えている。重量サポート用付勢手段51は、例えば機体2のフレーム部9に対してフレーム体21を持ち上げてガイド体23を上方へ付勢するコイル状の引張ばね52にて構成されている。引張ばね52の一端部が機体2のフレーム部9の上端部に形成されたばね連結部9aに連結され、引張ばね52の他端部がターンバックル18のフレーム体21側の端部に形成されたばね連結部18aに連結されている。
【0025】
なお、回動アーム体(平行リンク)15、フレーム体21、ガイド体23および切断刃体24にて追従切断手段50が構成され、農作業機1が左右対称に配設された2つの追従切断手段50を備えている。
【0026】
また、農作業機1はフレーム体21の側方に位置し畝間を走行する左右一対の接地輪55を備え、接地輪55は機体2の接地輪取付部56に回転可能に取り付けられている。
【0027】
次に、上記農作業機1の動作等を説明する。
【0028】
圃場に生育したビートAをビートハーベスター(図示せず)を使用して収穫する場合、まず、農作業機1を用いて圃場のビートAに対して茎葉切断処理を行う。
【0029】
農作業機1をトラクタの後部に連結し、農作業機1をトラクタの走行により圃場上を畝に沿って進行方向に向けて移動させると、荒切り手段4の刈刃6にてビートAの茎葉部A1が荒切り砕断される。
【0030】
荒切り手段4の進行方向後方では、上下可動連結部としての回動アーム体15の平行リンク17a,17bにて上下動可能に支持された切断刃体24が、ビートAの高さに追従するように上下動しながら、圃場のビートAの残存茎葉部A2を切断除去する。
【0031】
すなわち、平行リンク17a,17bに連結したフレーム体21に取り付けられたガイド体23が、ビートAの残存茎葉部A2上を滑走するため、平行リンク17a,17bがビートAの高さに応じて回動してフレーム体21が上下動し、その結果、フレーム体21に取り付けられた切断刃体24がフレーム体21およびガイド体23とともに上下動しながら、ビートAの残存茎葉部A2を切断する。
【0032】
そして、この切断刃体24の刃部41の前縁部で切断された残存茎葉部A2は、刃部41上をこの刃部41の長手方向に沿うように外側方に向って移動し、ビートAの本体部上方位置から除去され、隣合う畝間の溝に落下する。このため、圃場のビートAが切断された茎葉にて覆い隠された状態となるような不具合が生じにくい。
【0033】
その後、ビートハーベスター(図示せず)を圃場の畝に沿って移動させることにより、茎葉切断処理済みのビートAを収穫する。
【0034】
そして、このような農作業機1によれば、ビートAの茎葉部A1を荒切り破断する荒切り手段4と、機体2に前端側が回動自在に連結された回動アーム体15を構成する平行リンク17a,17bと、平行リンク17a,17bの後端側に回動自在に連結されたフレーム体21と、フレーム体21に取り付けられビートAの残存茎葉部A2上を滑走するガイド体23と、フレーム体21に取り付けられガイド体23の後方位置でビートAの高さに追従するように上下動しながらビートAの残存茎葉部A2を切断する切断刃体24とを備える構成であるから、構成が簡単であるばかりでなく、安定かつ精度の良い茎葉切断作業ができる。
【0035】
しかも、ガイド体23のガイド板部35の後端と切断刃体24の刃部41の前端との離間距離Lが切断刃体24の刃部41の自由端側に向うに従って徐々に長くなっているため、切断された残存茎葉部A2がガイド体23のガイド板部35の後端と切断刃体24の刃部41の前端との間に詰まることを抑制でき、よって、より一層精度良く茎葉切断作業を行うことができる。
【0036】
また、ガイド体23のガイド板部35の後端と切断刃体24の刃部41の前端との離間距離Lを調節できるため、ビートAの生育状況等の圃場状態に適切に対応できる。
【0037】
さらに、機体2のフレーム保持部8に対してフレーム部9の上下位置を調節することができるため、機体2に対して追従切断手段50の上下位置を簡単に調節でき、ビートAの生育状況等の圃場状態や、作業状況等に適切に対応することができる。
【0038】
また、フレーム体21に対してガイド体23の上下位置を調節できるため、作業状況等に合わせて切断刃体24の刃部41による切断位置、つまりガイド体23と切断刃体24との間の上下の距離(切断深さ)を調節でき、所望の仕上げ状態にすることができる。
【0039】
さらに、切断刃体24の刃部41の水平面に対する角度、つまり切断刃体24の刃部41の迎角を調節できるため、作業状況等に合わせて切断時の抵抗や切断跡を調節でき、切断時の倒しを少なくできるとともに、切断跡をきれいにできる。
【0040】
また、荒切り手段4の後方でビートAの残存茎葉部A2上を滑走するガイド体23がビートAの残存茎葉部A2上に円滑に乗り上がるようにそのガイド体23のガイド板部35の前縁部が略円弧状に形成されているため、ガイド体23の滑走がスムーズとなり、切断作業の安定化を向上できる。
