説明

通信装置

【課題】回線側から送信されてくる音声信号から発信者情報を取得する機能を親機自身は持たずに子機に持たせるよう構成された通信装置において、親機においても発信者情報を取得してそれに基づく所望の処理を行うことができるようにすることを目的とする。
【解決手段】通信装置1は、ナンバーディスプレイサービスに対応可能である。電話回線100に接続された親機2は、電話回線100と各子機3,4との間の、音声周波数帯域の信号(音声信号)の送受を、無線にて中継する。FAX子機3は、親機2を介して受信した回線側からの音声信号から、発信番号情報等を抽出し、その発信番号情報等を親機2へ転送する。親機2は、FAX子機3から発信番号情報等を受信すると、その発信番号情報等に基づいて、例えばその発信番号情報等に含まれている発信者電話番号をコードレス子機4へ送信するなどの各種処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回線に接続された親機と、その親機と無線通信可能な子機とを備え、着信時に回線側から発信者を特定するための情報が送信されてくる特定のサービスに対応可能な通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の通信装置として、電話回線などの公衆の回線に接続される親機と、この親機と無線通信可能であって親機との間でファクシミリデータを送受信するファクシミリ子機(以下「FAX子機」と略す)と、親機と無線通信可能であって親機を介して音声通話を行うためのコードレス子機とを備えた、コードレス電話付きのファクシミリ装置が知られている。
【0003】
このように構成されたファクシミリ装置としては、従来、親機にFAXモデムが備えられ、親機が主体となって回線との間でファクシミリデータ(以下「FAXデータ」と略す)の送受信や変復調などの各種処理を行うよう構成されたものが一般的である。親機で受信されたFAXデータは、回線とのファクシミリ通信の終了後、FAX子機へ無線にて送信される。コードレス子機を用いた音声通話については、親機が回線とコードレス子機との間の通話用の音声信号を中継することで実現される。
【0004】
また、電話サービスの1つとして、着信時に発信者を特定するための電話番号等の情報(発信番号情報等)が回線側から送信されてくるいわゆるナンバーディスプレイサービス(以下「NDサービス」と略す)がある。上述したファクシミリ装置としても、NDサービスに対応したものが一般的である。
【0005】
このようなファクシミリ装置において、着信があった場合には、親機と回線側(交換機)との間でNDサービスに対応した所定の信号送受が行われ、親機にて発信番号情報等が取得される。親機における発信番号情報等の取得は、通常、FAXモデムにより実現される。親機は、その取得した発信番号情報等に基づき、その発信番号情報等に含まれている相手先(発信者)電話番号をコードレス子機に無線送信したり、その発信番号情報等に含まれている発信者電話番号が着信拒否対象の番号として登録されている場合にはその着信を拒否したりするなど、各種の処理を行う。
【0006】
このように、従来のファクシミリ装置は、親機がFAXモデムを備え、このFAXモデムを用いてファクシミリ通信のための各種制御やNDサービスにおける発信番号情報等の取得などの各種制御・処理を主体的に行うよう構成されたものが一般的であった。そのため、親機及びFAX子機ともに高性能のCPUや大容量のメモリを搭載する必要があり、それがコストダウンへの障壁となっていた。
【0007】
これに対し、近年、親機の機能簡素化やコストダウンのため、回線とのインタフェース機能(回線接続制御のための各種信号等の送受信や回線閉結・開放などの基本的機能)は親機が備えるものの、FAXモデムについてはFAX子機に備えるようにし、親機は、ファクシミリ通信や音声通話の際に回線との間で送受信される音声周波数帯域の信号(音声信号)を各子機へ無線にてリアルタイムに中継するように構成されたファクシミリ装置が提案されている(例えば、特許文献1,2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−208810号公報
【特許文献2】特開平9−139778号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、このようにFAXモデムをFAX子機に搭載して親機は単に音声信号を中継するように構成すると、従来と同じようにNDサービスを享受することが困難になるという問題が生じる。具体的には、親機が発信番号情報等を取得できなくなる。
【0010】
即ち、従来はFAXモデムが親機に搭載され、親機が発信番号情報等取得機能を備えていたため、親機にて発信番号情報等を取得し、その取得した発信番号情報等に基づいて各種処理を行うことに何ら問題はなかった。
【0011】
しかし、FAXモデムをFAX子機に搭載して親機は基本的に音声信号の中継を行うだけの構成にすると、親機から発信番号情報等取得機能が失われてしまうことになり、よって親機は、着信時に発信番号情報等を取得できなくなる。そのため、親機は、発信番号情報等に基づく各種処理(コードレス子機への電話番号の送信や着信拒否処理など)を行うことができなくなる。
【0012】
本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、回線側から送信されてくる音声信号から発信者情報を取得する機能を親機自身は持たずに子機に持たせるよう構成された通信装置において、親機においても発信者情報を取得してそれに基づく所望の処理を行うことができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記課題を解決するためになされた請求項1に記載の発明は、着信の際に発信者を特定するための発信者情報が回線から送信されてくる特定サービスに対応可能な通信装置であって、第1の子機と親機とを備えてなるものである。第1の子機は、回線から送信されてくる音声周波数帯域の信号である音声信号を無線にて受信可能であって、且つ、その受信した音声信号に含まれる発信者情報を取得可能である。親機は、回線に接続され、第1の子機との間で無線通信可能であって、回線から送信されてきた音声信号を第1の子機へ中継する。
【0014】
そして、第1の子機は、回線から親機を中継して受信した音声信号に含まれる発信者情報を取得する発信者情報取得手段と、その発信者情報取得手段により取得された発信者情報を親機へ無線送信する発信者情報送信手段とを備え、親機は、第1の子機から発信者情報を受信した場合に、その発信者情報に基づいて予め決められた発信者情報対応処理を実行する、対応処理実行手段を備えている。
【0015】
