説明

通信端末装置

【課題】電話回線上の電流不足による動作不良を防止する。
【解決手段】公衆回線2に接続されたモデム31および外部電話32を有し、モデム31と外部電話32とが並列して公衆回線2に接続されている通信端末装置1において、公衆回線2からモデム31に印加される電圧を測定する電圧測定手段と、その電圧測定手段で測定された電圧に基づいて算出した電流値が閾値を超えたことを検知したとき、公衆回線2との接続状態が不良である旨をオペレーションパネル部6に表示する制御部7とを備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モデムを搭載し、電話機が接続された多機能プリンタや複合機等の通信端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の通信端末装置は、電話回線に接続されているモデムが通信していない状態において、電話回線上の電圧の変化を検知してモデムに併設された電話機のオフフックを検出するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
また、通信端末装置の直流回路が閉じたことにより形成されるループ電流をフォトカプラで検知してモデムに併設された電話機のオフフックを検出するようにしているものもある(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−207809号公報(段落「0022」〜段落「0031」、図2)
【特許文献2】特開平8−251279号公報(段落「0022」〜段落「0024」、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の技術においては、電話回線上の電流は、交換機から通信端末装置までの線路抵抗や通信端末装置自身の直流抵抗の影響を受けるため、電話回線上の電流が不足して電話機のオフフック検出機能、モデム機能、または電話機能が正常に動作しないという問題がある。
本発明は、このような問題を解決することを課題とし、電話回線上の電流不足による動作不良を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そのため、本発明は、公衆回線に接続されたモデムおよび電話を有し、前記モデムと前記電話とが並列して前記公衆回線に接続されている通信端末装置において、前記公衆回線から前記モデムに印加される電圧を測定する電圧測定手段と、前記電圧測定手段で測定された電圧に基づいて算出した電流値が閾値を超えたことを検知したとき、前記公衆回線との接続状態が不良である旨を表示部に表示する制御部とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
このようにした本発明は、電話回線上の電流不足による動作不良を防止することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1の実施例における多機能プリンタの構成を示すブロック図
【図2】第1の実施例における多機能プリンタの接続構成を示すブロック図
【図3】第1の実施例における多機能プリンタのファクシミリ/電話部を流れる電流の説明図
【図4】第1の実施例における電話回線電流のスライス設定の説明図
【図5】第1の実施例における電話回線の状況を報知する画面の説明図
【図6】第2の実施例における多機能プリンタの構成を示すブロック図
【図7】第2の実施例における多機能プリンタのファクシミリ/電話部を流れる電流の説明図
【図8】第2の実施例における自動切換処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明による通信端末装置の実施例を説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は第1の実施例における多機能プリンタの構成を示すブロック図である。
図1において、1はモデムおよび電話機を搭載した通信端末装置としての多機能プリンタである。この多機能プリンタ1は、ファクシミリ/電話部3、画像を印刷するプリンタ部4、原稿の画像を読取るスキャナ部5、利用者が操作するオペレーションパネル部6、および多機能プリンタ1全体を統括して制御する制御部7で構成され、電話回線としての公衆回線2に接続されている。
