説明

農業又は林業機械用潤滑油

【課題】 生分解性とべたつき防止性とを高水準でバランスよく両立できる農業又は林業機械用潤滑油を提供すること。
【解決手段】 本発明の農業又は林業機械用潤滑油は、グリセリンと脂肪酸とのトリエステルであって、該脂肪酸中の40〜98質量%がオレイン酸であるトリエステルを含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は農業又は林業機械用潤滑油に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コンバイン等の農業機械やチェーンソー等の林業機械の分野では、機械の運転時に潤滑油が飛散して土壌に混入することから、チェーン、刃先等の潤滑油として生分解性に優れた植物油が使用されている(例えば、非特許文献1、2を参照)。
【非特許文献1】大河原昭二・熊谷國夫・伊藤 勲・川村 勇、「チェンソーのチェンオイルを環境に優しい食品植物油に交替させる研究(I)ソーチェンの潤滑と植物油」、日林東北支誌42,269〜270、1990
【非特許文献2】大河原昭二・熊谷國夫・伊藤 勲・川村 勇・東海林茂、「チェンソーのチェンオイルを環境に優しい食品植物油に交代させる研究(III)油の潤滑性と消費量の比較基礎試験」、102回日林論、731〜732、1991
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記した植物油は一般的に酸化安定性に劣るため、飛散した植物油が機械に付着すると、時間の経過と共に酸化劣化して「べたつき」を生じ、機械の動作不良を招くことになる。そのため、当該分野では、「べたつき」を生じにくい特性(以下、「べたつき防止性」という)を有する潤滑油が望まれているが、生分解性とべたつき防止性との双方において実用上十分な特性を有する潤滑油は未だ開発されていない。
【0004】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、生分解性とべたつき防止性とを高水準でバランスよく両立することが可能な農業又は林業機械用潤滑油を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明の農業又は林業機械用潤滑油は、グリセリンと脂肪酸とのトリエステルであって、該脂肪酸中の40〜98質量%がオレイン酸であるトリエステルを含有することを特徴とする。
【0006】
本発明にかかる上記トリエステルは、生分解性及び酸化安定性の双方に優れる。したがって、当該トリエステルを含有する本発明の農業又は林業機械用潤滑油によれば、生分解性とべたつき防止性とを高水準でバランスよく達成することができ、農業又は林業機械を長期にわたって安定的に運転することが可能となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、生分解性とべたつき防止性とを高水準でバランスよく両立できる農業又は林業機械用潤滑油を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0009】
本発明の農業又は林業機械用潤滑油(以下、単に「本発明の潤滑油」という)は、(A)脂肪酸とグリセリンとのトリエステルであって、該脂肪酸中の40〜98質量%がオレイン酸であるトリエステル(以下、「(A)トリエステル」という)を含有する。
【0010】
(A)トリエステルを構成する脂肪酸中のオレイン酸の含有量は、上述の通り40〜98質量%であるが、生分解性とべたつき防止性との両立、並びに潤滑性の点から、当該オレイン酸の含有量は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上であり、また、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下である。
【0011】
なお、(A)トリエステルを構成する脂肪酸(以下、「構成脂肪酸」という)中のオレイン酸の割合や、後述するリノール酸等の割合は、日本油化学会制定の基準油脂分析法2.4.2項「脂肪酸組成」に準拠して測定されるものである。
【0012】
また、(A)トリエステルの構成脂肪酸のうち、オレイン酸以外の脂肪酸としては、生分解性及びべたつき防止性を損なわない限り特に制限されないが、好ましくは炭素数6〜24の脂肪酸である。炭素数6〜24の脂肪酸としては、飽和脂肪酸でもよく、不飽和結合を1〜5個有する不飽和脂肪酸でもよい。また、当該脂肪酸は直鎖状、分岐鎖状のいずれであってもよい。さらに、分子内にカルボキシル基(−COOH)以外に水酸基(−OH)を1〜3個有していてもよい。このような脂肪酸としては、具体的には、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキン酸、ベヘニン酸、リグノセリン酸、ラウロレイン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、ガドレイン酸、エルシン酸、リシノール酸、リノール酸、リノレン酸、エレオステアリン酸、リカン酸、アラキドン酸、クルバドン酸等が挙げられる。これらの脂肪酸の中でも、潤滑性、並びに取り扱い性を高水準でバランスよく達成できる点から、リノール酸が好ましく、トリエステルを構成する脂肪酸の1〜60質量%(より好ましくは2〜50質量%、更に好ましくは4〜40質量%)がリノール酸であることがより好ましい。
【0013】
更に、(A)トリエステルにおいては、生分解性とべたつき防止性との両立、並びに潤滑性の点から、構成脂肪酸中の0.1〜30質量%(より好ましくは0.5〜20質量%、更に好ましくは1〜10質量%)が炭素数6〜16の脂肪酸であることが好ましい。
また、(A)トリエステルの総不飽和度は、0.3以下であることが好ましく、0.2以下であることがより好ましい。(A)トリエステルの総不飽和度が0.3より大きくなると、べたつき防止性が低下する傾向にある。なお、本発明でいう総不飽和度とは、ポリウレタン用ポリエーテルの代わりに(A)トリエステルを用いる以外はJIS K1557−1970「ポリウレタン用ポリエーテル試験方法」に準じて、同様の装置・操作法により測定される総不飽和度をいう。
【0014】
(A)トリエステルとしては、構成脂肪酸に占めるオレイン酸の割合が上記の条件を満たすものであれば、合成により得られるトリエステルを用いてもよく、あるいは当該トリエステルを含有する植物油等の天然油を用いてもよい。人体に対する安全性の点からは、植物油等の天然油を用いることが好ましい。かかる植物油としては、菜種油、ひまわり油、大豆油、トウモロコシ油、キャノーラ油が好ましく、中でもひまわり油及び菜種油が特に好ましい。
