説明

通信システム、通信端末、通信制御方法及びプログラム

【課題】 雑踏等の迷子対策などにも使用可能にする。
【解決手段】 表示部筐体5と操作部筐体6からなる携帯電話機4は、表示部筐体5と操作部筐体6が分離可能であり、通常は表示部筐体5と操作部筐体6とを合体させた状態で1台の電話機として使用するが、示部筐体5と操作部筐体6とを分離した状態では、表示部筐体5と操作部筐体6をそれぞれ個別の電話機として使用することができ、たとえば、子供に一方の電話機を持たせておけば、迷子などの際の連絡手段になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システム、通信端末、通信制御方法及びプログラムに関し、たとえば、携帯電話機に適用する通信システム、通信端末、通信制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機は、使い勝手や利便性などの向上を意図した様々な改良がなされている。このような背景から、たとえば、携帯電話機の着信通知を専用の子機で行うようにした関連技術がある(下記の特許文献1参照)。これによれば、携帯電話機を手元に置かなくても着信を知ることができる。さらに、この関連技術を改良して、子機側で着信応答の動作(保留動作等)も行うことができるようにした関連技術もある(下記の特許文献2参照)。これによれば、携帯電話機をすぐに手に取ることができない場合の周囲への迷惑(着信音の鳴り続け)を防止できる。
【0003】
また、1台の携帯電話機に二つの電話番号(以下、“電番”と略すこともある)を持たせる関連技術もある。以下、この関連技術に対応した携帯電話機のことを便宜的に「複数電番機」ということにする。複数電番機の典型例はデュアル回線型の携帯電話機である(下記の特許文献3参照)。つまり、PHS回線の電話番号とDCS回線の電話番号の二つを持つ携帯電話機である。これによれば、1台の携帯電話機でPHS内線通話も行うことができ、2台の電話機(外線用の携帯電話機と内線用の携帯電話機)を持ち歩かなくてもよい。
【0004】
ところで、「複数電番機」においては、内線電話と外線電話の兼用だけでなく、たとえば、仕事用とプライベート用の二つの外線電話番号を使い分けるという用途もある。かかる用途において、上記のデュアル回線型の携帯電話機は、回線種別組み合わせの柔軟性に欠ける。仕事用とプライベート用の二つの外線電話番号は、必ずしも一方がDCSで、他方がPHSになるとは限らないからであり、たとえば、二つの電話番号をともにDCSにしたいという要求があり得るからである。
【0005】
そこで、携帯電話機の入出力部や表示部といった共通部と、二つの電話用通信部とを各々個別に構成し、共通部と任意の電話用通信部とを組み合わせられるようにした関連技術がある(下記の特許文献4参照)。
これによれば、たとえば、DCSとPHSの併用とする場合は、電話用通信部の一方をDCS用、他方をPHS用にすればよく、また、DCSとDCSの併用とする場合は、電話用通信部の双方をDCS用にすればよいので、回線種別組み合わせの柔軟性を高めることができる。
【0006】
このように、関連技術にあっては、携帯電話機を手元に置かなくても着信を知ることができる(特許文献1)、携帯電話機をすぐに手に取ることができない場合の周囲への迷惑を防止できる(特許文献2)、2台の電話機を持ち歩かなくてもよい(特許文献3)、回線種別組み合わせの柔軟性を高めることができる(特許文献4)という利点が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平08−033054号公報
【特許文献2】特開2000−261531号公報
【特許文献3】特開2005−277703号公報
【特許文献4】特開2009−272953号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、関連技術は、いずれも一人のユーザの利用を想定したものであるから、同時に二人で使用することができないという欠点がある。たとえば、特許文献3や特許文献4の技術は、複数の電話番号を持つ「複数電番機」の技術であるが、各々の番号を同時に使用できない。
いま、たとえば、遊園地等の雑踏に親子で出かける際などのシーンを考える。このようなシーンでは子供が迷子になりやすい。
一般的な迷子対策としては、たとえば、(1)親と子に各々携帯電話機を持たせる、(2)子供に省電力無線端末を持たせ、親の携帯電話機と省電力無線で接続して通話できるようにする、などが考えられるものの、(1)は2台の携帯電話機が必要で経費がかさむという欠点があり、(2)は通信距離が短く(陸上で100m程度)、遠くに離れてしまうと通話できないという欠点がある。
【0009】
そこで、(1)の対策と「複数電番機」の技術との組み合わせに着目する。前記のとおり、複数電番機とは複数の電話番号を持つ携帯電話機のことであり、電話機は1台である。一方、(1)の対策は、親と子に各々携帯電話機を持たせる、というものであるから、両者を組み合わせると、複数電番機を複数の電話機、たとえば、親機と子機で構成し、親機と子機に固有の電話番号を割り当てるという思想が導き出される。固有の電話番号は複数電番機が本来持っている“複数の電話番号”である。迷子対策に利用する場合には、たとえば、子機を子供に持たせればよい。子機は電話機能だけを持てばよいので、子機の構成を簡素化して価格を抑えることができ、(1)の対策の欠点(経費)を解消できる。
【0010】
したがって、本発明の目的は、冒頭の「複数電番機」を改良して、たとえば、雑踏等の迷子対策などにも使用可能な通信システム、通信端末、通信制御方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の通信システムは、少なくとも第1の電話用通信部と第1の近距離通信部と第1の制御部とを有する第1の電話部と、少なくとも第2の電話用通信部と第2の近距離通信部と第2の制御部とを有する第2の電話部とを備えた通信端末を含む通信システムであって、前記通信端末は、前記第1の電話部と第2の電話部とを物理的に分離可能に構成するとともに、前記第1の電話部と第2の電話部とが非分離状態にあるときには、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスする通常モードで動作する一方、前記第1の電話部と第2の電話部とが分離状態にあるときには、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第1の近距離通信部と第2の近距離通信部との間で近距離通信を行う第1の分離モード、または、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第2の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスする第2の分離モードのいずれかで動作することを特徴とする。
