説明

農業用組成物

植物生殖成長刺激物質としての及び植物の成熟の促進におけるカフェインファミリーのメンバーの使用。特に植物の開花、着色又は結実の促進におけるカフェインファミリーのメンバーの使用。また、50〜500ppmの範囲の濃度で存在するカフェインファミリーのメンバーを含む農業用組成物、並びに(i)カフェインファミリーのメンバー及び(ii)植物養分又は式(I)
【化1】


(式中、R1はC1-10アルキル基、又はC2-10アルケニル基であり、そしてMは原子価nのカチオンである)の化合物を含んでなる農業用組成物。また、組成物を含んでなる製剤及びその使用方法が含まれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、知られている化合物の新しい使用、その化合物を含んでなる新規な農業用組成物、組成物の製造方法及び特に植物の処理における、その使用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
天然由来の化合物カフェインは、よく知られており、多くの用途がある。それは、プリンアルカロイドである。プリンは、7H−イミダゾ[4,5−d]ピリミジンであり、そしてカフェインファミリーは、場合によりアルキル置換されたそのジオン誘導体である。
【0003】
植物栽培において、カフェインは、殺真菌剤としての使用が知られている。また、植物のDNA修復速度に対する効果を有することが知られている。また、一研究(Biologia Plantarum, (1998) vol. 40, No.3, pp 329−335)において、カフェインは、研究された系で、子葉成長、葉緑素生合成及び細胞伸長に対して弱いサイトカイニン様効果を生じうることがわかった。
【0004】
今回、カフェインが、植物成長に対して非サイトカイニン効果を有することができ、そしてカフェイン、及びプリンアルカロイドファミリーの他の関連メンバーが、植物成長刺激物質としての用途があることを見出した。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明により、カフェインファミリーのメンバーの、植物成長における植物生殖成長刺激物質としての使用が提供される。
【0006】
より詳しくは、植物の成熟を促進するため、カフェインファミリーのメンバーの植物成長における使用が提供される。
【0007】
より詳しくは、植物の開花の促進;植物における着色の促進;及び植物における結実の促進におけるカフェインファミリーメンバーの植物成長における使用が提供される。
【0008】
本発明によるカフェインファミリーメンバーの使用は、成長する植物、そして好ましくは作物産生植物へのカフェインファミリーメンバーの施用を含む。
【0009】
カフェインファミリーメンバーが、本発明に従って植物の処理において生殖性植物刺激物質として使用される場合、成長を促進できることが見出された。特に、より早期の及びより大きい成熟を達成することができる。顕花植物において開花を促進し、より早期の及び/又は増加した開花を観察することができる。結実植物では、より早く果物を発育させることができる。さらに結実植物では、果物の糖含量におけるより早期の増加が観察されるだけでなく、より高い果糖レベルが達成される。また、植物の着色を増強することができ、特にカロチノイドが存在する場合、特に赤色、黄色及び橙色の色素沈着による着色が増大及び加速される。また、カフェインファミリーメンバーの使用では、養分が地下水にあまり失われることなく、EDTAのようなキレートの使用とは異なり、その使用に伴って重金属が除かれることなく、そしてまたそれにより有害生物抑制手段に関連する使用が可能となるため有益である。
【0010】
本明細書に使用される「カフェインファミリー」なる用語は、プリン(7H−イミダゾ[4,5−d]ピリミジン)の、場合によりアルキル置換された、ジオン誘導体のことである。誘導体は、プリンの2,6ジオン誘導体であることが好ましい。プリン誘導体は非置換又は一、二若しくは三置換されうる。アルキル置換は、好ましくはプリン塩基分子上の1、3又は7位の1つ又はそれ以上である。アルキル置換は、いずれかのC1-4アルキル、例えばメチル、エチル又はプロピルであることができ、メチルが好ましい。
【0011】
本発明に使用するためのカフェインファミリーの好ましいメンバーとしては、カフェイン(3,7−ジヒドロ−1,3,7−トリメチル−1H−プリン−2,6−ジオン)、キサンチン(3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン)、テオブロミン(3,7−ジヒドロ−3,7−ジメチル−1H−プリン−2,6−ジオン)及びテオフィリン(3,7−ジヒドロ−1,3−ジメチル−1H−プリン−2,6−ジオン)が含まれる。最も好ましいメンバーは、カフェインである。
【0012】
本発明によれば、カフェインファミリーの1つ又はメンバーを使用することができる。
【0013】
本発明に従って使用する場合、カフェインファミリーのメンバーは、いずれかの適切な手段によって及びいずれかの適切な形態で、処理すべき植物に施用することができる。カフェインファミリーメンバーは、単独で使用してもよいし又は農業用組成物の一部として使用してもよい。
【0014】
さらに、本発明によれば、組成物がカフェインファミリーのメンバーを含み、その際、カフェインファミリーメンバーが50〜500ppmの範囲の濃度で存在する、植物生殖成長刺激物質として使用するための農業用組成物が提供される。
【0015】
カフェインファミリーメンバーは、例えば、固形又は液状形態で施用することができる。カフェインファミリーメンバーを送達しうる固形又は液状媒体を使用することができる。カフェインファミリーメンバーは、粉末製剤で施用することができる。カフェインファミリーメンバーは、粉末又は乾燥製剤中へのその組み込みを助けるため、不活性又は養分剤に結合することができる。粉末製剤では、結合剤は、必要となる小用量のカフェインファミリーメンバーを粉末製剤中へ組み込むのを促進するために存在することができる。適切な結合剤としては、不活性又は養分粉末、例えば硫酸マグネシウム、シリカなどが含まれる。カフェインは液状形態で施用するのが好ましく、カフェインは液状媒体中に溶解するか又は分散される。すべての適切な媒体を使用することができ、水が好ましい。
【0016】
カフェインファミリーメンバーは、純粋化合物として又は植物抽出物の形態で存在することができる。適切な植物抽出物は、高レベルでカフェインを有するものであり、茶及びコーヒー植物抽出物が含まれる。必要に応じて、植物抽出物の可溶性製剤を使用することができる。カフェインファミリーメンバーは、その塩形態で存在することができ、水溶性塩が好ましい。
【0017】
カフェインファミリーメンバーは、農業用組成物中に存在する場合、所望の結果を達成するのに適したあらゆるレベルで存在することができる。カフェインファミリーメンバーは、50〜500ppmの範囲、より好ましくは100〜300ppmの範囲、そして最も好ましくは150〜250ppm付近、例えば約200ppmの濃度で存在する。
【0018】
カフェインファミリーメンバーは、単独の活性成分として又は他のいずれかの適切な活性成分と併せて植物の処理に使用することができる。カフェインファミリーメンバーは、他のいずれかの成分の使用と同時に又はその前若しくはその後に使用することができる。カフェインファミリーメンバーは、他のいずれかの活性成分と別々に又は混合物中で使用することができる。カフェインファミリーメンバーは、例えばその性能を高めるために慣用の農業用組成物及び製剤と併せて使用することができる。カフェインファミリーメンバーは、とりわけ、新しい若しくは既存の肥料、農薬又は成長刺激組成物若しくは製剤と共に使用することができる。
【0019】
カフェインファミリーメンバーは、植物成長を促進できる1つ又はそれ以上の他の薬剤と併せて使用することが有益であることが見出された。適切なさらなる薬剤としては、ある種の植物の健康若しくは成長促進物質及び/又は植物養分が含まれる。
【0020】
本発明によれば、さらに、式(I)の水溶性塩と併せた、植物生殖成長刺激物質としてのカフェインファミリーメンバーの植物成長における使用が提供される。
【化1】

