説明

通信システムおよびそのデータ送受信方法

【課題】 「辞書データ」に代えて「辞書データ」に対応した「識別子」を送信し、通信回線上のデータ量を削減してデータ伝送の効率化を図る通信システムを提供する。
【解決手段】 圧縮処理部5、辞書制御部6a、「識別子αi」と対応付けた「辞書データJDi」を複数、格納する辞書データベース7aおよび送信部8を備えたセンタ設備2と、受信部9、辞書制御部6b、「識別子αi」と対応付けた「辞書データJDi」を複数、格納する辞書データベース7b、伸張処理部10を備えた端末設備3と、センタ設備2と端末設備3を接続する通信回線4を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はセンタ設備から通信回線を介して端末設備にデータを圧縮して伝送する通信システムに係り、特に圧縮データに代えて識別子を伝送し、通信回線上の伝送データ量を少なくして、データ伝送効率化を図る通信システムおよびそのデータ送受信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のデータ通信では、一般的に送信するデータを圧縮し、圧縮データを通信回線に送信することにより、通信回線上を伝送するデータ量を削減して、データ伝送の効率化が行われている。
【0003】
また、従来の通信システムは、一般的なデータ圧縮や伸張を行う際に、データの繰り返し(例えば、同じデータや類似したデータ)の特徴を利用した「辞書データ」と呼ばれるデータを伝送することが知られている。
【0004】
例えば、「辞書データ」の伝送は、同じデータを複数回伝送する場合に適用され、類似したデータを伝送する時には、「辞書データ」+「差分データ」が適用される。なお、「辞書データ」とは、通信単位(1通話)毎の圧縮データを変換したデータを表し、「差分データ」とは、類似した「辞書データ」と「辞書データ」の偏差データを表す。
【0005】
図6に従来の通信システムの要部ブロック構成図を示す。図6において、通信システム50は、センタ設備51と、端末設備52と、センタ設備51と端末設備52を接続する通信回線53から構成されている。
【0006】
図7に従来の通信システムのデータ伝送のデータイメージ図を示す。図7において、1通信単位のデータDyを送信する際、センタ設備51は、1回目のデータ通信時に、データDyを圧縮して「圧縮データADy」とし、「圧縮データADy」から「辞書データJDy」に変換して辞書データベースに登録するとともに、「辞書データJDy」を通信回線53を介して端末設備52に送信する。
【0007】
また、センタ設備51は、2回目のデータ通信時に、1回目のデータ通信時と同じ(同一の)データDyを送信する場合には、データDyを圧縮して「圧縮データADy」とし、辞書データベースから「辞書データJDy」を読み出して、「辞書データJDy」を通信回線53を介して端末設備52に送信する。
【0008】
さらに、センタ設備51は、3回目のデータ通信時に、1、2回目のデータ通信時と類似(比較的同じ)のデータDzを送信する場合には、データDzを圧縮して「圧縮データADz」とし、辞書データベースから「辞書データJDy」を読み出して、「圧縮データADz」の「辞書データJDz」と「辞書データJDy」の偏差を演算し、「差分データΔz」を得るとともに、「辞書データJDy」+「差分データΔz」を通信回線53を介して端末設備52に送信する。
【0009】
また、従来の技術は、特許文献1(証券情報の圧縮方法とその装置)に開示されているように、証券情報の個々のデータに対する基準値を予め定めておき、証券情報の個々のデータと当該データに対応する基準値との差を求めて個々のデータの圧縮データとし、個々のデータの圧縮データと対応する基準値との和を求めて個々のデータの復元データとするものである。
【特許文献1】特開平9−128212号公報(請求項1、図1参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来の通信システムは、伝送するデータの通信単位(1通話)毎に、「辞書データ」または「辞書データ」+「差分データ」を送信するため、過去に伝送したデータと同一のデータや比較的同じ(類似)データを伝送する場合でも、同一の「辞書データ」(図7に示す通信回線の「辞書データJDy」)を送信しなければならず、通信回線上のデータ量が多く、データ伝送の効率化を図れない課題がある。