本発明の通信システムは、少なくとも第1の電話用通信部と第1の近距離通信部と第1の制御部とを有する第1の通信端末と、少なくとも第2の電話用通信部と第2の近距離通信部と第2の制御部とを有する第2の通信端末とを含む通信システムであって、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第1の近距離通信部と第2の近距離通信部との間で近距離通信を行うことを可能としたことを特徴とする。
本発明の通信端末は、少なくとも第1の電話用通信部と第1の近距離通信部と第1の制御部とを有する第1の電話部と、少なくとも第2の電話用通信部と第2の近距離通信部と第2の制御部とを有する第2の電話部とを備えた通信端末であって、前記第1の電話部と第2の電話部とを物理的に分離可能に構成するとともに、前記第1の電話部と第2の電話部とが非分離状態にあるときには、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスする通常モードで動作する一方、前記第1の電話部と第2の電話部とが分離状態にあるときには、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第1の近距離通信部と第2の近距離通信部との間で近距離通信を行う第1の分離モード、または、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第2の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスする第2の分離モードのいずれかで動作することを特徴とする。
本発明の通信制御方法は、少なくとも第1の電話用通信部と第1の近距離通信部と第1の制御部とを有する第1の電話部と、少なくとも第2の電話用通信部と第2の近距離通信部と第2の制御部とを有する第2の電話部とを備え、前記第1の電話部と第2の電話部とを物理的に分離可能に構成した通信端末を含む通信システムに適用する通信制御方法であって、前記第1の電話部と第2の電話部とが非分離状態にあるときには、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスする通常モードで動作する第1の動作工程と、前記第1の電話部と第2の電話部とが分離状態にあるときには、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第1の近距離通信部と第2の近距離通信部との間で近距離通信を行う第1の分離モード、または、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第2の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスする第2の分離モードのいずれかで動作する第2の動作工程とを含むことを特徴とする。
本発明のプログラムは、少なくとも第1の電話用通信部と第1の近距離通信部と第1の制御部とを有する第1の電話部と、少なくとも第2の電話用通信部と第2の近距離通信部と第2の制御部とを有する第2の電話部とを備え、前記第1の電話部と第2の電話部とを物理的に分離可能に構成した通信端末のコンピュータを、前記第1の電話部と第2の電話部とが非分離状態にあるときには、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスする通常モードで動作する第1動作手段と、前記第1の電話部と第2の電話部とが分離状態にあるときには、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第1の近距離通信部と第2の近距離通信部との間で近距離通信を行う第1の分離モード、または、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第2の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスする第2の分離モードのいずれかで動作する第2動作手段として機能させることを特徴とするプログラム。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、雑踏等の迷子対策などにも使用可能な通信システム、通信端末、通信制御方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】実施形態の概念的なシステム構成図である。
【図2】携帯電話機4の外観図である。
【図3】三つの使用スタイルの説明図である。
【図4】表示部7の表示例を示す図である。
【図5】実施形態の携帯電話機4の構成図である。
【図6】実施形態の概略的な動作フローを示す図である。
【図7】実施形態の変形例を示す図である。
【図8】付記1の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を、携帯電話システムへの適用を例にして、図面を参照しながら説明する。
図1は、実施形態の概念的なシステム構成図である。この図において、携帯電話システム1は、大まかに、基地局2と、ネットワーク3と、複数電番機としての機能を有する移動局(携帯電話機やスマートフォンなど;以下、携帯電話機4)とを含んで構成されている。
【0015】
基地局2は、半径数百mから数Kmの範囲(セル)を通信エリアとする携帯電話用の固定無線局であり、多数の基地局2で広範なエリア(セルを並べたもの)をカバーし、セル内に位置する携帯電話機4とネットワーク3との間でやりとりされるデータ通信を中継する。
【0016】
ネットワーク3は、携帯電話網や公衆電話網及び広域ネットワーク(インターネット等)の集合体であり、このネットワーク3には、不図示の他の携帯電話機や一般加入電話機が必要に応じて接続される。
【0017】
図2は、携帯電話機4の外観図である。この図において、携帯電話機4は、表示部筐体5と操作部筐体6とからなる二分割構造を有している。表示部筐体5と操作部筐体6は、不図示のスライド機構によって一体化のまま互いにスライドできるようになっており、且つ、そのスライド機構には、表示部筐体5と操作部筐体6とを分離することができる分離機構が組み込まれている。
【0018】