式中、R1はC1-10アルキル基又はC2-10アルケニル基であり、そしてMは原子価nのカチオンである。
【0021】
本発明によれば、(i)カフェインファミリーのメンバー及び(ii)上で定義された式(I)の化合物の水溶性塩を含んでなる農業用組成物がさらに提供される。
【0022】
さらに、本発明によれば、植物養分と併せて植物生殖成長刺激物質としてカフェインファミリーメンバーの植物成長における使用が提供される。
【0023】
さらに、本発明によれば、(i)カフェインファミリーのメンバー及び(ii)植物養分、を含んでなり、その際、カフェインファミリーメンバーが50〜500ppmの範囲の濃度で存在する農業用組成物が提供される。
【0024】
植物は、健康な成長のためにさまざまな養分を必要とする。これらには、多量要素(macronutrients)、二次要素(secondary nutrients)及び微量要素(micronutrients)が含まれる。本発明の組成物は、この種の植物養分のそれぞれ1つ又はそれ以上だけなくそれらの混合物を含むことができる。
【0025】
本発明の組成物に使用するための適切な多量要素としては、窒素、リン、カリウム、炭素及び水が含まれる。適切な二次要素としては、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、塩化物及び硫黄が含まれる。適切な微量要素としては、銅、コバルト、鉄、マンガン、ホウ素、モリブデン、亜鉛、ケイ素及びニッケルが含まれる。
【0026】
可能ならば、植物養分は、水溶性塩の形態で存在することが好ましい。適切な水溶性塩には、硝酸塩、硫酸塩及び塩化物が含まれ、硝酸塩及び塩化物が好ましい。具体的な例としては、硝酸亜鉛、硫酸鉄、硫酸亜鉛、硫酸マグネシウム、硫酸マンガン、硝酸鉄又は硝酸マンガンが含まれる。
【0027】
植物養分塩は、植物養分の性質に適した量で存在する。個々の多量要素は、5%〜20%w/w、好ましくは7〜15%w/w、そして最も好ましくは9〜15%w/wの量で組成物中に存在することができる。個々の二次要素は、5%〜15%w/w、好ましくは5〜10%、そして好ましくは最も好ましくは7〜9%w/wの量で組成物中に存在することができる。個々の微量要素は、0.001%〜1%w/w、好ましくは0.005〜0.9%w/w、そして最も好ましくは0.005〜0.6%w/wの量で組成物中に存在することができる。
【0028】
カフェインファミリーメンバーは、50〜500ppmの範囲、好ましくは100〜300ppmの範囲、そしてより好ましくは150〜250ppm付近の濃度、例えば約200ppmで組成物中に存在する。カフェインファミリーメンバーは、全組成物の0.005〜0.050%w/wの範囲、好ましくは0.01〜0.03%w/wの範囲、そしてより好ましくは0.015〜0.025%w/wの濃度、例えば約0.020%w/wで組成物中に存在する。
【0029】
カフェインファミリーメンバーを、式(I)の水溶性塩と併せて使用する場合、カチオンMは、金属カチオン、例えばアルカリ金属のカチオン、特にカリウム若しくはナトリウム(ここで、nは1である)又はアルカリ土類金属、例えばマグネシウム(ここでnは2である)であることができ、但し、そこから形成される塩は、水溶性である。従って、Mはカルシウム以外であることが適切である。塩は、水混和性油の形態(例えばカリウム及びナトリウム塩)であることができ、又はそれは、マグネシウム塩のような固形物の形態であることができる。
【0030】
アルキル又はアルケニル基R1は、直鎖又は分枝鎖であることができる。しかし、R1は直鎖アルキル又はアルケニル基であることが好ましい。
【0031】
具体的な実施態様において、R1は5個の炭素原子を含む。それは、式(I)の化合物がジヒドロジャスモン酸塩となるペンチル基から選択されるのが好ましく、又は式(I)の化合物がジャスモン酸塩となるようにペンタ−2−エニル基である。
【0032】
式(I)の化合物は、ジヒドロジャスモン酸の誘導体の水溶性塩であることが適切である。従って、特に好ましい塩は、ジヒドロジャスモン酸マグネシウムである。この塩は、きわめて良好な取扱い性及び流動性を有し、農薬製剤に関して特に有用である。
【0033】
式(I)の化合物における本発明の一実施態様において、Mは上記の通りであるが、但し、R1がペンタ−2−エニル基である場合、Mはナトリウム又はカリウム以外である。
【0034】
式(I)の化合物の塩は、0.001%〜1.000%w/wの濃度範囲、好ましくは0.003%〜0.500%w/wの濃度範囲、より好ましくは0.003%〜0.100%w/wの濃度範囲、そして最も好ましくは0.005%〜0.050%w/wの濃度範囲で存在することができる。
【0035】
式(I)の化合物は、式(II)
【化2】

