説明

送電システム

【課題】超電導ケーブルを簡素な構造で冷却することができる送電システムを提供する。
【解決手段】送電用の超電導ケーブル9と、超電導ケーブル9を冷却するための冷媒となる液化ガスの入口部及び出口部と、前記入口部と前記出口部との間を非循環で連通してなり、前記液化ガスが流れる冷却用管路96とを備え、前記入口部と前記出口部との間に、冷却用管路96内の前記液化ガスを冷却するためのガスステーション8を複数設けた送電システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送電システムに関し、特に送電用の超電導ケーブルを備える送電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
超電導ケーブルは、超電導材が臨界温度以下になるように冷却される必要がある。超電導ケーブルの従来の冷却手法では、特許文献1に記載の超電導ケーブル線路や特許文献2に記載の超電導ケーブルのように、超電導ケーブルを複数の区間に分割し、区間毎に冷媒を循環させるための循環冷媒流路を設けて、区間内で冷媒を循環させる構成を採用している。
【0003】
【特許文献1】特開2002−56729号公報
【特許文献2】特開平1−186511号公報(第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した超電導ケーブルの従来の冷却手法では、冷媒を循環させるが故に循環冷媒流路の経路ひいては冷却機構が複雑であるという課題を有している。そして、長距離での送電を考えると、循環冷媒流路を多数設けることになり、当該課題がより一層深刻になる。
【0005】
本発明は、上記の状況に鑑み、超電導ケーブルを簡素な構造で冷却することができる送電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明に係る送電システムは、送電用の超電導ケーブルと、前記超電導ケーブルを冷却するための冷媒となる液化ガスの入口部及び出口部と、前記入口部と前記出口部との間を非循環で連通してなり、前記液化ガスが流れる冷却用管路とを備え、前記入口部と前記出口部との間に、前記冷却用管路内の前記液化ガスを冷却するための冷却装置を複数設けた構成とする。なお、前記冷却用管路は、前記超電導ケーブルの内部に設けられる形態、前記超電導ケーブルの外部に設けられる形態のいずれであっても構わない。
【0007】
このような構成によると、冷却用管路が非循環であるので、循環経路が不要となり、超電導ケーブルを簡素な構造で冷却することができる。なお、長距離での送電では、冷却装置の設置数が増大するため、本発明による効果が顕著になる。
【0008】
また、前記冷却装置の電源として、太陽光発電を行う電源を設けてもよい。このような構成によると、商用電源の設備がない場所にでも冷却装置を配置することができる。
【0009】
また、前記超電導ケーブルで送電するための電力を生成する発電装置を設け、前記発電装置が生成した電力を前記超電導ケーブルに伝送する伝送部と前記超電導ケーブルとの接続部分に、前記冷却装置を設けてもよい。このような構成によると、効果的に冷媒(液化ガス)の冷却を行うことができる。
【0010】
また、前記発電装置が太陽光発電装置であってもよい。
【0011】
また、前記入口部と前記出口部との間に、前記冷却用管路内に前記液化ガスを補充するための補充部を複数設けてもよい。このような構成によると、冷却用管路の途中で気化などにより冷媒(液化ガス)が減少するようなことがあっても、冷却状態を安定化させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明の構成によると、冷却用管路が非循環であるので、循環経路が不要となり、超電導ケーブルを簡素な構造で冷却することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の実施形態について図面を参照して以下に説明する。本発明の第1実施形態に係る送電システムの概略構成を図1に示す。
【0014】