これらのスライド機構や分離機構は、要するに、表示部筐体5と操作部筐体6とを互いにスライドさせることができ、且つ、必要に応じて表示部筐体5と操作部筐体6とを分離できるものであればよく、その具体的な構造や仕組みについては特に限定しない。また、スライド式にも限定されない。重視すべきは、表示部筐体5と操作部筐体6とが必要に応じて分離できるようになっている点にあり、たとえば、折り畳み式などであってもよい。
【0019】
表示部筐体5は、その筐体前面に設けられた表示部7(タッチパネル付き表示デバイス)と、表示部7の上側に設けられた電話用の第1の受話孔8と、表示部7の下側に設けられた電話用の第1の送話孔9とを備える。
操作部筐体6は、テンキーをはじめとした多数のキーからなる操作キー群10と、操作キー群10の上側に設けられた電話用の第2の受話孔11と、操作キー群10の下側に設けられた電話用の第2の送話孔12と、側面に設けられた分離ボタン13とを備える。
【0020】
なお、この説明における“上”とは、図2の左上隅方向のことをいい、また、“下”とは、図2の右下方向のことをいう。また、この説明では、操作部筐体6の側面に設けられた分離ボタン13を操作することによって、表示部筐体5と操作部筐体の分離を行う仕組みにしているが、これは、分離操作の一形態を示しているに過ぎない。他の操作形態であっても当然かまわない。たとえば、分離ボタン13を用いずに、スライド方式で分離させてもよい。つまり、スライド方向に表示部筐体5を引き抜く(分離する)態様であってもよい。要は、ユーザによる何らかの操作に従い、表示部筐体5と操作部筐体とを物理的に分離できるようになっていればよい。
【0021】
ここで、電話用の受話孔と送話孔が二つずつ設けられている。すなわち、表示部筐体5に第1の受話孔8と第1の送話孔9が設けられているとともに、操作部筐体6にも第2の受話孔11と第2の送話孔12が設けられている。これらの第1及び第2の受話孔8、11と第1及び第2の送話孔9、12は、次のようにして使用される。
【0022】
まず、表示部筐体5と操作部筐体6とが非分離状態(図2の上側の絵を参照)にあるときには、表示部筐体5の第1の受話孔8と操作部筐体6の第2の送話孔12を使用する。これは、通常のスライド式携帯電話機と同じ使用スタイルである。以下、これを「通常スタイル」ということにする。
【0023】
一方、表示部筐体5と操作部筐体6とが分離状態(図2の下側の絵を参照)にあるときには、次の二つの使用スタイルに分かれる。その一は、表示部筐体5の第1の受話孔8と第1の送話孔9とを使用せず、操作部筐体6の第2の受話孔11と第2の送話孔12とを使用するというスタイルである。以下、これを「第1の分離スタイル」ということにする。また、その二は、表示部筐体5の第1の受話孔8と第1の送話孔9を使用するとともに、操作部筐体6の第2の受話孔11と第2の送話孔12も使用するというスタイルである。以下、これを「第2の分離スタイル」ということにする。
【0024】
図3は、三つの使用スタイルの説明図である。
(a)に示すように、通常スタイルは、表示部筐体5と操作部筐体6とを結合したままの状態(非分離状態)のときの使用スタイルである。この通常スタイルでは、表示部筐体5の第1の受話孔8と操作部筐体6の第2の送話孔12を使用し、表示部筐体5の第1の送話孔9と操作部筐体6の第2の受話孔11は使用しない。
【0025】
また、(b)、(c)に示すように、第1の分離スタイルと第2の分離スタイルは、ともに表示部筐体5と操作部筐体6とを分離させた状態のときの使用スタイルである。(b)に示す第1の分離スタイルでは、表示部筐体5の第1の受話孔8と第1の送話孔9とを使用せず、操作部筐体6の第2の受話孔11と第2の送話孔12とを使用し、(c)に示す第2の分離スタイルでは、表示部筐体5の第1の受話孔8と第1の送話孔9を使用し、且つ、操作部筐体6の第2の受話孔11と第2の送話孔12も使用する。
【0026】
第1の分離スタイルは、表示部筐体5と操作部筐体6との間をブルーツース等の近距離無線通信で相互接続するのに対して、第2の分離スタイルは、各々独立して基地局2と交信可能になっている点で相違する。すなわち、実施形態の携帯電話機4は、通常のスライド式携帯電話機と同じような使い方(図3(a)の「通常スタイル」)と、表示部筐体5と操作部筐体6とを分離してそれらの間をブルーツース等の近距離無線通信で接続し、表示部7を見ながら通話を行うという使い方(図3(b)の「第1の分離スタイル」)と、表示部筐体5と操作部筐体6とを分離してそれらを各々独立した携帯電話機として使用するという使い方(図3(c)の「第2の分離スタイル」)の三つを必要に応じて使い分けることができる点で、冒頭のいずれの関連技術(特許文献1〜4の技術)にもない特有の特徴を有している。
【0027】
図4は、表示部7の表示例を示す図である。この図において、(a)に示す通常スタイルと第1の分離スタイルの表示例では、表示部7に通常の画面(待ち受け画面など)7aを表示するが、(b)に示す第2の分離スタイルの表示例では、表示部7に電話の発着信に必要な操作画面(テンキー等で構成されたソフトウェアボタンや電話番号表示窓など)7bを表示する。
【0028】
これは、通常スタイルと第1の分離スタイルでは表示部筐体5と操作部筐体6の分離/非分離の違いはあるものの、どちらも1台の携帯電話機として使用する点で同じだからであり、これらの通常スタイルと第1の分離スタイルにおいては、いずれも共通する通常の画面(図示の待ち受け画面など)7aを表示部7に表示すればよいからである。これに対して、第2の分離スタイルでは、表示部筐体5と操作部筐体6とが独立した携帯電話機として使用されるため、操作ボタンを有さない表示部筐体5に何らかの操作手段を用意しなければならないからである。
【0029】
かかる操作手段として実施形態では、表示部筐体5の表示部7をタッチパネル付きの表示デバイス(液晶ディスプレイ等)とするとともに、図4(b)のような操作画面、すなわち、テンキー等で構成されたソフトウェアボタンや電話番号表示窓などからなる操作画面7bを表示することとした。これにより、分離状態の表示部筐体5を、独立した携帯電話機としても使用できるようになる。
【0030】
なお、分離状態の操作部筐体6は、表示手段(表示部筐体5の表示部7)を欠くこととなるが、表示手段がなくても多少の不便を我慢すれば、操作部筐体6における電話の発着信に特段の支障はない。着信時にはオンフックボタンを押し、終話時はオフフックボタンを押せばよいからであり、また、発信時にはテンキーを用いて相手の電話番号を入力し、オンフックボタンを押せばよいからである。発着信の電話番号を目視確認できないという不都合はあるが、発着信の操作自体に大きな支障はない。
【0031】