(式中、R1は式(I)に関して定義された通りであり、そしてR2は水素又はヒドロカルビル基から選択される)の化合物を、式(III)
n+(OR3)n (III)
(式中、M及びnは、式(I)に関して定義された通りであり、そしてR3は水素又はC1-3アルキル基、例えばメチルである)の化合物と反応させることからなる方法を用いて製造することができる。反応は、溶媒中で適切に実施され、これは水又は有機溶媒、例えばアルカノール、特にメタノール又はトルエンであることができる。
【0036】
製造する特定の塩に応じて、反応は、適度な温度、例えば0から50℃まで、都合よくは室温で実施することができ、又は高められた温度、例えば50℃から100℃まで、そして都合よくは溶媒の還流温度で実施することができる。
【0037】
生成物は、溶媒を蒸発させた後、固形物として適切に回収されるか、又は製剤中に直接使用される水溶液の形態であってもよい。
【0038】
本明細書に使用されるように、用語「ヒドロカルビル」は、炭素及び水素を含んでなる有機部分、例えばアルキル、アルケニル、アルキニル、アリール又はアラルキル基、例えばベンジルのことである。用語「アルキル」は、適切には炭素原子1〜20個、そして好ましくは1〜10個を含む直鎖又は分枝鎖のことである。同じように、用語「アルケニル」及び「アルキニル」は、適切には炭素原子2〜20個、そして好ましくは2〜10個を含む不飽和ヒドロカルビル基のことである。用語「アリール」は、フェニル及びナフチルのような芳香族ヒドロカルビル基のことであるが、用語「アラルキル」は、ベンジルのようなアリール基で置換されたアルキル基のことである。
【0039】
具体的な実施態様において、R2がヒドロカルビル基である場合、それは、C1-10アルキル基、そして適切にはメチルのようなC1-6アルキル基から選択される。
【0040】
式(III)の化合物は、水酸化カリウムのような知られている化合物であり、それは直接使用することができる。別法として、式(III)の化合物は、その場で生成することができる。特に、これは、Mがマグネシウム塩である場合、及びR3がメチルのようなC1-3アルキル基である場合に適用できることができる。本出願人らは、本化合物を製造する良好なやり方が、ヨウ素のような触媒の存在下で、マグネシウムをC1-3アルカノール、例えばメタノールと反応させることであることを見出した。反応混合物を適切に加熱して式(III)の化合物を形成し、その後、同じアルカノール中の式(II)の化合物の溶液を加えて反応を開始する。
【0041】
式(II)の化合物は、知られている化合物であるか又は慣用の方法を用いて製造することができる。適切な反応条件は、熟練化学者に明らかであるが、R2がヒドロカルビル基である式(II)の化合物を、塩基、例えば水酸化ナトリウム、そして次に酸、例えば塩酸と反応させることが含まれうる。
【0042】
式(I)の化合物は、キラル中心を含むことができ、そして本発明は、光学活性形態を含む全ての形態、及びラセミ混合物を含む全ての比率におけるそれらの混合物を含む。
【0043】
カフェインファミリーメンバーは、50〜500ppmの範囲、より好ましくは100〜300ppmの範囲、そして最も好ましくは150〜250ppm付近の濃度、例えば約200ppmで組成物中に存在するのが好ましい。カフェインファミリーメンバーは、全体組成物の0.005〜0.050%w/wの範囲、より好ましくは0.01〜0.03%w/wの範囲、最も好ましくは約0.015〜0.025%w/w、例えば約0.020%w/wの濃度で組成物中に存在するのが好ましい。
【0044】
組成物は、固形粉末として施用することができる。それらは、例えば、粒子又は顆粒の形態であることができる。別法として、組成物は液状形態で適用することができる。
【0045】
また、本発明の組成物は、1つ又はそれ以上の他の農業上許容しうる成分を含むことができる。このような成分の例としては、水、養分物質、植物の健康又は成長促進物質、植物油、代謝刺激剤、乳化剤、増粘剤、沈殿防止剤、分散剤、担体又は賦形剤、可溶化剤、湿潤剤、結合剤及び精油が含まれる。
【0046】
適切な養分物質としては、上記の植物養分及びさらなる栄養生成物が含まれ、そして植物健康又は成長促進物質(又は刺激剤)としては、作物の栄養に慣用的に使用されるもの、例えば海草エキス粉末、フミン酸及びフルボ酸粉末、アミノ酸粉末並びに上で定義された式(I)の水溶性塩が含まれる。
【0047】
本発明の組成物中に含めるのに適した植物油としては、カノーラ油(アブラナ油)、ダイズ油、綿実、ヒマシ油、アマニ油及びパーム油が含まれる。
【0048】
本発明の組成物に使用するのに適した乳化剤としては、すべての知られている農業上許容しうる乳化剤が含まれる。特に、乳化剤は、界面活性剤、例えば:典型的に当分野で知られているようなアルキルアリールスルホン酸エステル、エトキシル化アルコール、ポリアルコキシル化ブチルエーテル、カルシウムアルキルベンゼンスルホネート、ポリアルキレングリコールエーテル及びブチルポリアルキレンオキシドブロックコポリマーを含むことができる。
【0049】
ノニルフェノール乳化剤、例えばトリトン(Triton)N57TMは、本発明の組成物に使用しうる乳化剤の具体例であり、これはポリオキシエチレンソルビタンエステル、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート(商品名「TweenTM」の下でICIにより販売されている)である。いくつかの場合、特に有機農法の施用には、天然有機乳化剤が好ましいといえる。ヤシ油、例えばココナッツジエタノールアミドは、このような化合物の例である。また、パーム油生成物、例えばステアリン酸ラウリルも使用することができる。
【0050】
本発明の組成物中に存在しうる増粘剤の例としては、ゴム、例えばキサンタンガム又はリグノスルホネート複合体が含まれ、これらは当分野で知られている。
【0051】
本発明の組成物中に含まれうる適切な沈殿防止剤としては、親水性コロイド(例えば多糖類、ポリビニルピロリドン又はカルボキシメチルセルロース)及び膨潤粘土(例えばベントナイト又はアタパルジャイト)が含まれる。
【0052】
本発明の組成物中に含めることができる適切な可溶化剤としては、例えば、溶媒中でカフェインファミリーメンバーの溶解度を高めるすべてのものが含まれる。水中のカフェインの溶解度は、例えば、アルカリベンゾエート、シンナメート、シトレート及びサリチレートによって高められる。
【0053】
本発明の組成物に使用するための適切な湿潤剤としては、当分野で知られているようなカチオン性、アニオン性、両性又は非イオン性タイプの界面活性剤が含まれる。
【0054】
粉末製剤では、必要な小用量のカフェインファミリーメンバーを粉末製剤中へ組み込むのを促進するために結合剤が存在しうる。適切な結合剤としては、不活性又は養分粉末、例えば硫酸マグネシウム、シリカなどが含まれる。
【0055】
本発明の組成物は、1つ又はそれ以上の精油又はその活性成分をさらに含む。組成物は、5%w/wを超えない、より適切には3%w/wを超えない、そして好ましくは1.5%w/wを超えない精油を適切に含むことができる。例えば、組成物は、1%w/wを超えない精油を含むことができる。
【0056】
本明細書に使用されるように、「精油」なる表現は、植物から入手可能な天然芳香油のことである。特定の精油としては、タゲテス油(tagetes oil)、例えばマンジュギク(Tagetes erecta)から入手可能な油、及びタイム油、例えばタチジャコウソウ(Thymus vulgaris)から入手可能な油、ウィンターグリーン油、ローズマリー油、ニンニク油、並びにケノポジ、コカノキ(Erythroxylum)、ユーゲニア(Eugenia)、シラタマノキ(Gaultheria)、ニクズク(Myristica)、シジギウム(Syzygium)、クサントフィルム(Xanthophyllum)、ニッケイ(Cinnamonium)、シラタマノキ(Gualtheria)、ワタ(Gossypium)及びハッカからの油が含まれる。しかし、本発明の組成物に含めるための精油は、以下の表1に記載されたそれらの科(families)を含む広範囲にわたる植物の科から入手可能である。また、表には、これらの科のそれぞれに見いだされる特定の種類の例が含まれている。
【0057】
〔表1〕