図1に示す本発明の第1実施形態に係る送電システムは、太陽光発電電力を超電導ケーブルによって送電する送電システムであって、太陽電池ユニット1と、太陽電池ユニットから出力される直流電圧を交流電圧に変換するインバータ装置2と、照明灯3と、負荷(例えば表示灯等)4とを有する太陽光発電ユニット100を複数備えるとともに、太陽電池ユニット1と、太陽電池ユニット1から出力される直流電圧を交流電圧に変換するインバータ装置2とを有する太陽光発電ユニット101を複数備える。太陽光発電ユニット100及び101は、太陽電池ユニット1の長手方向に沿って例えば高速道路の遮音壁NBに配置され、太陽光発電ユニット100を所定数(例えば9個)連続で並べ1個の太陽光発電ユニット101を挟んでさらに太陽光発電ユニット100を所定数(例えば9個)連続で並べることを繰り返している。
【0015】
また、図1に示す本発明の第1実施形態に係る送電システムは、太陽光発電ユニット100のインバータ装置2、照明灯3、及び負荷4又は太陽光発電ユニット101のインバータ装置2に接続される分電盤5と、分電盤5を介して太陽光発電ユニット100のインバータ装置2、照明灯3、及び負荷4並びに太陽光発電ユニット101のインバータ装置2に接続されるAC400V送電線6とを備える。
【0016】
さらに、図1に示す本発明の第1実施形態に係る送電システムは、AC400V送電線6側からの電圧を高電圧に変圧して超電導ケーブル9側に供給する又は超電導ケーブル9側からの電圧を低電圧に変圧してAC400V送電線6側に供給する定格容量150kVAのトランス7と、冷媒(液化ガス)である液体窒素を超電導ケーブル9に供給するとともに、トランス7の高圧側と超電導ケーブル9との接続を仲介するガスステーション8と、ガスステーション8を介してAC400V送電線6に接続される超電導ケーブル9とを備える。なお、超電導ケーブル9はAC22kV以上の送電線として機能する。また、ガスステーション8は、液体窒素を冷却するための冷却装置としての機能と、液体窒素を補充するための補充部の機能とを兼ね備えている。
【0017】
天候の良い日中であって太陽電池ユニット1に日が当たって太陽光発電ユニット100及び101が発電を行っている場合、太陽光発電ユニット100及び101の発電電力は、分電盤5、AC400V送電線6、トランス7、ガスステーション8、超電導ケーブル9へと順に渡っていくので、AC400V送電線6や超電導ケーブル9等によって他の電力消費地に送電される。なお、負荷4が天候の良い日中においても電力を消費する負荷である場合、太陽光発電ユニット100の発電電力は負荷4にも送電される。一方、夜間や天候の悪い日中であって太陽電池ユニット1に日が当たらず太陽光発電ユニット100及び101が発電を行っていない場合、発電所等からの電力が超電導ケーブル9、ガスステーション8、トランス7、AC400V送電線6、分電盤5、へと順に渡ってくることで、照明灯3及び負荷4に電力が供給される。
【0018】
インバータ装置2は最大電力点追尾機能を有することが望ましく、本実施形態ではインバータ装置2が最大電力点追尾機能を有するものとする。インバータ装置2が最大電力点追尾制御を行っている場合、多数の太陽光発電ユニット100及び101がAC400V送電線6に接続されると、多数の太陽光発電ユニット100及び101から出力される電圧によるAC400V送電線6の電圧上昇が問題となる。この電圧上昇を抑制するために、AC400V送電線6には所定の間隔でグリッドが設けられている。
【0019】
次に、太陽電池ユニット1の構成例について図2を参照して説明する。図2に示す構成例では、太陽電池ユニット1は、開放電圧240V以上の高電圧出力薄膜太陽電池モジュールM1を75個有しており、75個の高電圧出力薄膜太陽電池モジュールM1を直列数1且つ並列数75で接続しており、高電圧出力薄膜太陽電池モジュールM1の並列方向が太陽電池ユニット1の長手方向になる。そして、太陽電池ユニット1とインバータ装置2とが接続ケーブルにより接続されている。
【0020】