【0015】
ここで、天然の植物油の多くは総不飽和度が0.3を超えるものであるが、その精製工程で水素化等の処理により総不飽和度を小さくすることが可能である。また、品種改良又は遺伝子組み替え技術により総不飽和度の低い植物油を容易に製造することができる。例えば総不飽和度が0.3以下でありかつオレイン酸が70質量%以上のものとして高オレイン酸キャノーラ油等、80質量%以上のものとして高オレイン酸菜種油、高オレイン酸ひまわり油、高オレイン酸大豆油などを例示することができる。
【0016】
また、本発明の潤滑油の潤滑性を更に高めるためには、(A)トリエステルの水酸基価が0.01〜300mgKOH/gであり、ケン価が100〜500mgKOH/gであることが好ましい。本発明において更に潤滑性を得るために、トリエステルの水酸基価の上限値は、より好ましくは200mgKOH/gであり、最も好ましくは150mgKOH/gであり、一方その下限値は、より好ましくは0.1mgKOH/gであり、更に好ましくは0.5mgKOH/gであり、更に好ましくは1mgKOH/gであり、更により好ましくは3mgKOH/gであり、最も好ましくは5mgKOH/gである。また、(A)トリエステルのケン化価の上限値は更に好ましくは400mgKOH/gであり、一方その下限値は更に好ましくは200mgKOH/gである。
【0017】
なお、ここでいう水酸基価とは、JIS K 0070「化学製品の酸価、ケン化価、エステル価、沃素価、水酸基価及び不ケン化価物の測定方法」の指示薬滴定法により測定した値をいう。またケン化価とは、JIS K 2503「航空潤滑油試験方法」の指示薬滴定法により測定した値をいう。
【0018】
(A)トリエステルの動粘度については特に制限はないが、生分解性とべたつき防止性との両立、並びに潤滑性の点から、40℃における動粘度が、2〜100mm/sであることが好ましく、5〜80mm/sであることが更に好ましい。
本発明に係るトリエステルの流動点および粘度指数には特に制限はないが、低温性能の点から、流動点は−10℃以下であることが好ましく、更に好ましくは−20℃以下である。粘度指数は100以上200以下であることが望ましい。
【0019】
本発明の潤滑油は、上記の(A)トリエステルからなるものであってもよく、あるいは、生分解性及びべたつき防止性を損なわない限りにおいて後述する基油及び添加剤を更に含有してもよい。なお、本発明の潤滑油が(A)トリエステル以外の基油及び添加剤を含有する場合、トリエステステルの含有量は、生分解性とべたつき防止性との両立、並びに潤滑性の点から、潤滑油全量基準で、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、更に好ましくは70質量%以上である。
【0020】
本発明の潤滑油は、その性能を損なわない限りにおいて、上記のトリエステル以外のエステル(以下、便宜的に「(B)その他のエステル」という)を更に含有してもよい。
(B)その他のエステルを構成するアルコールとしては、1価アルコールでも多価アルコールでもよく、また、(B)その他のエステルを構成する酸としては一塩基酸でも多塩基酸であってもよい。
【0021】
1価アルコールとしては、通常炭素数1〜24、好ましくは1〜12、より好ましくは1〜8のものが用いられ、このようなアルコールとしては直鎖のものでも分岐のものでもよく、また飽和のものであっても不飽和のものであってもよい。炭素数1〜24のアルコールとしては、具体的には例えば、メタノール、エタノール、直鎖状又は分岐状のプロパノール、直鎖状又は分岐状のブタノール、直鎖状又は分岐状のペンタノール、直鎖状又は分岐状のヘキサノール、直鎖状又は分岐状のヘプタノール、直鎖状又は分岐状のオクタノール、直鎖状又は分岐状のノナノール、直鎖状又は分岐状のデカノール、直鎖状又は分岐状のウンデカノール、直鎖状又は分岐状のドデカノール、直鎖状又は分岐状のトリデカノール、直鎖状又は分岐状のテトラデカノール、直鎖状又は分岐状のペンタデカノール、直鎖状又は分岐状のヘキサデカノール、直鎖状又は分岐状のヘプタデカノール、直鎖状又は分岐状のオクタデカノール、直鎖状又は分岐状のノナデカノール、直鎖状又は分岐状のイコサノール、直鎖状又は分岐状のヘンイコサノール、直鎖状又は分岐状のトリコサノール、直鎖状又は分岐状のテトラコサノール及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0022】
多価アルコールとしては、通常2〜10価、好ましくは2〜6価のものが用いられる。2〜10の多価アルコールとしては、具体的には例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの3〜15量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの3〜15量体)、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,3−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール等の2価アルコール;グリセリン、ポリグリセリン(グリセリンの2〜8量体、例えばジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン等)、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等)及びこれらの2〜8量体、ペンタエリスリトール及びこれらの2〜4量体、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の多価アルコール;キシロース、アラビノース、リボース、ラムノース、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、ソルボース、セロビオース、マルトース、イソマルトース、トレハロース、スクロース等の糖類、及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0023】