キツネノマゴ科(Acanthaceae)
Adhatoda vasica(マラバルナッツ)
ウルシ科(Anacardiaceae)
Anacardum occidentale(カシューナッツ)
バンレイシ科(Annonaceae)
Annona reticulata(牛心梨)
Annona squamosa(カスタードアップル)
Monodora myristica(ナツメグ)
セリ科(Apiacea)(umbelliferae)
Anethum graveolens(ディル)
carum carvi(ヒメウイキョウ)
Carum roxburghianum(ビショップボーフウ)
Pimpinella anisum(アニス果実)
キョウチクトウ科(Apocynaceae)
Nerium oleander(セイヨウキョウチクトウ)
サトイモ科(Araceae)
Acorus calamus(ショウブ)
キク科(Asteraceae)
Ageratum conzyaides(ゴートウィード)
Artemesia vulgaris(ヨモギ)
Bulmea balsamifera(ショウノウ)
Chrysanthemum indicum(シマカンギク)
Sausurea lappa(モッコウ)
Hellianthus annus(ヒマワリ)
アブラナ科(Brassicaceae)
Raphanus sativus(ダイコン)
ジャケツイバラ科(Ceasalpinaceae)
Erythrophleum suaveolens(ムバラカ)
フウチョウソウ科(Cappardaceae)
Bosica senegalensis
Cleome monophylla
ニシキギ科(Cellastraceae)
Celastrus angulatus(チャイニーズビタースイート)
アカザ科(Chenopodiacea)
Chenopodium ambrosiodes(アリタソウ)
オトギリソウ科(Clusiaceae)
Calophyllum inophyllgum(テリハボク)
ヒルガオ科(Convulvulaceae)
Convulvulus arvensis)(セイヨウヒルガオ)
ウリ科(Cucurbitaceae)
Momordica charantia(ツルレイシ)
フタバガキ科(Dipterocarpaceae)
Shorea robusta(サラノキ)
ツツジ科(Ericaeae)
Gualtheria procumbens(ヒメコウジ)
トウダイグサ科(Euphorbiaceae)
Jatropha curcus(ナンヨウアブラギリ)
マメ科(Fabaceae)
Butea frondosa(ハナモツヤクノキ)
Gliricidia sepium(マドルライラック)
Psoralea coylifolia
Pongamia glabra(クロヨナ)
Trigonella foenum(コロハ)
イネ科(Graminaceae)
Cymbopgon martini(ジンジャーグラス)
Oryza sativa(イネ)
シソ科(Laminaeae)
Bystropogon spp.
Coleus amboinicus(オレガノ)
Hyptis spicigera(黒ゴマ)
Hyptis suaveolens(ニオイニガクサ)
Lavendula angustifolia(ラベンダー)
Mentha arvensis(ハッカ)
Mentha longifolia(ナガバハッカ)
Mentha piperita(セイヨウハッカ)
Mentha spicata(オランダハッカ)
Osimum basilicum(メボウキ)
Osimum canum(アメリカンバジル)
Osimum kilimandscharicum
Osimum suave(ワイルドバジル)
Origanum vulgarae(ハナハッカ)
Pogostemon heyneanus(パチョリ)
Rosmarianus officianis(マンネンロウ)
Salvia officianalis(セージ)
Thymus vulgaris(タチジャコウソウ)
Tetradenia riparia(フブキバナ)
クスノキ科(Lauraceae)
Cinnamomum aromaticum(カシア)
Luaris nobilis(ゲッケイジュ)
ユリ科(Liliaceae)
Allium(ネギ属)
Allium sativum(ニンニク)
センダン科(Meliaceae)
Azadirachta indica(インドセンダン)
Melia azedarach(センダン)
ツヅラフジ科(Menispermaceae)
Cissampelos owariensis
ヤブコウジ科(Myrsinaceae)
Embelia ribes
フトモモ科(Myrtaceae)
Eucalyptus spp.(ユーカリノキ属)
Eucalyptus citriodara(レモンユーカリ)
Eucalyptus globus(ユーカリグローブス)
Eucalyptus terreticomis
Psidium guajava(グァバ)
Syzygium aromaticum(チョウジ)
ニクズク科(Myristicaceae)
Myristica fragrans(ナツメグ)
コショウ科(Piperaceae)
Piper cubeda(ジャワロングペッパー)
Piper guineense(アシャンティペッパー)
Piper nigrum(コショウ)
キンポウゲ科(Ranunculaceae)
Nigella sativa(ブラッククミン)
ミカン科(Rutaceae)
Aegle marmelos(カラタチ)
Citrus aurantifolia(ライム)
Citrus limon(レモン)
Citrus paradisi(グレープフルーツ)
Citrus sinensis(オレンジ)
Limonia acidissima(タナッカー)
Zanthoxylum alatum(フユザンショウ)
ニガキ科(Simarubaceae)
Quassia Africana
ナス科(Solanaceae)
Capsicum annum(トウガラシ)
Capsicum frutescens(キダチトウガラシ)
Lycopersicon esculentum(トマト)
Nicotiana tabacum(タバコ)
Withania somnifera(セキトメホオズキ)
クマツヅラ科(Vebenaceae)
Clerodendron siphonanthus
Lanatana camara(シチヘンゲ)
Lippia geminata(ワイルドセージ)
Vitex negundo(ニンジンボク)
ショウガ科(Zingiberaceae)
Afromomum melagueta
Alpinia galanga
Curcuma longa(ウコン)
Zingiber officinale(ショウガ)
【0058】
「その活性成分」なる用語は、植物で所望の活性を生じる精油中の化学物質のことである。このような活性には、代謝刺激効果、抗菌効果、昆虫又はクモ形類動物の致死又は忌避効果、抗ウイルス性及びウイルス修飾効果が含まれる。油は、単独で存在してもよいし、又は異なる油の組み合わせが含まれうる。