【0041】
さらに、ガイド体23を上方に向けて付勢する重量サポート用付勢手段51を備えるため、ガイド体23とビートAの残存茎葉部A2との接触圧を低減でき、切断作業の安定化を向上できる。
【0042】
また、切断刃体24の刃部41にてビートAの残存茎葉部A2を切断でき、その切断した残存茎葉部A2を側方に向けて案内してビートA上から除去できるため、ビートハーベスターによる次工程のビート収穫作業を効率良く行うことができ、ビートハーベスターの作業性の向上を図ることもできる。
【0043】
さらに、追従切断手段50を保持するフレーム部9が機体2のフレーム保持部8に対して脱着可能で、かつ接地輪55を保持する接地輪取付部56が機体2の角パイプ部(フレーム)40に対して脱着可能となっているため、追従切断手段50および接地輪55等を機体2から取り外すことにより、農作業機1を通常のフレームモアとして使用することができる。
【0044】
また、図6および図7に示すように、2つのフレーム保持部8の角パイプ部40に対する取付位置をそれぞれ変えることにより、切断された残存茎葉部A2を左右一対の切断刃体24の内側方に排出するようにすることもできる。
【0045】
なお、上記実施の形態では、ガイド体23が垂直面に略沿った複数のガイド板部35を有する構成について説明したが、例えば図8および図9に示すように、ガイド体23が回転しながらビートAの残存茎葉部A2上を移動する略円筒状のローラ部(回転部)61を有する構成でもよい。
【0046】
図8および図9に示すガイド体23は、取付具32にてフレーム体21に取り付けられた取付板部62を有し、この取付板部62からアーム部63が横斜め後方に向って水平状に突出している。このアーム部63には互いに離間対向する一対の支持板部64が設けられ、これら両支持板部64にてローラ部61が左右水平方向の軸部65を中心として回転可能に支持されている。
【0047】
そして、この構成にすれば、ガイド体23が回転しながらビートAの残存茎葉部A2上を移動するローラ部61を有するため、ガイド体23のスムーズな移動を実現でき、トラクタにかかる負荷を低減できる。なお、図8および図9に示す構成では、切断刃体24の刃部41の一端側がフレーム体21の水平板状の被取付部42の下面に固定具67にて固着されている。なお、図示しないがモータ等の駆動手段でローラ部61を強制回転させるようにしてもよい。
【0048】
また、図10および図11に示すように、ガイド体23が、垂直面に略沿った状態に配設され回転しながらビートAの残存茎葉部A2上を移動する複数、例えば6枚の回転円板部(回転部)71を有する構成でもよい。
【0049】
図10および図11に示すガイド体23は、取付具32にてフレーム体21に取り付けられた取付板部72を有し、この取付板部72から角筒状のアーム部73が横斜め後方に向って水平状に突出している。また、このアーム部73の等間隔をおいた6箇所の位置から支持板部74が下方に向って突出し、各支持板部74の下端部に略円形状の回転円板部71が左右水平方向の軸部75を中心として回転可能に取り付けられている。
【0050】
そして、この構成にすれば、ガイド体23が回転しながらビートAの残存茎葉部A2上を移動する回転円板部71を有するため、ガイド体23のスムーズな移動を実現でき、トラクタにかかる負荷を低減できる。なお、図10および図11に示す構成では、切断刃体24の刃部41の一端側がフレーム体21の水平板状の被取付部42の下面に固定具67にて固着されている。なお、図示しないがモータ等の駆動手段で回転円板部71を強制回転させるようにしてもよい。
【0051】
さらに、図12および図13を示す追従切断手段50を備えた構成とすることもできる。
【0052】
図12および図13を示す追従切断手段50は、ビートAの高さの増大に応じて切断刃体24による切断深さが浅くなる構成となっている。
【0053】
この追従切断手段50では、機体2のフレーム部9に回動アーム体15の前端部が左右方向の軸16を介して回動自在に連結されている。回動アーム体15は、側面視略く字状をなす互いに平行な平行リンク81a,81bにて構成され、片方のリンク81aの一部が角度調節手段であるターンバックル82にて構成されている。
【0054】
そして、回動アーム体15の後端側には第1フレーム83が左右方向の軸84を介して回動自在に連結され、この第1フレーム83の下部に荒切り手段4の後方位置でビートAの残存茎葉部A2上を移動、例えば滑走するそり体等のガイド体23が取り付けられている。
【0055】
