説明

送出装置

加圧計量投与吸入器(1)は、加圧された製品を収容するリザーバ(2)と、リザーバと連通する流入路(11)および使用時に製品がそこを通過する流出路(14)とを有するバルブ(9)と、磁化できる材質の部材(5)と、バルブに近接して延伸する接極子(8)と、接極子の少なくとも一部を取り囲む電磁石(7)とを含む。制御された電磁石の励磁が、1回以上、接極子の磁化できる材質の部材への吸着、または、磁化できる材質の部材からの反発を起こさせて、制御された時間だけバルブ操作バルブを操作して、流出路を通してリザーバから計量した投与量の加圧された製品を送出させることとなるように、接極子は、バブルと接続、または、バルブの一部として形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加圧された製品の計量された投与量を、典型的には口または鼻孔から吸入するために送出する送出装置に関する。特に、本発明は、加圧計量投与吸入器を提供することに関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤および他の製品の制御された投与量を送出するための加圧計量投与吸入器が公知である。加圧計量投与吸入器により送出した製品の、毎回の計量した投与量が正確に制御可能であることが重要である。典型的な加圧計量投与吸入器では、送出すべき毎回計量される投与量を定める計量チャンバを有する計量バルブが設けられる。計量チャンバの容積の管理は、計量投与吸入の正確な動作に重要である。このことは、必要な正確性を達成することを確実にするために、高い製造コストと、構成要素の厳密な試験とを要求する。さらに、そのような計量バルブは、バルブの寿命の間で送出される計量投与量が変動しやすい。これは、バルブの構成要素、特に、計量チャンバの構造に関与する歪み、低下および増大を含む多くの原因によってもたらされる。これは、そのような計量バブルに用いられるシールの構造および安定性がバルブの寿命を通して送出される計量投与量に影響し得る場合には顕著である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
少なくともそれらの問題のいくつかを克服することを企図するために、本発明の課題は、吸入器の毎回の動作において、送出される製品の量を管理するために、正確に容量を定めた計量チャンバに頼らない加圧計量投与吸入器の形式をとる送出装置を提供することとする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、加圧された製品を収容するリザーバと、
前記リザーバと連通する流入路および使用時に製品がそこを通過する流出路を有するバルブと、
磁化できる材質の部材と、
前記バルブに近接するまで延伸する接極子と、
前記接極子の少なくとも一部を取り囲む電磁石とを含み、
前記接極子は、制御された前記電磁石の励磁が、1回以上、前記接極子の前記磁化できる材質の部材への吸着、または、前記磁化できる材質の部材からの反発を起こさせて、制御された時間だけ前記バルブを操作して、前記バルブの流出路を通して前記リザーバから計量した投与量の加圧された製品を送出させることとなるように、前記バブルと接続、または、前記バルブの一部として形成されている加圧計量投与吸入器を提供する。
【0005】
好ましくは、前記磁化できる材質の部材は前記バルブに近接している。
【0006】
前記接極子を前記磁化できる材質の部材へ吸着することで、前記バルブを開放して、前記バルブの流出路を通して前記リザーバから計量した投与量の製品を送出してもよい。或いは、前記接極子を前記磁化できる材質の部材に対して反発させることで、前記バルブを開放し、前記バルブの流出路を通して前記リザーバから計量した投与量の製品を送出してもよい。
【0007】
好ましくは、前記バルブは、バルブ本体の中で開放位置と閉鎖位置との間で軸方向に移動可能なバルブ軸を含み、前記バルブ軸が前記解放位置にあるとき前記バルブの流出路を通しての製品の送出が可能であり、前記接極子は、前記バルブ軸と接続、または、前記バルブ軸の一部として形成されている。前記バルブ軸は、1以上のフランジを有し、前記接極子が1以上の前記フランジとの接触により前記バルブ軸に係合してもよい。
【0008】
好ましくは、前記接極子は、弾性力があり、磁力がないと前記バルブ軸に作用して、バルブ軸を閉鎖位置に向かって付勢する。
【0009】
