説明

通信装置

【目的】 G3ファクシミリのサブアドレスを用いることにより、G3サブアドレスの有無および内容に関連付けてファクシミリデータを指定先に配信するなどの多様なサービスを実行できる通信装置を提供することを目的としている。
【構成】 一台のファクシミリを一つの部署で多人数で共用するような場合であっても、一般的なCCITTグループ3のサブアドレスを使って配布先の個人を特定し、電子メールで転送し配布したり、ファクシミリ端末に出力したり、プリンタ端末に出力でき、要求に応じた多様な処理ができる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願各発明は、例えばファクシミリメール装置やファクシミリ装置などの通信装置に関し、特にCCITT(国際電信電話諮問委員会)により新たに標準化されたG3サブアドレスの通信機能を有する通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、オフィスではファクシミリ装置などの通信装置が多用されているが、近年、PC(パーソナルコンピュータ)やWS(ワークステーション)などのコンピュータ機器の普及、あるいはLAN(Local Area Network:企業内・地域情報通信網)の発展に伴って、電子メールを導入するケースが増えている。このような使用環境にあっての問題点は、ファクシミリ装置がPSTN(公衆電話回線網)やISDN(サービス総合デジタル網)などの、いわゆるWAN(広域網)に接続されるのに対して、電子メールを利用するPCやWSはLANに接続されるため、アドレス体系が異なるという点である。このようなアドレス体系の不一致を解消するために、例えば特開平4−117744号公報などに記載された電子メール装置が提案されている。この電子メール装置によれば、PCなどからファクシミリ装置に電子メールとしてファクシミリデータを送信する場合、ファクシミリサーバに対してPCやWSから送信先となるファクシミリ装置のアドレスを通知することにより、所望のファクシミリ装置にデータを配信することができる。
【0003】これに対して、ファクシミリ装置側から電子メールの配信先を指定するための提案が、例えば特開平4−223656号公報などに記載されている。このファクシミリ装置によれば、個人のアドレスを通知することにより、所望のファクシミリ装置にデータを配信することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような個人のアドレスを通知する従来の通信装置(ファクシミリ装置)は、ISDNに接続される端末(例えばG4ファクシミリ装置)に限って利用できるもので、PSTNに接続されるG3ファクシミリ装置では利用できなかった。これは、G3ファクシミリ装置の通信手順がCCITT勧告の国際標準に基づいているためで、従来は、アドレスを通知する機能が標準化されていなかった。しかし、このようなアドレス通知機能に関しては、先頃、G3ファクシミリのサブアドレスがCCITTにより国際標準化された。
【0005】また、従来技術として上述した特開平4−223656号公報などに記載されたG4ファクシミリ装置では、サブアドレスが無いと受信を拒否してしまうという欠点があり、全ての受信ファクシミリデータをメールとして扱うため、プリンタに出力する操作をしないと印字されず、プリンタ出力で受け取りたい人にとっては不都合であると共に、電子メールのアドレスを持っていない人は受信できないという不都合もあった。さらに、上記従来技術では、受信ファクシミリデータを電子メールとして管理するために、電子メールの機能を完全に持たなければならず、このために装置の構成が大規模になってしまうという欠点があった。
【0006】そこで、請求項1記載の発明は、G3ファクシミリのサブアドレスを用いることにより、G3サブアドレスの有無および内容に関連付けてファクシミリデータを指定先に配信するなどの多様なサービスを実行できる通信装置を提供することを目的としている。また、請求項2記載の発明は、G3サブアドレスに関連付けてファクシミリデータの転送先ファクシミリ端末を指定することにより、受信したファクシミリデータを所望のファクシミリ端末に配信する通信装置を提供することを目的としている。