【0010】
ファクシミリ/電話部3は、公衆回線2に接続され、シリコンDAA(Data Access Arrange−ment)等からなるモデム(シリコンDAA)31、電話線等で多機能プリンタ1に接続された電話としての外部電話32およびフォトカプラ33により構成されている。モデム(シリコンDAA)31と外部電話32は、公衆回線2に並列に接続されており、またフォトカプラ33は公衆回線2と外部電話32との間に接続されている。
【0011】
モデム(シリコンDAA)31は、公衆回線2を介して受信したアナログ信号をデジタル信号に変換し、また後述する制御部7から通知されたデジタル信号をアナログ信号に変換して公衆回線2へ送出するものである。
また、モデム(シリコンDAA)31は、公衆回線2との接続/切断を行うオンフック/オフフック切替手段および公衆回線2から印加される電圧を測定する電圧測定手段を備えている。
【0012】
外部電話32は、公衆回線2に接続されたアナログ式の電話である。フォトカプラ33は、公衆回線2からの電流を検知して外部電話32のオンフック/オフフックを検出するものである。なお、本実施例では、外部電話32は多機能プリンタ1に電話線等を介して接続されているものとして説明するが、多機能プリンタ1に内蔵された電話としても良い。
プリンタ部4は、公衆回線2およびモデム(シリコンDAA)31を介して受信した画像データに基づいて印刷用紙に画像を形成する感熱式プリンタ、インクジェット式プリンタや電子写真方式プリンタ等の画像形成部である。
【0013】
スキャナ部5は、CCD(Charge Coupled Device)センサ等により原稿を読取り、その原稿のデジタルデータとしてのイメージデータを生成する原稿読取部である。
オペレーションパネル部6は、文字や図形等を表示する液晶ディスプレイ等の表示部および利用者の操作を受付ける操作キーや操作ボタン等の操作部で構成されたものである。
【0014】
制御部7は、演算手段および制御手段としてのCPU(Central Processing Unit)等により構成され、図示しないメモリ等の記憶手段に記憶された制御プログラム(ソフトウェア)に基づいて多機能プリンタ1全体の動作を制御するものである。
【0015】
なお、制御部7は、ファクシミリ/電話部3、プリンタ部4、スキャナ部5、およびオペレーションパネル部6と図示しない信号線で接続され、制御信号の入出力を行うことができるようになっており、モデム(シリコンDAA)31からの信号により、モデム(シリコンDAA)31がオンフックまたはオフフックのいずれかの状態であることを知ることができ、また公衆回線2からモデム(シリコンDAA)31に印加されている電圧を知ることができるようになっている。さらに、制御部7は、フォトカプラ33からの信号により外部電話32がオンフックまたはオフフックのいずれかの状態であることを知ることができるようになっている。
【0016】
このように構成された多機能プリンタ1は、公衆回線2を介して受信した画像データのアナログ信号をファクシミリ/電話部3のモデム(シリコンDAA)31でデジタル信号に変換し、変換されたデジタル信号の画像データに基づいてプリンタ部4で記録媒体に印刷し、またスキャナ部5で読取った原稿のイメージデータとしてのデジタル信号をファクシミリ/電話部3のモデム(シリコンDAA)31でアナログ信号に変換し、そのアナログ信号を公衆回線2へ送信するファクシミリ機能を有し、それに併設されて外部電話32を用いて通話が可能な電話機能を有している。
【0017】
図2は第1の実施例における多機能プリンタの接続構成を示すブロック図である。
図2において、多機能プリンタ1は、公衆回線2に接続された交換機21を介して端末A22と接続されている。このように接続された多機能プリンタ1へ端末A22から画像データを送信して印刷するファクシミリ送信を行う場合について説明する。
【0018】
ファクシミリ送信を行うため端末A22(ファクシミリ送信側)から画像データを多機能プリンタ1宛てに送信すると、公衆回線2を経由して交換機21はファクシミリ受信側の多機能プリンタ1へ呼び出し信号を送出する。
【0019】
