説明

通信システム

【課題】
無線機と該無線機に接続された複数のデータ通信機器とのデータ通信の干渉をなくし、効率よく運用する。
【解決手段】
少なくとも1つの無線機と、該無線機とデータの送受信を行う複数のデータ通信機器とを有する通信システムであって、該通信システムは、前記無線機から前記複数のデータ通信機器に接続されている伝搬路が前記複数のデータ通信機の数に応じて分岐されており、前記データ通信機器と前記無線機間の伝送路には少なくとも送信と受信の信号開閉スイッチをそれぞれ1つ具備し、さらに前記無線機と前記複数のデータ通信機器間の通信信号に制御信号を付加することで前記信号開閉スイッチを制御することを特徴とした通信システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信システムに関するものであり、特に無線機とデータ通信機器間のデータ通信に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、音声通信とデータ通信が可能な無線機と、データ通信を行うためのデータ通信機器で構成された通信システムとして、例えば、端末とデータ通信用PCをアダプタを介して接続する通信システムが挙げられる。
このような通信システムは、例えば複数の無線機間で通信をする音声、データなどをデータ通信用PCに記憶させ、さらにはPC側で入力したデータを接続された無線機を用いて当該無線機以外の無線機に送信することで相互のデータ通信を可能にしている。
上記従来の通信システムとして、例えば特許文献1が挙げられる。
【0003】
【特許文献1】特開2000−341435号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記のような従来の技術では、送信データ制御信号(以下、TXD信号と記載する。)と受信データ制御信号(以下、RXD信号と記載する。)だけでデータ通信機器間の通信制御を行っていたため、無線機に接続されるデータ通信機器の台数分の通信制御信号を無線機側で用意し、さらに通信制御信号毎に制御を行う必要があった。また、これら複数の通信制御信号を用いることで通信制御方式及び通信プロトコルが複雑になってしまい、さらに無線機とデータ通信機器間通信のデータ通信が干渉してしまうという問題点が存在した。
【0005】
本発明では、上述したような従来の課題を解決するために為されたもので、無線機と該無線機に接続された複数のデータ通信機器とのデータ通信の干渉をなくし、効率よく運用することができる通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、少なくとも1つの無線機と、該無線機とデータの送受信を行う複数のデータ通信機器とを有する通信システムであって、該通信システムは、前記無線機から前記複数のデータ通信機器に接続されている伝搬路が前記複数のデータ通信機の数に応じて分岐されており、前記データ通信機器と前記無線機間の伝送路には少なくとも送信と受信の信号開閉スイッチをそれぞれ1つ具備し、さらに前記無線機と前記複数のデータ通信機器間の通信信号に制御信号を付加することで前記信号開閉スイッチを制御することを特徴とした。
ここで、上記データ通信機器とは種々の装置を用いても良く、例えばパーソナルコンピュータや、FAX等のデータ通信が可能な装置であれば良い。
【発明の効果】
【0007】
本発明によると、無線機と該無線機に接続された複数のデータ通信機器とのデータ通信の干渉をなくし、効率よく運用することができる通信システムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に係る実施例を図面を参照して説明する。
図1には、本発明の一実施例に係る通信システムの構成例を示してある。
本発明の通信システムは、無線機101、105と、データ通信機器102-(a)、102-(b)、106-(a)、106-(b)と、スピーカマイク103、107によって構成される。なお、104は予め規格等で定められ、割り当てられた周波数の無線信号を示している。
音声通信またはデータ通信を行う場合、スピーカマイク103またはデータ通信機器102-(a)またはデータ通信機器102-(b)より出力された通信信号を無線機101より出力し、無線信号104を介して無線機105へ通信信号を送信する。無線機105では受信された通信信号が音声通信であるか、データ通信であるかを判断し、音声通信である場合には、スピーカマイク107によって音声が出力され、データ通信である場合にはデータの送信先がデータ通信機器106-(a)であるか、またはデータ通信機器106-(b)であるのかを判断し、通信内容をデータ通信機器に予め定められた処理、例えば表示または記憶などを行う。
【0009】
図2は本発明の一実施例に係る、無線機−データ通信機器間の構成例を示してある。
ここでは説明のため無線機101とデータ通信機器102-(a)および102-(b)を用いた説明をしているが、各無線機−データ通信機器間で同様の構成をしていて同様の動作が可能であることは言うまでもない。
尚、図1と同様の箇所には同じ番号を付した。