【0007】また、請求項3記載の発明は、G3サブアドレスに関連付けてファクシミリデータの転送先プリンタ端末を指定することにより、受信したファクシミリデータを所望のプリンタ端末から印字出力する通信装置を提供することを目的としている。また、請求項4記載の発明は、G3サブアドレスに関連付けてファクシミリデータの転送先LAN接続端末を指定するにことにより、受信したファクシミリデータを所望のLAN接続端末に配信する通信装置を提供することを目的としている。
【0008】また、請求項5記載の発明は、前記請求項1〜4いずれかに記載の発明をファクシミリメール装置に適用実施することにより、G3サブアドレスに対応した通信装置としてのファクシミリメール装置を提供することを目的としている。また、請求項6記載の発明は、前記請求項1〜4いずれかに記載の発明をファクシミリ装置に適用実施することにより、G3サブアドレスに対応した通信装置としてのファクシミリ装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明は、上記目的を達成するために、G3ファクシミリのサブアドレス通信機能を有するG3通信制御手段と、このG3通信制御手段によるファクシミリデータの受信時にG3サブアドレスの有無を判別する判別手段と、この判別手段によりG3サブアドレスが有りと判別された場合に該G3サブアドレスの内容を解析する解析手段と、上記G3サブアドレスの有無および内容と共に前記G3通信制御手段により受信したファクシミリデータを蓄積する蓄積手段と、を備えた通信装置において、前記G3サブアドレスが無い場合に行う蓄積データの転送処理を予め設定登録する第1の設定登録手段と、前記G3サブアドレスが有る場合にG3サブアドレスの内容とは無関係に行う蓄積データの転送処理を予め設定登録する第2の設定登録手段と、前記G3サブアドレスが有る場合にG3サブアドレスの内容に対応して行う蓄積データの転送処理を予め設定登録する第3の設定登録手段と、上記第1〜第3の設定登録手段に設定登録された転送処理を行って前記蓄積手段に蓄積されたファクシミリデータを転送出力する出力制御手段と、を備えたことを特徴とする。
【0010】また、請求項2記載の発明は、上記目的を達成するために、請求項1記載の通信装置において、第1〜第3の設定登録手段にファクシミリ端末を転送出力先とする転送処理を設定登録することを特徴とする。また、請求項3記載の発明は、上記目的を達成するために、請求項1記載の通信装置において、第1〜第3の設定登録手段にプリンタ端末を転送出力先とする転送処理を設定登録することを特徴とする。
【0011】また、請求項4記載の発明は、上記目的を達成するために、請求項1記載の通信装置において、第1〜第3の設定登録手段にLAN接続端末を転送出力先とする転送処理を設定登録することを特徴とする。また、請求項5記載の発明は、上記目的を達成するために、請求項1〜4いずれかに記載の通信装置において、ファクシミリメール装置であることを特徴とする。
【0012】また、請求項6記載の発明は、上記目的を達成するために、請求項1〜4いずれかに記載の通信装置において、ファクシミリ装置であることを特徴とする。
【0013】
【作用】上記構成を有する請求項1記載の発明においては、第1の設定登録手段にG3サブアドレスが無い場合に行う蓄積データの転送処理を予め設定登録し、第2の設定登録手段にG3サブアドレスが有る場合にG3サブアドレスの内容とは無関係に行う蓄積データの転送処理を予め設定登録し、第3の設定登録手段にG3サブアドレスが有る場合にG3サブアドレスの内容に対応して行う蓄積データの転送処理を予め設定登録しておき、上記第1〜第3の設定登録手段に設定登録された転送処理を行う出力制御手段によって、蓄積手段に蓄積されたファクシミリデータを転送出力する。
【0014】また、上記構成を有する請求項2記載の発明においては、第1〜第3の設定登録手段にファクシミリ端末を転送出力先とする転送処理を設定登録する。また、上記構成を有する請求項3記載の発明においては、第1〜第3の設定登録手段にプリンタ端末を転送出力先とする転送処理を設定登録する。また、上記構成を有する請求項4記載の発明においては、第1〜第3の設定登録手段にLAN接続端末を転送出力先とする転送処理を設定登録する。
【0015】また、上記構成を有する請求項5記載の発明においては、G3サブアドレスに関連付けた転送処理をファクシミリメール装置によって実現する。また、上記構成を有する請求項6記載の発明においては、G3サブアドレスに関連付けた転送処理をファクシミリ装置によって実現する。