前記バルブは、前記バルブ軸を前記閉鎖位置に向かって付勢する内部付勢ばねを有してもよい。
【0010】
好ましくは、前記バルブ軸は、前記バルブの流出路と連通する移送ポートを有し、さらに、前記バルブは、前記バルブ軸が閉鎖位置にあるとき、前記移送ポートを前記バルブの流入路に対して封鎖する外側シールを有する。
【0011】
前記バルブ軸を前記開放位置に移動させることで、前記移送ポートを前記外側シールを通過して前記バルブの流入路と連通するまで移動させ、前記移送ポートおよび前記バルブの流出路を介して、前記バルブを通しての製品の送出を可能にしてもよい。
【0012】
好ましくは、前記外側シールは、弾性材料で形成されている。
【0013】
前記加圧計量投与吸入器は、1つ以上の永久磁石を有する永久磁気回路をさらに含んでもよい。
【0014】
1つの実施形態において、前記磁化可能な材質の部材は、前記1つ以上の永久磁石から前記バルブに近接するまで延伸する単極の極部材を形成する。
【0015】
好ましくは、前記電磁石の第1の極性の励磁により前記接極子を前記極部材と接触するように移動させることによって、前記永久磁気回路を完成させる。
【0016】
好ましくは、前記極部材と接極子とが接触しているときの前記極部材と前記接極子との間で引き合う永久磁力は、電磁石を減磁したときに前記極部材と前記接極子とを接触状態に保つように、前記接極子の弾性力を超える。
【0017】
好ましくは、前記電磁石の第2を逆方向の極性に励磁することで、前記接触子の前記極部材との接触を断つように、前記極部材に前記接極子を反発させる。
【0018】
他の実施形態において、前記加圧計量投与吸入器は、1つ以上の永久磁石から前記バルブに近接するまで延伸する2つの極部材を形成し、前記接極子がその中に延伸する空隙を画定する2つの磁化可能な材質の部材を含む。
【0019】
好ましくは、前記電磁石を第1の極性に励磁することで、前記接極子を前記2つの極部材のうちの第1の極部材と接触して前記永久磁気回路を完成させるまで移動させる。
【0020】
好ましくは、前記第1の極部材と前記接極子とが接触しているときの前記第1の極部材と前記接極子との間の吸引永久磁力は、前記電磁石が減磁したときに前記第1の極部材と前記接極子とが接触を維持するように、前記極部材の弾性力を超える。
【0021】
好ましくは、前記電磁石を逆方向の第2の極性に励磁することで、前記接極子が前記第1の極部材との接触を断つように、前記2つの極部材のうちの第2の極部材に前記接極子を吸引させる。
【0022】
好ましくは、前記バブルの操作の前記制御された時間は、25から250msの間である。
【0023】
好ましくは、前記計量した投与量は、容積が5から300マイクロリットルの間である。より好ましくは、前記計量した投与量は、容積が10から100マイクロリットルの間である。
【0024】
前記加圧軽量投与吸入器は、前記リザーバに収容され、加圧された製品をさら含んでもよい。
【0025】
前記加圧された製品は、圧力が15から200psigの間に維持されてもよい。典型的には、前記加圧された製品は、室温約摂氏20度において、圧力が約60psigに維持されている。
【0026】
典型的には、前記加圧された製品は、揮発性の高圧ガスを含んでいる。前記高圧ガスは、1から30%の間のレベルのエタノールの有無を選ばず、HFA134aおよびHFA227の少なくともいずれかを含む。
【0027】
任意には、前記加圧された製品は、薬理活性製剤を含む。
【0028】
前記加圧計量投与吸入器は、前記バルブの各動作の後に、所定の時間だけ前記バルブの操作を断絶する電気的手段を更に含んでもよい。
【0029】
前記加圧計量投与吸入器は、電気的な投与量カウンタをさらに含んでもよい。
【0030】
本発明は、また、電磁石の接極子をバルブのバルブ軸に接続、または、電磁石の接極子をバルブのバルブ軸の一部として形成する工程と、
前記電磁石の制御された励磁により、前記バルブ軸が非送出位置から送出位置まで制御された時間の間だけ移動して、前記バルブの流出路を通って加圧された製品の計量された投与量の送出がなされるように、前記電磁石の前記接極子を、1回以上、磁化可能な材質の部材に向かって、または、前記磁化可能な材質の部材から遠ざかるように移動する工程とを含む、
加圧された製品を収容するリザーバと連通する流入路と、流出路とを有するバルブを含む形式の計量投与吸入器からの加圧された製品の送出方法を提供する。
【0031】
任意には、前記電磁石を励磁することで、前記バルブを送出位置に移動させる。
