説明

通信処理装置

【課題】ETCシステムの料金所で、隣接するレーン間に電波漏洩制限用壁を設ける場合、追加工事が必要でありコストアップの要因となっていた。
【解決手段】道路上に設けられる複数の受信エリア9a〜9fの各々に対応する複数のアンテナビームを形成する受信アンテナ部と、前記受信アンテナ部と接続され前記受信アンテナ部で受信された複数の受信信号に基づき前記ETC車載器11の位置を判定する受信信号処理部とを備え、前記複数の受信エリアは、前記料金収受の情報を交信する車両が走行する本車線とともに、前記本車線と隣接する隣接車線にも設けられ、前記受信信号処理部は同一のETC車載器11から受信した前記受信信号の強度を比較することにより、前記車両が走行する車線を判定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無線通信を用いて有料道路利用料金をノンストップで収受する自動料金収受システム(以下、ETCシステムとも称す)における通信処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
無線通信手段により、路上機と車両に搭載された車載器との間で料金収受に必要な情報を交換し、有料道路の利用者がノンストップで道路走行しながら料金収受するETCシステムが実用化されている。
従来のETCシステムでは、隣接するレーンへの受信電波の漏れによって、隣接レーンを走行する車両との間で誤通信が生じる場合があるという課題があった。この誤通信の対策として、通行車両に搭載された車載器と通信を行うための路側アンテナが設けられた第1のレーンと、この第1のレーンと隣接する第2のレーンとの間に、電波漏洩制限用壁を設け、電波漏洩制限用壁により隣接レーン間の誤通信を制限する技術などが開示されている(例えば、特許文献1、2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−123111号公報
【0004】
【特許文献2】特開平11−185083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、隣接するレーン間に先行技術文献に記載されたような電波漏洩制限用壁を設ける場合、電波漏洩制限用壁を新たに用意し設置する工事が必要となるため、工期の延長や、価格面でコストアップ要因となるなどの課題があった。
【0006】
この発明は係る課題を解決するためになされたものであり、隣接するレーン間に電波漏洩制限用の壁を設けることなく、隣接するレーンを走行する車両との間の誤通信を防止できる通信処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る通信処理装置は、ETCシステム(Electronic Toll Collection System:自動料金収受システム)において道路側に設けられる通信処理装置であって、道路上に設定された複数の受信エリアの各々に対応した複数の受信アンテナビームを形成する受信アンテナ部と、前記受信アンテナ部と接続され、ETC車載器を搭載したETC車両から受信した信号で、前記複数の受信アンテナビームの各々に対応付けして前記受信アンテナ部で受信した受信信号に基づき、前記ETC車両が走行する車線を判定する信号処理部とを備え、前記受信エリアは、料金収受の対象とする車線である自レーン上と、前記自レーンに隣接し料金収受の対象としない車線である隣接レーン上に設定され、前記信号処理部は、同一のETC車載器から同一の時間帯に受信した受信信号が複数ある場合に、前記受信信号の強度比較の結果に基づき前記ETC車両が走行している車線が前記自レーンであるか否かを判定する。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係る通信処理装置によれば、隣接するレーン間に電波吸収体を設置することなく、隣接するレーンを走行する車両との間の誤通信を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】この発明の実施の形態1に係るETCシステムの概略構成図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る道路上に形成された受信ビームの模式図である。
【図3】この発明の実施の形態1に係る受信ビームの道路断面の模式図である。
【図4】この発明の実施の形態1に係る通信処理装置の構成ブロックの一例である。
【図5】この発明の実施の形態1に係る通信処理装置の動作フローである。
【図6】この発明の実施の形態1に係る通信処理装置による誤通信の防止を説明する図である。
【図7】従来のETCシステムの概略構成図である。
【図8】1つのビームで受信エリアをカバーしたときと、複数の狭受信ビームで受信エリアをカバーしたときの道路断面ビーム形成を比較した模式図である。
【図9】従来のETCシステムの課題を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、隣接するレーンへの受信電波の漏れを抑制する技術として特許文献2に開示された従来技術とその課題について説明する。その後、本発明に係る通信処理装置について説明する。