これらの多価アルコールの中でも、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール(エチレングリコールの3〜10量体)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール(プロピレングリコールの3〜10量体)、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,2−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トリメチロールアルカン(トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールブタン等)及びこれらの2〜4量体、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,3,5−ペンタントリオール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,3,4−ブタンテトロール、ソルビトール、ソルビタン、ソルビトールグリセリン縮合物、アドニトール、アラビトール、キシリトール、マンニトール等の2〜6価の多価アルコール及びこれらの混合物等が好ましい。さらにより好ましくは、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビタン、及びこれらの混合物等である。これらの中でも、より高い熱・酸化安定性が得られることから、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、及びこれらの混合物等が最も好ましい。
【0024】
(B)その他のエステルを構成するアルコールは、上述したように1価アルコールであっても多価アルコールであってもよいが、より優れた潤滑性が達成可能となる点、並びに流動点の低いものがより得やすく、冬季及び寒冷地での取り扱い性がより向上する等の点から、多価アルコールであることが好ましい。
【0025】
また、(B)その他のエステルを構成する酸のうち、一塩基酸としては、通常炭素数2〜24の脂肪酸が用いられ、その脂肪酸は直鎖のものでも分岐のものでもよく、また飽和のものでも不飽和のものでもよい。具体的には、例えば、酢酸、プロピオン酸、直鎖状又は分岐状のブタン酸、直鎖状又は分岐状のペンタン酸、直鎖状又は分岐状のヘキサン酸、直鎖状又は分岐状のヘプタン酸、直鎖状又は分岐状のオクタン酸、直鎖状又は分岐状のノナン酸、直鎖状又は分岐状のデカン酸、直鎖状又は分岐状のウンデカン酸、直鎖状又は分岐状のドデカン酸、直鎖状又は分岐状のトリデカン酸、直鎖状又は分岐状のテトラデカン酸、直鎖状又は分岐状のペンタデカン酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデカン酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデカン酸、直鎖状又は分岐状のオクタデカン酸、直鎖状又は分岐状のヒドロキシオクタデカン酸、直鎖状又は分岐状のノナデカン酸、直鎖状又は分岐状のイコサン酸、直鎖状又は分岐状のヘンイコサン酸、直鎖状又は分岐状のドコサン酸、直鎖状又は分岐状のトリコサン酸、直鎖状又は分岐状のテトラコサン酸等の飽和脂肪酸、アクリル酸、直鎖状又は分岐状のブテン酸、直鎖状又は分岐状のペンテン酸、直鎖状又は分岐状のヘキセン酸、直鎖状又は分岐状のヘプテン酸、直鎖状又は分岐状のオクテン酸、直鎖状又は分岐状のノネン酸、直鎖状又は分岐状のデセン酸、直鎖状又は分岐状のウンデセン酸、直鎖状又は分岐状のドデセン酸、直鎖状又は分岐状のトリデセン酸、直鎖状又は分岐状のテトラデセン酸、直鎖状又は分岐状のペンタデセン酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデセン酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデセン酸、直鎖状又は分岐状のオクタデセン酸、直鎖状又は分岐状のヒドロキシオクタデセン酸、直鎖状又は分岐状のノナデセン酸、直鎖状又は分岐状のイコセン酸、直鎖状又は分岐状のヘンイコセン酸、直鎖状又は分岐状のドコセン酸、直鎖状又は分岐状のトリコセン酸、直鎖状又は分岐状のテトラコセン酸等の不飽和脂肪酸、及びこれらの混合物等が挙げられる。これらの中でも、潤滑性及び取扱性がより高められる点から、特に炭素数3〜20の飽和脂肪酸、炭素数3〜22の不飽和脂肪酸及びこれらの混合物が好ましく、炭素数4〜18の飽和脂肪酸、炭素数4〜18の不飽和脂肪酸及びこれらの混合物がより好ましく、炭素数4〜18の不飽和脂肪酸がさらに好ましく、べたつき防止性の点からは炭素数4〜18の飽和脂肪酸がさらに好ましい。
【0026】
多塩基酸としては炭素数2〜16の二塩基酸及びトリメリット酸等が挙げられる。炭素数2〜16の二塩基酸としては、直鎖のものでも分岐のものでもよく、また飽和のものでも不飽和のものでもよい。具体的には例えば、エタン二酸、プロパン二酸、直鎖状又は分岐状のブタン二酸、直鎖状又は分岐状のペンタン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキサン二酸、直鎖状又は分岐状のヘプタン二酸、直鎖状又は分岐状のオクタン二酸、直鎖状又は分岐状のノナン二酸、直鎖状又は分岐状のデカン二酸、直鎖状又は分岐状のウンデカン二酸、直鎖状又は分岐状のドデカン二酸、直鎖状又は分岐状のトリデカン二酸、直鎖状又は分岐状のテトラデカン二酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデカン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデカン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキセン二酸、直鎖状又は分岐状のヘプテン二酸、直鎖状又は分岐状のオクテン二酸、直鎖状又は分岐状のノネン二酸、直鎖状又は分岐状のデセン二酸、直鎖状又は分岐状のウンデセン二酸、直鎖状又は分岐状のドデセン二酸、直鎖状又は分岐状のトリデセン二酸、直鎖状又は分岐状のテトラデセン二酸、直鎖状又は分岐状のヘプタデセン二酸、直鎖状又は分岐状のヘキサデセン二酸及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0027】
(B)その他のエステル油を構成する酸としては、上述したように一塩基酸であっても多塩基酸であってもよいが、一塩基酸を用いると、粘度指数の向上、べたつき防止性の向上に寄与するエステルが得られやすくなるので好ましい。
【0028】
(B)その他のエステルを形成するアルコールと酸との組み合わせは任意であって特に制限されないが、本発明で使用可能なエステル油としては、例えば下記のエステルを挙げることができる。
