説明

農業用煮釜

【課題】感電を避け、高電力に頼らないで屋内外で使用できるように軽量化されたかまど及び煮釜で、温水または熱湯による種子消毒、苗箱消毒、または植物エキスの抽出を可能にする。
【解決手段】薪またはバーナーを熱源とするかまど1、煮釜2、煙突3、排出口または抽出口4、踏み台5、種子籠6a、苗箱バンド6c、ろ過器7、固定枠8a、水切り支持棒8b及び圧搾器8cを備えた農業用煮釜を構成し、煮釜2に種子、苗箱または植物を浸け込み、種子消毒、苗箱消毒または植物エキス抽出する装置を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温水、熱湯消毒または植物エキスの抽出が容易にできる農業用煮釜に関する。
【背景技術】
【0002】
農業に対する環境保全の高まりから、病害虫予防対策として化学農薬を減らす手段として催芽機における温湯殺菌の対策を施したものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
種子を一定時間湯水に漬け込みして消毒し、病害を予防する方法として、電熱による温水殺菌装置付き催芽機が実用に共され実用上十分であった。しかし、前記の装置は、浸種、催芽、殺菌をする専用装置であった。またその装置の熱源には大きな消費電力を必要とするものであり、また屋外作業に関しての設置場所選定に不便があった。
【0004】
この改善策として、かまどで薪またはバーナーの熱源による温水または熱湯処理する方法であって、高電力源を必要としなく、水による感電の問題もなく、また作業設置場所が屋内外自由に選択できるように実現する。
【特許文献1】特開平5−328804号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
解決しようとする問題点は、種子及び苗箱消毒作業と、他に植物エキス抽出作業などの幅広い用途使用ができ、それと構造の軽量化を図って持ち運びに便利で迅速に対応できるようにする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、金属で軽量化を図ったかまどに薪またはバーナーを熱源とし、作業上支障のないよう煙突及び踏み台を具備し、そのかまどの上に煮釜を配置し、その煮釜上部に固定枠、下部側面に排水口が備えられて構成する。それと作業用途によって構成上、請求項1の種子消毒の場合、かまど、煮釜、煙突、踏み台、種子籠、排出口及び固定枠を備えた温水消毒装置を構成し、煮釜に配置する種子籠へ種子を浸け込み、その種子籠側部に複数個の撹拌板が具備され、種子籠を回転させて温水の均一を計りながら種子消毒するように構成されたことを特徴とする。
【0007】
また請求項2の苗箱消毒の場合、かまど、煮釜、煙突、踏み台、苗箱バンド、排出口、水切り支持棒及び固定枠を備えた熱湯消毒装置を構成し、苗箱を苗箱バンドでセットしたものを煮釜へ浸け込みを計って苗箱消毒するように構成されたことを特徴とする。
【0008】
それと請求項3の植物エキス抽出の場合、かまど、煮釜、煙突、踏み台、排出口、ろ過器及び圧搾器を備えた溶液抽出装置を構成し、煮釜へ植物の浸け込みを計って植物エキス抽出できるように構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、熱源を薪またはバーナーによるかまどの構成で、水による感電の心配がなく、高消費電力を必要としない。また作業設置場所が、屋内外において自由に選択ができる。
【0010】
煮釜上部の固定枠に、用途別に着脱可能な種子籠、水切り支持棒及び圧搾器を容易に具備することができ、また排出口に必要に応じてろ過器を取付けることで、種子消毒、苗箱消毒及び植物エキスの抽出が可能な用途の広い作業ができる利点がある。

