説明

通信端末装置、バイブレータ制御方法、及び、プログラム

【課題】携帯電話機の周辺状況に応じた適切な振動量によりバイブレータを制御する。
【解決手段】通信端末装置10の制御部4は、加速度センサー3の出力値から、通信端末装置10の周辺環境を判断する。制御部4は、通信端末装置10の周辺環境がユーザーと離れた環境であると判断した場合は小さな振動量を、ユーザーと離れた環境ではないと判断した場合は大きな振動量を駆動回路2へ出力する。駆動回路2は、受信した振動量に従ってバイブレータ1を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイブレータによって着信を通知する通信端末装置、バイブレータ制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯電話機は、バイブレータの振動によりユーザーに着信を通知している。しかし、机等の硬い場所に放置した場合、バイブレータの振動が大きくなり耳障りな音となる場合がある。そこで、特許文献1に記載の技術では、携帯電話機に搭載された加速度センサーの検出結果から携帯電話機が机等の硬い場所に載置されていると判断した場合に、振動を停止している。また、特許文献2に記載の技術では、携帯電話機に搭載した加速度センサーの検出結果から移動状態であるかを判断し、その判断結果によってモーターの回転の加速度を変える制御を行なっている。また、特許文献3に記載の技術では、携帯通信端末装置が操作されてからの経過時間や、加速度センサー、照度センサー、人感サンサーなどの検出結果から気づきやすさのレベルを判断し、その判断結果によってバイブレータの振動量を制御している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−206856号公報
【特許文献2】特開2009−135675号公報
【特許文献3】特開2010−130649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の携帯電話機の着信時のバイブレータ振動は一定の振動量であるため、ロッカーの中に携帯電話機を保管しているときなどのようにユーザーが不在である場合や、周辺の音量が小さく、バイブレータ振動に気づきやすいときにも無駄に振動をしている。しかし、特許文献1に記載の技術は、バイブレータが駆動している際の振動の大きさによって振動を停止するものであり、携帯電話機の周辺環境に応じた振動量の制御は行なっていない。また、特許文献2は、移動状態か否かによってモーターの回転の加速度を制御しており、特許文献3は、ユーザーにとっての気づきやすさのレベルからバイブレータの振動量を制御している。しかし、これらの技術も携帯電話機の周辺環境に応じた振動量の制御を行なうものではない。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、その目的は、周辺状況に応じた適切な振動量によりバイブレータを制御する通信端末装置、バイブレータ制御方法、及び、プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、上記の課題を解決すべくなされたもので、バイブレータと、周辺状況を検出するためのセンサーと、前記センサーによる検出結果に基づいて周辺状況を判断し、判断された周辺状況に対応して前記バイブレータの振動量を決定する制御部と、前記制御部により決定された振動量に従って前記バイブレータを駆動する駆動部と、を備えることを特徴とする通信端末装置である。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、センサーによる検出結果によって携帯電話機の周辺状況を判断して着信時のバイブレータの振動量を変化させることができるため、携帯電話機を大きく振動させることが適当ではない周辺状況のときには振動量を下げ、省電力を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の第1の実施形態による通信端末装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図2】同実施形態による振動量テーブルを示す図である。
【図3】同実施形態による通信端末装置の状態検出処理のフローチャートを示す図である。
【図4】同実施形態による通信端末装置の着信処理のフローチャートを示す図である。
【図5】第2の実施形態による通信端末装置の構成を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
【0010】