【0011】
この発明はこのような課題を解決するためになされたもので、その目的は「辞書データ」に代えて「辞書データ」に対応した「識別子」を送信し、通信回線上のデータ量を削減してデータ伝送の効率化を図る通信システムおよびそのデータ送受信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するためこの発明に係る通信システムは、送信装置と受信装置が通信回線で接続される通信システムにおいて、送信装置は、元のデータを圧縮データにして通信回線に送信し、受信装置は、通信回線からの圧縮データを受信し、伸張して元のデータに再現するとともに、送信装置および受信装置は、圧縮データの辞書データと、辞書データに対応する識別子を記憶する辞書データベースを備え、データ送信時には、圧縮データに該当する辞書データの識別子、または圧縮データに該当する辞書データの識別子および圧縮データに類似した圧縮データの辞書データと辞書データの偏差である差分データを通信回線に送信するとともに、データ受信時には、通信回線から受信した識別子、または識別子および差分データに基づいてデータ伸張し、元のデータを再現することを特徴とする。
また、この発明に係る通信システムのデータ送信方法は、送信装置と受信装置が通信回線で接続される通信システムのデータ送信方法において、送信対象の圧縮データと辞書データが一致するか否かを判定する工程と、一致する場合には、辞書データに対応する識別子を送信する工程と、一致しない場合には、圧縮データと類似した辞書データの有無を判定する工程と、類似した辞書データが有る場合には、類似した辞書データと辞書データの差分データを生成して送信する工程と、類似した辞書データが無い場合には、圧縮データの辞書データ及び辞書データに対応する識別子を生成して送信する工程と、を備えたことを特徴とする。
さらに、この発明に係る通信システムのデータ受信方法は、送信装置と受信装置が通信回線で接続される通信システムのデータ受信方法において、受信したデータが識別子だけである場合には、対応する辞書データを読み出し読み出された辞書データに基づいてデータ伸張を行う工程と、受信したデータが識別子及び差分データである場合には、識別子に対応する辞書データを読み出し読み出された辞書データ及び差分データに基づいてデータ伸張を行う工程と、受信したデータが識別子及び辞書データである場合には、識別子及び辞書データを登録するとともに、辞書データに基づいてデータ伸張を行う工程と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、圧縮された通信単位毎の「辞書データ」に代えて「辞書データ」に対応付けた「識別子」を伝送するため、同一のデータまたは比較的同一(類似)のデータを繰り返し伝送する際、通信回線上のデータ量を削減して、データ伝送効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。なお、本発明は、通信回線上をデータ伝送する際、通信単位(1通話)毎の「辞書データ」の代わりに「辞書データ」に対応付けた「識別子」を伝送し、「辞書データ」のデータ量よりも遥かに少ないデータ量で通信可能な通信システムおよびそのデータ送受信方法を提供するものである。
【0015】
図1はこの発明に係る通信システムの要部ブロック構成図である。図1において、通信システム1は、元のデータを圧縮して送信する送信装置としてのセンタ設備2と、センタ設備2から送信されてくる圧縮データを受信して伸張(展開)し、元のデータに再現する受信装置としての端末設備3と、センタ設備2と端末設備3を接続し、データを伝送する通信回線4とから構成されている。
【0016】
センタ設備2は、専用装置やパソコンなどで構成し、圧縮処理部5、辞書制御部6a、辞書データベース7aおよび送信部8を備える。
【0017】