図1において、呼び出し信号を受信した多機能プリンタ1は、モデム(シリコンDAA)31で一定時間経過してもファクシミリ信号であることを示すCNG信号を受信しない場合、外部電話32を鳴動させて受信を促し、CNG信号および画像データ(ファクシミリデータ)を受信した場合、オペレーションパネル部6の所定の操作キーを押下することでモデム(シリコンDAA)31が画像データを受信する。
このように多機能プリンタ1は、モデム(シリコンDAA)31と外部電話32の双方が公衆回線2を捕捉した並列接続となっている。
【0020】
上述した構成の作用について図2および図3に基づき図1を参照しながら説明する。
なお、以下の実施例で説明する各部の動作は、図示しないメモリや磁気ディスク等の記憶手段に格納されたプログラム(ソフトウェア)に基づいて図1に示す制御部7により制御される。
【0021】
図2において、多機能プリンタ1に供給される電流は、交換機21や多機能プリンタ1までの公衆回線2上の抵抗等の多機能プリンタ1の外部の要因、およびモデム(シリコンDAA)31や外部電話32の抵抗等の多機能プリンタ1の内部の要因により決定される。
【0022】
日本国内の場合、公衆回線2の回線電流は、「事業用電気通信設備規則第27条」により15mA以上130mA以下と定められている。これに対して、「端末設備等規則第13条(直流回路の電気的条件)」では、直流回路を閉じている時のアナログ電話端末(多機能プリンタ1)の直流回路の直流抵抗値を20mA以上120mA以下の電流で測定した値で50Ω以上300Ω以下であることと定めている。
【0023】
したがって、回線電流が15mA以上20mA未満において、アナログ電話端末(多機能プリンタ1)の直流抵抗値の規定がなく、アナログ電話端末(多機能プリンタ1)の固体差により公衆回線2の回線電流が左右されると考えられる。
【0024】
図3は第1の実施例における多機能プリンタのファクシミリ/電話部を流れる電流の説明図である。なお、図3においてフォトカプラ33は省略している。
まず、呼出信号を検出したモデム(シリコンDAA)31は、図3(a)に示すように、回線を捕捉して直流ループAを形成し、ファクシミリ信号であることを示すCNG信号の検出を行う。制御部7は、モデム(シリコンDAA)31を介してCNG信号を検出するとファクシミリ受信動作を行い、一方受信した信号からCNG信号を検出せず、所定時間の経過を検知した場合(例えば、電話による通話信号の場合)、電話を鳴動させて電話のオフフックを促す電話/ファクシミリ(FAX)自動切換え制御を行う。
【0025】
ここで、外部電話32をオフフックすると、図3(b)に示すように、モデム(シリコンDAA)31を経由する直流ループAと外部電話32を経由する直流ループBとが形成され、モデム(シリコンDAA)31と外部電話32とが並列接続の状態へと移行する。
直流ループAおよび直流ループBを形成すると、モデム(シリコンDAA)31と外部電話32との直流抵抗値の割合で供給電流が分配されるため、回線電流が15mA以上20mA未満と少ない状況下ではモデム(シリコンDAA)31や外部電話32が回線電流の不足により動作不良を発生させる場合がある。
【0026】
このようにファクシミリ機能および電話機能を有する従来の多機能プリンタに電話を接続する場合、接続される電話機は電気通信事業法および関連する総務省令によって定められた技術基準に適合していることを認定する技術基準適合認定を受けている多種多様な端末となるが、回線電流が20mA未満となる環境では、端末の直流抵抗値の規定がないため、端末による個体差も大きくなると考えられ、接続される電話機次第でモデム(シリコンDAA)31や外部電話32の動作に影響を与えることが懸念される。
【0027】
そこで、本実施例では、呼出信号が送出されモデム(シリコンDAA)31がオフフックの状態になり、かつフォトカプラ33により外部電話32がオフフックの状態になったことを制御部7が検出したとき、制御部7は、呼出信号が送出されたことを検知した毎に、モデム(シリコンDAA)31の回線電圧V11とモデム(シリコンDAA)31の直流抵抗値R1とからモデム(シリコンDAA)31の回線電流I1(=回線電圧V11/直流抵抗値R1)を算出する。
【0028】
