説明

農作物販売装置

【課題】 生育中の農作物を販売することができる農作物販売装置を提供する。
【解決手段】
農作物販売装置は、生育中の農作物を収容し、当該農作物の栽培を行うことが可能なように構成された収容部1aを備えており、その収容部1a内には、収容部1aに収容された農作物の生育状態の判定の基準になる基準情報を表示するスケール16が設けられている。利用者から所定額の金銭の投入が受け付けられた場合に、農作物販売装置は、収容部1aの扉10を開放することによって、利用者が収容部1aから農作物を取り出すことができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の農作物を販売する農作物販売装置に関し、特に収穫前であって生育中の農作物を販売する農作物販売装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、野菜及び果物等の各種の農作物を販売するための自動販売機として種々のものが提案されている。例えば、特許文献1には、収穫後の農作物を内部に収納し、2種類の外形寸法に形成された複数個の収納箱と、その複数個の収納箱を任意に組み合わせた状態で格納する収納本体とを備える自動販売機が開示されている。この自動販売機によれば、収納箱の外形寸法が2種類あるため、大きさ及び価格等の異なる複数種類の農作物を同時に販売することが可能となる。
【0003】
また、特許文献2には、収穫後の農作物を内部に収納し、少なくとも全面に販売物を取り出すための取出扉を備えた収納部を複数備え、この収納部を複数上下に段積み自在とした自動販売機が開示されている。この自動販売機によれば、収納部を適宜レイアウトすることによって、コンパクト性を高めることが可能になる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−40458号公報
【特許文献2】特開2000−123244号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、農作物の場合、収穫後は、時間の経過とともに新鮮さが急速に失われていくという特殊性を有している。そのため、上述した従来の自動販売機のように、収穫後の農作物の販売を行うこととすると、すぐに販売対象の農作物の品質が低下してしまうため、購入者が新鮮な農作物を取得することが困難であるという問題がある。
【0006】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、収穫前であって生育中の農作物を販売対象物とすることができる農作物販売装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するために、本発明の一の態様の農作物販売装置は、生育中の農作物を収容し、当該農作物の栽培を行うことが可能なように構成された収容部と、金銭の投入を受け付ける受付手段と、前記収容部に収容された農作物の生育状態の判定の基準になる基準情報を表示する基準情報表示手段とを備え、前記受付手段によって所定額の金銭の投入が受け付けられた場合に、前記収容部から前記農作物を取り出すことができるように構成されている。
【0008】
この態様の農作物販売装置において、前記基準情報表示手段が、当該収容部に収容された農作物の表面の色と比較するための色情報を表示するように構成されていてもよい。この場合に、前記基準情報表示手段が、農作物の生育状態に応じた複数の色情報を表示するように構成されていてもよい。
【0009】
また、前記態様の農作物販売装置において、前記基準情報表示手段が、当該収容部に収容された農作物の大きさを計測するためのスケールであってもよい。
【0010】
また、前記態様の農作物販売装置が、前記収容部に収容された農作物の重量を計測する重量計測手段をさらに備え、前記基準情報表示手段が、前記重量計測手段により計測された前記農作物の重量を表示するように構成されていてもよい。
【0011】
また、前記態様の農作物販売装置において、前記基準情報表示手段が、前記収容部に収容された農作物の生育期間を表示するように構成されていてもよい。
【0012】
また、前記態様の農作物販売装置が、前記収容部に収容された農作物の熟度を計測する熟度計測手段をさらに備え、前記基準情報表示手段が、前記熟度計測手段により計測された前記農作物の熟度を表示するように構成されていてもよい。