201〜204は無線機101とデータ通信機器102-(a)を接続している伝搬路であり、特に伝搬路203、204は無線機101とデータ通信機器102-(a)間で送受される制御信号によって開閉されるスイッチを具備している。また、同様に205〜208は無線機101とデータ通信機器102-(b)を接続している伝搬路であり、特に伝搬路207、208は無線機101とデータ通信機器102-(b)間で送受される制御信号によって開閉されるスイッチを具備している。
【0010】
ここで伝搬路201は無線機101からデータ通信機器102-(a)へデータ通信禁止出力信号を送信する際に使用され、伝搬路202はデータ通信機器102-(a)から無線機101へプレス禁止入力信号を送信する際に使用される。同様に伝搬路203は無線機101からデータ通信機器102-(a)へTXD信号を送信する際に使用され、伝搬路204はデータ通信機器102-(a)から、無線機101へRXD信号を送信する際に使用される。
【0011】
また、伝搬路205は無線機101からデータ通信機器102-(b)へデータ通信禁止出力信号を送信する際に使用され、伝搬路206はデータ通信機器102-(b)から無線機101へプレス禁止入力信号を送信する際に使用される。伝搬路207は無線機101からデータ通信機器102-(b)へTXD信号を送信する際に、伝搬路208はデータ通信機器102-(b)から無線機101へRXD信号を送信する際に使用される。
さらに、伝搬路201と205、伝搬路202と206、伝搬路203と208、伝搬路204と207のそれぞれは任意の箇所で結線されており無線機101に接続されている。
ここで、各伝搬路は有線で構成されており、その種類は例えば光ファイバーであったり、同軸ケーブルであったり、と種々のものを適宜用いることができる。
【0012】
図3は本発明の各種状況における制御信号通信の一例を示したものである。
ここでは各使用状況における無線機およびデータ通信機器の動作を無線機101とデータ通信機器102-(a)およびデータ通信機器102-(b)を代表的に用いて説明することにし、他の無線機(例えば無線機105)やデータ通信機器(例えばデータ通信機器106-(a)、106-(b))であっても同じ処理が行うことが可能である。
【0013】
まず図3(a)について説明する。図3(a)は無線機101が音声またはデータを他の無線機(例えば無線機105)から受信中である場合を示しており、無線機101ではプレス起動を禁止し、音声通信やデータ通信を重複して通信しないように受信動作を優先させる。このとき無線機101はデータ通信機器102-(a)、102-(b)にデータ通信禁止信号を出力し、データ通信を禁止させる。受信が終了するとプレス起動の禁止を解除し、各データ通信機器に出力していたデータ通信禁止信号を停止させる。
【0014】
次に、図3(b)について説明する。図3(b)は無線機101が他の無線機(例えば無線機105)とプレス通話を行っている場合を示しており、無線機101は接続されているデータ通信機器102-(a)、102-(b)に対してデータ通信禁止信号を出力し、データの送信を禁止させる。プレス通話が終了すると各データ通信機器に出力していたデータ通信禁止信号を停止させる。
【0015】
次に、図3(c)について説明する。図3(c)はデータ通信機器102-(a)がデータ通信中(無線機101がデータ通信機器102-(a)からのプレス禁止信号入力中)である場合を示しており、無線機101はプレス起動を禁止し、データ通信機器102-(a)からデータ送信を行う。データ送信中に関係なく、運用システムの都合上通話禁止にさせる場合には、この状態を指示することで、データ通信機器102-(a)から音声通話禁止の有無を制御することが可能となる。
【0016】
次に、図3(d)について説明する。図3(d)は無線機101のプレス起動とデータ通信機器102-(a)(またはデータ通信機器102-(b))からのデータ通信が同時に起きた場合を示しており、このとき無線機101ではプレス通話を優先し、音声通話を確立する。このとき、接続されているデータ通信機器102-(a)、102-(b)にはデータ通信禁止信号を出力し、データ通信を禁止させる。無線機101が始めに受信したデータ通信機器102-(a)(またはデータ通信機器102-(b))からのデータは無効となる。
【0017】
図4は本発明の各種状況における伝搬路スイッチの動作の一例を示したものである。
ここでは各使用状況における伝搬路203、204、207、208を介した各種信号の送受信動作を無線機101とデータ通信機器102-(a)およびデータ通信機器102-(b)を代表的に用いて説明することにした。
【0018】
まず、図4(a)について説明する。図4(a)はデータ通信機器102-(a)より送信されるRXD信号(以下、RXD1信号と記載する。)を無線機101が伝搬路204により受信した場合を示しており、このときデータ通信機器102-(b)では、データ通信機器102-(b)より無線機101へ送信されるRXD信号(以下、RXD2信号と記載する。)を伝搬する伝搬路208の開閉スイッチを閉じることでデータ通信機器102-(b)からのデータ受信が行われないように制御する。