なお、回線電圧V11は、電圧測定手段としてのモデム(シリコンDAA)31により測定され、制御部7がモデム(シリコンDAA)31から読取るものとする。また、直流抵抗値R1は既知であり、記憶手段に予め記憶されているものとする。
【0029】
算出した回線電流I1が閾値としての設定値SLB(可変値)より小さい場合、回線電流が15mA以上20mA未満の範囲にあり、直流抵抗は規格内にはなく、動作不良となる可能性があるため、制御部7は、オペレーションパネル部6の利用者のキー操作(例えば、図5に示すラインCHKキー61を押下)により、表示部62にラインチェック結果を出力して現在の回線状況を利用者に報知する。このラインチェック結果は、算出した回線電流I1が閾値としての設定値SLB(可変値)より小さい場合、すなわち回線電流が15mA以上20mA未満の範囲にあるとき、図5(b)に示すように「ラインチェック:NG」、一方算出した回線電流I1が閾値としての設定値SLB(可変値)以上の場合、すなわち回線電流が15mA以上20mA未満の範囲外にあるとき、図5(a)に示すように「ラインチェック:OK」を表示するものとする。
【0030】
なお、オペレーションパネル部6の利用者のキー操作(例えば、図5に示すラインCHKキー61を押下)を待つことなく、表示部62にラインチェック結果を出力して現在の回線状況を利用者に報知するようにしても良いが、多機能プリンタ1の消費電力を抑制および誤報知を防止するため、利用者のキー操作を待機して表示部62にラインチェック結果を出力することが望ましい。
【0031】
また、オペレーションパネル部6に、ラインチェック結果の表示を有効または無効に設定するキーを設け、ラインチェック結果の表示が「有効」に設定されているときに、表示部62にラインチェック結果を出力して現在の回線状況を利用者に報知するようにしても良い。
【0032】
ここで、外部電話32についてはモデム(シリコンDAA)31と同じく日本国内での使用を想定しており、一般的に、それぞれの直流抵抗値は、(モデム(シリコンDAA)31の直流抵抗値R1)≒(外部電話32の直流抵抗値R2)と考えられ、(外部電話32に供給される回線電流I2)≒(モデム(シリコンDAA)31に供給される回線電流I1)の関係にある。したがって、モデム(シリコンDAA)31に供給される回線電流I1が20mA未満であることを検知して外部電話32に供給される回線電流I2が20mA未満であることを検知することができる。
【0033】
しかし、本実施例では、モデム(シリコンDAA)31の直流抵抗値R1を意図的に変更している場合などを考慮して、図4に示すようにモデム(シリコンDAA)31に供給される回線電流I1を判定するためのスライス設定値SLBは、例えばスライス設定値SLB−α、スライス設定値SLB、スライス設定値SLB+βとして任意に変更することができるように記憶手段に予め記憶しておくものとする。なお、αおよびβは任意の値である。
【0034】
このように、モデム(シリコンDAA)31に供給される回線電流I1が閾値を超えたことを検知して電話回線の状況をオペレーションパネル部6に表示し利用者に報知するようにしたことにより、利用者はモデム(シリコンDAA)31と外部電話32が並列接続となり電話回線上の電流が不足することに起因するフォトカプラ33(電話機のオフフック検出)、モデム(シリコンDAA)31、または外部電話32の動作不良などによる通信障害を未然に防ぐことができる。
【0035】
以上説明したように、第1の実施例では、モデムに供給される回線電流が閾値を超えたことを検知して電話回線の状況を表示して利用者に報知するようにしたことにより、利用者は電話回線上の電流が不足することに起因する電話機のオフフック検出機能、モデム機能または電話機能の動作不良を未然に防ぐことができるという効果が得られる。
【実施例2】
【0036】
図6は第2の実施例における多機能プリンタの構成を示すブロック図である。なお、上述した第1の実施例と同様の部分は、同一の符号を付してその説明を省略する。
図6において、多機能プリンタ1は、ファクシミリ/電話部3、画像を印刷するプリンタ部4、原稿の画像を読取るスキャナ部5、利用者が操作するオペレーションパネル部6、および多機能プリンタ1全体を統括して制御する制御部7で構成され、電話回線としての公衆回線2に接続されている。
【0037】