【0013】
また、前記態様の農作物販売装置が、前記収容部に収容された農作物の糖度を計測する糖度計測手段をさらに備え、前記基準情報表示手段が、前記糖度計測手段により計測された前記農作物の糖度を表示するように構成されていてもよい。
【0014】
また、前記態様の農作物販売装置において、前記基準情報表示手段が、農作物の種類に応じて異なる基準情報を表示するように構成されていてもよい。
【0015】
また、前記態様の農作物販売装置において、前記基準情報表示手段が、農作物の生育状態に応じて異なる基準情報を表示するように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る農作物販売装置によれば、収穫前であって生育中の農作物を販売対象物とすることができるため、購入者は新鮮な状態の農作物を得ることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態1に係る農作物販売装置の外観構成を示す斜視図。
【図2】本発明の実施の形態1に係る農作物販売装置の収容部に設けられた扉が開放された場合における当該収容部の構成を示す斜視図。
【図3】本発明の実施の形態1に係る農作物販売装置の構成を示すブロック図。
【図4】本発明の実施の形態2に係る農作物販売装置の収容部に設けられた扉が開放された場合における当該収容部の構成の一例を示す斜視図。
【図5】本発明の実施の形態2に係る農作物販売装置の収容部に設けられた扉が開放された場合における当該収容部の構成の他の例を示す斜視図。
【図6】本発明の実施の形態3に係る農作物販売装置の外観構成を示す斜視図。
【図7】本発明の実施の形態3に係る農作物販売装置の構成を示すブロック図。
【図8】本発明の実施の形態4に係る農作物販売装置の構成を示すブロック図。
【図9】本発明の実施の形態4に係る農作物販売装置が記憶する生育期間データのデータ構造の例を示す図。
【図10】本発明の実施の形態5に係る農作物販売装置の構成を示すブロック図。
【図11】本発明の実施の形態6に係る農作物販売装置の収容部に設けられた扉が開放された場合における当該収容部の構成を示す斜視図。
【図12】本発明の実施の形態6に係る農作物販売装置の構成を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0019】
(実施の形態1)
実施の形態1の農作物販売装置は、販売対象物である農作物の生育状態を判定するための基準になる基準情報を表示する手段として、農作物の大きさを計測するためのスケールを備える装置である。以下、本実施の形態の農作物販売装置の構成及びその使用方法について説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態1に係る農作物販売装置の外観構成を示す斜視図である。図1に示すように、農作物販売装置1は、全体として略直方体形状をなしており、販売対象物である生育中の農作物が格納される収容部1aと、各種のデバイスの制御を行うための制御装置1bとを備えている。
【0021】
収容部1aは、直方体形状の筐体を有しており、その前面には扉10が設けられている。この扉10は、左端の一側縁部に図示しないヒンジを介して接続されており、このヒンジによって回動可能とされている。扉10には、プラスチック、ガラス又は合成樹脂製の透明な窓部10aが設けられており、扉10が閉じた状態であっても、この窓部10aを通して、収容部1aの内部が視認可能となっている。この扉10は、後述する扉開閉機構によって開閉動作が制御される。扉10が閉鎖されている場合、収容部1aの内部空間が気密状態に保持される。農作物を栽培している間は、扉10を閉鎖しておくことによって、収容部1a内を無菌状態に保つことができる。なお、扉10が開放状態及び閉鎖状態の何れの状態にあるかは、扉開閉機構に設けられている開閉センサによって検知される。
【0022】
制御装置1bは、細長の直方体形状の筐体を有しており、その前面には、購入ボタン11、金額表示部12、金銭投入部13及び釣銭返却口14が上からこの順に設けられている。ここで、購入ボタン11は、押しボタン式のスイッチで構成されており、利用者はこの購入ボタン11を押下することにより農作物の購入を行う。金額表示部12は、液晶ディスプレイで構成されており、利用者によって投入された金銭の合計額を表示する。金銭投入部13は、硬貨の投入を受付可能な硬貨投入部13aと、その下方に設けられた紙幣の投入を受付可能な紙幣投入部13bとで構成されている。この金銭投入部13に金銭が投入された場合にその合計額が金額表示部12に表示される。また、釣銭が生じたときは、その釣銭が釣銭返却口14に戻される。