【0059】
カフェインファミリーメンバー及び本発明の農業用組成物は、いずれかの慣用のやり方、例えば土壌又は葉面散布によって植物、特に作物に施用することができる。それは、必要に応じて根系、茎、種、穀粒、塊茎、花、果実、などに施用することができる。施用手段の例としては、例えば静電式の若しくは他の慣用の噴霧器による噴霧法、又は点滴灌漑法若しくは滴下施肥システムが含まれ、これには土壌への直接施用が含まれる。
【0060】
本発明のカフェインファミリーメンバー及び組成物は、施用手段に適応させることができ、例えば、必要な施用手段に適した形態で製造される。それらは、施用前に希釈が必要な液状又は固形濃縮物の形態をとることができる。それらは、例えば、顆粒水和剤、徐放性又は速放性粒剤、液剤、油剤、微量散布液、乳剤、分散性濃厚物、水中油型及び油中水型エマルション、マイクロエマルション、濃厚懸濁液、エアゾル、カプセル懸濁剤及び種子処理剤にすることができる。組成物のエアゾルバージョンは、適切な噴射剤、例えばn−ブタンを使用して製造することができる。いずれかの場合に選択される形態のタイプは、意図する特定の目的及び組成物の物理的、化学及び生物的性質に左右される。
【0061】
本発明のカフェインファミリーメンバー及び組成物は、あらゆる慣用の技術及び方法を使用して製造することができる。粒剤は、例えば、組成物を単独で又は1つ若しくはそれ以上の粉末状の固形希釈剤若しくは担体と共に造粒することによって形成することができる。分散性濃厚物は、カフェインファミリーメンバー又は本発明の組成物を水又は有機溶媒、例えばケトン、アルコール又はグリコールエーテル中で混合することによって製造することができる。濃厚懸濁液は、適切な媒体中で組成物を場合により1つ又はそれ以上の分散剤と合わせて懸濁液を生成することによって製造することができる。1つ又はそれ以上の湿潤剤を懸濁液中に含めることができ、そして懸濁化剤は、沈降速度を遅くするために含めることができる。
【0062】
本発明のさらに他の態様によれば、本発明の組成物及び組成物が分散又は溶解されうる媒体を含んでなる、植物又は植物の環境に投与するための製剤が提供される。
【0063】
適切な媒体は、製剤の性質に応じて固形又は液状であることができ、そして組成物用にすべての知られている分散剤又は溶媒、例えば水又は水混和性液体、例えばn−プロパノールが含まれる。非加圧式の手で作動する噴霧ポンプで使用できる製剤が得られるような媒体が好ましい。媒体は、好ましくは溶媒、そして最も好ましくは水である。
【0064】
固形媒体又は希釈剤としては、自然粘土、カオリン、ピロフィライト、ベントナイト、アルミナ、モンモリロナイト、キーザルガー、チョーク、珪藻土、リン酸カルシウム、軽石、アタパルジャイト粘土、フラー土、粉砕したコーンコブ(corn cobs)、砂、シリケート、炭酸ナトリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸水素ナトリウム、硫酸マグネシウム、石灰、小麦粉、タルク、多糖類並びに他の有機物及び無機の固形担体が含まれる。
【0065】
液状媒体又は希釈剤には、水又は有機溶媒、例えばケトン、アルコール又はグリコールエーテルが含まれうる。これらの溶液は、表面活性剤を含むことができる(例えば水希釈度を改善する又は噴霧タンク中で結晶化を防止するため)。
【0066】
使用する分散剤又は溶媒、例えば、水の量は、製剤の特定の投与方式及びどこにそれを施用するかに左右される。一般に、本発明による製剤は、本発明の組成物10〜20%v/vを含むことができ、残りは分散剤又は溶媒、例えば水である。
【0067】
本発明による製剤は、カフェインファミリーメンバーを現在入手可能な農業用組成物、例えば既存の肥料と混合することによって製造することができる。必要な効果を達成するために必要となるカフェインファミリーメンバーの量は比較的低い(例えば200ppm付近)が、カフェインファミリーメンバーを知られている液状肥料生成物中に組み込むには困難が生じる。これは、大量の植物養分を有する液状肥料、すなわち肥料生成物を製造した後に高い元素分析を有するものに、カフェインを添加することに伴う特異的な問題であることがわかった。これは、生成物が元素で飽和しているため、塩に残っている溶媒が少ししかなくてカフェインを溶液中に組み込むことができないためである。ここで、これらの困難を克服し、そして高い養分含量のカフェインを含む液状組成物をうまく製造できる方法が見出された。
【0068】
本発明によれば、さらに、1つ又はそれ以上の植物養分を添加する前にカフェインファミリーメンバー及び溶媒を混合することからなる、カフェインファミリーのメンバー、1つ又はそれ以上の植物養分及び溶媒を含んでなる液状農業製剤の製造方法が提供される。
【0069】
本発明は、成長している植物、特に作物産生植物における使用に適している。温室作物、野菜及び果実作物、例えばトマト、イチゴ及びコショウの処理において特に用途があることがわかった。
【0070】
あらゆる特定の状態に施用される組成物又は製剤の量は、作物の性質のような多くの要因に応じて変化すると考えられる。典型的に、組成物又は製剤が溶液形態である場合、施用する溶液の量は、噴霧して2ml/lt及び20ml/ltの間の流出率となる溶液濃度で十分である。特定の実施態様において、本発明は、ヘクタール当たり1〜30リットル、そして好ましくはヘクタール当たり1〜10リットルの比率で作物に投与する肥料として本発明の組成物又は製剤の使用を提供する。
【0071】
組成物及び製剤は、単独で(そしてこの場合、それらは有機栽培者に適切でありうる)又は他の農薬、例えば殺真菌剤、殺虫剤又は殺ダニ剤と共に使用することができる。
【0072】
本発明の別の態様によれば、カフェインファミリーのメンバーを植物に又はその環境に施用することからなる、植物において生殖成長を刺激する方法が提供される。
【0073】
本発明の別の態様によれば、カフェインファミリーのメンバーを植物に又はその環境に施用することからなる、植物における成熟を促進する方法が提供される。
【0074】
本発明の別の態様によれば、カフェインファミリーのメンバーを植物又はその環境に施用することからなる、植物における開花を増進する又は開花の開始を促進する方法が提供される。
【0075】
本発明の別の態様によれば、カフェインファミリーのメンバー植物又はその環境に施用することからなる、植物における着色を改善する又は着色の開始を促進する方法が提供される。
【0076】
本発明の別の態様によれば、植物又はその環境にカフェインファミリーのメンバーを施用することからなる、植物における結実を改善する又は結実の開始を促進する方法が提供される。
【0077】
また、本発明による上記の方法の全てについて、カフェインファミリーのメンバーの施用に加えて方法は、植物養分又は式(I)の化合物を同時に又は順次いずれかの順序で、植物又はその環境に施用することからなる。
【化3】

