説明

通信機器

【課題】画面を確認できない状態におかれている場合において、確実に発信元に関する情報を提供することができる通信機器を提供する。
【解決手段】
通信機器10の制御部11は、記憶部15に記憶されている他の通信機器ごとの識別情報に、制御部11が検出可能な種々の接触パターンのうちいずれかの接触パターンを関連付け、通信部13を介して着信を検出し、通信機器10を振動させるように振動部14を制御している際に、検出された着信の発信元情報に対応する他の通信機器の識別情報に関連付けた接触パターンを検出すると、振動モードを変更するように振動部14を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチセンサを備える通信機器に関するものである。
【0002】
多くの携帯電話やスマートフォン等の表示画面を有する通信機器は、電話着信時又はメール受信時には、着信音又は振動により電話着信及びメール受信をユーザに通知すると共に、例えば、発信元の氏名(名称)や、発信元情報(電話番号、メールアドレス)などを表示画面に表示する。すると、通信機器のユーザは、着信音や振動により電話着信又はメール受信に気づき、通信機器を手元に取り出して、目視により表示画面を確認することで、発信元等を認識する。
【0003】
他方、大半の通信機器は、振動によって着信を通知する、いわゆるバイブレーションモードを有する。バイブレーションモードについて、ユーザは、複数の振動パターンを任意に設定することができる。ユーザは、振動パターンのそれぞれを、通信機器に予め登録されている一つの特定の電話番号と関連付けたり、又は電話番号のグループと関連付けたりすることも可能である。
【0004】
このような通信機器として、例えば、振動パターンを記憶するメモリ部を備え、受信した発呼者電話番号と予め登録されている電話番号とを照合した結果により振動パターンを選択的に切替え、特定の振動パターンで振動させることにより、発呼者を識別するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載の携帯端末によれば、例えば、会議中など、画面を確認できない状態におかれている場合においても、ユーザは発呼者を特定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−307631号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、通信機器のユーザが、各自の通信機器において設定されている全ての振動パターンと発呼者電話番号との関連を確実に把握しているとは限らず、また、多様な振動パターンを確実に区別できるとも限らない。このため、画面を確認することなく、振動パターンのみに基づいて、確実に発呼者を特定することは困難であることが懸念される。
【0007】
したがって、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、画面を確認できない状態におかれている場合においても、ユーザに発信元に関する情報を通知することができる通信機器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成する第1の観点に係る通信機器の発明は、
他の通信機器と通信を行うための通信部と、
前記通信部を介して通信を行う他の通信機器ごとの発信元情報を含む識別情報を複数記憶する記憶部と、
接触物による接触を検出するタッチセンサと、
前記通信機器を振動させる振動部と、
前記タッチセンサにより検出される前記接触物による接触に基づき接触パターンを検出するとともに、
前記通信部を介して着信を検出すると、前記通信機器を振動させるように前記振動部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記記憶部に記憶されている前記他の通信機器ごとの識別情報に、前記制御部が検出可能な種々の接触パターンのうちいずれかの接触パターンを関連付け、
前記通信部を介して着信を検出し、前記通信機器を振動させるように前記振動部を制御している際に、前記検出された着信の発信元情報に対応する前記他の通信機器の識別情報に関連付けた接触パターンを検出すると、振動モードを変更するように前記振動部を制御することを特徴とするものである。
【0009】
上記目的を達成する第2の観点に係る通信機器の発明は、
他の通信機器と通信を行うための通信部と、
前記通信部を介して通信を行う他の通信端末ごとの発信元情報を含む識別情報を複数記憶する記憶部と、
接触物による接触を検出するタッチセンサと、
前記通信装置を振動させる振動部と、
前記タッチセンサにより検出される前記接触物による接触に基づき接触パターンを検出するとともに、