【0023】
図2は、扉10が開放された場合における収容部1aの構成を示す斜視図である。図2に示すとおり、収容部1aの内部には、養液栽培に用いられる養液50が扉10の下端よりも低い位置まで充填されている。この養液50の液面には矩形板状の発泡樹脂製の台座51が浮いており、この台座51上には、ミズナ、ホウレンソウ又はレタス等の葉菜類の若い葉である販売対象物のベビーリーフLが載置されている。なお、ベビーリーフLの根は、台座51に設けられた開口部を貫通して台座51の下面側に伸びている。ここで、ベビーリーフLは例示であって、他の農作物が販売対象物として収容部1a内に格納されていてもよいことは勿論である。
【0024】
収容部1a内の左端の略中央位置には、台座51上の農作物の高さを計測するための目盛りが設けられた細長板状のスケール16が立設されている。農作物販売装置1の利用者は、扉10が閉鎖された状態において、窓部10aを通して収容部1a内に設けられたスケール16の目盛りを確認し、台座51上の農作物の高さを計測することができる。なお、本実施の形態では、垂直方向の長さを計測するためのスケールが設けられているが、これに代えて又はこれと共に、水平方向の長さを計測するためのスケールが設けられていてもよい。これにより、台座51上の農作物の幅を計測することが可能になる。
【0025】
収容部1aの天井面の内側には、二本の蛍光灯17,17が設けられている。これらの蛍光灯17,17は、収容部1a内を照らす照明具として機能し、これらの蛍光灯17,17の光を利用して収容部1a内の農作物は光合成を行うことになる。なお、蛍光灯の代わりに、発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)等を照明具として用いてもよい。
【0026】
収容部1aの奥側面の上側には、空気を通流させるための空気送出管18a及び空気排出管18bが後方へ延設されている。これらの空気送出管18a及び空気排出管18bは、収容部1aの後方に設けられたエアーポンプ(図示せず)と連通されており、このエアーポンプの作用により、空気送出管18a及び空気排出管18bを介して収容部1a内の空気が循環する。また、同様にして、収容部1aの奥側面の下側には、養液を通流させるための養液送出管19a及び養液排出管19bが後方へ延設されている。これらの養液送出管19a及び養液排出管19bは、収容部1aの後方に設けられた養液タンク(図示せず)と連通されており、この養液タンクから供給される養液が養液送出管19a及び養液排出管19bを介して収容部1a内を循環する。
【0027】
図3は、本発明の実施の形態1に係る農作物販売装置1の構成を示すブロック図である。図3に示すように、本実施の形態の農作物販売装置1は、CPU等で構成された制御部20、その制御部20に接続された記憶部21及び入出力インタフェース(I/F)22を具備している。なお、これらの制御部20、記憶部21及び入出力I/F22はバスによって接続されている。
【0028】
制御部20は、ROM及びRAM等により構成された記憶部21に記憶されている各種のプログラムを実行する。また、制御部20は、入出力I/F22に接続されている各種のデバイスの動作を制御する。
【0029】
入出力I/F22は、制御部20と各種の外部装置とを接続するためのインタフェース装置である。この入出力I/F22には、上述した購入ボタン11、金額表示部12、金銭投入部13、及び扉開閉機構30等が接続されている。これらの各デバイスは、入出力I/F22を介して、制御部20から動作制御信号を受ける。
【0030】
上述したように構成された農作物販売装置1は、収容部1a内の農作物に適した生育条件を保つように、収容部1a内の温度を測定するための温度センサ(図示せず)の測定値等に基づいて、蛍光灯17,17の点灯/消灯、並びに空気及び養液の循環を制御する。予め設定された時刻に蛍光灯17,17の点灯/消灯を行ったり、また、空気及び養液の循環を常時行ったりしてもよい。このようにして、収容部1a内で農作物の養液栽培を行うことが可能になる。