式中、R1は、C1-10アルキル基又はC2-10アルケニル基であり、そしてMは原子価nのカチオンである。
【0078】
本発明の別の態様によれば、作物に投与するための肥料としての本発明による組成物又は製剤の使用が提供される。
【0079】
ここで、以下の実施例により本発明を具体的に説明する。
実施例1
以下の成分を混合することによって、本発明による農業製剤を製造した。
原料物質 % w/w
水 37.910
カフェイン 0.020
モリブデン酸ナトリウム 0.015
ホウ酸 0.600
リン酸 33.500
クエン酸 5.000
硫酸銅 0.450
硫酸マンガン 1.000
硫酸マグネシウム 6.300
硫酸鉄 1.500
硫酸亜鉛 1.450
硫酸コバルト 0.050
硫酸ニッケル 0.005
尿素 11.200
モラセス 1.000
実施例1の製剤では、カフェインを、多量及び微量要素と共に葉面散布施用に適した液状製剤中に組み込んだ。多量要素の窒素は、尿素から由来し、そして多量要素のリンは、リン酸から由来した。
【0080】
実施例2
以下の成分を混合することによって、本発明による農業製剤を製造した。
原料物質 % w/w
水 36.650
カフェイン99% 0.020
硝酸カルシウム 37.500
ホウ素(Solubor由来) 0.830
尿素 22.000
クエン酸 1.000
モラセス 2.000
実施例2の製剤では、カフェインを、多量要素の窒素及び比較的高い用量の二次要素のカルシウムと共に組み込んだ。
【0081】
実施例3
以下の成分を混合することによって、本発明による農業製剤を製造した。
原料物質 % w/w
水 53.280
カフェイン99% 0.020
クエン酸 2.000
硝酸カリウム 11.000
塩化カリウム 3.400
尿素 29.800
モラセス 0.500
実施例3の製剤では、カフェインを多量要素の窒素及びカリウムと共に組み込んだ。
【0082】
実施例4
以下の成分を混合することによって、本発明による農業製剤を製造した。
【表1】