高電圧出力薄膜太陽電池モジュールを用いて太陽電池ユニットを構成する場合、図2に示す構成例のように、直列数を少なくして太陽電池ユニットの開放電圧が所定の範囲の上限を超えないようにする必要がある。なお、前記所定の範囲は太陽電池ユニットの出力電圧を変換する変換装置(例えばインバータ装置)の仕様に従って設定される。
【0021】
太陽電池ユニット1の他の構成例について図3を参照して説明する。図3に示す構成例では、太陽電池ユニット1は、結晶系太陽電池モジュールM2を75個有しており、75個の結晶系太陽電池モジュールM2を一列に並べて、75個の結晶系太陽電池モジュールM2を直列数25且つ並列数3で接続しており、75個の結晶系太陽電池モジュールM2を一列に並べている方向が太陽電池ユニット1の長手方向になる。そして、太陽電池ユニット1とインバータ装置2とが接続ケーブルにより接続されている。
【0022】
結晶系太陽電池モジュールを用いて太陽電池ユニットを構成する場合、図3に示す構成例のように、直列数を多くして太陽電池ユニットの開放電圧が所定の範囲の下限を超えないようにする必要がある。なお、前記所定の範囲は太陽電池ユニットの出力電圧を変換する変換装置(例えばインバータ装置)の仕様に従って設定される。
【0023】
図3に示す構成例では、太陽電池ユニット1内の3つの並列群を一列に並べているため、太陽電池ユニット1とインバータ装置2とを接続するための接続ケーブルの引き回しが図2に示す構成例よりも多くなり、図2に示す構成例よりも電力損失が大きくなる。したがって、図3に示す構成例よりも図2に示す構成例の方がより好ましい。
【0024】
次に、超電導ケーブルの冷却機構について図4を参照して説明する。図4は、図1における超電導ケーブル9とその冷却機構の全体像を示す図である。
【0025】
超電導ケーブル9の一端には、液体窒素の入口部となる入口ステーション90が設けられており、超電導ケーブル9の他端には、液体窒素の出口部となる出口ステーション93が設けられており、さらに、入口ステーション90と出口ステーション93との間を非循環で連通してなる冷却用管路96が超電導ケーブル9内部に設けられている。
【0026】
入口ステーション90は、液体窒素を貯蔵する貯蔵タンク91と、貯蔵タンク91に貯蔵されている液体窒素を冷却用管路96に圧送する圧送ポンプ92とを備えている。出口ステーション93は、冷却用管路96から送られてきた液体窒素を貯蔵する貯蔵タンク94と、開状態になったときに貯蔵タンク94に貯蔵されている液体窒素を外部に放出する開閉弁95とを備えている。外部に放出する場合、気化させて大気中に放出しても構わないし、工場で配管して液体窒素のまま又は気化させて利用しても構わない。
【0027】
ガスステーション8は、入口ステーション90と出口ステーション93との間に複数設けられている。ガスステーション8は、上述した通り、トランス7の高圧側と超電導ケーブル9との接続を仲介している。図1に示す本発明の第1実施形態に係る送電システムでは、ガスステーション8の電源(加圧ポンプ80の電源、制御部86の電源など)に、太陽光発電ユニット100及び101の発電電力を利用している。すなわち、ガスステーション8の電源は、トランス7の高圧側出力から電源をとっている。また、ガスステーション8は、冷却用管路96中を流れる液体窒素が管路壁面との摩擦熱等により加温され、また送出圧力が徐々に減少するので、冷却用管路96を流れる液体窒素を一旦取り出して、加圧ポンプ80による加圧及び冷却器81による冷却を行って冷却用管路96に再送出する。
【0028】
冷却用管路96中を流れる液体窒素は、断熱された加圧状態にあるので、基本的には液体の状態が維持されるが、管路壁面との摩擦熱等により加圧状態といえども局所的にガスが発生する。ガス化した成分が増大し、気相と液相が混在すると、圧力が上昇し、搬送損失が増大する。そして、搬送損失の増大により液体部分の圧力が更に低くなり、冷却用管路96中を流れる液体窒素がますますガス化しやすい状況になっていく。かかる状況を回避するために、ガスステーション8は、拡大流路であるガスセパレータ82を備えている。ガスセパレータ82は、加圧ポンプ80による加圧及び冷却器81による冷却のために冷却用管路96から液体窒素を一旦取り出す部分の近傍に設けられることが好ましい。これにより、ガス成分をほとんど含まない状態で、加圧ポンプ80による加圧及び冷却器81による冷却の実施が可能となる。