圧縮処理部5は、元のデータに圧縮処理を施して「圧縮データ」とし、「圧縮データ」を辞書制御部6aに供給する。
【0018】
辞書制御部6aは、CPU(Central Processing Unit)などで構成し、圧縮処理部5から供給される「圧縮データADi」から「辞書データJDi」に変換するとともに、「辞書データJDi」に対応した「識別子αi」を生成し、「識別子αi」に対応付けた「辞書データJDi」を辞書データベース7aに登録(格納)し、読み出す制御を行う。
【0019】
また、辞書制御部6aは、変換した「辞書データJDi」が辞書データベース7aに登録されているか否かを判定し、「辞書データJDi」が登録されていると判定した場合には、辞書データベース7aから「辞書データJDi」に対応付けられた「識別子αi」を読み出し、「識別子αi」を送信部8に供給する。一方、「辞書データJDi」が登録されていないと判定した場合には、「辞書データJDi」に対応付けた「識別子αi」を生成し、「識別子αi」と「辞書データJDi」を辞書データベース7aに登録制御するとともに、「識別子αi」と「辞書データJDi」を送信部8に供給する。
【0020】
さらに、辞書制御部6aは、変換した「辞書データJDj」が「辞書データJDi」に類似していると判定した場合には、辞書データベース7aから「辞書データJDi」に対応付けられた「識別子αi」を読み出すとともに、「辞書データJDj」と「辞書データJDi」の偏差(JDj−JDi)を演算して、「差分データΔi」を生成し、「識別子αi」と「差分データΔi」を送信部8に供給する。なお、「圧縮データADi」、「辞書データJDi」、「差分データΔi」および「識別子αi」の「i」は、例えば任意の数字を表す。
【0021】
辞書データベース7aは、記憶容量の大きなメモリ等で構成し、「識別子αi」と対応付けた「辞書データJDi」を複数、格納する。なお、複数の「差分データΔi」も格納するようにしてもよい。
【0022】
図2はこの発明に係る辞書データベースの一実施の形態データ格納イメージ図である。図2において、辞書データベース7aには、「識別子αi」と対応付けた「辞書データJDi」が格納される。「識別子α1」、「識別子α2」、…、「識別子αk」、…、「識別子αp」に、それぞれ対応付けて「辞書データJD1」、「辞書データJD2」、…、「辞書データJDk」、…、「辞書データJDp」を格納する。
【0023】
なお、「識別子α1」、「識別子α2」、…、「識別子αk」、…、「識別子αp」および「辞書データJD1」、「辞書データJD2」、…、「辞書データJDk」、…、「辞書データJDp」は、それぞれ元のデータD1、D2、…、Dk、…、Dpを圧縮処理した「圧縮データAD1」、「圧縮データAD2」…、「圧縮データADk」、…、「圧縮データADk」から変換し、生成したデータであり、それぞれ初回のデータ送信時には、「辞書データJD1」、「辞書データJD2」、…、「辞書データJDk」、…、「辞書データJDp」を送信することになる。
【0024】
送信部8は、辞書制御部6aから供給される「識別子αi」と「辞書データJDi」、「識別子αi」、または「識別子αi」と「差分データΔi」を通信回線4に送信する。
【0025】
端末設備3は、専用装置やパソコンなどで構成し、受信部9、辞書制御部6b、辞書データベース7b、伸張処理部10を備える。
【0026】
受信部9は、通信回線4から送信されてくる「識別子αi」と「辞書データJDi」、「識別子αi」、または「識別子αi」と「差分データΔi」を受信し、受信した「識別子αi」と「辞書データJDi」、「識別子αi」、または「識別子αi」と「差分データΔi」を辞書制御部6bに供給する。
【0027】
辞書制御部6bは、CPU(Central Processing Unit)などで構成し、受信部9から供給される「識別子αi」と「辞書データJDi」を最初に検出した場合、「識別子αi」と「辞書データJDi」を辞書データベース7bに登録(格納)するとともに、「識別子αi」と「辞書データJDi」を伸張処理部10に供給する。
【0028】