【0032】
1つの実施形態において、前記電磁石を減磁すると、前記バルブが非送出位置に移動するように、前記接極子の弾性力によって前記接極子が前記磁化可能な材質の部材から遠ざかるように移動させられる。
【0033】
他の実施形態において、前記計量投与吸入器は、前記電磁石を減磁した際に、前記電磁石が逆の極性の電流により再励磁されるまで、前記接極子の前記磁化可能な材質の部材との接触を維持するような、少なくとも1つの永久磁石をさらに含む。
【0034】
好ましくは、前記バブルの操作の前記制御された時間は、25から250msの間である。
【0035】
好ましくは、前記計量した投与量は、容積が5から300マイクロリットルの間である。
【0036】
前記加圧計量投与吸入器は、例えば、肺、鼻または舌下の供給装置とともに用いてもよい。前記加圧計量投与吸入器の好ましい使用は、薬剤計量投与噴霧吸入装置である。ここで使用する薬剤という用語は、薬剤、化合物、組成物、薬物、医薬品、または、人間または動物に供与または投与できる製品、例えば、調合薬、薬物、生物製剤および医学製品を包含することを意図する。例には、抗アレルギー物質、鎮痛剤、気管支拡張薬、抗ヒスタミン剤、治療用タンパク質およびペプチド、鎮咳薬、狭心症薬、抗生物質、抗炎症薬、ホルモン、または、例えば、血管収縮アミン、酵素、アルカロイド、またはステロイドのような抗感染症薬、および、それらの2つ以上の組み合わせを含む。特に、例はイソプロテレノール(α−(イソプロピルアミノメチル)プロトカテキルアルコール)、フェニレフリン、フェニルプロパノールアミン、グルカゴン、アドレノクロム、トリプシン、エピネフリン、エフェドリン、ノスカピン、コデイン、アトロピン、へパリン、モルヒネ、ジヒドロモルヒノン、エルゴタミン、スコポラミン、メタピリレン、シアノコバラミン、テルブタリン、リミテロール、サルブタモール、フルニソリド、コルヒチン、ピルブテロール、ベクロメタゾン、オルシプレナリン、フェンタニル、ジアモルフィン、ストレプトマイシン、ペニシリン、プロカインペニシリン、テトラサイクリン、クロルテトラサイクリンおよびヒドロキシテトラサイクリン、コーチゾン、ヒドロコーチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、プレドニゾロン、インシュリン、クロモリンナトリウムや、モメタゾンのような副腎皮質刺激ホルモンおよび副腎皮質ホルモン、および、それらの2つ以上の組み合わせを含む。
【0037】
薬剤は、遊離塩基または当業者にはありふれた1以上の塩、例えば、アセテート、ベンゼンスルホナート、安息香酸塩、重炭酸塩、酒石酸水素塩、臭化物、カルシウムエデト酸塩、カンシル酸塩、炭酸塩、塩化物、クエン酸塩、ジヒドロクロリド、エデト酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマレート、フルセプテート、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グルコリルアルサニレート、ヘキシルレゾルシネート、水素塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、リンゴ酸、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシレート、臭香メチル、メチル硝酸塩、メチル硫酸塩、ミューケート(mucate)、ナプシル酸塩、硝酸塩、パモエート、(エンボナート)、パントテン酸塩、燐酸塩、ピロリン酸塩、ポリガラクツロン酸塩、サリチル塩、ステアリン酸塩、2次酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩およびトリエチオダイド、並びに、それらの2つ以上の組み合わせが使用できる。陽イオン塩は、例えば、Na(ナトリウム)およびK(カリウム)のようなアルカリ金属と、アンモニア塩や、グリシン、エチレンジアミン、コリン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、オクタデシルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、1アミノ−2プロパノールアミノ−2(ヒドロキシメチル)プロパン−1、3ジオール、および、l−(3,4ジヒドロキシフェニール)−2イソプロピルアミノエタノールのような薬学的に許容されると当業者に知られているアミノ酸の塩を使用してもよい。