【0011】
図7は、特許文献2に記載されたETCシステムの概略構成図である。
図7のETCシステム(Electronic Toll Collection System:自動料金収受システム)は、料金収受を行う料金所ブース1、車両が通過する通路2、車両の通路を分離する通路分離帯3、通路に進入するETC車4、料金収受に関わる情報の授受を行うために料金所側に設置される路上機5、上記路上機5を取付けるための支持柱6、上記路上機5に取り付けられたアンテナ7から放射されたアンテナビーム8、9a〜9fは複数個の受信エリア、車両の進入および通過を感知する車両センサ10a、10b、および料金収受に関わる情報の授受を行うためにETC車4側に搭載されアンテナと送受信機とから構成された自動料金収受機能を有する車載機11から構成される。22は送信エリアである。
このようにアンテナ7は、通信相手となる車両が走行する車線(以下、自レーン、あるいは、本車線ともいう)内に複数(図7の例では、6個)の受信ビームエリアの狭い狭ビームを形成し、レーン内の各々の受信エリアを走行する車両と通信を実施する。
【0012】
図8は、(1)1つの受信ビームで受信エリアをカバーしたときと、(2)複数の狭受信ビームで受信エリアをカバーしたときの道路断面での受信電力分布を比較した模式図である。破線は1つの受信ビームでカバーした場合の受信電力分布のグラフであり、実線は複数の受信ビームでカバーした場合の受信電力分布のグラフである。1つの受信ビームで受信エリア全体をカバーした場合と比較して、複数の狭ビームで受信エリアをカバーすることで、自レーン(通信相手となる車両が走行する車線。本車線ともいう)と自レーンに隣接するレーン(以下、隣接レーン、または隣接車線ともいう)への電波の漏れを小さく抑えることができる。
このように複数の狭受信ビームで受信エリアをカバーすることで、1つの受信ビームで受信エリア全体をカバーした場合と比較して、隣接レーンを走行する車両との間で誤って通信を行う誤通信を抑制することができる。
【0013】
しかしながら複数の狭ビームで受信エリアの全体をカバーして電波の漏れを抑えた場合であっても、自レーンと、隣接レーンに同時に車両が入ってきた場合などでは、図9に示すように隣接レーンを走行する車両が発した電波を自レーンを走行する車両が反射して、自レーンのアンテナ7で受信される場合がある。
この場合、アンテナ7は隣接レーンを走行している車両のことを自レーンを走行している車両であると誤って認識し、当該車両に対して誤って通行料金を課金してしまうことが生じる。
【0014】
以上のように複数の狭受信ビームで受信エリアをカバーすることで、隣接レーンへの電波の漏れを抑制し、これによって電波漏洩制限用壁を新たに設けることなく、隣接レーンを走行する車両との間の誤通信を行うことを抑制することができる。
しかしながらこの場合でも、自レーンと隣接レーンを並走する複数の車両がある場合では、隣接レーンを走行する車両が発した電波が自レーンを走行する車両で反射して自レーンに設けられた受信アンテナで受信されることで、隣接レーンを走行する車両があたかも自レーンを走行している車両であるかのようにみなされて、課金の対象とされてしまうことがあるという課題が生じていた。
【0015】
以下では、この課題を解決するためになされたこの発明に係る通信処理装置について説明する。
【0016】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るETCシステムにおける受信ビームの形成パターンを示したものである。
実施の形態1に係るETCシステムの概略構成は、図7で説明した従来構成と同様であり、料金収受を行う料金所ブース1、車両が通過する通路2、車両の通路を分離する通路分離帯3、通路に進入するETC車4、料金収受に関わる情報の授受を行うために料金所側に設置される路上機5、上記路上機5を取付けるための支持柱6、上記路上機5に取り付けられたアンテナ17から放射されたアンテナビーム18、車両の進入および通過を感知する車両センサ10a、10b、および料金収受に関わる情報の授受を行うためにETC車4側に搭載されアンテナと送受信機とから構成された自動料金収受機能を有する車載機11から構成される。
ここで、9a〜9fは自レーン内に形成された複数個の受信エリアであり、50a〜50cは各々一方の隣接レーン内に形成された受信エリアであり、また、60a〜60cは各々他方の隣接レーン内に形成された受信エリアである。アンテナ17は、マルチビームを生成するディジタルビームフォーミングアンテナ(DBFアンテナ)であってもよいし、また、複数個の受信アンテナを各々の受信エリアに対応して縦横の面内に配列した構成のものであってもよい。
【0017】
このように、本発明に係る実施の形態1では、路上機5に取り付けられたアンテナ17の受信エリアが自レーン内に形成される(9a〜9f)と共に、自レーンに隣接する隣接レーンにも形成される(50a〜50c、60a〜60c)点で、図7の従来のETCシステムの構成とは異なる。