また、辞書制御部6bは、受信部9から供給される「識別子αi」を検出した場合、辞書データベース7bを検索し、「識別子αi」に対応する「辞書データJDi」を読み出し、「辞書データJDi」を伸張処理部10に供給する。
【0029】
さらに、辞書制御部6bは、受信部9から供給される「識別子αi」と「差分データΔi」を検出した場合、辞書データベース7bを検索し、「識別子αi」に対応する「辞書データJDi」を読み出し、「辞書データJDi」と「差分データΔi」を伸張処理部10に供給する。
【0030】
辞書データベース7bは、辞書データベース7aと同様に、記憶容量の大きなメモリ等で構成し、受信部9が初回に受信した「識別子αi」と対応付けた「辞書データJDi」を複数、格納する。
【0031】
また、辞書データベース7bは、辞書データベース7aと同じ図2に示す「識別子αi」と対応付けた「辞書データJDi」を複数、格納するが、格納されるデータは、全て通信回線4から送信されてくるデータである。
【0032】
つまり、辞書データベース7bのデータは、所定のデータ伝送回数が経過すると、辞書データベース7aのデータと全く同じデータとなる。
【0033】
なお、辞書データベース7aのデータを、例えばメモリカードやUSBメモリなどのメモリに格納し、メモリから辞書データベース7bに登録することで、辞書データベース7aのデータと辞書データベース7bのデータを一致させることもできる。
【0034】
さらに、辞書データベース7aと辞書データベース7bのデータ一致は、データ伝送量の少ない夜間に、センタ設備2から通信回線4を介して辞書データベース7aのデータを送り辞書データベース7bに登録させるようにしてもよい。
【0035】
伸張処理部10は、辞書制御部6bから供給される「識別子αi」と「辞書データJDi」、「識別子αi」、または「識別子αi」と「差分データΔi」に基づいてデータ伸張(展開)処理を行い、元のデータを再現する。
【0036】
通信回線4は、専用回線やIPインターネットなどの有線回線、無線回線で構成される。ただし、無線回線の場合、センタ設備2の送信部8および端末設備3の受信部9は、無線送信部または無線受信部で構成される。
【0037】
次に、センタ設備2から通信回線4を介して端末設備3へデータ伝送するデータ形式について説明する。図3はこの発明に係るデータ伝送のデータイメージ図である。図1において、センタ設備2から1回目のデータ通信を行う際、元のデータD1を圧縮処理した「圧縮データAD1」を「辞書データJD1」に変換し、「辞書データJD1」に対応した「識別子α1」を生成した後、「識別子α1」と「辞書データJD1」を辞書データベース7aに登録する(図2参照)とともに、「識別子α1」と「辞書データJD1」を通信回線4に送信する。この時点で、通信回線4上に「識別子α1」と「辞書データJD1」が伝送される。
【0038】
通信回線4から「識別子α1」と「辞書データJD1」を端末設備3が受信すると、「識別子α1」と「辞書データJD1」を辞書データベース7bに登録するとともに、「辞書データJD1」に基づいてデータ伸張(展開)処理して、元のデータD1を再現する。なお、1回目のデータ通信が完了すると、辞書データベース7aおよび辞書データベース7bには、「識別子α1」と「辞書データJD1」が対応付けて格納されることになる(図2参照)。
【0039】
センタ設備2から2回目のデータ通信を行う際、1回目の通信と同一の元のデータD1の場合には、元のデータD1を圧縮処理した「圧縮データAD1」を「辞書データJD1」に変換し、「辞書データJD1」が辞書データベース7aに登録されているか否かを検索して、辞書データベース7aに「辞書データJD1」が登録されているので、「辞書データJD1」に対応した「識別子α1」を読み出し、読み出した「識別子α1」を通信回線4に送信する。この時点で、通信回線4上に「識別子α1」が伝送される。
【0040】
通信回線4から「識別子α1」を端末設備3が受信すると、「識別子α1」が辞書データベース7bに登録されているか否かを検索して、辞書データベース7bに「識別子α1」が登録されているので、「識別子α1」に対応した「辞書データJD1」を読み出し、「辞書データJD1」に基づいてデータ伸張(展開)処理して、元のデータD1を再現する。