【0031】
農作物販売装置1による農作物の販売は次のようにして行われる。まず、利用者は、窓部10aを通して収容部1a内の農作物を観察し、購入するか否かを検討する。この際、利用者は、その農作物の生育状態を判定するために、収容部1a内に設けられているスケール16を用いて当該農作物の高さを計測する。これにより農作物の高さの実測値を得ることができるため、利用者は、その農作物の生育状態の良否等を判定することが容易になる。
【0032】
なお、このスケール16の周辺又は収容部1aの扉10の前面等に、生育状態が良好な場合の農作物の高さの平均値等を印刷した印刷物等を設けるようにしてもよい。この場合、利用者は、より一層容易に農作物の生育状態の判定を行うことが可能になる。
【0033】
農作物の生育状態を判定した後に、その農作物の購入を決定した場合、利用者は、金銭投入部13に対して所定額の金銭を投入し、購入ボタン11を押下する。農作物販売装置1の制御部20は、利用者から受け付けた金銭の合計が所定額であることを確認した後、扉開閉機構30に対して扉10を開放するよう指示する。その結果、扉10が開放状態となり、利用者は収容部1a内の農作物を取り出すことができる。
【0034】
(実施の形態2)
実施の形態2の農作物販売装置は、販売対象物である農作物の生育状態を判定するための基準になる基準情報を表示する手段として、実施の形態1におけるスケールの代わりに、農作物の色情報を示す色情報表示板を備える装置である。
【0035】
図4は、本発明の実施の形態2に係る農作物販売装置の収容部に設けられた扉が開放された場合における当該収容部の構成の一例を示す斜視図である。図4に示すとおり、本実施の形態の農作物販売装置が備える収容部2a内の左端の略中央位置には、細長板状の色情報表示板60が立設されている。この色情報表示板60には、農作物の生育状態が良好な場合の当該農作物の表面の色が印刷された色情報領域60aが貼付されている。なお、本実施の形態の農作物販売装置のその他の構成については実施の形態1の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0036】
利用者は、窓部10aを通して収容部2a内の農作物を観察し、購入するか否かを検討する。この際、利用者は、その農作物の生育状態を判定するために、収容部2a内に設けられている色情報表示板60の色情報領域60aの色と、当該農作物の表面の色とを比較する。ここで、両方の色が類似している場合は、収容部2aに収容されている農作物の生育状態が良好であると推測される一方、類似していない場合は、当該農作物の生育状態が良好ではないと考えられる。このようにして、利用者は、色情報表示板60を用いることにより、収容部2aに収容された農作物の生育状態の良否等を判定することができる。
【0037】
農作物の生育状態を判定した後に、その農作物の購入を決定した場合、利用者は、金銭投入部13に対して所定額の金銭を投入し、購入ボタン11を押下する。その結果、実施の形態1の場合と同様に本実施の形態の農作物販売装置の制御部が扉開閉機構に対して扉10を開放するよう指示する。これにより、扉10が開放状態となり、利用者は収容部2a内の農作物を取り出すことができる。
【0038】
なお、上記の例では色情報領域が一つのみ設けられているが、以下のように、これを複数設けることも可能である。図5は、本発明の実施の形態2に係る農作物販売装置の収容部に設けられた扉が開放された場合における当該収容部の構成の他の例を示す斜視図である。図5に示すとおり、収容部2a内の左端の略中央位置に立設された細長板状の色情報表示板61には、上から順に、第1色情報領域61a、第2色情報領域61b及び第3色情報領域61cが貼付されている。これらの、第1色情報領域61a、第2色情報領域61b及び第3色情報領域61cは、農作物の生育状態に応じた色がそれぞれ印刷されている。具体的には、例えば第1色情報領域61aには農作物の生育状態が良好な場合の当該農作物の表面の色が印刷され、第2色情報領域61bには生育状態が普通である場合の当該農作物の表面の色が印刷され、第3色情報領域61cに生育状態が不良な場合の当該農作物の表面の色が印刷されている。
【0039】