このように構成された通信装置では、親機自身は、音声信号から直接発信者情報を取得する機能を持たないものの、第1の子機にて取得された発信者情報が、第1の子機から親機へ送信されてくる。そのため、親機は、その第1の子機から送信されてきた発信者情報に基づき、所望の処理(発信者情報対応処理)を実行することができる。
【0016】
上記構成の通信装置は、更に、請求項2に記載のように、第2の子機を備えたものであってもよい。即ち、第2の子機は、親機と無線通信可能であって、音声通話を行う際に回線との間で送受信すべき音声信号を親機と無線にて送受信することにより、親機を介して音声通話を行うことが可能に構成されている。親機は、第2の子機との間で無線通信可能であって、第2の子機と回線との間で送受信される音声信号の中継を行う。
【0017】
このように構成された通信装置によれば、親機は、第1の子機から取得した発信者情報に基づき、第2の子機を対象とした各種の発信者情報対応処理を行うことができる。
第2の子機を対象とした発信者情報対応処理の具体例は種々考えられ、例えば請求項3〜請求項6に記載の各処理等が考えられる。
【0018】
即ち、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の通信装置であって、親機における発信者情報対応処理の少なくとも1つは、発信者情報を報知対象情報として第2の子機へ無線送信することであり、第2の子機は、親機から報知対象情報を受信した場合にその報知対象情報を報知する報知手段を備えている。
【0019】
つまり、親機は、第1の子機から発信者情報を受信したらその発信者情報を第2の子機へ送信し、第2の子機は、その発信者情報を報知するのである。そのため、第2の子機のユーザは発信者情報を知ることができるようになり、ユーザの利便性を高めることができる。
【0020】
また、請求項4に記載の発明は、請求項2又は請求項3に記載の通信装置であって、親機には、一又は複数の発信者情報が、その発信者情報に関連した関連情報と対応付けられて予め登録されており、親機における発信者情報対応処理の少なくとも1つは、第1の子機から受信した発信者情報に対応付けられている関連情報を報知対象情報として第2の子機へ無線送信することである。そして、第2の子機は、親機から報知対象情報を受信した場合にその報知対象情報を報知する報知手段を備えている。
【0021】
つまり、親機は、発信者情報そのものではなく(或いは発信者情報そのものに加えて)その発信者情報に関連した情報(例えば発信者の名称)を第2の子機へ送信するのである。そのため、第2の子機のユーザは、発信者に関連した種々の情報を知ることができる。
【0022】
また、請求項5に記載の発明は、請求項3又は請求項4に記載の通信装置であって、第2の子機は、一つ又は複数備えられており、親機には、一又は複数の発信者情報が、その発信者情報に対応した報知対象情報を送信すべき第2の子機と対応付けられて予め登録されている。親機の対応処理実行手段は、第1の子機から発信者情報を受信した場合、その発信者情報に対応付けられている、報知対象情報を送信すべき第2の子機を、送信対象として指定して報知対象情報を無線送信する。そして、第2の子機の報知手段は、親機から、送信対象として自身が指定されている報知対象情報を受信した場合に、その報知対象情報を報知する。
【0023】
上記構成の通信装置によれば、特定の発信者情報(例えば特定の発信者電話番号)に対し、それを通知すべき第2の子機(つまり呼び出し対象の第2の子機)を指定することができるため、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0024】
また、請求項6に記載の発明は、請求項2〜請求項5の何れか1項に記載の通信装置であって、親機には、着信を拒否すべき発信者情報である着信拒否相手が予め登録されている。そして、親機における発信者情報対応処理の少なくとも一つは、第1の子機から受信した発信者情報が着信拒否相手として登録されている場合には第2の子機に対して着信があった旨の通知を行わないようにする。
【0025】
上記構成の通信装置によれば、特定の発信者情報に対し、その着信を拒否する(第2の子機を呼び出さないようにする)ことができるため、ユーザの使い勝手を向上させることができる。
【0026】
上記特定サービスが、着信時にまず所定の起動信号が前記回線側から送信されてきてそ
の後に前記発信者情報が送信されてくるように定められたものである場合には、請求項7に記載のように、親機は、起動信号を受信したときに、第1の子機に対して、発信者情報を取得するよう要求するようにするとよい。即ち、親機は、回線側から送信されてきた起動信号を受信する起動信号受信手段と、その起動信号受信手段により起動信号が受信された場合に、第1の子機に対して発信者情報の取得要求を送信する取得要求送信手段と、を備え、取得要求送信手段による取得要求の送信後、第1の子機から、その取得要求に対する応答である確認信号を受信した場合に、第1の子機と回線との音声信号の中継を開始するよう構成されている。そして、第1の子機は、親機から取得要求を受信した場合に親機へ確認信号を送信する確認信号送信手段を備えている。
【0027】
このように構成された通信装置によれば、第1の子機は、まもなく発信者情報が送信されてくるであろうことを事前に知ることができ、発信者情報の取得に備えることができる。そのため、第1の子機は発信者情報を確実に取得することができる。
【0028】
上記構成の通信装置において、上記特定サービスが、回線側からの起動信号に対して親機が回線側へ応答信号を送出すると回線側から発信者情報が送信されてくるように定められたものである場合には、請求項8に記載のように、親機は、取得要求送信手段による取得要求の送信後、第1の子機から確認信号を受信した場合に、回線側へ前記応答信号を送出するようにするとよい。
【0029】
このように構成された通信装置によれば、親機は、第1の子機からの応答(確認信号)を確認した上で、回線へ応答信号を送出する(換言すれば、第1の子機から応答があるまでは、回線へ応答信号を送出せず回線側から発信者情報を送出させない)ため、第1の子機による発信者情報の取得をより確実に行わせることができる。
【0030】
更に、上記構成の通信装置にいて、上記特定サービスが、回線側から親機へ発信者情報が送信された後、その発信者情報に対する応答である受信確認信号が親機から回線側へ送出された場合に、回線側から呼出信号が送信されてくるように定められたものである場合には、請求項9に記載のように、親機は、回線側への応答信号の送出後、第1の子機から発信者情報を受信したら、受信確認信号の送出に先立って対応処理実行手段による発信者情報対応処理を実行させ、少なくともその発信者情報対応処理が開始された後に、回線側へ受信確認信号を送出するようにするとよい。
【0031】