【0038】
薬剤は、典型的には、吸引に好ましいものの一つであり、エタノールおよびイソプロピルアルコールのような溶剤またはキャリア液の溶液または粉体懸濁液などのこの目的に好ましい如何なる形態であってもよい。典型的な圧縮ガスは、HFA134a、HFA227およびジメチルエーテルである。
【0039】
薬剤は、例えば、喘息の治療に好ましいものの一つであってもよい。その例には、サルブタモール、ベクロメタゾン、サルメテロール、フルチカゾン、フォルモテロール、テルブタリン、クロモグリク酸ナトリウム、ブデソニド、フルニソリド、生理的に許容できる塩(例えば、硫酸サルブタモール、キシナホ酸サルメテロール、プロピオン酸プロピオン酸、ジプロピオン酸ベクロメタゾンおよび硫酸テルブタリン)、溶媒和物およびエステル、並びに、それらの2つ以上の組み合わせを含む。例えばR−サルブタモールのような個別の異性体を使用することもできる。薬剤は、例えばフルチフォーム(flutiform)のような、1以上の活性成分を含むことができ、任意に、好ましいキャリア、例えば液体キャリアとともに提供されてもよいことは好都合である。
【0040】
加圧計量投与吸入器のバルブのシールおよびガスケットは、許容される機能的特徴を有する如何なる好ましい材質で形成されてもよい。好ましい例は、ニトリル、EPDMおよび他の熱可塑性エラストマー、ブチルおよびネオプレンを含む。
【0041】
バルブ本体およびバルブ軸のようなバルブの他の堅固な構成要素は、例えば、ポリエステル、ナイロン、アセタールまたは同様のもので形成できる。バルブの堅固な構成要素の代替材料は、ステンレス鋼、セラミックおよびガラスを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
ここに、本発明の実施形態は、添付の図を参照して、例示の方法としてのみ説明される。
【0043】
図1および2に示すように、加圧計量投与吸入器の形式をとる送出装置1は、液状の加圧された製品を保持するための内容積3を画定するリザーバ2を含む。典型的には、製品は、薬理活性製剤の懸濁液または溶液を含み、HFA134aまたはHFA227のような揮発性高圧ガスとともに保持され、エタノールのような任意の溶剤とともに保持される。リザーバ2は、プラグ4により封止された流入路から充填される。
【0044】
リザーバ2の内容積3と連通する流入路11を有するバルブ9が設けられている。図1に示すように、流入路11は、リザーバ2の内容積3とバルブ9のバルブ本体10の内部とを橋渡しする中空チューブ13からなってもよい。バルブ9は、さらに、バルブ本体10の中で、図1に示す非送出位置つまり閉鎖位置から、図2に示す送出位置つまり開放位置まで、軸方向に移動可能なバルブ軸12を含む。バルブ軸12は、バルブ本体10の中に位置する第1フランジ17を含む。ばね21がフランジ17の内側の肩と、バルブ本体1の肩との間に延伸し、バルブ軸12を図1に示す非送出位置に向かって付勢する。バルブ軸は、さらに、バルブ本体10の外側に位置し、その用途が後述される第2フランジ18および第3フランジ19を含む。
【0045】
バルブ本体10の内部から突出するバルブ軸12の遠位端は、流出路14で終端する中空ダクト22を含む。バルブ軸12の外部と中空ダクト22とを連通させる径方向の移送ポート12がバルブ軸12に形成されている。図1に示すように、バルブ軸12の遠位端にスプレーパターンブロック15が配置され、バルブ9を通して送出される製品の噴霧を改善してもよい。スプレーパターンブロック15は、送出された製品の乱流を最大化するために乱流生成構造23が設けられてもよい。
【0046】
バルブ本体10の外側端部は、弾性シール16によって閉塞して封止されている。バルブ軸12は、外部シール16の中央に形成された開口と摺動可能な締まり嵌めを形成する。
【0047】
図1に示すように、バルブ9は、軟鋼または鉄などの鉄類のような磁化可能な材質の部材で形成された極部材5の遠位端24に配置されている。極部材5は、細長く、上端がやはり鉄や鋼のような鉄類で形成された1対の棒板6に当接する。ばね鋼のような磁化可能な材質からなる細長い弾性変形可能な接極子8が、棒板6の間に挟み込まれ、そこから下方に、極部材5の遠位端およびバルブ9に近接するように延伸している。図1に示すように、接極子8の遠位端には、バルブ軸12が貫通して延伸する開口が設けられている。図1に示すように、接極子8は、接極子8の遠位端(図1に図示)の横方向の両方向の移動がバルブ軸12に接極子8に伴った移動を起こさせるように、バルブ軸12に第2フランジ18と第3フランジ19との間で接続されている。