【0029】
ガスセパレータ82には、バルブ83及び84を介して液面計85が取り付けられている。そして、ガスセパレータ82の上部には、開閉弁87が配置された取出管が備えられ、開閉弁87が開状態になるとガス化した成分が外部に取り出されるようになっている。また、液面計85の液面位置を示す信号が制御部86に入力され、制御部86は液面計の液面位置信号に基づいて開閉弁87及び88を制御する。
【0030】
したがって、気化したガス成分が、ガスセパレータ82の上部のガス層領域に溜まっていくと、液面位置が徐々に低下していく。そして、第1の所定位置まで低下すると、液面位置が第1の所定位置まで低下したことを示す液面位置信号を制御部86が受けて、制御部86の制御により開閉弁87が開く。これによりガスセパレータ82内部のガス層領域に貯留されたガス成分が取出管を介して外部に取り出される。ガス成分が取り出されると、これに対応して液面位置が上昇していく。そして、貯留されたガス成分が十分に取り出され、液面位置が第2の所定位置まで上昇すると、液面位置が第2の所定位置まで上昇したことを示す液面位置信号を制御部86が受けて、制御部86の制御により開閉弁87が閉じる。
【0031】
このようにして、ガスセパレータ82においては、その内部に貯留されたガス成分を定期的に外部に排出することができ、ガス成分が取り除かれた液体窒素が再び冷却管路96を通り、出口ステーション93に向けて搬送されていく。そして、ガスセパレータ82を通過した液体窒素はガス成分を殆ど含まないので、気液分離層の形成に伴う圧力損失の増大を防止でき、スムーズな液体窒素の搬送を行うことが可能となる。なお、制御部86による開閉弁87の制御は、液面位置を一定に保つように弁開度をアナログ的に制御してもよい。
【0032】
また、ガスステーション8は、補充用の液体窒素を貯蔵する貯蔵タンク89及び開閉弁88を備えている。液面位置が第1の所定位置まで低下したことを示す液面位置信号を制御部86が受けて、制御部86により開閉弁87が開き、液面位置が第2の所定位置まで上昇したことを示す液面位置信号を制御部86が受けて、制御部86により開閉弁87が閉じた後、制御部86は所定の期間開閉弁88を開いて、貯蔵タンク89に貯蔵されている補充用の液体窒素を冷却管路96に補充する。なお、開閉弁87の弁開度をアナログ的に制御する場合、開閉弁87の弁開度に応じて開閉弁88の弁開度をアナログ的に制御してもよい。
【0033】
負荷4が天候の良い日中においても電力を消費する負荷である場合、太陽光発電ユニット100の発電電力は負荷4にも送電されるが、太陽光発電ユニット101は一切負荷を有していないので、太陽光発電ユニット内の負荷で電力が消費されるおそれがない。このため、図1に示す本発明の第1実施形態に係る送電システムのように太陽光発電ユニット101を周期的に配置することで、ガスステーション8の電源を太陽光発電ユニット101の発電電力によって確保することができる。
【0034】
ただし、夜間や天候の悪い日中であって太陽電池ユニット1に日が当たらず太陽光発電ユニット100及び101が発電を行っていない場合、超電導ケーブル9を経由して供給される発電所等からの電力をガスステーション8の電源に利用する。
【0035】
上述した図1に示す本発明の第1実施形態に係る送電システムでは、AC400V送電線6や超電導ケーブル9で送電異常が生じた場合、照明灯3や負荷4の電源が確保できないという問題がある。かかる問題を解決することができる本発明の第2実施形態に係る送電システムを図5に示す。なお、図5において図1と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0036】