このように構成された通信装置によれば、第2の子機は、回線側から呼出信号が送信されてくるまでには確実に発信者情報等を取得・報知することができる。そのため、第2の子機のユーザは、例えば親機或いは第2の子機にて呼び出し音が鳴動するなどして着信を知ったとき、その時点ですぐに発信者情報等を確認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】実施形態の通信装置の概略構成を表す構成図である。
【図2】実施形態の通信装置を構成する親機、ファクシミリ子機、及びコードレス子機の構成を表す構成図である。
【図3】実施形態の通信装置の動作例を表すシーケンス図である。
【図4】親機に登録されているIDテーブル及び電話帳テーブルを表す図である。
【図5】親機において実行される親機着信制御処理を表すフローチャートである。
【図6】図5の親機着信制御処理におけるS280の通話接続中継処理の具体的内容を表すフローチャートである。
【図7】ファクシミリ子機において実行されるファクシミリ子機通信処理を表すフローチャートである。
【図8】コードレス子機において実行されるコードレス子機通話接続処理を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
図1に示すように、本実施形態の通信装置1は、電話回線100に接続された親機2と、ファクシミリ通信機能を有し、親機2と無線通信可能であって親機2を介して電話回線100との間でファクシミリ信号の送受信や回線側からの各種信号の受信を行うファクシミリ子機(FAX子機)3と、親機2と無線通信可能であって親機2を介して音声通話を行うためのコードレス子機4とを備えた、コードレス電話付きのファクシミリ装置として構成されている。コードレス子機4は、図1では一つのみ示されているが、複数のコードレス子機4を備えることも可能である。本例では、図示は省略したものの、コードレス子機4が3つ(コードレス子機A、コードレス子機B、コードレス子機C)備えられているものとして説明する。
【0034】
電話回線100は、ファクシミリ通信や音声通話の際に端末との間で音声周波数帯域(例えば300〜3400Hz)の信号(音声信号)を含む各種信号等を送受信するための、周知の公衆網(加入者回線)である。
【0035】
親機2とFAX子機3との間の無線通信、及び親機2とコードレス子機4との間の無線通信は、いずれも同じDCL通信方式(例えば2.4GHz帯の周波数帯域を用いた周波数ホッピング方式によるスペクトラム拡散通信方式)にて行われる。
【0036】
また、本実施形態の通信装置1は、いわゆるナンバーディスプレイサービス(NDサービス)に対応している。NDサービスは、よく知られているように、着信時、音声通話開始前に(呼出信号よりも前に)、回線側から、発信者を特定するための電話番号等の情報(発信番号情報等)が送出されるサービスである。発信番号情報等としては、具体的には、発信者電話番号や、発信者電話番号を通知できない場合にその理由(非通知理由)を示す情報などがある。尚、非通知理由を示す情報としては、例えば、発信者側による通知拒否を示す「P」、サービス提供不可を示す「O」、公衆電話からの発信を示す「C」、サービス競合を示す「S」などがある。
【0037】
本実施形態の通信装置1では、親機2は発信番号情報等を含む音声信号が回線側から送信されてきてもそれをFAX子機3へ中継するだけであり、その音声信号から発信番号情報等を取得する処理はFAX子機3のFAXモデム37にて行われる。
【0038】
FAX子機3は、ファクシミリ機能に加えてスキャナ機能、プリンタ機能、及びコピー機能なども備えたいわゆる複合機として構成されたものである。ファクシミリ機能においては、FAX子機3は、回線側との間の音声信号(ファクシミリ信号)の送受信を、親機2を中継して行う。そのため、FAX子機3は、直接的には、ファクシミリ通信で送受信すべき音声信号を親機2との間で無線にて送受信するよう構成されている。
【0039】
このFAX子機3は、デジタルコードレス(以下「DCL」と略す)通信方式により親機2と無線通信を行うための、アンテナ3aを有するDCL無線通信部34と、ファクシミリ通信の際に受信された音声信号の復調及び送信すべきFAXデータの音声信号への変調や、NDサービスにおいて着信時に親機2経由で送信されてくる音声信号から発信番号情報等を取得する機能などを備えたFAXモデム37と、を備えている。
【0040】
FAX子機3は、ファクシミリ通信に限らず、電話回線100側から親機2にて受信された音声信号を親機2を中継して無線にて受信することができる。そのため、NDサービスにおいて回線側から受信される、発信番号情報等を含む音声信号も、親機2を中継して
FAX子機3により受信される。FAX子機3は、発信番号情報等を含む音声信号を親機2経由で受信すると、FAXモデム37にて、その音声信号から発信番号情報等を抽出する。そして、その発信番号情報等を、親機2へ無線送信する。
【0041】
つまり、FAX子機3は、親機2を中継して回線側から発信番号情報等を受信する発信番号情報等受信機能と、その受信した発信番号情報等を親機2へ無線送信(転送)する発信番号情報等転送機能を備えている。
【0042】
親機2は、電話回線100に接続されてその電話回線100との間(延いては図示しない相手側の端末装置との間)で音声信号等の送受信を行うための回線インタフェース(I/F)部25と、DCL通信方式により各子機3,4と無線通信を行うための、アンテナ2aを有するDCL無線通信部24とを備えている。回線I/F部25は、ファクシミリ通信や音声通話の際の音声信号送受信、電話回線100の閉結・開放や極性反転の検出、その他着信時や発呼時において回線接続のために送受信される各種制御信号等(呼出信号、CAR信号など)の送受信などといった、電話回線100とのインタフェース機能を備えたものである。
【0043】
親機2は、FAX子機3との間で無線通信可能であって、そのFAX子機3と電話回線100との間の音声信号の中継をリアルタイムに行う音声信号中継機能に加え、DCL通信方式による通話用の音声信号をコードレス子機4との間で送受信する機能も備えた、通信BOXとして構成されている。
【0044】
また、親機2は、着信時に回線側からCAR信号を受信した場合に、FAX子機3に対して発信番号情報等取得要求を送信する、発信番号情報等取得要求機能を備えている。CAR信号は、NDサービスにおいて呼出信号よりも前に回線側から送信されてくる、端末側に対して発信番号情報等が送信される着信であることを通知するための周知の情報受信端末起動信号である。親機2は、回線I/F部25にて回線側からCAR信号が受信されたら、FAX子機3へ発信番号情報等取得要求を送信することで、FAX子機3に対してまもなく発信番号情報等が送信されてくるということを前もって通知するのである。
【0045】