【0018】
図2は、実施の形態1に係る自動料金収受システムにおいて、道路上に形成された受信ビームを表わした模式図である。
このように、路上機5に取り付けられたアンテナ17はマルチビームとなるアンテナビーム18を放射し、アンテナ17の通信相手となる車両が走行する車線である自レーン内に9a〜9fの6つの楕円状の受信エリアを形成する。また、自レーンの両隣の隣接レーン内には、各々50a〜50c及び60a〜60cの楕円状の受信エリアを形成する。
【0019】
ここで、自レーンとは、アンテナ17の通信相手となる車両が走行する車線であり、ETCシステムにより課金の対象となるETC車両が走行する車線である。
隣接レーンとは自レーンに隣接したレーンで、例えば一般車線である。あるいは、有料の車線であるが、例えば自レーンとはこの先で行先が分かれており、図2のアンテナ17とは課金を目的とした交信を行わない車両が走行する車線である。
【0020】
図2において、自レーンを走行する車両4に搭載された車載器11は、自レーン内に形成された受信エリア9e、9c、9aの各々のエリアにおいてアンテナ17と通信を開始し、所定の課金処理がなされる。
【0021】
図3は、実施の形態1に係るアンテナ17が生成する受信ビームの電力分布を示した道路断面の模式図である。このように、実施の形態1に係るアンテナ17は、隣接レーンにも受信ビーム50(50a〜50c)、60(60a〜60c)を形成している点で、従来からのETCシステムとは異なる。
【0022】
図4は、実施の形態1に係る通信処理装置100の構成を示したブロック図である。
通信処理装置100は、アンテナ17と、ビーム成形回路30と、信号処理部90とからなる。アンテナ17は例えばDBF(Digital Beamforming)アンテナであり、ビーム成形回路30によりビーム形状が決定される。
信号処理部90は、受信信号の電力の大きさを比較する電力比較部70と、車両位置を判定する車載器位置判定部75と、課金などのETCの通常処理を行うETC信号処理回路80とからなる。この通信処理装置100は、路上機5内に設けられる。路上機5内には、送信アンテナ等も含まれるがここでは省略する。
【0023】
ビーム成形回路30はアンテナ素子それぞれに供給する信号の位相(
または位相と振幅)を調整するなどしてマルチビームを成形し、図1のように自レーン内に複数の受信エリア9a〜9fを形成する。また、隣接レーン内にも複数の受信エリア50a〜50c、及び60a〜60cを形成する。
なお、アンテナ17とビーム成形回路30については、アンテナと受信機を複数個用意してアンテナの指向方向を調整しながら配列することで、図1のように受信エリア9a〜9f、50a〜50c、及び60a〜60cを形成するようにしてもよい。
【0024】
ビーム成形回路30は、各々の受信エリア9a〜9f、50a〜50c及び60a〜60cにおいて受信した受信信号200を信号処理部90に出力する。例えば、受信エリア9fを走行する車両の車載器から受信した受信信号200_9fを信号処理部90に出力する。また、受信エリア50cから受信した受信信号200_50cを信号処理部90に出力する。
信号処理部90では各々の受信エリアから受信した受信信号200を用いて、各々のエリアに存在する車載器の番号を抽出するなどの処理を行う。
電力比較部70は、ビーム成形回路30から受信したこれらの受信信号のうち、同一の車載器11から受信した受信信号の電力を比較する。
車載器位置判定部75は、電力比較部70で行った電力の比較結果に基づき車載器11の位置を判定する。
ETC処理回路80は車載器位置判定部75で判定した車載器11の位置に基いて、自レーンを走行する車両に対しては、この後、通常行う課金処理等のETC信号処理を行い、隣接レーンを走行する車両に対してはETC信号処理を実行しないなどの対応処理を実行する。
【0025】
次に、通信処理装置100の動作について、具体例を用いて説明する。
図5は、通信処理装置100が実行する動作フローの一例である。
まず、ビーム成形回路30では、アンテナ17を介して複数設定した受信エリア9a〜9f、50a〜50c及び60a〜60cの各々の受信エリアから信号を受信する(図7のS01)。ビーム成形回路30では、どの受信エリアから受信した信号であるかの判別を行うことができる。
図6に示すように、車載器11を搭載した車両(ETC車両ともいう)4がアンテナ17と通信が可能なエリアに侵入すると、路上機5のアンテナ17より路上機側の情報、例えば料金所の名前、通過レーン等を車載器11に送信する。この情報を受信した車載器11は、受信エリア9e、9f、50c、60cのいずれかに進入した時点で、生成したLID(リンクアドレス)や車載器11の情報、例えば車載器番号、車種区分などの車載器に関する情報をアンテナ17に送信する。
アンテナ17で受信された受信信号は、信号処理回路90に出力される。