【0048】
送出装置は、さらに、導電性ワイヤのコイルである電磁石7を含み、電磁石7は、概略図には不図示の接点および電源を用いて電流により励磁されてもよい。電流を供給する(電池以外の)代替手段として、吸入器またはその構成要素の移動により誘導される電流を利用してもよい。
【0049】
図1の非送出位置において、バルブ軸12の移送ポート20は、リザーバ内容積3に収容された加圧された製品が大気開放される経路が存在しないように、外側シール16で封止されたバルブ本体10の外側に位置する。リザーバ2から加圧された製品の投与量を送出するために、電磁コイル7は励磁され、接極子8に誘起される磁界を発生する。結果として、接極子8の遠位端は、極部材5の遠位端24に吸引される。この接極子8の動作は、バルブ軸12をバルブ9の内側に、図2に示す位置に移動させ、バルブ軸12の移送ポート20が外側シール16を通過してチャンバ本体10の内側に移動する。この位置において、リザーバ2の内容積3からの加圧された製品の流れが、バルブ軸12の、流入チューブ11、バルブ本体10の内部、移送ポート20およびの中空ダクト22に発生する。製品は、バルブ軸12の流出路14を出てパターンスプレーブロック15を通過して大気中に送出される。バルブ軸12が図1に示す位置に戻るまでこのような送出が継続されることが明らかである。図1に示す第1実施形態において、電磁石7の減磁が接極子8に誘起された磁界を中断させる。この点について、接極子8の自然な弾性力は、接極子8を伸長させようとし、これにより、接極子8の極部材5の遠位端24との接触を解消する動作と、バルブ軸12の図1に示す非送出位置への復帰動作とをもたらす。この動作は、任意に、バルブ9の中に内部ばね21を設けることにより補助されてもよいが、バルブ軸12を非送出位置に復帰させるのに使用するために、接極子8とともにスプリング21を設けても、接極子8を単独で設けてもよいと評価される。接極子8は、バルブ軸12の第1フランジ17のバルブ9の外側シール16との接触により完全に真っ直ぐに伸びることを防止される。電磁石7を励磁する時間と、移送ポート20のオリフィス径および流路の他のオリフィス径とによって、一回の投与において送出される製品の量は正確に管理される。好ましくは、製品の投与一回当たりの量は、10から300マイクロリットルの間である。
【0050】
電磁石7を励磁する正確なタイミングは、計量投与吸入器に収容したマイクロプロセッサおよびソフトウェア(概略図には不図示)によって制御される。送出サイクルの初期設定は、ユーザによる手動のトリガ操作またはユーザの呼吸等のきっかけ動作により開始してもよい。
【0051】
リザーバ2の中の製品の圧力は、室温約摂氏20度において、好ましくは、15から200psigであり、より好ましい圧力は、約60psigである。
【0052】
接極子8を吸引する磁化可能な材質の部材は延伸する必要はなく、本実施形態では、棒板6と接触するまで延伸する必要はない。代わりに、磁化可能な材質の別個の部材またはブロックをバルブ9に近接して設けてもよい。磁化可能な材質の部材は、バルブ9の一部を形成してもよい。
【0053】
図3は、本発明に係る送出装置の第2実施形態を示す。第1実施形態を同じ構成要素を示すのに、同じ参照番号が使用されている。第1実施形態と比較して、この装置は極部材5と棒板6との間に永久磁石30を設けた点が異なる。装置の他の構成に関しては同じである。本実施形態において、電磁石7が励磁されたとき、接極子8は、第1実施形態と同様に極部材5の遠位端24に当接するまで吸引される。しかしながら、接極子8と極部材5との間の接触は、極部材5、永久磁石30、棒板6および接極子8で構成される永久磁気回路を閉塞する。これにより、本実施形態においては、電磁石7が減磁されたとき、永久磁石30により発生する接極子8と極部材5との間の吸引力が接極子8の弾性力により発生する力よりも大きいので、接極子8が極部材5の遠位端24に接触した状態に維持される。電磁石7が反対の極性に再励磁され、接極子8に極性が反対の磁界を誘起させ、極部材5の遠位端24と接極子8との間の吸引力の断裂を招くまで、接触が維持され、それにより加圧された製品の送出が継続される。結果として、接極子8は、極部材5との接触を中断し、図3に示す非送出位置に復帰する。