【0016】
【実施例】以下、本願各発明を実施例に基づいて説明する。図1は請求項1〜6いずれかに記載された発明の一実施例に係る通信装置を示す構成図である。まず、構成を説明する。図1に示す通信装置11において、システム制御部12は、所定のプログラムにしたがって本通信装置11の動作を制御する。スキャナ13は、所定の解像度で送信原稿やコピー原稿の画情報を読み取る読取部である。プリンタ14は、前記スキャナ13で読み取った画情報や、受信したファクシミリデータ、あるいはメール情報などを印字出力する印字部である。操作入力部15は、本通信装置11への動作命令を入力する操作部であり、ファンクションキーやテンキー、あるいはキーボードなどの操作キーを備える。操作表示部16は、LCD(Liquid Cristal Device:液晶表示部)やLED(Light-emitting Diode:発光ダイオード)などを用いて、本通信装置11の動作状態やメッセージなどを表示する。
【0017】ファクシミリ通信部17は、広域網であるPSTNを介してファクシミリ通信を行うブロックであり、G3ファクシミリ通信手順制御部18、モデム(MODEM)19、NCU(網制御部)20を備える。G3ファクシミリ通信手順制御部18は、ファクシミリ通信をG3手順にしたがって実行するもので、CCITTにより国際標準化されたG3サブアドレスの通信機能を有する。モデム19は、送信信号を変調する一方で受信信号を復調する変復調装置である。NCU20は、ファクシミリ通信を行う電話回線を捕捉したり、切断する際の回線制御を行う。なお、本通信装置11がファクシミリ装置の場合、ファクシミリ通信部17は1ブロックのみ設けられるが、ファクシミリメール装置の場合は複数の回線に対応して複数ブロックが必要とされる。符号化復号化部21は、送信する画情報を所定の方式で符号化してその情報量を圧縮する一方で、受信時に符号化されている画情報を復号化して元の画情報に復元する。
【0018】電子メール/ファイル転送通信手順制御部22は、電子メールやファイル情報をLANに接続された端末に転送する際の通信制御を行うもので、本実施例ではファクシミリデータをそのまま電子メールとして扱うものとする。LAN−I/F(インタフェース)23は、前記電子メール/ファイル転送通信手順制御部22とLANとの間に介在し、データの入出力制御を行う。
【0019】サブアドレス処理メモリ24は、前記ファクシミリ通信部17を介して通信されるG3サブアドレスに関連付けたファクシミリデータの処理を記憶しておくメモリで、その処理は前記操作入力部15を用いて予め設定登録される。画像メモリ25は、ファクシミリデータを記憶するもので、必要ならば電子メール/ファイル情報も記憶することができる。
【0020】図2は図1の通信装置を用いたネットワークの一実施例を示す構成図である。図示のように、通信装置11は、PSTNに接続される一方でLANにも接続されており、PSTNを介しては、他のG3ファクシミリ装置(FAX)31、32や、ファクシミリメール装置(FMS)33などとの通信を行うことができ、またPSTNと網間接続されたISDNを介しては、ISDN端末としてのG3ファクシミリ装置34などとの通信を行うことができる。
【0021】一方、通信装置11は、LANを介してPC(パーソナルコンピュータ)35やWS(ワークステーション)36、プリンタ(PRN)37、あるいは電子メールサーバ38といったLAN接続端末と通信することができる。なお、一般に通信装置11は、ファクシミリ装置であれば図1に示したようにスキャナ13とプリンタ14を一体として構成されるが、ファクシミリメール装置であれば図2に示すようにスキャナ39とプリンタ40を外部装置として必要に応じて備える。また、ファクシミリメール装置としての通信装置11は、通常、図1に示す操作入力部15と操作表示部16をコンソールとして外部接続される場合が殆どである。この場合は、図1の電子メール/ファイル転送通信手順制御部22に端末エミュレータ通信手順を設け、図2のPC35やWS36を操作入力部および操作表示部として用いる。