ファクシミリ/電話部3は、公衆回線2に接続され、シリコンDAA等からなるモデム(シリコンDAA)31、電話線等で多機能プリンタ1に接続された外部電話32、フォトカプラ33およびリレー34により構成されている。モデム(シリコンDAA)31と外部電話32は、公衆回線2に並列に接続されており、またリレー34およびフォトカプラ33は公衆回線2と外部電話32との間に接続されている。
【0038】
切替手段としてのリレー34は、公衆回線2と外部電話32とを接続/切断の切替を行うものであり、その接続/切断の切替は制御部7により制御されるものである。
制御部7は、モデム(シリコンDAA)31に供給される回線電流が閾値を超えたことを検知してリレー34を制御し、外部電話32と公衆回線2との接続/切断を行う。
【0039】
上述した構成の作用を図8の第2の実施例における自動切換処理を示すフローチャートの図中Sで表すステップに従って図6および図7を参照しながら説明する。
S1:まず、モデム(シリコンDAA)31は、公衆回線2上の呼出信号を検出するまで待機する。なお、初期状態のリレー34は、図7(a)に示すように公衆回線2と外部電話32とを接続した状態にあるものとする。
【0040】
S2:呼出信号を検出したモデム(シリコンDAA)31は、図7(a)に示すように、オフフックして回線を捕捉し、直流ループAを形成する。
S3:モデム(シリコンDAA)31は、オフフックしてからの経過時間を計測し、所定の時間Tを経過したか否かを判定する。その結果、所定の時間Tを経過していないと判定すると処理をS4へ移行し、所定の時間Tを経過していると判定すると処理をS5へ移行する。
【0041】
S4:所定の時間Tを経過していないと判定したモデム(シリコンDAA)31は、ファクシミリ信号であることを示すCNG信号の検出を行い、ファクシミリ信号を検出するとファクシミリ受信処理へ移行し、ファクシミリ信号を検出できないときは処理をS3へ移行し、時間の経過を監視する。
【0042】
S5:受信した信号からCNG信号を検出せず(例えば、電話による通話信号)、所定時間Tの経過を検知すると、制御部7は電話を鳴動させて電話のオフフックを促す電話/ファクシミリ自動切換え制御を行い、外部電話32がオフフックされるまで待機する。
S6:外部電話32がオフフックされると、図7(a)に示すように、モデム(シリコンDAA)31を経由する直流ループAと外部電話32を経由する直流ループBとが形成され、モデム(シリコンDAA)31と外部電話32とが並列接続の状態へと移行する。
【0043】
制御部7が、モデム(シリコンDAA)31がオフフックの状態になり、かつフォトカプラ33により外部電話32がオフフックの状態になったことを検出したとき、制御部7は、第1の実施例と同様に、モデム(シリコンDAA)31の回線電圧V11とモデム(シリコンDAA)31の直流抵抗値R1とからモデム(シリコンDAA)31の回線電流I1(=回線電圧V11/直流抵抗値R1)を算出する。
【0044】
S7:制御部7は、算出した回線電流I1が閾値としての設定値SLB(可変値)以上か否かを判定し、回線電流I1が設定値SLB(可変値)以上である場合(YES)、電話/ファクシミリ自動切換え制御によるモデム(シリコンDAA)31および外部電話32等の動作は正常に行われるため、リレー34を接続したまま電話の受信処理へ移行する。一方、回線電流I1が設定値SLB(可変値)未満である場合(NO)、回線電流15〜20mAの範囲にあるため直流抵抗は規格内にはなく、モデム(シリコンDAA)31および外部電話32等は動作不良となる可能性があるため、処理をS8へ移行する。
【0045】
S8:制御部7は、オペレーションパネル部6の表示部62にラインチェック結果として図5(b)に示す「ラインチェック:NG」を表示し、現在の回線状況が不良であることを利用者に報知する。
【0046】
S9:制御部7は、図7(b)に示すようにリレー34により、外部電話32と公衆回線2とを切断し、外部電話32を公衆回線2から切り離してファクシミリ受信専用モードへ移行する。ファクシミリ受信専用モードへ移行した制御部7は、モデム(シリコンDAA)31によりファクシミリ受信の完了を監視し、ファクシミリ受信が完了したと判定するとファクシミリ受信処理へ移行し、ファクシミリ受信処理を行う。一方、所定の時間を経過してもファクシミリ受信が完了しない場合、制御部7は、リレー34により、外部電話32と公衆回線2とを接続し、外部電話32を公衆回線2に接続するとともに、モデム(シリコンDAA)31をオンフック状態に移行させ、自動切換え処理を終了する。