利用者は、窓部10aを通して収容部2a内の農作物を観察し、購入するか否かを検討する。この際、利用者は、その農作物の生育状態を判定するために、収容部2a内に設けられている色情報表示板60の第1色情報領域61a、第2色情報領域61b及び第3色情報領域61cの色と、当該農作物の表面の色とを比較する。ここで、利用者は、第1色情報領域61a、第2色情報領域61b及び第3色情報領域61cの色の中から、収容部2a内の農作物の表面の色と最も類似するものを選び、これにより当該農作物の生育状態が良好、普通及び不良の何れであるのかを判定する。このようにして、利用者は、色情報表示板61を用いることにより、収容部2aに収容された農作物の生育状態の良否等を判定することができる。
【0040】
(実施の形態3)
実施の形態3の農作物販売装置は、販売対象物である農作物の生育状態を判定するための基準になる基準情報を表示する手段として、実施の形態1におけるスケールの代わりに、農作物の重量を表示するディスプレイを備える装置である。
【0041】
図6は、本発明の実施の形態3に係る農作物販売装置の外観構成を示す斜視図である。また、図7は、同じく農作物販売装置の構成を示すブロック図である。
図6に示すとおり、本実施の形態の農作物販売装置3は、実施の形態1の場合と同様に構成された収容部1aと、各種のデバイスの制御を行うための制御装置3bとを備えている。制御装置3bの前面には、購入ボタン11の上方に液晶ディスプレイで構成されたディスプレイ70が設けられている。このディスプレイ70は、所定の文字及び数字を表示することができる。
【0042】
図7に示すように、上記のディスプレイ70は入出力I/F22と接続されており、この入出力I/F22を介して制御部20から動作制御信号を受け、これにしたがって文字及び数字を表示する。また、図7に示すとおり、この入出力I/F22にはさらに、台座51上の農作物の重量を測定するための重量センサ71が接続されている。この重量センサ71は、例えば台座51の沈み量を測定するセンサで構成されており、そのセンサの測定値に基づいて農作物の重量を算出する。
なお、実施の形態3の農作物販売装置3のその他の構成については、実施の形態1の場合と同様であるので、同一符号を付して説明を省略する。
【0043】
制御部20は、農作物の重量の計測処理の実行を指示するための動作制御信号を、重量センサ71に対して所定の時間間隔で繰り返し出力する。その結果、重量センサ71によって、収容部1aに収容された農作物の重量計測が繰り返し実行され、これにより得られた農作物の重量値を示す重量信号が制御部20に対して出力される。制御部20は、重量センサ71から重量信号を受け取る都度、その重量信号で示される農作物の重量値を表示するようにディスプレイ70に指示する。これにより、ディスプレイ70には、収容部1a内の農作物の重量値が表示され、これが適宜更新されることになる。
【0044】
利用者は、窓部10aを通して収容部1a内の農作物を観察し、購入するか否かを検討する。この際、利用者は、その農作物の生育状態を判定するために、ディスプレイ70に表示されている収容部1a内の農作物の重量値を確認する。これにより収容部1a内の農作物の重量値を知ることができるため、利用者は、その農作物の生育状態の良否等を判定することが容易になる。
【0045】
なお、このディスプレイ70の周辺等に、生育状態が良好な場合の農作物の重量の平均値等を印刷した印刷物等を設けるようにしてもよい。この場合、利用者は、より一層容易に農作物の生育状態の判定を行うことが可能になる。
【0046】
(実施の形態4)
実施の形態4の農作物販売装置は、販売対象物である農作物の生育状態を判定するための基準になる基準情報を表示する手段として、実施の形態1におけるスケールの代わりに、農作物の生育期間を表示するディスプレイを備える装置である。
【0047】
図8は、本発明の実施の形態4に係る農作物販売装置の構成を示すブロック図である。図8に示すとおり、本実施の形態の農作物販売装置4が備える記憶部21には、収容部に設けられた農作物の生育期間(収容部内で生育を開始してから現在に至るまでの期間)に関する生育期間データ21Aが記憶されている。なお、実施の形態4の農作物販売装置4のその他の構成については、重量センサを設けていないこと以外は実施の形態3の場合と同様であるので、同一符号を付して説明を省略する。以下、適宜図6も参照しながら説明する。
【0048】