図5に示す本発明の第2実施形態に係る送電システムは、図1に示す本発明の第1実施形態に係る送電システムにおいて、太陽光発電ユニット100を太陽光発電ユニット102に置換し、太陽光発電ユニット101を太陽光発電ユニット103に置換した構成である。
【0037】
太陽光発電ユニット102は太陽光発電ユニット100に蓄電デバイス10及び発電機(例えばディーゼル発電機)11を付加した構成であり、太陽光発電ユニット103は太陽光発電ユニット101に蓄電デバイス10及び発電機(例えばディーゼル発電機)11を付加した構成である。蓄電デバイス10及び発電機11は図5に示すように分電盤5に接続される。
【0038】
太陽光発電ユニット102では、蓄電デバイス10は、太陽電池ユニット1の発電電力を蓄電するとともに、照明灯3や負荷4が電力を消費するときには放電により照明灯3や負荷4に電力を供給する。また、発電機11は蓄電デバイス10の蓄電が枯渇した場合に動作する。これにより、AC400V送電線6や超電導ケーブル9で送電異常が生じた場合でも、照明灯3や負荷4の電源を確保することができる。
【0039】
太陽光発電ユニット103では、蓄電デバイス10は、太陽電池ユニット1の発電電力を蓄電するとともに、分電盤5、AC400V送電線6、及びトランス7を介してガスステーション8の加圧ポンプ又は循環ポンプに電力を供給する。また、発電機11は蓄電デバイス10の蓄電が枯渇した場合に動作する。これにより、AC400V送電線6や超電導ケーブル9で送電異常が生じた場合でも、太陽光発電ユニット103とガスステーション8との接続経路に異常がない限り、ガスステーション8の電源を確保することができる。
【0040】
なお、システムの運用上、蓄電デバイス10の蓄電が枯渇するおそれが実質的に無いのであれば、発電機11を設ける必要がないので、各太陽光発電ユニットが発電機11を備えない構成にしてもよい。
【0041】
上述した本発明の第1及び第2実施形態に係る送電システムは交流送電を採用したが、送電損失を低減する観点から直流送電を採用してもよい。直流送電を採用した本発明の第3実施形態に係る送電システムを図6に示す。なお、図6において図5と同一の部分には同一の符号を付し詳細な説明を省略する。
【0042】
図6に示す本発明の第3実施形態に係る送電システムは、図5に示す本発明の第2実施形態に係る送電システムにおいて、太陽光発電ユニット102を太陽光発電ユニット104に置換し、太陽光発電ユニット103を太陽光発電ユニット105に置換し、AC400V送電線6をDC400V送電線6’にし、トランス7をDC/DCコンバータ13に置換した構成である。なお、図6に示す本発明の第3実施形態に係る送電システムにおいて超電導ケーブル9はDC22kV以上の送電線として機能する。
【0043】
太陽光発電ユニット104は太陽光発電ユニット102のインバータ装置2をDC/DCコンバータ12を置換した構成であり、太陽光発電ユニット105は太陽光発電ユニット103のインバータ装置2をDC/DCコンバータ12を置換した構成である。
【0044】
図6に示す本発明の第3実施形態に係る送電システムでは蓄電デバイス10が直流電圧を入力するので、図5に示す本発明の第2実施形態に係る送電システムの場合に比べて、蓄電デバイス10の具体的構成が簡単となる。一方、図6に示す本発明の第3実施形態に係る送電システムでは発電機11が直流電圧を出力する必要があるので、図5に示す本発明の第2実施形態に係る送電システムの場合に比べて、発電機11の具体的構成が複雑となる。
【0045】
なお、本発明は、上記の説明に限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0046】
例えば、超電導ケーブル9の冷媒は液体窒素に限定されず、超電導ケーブル9の超電導材が臨界温度以下になるように超電導ケーブル9の超電導材を冷却することができる液化ガスであればよい。液化ガスの出口部において液化ガスを大気中に放出する場合、液体ヘリウム、液体ネオン、液体アルゴン等の液化不活性ガスや、酸素等の空気を構成して人体に悪影響を与えないガスを液化したものが好適である。
【0047】