【0047】
このようにモデム(シリコンDAA)31と外部電話32が並列接続となる電話/ファクシミリ自動切替時に、モデム(シリコンDAA)31に供給される回線電流I1が閾値を超えたことを検知してモデム(シリコンDAA)31と外部電話32等が正常に動作できない可能性があると判断すると外部電話32を公衆回線2より切り離し、ファクシミリ受信専用モードへ自動的に切替えるようにしたため、電流不足の動作不良によりファクシミリ受信できない事態を防止することができる。
【0048】
なお、本実施例では、リレー34を公衆回線2と外部電話32との間に接続するようにしたが、公衆回線2とモデム(シリコンDAA)31との間に接続し、モデム(シリコンDAA)31と外部電話32が並列接続となる電話/ファクシミリ自動切替時に、モデム(シリコンDAA)31に供給される回線電流I1が閾値を超えたことを検知してモデム(シリコンDAA)31と外部電話32等が正常に動作できない可能性があると判断するとモデム(シリコンDAA)31を公衆回線2より切り離し、電話受信専用モードへ自動的に切替えるようにしても良い。このようにすることにより、電流不足の動作不良により電話を受信できない事態を防止することができる。
【0049】
以上説明したように、第2の実施例では、モデムに供給される回線電流が閾値を超えたことを検知して電話を公衆回線より切り離し、ファクシミリ受信専用モードへ切替えるようにしたことにより、電話回線上の電流が不足することに起因する電話機のオフフック検出機能、モデム機能または電話機能の動作不良を未然に防ぐことができるという効果が得られる。
なお、第1の実施例および第2の実施例では、通信端末装置をモデムおよび電話機を搭載した多機能プリンタとして説明したが、それに限られることなくモデムおよび電話機を搭載したファクシミリ装置としても良い。
【符号の説明】
【0050】
1 多機能プリンタ
2 公衆回線
3 ファクシミリ/電話部
4 プリンタ部
5 スキャナ部
6 オペレーションパネル部
7 制御部
21 交換機
22 端末A
31 モデム(シリコンDAA)
32 外部電話
33 フォトカプラ
34 リレー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公衆回線に接続されたモデムおよび電話を有し、前記モデムと前記電話とが並列して前記公衆回線に接続されている通信端末装置において、
前記公衆回線から前記モデムに印加される電圧を測定する電圧測定手段と、
前記電圧測定手段で測定された電圧に基づいて算出した電流値が閾値を超えたことを検知したとき、前記公衆回線との接続状態が不良である旨を表示部に表示する制御部とを備えたことを特徴とする通信端末装置。
【請求項2】
請求項1の通信端末装置において、
前記公衆回線と前記電話との間に、前記電話を、前記公衆回線に接続または前記公衆回線から切断する切替手段を設け、
前記制御部は、前記電圧測定部で測定された電圧に基づいて算出した電流値が閾値を超えたことを検知したとき、前記切替手段により前記電話を前記公衆回線から切断することを特徴とする通信端末装置。
【請求項3】
請求項1の通信端末装置において、
前記公衆回線と前記モデムとの間に、前記モデムを、前記公衆回線に接続または前記公衆回線から切断する切替手段を設け、
前記制御部は、前記電圧測定部で測定された電圧に基づいて算出した電流値が閾値を超えたことを検知したとき、前記切替手段により前記モデムを前記公衆回線から切断することを特徴とする通信端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−65053(P2012−65053A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206121(P2010−206121)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(591089556)株式会社 沖情報システムズ (276)
【Fターム(参考)】