また、親機2は、発信番号情報等を受信したFAX子機3からその発信番号情報等が送信されてきた場合に、その発信番号情報等に含まれている発信者電話番号やそれに関連する情報(以下「発信番号等」という)をコードレス子機4へ無線送信する、発信番号等送信機能も備えている。但し、後述するように、全ての着信に対して無条件に全てのコードレス子機4へ発信番号等を送信するわけではなく、FAX子機3から受信した発信番号情報等によっては、特定のコードレス子機4にのみ送信したり、或いはいずれのコードレス子機4にも送信せず着信そのものを拒否したりする場合もある。
【0046】
コードレス子機4は、DCL通信方式により親機2と無線通信を行うための、アンテナ4aを有するDCL無線通信部54と、親機2から送信されてきた発信番号等を含む各種情報を表示するための表示部58とを備えている。このコードレス子機4は、親機2から発信番号等が送信されてきた場合にこれを受信する発信番号等受信機能と、その受信した発信番号等を表示部58に表示する発信番号等表示機能とを備えている。
【0047】
次に、通信装置1を構成する親機2、FAX子機3、及びコードレス子機4のより具体的な構成を、図2を用いて説明する。図2に示すように、親機2は、図5に示す親機着信制御処理(詳細は後述)を含む各種制御プログラムを実行する制御部21と、これら各種制御プログラムや図4に示す各テーブルなどの各種情報等が記憶されたROM22と、制御部21による各種制御演算の際に一時的記憶領域として用いられるRAM23と、既述のDCL無線通信部24及び回線I/F部25と、回線I/F部25により受信された音
声信号のAD変換や、各子機3,4からデジタル化されて送信されてきた音声信号のDA変換等の処理を行う音声信号処理部26と、各種情報が表示される表示部28と、各種メニュー操作や設定等のための複数のボタン等(図示略)からなる操作部29と、を備え、これらがバス30を介して相互に接続されている。
【0048】
制御部21は、本実施形態ではCPUにより構成されている。この制御部21によって、DCL無線通信部24、回線I/F部25、及び音声信号処理部26等の各部の動作がそれぞれ制御される。そのため、制御部21は、回線I/F部25を介して、電話回線100の極性反転や電話回線100からの各種信号(CAR信号やRing信号など)を検出したり、電話回線100の閉結・開放などを行う。また、制御部21は、DCL無線通信部24を介して、FAX子機3との音声通信を接続したり(つまり回線側との間で音声信号のリアルタイム中継が可能な状態にする)、その音声通信を切断したり(つまり音声信号のリアルタイム中継はできないものの親機2とFAX子機3との直接的なデータ通信は可能な状態にする)、発信番号情報等取得要求をFAX子機3へ送信したり、FAX子機3からの発信番号情報等を受信したりするなどの処理も行う。
【0049】
尚、回線側から受信された音声信号は、音声信号処理部26によりAD変換されて、DCL無線通信部24から無線送信される。逆に、各子機3,4からデジタル化されて送信されてきた、回線送出用の音声信号は、音声信号処理部26にてDA変換されて、回線I/F部25から電話回線100へ送出される。
【0050】
FAX子機3は、図7に示すファクシミリ子機通信処理(詳細は後述)を含む各種制御プログラムを実行する制御部31と、これら各種制御プログラム等が記憶されたROM32と、ファクシミリ通信の画像データや発信番号情報等の各種データ等が記憶されるRAM33と、既述のDCL無線通信部34と、このDCL無線通信部34により受信されたデジタル化された音声信号のDA変換や回線側へ送信すべき音声信号(FAXモデム37で変調された音声信号等)のAD変換等の処理を行う音声信号処理部36と、既述のFAXモデム37と、各種情報が表示される表示部38と、各種メニュー操作や設定等を行うための複数のボタン等(図示略)からなる操作部39と、原稿の画像を読み取る画像読取部41と、印刷用紙等の記録媒体へ画像記録(印刷)を行う画像記録部42と、を備え、これらがバス40を介して相互に接続されている。
【0051】
コードレス子機4は、図8に示すコードレス子機通話接続処理(詳細は後述)を含む各種制御プログラムを実行する制御部51と、これら各種制御プログラム等が記憶されたROM52と、親機2から送信されてきた発信番号等などの各種データ等が記憶されるRAM53と、既述のDCL無線通信部54と、このDCL無線通信部54により受信されたデジタル化された音声信号のDA変換や回線側へ送信すべき音声信号のAD変換等の処理を行う音声信号処理部56と、各種情報が表示される表示部58と、各種メニュー操作や設定等を行うための複数のボタン等(図示略)からなる操作部59と、音声通話時における、相手側の音声を含む各種可聴音が出力されるスピーカ61と、ユーザによる通話音声等の入力を受け付けるマイク62と、を備え、これらがバス60を介して相互に接続されている。
【0052】
次に、通信装置1における、着信時の動作例を、図3のシーケンス図を用いて説明する。発信者による発呼によって、電話回線100が極性反転され、続いてNDサービスにおける起動信号であるCAR信号が回線側(交換機)から送信されると、親機2は、その極性反転の検出、及びCAR信号の検出を行う。親機2は、CAR信号を検出すると、ROM22に記憶されているIDテーブルから、発信番号情報等を取得可能なFAX子機があるか否かを確認し、あった場合にそのFAX子機を指定して発信番号情報等取得要求を送信する。
【0053】
図4(a)に、IDテーブルの一例を示す。図4(a)に示すように、IDテーブルには、当該通信装置1を構成するFAX子機3及びコードレス子機4が登録されており、各子機毎に、その固有の端末IDと、発信番号情報等を取得可能か否かを示す発信番号情報等取得可否情報が登録されている。本例の通信装置1は、FAX子機3が一つ、コードレス子機4が3つ(コードレス子機A,B,C)であるため、これら一つ一つに対して、端末ID及び発信番号情報等取得可否情報が登録されている。そして、発信番号情報等取得可否情報については、FAX子機3のみ、「可」(即ち取得可能)である旨が登録されている。
【0054】
そのため、本例では、親機2は、回線側からCAR信号の検出後、このIDテーブルを参照し、FAX子機3が発信番号情報等取得可能であることを確認して、そのFAX子機3へ(つまりそのFAX子機3の端末IDを送信宛先として)発信番号情報等取得要求を無線送信することになる。
【0055】
親機2からの発信番号情報等取得要求がFAX子機3にて受信されると、FAX子機3は、親機2へ、その発信番号情報等取得要求に対する応答を返す(無線送信する)。FAX子機3は、発信番号情報等取得要求を受信することで、まもなく回線側から発信番号情報等が送信されてくることを認識でき、発信番号情報等受信に備えることができる。その後、親機2とFAX子機3との間で音声通信接続を行うことで両者間で音声信号のリアルタイム通信を行えるようにする。そして、親機2は回線閉結(いわゆる一次閉結)を行う。
【0056】