【0054】
このように、本実施形態では、一回の計量投与の送出を実行するために、電磁石7の2通りの励磁が要求される。第1の励磁は、送出を開始するために、バルブ軸12を送出位置に移動させ、第2の励磁は、送出を停止するために、接極子と永久磁気回路との間の吸引力を打破し、接極子8を非送出位置に復帰させる。電磁石7の適切なタイミングの第1および第2の励磁により、送出される計量投与量が正確に制御される。
【0055】
第1および第2実施形態のバルブ動作方向は、接極子8を極部材5に接触させる吸引がバルブ軸を非送出位置に移動させ、接極子8の極部材との接触から脱離する動作がバルブ軸を送出位置に移動させるように、反対にしてもよい。
【0056】
第1および第2実施形態のいずれについても、装置は、接極子8およびバルブ軸12が極部材の端面の間の空隙の中に位置するように、第1の極部材5の遠位端24に対向する遠位端を有するように配置した、第2の極部材を形成する磁化可能な材質の補完部材(および任意に第2の永久磁石)を設ける修正がなされてもよい。そのような配置では、電磁石7の電流の向きを洗濯することにより、接極子8を一方または他方の極部材に吸引させることができる。一方の極部材への吸引は、バルブ軸12の送出位置への移動に用いることができ、他方の極部材に向かっての吸引は、バルブ軸12を非送出位置に移動させるのに用いることができる。この配置は、バルブ9の開放および閉塞の両方を、潜在的に高速の応答およびバルブのより確実な閉鎖が可能な磁気吸引力を用いて達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に係る送出装置の第1実施形態の非送出位置における概略断面図。
【図2】図1の送出装置の送出位置における概略断面図。
【図3】本発明に係る送出装置の第2実施形態の非送出位置における概略断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧された製品を収容するリザーバと、
前記リザーバと連通する流入路および使用時に製品がそこを通過して送出される流出路を有するバルブと、
磁化できる材質の部材と、
前記バルブに近接するまで延伸する接極子と、
前記接極子の少なくとも一部を取り囲む電磁石とを含み、
前記接極子は、制御された前記電磁石の励磁が、1回以上、前記接極子の前記磁化できる材質の部材への吸着、または、前記磁化できる材質の部材からの反発を起こさせて、制御された時間だけ前記バルブを操作して、前記バルブの流出路を通して前記リザーバから計量した投与量の加圧された製品を送出させることとなるように、前記バブルと接続、または、前記バルブの一部として形成されている加圧計量投与吸入器。
【請求項2】
前記磁化できる材質の部材は、前記バルブに近接している請求項1に記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項3】
前記接極子を前記磁化できる材質の部材へ吸着することで、前記バルブを開放して、前記バルブの流出路を通して前記リザーバから計量した投与量の製品を送出する請求項1または2に記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項4】
前記接極子を前記磁化できる材質の部材に対して反発させることで、前記バルブを開放し、前記バルブの流出路を通して前記リザーバから計量した投与量の製品を送出する請求項1または2に記載の加圧軽量投与吸入器。
【請求項5】
前記バルブは、バルブ本体の中で開放位置と閉鎖位置との間で軸方向に移動可能なバルブ軸を含み、前記バルブ軸が前記解放位置にあるとき前記バルブの流出路を通しての製品の送出が可能であり、前記接極子は、前記バルブ軸と接続、または、前記バルブ軸の一部として形成されている請求項1から4のいずれかに記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項6】
前記バルブ軸は、1以上のフランジを有し、前記接極子が1以上の前記フランジとの接触により前記バルブ軸に係合する請求項5に記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項7】
前記接極子は、弾性力があり、磁力がないと前記バルブ軸に作用して、バルブ軸を前記閉鎖位置に向かって付勢する請求項5または6に記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項8】