【0041】
続いて、センタ設備2から3回目のデータ通信を行う際、1回目の通信と類似した元のデータDxの場合には、元のデータDxを圧縮処理した「圧縮データADx」を「辞書データJDx」に変換し、「辞書データJDx」に類似した「辞書データJD1」を辞書データベース7aから検索して読み出し、「辞書データJDx」と「辞書データJD1」の偏差を演算して、「差分データΔi」を得る。
【0042】
そして、「辞書データJDx」と類似した「辞書データJD1」に対応する「識別子α1」を辞書データベース7aから読み出し、読み出した「識別子α1」と「差分データΔi」を「辞書データJDx」の代わりに通信回線4に送信する。
【0043】
通信回線4から「識別子α1」と「差分データΔi」を端末設備3が受信すると、、「識別子α1」が辞書データベース7bに登録されているか否かを検索して、辞書データベース7bから「識別子α1」に対応した「辞書データJD1」を読み出し、「辞書データJD1」と「差分データΔi」に基づいてデータ伸張(展開)処理して、元のデータDxを再現する。
【0044】
ここで、「差分データΔi」の一例イメージについて説明する。例えば、「辞書データJD1」=a(1)b(2)c(3)d(4)e(5)f(6)g(7)とし、類似「辞書データJDx」=a(1)b(2)c(3)z(4)e(5)f(6)g(7)として、類似「辞書データJDx」と「辞書データJD1」の「差分データΔi」=類似「辞書データJDx」−「辞書データJD1」とすると、a(1)b(2)c(3)z(4)e(5)f(6)g(7)−a(1)b(2)c(3)d(4)e(5)f(6)g(7)=z(4)−d(4)となり、「辞書データJD1」と「差分データΔi」の和は、a(1)b(2)c(3)d(4)e(5)f(6)g(7)+z(4)−d(4)=a(1)b(2)c(3)z(4)e(5)f(6)g(7)となり、類似「辞書データJDx」となる。なお、〔z(4)−d(4)〕の数字(4)は、データの順番の番号を表す。つまり、「辞書データJD1」と「差分データΔi」を伸張(展開)処理することは、類似「辞書データJDx」を伸張(展開)処理することになる。
【0045】
本実施の形態のデータ伝送は、同じデータD1を繰り返し伝送する場合、同じデータD1の「辞書データJD1」に代えて「識別子α1」を伝送することになる。また、類似したデータDxを繰り返し伝送する場合には、類似したデータDxの「辞書データJDx」に代えて「識別子α1」と「差分データΔi」を伝送することになる。これにより、「辞書データJD1」や「辞書データJDx」のデータ容量が大きなデータに代えて、「識別子α1」や「識別子α1」と「差分データΔi」のデータ容量が極めて少ないデータを通信回線4上に伝送することになるため、データ伝送の高効率化を図ることができる。
【0046】
なお、本実施の形態では、通信システム1をデータを配信(伝送)するセンタ設備2と、データを受信する端末設備3で構成したが、センタ設備2と端末設備3との相互間でデータの送受信をするようにしてもよい。
【0047】
また、センタ設備2に限らず、通信システム1を複数の端末設備3で構成し、データの相互通信を実行するようにしてもよい。
【0048】
以上説明したように、本発明によれば、圧縮された通信単位毎の「辞書データJD1」に代えて「辞書データJD1」に対応付けた「識別子α1」を伝送するため、同一のデータまたは比較的同一(類似)のデータを繰り返し伝送する際、通信回線4上のデータ量を削減して、データ伝送効率を向上させることができる。
【0049】
続いて、通信システムのデータ送受信方法について説明する。まず、通信システムのデータ送信方法について説明する。図4はこの発明に係る通信システムのデータ送信方法の一実施の形態要部動作フロー図である。なお、動作フローは、図1に示すセンタ設備2を参照にして説明する。
【0050】
図4において、ステップS1では、送信対象の圧縮データと辞書データを照合する。なお、ステップS1の動作は、辞書制御部6aが実行する。