信号処理部90では、同一の時間帯に同一の車載器11から受信した受信信号を抽出して、電力比較部70に出力する。
【0026】
電力比較部70は、同一の時間帯に同一の車載器から受信した受信信号200の電力の大小を比較し、その比較結果を車載器位置判定部75に出力する(S02)。
同一時間帯に同一の車載器から受信した受信信号200が1つの場合は、1つの比較結果を車載器位置判定部75に出力する(S02)。なお、ここで同一の時間帯とは例えば数十〜数百(msec)程度の時間帯でであり、車載器から直接受信した信号と車載器からの信号が別の車両のボディなどで反射されてから受信した信号の受信時間のタイムラグに応じて、通信処理装置側で予め最適な値を定めておく。
車載器位置判定部75は、電力比較部70で行った同一時間帯に同一の車載器から受信した受信信号200の電力の大小比較の結果から、電力が最大である受信エリアに、当該時間帯に車載器11が存在していると判定する。
【0027】
次に、車載器位置判定部75は、電力が最大である受信エリアが自レーン内の受信エリア(すなわち、受信エリア9a〜9fのいずれか)であれば、車載器11を搭載した車両4が自レーンを走行していると判断して(S03)、次のステップ(S04)に移る。
一方、車載器位置判定部75は、電力が最大である受信エリアが自レーン内の受信エリアでない(すなわち、電力が最大である受信エリアが50a〜50c、60a〜60cのいずれか)場合は、車載器11を搭載した車両は隣接レーンを走行していると判断して(S03)、ACTCの送信回数を計測するカウンタをゼロにリセットして(S05)、S01のステップにもどり、再びステップS01からの動作を実行する。
【0028】
ステップS04では、ACTCカウンタが予め定めた規定回数以上であるか否かを判定する。ACTCカウンタが規定回数以上でなければACTCの送信回数を計測するカウンタに1を加算して(S06)、S01のステップにもどり、再びステップS01からの動作を実行する。
ACTCカウンタが予め定めた規定回数以上となった場合、すなわち、車載器位置判定部75によって規定回数、連続して車載器11を搭載した車両4が自レーンを走行していると判断された場合は、判断結果の信頼性が向上したとして、課金などの通常のETC信号処理を開始する(S07)。
【0029】
このように、車載器位置判定部75は、受信可能エリアに複数の車載器があれば車載器毎に区別して、各々の車載器11の存在する領域、すなわち受信エリア9a〜9f、50a〜50c及び60a〜60cの中のどのエリアにどの車載器11が存在しているかを判別することができる。
そして、車載器位置判定部75により、車載器11が存在するエリアが所定回数、連続して自レーン内にあると判断されれば、ETC信号処理回路80は通常のETC信号処理(課金処理等)を行うようにする。
一方、車載器位置判定部75により、車載器11が存在するエリアが自レーンにないと判断すれば、ETC信号処理回路80はその車載器に対して課金処理等は行わないようにする。
これにより通信処理装置100は、自レーンを走行する車両を選別し、自レーンを走行する車両に対してのみ、適切に課金の処理を行うことができる。
【0030】
ここで、自レーンを走行する車両4と隣接レーンを走行する車両4bが、図6に示すように並走して路上機5のアンテナ17の通信可能エリアに侵入してきた場合を想定する。 なお、車両4bは車載器11を搭載したETC車両とする。
【0031】
この場合、従来の課題の図9のところで説明したように、車両4bが送出した電波が車両4で反射し、その反射波120がアンテナ17で受信されることで、隣接レーンを走行する車両4bがあたかも自レーンを走行しているかのように路上機5側で判断され、その結果、車両4bが課金されるという誤通信が生じる可能性がある。
以下では、このように誤通信が生じる可能性がある場合における、本実施の形態に係る通信処理装置の処置内容について説明する。
【0032】
本実施の形態に係る通信処理装置100のアンテナ17は、図1、図2に示すように隣接レーンにも受信エリア50a〜50c及び60a〜60cが形成されている。
このため、図6の場合では、路上機5のアンテナ17は、車両4での反射波120によって、受信エリア9fにおいて車両4bからの受信信号200_9fを受信すると共に、受信エリア60cにおいても車両4bからの直接波110である受信信号200_60Cを受信することになる。
【0033】
電力比較部70では、同一の車載器から受信した受信信号の電力について比較するが、ここでは、直接波である受信信号200_60Cと、反射波である受信信号200_9fの電力について比較することになる(S04)。
ここで直接波と反射波の電力を比較すると、反射波は車両4で反射しているため、反射損失により減衰する。また、車載器のアンテナ指向特性によりビーム3で受信される電力より小さくなる。すなわち、
【0034】
【数1】

【0035】
である。
よって、電力が最大となる受信エリアは受信エリア60cとなるが、受信エリア60cは、自レーンでなく隣接レーンにある受信エリアであることから(S05)、ETC信号処理回路80は、車両4bが隣接レーンを走行する車両であることを把握して、車両4bに対して課金処理は行われない。