(B−1)一価アルコールと一塩基酸とのエステル
(B−2)多価アルコールと一塩基酸とのエステル
(B−3)一価アルコールと多塩基酸とのエステル
(B−4)多価アルコールと多塩基酸とのエステル
(B−5)一価アルコール、多価アルコールとの混合物と多塩基酸との混合エステル
(B−6)多価アルコールと一塩基酸、多塩基酸との混合物との混合エステル
(B−7)一価アルコール、多価アルコールとの混合物と一塩基酸、多塩基酸との混合エステル。
【0029】
これらの中でも、より優れた潤滑性が得られる点、流動点の低いものがより得やすく、冬季及び寒冷地での取り扱い性がより向上する点、並びに粘度指数の高いものがより得やすくなる点から(B−2)多価アルコールと一塩基酸とのエステルであることが好ましい。
【0030】
また、本発明では、その性能を損なわない限りにおいて、(B)その他のエステルとして天然物由来のエステルを含有してもよい。天然物由来のエステルとしては、パーム油、パーム核油、菜種油、大豆油、サンフラワー油、ラードなどの動物油などの天然油脂が挙げられる。
【0031】
(B)その他のエステルの場合、アルコール成分として多価アルコールを用いた場合に得られるエステルは、多価アルコール中の水酸基全てがエステル化された完全エステルでもよく、水酸基の一部がエステル化されず水酸基のまま残存する部分エステルでもよい。また、酸成分として多塩基酸を用いた場合に得られるエステルは、多塩基酸中のカルボキシル基全てがエステル化された完全エステルでもよく、あるいはカルボキシル基の一部がエステル化されずカルボキシル基のままで残っている部分エステルであってもよい。
【0032】
(B)その他のエステルの動粘度については特に制限はないが、40℃における動粘度が2〜700mm/sであることが好ましく、3〜500mm/sであることがより好ましく、4〜150mm/sであることが更に好ましく、5〜100mm/sであることが特に好ましい。
【0033】
また、(B)エステル油の流動点および粘度指数には特に制限はないが、流動点は−10℃以下であることが好ましく、更に好ましくは−20℃以下である。粘度指数は100以上200以下であることが望ましい。
【0034】
また、本発明の潤滑油は、必要に応じて後述する基油(以下、便宜的に「(C)その他の基油」という)を更に含有してもよい。
【0035】
本発明で用いられる(C)その他の基油としては、鉱油又は合成油のいずれであってもよく、あるいはこれらの2種以上の混合物であってもよい。
【0036】
鉱油としては、例えば原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分を、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理等の精製処理を適宜組み合わせて精製したパラフィン系鉱油又はナフテン系鉱油が挙げられる。
【0037】
また、合成油としては、具体的には、プロピレンオリゴマー、ポリブテン、ポリイソブチレン、炭素数5〜20のαオレフィンのオリゴマー、エチレンと炭素数5〜20のαオレフィンとのコオリゴマー等のポリオレフィン又はこれらの水素化物;モノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、ポリアルキルベンゼン等のアルキルベンゼン;モノアルキルナフタレン、ジアルキルナフタレン、ポリアルキルナフタレン等のアルキルナフタレン;ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノエーテル、ポリプロピレングリコールモノエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールモノエーテル、ポリエチレングリコールジエーテル、ポリプロピレングリコールジエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコールジエーテル等のポリグリコール;モノアルキルジフェニルエーテル、ジアルキルジフェニルエーテル、モノアルキルトリフェニルエーテル、ジアルキルトリフェニルエーテル、テトラフェニルエーテル、モノアルキルテトラフェニルエーテル、ジアルキルテトラフェニルエーテル、ペンタフェニルエーテル等のフェニルエーテル;シリコーン油;パーフルオロエーテル等のフルオロエーテル、などが挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0038】
(C)その他の基油の含有量は、潤滑油全量基準で、好ましくは50質量%以下、より好ましくは40質量%以下、更に好ましくは30質量%以下、更により好ましくは20質量%以下であり、(C)その他の基油を含有しないことが特に好ましい。
【0039】
また、本発明の潤滑油は、(D)エステル系ポリマーを更に含有することが好ましい。本発明の潤滑油がエステル系ポリマーを含有すると、機械の運転時に飛散しにくい特性(以下、「飛散防止性」という)を高めることができる。なお、本発明でいう「(D)エステル系ポリマー」には、(D−1)主鎖にエステル結合を有するポリマー、及び(D−2)側鎖にエステル結合を有するポリマーの双方が包含される。
【0040】
(D−1)主鎖にエステル結合を有するポリマーとは、いわゆるポリエステルであり、多塩基酸及び多価アルコールを必須のモノマー成分として含むポリマーである。かかるポリマーは、二塩基酸と2価アルコールとで構成される直鎖ポリエステルであってもよく、あるいは2価以上の多塩基酸と2価以上の多価アルコールとで構成され、3価以上の多塩基酸及び/又は3価以上の多価アルコールを必須のモノマー成分として含むコンプレックスエステルであってもよい。また、直鎖ポリエステル又はコンプレックスのいずれの場合も、一塩基酸及び/又は1価アルコールを更に含んで構成されていてもよい。必須のモノマー成分としての多塩基酸及び多価アルコール、並びに任意のモノマー成分としての一塩基酸及び1価アルコールとしては、それぞれ上記(A)コンプレックスエステルの説明において例示された多塩基酸、多価アルコール、一塩基酸及び1価アルコールが挙げられ、これらの構成モノマーの種類及び比率を適宜選択することにより、(D)成分としてのエステル系ポリマーを得ることができる。
【0041】
(D−2)側鎖にエステル結合を有するポリマーは、例えばエチレン性不飽和結合及びエステル結合を有する重合性モノマーを用いて得ることができる。かかる重合性モノマーとしては、下記一般式(D−2−1)、(D−2−2)又は(D−2−3)で表されるモノマーが好ましく使用される。
【0042】
【化1】