親機2による回線閉結は、回線側(交換機)において、CAR信号に対する応答信号として認識され、これにより、回線側から発信番号情報等が送信される(詳しくは、発信番号情報等を含む音声信号が送信される)。その音声信号は、親機2を中継してFAX子機3で受信され、FAX子機3にて発信番号情報等が取得される。
【0057】
FAX子機3は、発信番号情報等を受信(取得)すると、親機2へ音声通信切断要求を送信し、これに対して親機2はFAX子機3へ応答を返す。これにより、親機2とFAX子機3との間の音声通信が切断され、音声信号のリアルタイム通信が停止される。音声通信の切断後、FAX子機3は、発信番号情報等を親機2へ無線送信する。
【0058】
親機2は、FAX子機から発信番号情報等を受信すると、電話帳テーブルから、その発信番号情報等に含まれている発信者電話番号に対して設定されている制御方法を確認する。図4(b)に、電話帳テーブルの一例を示す。図4(b)に示すように、電話帳テーブルには、ユーザによる入力操作等によって、複数の電話番号(相手電話番号)が登録されている。そして、各電話番号毎に、その電話番号を持つ相手の名称と、その電話番号から着信があった場合に行うべき制御方法が登録されている。制御方法としては、本例では、どのコードレス子機を呼び出すかを示す呼出対象子機情報と、コードレス子機4において鳴動させる際の鳴動音を指定する鳴動音指定情報とが登録されている。
【0059】
例えば電話番号が090−xxxx−xxxxの相手から着信があった場合に、親機2がFAX子機3からの発信番号情報等に基づいてその電話番号を取得すると、親機2は、電話帳テーブルを参照し、その電話番号が登録されていることを確認する。そして、その電話番号に対して登録されている、相手名称及び制御方法を確認する。この場合、相手名称は「○○さん」で、制御方法のうち呼出対象子機情報は「コードレス子機A」、鳴動音指定情報は「メロディa」となっている。そこで親機2は、3つのコードレス子機4(コードレス子機A,B,C)のうち、コードレス子機Aを対象として発信番号等の送信を行う。
【0060】
具体的には、発信者の電話番号に、相手名称、鳴動音指定情報を付加し、更に呼出対象のコードレス子機Aの端末ID(図4(a)参照)も付加した情報を、無線にて送信する。
【0061】
その送信された情報は、各子機で受信されることとなるが、各子機は、呼出対象の端末IDが自身を示すものであるか否か判断し、自身を示すものでなければ、その受信した情報を破棄する。一方、呼出対象の端末IDが自身を示すものであった場合は、その受信した情報を取得し、後に親機2から呼び出しを受けたときに、表示部58に発信者電話番号及び相手名称を表示すると共に、指定された鳴動音にてスピーカ61を鳴動させる。その際、上記例では、コードレス子機Aのみにおいて、電話番号(090−xxxx−xxxx)及び相手名称(○○さん)が表示部58に表示され、且つ、メロディaの鳴動音がスピーカ61から出力されることとなる。
【0062】
一方、090−abcd−xxxxの電話番号に対しては、電話帳テーブルにおいて着信拒否である旨が設定されている。そのため、その090−abcd−xxxxの電話番号の相手から着信があった場合、親機2は、電話帳テーブルにて着信拒否対象の番号であることを確認して、その着信を拒否する。具体的には、何れのコードレス子機4に対しても、発信番号等の送信を行わず、呼び出しも行わない。また、発信者側に対し、着信を拒否する旨を示すメッセージを送出する。尚、着信拒否の際の具体的処理方法は種々考えられ、例えば単に回線を切断することも考えられる。
【0063】
親機2は、FAX子機3からの発信番号情報等に基づいて電話帳テーブルを参照して制御方法を確認し、その制御方法に従った処理(コードレス子機4に対する発信番号等の送信或いは着信拒否など)を行うと、回線を開放する。この回線開放は、回線側(交換機)において、発信番号情報等の受信完了を示す信号として認識される。そして、その回線開放を受けて、回線側からRing信号(呼出信号)が送信される。
【0064】
親機2は、回線からのRing信号を検出すると、呼出対象のコードレス子機を指定して呼び出しを行う。これにより、呼出対象のコードレス子機では、表示部58による発信者電話番号と相手名称の表示、及び指定された鳴動音の鳴動が行われる。
【0065】
例えば、電話番号が052−zzz−zzzzの相手から着信があった場合に、親機2がFAX子機3からの発信番号情報等に基づいてその電話番号を取得した場合は、全てのコードレス子機4において、その電話番号及び相手名称(△△さん)が表示部58に表示され、且つ標準設定された鳴動音(例えば一般的なベル音)がスピーカ61から出力されることとなる。
【0066】
親機2からの呼び出しを受けて発信番号等の表示及び鳴動を行ったコードレス子機4では、その後ユーザによって、オフフック等の通話開始操作がなされる。すると、そのコードレス子機4は、親機2に対して音声通信の接続要求を送信する。これにより、そのコードレス子機4と親機2との間で音声通信接続がなされ、回線側とコードレス子機4との間で親機2を介した音声信号のリアルタイム中継・送受信が可能な状態となる。そして、親機2は回線閉結(いわゆる二次閉結)を行う。
【0067】
この回線閉結により、回線側にて極性反転が行われた上で、音声通話が開始され、通話中の状態となる。その後、ユーザによる音声通話が終了してコードレス子機4にて所定の通話終了操作(例えばオンフック)が行われると、コードレス子機4は、親機2へ音声通信切断要求を送信する。これにより、親機2とFAX子機3との間の音声通信が切断され、その後親機2が回線を開放することで、当該通信装置1における音声通話にかかわる処
理が終了する。
【0068】
次に、上述した着信時の動作を実現するために親機2,FAX子機3、コードレス子機4のそれぞれで実行される処理について、図5〜図8のフローチャートを用いて説明する。
【0069】
まず、親機2の制御部21が実行する親機着信制御処理について、図5を用いて説明する。親機2の制御部21は、着信により電話回線100の極性反転が検出され、続いてCAR信号を検出すると、図5に示す親機着信制御処理を開始する。尚、図5における、S110の前に波線枠で示した内容(極性反転・CAR信号検出)は、この図5の親機着信制御処理が開始される条件(処理開始のトリガとなる条件)を便宜的に図示したものである。
【0070】
制御部21は、極性反転及びCAR信号検出によってこの親機着信制御処理を開始すると、まずS110にて、ROM22に記憶されているIDテーブル(図4(a)参照)から、FAX子機の登録有無の確認を行う。S120では、その確認結果に基づき、発信番号情報等を取得可能なFAX子機が登録されているか否かを判断する。ここで、IDテーブルに発信番号情報等を取得可能なFAX子機が登録されていなかった場合は、S280の通話接続中継処理に進むが、発信番号情報等を取得可能なFAX子機が登録されていた場合は、S130に進む。