図9は、本発明の実施の形態4に係る農作物販売装置が記憶する生育期間データのデータ構造の例を示す図である。図9に示すとおり、生育期間データ21Aは、収容部1a内で農作物の生育が開始された日時を示す生育開始日時が格納される生育開始日時フィールド201と、現在日時が格納される現在日時フィールド202と、現在日時と生育開始日時との差である生育期間が格納される生育期間フィールド203と、統計データ等に基づいて推定された購入に最適な生育期間(すなわち、生育状態が良好となる確率が比較的高い生育期間)を表す標準期間が格納される標準期間フィールド204とを有している。この標準期間フィールド204に格納される標準期間は、農作物の種類に応じて適宜設定される。
【0049】
制御部20は、30分毎等の適宜のタイミングで、現在日時フィールド202及び生育期間フィールド203に格納される情報を繰り返し更新する。そして、制御部20は、その更新の都度、更新後の生育期間を、標準期間フィールド204に格納されている標準期間と対応付けて表示するようにディスプレイ70に指示する。これにより、ディスプレイ70には、収容部1a内の農作物の生育期間及び標準期間が表示され、このうち生育期間は適宜更新されることになる。
【0050】
利用者は、窓部10aを通して収容部1a内の農作物を観察し、購入するか否かを検討する。この際、利用者は、その農作物の生育状態を判定するために、ディスプレイ70に表示されている収容部1a内の農作物の生育期間と標準期間とを比較する。ここで、生育期間と標準期間とが比較的近い場合は生育状態が良好であると推測される一方、両期間が離れている場合は購入に適した生育状態ではないと考えられる。このようにして、利用者は、ディスプレイ70を用いることにより、収容部1aに収容された農作物の生育状態の良否等を判定することができる。
【0051】
(実施の形態5)
実施の形態5の農作物販売装置は、販売対象物である農作物の生育状態を判定するための基準になる基準情報を表示する手段として、実施の形態1におけるスケールの代わりに、農作物の熟度及び糖度を表示するディスプレイを備える装置である。
【0052】
図10は、本発明の実施の形態5に係る農作物販売装置の構成を示すブロック図である。図10に示すとおり、本実施の形態の農作物販売装置5は、収容部内の農作物の熟度及び糖度を計測する光センサ選果装置80を備えている。この光センサ選果装置80は、透過型光センサ等で構成された公知の装置であり、具体的には、収容部内の農作物に対して光を照射し、その農作物内部を透過した光を分光分析して、その結果に基づいて農作物の熟度及び糖度を判定するように構成されたものである。なお、実施の形態5の農作物販売装置5のその他の構成については、重量センサを設けていないこと以外は実施の形態3の場合と同様であるので、同一符号を付して説明を省略する。以下、適宜図6も参照しながら説明する。
【0053】
制御部20は、農作物の熟度及び糖度の計測処理の実行を指示するための動作制御信号を、光センサ選果装置80に対して所定の時間間隔で繰り返し出力する。その結果、光センサ選果装置80によって、収容部1aに収容された農作物の熟度及び糖度の計測が繰り返し実行され、これにより得られた農作物の熟度及び糖度を示す信号が制御部20に対して出力される。制御部20は、光センサ選果装置80から信号を受け取る都度、その号で示される農作物の熟度及び糖度を表示するようにディスプレイ70に指示する。これにより、ディスプレイ70には、収容部1a内の農作物の熟度及び糖度が表示され、これが適宜更新されることになる。
【0054】
利用者は、窓部10aを通して収容部1a内の農作物を観察し、購入するか否かを検討する。この際、利用者は、その農作物の生育状態を判定するために、ディスプレイ70に表示されている収容部1a内の農作物の熟度及び糖度を確認する。これにより収容部1a内の農作物の熟度及び糖度を知ることができるため、利用者は、その農作物の生育状態の良否等を判定することが容易になる。
【0055】
(実施の形態6)
実施の形態6の農作物販売装置は、販売対象物である農作物の生育状態を判定するための基準になる基準情報を表示する手段として、実施の形態1におけるスケールの代わりに、農作物の種類及び生育期間に応じた各種の基準情報を表示するディスプレイを備える装置である。
【0056】