[式(D−2−1)中、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜18のアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜24の炭化水素基を表し、pは0又は1を示す。]
【0043】
【化2】


[式(D−2−2)中、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは炭素数1〜18のアルキレン基を表し、Rは炭素数1〜24の炭化水素基を表し、pは0又は1を示す。]
【0044】
【化3】


[式(D−2−3)中、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜18のアルキレン基を表し、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ炭素数1〜24の炭化水素基を表し、p及びqは同一でも異なっていてもよく、それぞれ0又は1を示す。]
【0045】
上記一般式(D−2−1)〜(D−2−3)中のR及びRは、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。R及びRで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、直鎖状又は分岐状のプロピル基、直鎖状又は分岐状のブチル基等が挙げられる。R及びRとしては、水素原子、メチル基又はエチル基が好ましく、水素原子又はメチル基がより好ましい。更に、一般式(D−2−1)、(D−2−3)で表される各化合物の場合、R及びRの双方が水素原子であることが特に好ましい。一方、一般式(B−2−2)で表されるモノマーの場合は、Rが水素原子であり、Rがメチル基であることが特に好ましい。
【0046】
また、R及びRで表される炭素数1〜18のアルキレン基としては、具体的には、メチレン基、エチレン基、直鎖状又は分岐状のプロピレン基、直鎖状又は分岐鎖状のブチレン基、直鎖状又は分岐鎖状のペンチル基、直鎖状又は分岐鎖状のヘキシレン基、直鎖状又は分岐鎖状のヘプチレン基、直鎖状又は分岐鎖状のオクチレン基、直鎖状又は分岐鎖状のノニレン基、直鎖状又は分岐鎖状のデシレン基、直鎖状又は分岐鎖状のウンデシレン基、直鎖状又は分岐鎖状のドデシレン基、直鎖状又は分岐鎖状のトリデシレン基、直鎖状又は分岐鎖状のテトラデシレン基、直鎖状又は分岐鎖状のペンタデシレン基、直鎖状又は分岐鎖状のヘキサデシレン基、直鎖状又は分岐鎖状のヘプタデシレン基、直鎖状又は分岐鎖状のオクタデシレン基等が挙げられる。
【0047】
また、一般式(D−2−1)〜(D−2−3)中のp及び一般式(D−2−3)中のp、qはそれぞれ0又は1を示す。p、qが0の場合は二重結合炭素原子とエステル基の炭素原子とが直接結合した構造となる。
【0048】
一般式(D−2−1)〜(D−2−3)で表されるモノマーにおいては、p、qが0であるか又はp、qが1であり且つR及びRが炭素数1〜10のアルキレン基であることが好ましく、p、qが0であるか又はp、qが1であり且つR、Rが炭素数1〜4のアルキレン基であることがより好ましく、p、qが0であるか又はp、qが1であり且つR及びRがメチレン基もしくはエチレン基であることが更に好ましく、p、qが0であるか又はp、qが1であり且つR及びRがメチレン基であることが一層好ましく、p、qが0であることが特に好ましい。
【0049】
また、R及びRで表される炭素数1〜24の炭化水素基としては、具体的には、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキルシクロアルキル基、アリール基、アルキルアリール基、アリールアルキル基等が挙げられる。
【0050】
アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等のアルキル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい)が挙げられる。
【0051】
シクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の炭素数5〜7のシクロアルキル基を挙げることができる。また上記アルキルシクロアルキル基としては、例えば、メチルシクロペンチル基、ジメチルシクロペンチル基、メチルエチルシクロペンチル基、ジエチルシクロペンチル基、メチルシクロヘキシル基、ジメチルシクロヘキシル基、メチルエチルシクロヘキシル基、ジエチルシクロヘキシル基、メチルシクロヘプチル基、ジメチルシクロヘプチル基、メチルエチルシクロヘプチル基、ジエチルシクロヘプチル基等の炭素数6〜11のアルキルシクロアルキル基(アルキル基のシクロアルキル基への置換位置も任意である)が挙げられる。
【0052】
アルケニル基としては、例えば、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基等のアルケニル基(これらのアルケニル基は直鎖状でも分枝状でもよく、また二重結合の位置も任意である)が挙げられる。
【0053】
アリール基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等のアリール基を挙げることができる。また上記アルキルアリール基としては、例えば、トリル基、キシリル基、エチルフェニル基、プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ウンデシルフェニル基、ドデシルフェニル基等の炭素数7〜18のアルキルアリール基(アルキル基は直鎖状でも分枝状でもよく、またアリール基への置換位置も任意である)が挙げられる。
【0054】
アリールアルキル基としては、例えばベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基、フェニルペンチル基、フェニルヘキシル基等の炭素数7〜12のアリールアルキル基(これらアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい)が挙げられる。
【0055】
上記R、Rで表される炭化水素基としては、炭素数1〜22の炭化水素基が好ましく、炭素数1〜20の炭化水素基がより好ましく、炭素数1〜18の炭化水素基が更に好ましい。
【0056】
上記一般式(D−2−1)で表されるモノマーとしては、Rが炭素数1〜22(好ましくは1〜20、より好ましくは1〜18)の炭化水素基である一価脂肪酸とビニルアルコールとのエステルが好ましい。
【0057】
また、上記一般式(D−2−2)で表されるモノマーとしては、Rが炭素数1〜22(好ましくは1〜20、より好ましくは1〜18)の炭化水素基であるアクリル酸エステル、Rが炭素数1〜22(好ましくは1〜20、より好ましくは1〜18)の炭化水素基であるメタクリル酸エステルが好ましく、Rが炭素数1〜22(好ましくは1〜20、より好ましくは1〜18)の炭化水素基であるメタクリル酸エステルがより好ましい。
【0058】
また、上記一般式(D−2−3)で表されるモノマーとしては、R及びRがそれぞれ炭素数1〜22(好ましくは1〜20、より好ましくは1〜18)の炭化水素基であるマレイン酸ジエステル又はフマル酸ジエステルが好ましく、中でもマレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸ジブチル等がより好ましい。
【0059】
上記一般式(D−2−1)〜(D−2−3)で表されるモノマーの中でも、安定性及び飛散防止性の点から、一般式(D−2−2)で表されるモノマーが好ましい。
【0060】
また、(D)成分は、上記一般式(D−2−1)〜(D−2−3)で表されるモノマーの1種からなる単独重合体であってもよく、また、2種以上の共重合体であってもよい。更に、上記一般式(D−2−1)〜(D−2−3)で表されるモノマーに加えて、下記一般式(D−2−4)〜(D−2−7)で表されるモノマーを更に含んでいてもよい。
【0061】
【化4】


[式(D−2−4)中、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基を示す。]
【0062】
【化5】


[式(D−2−5)中、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、X及びXは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜18のモノアルキルアミノ基を示す。]
【0063】
【化6】


[式(D−2−6)中、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは炭素数2〜18のアルキレン基を表し、rは0又は1を表し、Xは窒素原子を含有する炭素数1〜30の有機基を示す。]
【0064】
【化7】