前記バルブは、前記バルブ軸を前記閉鎖位置に向かって付勢する内部付勢ばねを有する請求項5から7のいずれかに記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項9】
前記バルブ軸は、前記バルブの流出路と連通する移送ポートを有し、さらに、前記バルブは、前記バルブ軸が前記閉鎖位置にあるとき、前記移送ポートを前記バルブの流入路に対して封鎖する外側シールを有する請求項5から7のいずれかに記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項10】
前記バルブ軸を前記開放位置に移動させることで、前記移送ポートを前記外側シールを通過して前記バルブの流入路と連通するまで移動させ、前記移送ポートおよび前記バルブの流出路を介して、前記バルブを通しての製品の送出を可能にする請求項9に記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項11】
前記外側シールは、弾性材料で形成されている請求項10に記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項12】
前記加圧計量投与吸入器は、1つ以上の永久磁石を有する永久磁気回路をさらに含む請求項1から11のいずれかに記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項13】
1つの実施形態において、前記磁化可能な材質の部材は、前記1つ以上の永久磁石から前記バルブに近接するまで延伸する単極の極部材を形成する請求項12に記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項14】
前記電磁石の第1の極性の励磁により前記接極子を前記極部材と接触するように移動させることによって、前記永久磁気回路を完成させる請求項13に記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項15】
前記極部材と接極子とが接触しているときの前記極部材と前記接極子との間で引き合う永久磁力は、電磁石を減磁したときに前記極部材と前記接極子とを接触状態に保つように、前記接極子の弾性力を超える請求項14に記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項16】
前記電磁石の第2を逆方向の極性に励磁することで、前記接触子の前記極部材との接触を断つように、前記極部材に前記接極子を反発させる請求項15に記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項17】
前記加圧計量投与吸入器は、1つ以上の永久磁石から前記バルブに近接するまで延伸する2つの極部材を形成し、前記接極子がその中に延伸する空隙を画定する2つの磁化可能な材質の部材を含む請求項12に記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項18】
前記電磁石を第1の極性に励磁することで、前記接極子を前記2つの極部材のうちの第1の極部材と接触して前記永久磁気回路を完成させるまで移動させる請求項17に記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項19】
前記第1の極部材と前記接極子とが接触しているときの前記第1の極部材と前記接極子との間の吸引永久磁力は、前記電磁石が減磁したときに前記第1の極部材と前記接極子とが接触を維持するように、前記極部材の弾性力を超える請求項18に記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項20】
前記電磁石を逆方向の第2の極性に励磁することで、前記接極子が前記第1の極部材との接触を断つように、前記2つの極部材のうちの第2の極部材に前記接極子を吸引させる請求項19に記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項21】
前記バブルの操作の前記制御された時間は、25から250msの間である請求項1から20のいずれかに記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項22】
前記計量した投与量は、容積が5から300マイクロリットルの間である請求項1から21のいずれかに記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項23】