図1は、本発明の第1の実施形態による通信端末装置10の機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみ抽出して示している。通信端末装置10は、例えば、携帯電話機であり、バイブレータ1、駆動回路2、加速度センサー3、制御部4、及び、記憶部6を備える。
【0011】
バイブレータ1は、着信報知のために振動を発生させる。このバイブレータ1の振動が伝達することにより、通信端末装置10の筐体が振動する。駆動回路2は、制御部4から受信したバイブレータ振動量に従って、バイブレータ1を駆動する。バイブレータ1の振動量の変更は、電圧駆動により行なってもよく、電流駆動により行なってもよい。加速度センサー3は、通信端末装置10の筐体の加速度を検知する。制御部4は、加速度センサー3による検知の結果から通信端末装置10の装置状態を判断し、判断した装置状態に応じたバイブレータ振動量を駆動回路2に出力する。装置状態は、例えば、移動状態、静止状態などである。記憶部6は、加速度センサー3による検知の結果を示すデータや、装置状態に応じたバイブレータ1の振動量を記憶する。
【0012】
続いて、図1に示す構成の通信端末装置10の動作を、図2に示す振動量テーブルと、図3及び図4に示すフローチャートを用い説明する。
【0013】
図2は、通信端末装置10の記憶部6に記憶される振動量テーブルを示す図である。
振動量テーブルは、装置状態と、バイブレータ振動量とを対応付けたデータである。本実施形態では、「状態A」は、通信端末装置10がユーザーに持ち運ばれている状態を示しており、ユーザーが通信端末装置10を手に持って操作している最中や、胸ポケットやかばんの中に通信端末装置10を入れて持ち運んでいるようなときの装置状態である。このときの通信端末装置10の周辺環境は、ユーザーと離れていない環境である。一方、「状態B」は、通信端末装置10にほとんど動きが無い装置状態を示しており、ロッカーに入れられるなど、ユーザーが身に付けて持ち運んだり、手に持ったりせずに置かれている状態を示す。このときの通信端末装置10の周辺環境は、ユーザーとは離れた環境である。同図に示すように、装置状態「状態A」に対応したバイブレータ振動量は「振動量1」、装置状態「状態B」に対応したバイブレータ振動量は「振動量2」であり、振動量の強さの関係は、「振動量1」>「振動量2」である。
【0014】
図3は、通信端末装置10における状態検出処理のフローチャートを示す図である。
通信端末装置10の加速度センサー3は、加速度を検知し、検知した加速度である出力値として制御部4へ出力する。制御部4は、加速度センサー3からの出力値を示す加速度データを受信すると、受信した加速度データと時刻とを対応付けた蓄積データを記憶部6に書き込む(ステップS1)。制御部4は、現在から所定時間遡った時刻まで、例えば、過去5分間の時刻に対応した加速度データを記憶部6に記憶されている蓄積データから読み出し、5分を経過した時刻に対応した蓄積データを削除する。以下、ステップS1において受信した加速度データにより示される出力値を「受信出力値」、記憶部6から読み出した加速度データにより示される出力値を「蓄積出力値」と記載する。
【0015】
制御部4は、受信出力値が蓄積出力値と近似しており、かつ、受信出力値及び蓄積出力値から得られる全ての振動量が所定の閾値以下であるか否かを判断する(ステップS2)。制御部4は、例えば、受信出力値と、蓄積出力値の平均との差が所定の値あるいは所定の割合以内である場合、近似していると判断する。あるいは、制御部4は、蓄積出力値のうち最も大きい蓄積出力値、または、最も小さい蓄積出力値を選択し、受信出力値と、選択した蓄積出力値との差が所定の値あるいは所定の割合以内である場合、近似していると判断してもよい。また、振動量は、出力値の振幅、すなわち、時刻が連続している2つの出力値の差分によって算出される。
【0016】
制御部4は、受信出力値が蓄積出力値と近似しており、かつ、全ての振動量が所定の閾値以下であると判断した場合(ステップ2:YES)、装置状態は「状態B」であると判断し(ステップS3)、ステップS1からの処理を繰り返す。一方、制御部4は、受信出力値が蓄積出力値と近似していない、あるいは、いずれかの振動量が所定の閾値を超えていると判断した場合(ステップS2:NO)、装置状態は「状態A」であると判断し(ステップS4)、ステップS1からの処理を繰り返す。
【0017】
なお、ステップS2において、制御部4は、受信出力値が蓄積出力値と近似しているかについては判断せず、蓄積出力値全てから得られる振動量が所定の閾値以下であるか否かのみを判断してもよい。
【0018】
図4は、通信端末装置10の着信処理のフローチャートを示す図である。