【0036】
以上のように、本実施の形態に係る通信処理装置100によれば自レーンを走行する車両を選別し、隣接するレーン間に電波吸収体を設置することなく、隣接するレーンを走行する車両との間の誤通信を防止して、自レーンの車両に対してのみ課金処理を行うことができる。
【0037】
なお、本実施の形態では、受信エリアを図1、2のように自レーンで2×3個、隣接レーン(片側)で1×3個形成したが、この数や受信エリアの配置に限られるものではない。
【0038】
また、実施の形態1では、1つの時間で車両の存在するエリアを判断するようにしたが、所定の時間間隔で車両の走行経路をトレースすることで、当該車両が自レーンを走行しているか、あるいは隣接レーンを走行しているかを判断するようにしてもよい。これにより、隣接レーンを走行する車両との誤通信を防止して、ETCにおける課金処理の信頼性をより向上させることができる。
【符号の説明】
【0039】
1 料金所ブース、2 車両が通過する通路、3 車両の通路を分離する通路分離帯、4 通路に進入する車両、4b 隣接レーンを走行する車両(ETC車)、5 路上機、6 支持柱、7 アンテナ、8 アンテナビーム、9a〜9f 受信エリア、10a、10b 車両センサ、11 車載機、17 アンテナ、30 ビーム成形回路、50a〜50c 受信エリア、60a〜60c 受信エリア、70 電力比較部、75 車載器位置判定部、80 ETC信号処理回路、90 信号処理部、100 通信処理装置、110 直接波、120 反射波、200 受信信号。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ETCシステム(Electronic Toll Collection System:自動料金収受システム)において道路側に設けられる通信処理装置であって、
道路上に設定された複数の受信エリアの各々に対応した複数の受信アンテナビームを形成する受信アンテナ部と、
前記受信アンテナ部と接続され、ETC車載器を搭載したETC車両から受信した信号で、前記複数の受信アンテナビームの各々に対応付けして前記受信アンテナ部で受信した受信信号に基づき、前記ETC車両が走行する車線を判定する信号処理部と、
を備え、
前記受信エリアは、料金収受の対象とする車線である自レーン上と、前記自レーンに隣接し料金収受の対象としない車線である隣接レーン上に設定され、
前記信号処理部は、同一のETC車載器から同一の時間帯に受信した受信信号が複数ある場合に、前記受信信号の強度比較の結果に基づき前記ETC車両が走行している車線が前記自レーンであるか否かを判定することを特徴とする通信処理装置。
【請求項2】
前記信号処理部は、同一のETC車載器から同一の時間帯に受信した前記受信信号のうち、最も受信信号の強度の大きい受信信号に対応する受信アンテナビームに対応付けされた受信エリアが前記自レーン上にあるか、あるいは隣接レーン上にあるかを調べ、前記受信エリアが前記自レーン上にある場合に前記ETC車両は自レーンを走行していると判定することを特徴とする請求項1記載の通信処理装置。
【請求項3】
前記信号処理部は、前記受信エリアが所定の回数連続して自レーン上にあると判定した場合に、前記ETC車両は自レーンを走行していると判定することを特徴とする請求項2記載の通信処理装置。
【請求項4】
前記信号処理部により自レーンを走行していると判定されたETC車両との間でのみ料金収受の情報の交信を行うETC処理回路を備えることを特徴とする請求項1乃至3いずれか記載の通信処理装置。
【請求項5】
前記信号処理部は、前記ETC車載器から取得したLID(リンクアドレス)または前記ETC車載器の個別の車載器情報に基づき、前記受信信号が同一のETC車載器からの受信信号であるか否かを判定することを特徴とする請求項1乃至4いずれか記載の通信処理装置。
【請求項6】
前記受信アンテナ部はDBFアンテナとビーム成形回路を備え、前記ビーム成形回路は前記DBFアンテナのアンテナ素子のそれぞれに供給する信号の位相、
あるいは位相と振幅を調整して、前記複数の受信アンテナビームを形成することを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の通信処理装置。
【請求項7】
前記受信アンテナ部は複数の受信アンテナを備え、前記複数の受信アンテナが各々1つの受信アンテナビームを形成して前記複数の受信アンテナビームを形成することを特徴とする請求項1乃至5いずれか記載の通信処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−45204(P2013−45204A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181276(P2011−181276)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】