以上のとおり、本実施形態の携帯電話機4は、(i)表示部筐体5と操作部筐体6とを結合した状態(非分離状態)の通常スタイル、(ii)表示部筐体5と操作部筐体6とを分離し、さらに、それらの間をブルーツース等の近距離無線で接続した第1の分離スタイル、(iii)表示部筐体5と操作部筐体6とを分離し、さらに、それらを独立した携帯電話機として使用可能とする第2の分離スタイルの三つに使い分けることができる。
【0032】
したがって、通常の使い方(通常スタイル)に加え、表示部7を見ながら通話するという使い方(第1の分離スタイル)や、表示部筐体5と操作部筐体6とを個別の携帯電話機として使用するという使い方(第2の分離スタイル)を適宜に選択して使い分けることができる。
【0033】
このため、普段は通常スタイルや第1の分離スタイルで使用しつつ、特別なシーン、たとえば、子供連れで雑踏の中に出かける際などには、第2の分離スタイルにして、表示部筐体5と操作部筐体6の一方を親が持ち、他方を子供に持たせて迷子等の連絡手段に使用するなどといった使い方ができるようになる。
【0034】
なお、これらの使用スタイルでは、携帯電話機4は各々のスタイルに応じた内部動作を実行するので、これらのスタイルを動作モードまたは単にモードということもできる。このため、スタイルはモードの意味も含むものとする。
【0035】
以下、実施形態の具体的な構成と動作について説明する。
図5は、実施形態の携帯電話機4の構成図である。この図において、携帯電話機4は、分離線4aを境にして分離可能に結合された表示部筐体5と操作部筐体6とからなり、表示部筐体5は、第A電話用通信部14と、第A近距離通信部15と、第A制御部16と、表示部7と、第A記憶部17と、第A音声入出力部18と、第Aインターフェース19とを備え、操作部筐体6は、第Bインターフェイス20と、第B電話用通信部21と、第B近距離通信部22と、操作部23と、第B制御部24と、第B記憶部25と、第B音声入出力部26とを備えている。なお、表示部筐体5と操作部筐体6は、いずれも各部への電源を供給するバッテリを含む電源部を備えているが、図示の輻輳を避けるために省略している。
【0036】
第A電話用通信部14と第B電話用通信部21は、それぞれ、アンテナ14a、21aを介して最寄りの基地局2(図1参照)との間で個別にデータの送受信を行うことができる携帯電話用の通信ユニットであり、これらの通信ユニット(第A電話用通信部14と第B電話用通信部21)は、それぞれ個別の電話番号(電番)を使用して基地局2にアクセスする。
【0037】
第A電話用通信部14は前記の第2の分離スタイルのときにだけ動作し(通常スタイルや第1の分離スタイルでは動作しない)、第B電話用通信部21は前記の通常スタイルと第1及び第2の分離スタイルの全てで動作する。
【0038】
第A近距離通信部15と第B近距離通信部22は、ブルーツース等の近距離無線により、アンテナ15aとアンテナ22aとの間で相互にデータ通信を行うことが可能な近距離専用の通信ユニットである。これらの第A近距離通信部15と第B近距離通信部22は、前記の第1の分離スタイルのときにだけ動作する(通常スタイルや第2の分離スタイルでは動作しない)。なお、ここではブルーツースとしているが、これに限定されない。近距離の無線通信であればよく、たとえば、WiFiなどであってもよい。
【0039】
第A音声入出力部18は、表示部筐体5の第1の受話孔8の真下に設けられたスピーカ18aと、表示部筐体5の第1の送話孔9の真下に設けられたマイク18bとを含み、また、第B音声入出力部26は、操作部筐体6の第2の受話孔11の真下に設けられたスピーカ26aと、操作部筐体6の第2の送話孔12の真下に設けられたマイク26bとを含み、いずれも、マイク18b、26bで拾ったユーザの音声を音声信号に変換したり、また、通話相手からの音声信号をスピーカ18a、26aで拡声したりする。
【0040】
表示部筐体5にのみ設けられている表示部7は、先にも説明したとおり、タッチパネル付き表示デバイスである。このタッチパネルには、静電容量式や抵抗膜式あるいはその他の方式の二次元タッチデバイス(タッチ位置の座標を検出できるもの)を使用することができ、また、表示デバイスには液晶ディスプレイパネルやELパネルなどの高精細な二次元表示デバイスを使用することができる。
【0041】
また、操作部筐体6にのみ設けられている操作部23は、図2の操作キー群10を含み、ユーザ操作に応じ、操作キー群10を構成する各キー(テンキーをはじめとした多数のキー)ごとの操作信号を発生する。
【0042】
表示部筐体5の第A記憶部17及び操作部筐体6の第B記憶部25は、いずれも不揮発性の記憶要素(たとえばフラッシュメモリなど)で構成されている。操作部筐体6の第B記憶部25は、この携帯電話機4を通常スタイルや第1の分離スタイル及び第2の分離スタイルで使用しているときに必要とされる各種のユーザデータ(主たる電話番号や電話帳データなど)を記憶し、表示部筐体5の第A記憶部17は、この携帯電話機4を第2の分離スタイルで使用しているときに必要とされる各種のユーザデータ(従たる電話番号や電話帳データなど)を記憶する。
【0043】
これら二つの記憶部(第A記憶部17と第B記憶部25)は、使用スタイルに応じて、以下のように使い分けられる。
【0044】
<通常スタイルと第1の分離スタイル>
第B記憶部25を使用し、第A記憶部17は使用しない。これは、通常スタイルや第1の分離スタイルにおいては、携帯電話機4が1台の電話機として使用されるからであり、電話番号や電話帳などのユーザデータは一方の記憶部(ここでは操作部筐体6の第B記憶部25とする)に記憶されたもの(主たる電話番号や電話帳データなど)を使用すればよいからである。
【0045】
<第2の分離スタイル>
分離一方側の電話機として用いられる操作部筐体6では、自身の記憶部(第B記憶部25)のデータ(主たる電話番号や電話帳データなど)を使用し、分離他方側の電話機として用いられる表示部筐体5では、自身の記憶部(第A記憶部17)のデータ(従たる電話番号や電話帳データなど)を使用する。
【0046】
第A制御部16と第B制御部24は、いずれも、コンピュータ(以下、CPU)16a、24aやプログラム記憶要素(以下、ROM)16b、24b及び演算用作業エリア(以下、RAM)16c、24c並びに不図示の周辺回路を含むプログラム制御方式の制御要素であり、予めROM16b、24bに書き込まれている制御プログラムをRAM16c、24cにロードし、その制御プログラムをCPU16a、24aで実行することによって、携帯電話機4に必要な各種の機能を実現する。
【0047】