通信端末装置10の制御部4は、マナーモードであるなどバイブレータ設定がされているか否かを判断する(ステップS11)。制御部4は、バイブレータ設定がONであり、着信通知を受信した場合(ステップS12)、図3の状態検出フローにおいて判断された現在の装置状態を判定する(ステップS13)。制御部4は、装置状態が「状態A」であると判断した場合、図2に示す振動量テーブルから「状態A」に対応したバイブレータ振動量「振動量1」を読み出し、駆動回路2に出力する。駆動回路2は、制御部4から受信した「振動量1」によってバイブレータ1を駆動し、バイブレータ1は、「振動量1」の強さで振動する(ステップS14)。一方、制御部4は、装置状態が「状態B」であり、「状態A」ではないと判断した場合、図2に示す振動量テーブルから「状態B」に対応したバイブレータ振動量「振動量2」を読み出し、駆動回路2に出力する。駆動回路2は、制御部4から受信した「振動量2」によってバイブレータ1を駆動し、バイブレータ1は、「振動量2」の強さで振動する(ステップS15)。
【0019】
上記においては、ステップS12に着信通知を受信しているが、音声通話の着信に限らず、電子メールや各種情報の受信の通知を受信した場合でもよく、アラームの起動を検出した場合でもよい。
【0020】
以上説明したように、本実施形態では、加速度センサーの出力によって、通信端末装置10の状態を判断し、ほとんど動きが無いような場合には、バイブレータの振動量を小さくする。従って、ユーザーが、通信端末装置10としての携帯電話機を身につけずに放置しているなど、通信端末装置10がユーザーとは離れた環境に置かれている場合は、振動量を下げ、省電力を実現することができる。また、机上に携帯電話機を置いている状態では、耳障りな振動を抑制することができる。
【0021】
なお、上記実施形態では、装置状態を「状態A」、「状態B」の2種類としたが、加速度センサーの出力値に基づいて3種類以上の装置状態に分類することも可能である。制御部4は、各装置状態に対応したバイブレータ振動量を駆動回路2に出力する。また、加速度センサー3が検出した出力値のデータ蓄積時間を5分間としたが、これ以上の時間にすることも可能である。
【0022】
続いて、本発明の第2の実施形態を説明する。上述した第1の実施形態では、加速度センサーによって通信端末装置の端末状態を判別しているが、本実施形態では、マイクによって通信端末装置の装置状態を検出し、バイブレータ振動量を制御する。以下、第1の実施形態との差分について説明する。
【0023】
図5は、第2の実施形態による通信端末装置10aの機能ブロック図であり、本実施形態と関係する機能ブロックのみ抽出して示してある。同図において、図1に示す第1の実施形態の通信端末装置10と同一の部分には同一の符号を付し、その説明を省略する。図5に示す通信端末装置10aが、図1に示す第1の実施形態の通信端末装置10と異なる点は、加速度センサー3に代えてマイク5を備える点である。マイク5は、周辺の音を検出し、音量を制御部4へ出力する。
【0024】
通信端末装置10aの記憶部6に記憶される振動量テーブルは、図2に示す振動量テーブルと同様である。ただし、「状態A」は、通信端末装置10aの周囲の音量が大きい装置状態を示しており、「状態B」は、通信端末装置10aの周囲の音量が小さい装置状態を示している。第1の実施形態と同様に、装置状態「状態A」にバイブレータ振動量「振動量1」が対応し、装置状態「状態B」にバイブレータ振動量「振動量2」が対応しており、振動量の強さの関係は、「振動量1」>「振動量2」である。つまり、通信端末装置10aは、周囲の音量が大きい場合、バイブレータの振動量を大きくするよう制御する。
【0025】
通信端末装置10aによる状態検出フローは、図3に示す第1の実施形態と同様である。ただし、加速度データに代えて、マイク5が検知した音量を示す音量データを用いる。
すなわち、通信端末装置10aのマイク5は、音を検知し、検知した音量を出力値として制御部4へ出力する。制御部4は、マイク5からの出力値を示す音量データを受信し、受信した音量データと時刻とを対応付けた蓄積データを記憶部6に書き込む(ステップS1)。制御部4は、現在から所定時間遡った時刻までの間の時刻に対応した音量データを記憶部6から読み出し、所定時間を経過した時刻に対応した蓄積データを削除する。制御部4は、ステップS1において受信した音量データが示す受信出力値が、記憶部6から読み出した音量データが示す蓄積出力値と近似しており、かつ、受信出力値及び蓄積出力値が示す全ての音量が所定の閾値以下であるか否かを判断する(ステップS2)。なお、制御部4は、受信出力値が蓄積出力値と近似しているかについては判断せず、全ての音量が所定の閾値以下であるか否かのみを判断してもよい。
【0026】
制御部4は、ステップS2においてYESと判断した場合、装置状態が「状態B」であると判断して(ステップS3)、ステップS1からの処理を繰り返す。一方、制御部4は、ステップS2においてNOと判断した場合、装置状態が「状態A」であると判断し(ステップS4)、ステップS1からの処理を繰り返す。