前記通信部を介して着信を検出すると、該着信の情報を前記記憶部に記憶するように制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記記憶部に記憶されている前記他の通信機器ごとの識別情報に、前記制御部が検出可能な種々の接触パターンのうちいずれかの接触パターンを関連付け、
前記着信の情報を前記記憶部に記憶している状態で、前記着信の発信元情報に対応する前記他の通信端末の識別に関連付けた接触パターンを検出すると、前記通信機器を振動させるように前記振動部を制御することを特徴とするものである。
【0010】
第3の観点に係る発明は、第1または第2の観点に係る通信機器であって、前記接触パターンは前記タッチセンサに対する前記接触物の接触点数であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、振動により、ユーザに発信元に関する情報を通知することができる通信機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態に係る通信機器の概略構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した通信機器を構成する各機能部の実装構造の一例を示す図である。
【図3】図1に示した通信機器の第1の動作例を示すフローチャートである
【図4】図1に示した通信機器の操作時におけるタッチパネル上の状態の一例を説明するための図である。
【図5】図1に示した通信機器の第2の動作例を示すフローチャートである。
【図6】図1に示した通信機器の操作時におけるタッチパネル上の状態の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施の形態に係る通信機器の要部構成を概略的に示す機能ブロック図である。図1に示すように、通信機器10は、制御部11と、タッチパネル12と、通信部13と、振動部14と、記憶部15と、を備えている。尚、本実施の形態においては、通信機器10は、携帯電話であるものとして説明する。
【0015】
制御部11は、通信機器10の各機能ブロックをはじめとして通信機器10の全体を制御および管理する。また、タッチパネル12は、入力部16、表示部17と、とを備えている。このタッチパネル12は、ユーザの入力を受け付けるための入力部16を、表示部17の前面に重畳させて配設することにより構成する。
【0016】
タッチパネル12の表示部17は、例えば液晶ディスプレイ(LCD)または有機ELディスプレイなどで構成する。この表示部17は、各アプリケーションに対応する表示を行う他、入力部16へのユーザの操作入力を受け付けるための各種キーやボタンなどで構成するユーザインタフェースを所定の表示領域に描画して表示する。以下、このように、タッチパネル12の入力部16に対するユーザの操作入力を受け付けるために、ユーザが目視により認識できるように表示部17に表示する各種キーやボタンなどの画像を、「入力用オブジェクト」と記す。この表示部17は、例えば、液晶表示パネルや有機EL表示パネル等を用いて構成する。
【0017】
タッチパネル12の入力部16は、タッチセンサを構成し、タッチセンサは、ユーザの指やスタイラスペン等の接触物がタッチセンサに触れたこと(接触)を検出するセンサである。このタッチセンサは、例えば抵抗膜方式、静電容量方式、光学式等の公知の方式のもので構成する。タッチセンサは、接触物による接触を検出するだけでなく、その接触の位置を検出することができる。なお、タッチセンサが接触を検出する上で、接触物が物理的にタッチセンサに接触することは必須ではない。例えば、タッチセンサが光学式である場合は、タッチセンサはタッチセンサ上の赤外線が接触物で遮られた位置を検出するため、接触物がタッチセンサに接触することは不要である。
【0018】
通信部13は、他の通信機器と通信を行うためのものであり、制御部11は、通信部13を介して他の通信機器と信号の送受信を行い、電話の発着信、メールの送受信の処理を行う。
【0019】
振動部14は、通信装置10を振動させるもので、例えば、振動モータ、振動素子を用いて構成する。なお、振動部14として、例えば圧電素子等を用いてタッチセンサを振動させるようにして、通信装置を振動させるようにしてもよい。振動部14は、複数の振動パターンで振動することで、タッチパネル12に接触しているユーザの指などの接触物に対して様々な振動(触感)を呈示することができる。
【0020】
記憶部15は、通信部13を介して通信を行う他の通信機器ごとに、識別情報として、発信元情報(電話番号、メールアドレス)、発信元の氏名(名称)、及びグループ情報等を記憶している。ここで、識別情報としてのグループ情報とは、通信部13を介して通信を行う他の通信機器等がどのグループに属するかを示す情報である。ユーザは、任意にある属性を有するグループを作成し、当該グループに属する、他の通信機器を選択し、通信機器ごとにグループ情報を設定することができる。