【0071】
S130では、その発信番号情報等を取得可能なFAX子機の端末IDを送信宛先として、発信番号情報等取得要求を送信する。発信番号情報等取得要求の送信後、S140にて、FAX子機からの応答の有無を判断する。このとき、FAX子機からすぐに応答がなくても、CAR信号検出から所定時間(例えば6秒)経過するまではその応答を待つ(S150)。そして、CAR信号検出から所定時間が経過してもFAX子機から応答がなかった場合はS280に進む。一方、CAR信号検出から所定時間が経過する前にFAX子機から応答があった場合は、S140からS160に進み、そのFAX子機との間で音声通信の接続を行い、続くS170で回線閉結(一次閉結)を行う。
【0072】
S170の回線閉結後、S180で、FAX子機から音声通信切断要求を受信したか否かを判断する。このとき、FAX子機から音声通信切断要求がすぐに受信されなくても、S170の回線閉結から所定時間(例えば7秒)経過するまではその音声通信切断要求を待つ(S190)。そして、回線閉結から所定時間が経過してもFAX子機から音声通信切断要求がなかった場合は、S200にて親機2の制御部21自らFAX子機との音声通信の切断を行い、S270に進む。一方、S170の回線閉結から所定時間が経過する前にFAX子機から音声通信切断要求を受信した場合は、S180からS210に進み、FAX子機へ応答を返し、続くS220でFAX子機との音声通信の切断を行う。
【0073】
S220の音声通信切断後、S230で、FAX子機から発信番号情報等を受信したか否かを判断する。このとき、FAX子機から発信番号情報等がすぐに受信されなくても、S170の回線閉結から所定時間(例えば7秒)経過するまではその発信番号情報等を待つ(S240)。そして、回線閉結から所定時間が経過してもFAX子機から発信番号情報等を受信しなかった場合は、S270に進む。
【0074】
一方、S170の回線閉結から所定時間が経過する前にFAX子機から発信番号情報等を受信した場合は、S230からS250に進み、電話帳テーブル(図4(b)参照)から、その発信番号情報等に含まれている発信者電話番号に対応した制御方法を確認する。そして、その確認結果に基づき、S260にて、コードレス子機へ発信番号等を送信する。具体的には、既述の通り、発信者の電話番号に、相手名称、鳴動音指定情報を付加し、
更に呼出対象のコードレス子機Aの端末ID(図4(a)参照)も付加した情報を、無線にて送信する。但し、上記の通り、発信者の電話番号が電話帳テーブルにおいて着信拒否として登録されている場合は、コードレス子機の呼び出しは行われない。コードレス子機へ発信番号等を送信した後は、S270にて回線開放を行い、S280の通話接続中継処理に進む。
【0075】
図6に、S280の通話接続中継処理の具体的内容を示す。図6に示すように、S280の通話接続中継処理に進むと、まずS310にて、回線側からのRING信号を検出し、その後、S315にてコードレス子機の呼び出しを行う。この呼び出しは、既述の通り、電話帳テーブルに基づき、呼出対象のコードレス子機を指定して行われる。
【0076】
コードレス子機の呼び出し後、S320にて、呼出対象のコードレス子機から音声通信接続要求を受信したか否か判断する。ここで、コードレス子機から音声通信接続要求を受信していない場合は、S325にて、回線側からまだRING信号がきているか否か判断する。そして、RING信号がこなくなった場合にはこの親機着信制御処理を終了するが、RING信号が来ている間は、コードレス子機からの音声通信接続要求を待つ。
【0077】
そして、コードレス子機から音声通信接続要求を受信すると、S330にてそのコードレス子機との間で音声通信接続を行い、続くS335で回線閉結(二次閉結)を行う。これにより、コードレス子機による音声通話が開始されることとなる。
【0078】
その後、S340にて、コードレス子機から音声通信切断要求を受信したか否か判断し、コードレス子機から音声通信切断要求を受信していない場合は、S345にて、回線側から切断要求が来ているか否か判断する。そして、コードレス子機から音声通信切断要求を受信した場合は、S340からS355に進む。また、コードレス子機から音声通信切断要求を受信しない状態で回線側から切断要求がきた場合は、S345からS350に進み、コードレス子機へ切断要求を送信して、S355に進む。S355に進むと、コードレス子機との音声通信を切断し、続くS360で回線開放を行って、この親機着信制御処理を終了する。
【0079】
次に、FAX子機3の制御部31が実行するファクシミリ子機通信処理について、図7を用いて説明する。FAX子機3の制御部31は、親機2から発信番号情報等取得要求を受信すると、図7に示すファクシミリ子機通信処理を開始する。尚、図7における、S410の前に波線枠で示した内容(発信番号情報等取得要求受信)は、この図7のファクシミリ子機通信処理が開始される条件(処理開始のトリガとなる条件)を便宜的に図示したものである。
【0080】
FAX子機3の制御部31は、親機2からの発信番号情報等取得要求受信によってこのファクシミリ子機通信処理を開始すると、まずS410にて、発信番号情報等取得要求に対する応答を親機2へ返し、S420で、親機2との間で音声通信の接続を行い、S430で、親機2から発信番号情報等を受信する。詳しくは、発信番号情報等を含む音声信号を受信し、その受信した音声信号から発信番号情報等を抽出する。
【0081】
発信番号情報等の受信後、S440にて、親機2へ音声通信の切断要求を行い、S450で、親機2からの応答を待つ。このとき、親機2からすぐに応答がなくても、発信番号情報等受信から所定時間(例えば7秒)経過するまではその応答を待つ(S460)。そして、発信番号情報等受信から所定時間が経過しても親機2から応答がなかった場合は、S470で親機2との音声通信を切断した上で、このファクシミリ子機通信処理を終了する。
【0082】
一方、発信番号情報等受信から所定時間が経過する前に親機2から応答があった場合は、S450からS480に進み、親機2との音声通信を切断し、S490にて、親機2へ発信番号情報等を送信して、このファクシミリ子機通信処理を終了する。
【0083】
次に、コードレス子機4の制御部51が実行するコードレス子機通話接続処理について、図8を用いて説明する。コードレス子機4の制御部51は、親機2から、自身が呼出対象に指定された発信番号等を受信すると、図8に示すコードレス子機通話接続処理を開始する。尚、図8における、S610の前に波線枠で示した内容(発信番号等受信)は、この図8のコードレス子機通話接続処理が開始される条件(処理開始のトリガとなる条件)を便宜的に図示したものである。
【0084】