また、超電導材料に応じて液化ガスを適宜選択可能であるが、安全性や管理面を考慮すると、液体窒素を用いて、液体窒素温度で超電導現象が発現可能な高温超電導材料(臨界温度が液体窒素温度より高い超電導材料)を用いることが好ましい。
【0048】
上述した実施形態では冷却用管路96が超電導ケーブル9内部に設けられているが、超電導ケーブル9の超電導材が臨界温度以下になるように冷却されるのであれば、冷却用管路96は超電導ケーブル9外部に設けられても構わない。
【0049】
また、太陽電池ユニット1と変換装置(インバータ装置、DC/DCコンバータ等)とを接続するための接続ケーブルの少なくとも一部を超電導ケーブルにしてもよい。特に、太陽電池ユニット1が図3に示すような構成である場合、ケーブルの引き回しが多いので超電導ケーブルを用いることが有用である。また、AC400V送電線6或いはDC400V送電線6’を超電導ケーブルにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】は、本発明の第1実施形態に係る送電システムの概略構成を示す図である。
【図2】は、図1に示す送電システムが備える太陽電池ユニットの構成例を示す図である。
【図3】は、図1に示す送電システムが備える太陽電池ユニットの他の構成例を示す図である。
【図4】は、図1に示す送電システムが備える超電導ケーブルとその冷却機構との全体像を示す図である。
【図5】は、本発明の第2実施形態に係る送電システムの概略構成を示す図である。
【図6】は、本発明の第3実施形態に係る送電システムの概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 太陽電池ユニット
2 インバータ装置
3 照明灯
4 負荷
5 分電盤
6 AC400V送電線
6’ DC400V送電線
7 トランス
8 ガスステーション
9 超電導ケーブル
10 蓄電デバイス
11 発電機
12、13 DC/DCコンバータ
80 加圧ポンプ
81 冷却器
82 ガスセパレータ
83、84 バルブ
85 液面計
86 制御部
87、88、95 開閉弁
89、91、94 貯蔵タンク
90 入口ステーション
92 圧送ポンプ
93 出口ステーション
96 冷却用管路
100〜105 太陽光発電ユニット
M1 高電圧出力薄膜太陽電池モジュール
M2 結晶系太陽電池モジュール
NB 遮音壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送電用の超電導ケーブルと、
前記超電導ケーブルを冷却するための冷媒となる液化ガスの入口部及び出口部と、
前記入口部と前記出口部との間を非循環で連通してなり、前記液化ガスが流れる冷却用管路とを備え、
前記入口部と前記出口部との間に、前記冷却用管路内の前記液化ガスを冷却するための冷却装置を複数設けたことを特徴とする送電システム。
【請求項2】
前記冷却装置の電源として、太陽光発電を行う電源を設けた請求項1に記載の送電システム。
【請求項3】
前記超電導ケーブルで送電するための電力を生成する発電装置を設け、前記発電装置が生成した電力を前記超電導ケーブルに伝送する伝送部と前記超電導ケーブルとの接続部分に、前記冷却装置を設けた請求項1又は請求項2に記載の送電システム。
【請求項4】
前記発電装置が太陽光発電装置である請求項3に記載の送電システム。
【請求項5】
前記入口部と前記出口部との間に、前記冷却用管路内に前記液化ガスを補充するための補充部を複数設けた請求項1から4のいずれか1項に記載の送電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−146867(P2010−146867A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−323341(P2008−323341)
【出願日】平成20年12月19日(2008.12.19)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】