【0019】
次に、図4(b)について説明する。図4(b)はデータ通信機器102-(b) より送信されるRXD2信号を無線機101が伝搬路208により受信した場合を示しており、このときデータ通信機器102-(a)では、データ通信器データ通信機器102-(a)より無線機101へ送信されるRXD1信号を伝搬する伝搬路204の開閉スイッチを閉じることによってデータ通信機器102-(a)からのデータ受信が行われないように制御する。
【0020】
次に、図4(c)について説明する。図4(c)は相手局の無線機にデータ通信機器102-(a)、または102-(b)より受信したデータを送信している場合を示しており、このときRXD1信号、およびRXD2信号が伝搬される伝搬路204、および伝搬路208の開閉スイッチを閉じてデータ通信機器102-(a)と102-(b)からデータを受信しないように制御する。
【0021】
次に、図4(d)について説明する。図4(d)は相手局無線機から受信したデータをデータ通信機器102-(a)に送信している場合を示しており、このときデータ通信機器102-(a)と102-(b)の伝搬路204および208の開閉スイッチを閉じてデータ通信機器102-(a)と102-(b)からのデータを受信しないように制御する。
また、同様に無線機からデータ通信機器102-(b)へ送信するTXD信号(以下、TXD2信号と記載する。)を伝搬する伝搬路207の開閉スイッチも閉じることでデータデータ通信機器102-(a)への送信データがデータ通信機器102-(b)へ送信されることを防ぐ。
【0022】
次に、図4(e)について説明する。図4(e)は相手局無線機から受信したデータをデータ通信機器102-(b)に送信している場合を示しており、このときデータ通信機器102-(a)と102-(b)の伝搬路204および208の開閉スイッチを閉じてデータ通信機器102-(a)と102-(b)からのデータを受信しないように制御する。
また、同様に無線機からデータ通信機器102-(a)へ送信するTXD信号(以下、TXD1信号と記載する。)を伝搬する伝搬路207の開閉スイッチも閉じることでデータデータ通信機器102-(b)への送信データがデータ通信機器102-(a)へ送信されることを防ぐ。
【0023】
以上のことから本発明の実施の形態によると、データ通信機器へのデータ通信禁止信号出力による制御、データ通信機器側からのプレス禁止信号出力による通信制御機能を追加することで、データ通信および音声通信の切替え制御が干渉無く制御が行える。また、制御信号の2本追加で制御可能に成るため、システム運用を簡単に実現することが可能となる。
また、データ通信においても1接続分の制御信号から分岐させ、複数のデータ通信機器間と接続し、信号開閉スイッチを分岐後に追加し制御することで1接続制御信号で複数のデータ通信機器と通信が行え、データ通信制御方式及び通信プロトコルも簡素化することが可能となる。
【0024】
また、本発明の実施の形態によると、無線機とデータ通信機器間に送信データ制御信号(TXD)、受信データ制御信号(RXD)の他に制御信号(データ通信禁止信号、PTT通話禁止信号)を追加し、制御することで無線区間での音声通信またはデータ通信、及び無線機とデータ通信機器間のデータ通信の干渉をなくすことを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施例に係る通信システムの構成例。
【図2】本発明の一実施例に係る、無線機−データ通信機器間の構成例。
【図3】本発明の各種状況における制御信号通信の一例。
【図4】本発明の各種状況における伝搬路スイッチの動作の一例。
【符号の説明】
【0026】
101、105・・・無線機
102、106・・・データ通信機器
103、107・・・スピーカマイク
104・・・無線信号
201、202、205、206・・・伝搬路
203、204、207、208・・・伝搬路(開閉スイッチ付き)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの無線機と、該無線機とデータの送受信を行う複数のデータ通信機器とを有する通信システムであって、
該通信システムは、前記無線機から前記複数のデータ通信機器に接続されている伝搬路が前記複数のデータ通信機の数に応じて分岐されており、
前記データ通信機器と前記無線機間の伝送路には少なくとも送信と受信の信号開閉スイッチをそれぞれ1つ具備し、
さらに前記無線機と前記複数のデータ通信機器間の通信信号に制御信号を付加することで前記信号開閉スイッチを制御することを特徴とした通信システム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−60002(P2007−60002A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−239934(P2005−239934)
【出願日】平成17年8月22日(2005.8.22)
【出願人】(000001122)株式会社日立国際電気 (5,007)
【Fターム(参考)】