第A制御部16と第B制御部24は、三つの使用スタイル(通常スタイル、第1の分離スタイル及び第2の分離スタイル)に応じて、以下のとおりその動作が変化する。
【0048】
<通常スタイル>
一方がマスター、他方がスレーブとして動作する。ここでは、操作部筐体6の制御部(第B制御部24)をマスターとし、表示部筐体5の制御部(第A制御部16)をスレーブとする。なお、マスター及びスレーブとは、制御の主導権がどちらにあるかを意味する用語である。マスター側の制御部(ここでは第B制御部24)がスレーブ側の制御部(ここでは第A制御部16)の動作を規定する。なお、マスターとスレーブの割当はこの例に限らず、逆であってもよいが、説明を簡単にするため、ここでは操作部筐体6の制御部(第B制御部24)をマスターとし、表示部筐体5の制御部(第A制御部16)をスレーブとする。
【0049】
通常スタイルのとき、マスター側の制御部(第B制御部24)は、携帯電話機4の全体(表示部筐体5と操作部筐体6)の動作を統括制御する。ただし、表示部筐体5の各部(第A電話用通信部14、第A近距離通信部15、表示部7、第A記憶部17及び第A音声入出力部18)は、第A制御部16の管理下にあるため、それら各部の動作を制御する際には、スレーブ側の制御部(第A制御部16)を介して間接的に制御する。すなわち、マスター側の制御部(第B制御部24)は、連結状態にある第Aインターフェース19と第Bインターフェース20を介してスレーブ側の制御部(第A制御部16)との間でデータのやりとりを行いながら、所要の指令を適宜にスレーブ側の制御部(第A制御部16)に出力し、表示部筐体5の各部(第A電話用通信部14、第A近距離通信部15、表示部7、第A記憶部17及び第A音声入出力部18)を間接制御する。
【0050】
<第1の分離スタイルと第2の分離スタイル>
これらのスタイルでは、表示部筐体5と操作部筐体6が分離状態にある。すなわち、第Aインターフェース19と第Bインターフェース20が非連結状態にあるので、二つの制御部(第A制御部16と第B制御部24)は、この非連結状態を検出して各々独立して動作する。
【0051】
第1の分離スタイルと第2の分離スタイルの動作の違いは、前者(第1の分離スタイル)が表示部筐体5と操作部筐体6との間を近距離無線で接続するように動作するのに対して、後者(第2の分離スタイル)が表示部筐体5と操作部筐体6との間の近距離無線接続を行わず、表示部筐体5と操作部筐体6とを各々個別の携帯電話機として使用できるように動作する点で相違する。
【0052】
通常スタイルと第1又は第2の分離スタイルの切り換えは、表示部筐体5と操作部筐体6とを分離状態にするか非分離状態にするかで行う。つまり、非分離状態(図2(a)参照)にすれば、前記のとおりの通常スタイルの動作になり、分離状態(図2(b)参照)にすれば、前記のとおりの第1又は第2の分離スタイルの動作になる。
【0053】
第1の分離スタイルと第2の分離スタイルの切り換えは、たとえば、操作部23の特定キー操作(例:*キーや#キーなどの長押し等)で行ってもよい。つまり、表示部筐体5と操作部筐体6とを分離する際に、操作部23の特定キーが押されなかった場合は第1の分離スタイルとする一方、特定キーが押された場合は第2の分離スタイルとするようにしてもよい。または、そのような特殊操作を表示部筐体5で行うようにしてもよい。たとえば、表示部7で特殊なタッチ操作(例:タッチパネル上で円を描くような操作など)が行われた場合に第2の分離スタイルとするようにしてもよい。第1の分離スタイルと第2の分離スタイルの切り換え方は、以上の例に限定されない。たとえば、表示部筐体5と操作部筐体6の一方又は双方に専用の物理ボタンを設けておき、その物理ボタン操作に応答して第1の分離スタイルと第2の分離スタイルの切り換えを行うようにしてもよい。あるいは、表示部筐体5と操作部筐体6との分離の早さに応じて切り換えを行うようにしてもよい。たとえば、表示部筐体5と操作部筐体6とを素早く分離させた場合には第1の分離スタイルとし、ゆっくりした早さで分離させた場合には第2の分離スタイルとしてもよい。
【0054】
次に、実施形態の動作について説明する。
図6は、実施形態の概略的な動作フローを示す図である。なお、図示のフローは、携帯電話機4の制御部(第A制御部16と第B制御部24)で実行される制御プログラムのフローを総合して現しているが、ここでは、説明を簡単にするために、当該制御プログラムの要部(使用スタイルの判定やその判定結果に応じた制御の一部)を抜粋し、且つ、簡略化して示すものとする。
【0055】
このフローにおいて、まず、表示部筐体5と操作部筐体6の分離を判定する(ステップS10)。この判定は、第Aインターフェース19と第Bインターフェース20が連結状態にあるか、それとも非連結状態にあるかを調べることによって行うことができる。第Aインターフェース19と第Bインターフェース20が非連結状態にある場合に、表示部筐体5と操作部筐体6の分離を判定できる。
【0056】
ステップS10の判定結果が“NO”の場合、つまり、表示部筐体5と操作部筐体6が分離状態にない場合は「通常スタイル」の使用であると判断し、第A電話用通信部14の動作を停止するとともに、第B電話用通信部21を起動し(ステップS11)、さらに、第1及び第2近距離通信部15、22の動作を停止して(ステップS12)フローを終了する。
【0057】
この場合(通常スタイルで使用する場合)、携帯電話機4は、表示部筐体5と操作部筐体6とが非分離状態にあり、且つ、主たる電話番号を用いた1台の電話機として動作する。
【0058】
一方、ステップS10の判定結果が“YES”の場合、つまり、表示部筐体5と操作部筐体6が分離状態にある場合は、次に、分離時の使用スタイルを判定する(ステップS13)。分離時の使用スタイルとは、第1の使用スタイルや第2の使用スタイルのことをいう。
【0059】
前記のとおり、第1の分離スタイルと第2の分離スタイルは、たとえば、操作部23の特定キー操作(例:*キーや#キーなどの長押し等)や、表示部7に対する特殊なタッチ操作(例:タッチパネル上で円を描くような操作など)、または、表示部筐体5と操作部筐体6の一方又は双方に設けられた物理ボタンに対する操作などによって切り換えることができるから、これらの操作の有無に基づいて、第1の使用スタイルであるか第2の使用スタイルであるかを判定することができる。
【0060】
ここでは、説明の便宜上、操作部23の特定キー操作(例:*キーや#キーなどの長押し等)の有無に基づいて、第1の使用スタイルであるか第2の使用スタイルであるかの判定を行うものとする。つまり、特定キー操作が行われなかった場合は、ステップS13の判定結果が「第1の分離スタイル」となり、特定キー操作が行われた場合は、ステップS13の判定結果が「第2の分離スタイル」となるものとする。