図11は、本発明の実施の形態6に係る農作物販売装置の収容部に設けられた扉が開放された場合における当該収容部の構成を示す斜視図である。図11に示すとおり、本実施の形態の農作物販売装置が備える収容部6a内の左側面の略中央位置には、画像を表示することが可能な液晶ディスプレイで構成された画像表示部90が設けられている。この画像表示部90は、細長板状を有しており、その左端が収容部6aの左側面の内側に固着されることにより取り付けられている。
【0057】
図12は、本発明の実施の形態6に係る農作物販売装置の構成を示すブロック図である。図12に示すように、上述した画像表示部90は、入出力I/F22に接続されており、この入出力I/F22を介して制御部20から動作制御信号を受け、これにしたがって画像を表示する。画像表示部90に表示される画像としては、実施の形態1におけるスケール16と同様のスケールを表した画像(以下、「スケール画像」という)、及び実施の形態2における色情報表示板60,61と同様の色情報領域を表した画像(以下、「色情報領域画像」という)等がある。なお、図11には、画像表示部90にスケール画像が表示されている例が示されている。
【0058】
また、図12に示すとおり、本実施の形態の農作物販売装置6が備える記憶部21には、実施の形態4の場合と同様の生育期間データ21Aと、画像表示部90に表示する画像が農作物の種類及び生育状態毎に規定された画像データベース21Bとが記憶されている。本実施の形態において、この画像データベース21Bには、農作物の種類別に用意されたスケール画像及び色情報領域画像が格納されている。このスケール画像には、比較的大きなサイズの農作物が収容部6aに収容されている場合は目盛りの間隔が大きくなり、比較的小さなサイズの農作物が収容部6aに収容されている場合は目盛りの間隔が小さくなる等、農作物の種類に応じて定められた間隔の目盛りを有する複数のスケール画像が含まれる。また、画像データベース21Bに格納される色情報領域画像には、実施の形態2における第1色情報領域61a、第2色情報領域61b及び第3色情報領域61cと同様に、農作物の生育状態に応じた色を有する複数の色情報領域画像が含まれる。ここでは、農作物の種類毎に、上記の第1色情報領域61a、第2色情報領域61b及び第3色情報領域61cに相当する色情報領域画像が用意され、画像データベース21Bに格納されているものとする。
なお、本実施の形態の農作物販売装置のその他の構成については実施の形態1の場合と同様であるので、説明を省略する。
【0059】
制御部20は、実施の形態4の場合と同様に、30分毎等の適宜のタイミングで、生育期間データ21Aの現在日時フィールド202及び生育期間フィールド203に格納される情報を繰り返し更新する。また、制御部20は、収容部6aに収容されている農作物の種類に対応したスケール画像を画像データベース21Bから読み出すと共に、その農作物の種類及びその生育状態に対応した色情報領域画像を画像データベース21Bから読み出す。ここで、農作物の生育状態は、上記のようにして更新される生育期間データに基づいて決定される。例えば、生育期間と標準期間との差が二日以内である場合は生育状態が良好であると判定する。この場合、制御部20は、実施の形態2における第1色情報領域61aに相当する色情報領域画像を画像データベース21Bから読み出す。また、制御部20は、生育期間と標準期間との差が五日以内である場合は生育状態が普通であると判定し、実施の形態2における第2色情報領域61bに相当する色情報領域画像を画像データベース21Bから読み出す。さらに、制御部20は、生育期間と標準期間との差が六日以上離れている場合は生育状態が不良であると判定し、実施の形態2における第3色情報領域61cに相当する色情報領域画像を画像データベース21Bから読み出す。
【0060】
上述したようにして画像データベース21Bからスケール画像及び色情報領域画像を読み出した制御部20は、その読み出したスケール画像及び色情報領域画像を所定の時間間隔で交互に表示するように画像表示部90に指示する。これにより、画像表示部90には、収容部6a内の農作物の生育状態を判定するために適したスケール画像及び色情報領域画像が交互に繰り返し表示されることになる。
【0061】