【0021】
例えば、ユーザは、グループ情報として、「会社」の属性を有するグループ1(グループ情報1)を作成し、当該グループ1に属する通信機器を選択し、選択した各通信機器についてそれぞれグループ1に属する旨を示すグループ情報を関連付ける。同様にして、ユーザは、通信機器10について、「家族」の属性を有するグループ2(グループ情報2)及び「友人」の属性を有するグループ3(グループ情報3)を作成し、各グループ2及び3に属する各通信機器について、グループ情報を関連付ける。以下、少なくとも2つのグループが作成されているものとして説明する。しかしながら、グループ作成は任意であり、1つのグループだけが設定されていることもあれば、グループが4つ以上設定されている場合もある。
【0022】
さらに、記憶部15は、各種アプリケーションおよび入力された各種情報などを記憶するとともに、ワークメモリなどとしても機能する。特に、本実施の形態では、記憶部15は、着信により発信元情報(電話番号又はメールアドレス)を受信した際に、発信元情報を一時的に保持する。尚、一つのグループに属する通信機器等は一つ又は複数である。
【0023】
制御部11は、内蔵記憶部(図示しない)を有し、電話着信又はメール受信(メールの着信)を検出すると、当該着信の発信元情報(電話番号又はメールアドレス)を内蔵記憶部に記憶する。また、制御部11は、タッチセンサにより検出される接触物による接触に基づき接触パターンを検出する。接触パターンは、例えば、タッチセンサに対する接触物の接触点数である。また、制御部11は、通信部13を介して着信を検出すると、通信機器10を振動させるように振動部14を制御する。制御部11は、電話(通話)の着信を検出すると、通信機器10に対してユーザが電話(通話)の着信に応答するための操作が行われるまでは、通信機器10を振動させ続けるように振動部14を制御する。
【0024】
また、制御部11は、記憶部15に記憶されている通信部13を介して通信を行う他の通信機器ごとの(他の通信機器ごとに関連付けた)識別情報(グループ情報)に、制御部11が検出可能な種々の接触パターンのうちいずれかの接触パターンを関連付ける。ここで、制御部11が、タッチセンサに対する接触物による1点接触、2点接触、3点接触をそれぞれ分離して検出可能であるとすると、制御部11は、接触パターンとして、1点接触、2点接触および3点接触が検出可能である。そして、識別情報としてのグループ情報1、グループ情報2及びグループ情報3に対して、例えば、制御部11は、グループ情報1に接触パターンとして1点接触、グループ情報2に接触パターンとして2点接触、グループ情報3に接触パターンとして3点接触を関連付ける。
【0025】
また、制御部11は、通信部13を介して着信を検出すると、振動部14の振動モードが第1の振動モードとなるように制御する。ここで、振動モードは、振動部14を種々の態様で振動させるモードだけではなく、振動部14を全く振動させないモードも含む。そして、制御部11は、通信機器10を第1の振動モードで振動させるように振動部14を制御している際に、検出された着信の発信元情報に対応する他の通信機器の識別情報に関連付けた接触パターンを検出すると、通信機器10の振動モードを第1の振動モードとは異なる第2の振動モードに変更するように振動部14を制御する。たとえば、制御部11は、着信を検出して内蔵記憶部に記憶した発信元情報と、記憶部15に記憶している発信元情報を照合し、着信の発信元(他の通信機器)を特定する。そして、特定された通信端末に関連付けたグループ情報を認識し、認識されたグループ情報に関連づけた接触パターンがタッチセンサにより検出されると、通信機器10の振動モードを、第2の振動モードに変更する。制御部11は、第2の振動モードでは、第1の振動モードとは異なるパターンで振動部14を振動させても良いし、振動部14の振動を停止させても良い。
【0026】
また、制御部11は、通信16を介して着信を検出すると、この着信の情報を記憶部15に記憶するように制御する。例えば、制御部11は、電話(通話)の着信があったにも関わらずユーザが着信に応答しなかった場合、未応答着信があることを記憶部15に記憶する。また、制御部11は、メールを受信(着信)すると、未確認(新着)メールがあることを記憶部15に記憶する。ここで、着信の情報とは、例えば、これら未応答着信や未確認メールがあることを示す情報である。また、制御部11は、着信の情報を記憶部15に記憶している状態で、着信の発信元情報に対応する他の通信端末の識別に関連付けた接触パターンを検出すると、通信機器10を振動させるように振動部14を制御する。これにより、通信機器10は、ユーザに対して振動により、どのグループに属する通信機器からの着信かを確認する機会を提供することができる。制御部11の動作例については、第1動作例を図3のフローチャートを参照して、第2動作例を図5のフローチャートを参照して後述する。