[式(D−2−7)中、R及びRは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、Xは窒素原子を含有する炭素数1〜30の有機基を示す。]
【0065】
上記一般式(D−2−4)〜(D−2−7)中のR及びRはそれぞれ水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。R及びRが炭素数1〜4のアルキル基である場合、当該アルキル基としては、上記(D−2−1)〜(D−2−3)中のR及びRの説明で例示された炭素数1〜4のアルキル基が挙げられる。
【0066】
また、一般式(D−2−4)中のRは水素原子又は炭素数1〜24の炭化水素基である。Rが炭素数1〜24の炭化水素基である場合、当該炭化水素基としては、上記R及びRの説明において例示された炭素数1〜24の炭化水素基等が挙げられる。Rとしては、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基が好ましく、水素原子又は炭素数1〜15の炭化水素基がより好ましく、水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基が更に好ましく、水素原子又は炭素数1〜6の炭化水素基が特に好ましい。
【0067】
また、一般式(D−2−5)中のX及びXはそれぞれ水素原子又は炭素数1〜18のモノアルキルアミノ基を示す。X及びXで表される炭素数1〜18のモノアルキルアミノ基は、炭素数1〜18のモノアルキルアミンのアミノ基から水素原子を除いた残基(−NHR;Rは炭素数1〜18のアルキル基)である。Rで表される炭素数1〜18のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基等のアルキル基(これらのアルキル基は直鎖状でも分枝状でもよい)などが挙げられる。
【0068】
一般式(D−2−6)中、Rで表される炭素数2〜18のアルキレン基としては、具体的には、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基、トリデシレン基、テトラデシレン基、ペンタデシレン基、ヘキサデシレン基、ヘプタデシレン基、オクタデシレン基等のアルキレン基等(これらのアルキレン基は直鎖状でも分枝状でも良い)などが挙げられる。
【0069】
また、(D−2−6)中のrは0又は1を示す。rが0の場合はO(酸素原子)とXとが直接結合した構造となる。
【0070】
一般式(D−2−6)、(D−2−7)中のXは、窒素原子を含有する炭素数1〜30の有機基である。Xで表される有機基が有する窒素原子の数は特に制限されないが、好ましくは1個である。また、Xで表される有機基の炭素数は、前述の通り1〜30であり、好ましくは1〜20、より好ましくは1〜16である。
【0071】
で表される有機基としては、酸素原子を含有する基であることが好ましく、また、環を有する基であることが好ましい。特に、安定性及び潤滑性の点から、Xで表される有機基が酸素原子を含む環を有していることが好ましい。また、Xで表される有機基が環を有する基である場合、その環は脂肪族環又は芳香族環のいずれであってもよいが、脂肪族環であることが好ましい。更に、Xで表される有機基が有する環は、安定性及び潤滑性の点から、6員環であることが好ましい。
【0072】
で表される有機基としては、具体的には、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジプロピルアミノ基、ジブチルアミノ基、アニリノ基、トルイジノ基、キシリジノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、モルホリノ基、ピロリル基、ピロリノ基、ピリジル基、メチルピリジル基、ピロリジニル基、ピペリジニル基、キノニル基、ピロリドニル基、ピロリドノ基、イミダゾリノ基、ピラジノ基などが挙げられ、これらの中でもモルホリノ基が特に好ましい。
【0073】
一般式(D−2−4)で表されるモノマーの好ましい例としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、イソブテン、スチレン等が挙げられる。
【0074】
また、上記一般式(D−2−5)で表されるモノマーの好ましい例としては、マレイン酸、フマル酸、マレイン酸アミド、フマル酸アミド及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0075】
また、上記一般式(D−2−6)又は(D−2−7)で表されるモノマーの好ましい例としては、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、2−メチル−5−ビニルピリジン、モルホリノメチルメタクリレート、モルホリノエチルメタクリレート、N−ビニルピロリドン及びこれらの混合物等が挙げられる。
【0076】
上記一般式(D−2−4)〜(D−2−7)で表されるモノマーの中でも、安定性及び潤滑性の点から、一般式(D−2−4)、(D−2−6)、(D−2−7)で表されるモノマーが好ましい。特に、一般式(D−2−2)で表されるモノマーとの組合せにおいては、一般式(D−2−6)、(D−2−7)で表されるモノマーがより好ましい。また、一般式(D−2−3)で表されるモノマーとの組合せにおいては、一般式(D−2−4)で表されるモノマーがより好ましい。
【0077】
本発明にかかる(D)成分が、上記一般式(D−2−1)〜(D−2−3)で表されるモノマー、あるいは更に上記一般式(D−2−4)〜(D−2−7)で表されるモノマーの2種以上からなる共重合体である場合、その重合形式は特に制限されず、ブロック共重合体又はランダム共重合体のいずれであってもよいが、安定性及び潤滑性の点から、ランダム共重合体が好ましい。
【0078】
(D−2)側鎖にエステル結合を有するポリマーの好ましい例としては、具体的には、ポリメタクリレート、ポリアクリレート、ポリビニルエステル、イソブチレン−フマル酸ジエステル共重合体、スチレン−フマル酸ジエステル共重合体、及び酢酸ビニル−フマル酸ジエステル共重合体が挙げられる。
【0079】
(D)成分としてのエステル系ポリマーの40℃における動粘度は、好ましくは5000mm/s以上であり、より好ましくは10000mm/s以上である。また、当該エステル系ポリマーの100℃における動粘度は、好ましくは40mm/s以上、より好ましくは50mm/s以上である。なお、エステル系ポリマーの40℃又は100℃における動粘度がそれぞれ前記下限値未満であると、エステル系ポリマーの添加による飛散防止性向上効果が不十分となる傾向にある。
【0080】
また、(D)成分の平均分子量は、好ましくは5000以上、より好ましくは7000以上、更に好ましくは10000以上である。エステル系ポリマーの平均分子量が5000未満の場合、エステル系ポリマーの添加による飛散防止性向上効果が不十分となる傾向にある。また、(D)成分の平均分子量は、好ましくは10000000以下、より好ましくは1000000以下、更に好ましくは500000以下、一層好ましくは300000以下、特に好ましくは150000以下である。エステル系ポリマーの平均分子量が10000000を超えると低温性能が不十分となる傾向にある。
【0081】
本発明の潤滑油における(D)成分の含有量は特に制限されないが、潤滑油全量を基準として、0.001質量%以上であることが好ましく、0.005質量%以上であることがより好ましく、0.01質量%以上であることが更に好ましい。(B)成分の含有量が0.001質量%未満の場合、(D)成分の添加による飛散防止性向上効果が十分に発揮されない傾向にある。また、(D)成分の含有量は、潤滑油全量を基準として、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、8質量%以下であることが更に好ましい。(D)成分の含有量が20質量%を超えると、生分解性が低下する傾向にある。
【0082】
また、本発明の潤滑油は、(E)界面活性剤を更に含有することができる。本発明の潤滑油が(E)界面活性剤を含有するものであると、当該潤滑油が衣類に付着した場合であっても容易に除去することができる。
【0083】
(E)界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤又はアニオン性界面活性剤のいずれも使用可能であるが、除去性の点から、ノニオン性界面活性剤が好ましく用いられる。ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、スパンタイプのソルビタン誘導体、ツインタイプのソルビタン誘導体などが挙げられ、中でもポリオキシエチレンアルケニルエーテルが好ましい。
【0084】
ポリオキシエチレンアルケニルエーテルとしては、例えば下記一般式(E−1)で表される化合物が挙げられ、中でも一般式(E−1)中のRがオレイル基(C1835)であるポリオキシエチレンオレイルエーテルが好ましい。
−O−(CHCHO)−H (E−1)
[式中、Rはアルケニル基を示し、xは2〜5の整数を示す。]
【0085】
本発明の潤滑油における(E)界面活性剤の含有量は、潤滑油全量を基準として、好ましくは2〜10質量%である。
【0086】
また、本発明の潤滑油は、潤滑性を更に向上できる点から、(F)油性剤を含有することが好ましい。(F)油性剤としては、アルコール油性剤、カルボン酸油性剤、不飽和カルボン酸の硫化物、下記一般式(F−1)で表される化合物、下記一般式(F−2)で表される化合物、ポリオキシアルキレン化合物、エステル油性剤、多価アルコールのハイドロカルビルエーテル、アミン油性剤などを挙げることができる。
【0087】
【化8】