また、回動アーム体15の後端側には第2フレーム85が左右方向の軸86を介して回動自在に連結され、この第2フレーム85の下部にガイド体23の後方位置でビートAの高さつまりビートAの畝上面(圃場面である地面)からの突出量に追従するように回動アーム体15の上下回動に伴ってフレーム体21およびガイド体23とともに上下動しながらビートAの残存茎葉部(例えば残存茎葉と本体部頭部とからなる部分)A2を切断除去する略板状の切断刃体24が取り付けられている。なお、フレーム体21は、第1フレーム83と第2フレーム85とにて構成されている。
【0056】
そして、ガイド体23のガイド板部35と切断刃体24の刃部41との上下の間隔は一定ではなく、ビートAの高さの増大に応じて切断刃体24の刃部41による切断深さが浅くなるようになっている。すなわち例えば、圃場に生育したビートAの高さの増大により回動アーム体15が上方に回動して角度β1が角度β2になると、ガイド体23のガイド板部35と切断刃体24の刃部41との上下の間隔がS1からS2(<S1)になり、切断刃体24の刃部41による切断深さが浅くなる。
【0057】
このように図12および図13を示す構成では、ビートAの高さの増大に応じて切断刃体24による切断深さが浅くなるようになっているため、比較的大きなビートAに対して浅く切断でき、比較的小さなビートAに対して深く切断でき、よって、ビートAの調製作業の容易化を図ることができる。
【0058】
なお、図示しないが、いずれの実施の形態においても、農作業機1は、左右対称の2つの追従切断手段50を備えた構成には限定されず、追従切断手段50を1つ備えた構成や、追従切断手段50を3つ以上備えた構成等でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施の形態に係る農作業機の側面図である。
【図2】同上農作業機の背面図である。
【図3】同上農作業機の追従切断手段の平面図である。
【図4】同上農作業機の追従切断手段の平面図である。
【図5】同上農作業機の追従切断手段の側面図である。
【図6】同上農作業機の背面図である。
【図7】同上農作業機の追従切断手段の平面図である。
【図8】本発明の他の実施の形態に係る農作業機の追従切断手段の平面図である。
【図9】同上追従切断手段の正面図である。
【図10】本発明のさらに他の実施の形態に係る農作業機の追従切断手段の側面図である。
【図11】同上追従切断手段の正面図である。
【図12】本発明のさらに他の実施の形態に係る農作業機の追従切断手段の側面図である。
【図13】同上追従切断手段の回動アーム体が上方へ回動した際の側面図である。
【符号の説明】
【0060】
1 農作業機
2 機体
4 荒切り手段
15 回動アーム体
21 フレーム体
23 ガイド体
24 切断刃体
A 農作物であるビート
A1 茎葉部
A2 残存茎葉部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車に連結される機体と、
この機体に回転可能に取り付けられ、所定方向に回転しながら農作物の茎葉部を荒切りする荒切り手段と、
前記機体に回動自在に連結された回動アーム体と、
この回動アーム体に回動自在に連結されたフレーム体と、
このフレーム体に取り付けられ、農作物の残存茎葉部上を追従するガイド体と、
前記フレーム体に取り付けられ、前記ガイド体の後方位置で農作物の高さに追従するように上下動しながら農作物の残存茎葉部を切断する切断刃体とを備え、
前記ガイド体の後端と前記切断刃体の前端との離間距離が、前記切断刃体の前記フレーム体側とは反対の自由端部側に向うに従って徐々に長くなっている
ことを特徴とする農作業機。
【請求項2】
ガイド体の後端と切断刃体の前端との離間距離が調節可能となっている
ことを特徴とする請求項1記載の農作業機。
【請求項3】
ガイド体の後端と切断刃体の前端との離間距離は、切断刃体のフレーム体側の端部を中心とする回動調節により調節可能となっている
ことを特徴とする請求項2記載の農作業機。
【請求項4】
ガイド体は、回転しながら農作物の残存茎葉部上を追従する回転部を有する
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一記載の農作業機。
【請求項5】
農作物の高さの増大に応じて切断刃体による切断深さが浅くなる
ことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一記載の農作業機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−185125(P2007−185125A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4742(P2006−4742)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(000188009)松山株式会社 (285)
【Fターム(参考)】