【0027】
図2は、図1に示した通信機器10のタッチパネル12、荷重検出部13、および圧電素子で構成した振動部14の実装構造の一例を示す図である。なお、図2は、通信機器10の要部断面図を示す。ここでは、ユーザの指が、タッチパネル12に接触している様子を表している。タッチパネル12の入力部16(タッチセンサ)は、弾性部材からなるインシュレータ18を介して表示部17上に保持する。振動部14は、入力部16に振動(触感)を伝達できるように、例えば入力部16に接触させて配置する。
【0028】
(第1動作例)
図3は、図1及び図2に示した通信機器10の第1の動作例を示すフローチャートである。第1の動作例は、通信機器10において、発信元(通信を行う他の通信機器)が属するグループを、ユーザが振動により確認することができる機会を提供するための動作モードを示す。以下、本動作例においては、グループ情報2が関連付けられた他の通信機器(発信元)からの電話の着信があるものとして説明する。なお、本動作が開始するまでに、制御部11は、グループ情報1に接触パターンとして1点接触、グループ情報2に接触パターンとして2点接触、グループ情報3に接触パターンとして3点接触を関連付けているものとする。
【0029】
先ず、制御部11は、電話の着信を検出すると、電話番号(発信元情報)を受信し、内蔵記憶部に受信した電話番号を記憶する。そして、制御部11は、ユーザに、着信があったことを通知するため、通信機器10を振動させるように振動部14の制御する(ステップS01)。以下、本動作において、振動部14による振動を停止するまで、振動は継続しているものとする。
【0030】
制御部11は、タッチセンサにより検出される接触物による接触に基づき接触パターンを検出する(ステップS02)。ここでは、制御部11は、タッチセンサに対する接触物の接触点数を検出する。例えば、ユーザが2本の指をタッチパネル12に接触させると、制御部11は2点の接触点を検出する。
【0031】
そして、制御部11は、ステップS02において検出した接触点数の対応するグループを特定することにより、ユーザが指定しているグループを認識する(ステップS03)。例えば、上述の通り、制御部11は、ステップS02において接触点を2点検出した場合には、ステップS03において、「家族」の属性を有するグループ2(グループ情報2)を特定する。
【0032】
さらに、制御部11はステップS03において認識したグループを指定する(ステップS04)。そして、当該指定したグループと、着信時に受信した電話番号の対応する他の通信端末に関連付けたグループ情報とを照合し、指定したグループからの着信であるか否かを判断する(ステップS05)。照合により、指定したグループであるグループ2に属する通信機器からの着信であると判断した場合には、制御部11は、振動部14の駆動を停止し、振動モードを変更する(ステップS05のYes、ステップS06)。このように、通信機器10は、振動モードを変更することにより、ユーザに対してグループ指定が正しいことを認識させる。図4(b)は、タッチセンサに対してユーザが2本の指を接触させることにより、着信中に、通信機器10の振動が停止したことを示している。なお、制御部11は、ステップS01において開始した振動を停止したのち、当該振動とは異なる振動パターンで振動するように振動部14を制御することにより、また、ステップS01において開始した振動を停止することなく、当該振動とは異なる振動パターンで振動するように振動部14を制御することにより、振動モードを変更し、ユーザに対してグループ指定が正しいことを認識させてもよい。
【0033】
これに対し、ユーザが、タッチパネル12上において、1本の指をタッチパネル12に接触させると、制御部11は、ステップS02において、1点の接触点のみを検出し、ステップS03において「会社」の属性を有するグループ1を認識して指定する。そして、制御部11は、ステップS05において、指定したグループであるグループ1に属する発信元からの着信ではないと判断する。この場合、制御部11は振動部14の駆動を停止せずに、振動を継続させるように制御する(ステップS05のNo、ステップS07)。図4(a)は、タッチセンサに対してユーザが1本の指を接触させたとしても、着信中に、通信機器10の振動が停止せず、継続していることを示している。
【0034】
その後、制御部11は、(ユーザにより着信に対する応答がないまま、)着信が終了したか否かを判断する(ステップS08)。制御部11は、着信が終了したと判断した場合には振動を停止し、動作を終了する(ステップS08のYes)。一方、制御部11は、ステップS08において、ユーザにより着信に対する応答がない状態が継続していると判断した場合には、再度、ステップS02に戻り、ステップS03〜S07の動作を行う。
【0035】