【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
温水または熱湯にするかまど1、例えば約径625mm×高さ400mm、熱源を薪の燃焼火力+燠火、またはバーナーの出力調整による火炎強化で作業処理中の温水及び熱湯処理中の急激な温度低下を抑止して水温の安定化を確保し、そのかまど1に配置される煮釜2、例えば約径585mm×高さ800mm、その他具備する器具を軽量鋼によっで軽量化し、且つ安価に実現した。また作業し易いようにかまど1側部に煙突3と踏み台5が具備されてある。
【実施例1】
【0012】
図1は、本発明の種子消毒の実施する煮釜を示した斜視図であって、図2は前記の側面図で、図3は前記種子籠6aを示した説明図である。
【0013】
熱源が薪の場合、かまど1の焚き口から燃料である薪を入れ燃焼させる構造であって、その場合に作業に支障ないように煙をかまど1側面に具備されている煙突3を通じて排気され、煮釜2に8〜9分目に満たされている水を温水または熱湯に沸かす仕組みである。またはバーナーの場合、かまど1内部中央に図示されてない石油バーナーまたはガスバーナーが配置されて燃焼させる構造である。
【0014】
例えば作業気温10℃の種子消毒において、煮釜2の上部に具備されている固定枠9aに種子籠6aの側部に撹拌羽根6b4枚を具備し、ネット袋に種子適量詰めて準備しておく。例えば一袋5kg煮釜2上部端に設置の温度計8d60℃(殺菌温度)を若干2〜3℃越えたことを確認し、種子籠6aへネット袋の投入を計る。例えば一袋5kg×5個前後を同時処理。
【0015】
かまど1内部に適量の燠火、例えばその容量20リットルで60℃前後が保たれる。その間、適宜ゆっくりとネット袋の入った種子籠6aを左右に廻し処理時間、例えば5分間経過後直ちにネット袋を引き上げ、図示してない別の容器に入れ冷水処理をして消毒作業完了する。そして再び上記作業を繰り返す。
【0016】
図4は、苗箱消毒の実施する煮釜2を示した斜視図であって、図5は平面図で、図6は実施する苗箱バンド6cを示した説明図である。
【0017】
例えば作業気温10℃の苗箱消毒において、煮釜2の上部に具備されている固定枠8aに水切り支持棒8bを4本取付け、苗箱を苗箱バンド6cで梱包し準備しておく。例えば梱包された苗箱18枚を煮釜2上部端に設置の温度計8d85℃を確認し、直ちに苗箱バンド6bで梱包された苗箱の投入を計り、苗箱が浮上らないように水切り支持棒8bを中央へ移動して苗箱バンド6cの手持ちフックの所に合わせ押さえ、苗箱を完全に熱湯に埋没させる。
【0018】
例えば、熱湯消毒中のかまど1は常時薪で燃焼させておき処理温度80℃で処理時間3分間目安に、漬け込み開始後温度3〜5℃前後急低下することを考慮した85℃前後の漬け込み目標温度で実施、その漬け込み経過後、水切り支持棒8b4本それぞれ左右端に移動させて苗箱の押さえを開放し直ちに苗箱を引き上げると同時に、
【0019】
再び水切り支持棒8bを中央に寄せて、その上に消毒処理済み苗箱を載せて苗箱に含んだ熱湯の水切りを計りながら直下の煮釜2へ落下させる。その落下量が少なくなることを見計らって苗箱消毒を完了する。その後再び上記作業を繰り返す。
【0020】
図7は植物エキス抽出を示した斜視図であって、図8はろ過器7の取付け実施方法を示した説明図である。
【0021】
例えば植物エキスの抽出作業において、植物から煎剤として抽出する場合、煮釜2に水量8〜9分目を満し、熱湯処理温度85℃を煮釜2上部端の温度計8d確認後、直ちに適量の植物を投入し、予定の8分間漬け込みを計り、その間に煮釜2の下部側面の排出口4に、図8で示すろ過器7を取付け抽出の準備を整えておき、漬け込み終了時間になったら、ろ過器7備えられた排出口4のバルブを開放して、図示してない別の容器へ植物エキスを自然抽出する。
【0022】
または煮釜2の漬け込み溶液の植物エキスが排出され減量している間に、煮釜2上部の固定枠8aに圧搾器8cを取付け、図7で示す加圧ハンドルを廻し、排出口4に連結されたろ過器7から植物エキスが加圧抽出される。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明が、熱源を薪またはバーナーによって屋内外での利用ができ、しかも軽量化を実現できたことにより農業用煮釜の所有共有化が可能になり、農家の普及が高まれば、海及び河川の環境保全に計り知れない良い効果をもたらす。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の種子消毒の実施を示した斜視図である。
【図2】同上の側面図である。
【図3】同上の実施する種子籠を示した説明図である。
【図4】本発明の苗箱消毒実施を示した斜視図である。
【図5】同上の平面図である。
【図6】同上の実施する苗箱バンドを示した説明図である。
【図7】本発明の植物エキス抽出を示した斜視図である。
【図8】ろ過器の取付け実施方法を示した説明図である。
【符号の説明】
【0025】
1 かまど
2 煮釜
3 煙突
4 排出口または抽出口
5 踏み台
6a 種子籠
6b 撹拌羽根
6c 苗箱バンド
7 ろ過器
8a 固定枠
8b 水切り支持棒
8c 圧搾器
8d 温度計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
かまど、煮釜、煙突、踏み台、種子籠、排出口及び固定枠を備えた温水消毒装置を構成し、煮釜に配置する種子籠へ種子を浸け込み、その種子籠側部に複数個の撹拌板が具備され、種子籠を回転させて温水の均一を計りながら種子消毒することを特徴とする農業用煮釜。
【請求項2】
かまど、煮釜、煙突、踏み台、苗箱バンド、排出口、水切り支持棒及び固定枠を備えた熱湯消毒装置を構成し、苗箱を苗箱バンドでセットしたものを煮釜へ浸け込みを計って苗箱消毒することを特徴とする農業用煮釜。
【請求項3】
かまど、煮釜、煙突、踏み台、排出口、ろ過器及び圧搾器を備えた溶液抽出装置を構成し、煮釜へ植物の浸け込みを計って植物エキス抽出することを特徴とする農業用煮釜。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−230325(P2006−230325A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−52209(P2005−52209)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(391038039)
【Fターム(参考)】