【0022】ここで、本願各発明に係る構成を説明する。図1において、G3通信制御手段としてのG3ファクシミリ通信手順制御部18は、G3ファクシミリのサブアドレス通信機能を有し、ファクシミリデータの受信時には判別手段としてG3サブアドレスの有無を判別する。G3サブアドレスの有無を判別した際にG3サブアドレスが有りと判別した場合、G3ファクシミリ通信手順制御部18は解析手段として該G3サブアドレスの内容を解析する。上記G3サブアドレスの有無および内容と共に、前記G3ファクシミリ通信手順制御部18により受信したファクシミリデータは、蓄積手段としての画像メモリ25に蓄積される。
【0023】この蓄積データの処理が第1〜第3の設定登録手段としてのサブアドレス処理メモリ24に設定登録されている。第1の設定登録手段としてのサブアドレス処理メモリ24には、G3サブアドレスが無い場合に行う蓄積データの転送処理が予め設定登録されており、その登録内容の一実施例が図3に示される。図示のように、サブアドレスが無い場合に行う転送処理としては、01:付属のプリンタ14に出力(この場合は、プリンタ14によってファクシミリデータが印字出力される。)
02:LANのIP(Internet Protocol)アドレスを指定してプリンタ37に出力(この場合は、LAN接続端末としてのプリンタ37によってファクシミリデータが印字出力される。)
03:WANのアドレス(電話番号)を指定して例えばG3ファクシミリ装置31に出力(この場合は、G3ファクシミリ31の備えるプリンタによってファクシミリデータが印字出力される。)
04:LAN接続された、例えば電子メールサーバ38やPC35などをそのアドレスによって指定してファクシミリデータを電子メールとして出力(この場合は、LAN接続端末としての電子メール装置に格納され、電子メールとして扱われる。)
などがある。
【0024】予め所望の処理No.を操作入力部15から入力すると、この処理No.の転送処理がG3サブアドレスの無いファクシミリデータを受信した場合に行う転送処理として設定登録される。そして、受信したファクシミリデータにG3サブアドレスが無い場合は、自動的にその処理No.に対応する転送出力先にデータが転送出力される。このための出力制御手段としてシステム制御部12が設けられており、例えば処理No.01が設定登録されていれば、付属のプリンタ14を転送出力先のプリンタ端末とする転送処理を実行する。また、例えば処理No.02またはNo.04いずれかが設定登録されていれば、電子メール/ファイル転送通信手順制御部22をして、プリンタ37や電子メールサーバ38を転送出力先のLAN接続端末とする転送処理を実行する。また、例えば処理No.03が設定登録されていれば、G3ファクシミリ通信手順制御部18をして、G3ファクシミリ装置31を転送出力先のファクシミリ端末とする転送処理を実行する(請求項1)。
【0025】このように、サブアドレス処理メモリ24には、WAN接続、LAN接続の如何にかかわらず接続可能なファクシミリ端末(請求項2)やプリンタ端末(請求項3)を転送出力先とする転送処理を設定登録することができる。また、端末の種別の如何にかかわらず接続可能なLAN接続端末(請求項4)を転送出力先とする転送処理を設定登録することができる。
【0026】次いで、第2の設定登録手段としてのサブアドレス処理メモリ24には、G3サブアドレスが有る場合にG3サブアドレスの内容とは無関係に行う蓄積データの転送処理が予め設定登録されており、その登録内容の一実施例が図4に示される。図示のように、サブアドレスが有る場合に行う転送処理としては、11:付属のプリンタ14に出力(この場合は、プリンタ14によってファクシミリデータが印字出力される。)
12:LANのIPアドレスを指定してプリンタ37に出力(この場合は、LAN接続端末としてのプリンタ37によってファクシミリデータが印字出力される。)
13:WANのアドレス(電話番号)を指定して例えばG3ファクシミリ装置31に出力(この場合は、G3ファクシミリ31の備えるプリンタによってファクシミリデータが印字出力される。)
14:LAN接続された、例えば電子メールサーバ38やPC35などをそのアドレスによって指定してファクシミリデータを電子メールとして出力(この場合は、LAN接続端末としての電子メール装置に格納され、電子メールとして扱われる。)
などがある。