好ましくは、制御部11は、電話着信の場合、ステップS02における入力検出において、タッチパネル12に表示された入力用オブジェクトの一つである、「受話ボタン」上における入力を検出した場合には、通話を開始し、確認動作(本動作)を終了するように動作してもよい。
【0036】
このように、第1動作例においては、ステップS02〜S04で、制御部11が、ユーザが指定しているグループを認識し、ステップS05において、発信元の属するグループが、ユーザが指定しているグループと一致するか否かを判断する。そして、ユーザが指定したグループが、発信元が属するグループと一致しない場合には、ステップS07において振動を継続させ、着信が終了しない限り、ユーザに対してグループを確認する機会を提供する。
【0037】
これにより、ユーザは複数回にわたって、発信元の属するグループを確認するために、グループを指定することが可能となる。このように、通信機器10は、ユーザに対して確実にどのグループに属する通信機器からの着信であるかを認識する機会を提供することができる。
【0038】
更に、第1動作例においては、ステップS06において、振動を停止させるだけでなく、ユーザに対してグループ指定が正しいことを認識させるための振動による触感を呈示する。仮に、制御部11が、発信元が属するグループと一致すると判断した場合に、振動を停止させるだけならば、ユーザは、指定したグループと着信中の通信機器が属するグループが一致することにより振動が停止したのか、或いは着信が終了したために振動が停止したのかを特定することができない。そこで、第1動作例のように、制御部11が、ステップS06において、振動を停止させることに併せて、ユーザに対してグループ指定が正しいことを認識させるための振動による触感を呈示することで、ユーザに対して確実にグループを確認する機会を提供することができる。
【0039】
尚、第1動作例は、グループ2の通信機器から通信機器10に対して、電話着信があったものとして説明したが、電話着信に代えて、メール受信の場合にも本動作例に準ずる動作が行われうる。
【0040】
(第2動作例)
図4は、図1及び図2に示した通信機器10の第2の動作例を示すフローチャートである。第2の動作例は、通信機器10は、未応答着信や未確認メール等(着信の情報)の有無を、ユーザが振動により確認することができる機会を提供するための動作モード(以下、「確認モード」という)を示す。なお、本動作が開始するまでに、制御部11は、グループ情報1に接触パターンとして1点接触、グループ情報2に接触パターンとして2点接触、グループ情報3に接触パターンとして3点接触を関連付けているものとする。そして、本動作では、グループ情報2が関連付けられた他の通信機器(発信元)からの電話の着信があり、ユーザがこの着信に対して応答しなかっため、この着信(未応答着信)の情報が記憶部15に記憶されているものとする。
【0041】
また、ユーザは、確認モードを開始及び終了するための所定の接触パターンを認識しているものとする。所定の接触パターンには、例えば、長押し(所定時間以上にわたる接触)や、ダブルクリック(所定の時間以内の2回以上の接触)などがある。以下、確認モードを開始及び終了させるため所定の接触パターンは、ダブルクリックであるものとして説明する。尚、確認モードの開始のための接触パターンと、終了のための接触パターンとは異ならせることもできる。
【0042】
先ず、制御部11は、タッチセンサにより検出される接触物による接触に基づき接触パターンを検出する(ステップS11)。ここでは、制御部11は、確認動作開始のための所定の入力(接触)(以下、「確認開始入力」という)の有無を判断する(ステップS12)。ここでは、制御部11は、確認開始入力としてダブルクリックを検出する。
【0043】
制御部11は、ステップS12において確認開始入力があったと判断すると、確認モードによる動作を開始する(ステップS12、S13)。尚、確認開始入力以外の入力の場合には、所定の動作(スリープモードからの復帰、番号入力等)を行う。そして、制御部11は、タッチセンサにより検出される接触物による接触に基づき接触パターンを検出するとともに、ユーザが指定しているグループを認識する(ステップS14)。ここでは、制御部11は、例えば、タッチセンサに対する接触物の接触点数を検出し、検出した接触点数が対応するグループを特定することにより、ユーザが指定しているグループを認識する。例えば、ユーザが2本の指をタッチパネル12に接触させしている場合には、制御部11は、ステップS14において接触点を2点検出する。そして、制御部11はステップS14において、「家族」の属性を有するグループ2を特定し、ユーザがグループ2をしていることを認識する。
【0044】