【0083】
実施例5
以下の成分を混合することによって本発明による農業製剤を製造した。
【表2】

【0084】
実施例6
以下の成分を混合することによって、本発明による農業製剤を製造した。
【表3】

【0085】
植物の健康及び収率における本発明の効果を以下のように評価した。
試験試験1
テンサイの研究
方法:
テンサイの成長に対して本発明に基づく製剤を施用した際の違い(もしあれば)を評価するために試験を設定した。
2つの製剤を使用した:製剤1(本発明)及びカフェインを組み込んでない同じ製剤(対照)。製剤を下に示す:
【表4】

【0086】
試験画地(11.1m2画地×4)に置いたテンサイ植物に製剤を施用した。試験した植物変種は、ノゾミ(Nozomi)であった。植物を4月に移植し、7月と8月に噴霧し、そして10月に収穫した。
結果:
【表5】

結論:
本発明の製剤を施用した植物では根の糖含量の増加が観察された。
【0087】
試験試験2
タマネギの研究
方法:
タマネギの成長に対して本発明に基づく製剤を施用した際の違い(もしあれば)を評価するために試験を設定した。
2つの製剤を使用した:製剤1(本発明)及びカフェインを組み込むんでない同じ製剤(対照)。製剤を下に示す:
式1
物質 %w/w
水 24.903
モノエタノールアミン(MEA) 22.500
ホウ酸 52.300
モリブデン酸ナトリウム 00.297
式2
物質 %w/w
水 24.883
カフェイン 00.020
モノエタノールアミン(MEA) 22.500
ホウ酸 52.300
モリブデン酸ナトリウム 00.297
【0088】
サウジアラビアの試験画地に置いたタマネギ植物に製剤を施用した。1つの中心となる畑を選択し、そして2等分に分割した。一方の半分を対照として使用し、そしてもう半分を収穫の3週間前に本発明の製剤4リットルで処理した。
結果:
それぞれの画地からのタマネギ作物の収穫量を測定した。
対照:5803袋(bags) *11kg/袋/ha = 63.83Mt/ha
処理:6885袋 *11kg/袋/ha = 75.73Mt/ha
対照と処理した画地との間の収穫量における差は、75.73−63.83=11.9/63.83*100%=18.6%増加であった。
結論:
本発明の製剤を施用した植物では作物収穫量における増加が観察された。
【0089】
試験試験3
色の研究
方法:
基準肥料生成物と比較した時に、作物の成熟に対して本発明に基づく製剤を施用した際の違い(もしあれば)を評価するために試験を設定した。
2つの製剤を使用した:製剤1(対照)及びカフェインを組み込んだ同じ製剤(本発明)。製剤を下に示す:
式1
物質 %w/w
水 24.903
モノエタノールアミン(MEA) 22.500
ホウ酸 52.300
モリブデン酸ナトリウム 00.297
式2
物質 %w/w
水 24.883
カフェイン 00.020
モノエタノールアミン(MEA) 22.500
ホウ酸 52.300
モリブデン酸ナトリウム 00.297
【0090】
試験A −ピーマン、ヨルダン渓谷
保護されたピーマンの畦(ポリ−トンネル中)に葉面散布(散布液3ml/L、流出まで散布する)としてそれぞれの処理を施した。施用前に及び再び2日後に視覚による評点を用いて、色について作物を評価した。
結果:
【表6】