【0061】
「第1の分離スタイル」の場合は、第A電話用通信部14の動作を停止するとともに、第B電話用通信部21を起動し(ステップS14)、さらに、第1及び第2近距離通信部15、22を起動して(ステップS15)フローを終了する一方、「第2の分離スタイル」の場合は、第1及び第2電話用通信部14、21を起動(ステップS16)するとともに、第1及び第2近距離通信部15、22の動作を停止して(ステップS17)フローを終了する
【0062】
第1の分離スタイルで使用する場合、携帯電話機4は、表示部筐体5と操作部筐体6とが分離状態で、且つ、それら表示部筐体5と操作部筐体6との間が近距離無線で接続されるので、たとえば、表示部筐体5の表示部7を見ながら、操作部筐体6を用いて通話(主たる電話番号を用いた通話)を行うことができる。あるいは、携帯電話機4にウェブ閲覧機能やメール機能が搭載されていれば、表示部筐体5の表示部7を見ながら、操作部筐体6を用いてウェブサーフィンやメールの作成及び閲覧などを行うこともできる。
【0063】
また、第2の分離スタイルで使用する場合、携帯電話機4は、表示部筐体5と操作部筐体6とが分離状態で、且つ、それら表示部筐体5と操作部筐体6とが独立した電話機として動作する。つまり、操作部筐体6は主たる電話番号を用いた一の電話機として動作し、表示部筐体5は従たる電話番号を用いた二の電話機として動作する。したがって、たとえば、親子で雑踏に出かける場合などにおいて、一の電話機(操作部筐体6)を親が持ち、二の電話機(表示部筐体5)を子が持つといった使い方をすることができ、迷子の際などの連絡手段として使用することができるようになる。
【0064】
以上のとおりであるから、本実施形態によれば、1台の携帯電話機4を三つのスタイル(通常スタイル、第1の分離スタイル及び第2の分離スタイル)で使い分けることができる。このため、たとえば、通常スタイルにすれば、普通の携帯電話機のようにして使用することができ、また、第1の分離スタイルにすれば表示部筐体5の表示部7を見ながら通話することができ、加えて、第2の分離スタイルにすれば表示部筐体5と操作部筐体6とを個別の電話機として使用することができる。
【0065】
したがって、とりわけ、第2の分離スタイルにした場合には、たとえば、迷子の連絡手段などとして使用することができるようになり、利便性の高いものとすることができるうえ、冒頭の(2)で示した迷子対策(省電力無線機を用いたもの)のような通話距離の制限も受けないから、迷子などの際の連絡を確実に行うことができる。
【0066】
さらに、第2の分離スタイルで使用する際の一方の電話機(たとえば、子供に持たせる表示部筐体5)の機能は、少なくとも電話機能だけでよいので、冒頭で説明した(1)の迷子対策(親と子に各々携帯電話機を持たせる)に比べて、経費の削減を図ることができる。これは、冒頭で説明した(1)の迷子対策のように親と子に各々携帯電話機を持たせる場合には、2台分の携帯電話機の全ての構成が必要になるが、本実施形態の第2の分離スタイルの場合には、表示部等の共通部分を共有化することができることに加え、子供に持たせる電話機(表示部筐体5)の機能を局限して電話機能のみとすることができ、それだけ、コストの削減を図ることができるからである。
【0067】
以上説明のとおり、本実施形態では、普段は1台で用いられる携帯電話機4を、必要に応じて表示部筐体5と操作部筐体6に分離し、各々を個別の電話機として使用できるようにした点にポイントがある。すなわち、基本は1台の携帯電話機4であり、それを2台の電話機として適宜に利用できるようにした点にポイントがあるが、実施形態の思想は、これ(基本1台、適宜2台)に限定されない。逆の考え方(2台の電話機を必要に応じて1台の携帯電話機として連携利用する)に基づく変形例を含んでいてもよい。以下に、その変形例を説明する。
【0068】
図7は、実施形態の変形例を示す図である。この図において、2台の携帯電話機(以下、第1の携帯電話機30と第2の携帯電話機31)が示されている。第1の携帯電話機30は、簡易な表示部(たとえば、数文字から数十文字程度の電話番号などのキャラクタを表示できる小さなディスプレイ)32と、テンキーなどの物理キーからなるキー群33とを備えたものであり、たとえば、コードレスホン子機のように単純な表示部と操作部しか備えないものである。また、第2の携帯電話機31は、タッチパネル付きの高精細かつ大きな表示部34を備えるとともに、物理的な操作部(テンキーなどの物理キー)を備えない、たとえば、タブレット型スマートフォンのようなものである。
【0069】
これら2台の携帯電話機(第1及び第2の携帯電話機30、31)は、各々個別の電話機として動作する。つまり、第1の携帯電話機30は、表示部32を見ながらキー群33を操作して相手の電話番号を入力し、当該相手に電話を掛けることができるとともに、着信時には表示部32を見て着信番号を確認し、キー群33で応答操作を行うことにより、相手と通話を行うことができる。同様に、第2の携帯電話機31は、表示部34に表示されるソフトウェアボタンを操作して任意の相手に電話を掛けることができるとともに、着信時には表示部34を見て着信番号を確認し、ソフトウェアボタンで応答操作を行うことにより、相手と通話を行うことができる。
【0070】
さて、このような2台の携帯電話機30、31において、左側の第1の携帯電話機30は画面の小ささ故に、たとえば、画像等を綺麗に表示できないという欠点を持っている。この欠点を解消するためには、必要に応じて、この第1の携帯電話機30と、高精細かつ大きな表示部34を有する第2の携帯電話機31とを連携利用できるようにすればよい。
【0071】
たとえば、図中に示すように、第1の携帯電話機30で特定のキー操作(*キーや#キーの長押し等)を検出(ステップS20)したときに、第1の携帯電話機30と第2の携帯電話機31との間をブルーツース等の近距離通信で接続し(ステップS21、ステップS30)、両者間でデータの受け渡しを行う(ステップS22、ステップS31)ことにより、第2の携帯電話機31の表示に関するリソース(表示部34等)を第1の携帯電話機30から利用できるようにすればよい。
【0072】
このようにすれば、第2の携帯電話機31の高精細かつ大きな表示部34を、あたかも第1の携帯電話機31のものとして利用することができるから、第1の携帯電話機30の欠点を解消することができる。
【0073】