コードレス子機4の制御部51は、親機2からの発信番号等受信によってこのコードレス子機通話接続処理を開始すると、まずS610にて、親機2からの呼出信号を受信し、S620にて、親機2から受信した発信番号等を表示する。具体的には、既述の通り、表示部58に発信者電話番号及び相手名称を表示する。またこのとき、指定された鳴動音にてスピーカ61の鳴動も行われる。
【0085】
そして、S630で、ユーザによる通話開始操作がなされたか否かを判断する。ここで、ユーザによる通話開始操作がなされない場合は、S640にて、親機2からまだ呼び出されているか否かを判断する。そして、親機2からの呼び出しがなくなった場合にはこのコードレス子機通話接続処理を終了するが、親機2から呼出信号が来ている間は、ユーザによる通話開始操作を待つ。
【0086】
そして、ユーザにより通話開始操作がなされると、S630からS650に進み、親機2へ音声通信接続要求を送信し、続くS660で、親機2との間で音声通信の接続を行う。これにより、音声通話が開始されることとなる。
【0087】
その後、S670にて、ユーザによる通話終了操作がなされたか否か判断する。S670でユーザによる通話終了操作がなされない場合は、S680にて、親機2から音声通信切断要求を受信したか否かを判断する。そして、親機2から音声通信切断要求が受信されない間は、ユーザによる通話終了操作を待つが(S670)、ユーザによる通話終了操作がなされないまま、S680にて、親機2から音声通信切断要求を受信したと判断した場合は、S700で親機2との音声通信を切断して、このコードレス子機通話接続処理を終了する。
【0088】
一方、親機2から音声通信切断要求を受信する前にユーザによる通話終了操作がなされた場合は、S670からS690に進み、親機2へ音声通信切断要求を送信する。そして、S700で親機2との音声通信を切断して、このコードレス子機通話接続処理を終了する。
【0089】
以上説明したように、本実施形態の通信装置1では、親機2自身は、回線側から入力される音声信号から直接発信番号情報等を取得する機能を持たず、発信番号情報等の受信・取得はFAX子機3のFAXモデム37にて行わる。そして、FAX子機3が、親機2経由で受信した音声信号から発信番号情報等を取得し、その発信番号情報等を親機2へ無線送信する。
【0090】
そのため、親機2は、そのFAX子機3から送信されてきた発信番号情報等に基づく所望の処理を実行することができる。
親機2における、FAX子機3から取得した発信番号情報等に基づく所望の処理として、上実施形態では、主にコードレス子機4を対象とした各種の処理を例示している。
【0091】
具体的には、親機2は、FAX子機3から発信番号情報等を受信したら、その発信番号情報等に含まれている発信者電話番号をコードレス子機4へ送信し、コードレス子機4は、その発信者電話番号を表示する。このように発信者電話番号をコードレス子機4へ送信することで、コードレス子機4のユーザは、発信者電話番号を知ることができる。また、親機2は、発信者電話番号に加えて、発信者の名称や、鳴動音指定情報などの、発信者電話番号に関連した各種情報もコードレス子機4へ送信する。そのため、コードレス子機4のユーザは、発信者に関連した種々の情報を知ることもできる。
【0092】
また、親機2は、発信者の電話番号毎に設定されている制御方法に基づき、特定の電話番号については呼出対象のコードレス子機4を指定したり、着信拒否を行ったりすることもできるため、ユーザにとって使い勝手の良い通信装置1が実現される。
【0093】
また、親機2は、CAR信号を受信すると、FAX子機3へ、発信番号情報等取得要求を送信する。これにより、FAX子機3は、まもなく発信番号情報等が送信されてくるであろうことを事前に知ることができ、発信番号情報等の取得に備えることができる。そのため、FAX子機3は発信番号情報等を確実に取得することができる。
【0094】
[変形例]
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明の実施の形態は、上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の形態を採り得ることはいうまでもない。
【0095】
例えば、上記実施形態では、親機2は、CAR信号を受信するとFAX子機3へ発信番号情報等取得要求を送信する構成であったが、この発信番号情報等取得要求は必ずしも必要ではない。つまり、FAX子機3は、親機2からの発信番号情報等取得要求を受信することなく、親機2を中継して受信された音声信号から発信番号情報等を抽出するような構成であってもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、着信の際、まず回線側にて極性反転及びCAR信号の送出が行われ、それに対して親機2が回線閉結(一次閉結)を行った後に、回線側から発信番号情報等が送信されるものとして説明したが、このような接続手順はあくまでも一例である。
【0097】
即ち、着信時の接続手順としては、図3に示したシーケンス以外にも、例えば、極性反転の後すぐに発信番号情報等が送信される場合や、極性反転及びCAR信号送出無しに直接発信番号情報等が送信される場合なども考えられる。また例えば、CAR信号送出後に親機2による回線閉結(一次閉結)は行われず、回線側からはCAR信号送出後の所定タイミングで発信番号情報等が送信されてくる場合も考えられる。親機2による一次閉結が行われない場合は、回線側からRING信号が送信される前の、親機2による回線開放も不要となる。このように、着信時の接続手順は様々であるが、本発明は、そういった各種の接続手順に対して幅広く適用可能である。
【0098】
また、上記実施形態では、親機2は、回線側からCAR信号を検出した後にFAX子機3へ発信番号情報等取得要求を送信するようにしたが、この発信番号情報等取得要求の送信タイミングもあくまでも一例であり、例えば、極性反転を検出した時点で(CAR信号検出前に)発信番号情報等取得要求を送信するようにしてもよい。
【0099】
また、上記実施形態では、回線側からのCAR信号の検出は親機2で行うようにしたが、これも必須ではなく、親機2はCAR信号についてもFAX子機3へ転送するだけとし
て、FAX子機3にてCAR信号の検出を行うようにしてもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、コードレス子機4による発信者電話番号や相手名称の報知方法として、表示部58による表示を例に挙げたが、これはあくまでも一例であり、例えばスピーカ61から音声にて発信者電話番号や相手名称を報知するなど、種々の報知方法を採用できる。
【符号の説明】
【0101】