[式(F−1)中、R10は炭素数1〜30の炭化水素基を表し、aは1〜6の整数を表し、bは0〜5の整数を表す。]
【0088】
【化9】


[式(F−2)中、R11は炭素数1〜30の炭化水素基を表し、cは1〜6の整数を表し、dは0〜5の整数を表す。]
【0089】
(F)油性剤の含有量は特に制限はないが、潤滑性を更に向上できる点から、潤滑油全量基準で、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、更に好ましくは0.1質量%以上である。また、安定性の点から、油性剤の含有量は、潤滑油全量基準で、好ましくは15質量%以下、より好ましくは10質量%以下、更に好ましくは5質量%以下である。
【0090】
また、本発明の潤滑油は、潤滑性を更に向上できる点から、(G)極圧剤を更に含有することが好ましい。特に、(G)極圧剤を上記した(F)油性剤と併用すると、これらの相乗作用により、一層高水準の潤滑性を達成することができる。(G)極圧剤としては、(G−1)硫黄化合物及び(G−2)リン化合物が挙げられる。
【0091】
(G−1)硫黄化合物としては、潤滑油の特性を損なわない限りにおいて特に制限されないが、ジハイドロカルビルポリサルファイド、硫化エステル、硫化鉱油、ジチオリン酸亜鉛化合物、ジチオカルバミン酸亜鉛化合物、ジチオリン酸モリブデン化合物及びジチオカルバミン酸モリブデンが好ましく用いられる。
【0092】
また、(G−2)リン化合物としては、具体的には例えば、リン酸エステル、酸性リン酸エステル、酸性リン酸エステルのアミン塩、塩素化リン酸エステル、亜リン酸エステル及びフォスフォロチオネート、下記一般式(G−2−1)又は(G−2−2)で表されるリン化合物の金属塩等が挙げられる。これらのリン化合物は、リン酸、亜リン酸又はチオリン酸とアルカノール、ポリエーテル型アルコールとのエステルあるいはその誘導体が挙げられる。
【0093】
【化10】


[式(G−2−1)中、X、X及びXは同一でも異なっていてもよく、それぞれ酸素原子又は硫黄原子を表し、X、X又はXの少なくとも2つは酸素原子であり、R12、R13、及びR14は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を表す。]
【0094】
【化11】