【0051】
ステップS2では、両データが一致するか否かを判定し、一致する場合にはステップS3に移行し、一致しない場合にはステップS4に移行する。なお、ステップS2の動作は、辞書制御部6aが実行する。
【0052】
ステップS3では、辞書データに対応する識別子を送信する。なお、ステップS3の動作は、辞書制御部6aおよび送信部8が実行する。
【0053】
ステップS4では、圧縮データと類似した辞書データの有無を判定し、有る場合にはステップS5に移行し、無い場合にはステップS7に移行する。なお、ステップS4の動作は、辞書制御部6aが実行する。
【0054】
ステップS5では、類似した辞書データと辞書データの差分データを生成する。なお、ステップS5の動作は、辞書制御部6aが実行する。
【0055】
ステップS6では、辞書データの識別子及び差分データを送信する。なお、ステップS6の動作は、送信部8が実行する。
【0056】
ステップS7では、圧縮データの辞書データと対応する識別子を生成する。なお、ステップS7の動作は、辞書制御部6aが実行する。
【0057】
ステップS8では、識別子及び辞書データを送信する。なお、ステップS8の動作は、送信部8が実行する。
【0058】
続いて、通信システムのデータ受信方法について説明する。図5はこの発明に係る通信システムのデータ受信方法の一実施の形態要部動作フロー図である。なお、動作フローは、図1に示す端末設備3を参照にして説明する。
【0059】
ステップP1では、受信したデータは、識別子だけであるか否かを判定し、識別子だけの場合にはステップP2に移行し、識別子だけでない場合にはステップP4に移行する。なお、ステップP1の動作は、辞書制御部6bが実行する。
【0060】
ステップP2では、識別子に対応した辞書データを読み出す。ステップP2の動作は、辞書制御部6bおよび辞書データベース7bが実行する。
【0061】
ステップP3では、辞書データに基づいてデータ伸張を行う。なお、ステップP3の動作は、辞書制御部6bおよび伸張処理部10が実行する。
【0062】
ステップP4では、識別子及び差分データであるか否かを判定し、識別子及び差分データである場合にはステップP5に移行し、識別子及び差分データでない場合にはステップP7に移行する。なお、ステップP4の動作は、辞書制御部6bが実行する。
【0063】
ステップP5では、識別子に対応する辞書データを読み出す。なお、ステップP5の動作は、辞書制御部6bおよび辞書データベース7bが実行する。
【0064】
ステップP6では、辞書データ及び差分データに基づいてデータ伸張を行う。なお、ステップP6の動作は、辞書制御部6bが実行する。
【0065】
ステップP7では、識別子及び辞書データであるか否かを判定し、識別子及び辞書データである場合にはステップP8に移行し、識別子及び辞書データで無い場合には処理を終了する。なお、ステップP7の動作は、辞書制御部6bが実行する。
【0066】
ステップP8では、識別子及び辞書データを登録する。なお、ステップP8の動作は、辞書制御部6bおよび辞書データベース7bが実行する。
【0067】
ステップP9では、辞書データに基づいてデータ伸張を行う。ステップP9の動作は、辞書制御部6bおよび伸張処理部10が実行する。
【0068】
このように、この発明に係る通信システムのデータ送受信信方法によれば、同じデータまたは類似したデータを繰り返してデータ伝送する場合、識別子、または識別子と差分データを多くのデータ量に代えて伝送することができ、データの伝送効率を高めることができる。
【0069】
上記実施の形態では1つのセンタ設備と1つの端末設備間の通信について述べたが、あるセンタ設備と他のセンタ設備間、ある端末設備と他の端末設備間、複数のセンタ設備と複数の端末設備間のそれぞれの通信にも本発明は適用できる。また、センタ設備と端末設備は送受信方向が上記実施の形態と逆方向になっても良い。また、上記センタ設備と上記端末設備は、これに限定されず、一般的な送信装置と受信装置であって良い。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は「辞書データ」に対応した「識別子」を送信し、通信回線上のデータ量を削減してデータ伝送の効率化を図るものであって、通信単位毎に繰り返し同じデータまたは類似したデータを伝送するあらゆる通信システムに適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】この発明に係る通信システムの要部ブロック構成図