利用者は、窓部10aを通して収容部6a内の農作物を観察し、購入するか否かを検討する。この際、利用者は、その農作物の生育状態を判定するために、画像表示部90に表示されるスケール画像及び色情報領域画像を確認する。そして、利用者は、画像表示部90に表示されるスケール画像を用いて当該農作物の高さを計測すると共に、同じく表示される色情報領域画像の色と当該農作物の表面の色とを比較する。実施の形態1及び2の場合と同様に、これらの計測結果及び比較結果を参考にすることにより、利用者は、収容部6aに収容された農作物の生育状態の良否等を判定することができる。
【0062】
(その他の実施の形態)
上述した各実施の形態は適宜組み合わせることが可能である。したがって、例えば、実施の形態1乃至5を組み合わせることによって、スケール及び色情報表示板を収容部内に備え、且つ重量センサ及び光センサ選果装置を備えると共に記憶部に生育期間データを記憶した農作物販売装置を実現すること等も可能である。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の農作物販売装置は、野菜及び果物などの各種の生育中の農作物を販売する農作物販売装置等として有用である。
【符号の説明】
【0064】
1,3,4,5,6 農作物販売装置
1a,2a,6a 収容部
1b,3b 制御装置
10 扉
10a 窓部
11 購入ボタン
12 金額表示部
13 金銭投入部
13a 硬貨投入部
13b 紙幣投入部
14 釣銭返却口
16 スケール
17 蛍光灯
18a 空気送出管
18b 空気排出管
19a 養液送出管
19b 養液排出管
20 制御部
21 記憶部
21A 生育期間データ
21B 画像データベース
30 扉開閉機構
50 養液
51 台座
60,61 色情報表示板
60a 色情報領域
61a 第1色情報領域
61b 第2色情報領域
61c 第3色情報領域
70 ディスプレイ
71 重量センサ
80 光センサ選果装置
90 画像表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生育中の農作物を収容し、当該農作物の栽培を行うことが可能なように構成された収容部と、
金銭の投入を受け付ける受付手段と、
前記収容部に収容された農作物の生育状態の判定の基準になる基準情報を表示する基準情報表示手段と
を備え、
前記受付手段によって所定額の金銭の投入が受け付けられた場合に、前記収容部から前記農作物を取り出すことができるように構成されている、農作物販売装置。
【請求項2】
前記基準情報表示手段が、当該収容部に収容された農作物の表面の色と比較するための色情報を表示するように構成されている、請求項1に記載の農作物販売装置。
【請求項3】
前記基準情報表示手段が、農作物の生育状態に応じた複数の色情報を表示するように構成されている、請求項2に記載の農作物販売装置。
【請求項4】
前記基準情報表示手段が、当該収容部に収容された農作物の大きさを計測するためのスケールである、請求項1乃至3の何れかに記載の農作物販売装置。
【請求項5】
前記収容部に収容された農作物の重量を計測する重量計測手段をさらに備え、
前記基準情報表示手段が、前記重量計測手段により計測された前記農作物の重量を表示するように構成されている、請求項1乃至4の何れかに記載の農作物販売装置。
【請求項6】
前記基準情報表示手段が、前記収容部に収容された農作物の生育期間を表示するように構成されている、請求項1乃至5の何れかに記載の農作物販売装置。
【請求項7】
前記収容部に収容された農作物の熟度を計測する熟度計測手段をさらに備え、
前記基準情報表示手段が、前記熟度計測手段により計測された前記農作物の熟度を表示するように構成されている、請求項1乃至6の何れかに記載の農作物販売装置。
【請求項8】
前記収容部に収容された農作物の糖度を計測する糖度計測手段をさらに備え、
前記基準情報表示手段が、前記糖度計測手段により計測された前記農作物の糖度を表示するように構成されている、請求項1乃至7の何れかに記載の農作物販売装置。
【請求項9】
前記基準情報表示手段が、農作物の種類に応じて異なる基準情報を表示するように構成されている、請求項1乃至8の何れかに記載の農作物販売装置。
【請求項10】
前記基準情報表示手段が、農作物の生育状態に応じて異なる基準情報を表示するように構成されている、請求項1乃至9の何れかに記載の農作物販売装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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