そして、制御部11は、ステップ14で認識したグループを指定する(ステップS15)。次に、当該指定したグループと、着信時に制御部11の内蔵記憶部に記憶された発信元情報の対応する他の通信機器(発信元)に関連付けたグループ情報とを照合し、指定したグループからの着信であるか否かを判断する(ステップS16)。照合により、指定したグループであるグループ2に属する通信機器からの着信であると判断した場合には、制御部11は、通信機器10を振動させるように振動部14を制御する(ステップS16のYes)。図5(b)は、着信ありの状態(未応答着信の情報が記憶部15に記憶されている状態)で、タッチセンサに対してユーザが2本の指を接触させることにより、制御部11が、通信機器10を振動させるように振動部14を制御していることを示している。
【0045】
一方、制御部11は、ステップS16において、未応答着信の電話番号(発信元情報)に対応する他の通信端末に関連付けたグループ情報と、ステップS15にて指定したグループとを照合し、指定したグループに属する通信機器からではないと判断した場合には、通信機器10を振動させるように振動部14を制御しない(ステップS18)。例えば、ユーザが1本の指をタッチパネル12に接触させている場合には、ステップS14において、制御部11は接触点を1点検出し、ユーザがグループ1を指定していると認識する。そして、制御部11はステップS15においてグループ1を指定する。この結果、ステップS16において、未応答着信の電話番号(発信元情報)に対応する他の通信端末に関連付けたグループ情報(グループ情報2)と、ステップS15にて指定したグループ(グループ情報1)とを照合し、指定したグループからの着信等ではないと判断する。このような場合には、制御部11はステップS18に移行し、通信機器10を振動させるように振動部14の制御を行わない。なお、このとき、ステップS17において呈示する触感(振動)とは別の触感(振動)を呈示して、ユーザに対して、指定したグループからの着信等が無い旨を認識する機会を提供することもできる。図5(a)は、着信ありの状態(未応答着信の情報が記憶部15に記憶されている状態)で、タッチセンサに対してユーザが1本の指を接触させたとしても、制御部11が、通信機器10を振動させるように振動部14を制御しないことを示している。
【0046】
そして、制御部11は、ステップS15で指定したグループ以外のグループが設定されている場合には、ステップS20に移行する(ステップS19)。そして、制御部11は、他のグループの未応答着信及び未読メール等の有無を判断する(ステップS20)。制御部11は、他のグループの未応答着信及び未読メール等が有ると判断した場合には、タッチセンサにより検出される接触物による接触に基づき接触パターンを検出する(ステップS21)。
【0047】
その後、制御部11は、確認動作終了のための所定の入力(以下、「確認終了入力」という)の有無を判断する(ステップS22)。そして、制御部11は、ステップS22において確認終了入力(例えば、ダブルクリック)が無いと判断した場合には、タッチセンサからの出力に基づいてユーザが指定しているグループを認識し、ステップS15へと移行する(ステップS23)。一方、制御部11がステップS22において確認終了入力有りと判断した場合には、確認モードを終了する。
【0048】
一方、ステップS20において、制御部11が他のグループの未応答着信及び未読メール等が無いと判断した場合には、ユーザに対して確認モードを終了する旨を通知するための触感(振動)(以下、「終了触感」という)を呈示して、確認モードを終了する(ステップS24)。この終了触感は、ステップS17において呈示される触感(振動)とは異なる触感である。
【0049】
このように、第2動作例においては、確認モードでき通信機器10を動作させることで、例えば、会議中など、通信機器10の画面表示を確認できない状態におかれている場合においても、未応答着信及び未確認メールの有無を含む、発信元のグループを確実に認識する機会を提供することができる。
【0050】
なお、本発明は、上述した実施の形態にのみ限定されるものではなく、幾多の変更または変形が可能である。例えば、上記実施の形態においては、グループ単位で接触パターンを関連付けたが、グループに限らず、識別情報(発信元情報)に直接接触パターンを関連付けても良い。また、上記実施の形態に係る通信機器10は、ユーザに対して、画面を目視することなく発信元が属するグループを確実に認識する機会を提供するだけではなく、発信元の通信機器等に対して何らかのメッセージを通知する機会を提供できるように構成することができる。
【0051】