前記計量した投与量は、容積が10から100マイクロリットルの間である請求項22に記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項24】
前記リザーバに収容され、加圧された製品をさら含む請求項1から23のいずれかに記載の加圧投与吸入装置。
【請求項25】
前記加圧された製品は、圧力が15から200psigの間に維持されている請求項24に記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項26】
前記加圧された製品は、室温約摂氏20度において、圧力が約60psigに維持されている請求項25に記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項27】
前記加圧された製品は、揮発性の高圧ガスを含んでいる請求項24から26のいずれかに記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項28】
前記高圧ガスは、1から30%の間のレベルのエタノールを有するか、または有しない、HFA134aおよびHFA227の少なくともいずれかを含む請求項27に記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項29】
前記加圧された製品は、薬理活性製剤を含む請求項24から28のいずれかに記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項30】
前記バルブの各動作の後に、所定の時間だけ前記バルブの操作を断絶する電気的手段をさらに含む請求項1から29のいずれかに記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項31】
電気的な投与量カウンタをさらに含む請求項1から30のいずれかに記載の加圧計量投与吸入器。
【請求項32】
電磁石の接極子をバルブのバルブ軸に接続、または、電磁石の接極子をバルブのバルブ軸の一部として形成する工程と、
前記電磁石の制御された励磁により、前記バルブ軸が非送出位置から送出位置まで制御された時間の間だけ移動して、前記バルブの流出路を通って加圧された製品の計量された投与量の送出がなされるように、前記電磁石の前記接極子を、1回以上、磁化可能な材質の部材に向かって、または、前記磁化可能な材質の部材から遠ざかるように移動する工程とを含む、
加圧された製品を収容するリザーバと連通する流入路と、流出路とを有するバルブを含む形式の計量投与吸入器からの加圧された製品の送出方法。
【請求項33】
前記電磁石を励磁することで、前記バルブを送出位置に移動させる請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記電磁石を減磁すると、前記バルブが非送出位置に移動するように、前記接極子の弾性力によって前記接極子が前記磁化可能な材質の部材から遠ざかるように移動させられる請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記計量投与吸入器は、前記電磁石を減磁した際に、前記電磁石が逆の極性の電流により再励磁されるまで、前記接極子の前記磁化可能な材質の部材との接触を維持するような、少なくとも1つの永久磁石をさらに含む請求項33に記載の方法。
【請求項36】
前記バブルの操作の前記制御された時間は、25から250msの間である請求項32から35のいずれかに記載の方法。
【請求項37】
前記計量した投与量は、容積が5から300マイクロリットルの間である請求項32から35のいずれかに記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−534405(P2007−534405A)
【公表日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−510106(P2007−510106)
【出願日】平成17年4月27日(2005.4.27)
【国際出願番号】PCT/GB2005/001601
【国際公開番号】WO2005/105187
【国際公開日】平成17年11月10日(2005.11.10)
【出願人】(591004308)ベスパック パブリック リミテッド カンパニー (5)