【0091】
議論
ピーマンの色における2つの処理の効果の間には顕著な差があった。処理2は、かなり高い色評点を示し、カフェイン200ppmを組み込むとピーマンにおける色の成熟がかなり高められることを示している。
【0092】
試験B −トマト、ヨルダン渓谷
5本の成熟したトマト植物に葉面散布としてそれぞれの処理を施した(3ml/L散布液、流出するまで散布した)。施用前、そして再び2日後に視覚による評点を用いて色について果実を評価した。
結果:
【表7】

【0093】
議論
トマトの色における2つの処理の効果の間に顕著な差があった。処理2は、かなり高い色評点を示し、カフェイン(200ppm)を組み込むとトマトの色の成熟がかなり高められることを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
植物成長における植物生殖成長刺激物質としてのカフェインファミリーのメンバーの使用。
【請求項2】
植物成長における植物の成熟を促進するためのカフェインファミリーのメンバーの使用。
【請求項3】
植物成長における植物の開花、着色又は結実の促進におけるカフェインファミリーのメンバーの使用。
【請求項4】
式(I)
【化1】

(式中、R1はC1-10アルキル基又はC2-10アルケニル基であり、そしてMは原子価nのカチオンである)
の化合物と併せた、カフェインファミリーメンバーの請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
組成物がカフェインファミリーのメンバーを含み、カフェインファミリーメンバーが50〜500ppmの範囲の濃度で存在する、植物生殖成長刺激物質として使用するための農業用組成物。
【請求項6】
カフェインファミリーのメンバー、及び式(I)
【化2】

(式中、R1はC1-10アルキル基又はC2-10アルケニル基であり、そしてMは原子価nのカチオンである)
の水溶性塩である植物の健康又は成長促進物質を含む農業用組成物。
【請求項7】
カフェインファミリーメンバーが50〜500ppmの範囲の濃度で存在する、請求項6に記載の農業用組成物。
【請求項8】
(i)カフェインファミリーのメンバー及び(ii)植物養分を含み、カフェインファミリーメンバーが50〜500ppmの範囲の濃度で存在する農業用組成物。
【請求項9】
植物養分が窒素、リン、カリウム、炭素及び水から選択される1つ又はそれ以上の多量要素;カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、塩化物及び硫黄から選択される1つ又はそれ以上の二次要素;又は銅、コバルト、鉄、マンガン、ホウ素、モリブデン、亜鉛、ケイ素及びニッケルから選択される1つ又はそれ以上の微量要素である、請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
カフェインファミリーメンバーが、プリンの非置換、一、二又は三置換された2,6ジオン誘導体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用、又は請求項5〜9のいずれか1項に記載の農業用組成物。
【請求項11】
カフェインファミリーメンバーが、カフェイン(3,7−ジヒドロ−1,3,7−トリメチル−1H−プリン−2,6−ジオン)、キサンチン(3,7−ジヒドロ−1H−プリン−2,6−ジオン)、テオブロミン(3,7−ジヒドロ−3,7−ジメチル−1H−プリン−2,6−ジオン)又はテオフィリン(3,7−ジヒドロ−1,3−ジメチル−1H−プリン−2,6−ジオン)である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の使用、又は請求項5〜9のいずれか1項に記載の農業用組成物。
【請求項12】
請求項4〜9のいずれか1項に記載の組成物、及び組成物が分散又は溶解することができる媒体を含む、植物又は植物の環境に施与するための製剤。
【請求項13】
1つ又はそれ以上の植物養分を添加する前にカフェインファミリーメンバー及び溶媒を混合することを含む、カフェインファミリーのメンバー、1つ又はそれ以上の植物養分、及び溶媒を含む液状農業用製剤の製造方法。
【請求項14】
カフェインファミリーのメンバーを植物又はその環境に施用することを含む、植物における生殖成長を刺激する方法。
【請求項15】
カフェインファミリーのメンバーを植物又はその環境に施用することを含む、植物における成熟を促進する方法。
【請求項16】
カフェインファミリーのメンバーを植物又はその環境に施用することを含む、植物における開花を増進する又は開花の開始を促進する方法。
【請求項17】
カフェインファミリーのメンバーを植物又はその環境に施用することを含む、植物における着色を改善する又は着色の開始を促進する方法。
【請求項18】
カフェインファミリーのメンバーを植物又はその環境に施用することを含む、植物における結実を改善する又は結実の開始を促進する方法。
【請求項19】
カフェインファミリーメンバーの施用に加えて、植物養分又は式(I)
【化3】

(式中、R1はC1-10アルキル基又はC2-10アルケニル基であり、そして、Mは原子価nのカチオンである)
の化合物を同時又は順次のいずれかの順序で植物又はその環境に施用することを含む、請求項13〜18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
作物に施与する肥料としての請求項5〜9のいずれか1項に記載の組成物、又は請求項12に記載の製剤の使用。

【公表番号】特表2009−513614(P2009−513614A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537185(P2008−537185)
【出願日】平成18年10月24日(2006.10.24)
【国際出願番号】PCT/GB2006/003952
【国際公開番号】WO2007/049027
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(505471679)プラント・インパクト・ピーエルシー (6)
【Fターム(参考)】