[式(G−2−2)中、X、X、X及びXは同一でも異なっていてもよく、それぞれ酸素原子又は硫黄原子を表し、X、X、X又はXの少なくとも3つは酸素原子であり、R15、R16及びR17は同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子又は炭素数1〜30の炭化水素基を表す。]
【0095】
(G)極圧剤の含有量は任意であるが、潤滑性を更に向上できる点から、潤滑油全量基準で、0.005質量%以上であることが好ましく、0.01質量%以上であることがより好ましく、0.05質量%以上であることがさらにより好ましい。また、異常摩耗の防止の点から、極圧剤の含有量は、潤滑油全量基準で、15質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、7質量%以下であることがさらにより好ましい。
【0096】
また、本発明の潤滑油は(H)酸化防止剤を更に含有していることが好ましい。酸化防止剤の添加により、構成成分の変質によるべたつきを防止性を更に向上させることができ、また、熱・酸化安定性を向上させることができる。
【0097】
(H)酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、ジチオリン酸亜鉛系酸化防止剤、その他食品添加剤として使用されているものなどが挙げられる。
なお、食品添加剤として使用されている酸化防止剤は、上述したフェノール系酸化防止剤と一部重複するが、例えば、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(DBPC)、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−o−クレゾール)、アスコルビン酸(ビタミンC)、アスコルビン酸の脂肪酸エステル、トコフェロール(ビタミンE)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、1,2−ジハイドロ−6−エトキシ−2,2,4−トリメチルキノリン(エトキシキン)、2−(1,1−ジメチル)−1,4−ベンゼンジオール(TBHQ)、2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン(THBP)を挙げることができる。
【0098】
これらの酸化防止剤の中でも、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、並びに上記食品添加剤として使用されているものが好ましい。さらに、生分解性を重視する場合には、上記食品添加剤として使用されているものがより好ましく、中でもアスコルビン酸(ビタミンC)、アスコルビン酸の脂肪酸エステル、トコフェロール(ビタミンE)、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(DBPC)、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、2−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、1,2−ジハイドロ−6−エトキシ−2,2,4−トリメチルキノリン(エトキシキン)、2−(1,1−ジメチル)−1,4−ベンゼンジオール(TBHQ)、又は2,4,5−トリヒドロキシブチロフェノン(THBP)が好ましく、アスコルビン酸(ビタミンC)、アスコルビン酸の脂肪酸エステル、トコフェロール(ビタミンE)、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール(DBPC)、又は3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソールがより好ましい。
【0099】
(H)酸化防止剤の含有量は特に制限はないが、良好な熱・酸化安定性を維持させるためにその含有量は、潤滑油全量基準で0.01質量%以上が好ましく、更に好ましくは0.05質量%以上、最も好ましくは0.1質量%以上である。一方それ以上添加しても効果の向上が期待できないことからその含有量は10質量%以下であることが好ましく、更に好ましくは5質量%以下であり、最も好ましくは3質量%以下である。
【0100】
また、本発明の潤滑油は、上記した以外の従来公知の添加剤を含有することができる。かかる添加剤としては、例えば、上記したリン化合物、硫黄化合物以外の極圧剤(塩素系極圧剤を含む);ジエチレングリコールモノアルキルエーテル等の湿潤剤;アクリルポリマー、パラフィンワックス、マイクロワックス、スラックワックス、ポリオレフィンワックス等の造膜剤;脂肪酸アミン塩等の水置換剤;グラファイト、フッ化黒鉛、二硫化モリブデン、窒化ホウ素、ポリエチレン粉末等の固体潤滑剤;アミン、アルカノールアミン、アミド、カルボン酸、カルボン酸塩、スルホン酸塩、リン酸、リン酸塩、多価アルコールの部分エステル等の腐食防止剤;ベンゾトリアゾール、チアジアゾール等の金属不活性化剤;メチルシリコーン、フルオロシリコーン、ポリアクリレート等の消泡剤;アルケニルコハク酸イミド、ベンジルアミン、ポリアルケニルアミンアミノアミド等の無灰分散剤;等が挙げられる。これらの公知の添加剤を併用する場合の含有量は特に制限されないが、これらの公知の添加剤の合計含有量が潤滑油全量基準で0.1〜10質量%となるような量で添加するのが一般的である。
【0101】
なお、本発明の潤滑油は、上述のように塩素系極圧剤などの塩素系添加剤を含有してもよいが、安全性の向上及び環境に対する負荷の低減の点からは、塩素系添加剤を含有しないことが好ましい。また、塩素濃度は、潤滑油全量基準で、1000質量ppm以下であることが好ましく、500質量ppm以下であることがより好ましく、200質量ppm以下であることが更に好ましく、100質量ppm以下であることが特に好ましい。
【0102】
本発明の潤滑油の動粘度は特に制限されないが、飛散防止性と低温性能との両立、並びに潤滑性の点から、その40℃における動粘度は、好ましくは10〜500mm/s、より好ましくは15〜400mm/s、更に好ましくは20〜350mm/s、一層好ましくは25〜100mm/s、特に好ましくは30〜90mm/s、最も好ましくは30〜80mm/sである。
【0103】
上記構成を有する本発明の潤滑油は、生分解性とべたつき防止性とを高水準で両立できるものであり、農業又は林業機械を長期にわたって安定的に運転することが可能な潤滑油であるため、様々な農業又は林業機械用潤滑油として好適に用いることができる。ここで、「農業又は林業機械」とは、鋸や刃などの切削部材をチェーンなどの駆動手段で動作させ、農作物や草木を分断する機械を意味する。かかる農業又は林業機械としては、具体的には、木材用のチェーンソー、芝刈り機などの切断機、農作物の刈り取り機又は収穫機、農作物のコンバイン又はバインダー(手押し式のコンバイン)、ゴルフ場や野外施設における草木の刈り取り、枝払い等に使用される機械などが挙げられる。
【実施例】
【0104】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0105】
[実施例1〜5、比較例1]
実施例1〜5及び比較例1においては、それぞれ表1に示す基油及び以下に示す添加剤を用いて、表2に示す組成を有する潤滑油を調製した。なお、本実施例で用いた高オレイン酸大豆油、高オレイン酸菜種油、高オレイン酸ひまわり油及び菜種油は、実質的に脂肪酸とグリセリンとのトリエステルからなるものであり、当該トリエステルは表1に示した脂肪酸組成を有するものである。また、表2、3中、高オレイン酸大豆油、高オレイン酸菜種油、高オレイン酸ひまわり油及び菜種白しめ油の含有量は、本発明でいうトリエステルの含有量に相当する。
(添加剤)
添加剤a:ポリメタアクリレート(一般式(E−2−2)で表され、Rが水素原子、Rがメチル基、Rが炭素数1〜18のアルキル基であるモノマー混合物の重合体、100℃における動粘度:1,700mm/s、平均分子量:150000)
添加剤b:2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール。
【0106】
【表1】

【0107】
次に、実施例1〜5及び比較例1の各潤滑油を用いて、以下に示す各種性能評価試験を実施した。
【0108】
[潤滑性試験]
各潤滑油について、高速四球試験法により、回転数1800rpm、荷重392Nで30minの摩耗試験を行い、摩耗痕径を測定して油剤の耐摩耗性を評価した。得られた結果を表2に示す。
【0109】
[べたつき防止性試験]
各潤滑油5mlをアルミニウム製皿(底面の縦100mm×底面の横70mm×容器高さ10mm)に秤取し、70℃の恒温槽内に静置した。168時間経過後、潤滑油が付着した部分のべたつきを指触判断し、以下の評価基準に基づきべたつき防止性を評価した。得られた結果を表2に示す。
A:べたつかない
B:ほとんどべたつかない
C:僅かにべたつく
D:べたつく
E:非常にべたつく。
【0110】
[生分解性試験]
各潤滑油について、CEC−33−A−93に規定された方法に準拠して、一定条件下における分解率を測定した。得られた結果を表2に示す。
【0111】
【表2】



【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリセリンと脂肪酸とのトリエステルであって、該脂肪酸中の40〜98質量%がオレイン酸であるトリエステルを含有することを特徴とする農業又は林業機械用潤滑油。



【公開番号】特開2006−274058(P2006−274058A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−95547(P2005−95547)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000004444)新日本石油株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】