ところで、図7の変形例は、前記実施形態における「第2の分離スタイル」(図3(b)参照)と見なすことができる。これは、第2の分離スタイルの表示部筐体5は変形例の第2の携帯電話機31に相当し、第2の分離スタイルの操作部筐体6は変形例の第1の携帯電話機30に相当するといえるからである。
【0074】
したがって、上記の実施形態は、かかる変形例の態様も含む。違いは、もっぱら、普通の使い方のときに1台の携帯電話機4であるか(実施形態の場合)、2台の携帯電話機(第1の携帯電話機30と第2の携帯電話機31)であるか(変形例の場合)にある。
【0075】
なお、以上の説明では、携帯電話機への適用を例にしたが、これに限定されない。携帯可能な電話端末として利用可能なものであればよく、たとえば、電話機能を有するタブレットPCやノートPCまたはゲーム機などであってもよい。
【0076】
以下、本発明の特徴を付記する。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
図8は、付記1の構成図である。
付記1は、
少なくとも第1の電話用通信部(100:実施形態の第B電話用通信部21に相当)と第1の近距離通信部(101:実施形態の第B近距離通信部22に相当)と第1の制御部(102:実施形態の第B制御部24に相当)とを有する第1の電話部(103:実施形態の操作部筐体6に相当)と、少なくとも第2の電話用通信部(104:実施形態の第A電話用通信部14に相当)と第2の近距離通信部(105:実施形態の第A近距離通信部15に相当)と第2の制御部(106:実施形態の第A制御部16に相当)とを有する第2の電話部(107:実施形態の表示部筐体5に相当)とを備えた通信端末(108:実施形態の携帯電話機4に相当)を含む通信システムであって、
前記通信端末(108)は、
前記第1の電話部(103)と第2の電話部(107)とを物理的に分離可能に構成するとともに、
前記第1の電話部(103)と第2の電話部(107)とが非分離状態にあるときには、前記第1の制御部(102)及び第2の制御部(106)の制御により、前記第1の電話用無線部(100)を介して最寄りの基地局(109)にアクセスする通常モード(実施形態の通常スタイルに相当)で動作する一方、
前記第1の電話部(103)と第2の電話部(107)とが分離状態にあるときには、前記第1の制御部(102)及び第2の制御部(106)の制御により、前記第1の電話用無線部(100)を介して最寄りの基地局(109)にアクセスするとともに、前記第1の近距離通信部(101)と第2の近距離通信部(105)との間で近距離通信を行う第1の分離モード(実施形態の第1の分離スタイルに相当)、または、前記第1の電話用無線部(100)を介して最寄りの基地局(109)にアクセスするとともに、前記第2の電話用無線部(104)を介して最寄りの基地局(109)にアクセスする第2の分離モード(実施形態の第2の分離スタイルに相当)のいずれかで動作する
ことを特徴とする通信システムである。
【0077】
(付記2)
付記2は、
少なくとも第1の電話用通信部と第1の近距離通信部と第1の制御部とを有する第1の通信端末と、少なくとも第2の電話用通信部と第2の近距離通信部と第2の制御部とを有する第2の通信端末とを含む通信システムであって、
前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第1の近距離通信部と第2の近距離通信部との間で近距離通信を行うことを可能としたことを特徴とする通信システムである。
【0078】
(付記3)
付記3は、
少なくとも第1の電話用通信部と第1の近距離通信部と第1の制御部とを有する第1の電話部と、少なくとも第2の電話用通信部と第2の近距離通信部と第2の制御部とを有する第2の電話部とを備えた通信端末であって、
前記第1の電話部と第2の電話部とを物理的に分離可能に構成するとともに、
前記第1の電話部と第2の電話部とが非分離状態にあるときには、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスする通常モードで動作する一方、
前記第1の電話部と第2の電話部とが分離状態にあるときには、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第1の近距離通信部と第2の近距離通信部との間で近距離通信を行う第1の分離モード、または、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第2の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスする第2の分離モードのいずれかで動作する
ことを特徴とする通信端末である。
【0079】
(付記4)
付記4は、
少なくとも第1の電話用通信部と第1の近距離通信部と第1の制御部とを有する第1の電話部と、少なくとも第2の電話用通信部と第2の近距離通信部と第2の制御部とを有する第2の電話部とを備え、前記第1の電話部と第2の電話部とを物理的に分離可能に構成した通信端末を含む通信システムに適用する通信制御方法であって、
前記第1の電話部と第2の電話部とが非分離状態にあるときには、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスする通常モードで動作する第1の動作工程と、
前記第1の電話部と第2の電話部とが分離状態にあるときには、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第1の近距離通信部と第2の近距離通信部との間で近距離通信を行う第1の分離モード、または、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第2の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスする第2の分離モードのいずれかで動作する第2の動作工程とを含むことを特徴とする通信制御方法である。
【0080】
(付記5)
付記5は、
少なくとも第1の電話用通信部と第1の近距離通信部と第1の制御部とを有する第1の電話部と、少なくとも第2の電話用通信部と第2の近距離通信部と第2の制御部とを有する第2の電話部とを備え、前記第1の電話部と第2の電話部とを物理的に分離可能に構成した通信端末のコンピュータを、
前記第1の電話部と第2の電話部とが非分離状態にあるときには、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスする通常モードで動作する第1動作手段と、