具体的には、以下の通りである。通信機器10は、さらにタッチセンサに対する押圧荷重を検出する荷重検出部を備えるようにする。そして、荷重検出部が検出する押圧荷重に関連した所定の閾値が設定されている場合を想定する。この場合、まず、ユーザが着信中の通信機器の属するグループを認識して、重要と判断して、タッチパネル12を押し込む。すると、制御部11は、所定の閾値以上の押圧荷重を検出して、発信元の通信機器に対して所定のメッセージを送信する。所定のメッセージは、予め定められた定型メッセージでも良いし、ユーザにより任意に作成されたメッセージであっても良い。このような通信機器10においては、例えば、荷重検出部が複数の閾値を有していてもよく、制御部11が、いわゆる「2段押し」を検出した場合にメッセージの送信を行うように構成することもできる。
【0052】
また、上記実施の形態においては、制御部11は、タッチセンサにより検出される接触物による接触に基づき接触点数を検出し、検出した接触点数に基づいてユーザが指定しているグループを特定するものとした。この際、制御部11は、前述した荷重検出部により検出した押圧荷重が所定の閾値以上であれば、接触点数をカウントするように構成することも可能である。
【0053】
また、例えば、制御部11は、接触パターンとして、接触点数ではなく、タッチセンサに対する接触物による接触の軌跡を検出するように構成することも可能である。この場合、制御部11は、検出した接触の軌跡に基づいて、ユーザが指定しているグループを特定し、受信した識別情報に対応するグループ情報と照合する。例えば、ユーザが指やスタイラスペン等の接触物を用いてタッチセンサに対して「2」の軌跡を描いた場合、制御部11は、その軌跡に基づいてユーザが指定しているグループがグループ2であることを特定する。
【0054】
更にまた、例えば、制御部11は、接触パターンとして、接触点数ではなく、接触時間を検出するように構成することも可能である。この場合、制御部11は、検出した接触時間に応じて、ユーザが指定しているグループを特定し、受信した識別情報に対応するグループ情報と照合する。
【符号の説明】
【0055】
10 通信機器
11 制御部
12 タッチパネル
13 通信部
14 振動部
15 記憶部
16 入力部
17 表示部
18 インシュレータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信機器であって、
他の通信機器と通信を行うための通信部と、
前記通信部を介して通信を行う他の通信機器ごとの発信元情報を含む識別情報を複数記憶する記憶部と、
接触物による接触を検出するタッチセンサと、
前記通信機器を振動させる振動部と、
前記タッチセンサにより検出される前記接触物による接触に基づき接触パターンを検出するとともに、
前記通信部を介して着信を検出すると、前記通信機器を振動させるように前記振動部を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記記憶部に記憶されている前記他の通信機器ごとの識別情報に、前記制御部が検出可能な種々の接触パターンのうちいずれかの接触パターンを関連付け、
前記通信部を介して着信を検出し、前記通信機器を振動させるように前記振動部を制御している際に、前記検出された着信の発信元情報に対応する前記他の通信機器の識別情報に関連付けた接触パターンを検出すると、振動モードを変更するように前記振動部を制御することを特徴とする通信機器。
【請求項2】
通信機器であって、
他の通信機器と通信を行うための通信部と、
前記通信部を介して通信を行う他の通信端末ごとの発信元情報を含む識別情報を複数記憶する記憶部と、
接触物による接触を検出するタッチセンサと、
前記通信装置を振動させる振動部と、
前記タッチセンサにより検出される前記接触物による接触に基づき接触パターンを検出するとともに、
前記通信部を介して着信を検出すると、該着信の情報を前記記憶部に記憶するように制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記記憶部に記憶されている前記他の通信機器ごとの識別情報に、前記制御部が検出可能な種々の接触パターンのうちいずれかの接触パターンを関連付け、
前記着信の情報を前記記憶部に記憶している状態で、前記着信の発信元情報に対応する前記他の通信端末の識別に関連付けた接触パターンを検出すると、前記通信機器を振動させるように前記振動部を制御することを特徴とする通信機器。
【請求項3】
前記接触パターンは前記タッチセンサに対する前記接触物の接触点数であることを特徴とする、請求項1または2に記載の通信機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−49915(P2012−49915A)
【公開日】平成24年3月8日(2012.3.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−191347(P2010−191347)
【出願日】平成22年8月27日(2010.8.27)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】