1…通信装置、2…親機、2a,3a,4a…アンテナ、3…FAX子機、4…コードレス子機、21,31,51…制御部(CPU)、22,32,52…ROM、23,33,53…RAM、24,34,54…DCL無線通信部、25…回線I/F部、26,36,56…音声信号処理部、28,38,58…表示部、29,39,59…操作部、30,40,60…バス、37…FAXモデム、41…画像読取部、42…画像記録部、61…スピーカ、62…マイク、100…電話回線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着信の際に発信者を特定するための発信者情報が回線から送信されてくる特定サービスに対応可能であって、
前記回線から送信されてくる音声周波数帯域の信号である音声信号を無線にて受信可能であって、且つ、その受信した音声信号に含まれる前記発信者情報を取得可能な第1の子機と、
前記回線に接続され、前記第1の子機との間で無線通信可能であって、前記回線から送信されてきた前記音声信号を前記第1の子機へ中継する親機と、
を備えてなる通信装置において、
前記第1の子機は、
前記回線から前記親機を中継して受信した前記音声信号に含まれる前記発信者情報を取得する発信者情報取得手段と、
前記発信者情報取得手段により取得された前記発信者情報を前記親機へ無線送信する発信者情報送信手段と、
を備え、
前記親機は、前記第1の子機から前記発信者情報を受信した場合に、その発信者情報に基づいて予め決められた発信者情報対応処理を実行する、対応処理実行手段を備えている
ことを特徴とする通信装置。
【請求項2】
請求項1に記載の通信装置であって、
前記親機と無線通信可能であって、音声通話を行う際に前記回線との間で送受信すべき前記音声信号を前記親機と無線にて送受信することにより、前記親機を介して音声通話を行うことが可能に構成された第2の子機を備え、
前記親機は、前記第2の子機との間で無線通信可能であって、前記第2の子機と前記回線との間で送受信される前記音声信号の中継を行う
ことを特徴とする通信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の通信装置であって、
前記親機における前記発信者情報対応処理の少なくとも1つは、前記発信者情報を報知対象情報として前記第2の子機へ無線送信することであり、
前記第2の子機は、前記親機から前記報知対象情報を受信した場合にその報知対象情報を報知する報知手段を備えている
ことを特徴とする通信装置。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の通信装置であって、
前記親機には、一又は複数の前記発信者情報が、その発信者情報に関連した関連情報と対応付けられて予め登録されており、
前記親機における前記発信者情報対応処理の少なくとも1つは、前記第1の子機から受信した前記発信者情報に対応付けられている前記関連情報を報知対象情報として前記第2の子機へ無線送信することであり、
前記第2の子機は、前記親機から前記報知対象情報を受信した場合にその報知対象情報を報知する報知手段を備えている
ことを特徴とする通信装置。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の通信装置であって、
前記第2の子機は、一つ又は複数備えられており、
前記親機には、一又は複数の前記発信者情報が、その発信者情報に対応した前記報知対象情報を送信すべき前記第2の子機と対応付けられて予め登録されており、
前記親機の前記対応処理実行手段は、前記第1の子機から前記発信者情報を受信した場
合、その発信者情報に対応付けられている、前記報知対象情報を送信すべき前記第2の子機を、送信対象として指定して前記報知対象情報を無線送信し、
前記第2の子機の前記報知手段は、前記親機から、前記送信対象として自身が指定されている前記報知対象情報を受信した場合に、その報知対象情報を報知する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項6】
請求項2〜請求項5の何れか1項に記載の通信装置であって、
前記親機には、着信を拒否すべき前記発信者情報である着信拒否相手が予め登録されており、
前記親機における前記発信者情報対応処理の少なくとも一つは、前記第1の子機から受信した前記発信者情報が前記着信拒否相手として登録されている場合には前記第2の子機に対して着信があった旨の通知を行わないようにする
ことを特徴とする通信装置。
【請求項7】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の通信装置であって、
前記特定サービスは、着信時にまず所定の起動信号が前記回線側から送信されてきてその後に前記発信者情報が送信されてくるように定められたものであり、
前記親機は、
前記回線側から送信されてきた前記起動信号を受信する起動信号受信手段と、
前記起動信号受信手段により前記起動信号が受信された場合に、前記第1の子機に対して前記発信者情報の取得要求を送信する取得要求送信手段と、
を備え、前記取得要求送信手段による前記取得要求の送信後、前記第1の子機から、その取得要求に対する応答である確認信号を受信した場合に、前記第1の子機と前記回線との前記音声信号の中継を開始するよう構成されており、
前記第1の子機は、前記親機から前記取得要求を受信した場合に前記親機へ前記確認信号を送信する確認信号送信手段を備えている
ことを特徴とする通信装置。
【請求項8】
請求項7に記載の通信装置であって、
前記特定サービスは、前記回線側からの前記起動信号に対して前記親機が前記回線側へ応答信号を送出すると前記回線側から前記発信者情報が送信されてくるように定められたものであり、
前記親機は、前記取得要求送信手段による前記取得要求の送信後、前記第1の子機から前記確認信号を受信した場合に、前記回線側へ前記応答信号を送出する
ことを特徴とする通信装置。
【請求項9】
請求項8に記載の通信装置であって、
前記特定サービスは、前記回線側から前記親機へ前記発信者情報が送信された後、その発信者情報に対する応答である受信確認信号が前記親機から前記回線側へ送出された場合に、前記回線側から呼出信号が送信されてくるように定められたものであり、
前記親機は、前記回線側への前記応答信号の送出後、前記第1の子機から前記発信者情報を受信したら、前記受信確認信号の送出に先立って前記対応処理実行手段による前記発信者情報対応処理を実行させ、少なくともその発信者情報対応処理が開始された後に、前記回線側へ前記受信確認信号を送出する
ことを特徴とする通信装置。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図1】
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【公開番号】特開2013−77951(P2013−77951A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216230(P2011−216230)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】