【0027】
第2の実施形態の着信処理フローは、図4に示す第1の実施形態の着信処理フローと同じである。
【0028】
携帯電話機の周辺が騒がしい場合、ユーザーは、通常の振動では着信に気付かない可能性がある。そこで、本実施形態による通信端末装置としての携帯電話機の場合、周辺が騒がしい場合は、上述したバイブレータ制御を行うことにより、着信時の振動量を大きくすることが可能である。よって、ユーザーが着信に気付きやすいという効果がある。また、周囲が静かなであり、バイブレータの振動に気づきやすい場合には、振動を抑えることが可能であり、省電力を実現することができる。加えて、周囲に聞こえるバイブレータの振動音を減少させることができる。
【0029】
上述した通信端末装置10、10aは、内部にコンピュータシステムを有している。そして、通信端末装置10、10aの制御部4の動作の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータシステムが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでいうコンピュータシステムとは、CPU及び各種メモリやOS、周辺機器等のハードウェアを含むものである。
【0030】
また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0031】
1…バイブレータ
2…駆動回路(駆動部)
3…加速度センサー
4…制御部
5…マイク
6…記憶部
10、10a…通信端末装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バイブレータと、
周辺状況を検出するためのセンサーと、
前記センサーによる検出結果に基づいて周辺状況を判断し、判断された周辺状況に対応して前記バイブレータの振動量を決定する制御部と、
前記制御部により決定された振動量に従って前記バイブレータを駆動する駆動部と、
を備えることを特徴とする通信端末装置。
【請求項2】
前記センサーは音量を検出し、
前記制御部は、前記センサーの検出結果により得られる周辺の音量に対応して前記バイブレータの振動量を決定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項3】
前記制御部は、周辺の音量が大きい場合は、周辺の音量が小さい場合より前記振動量を大きくする、
ことを特徴とする請求項2に記載の通信端末装置。
【請求項4】
前記センサーは加速度を検出し、
前記制御部は、前記センサーの検出結果に基づいて周辺環境がユーザーと前記通信端末装置とが離れた環境であるか否かを判断する、
ことを特徴とする請求項1に記載の通信端末装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記周辺環境がユーザーと前記通信端末装置とが離れた環境である場合は、ユーザーと前記通信端末装置とが離れた環境ではない場合より前記振動量を小さくする、
ことを特徴とする請求項4に記載の通信端末装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記センサーの検出結果から所定時間内の振動量が所定の条件以下である判断した場合に、前記周辺環境がユーザーと前記通信端末装置とが離れた環境であると判断する、
ことを特徴とする請求項4または請求項5に記載の通信端末装置。
【請求項7】
バイブレータと周辺状況を検出するためのセンサーとを備えた通信端末装置のバイブレータ制御方法であって、
前記センサーによる検出結果に基づいて周辺状況を判断し、判断された周辺状況に対応して前記バイブレータの振動量を決定する制御過程と、
前記制御過程において決定された振動量に従って前記バイブレータを駆動する駆動過程と、
を有することを特徴とするバイブレータ制御方法。
【請求項8】
バイブレータと周辺状況を検出するためのセンサーとを備えた通信端末装置に用いられるコンピュータを、
前記センサーによる検出結果に基づいて周辺状況を判断し、判断された周辺状況に対応して前記バイブレータの振動量を決定し、決定された振動量によって前記バイブレータを駆動するよう指示する制御部、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−114620(P2012−114620A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−261010(P2010−261010)
【出願日】平成22年11月24日(2010.11.24)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】