前記第1の電話部と第2の電話部とが分離状態にあるときには、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第1の近距離通信部と第2の近距離通信部との間で近距離通信を行う第1の分離モード、または、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第2の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスする第2の分離モードのいずれかで動作する第2動作手段
として機能させることを特徴とするプログラムである。
【符号の説明】
【0081】
100 第1の電話用通信部
101 第1の近距離通信部
102 第1の制御部
103 第1の電話部
104 第2の電話用通信部
105 第2の近距離通信部
106 第2の制御部
107 第2の電話部
108 通信端末
109 基地局

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1の電話用通信部と第1の近距離通信部と第1の制御部とを有する第1の電話部と、少なくとも第2の電話用通信部と第2の近距離通信部と第2の制御部とを有する第2の電話部とを備えた通信端末を含む通信システムであって、
前記通信端末は、
前記第1の電話部と第2の電話部とを物理的に分離可能に構成するとともに、
前記第1の電話部と第2の電話部とが非分離状態にあるときには、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスする通常モードで動作する一方、
前記第1の電話部と第2の電話部とが分離状態にあるときには、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第1の近距離通信部と第2の近距離通信部との間で近距離通信を行う第1の分離モード、または、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第2の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスする第2の分離モードのいずれかで動作する
ことを特徴とする通信システム。
【請求項2】
少なくとも第1の電話用通信部と第1の近距離通信部と第1の制御部とを有する第1の通信端末と、少なくとも第2の電話用通信部と第2の近距離通信部と第2の制御部とを有する第2の通信端末とを含む通信システムであって、
前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第1の近距離通信部と第2の近距離通信部との間で近距離通信を行うことを可能としたことを特徴とする通信システム。
【請求項3】
少なくとも第1の電話用通信部と第1の近距離通信部と第1の制御部とを有する第1の電話部と、少なくとも第2の電話用通信部と第2の近距離通信部と第2の制御部とを有する第2の電話部とを備えた通信端末であって、
前記第1の電話部と第2の電話部とを物理的に分離可能に構成するとともに、
前記第1の電話部と第2の電話部とが非分離状態にあるときには、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスする通常モードで動作する一方、
前記第1の電話部と第2の電話部とが分離状態にあるときには、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第1の近距離通信部と第2の近距離通信部との間で近距離通信を行う第1の分離モード、または、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第2の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスする第2の分離モードのいずれかで動作する
ことを特徴とする通信端末。
【請求項4】
少なくとも第1の電話用通信部と第1の近距離通信部と第1の制御部とを有する第1の電話部と、少なくとも第2の電話用通信部と第2の近距離通信部と第2の制御部とを有する第2の電話部とを備え、前記第1の電話部と第2の電話部とを物理的に分離可能に構成した通信端末を含む通信システムに適用する通信制御方法であって、
前記第1の電話部と第2の電話部とが非分離状態にあるときには、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスする通常モードで動作する第1の動作工程と、
前記第1の電話部と第2の電話部とが分離状態にあるときには、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第1の近距離通信部と第2の近距離通信部との間で近距離通信を行う第1の分離モード、または、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第2の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスする第2の分離モードのいずれかで動作する第2の動作工程とを含むことを特徴とする通信制御方法。
【請求項5】
少なくとも第1の電話用通信部と第1の近距離通信部と第1の制御部とを有する第1の電話部と、少なくとも第2の電話用通信部と第2の近距離通信部と第2の制御部とを有する第2の電話部とを備え、前記第1の電話部と第2の電話部とを物理的に分離可能に構成した通信端末のコンピュータを、
前記第1の電話部と第2の電話部とが非分離状態にあるときには、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスする通常モードで動作する第1動作手段と、
前記第1の電話部と第2の電話部とが分離状態にあるときには、前記第1の制御部及び第2の制御部の制御により、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第1の近距離通信部と第2の近距離通信部との間で近距離通信を行う第1の分離モード、または、前記第1の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスするとともに、前記第2の電話用無線部を介して最寄りの基地局にアクセスする第2の分離モードのいずれかで動作する第2動作手段
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−21640(P2013−21640A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155766(P2011−155766)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】