【図2】この発明に係る辞書データベースの一実施の形態データ格納イメージ図
【図3】この発明に係るデータ伝送のデータイメージ図
【図4】この発明に係る通信システムのデータ送信方法の一実施の形態要部動作フロー図
【図5】この発明に係る通信システムのデータ受信方法の一実施の形態要部動作フロー図
【図6】従来の通信システムの要部ブロック構成図
【図7】従来の通信システムのデータ伝送のデータイメージ図
【符号の説明】
【0072】
1…通信システム
2…センタ設備
3…端末設備
4…通信回線
5…圧縮処理部
6a、6b…辞書制御部
7a、7b…辞書データベース
8…送信部
9…受信部
10…伸張処理部
D1、D2、D3、Dk…元のデータ
AD1、AD2、AD3、ADk、ADp…圧縮データ
JD1、JD2、JD3、JDk、JDp…辞書データ
α1、α2、α3、αk、αp…識別子
Δi…差分データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信装置と受信装置が通信回線で接続される通信システムにおいて、
前記送信装置は、元のデータを圧縮データにして前記通信回線に送信し、前記受信装置は、前記通信回線からの前記圧縮データを受信し、伸張して元のデータに再現するとともに、
前記送信装置および前記受信装置は、前記圧縮データの辞書データと、前記辞書データに対応する識別子を記憶する辞書データベースを備え、データ送信時には、前記圧縮データに該当する前記辞書データの前記識別子、または前記圧縮データに該当する前記辞書データの前記識別子および前記圧縮データに類似した圧縮データの辞書データと前記辞書データの偏差である差分データを前記通信回線に送信するとともに、データ受信時には、前記通信回線から受信した前記識別子、または前記識別子および前記差分データに基づいてデータ伸張し、前記元のデータを再現することを特徴とする通信システム。
【請求項2】
送信装置と受信装置が通信回線で接続される通信システムのデータ送信方法において、
送信対象の前記圧縮データと辞書データが一致するか否かを判定する工程と、
一致する場合には、前記辞書データに対応する識別子を送信する工程と、
一致しない場合には、前記圧縮データと類似した辞書データの有無を判定する工程と、
類似した辞書データが有る場合には、前記類似した辞書データと辞書データの差分データを生成して送信する工程と、
前記類似した辞書データが無い場合には、該圧縮データの辞書データ及び該辞書データに対応する識別子を生成して送信する工程と、
を備えたことを特徴とする通信システムのデータ送信方法。
【請求項3】
送信装置と受信装置が通信回線で接続される通信システムのデータ受信方法において、
受信したデータが識別子だけである場合には、対応する辞書データを読み出し当該読み出された辞書データに基づいてデータ伸張を行う工程と、
受信したデータが識別子及び差分データである場合には、識別子に対応する辞書データを読み出し当該読み出された辞書データ及び前記差分データに基づいてデータ伸張を行う工程と、
受信したデータが識別子及び辞書データである場合には、当該識別子及び当該辞書データを登録するとともに、当該辞書データに基づいてデータ伸張を行う工程と、
を備えたことを特徴とする通信システムのデータ受信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−134534(P2009−134534A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−310391(P2007−310391)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)