【0027】上記処理No.11〜14がG3サブアドレスが有る場合にG3サブアドレスの内容とは無関係に行う蓄積データの転送処理であり、処理No.19はG3サブアドレスが有る場合にG3サブアドレスの内容に対応して蓄積データの転送処理を行うことを考慮して設けられている。なお、処理No.19における転送処理(G3サブアドレスが有る場合にG3サブアドレスの内容に対応して行う蓄積データの転送処理)は、第3の設定登録手段としてのサブアドレス処理メモリ24に予め設定登録されており、その登録内容の一実施例が図5に示される。
【0028】まず、図4において、予め所望の処理No.を操作入力部15から入力すると、この処理No.の転送処理がG3サブアドレスの有るファクシミリデータを受信した場合に行う転送処理として設定登録される。そして、受信したファクシミリデータにG3サブアドレスが有る場合は、自動的にその処理No.に対応する転送出力先にデータが転送出力される。例えば処理No.11が設定登録されていれば、システム制御部(出力制御手段)12は、付属のプリンタ14を転送出力先のプリンタ端末とする転送処理を実行する。また、例えば処理No.12またはNo.14いずれかが設定登録されていれば、電子メール/ファイル転送通信手順制御部22をして、プリンタ37や電子メールサーバ38を転送出力先のLAN接続端末とする転送処理を実行する。また、例えば処理No.13が設定登録されていれば、G3ファクシミリ通信手順制御部18をして、G3ファクシミリ装置31を転送出力先のファクシミリ端末とする転送処理を実行する(請求項1)。
【0029】このように、サブアドレス処理メモリ24には、WAN接続、LAN接続の如何にかかわらず接続可能なファクシミリ端末(請求項2)やプリンタ端末(請求項3)を転送出力先とする転送処理を設定登録することができる。また、端末の種別の如何にかかわらず接続可能なLAN接続端末(請求項4)を転送出力先とする転送処理を設定登録することができる。
【0030】一方、処理No.19が設定登録されている場合は、図5に示す転送処理が実行される。すなわち、各種のサブアドレスに対応させて、処理No.22〜24が決められ、これらの処理No.に対応するアドレスの端末に転送処理が行われる。図示のように、サブアドレスが有る場合にサブアドレスの内容に対応して行う転送処理としては、22:LANのアドレスを指定してプリンタ37に出力(この場合は、LAN接続端末としてのプリンタ37によってファクシミリデータが印字出力される。)
23:WANのアドレス(電話番号)を指定して例えばG3ファクシミリ装置31に出力(この場合は、G3ファクシミリ装置31の備えるプリンタによってファクシミリデータが印字出力される。)
24:LAN接続された、例えば電子メールサーバ38やPC35などをそのアドレスによって指定してファクシミリデータを電子メールとして出力(この場合は、LAN接続端末としての電子メール装置に格納され、電子メールとして扱われる。)
などがある。なお、例えば、「12345671」、「XX XX XX XX」という複数のサブアドレスに対して同一の処理No.22を設定することができ、サブアドレスと端末アドレスとの一致性または不一致性は問わない。
【0031】図5に示す転送処理を実行する場合は、図4R>4の処理No.19を設定登録したうえで、処理No.22〜24を設定登録する。このように二重に登録しておけば、G3サブアドレスの有るファクシミリデータを受信した場合は、自動的にサブアドレスの内容に対応した処理No.22〜24が選択され、その処理No.に対応する転送出力先にデータが転送出力される。例えば「1234567」というサブアドレスならば、システム制御部(出力制御手段)12は処理No.22を選択し、電子メール/ファイル転送通信手順制御部22をして、LAN接続されたプリンタ37を転送出力先のプリンタ端末とする転送処理を実行する。また、例えば「1234568」というサブアドレスならば、処理No.23を選択し、G3ファクシミリ通信手順制御部18をして、G3ファクシミリ装置31を転送出力先のファクシミリ端末とする転送処理を実行する。また、例えば「1234569」というサブアドレスならば、処理No.24を選択し、電子メール/ファイル転送通信手順制御部22をして、電子メールサーバ38を転送出力先のLAN接続端末とする転送処理を実行する(請求項1)。
【0032】このように、サブアドレス処理メモリ24には、WAN接続、LAN接続の如何にかかわらず接続可能なファクシミリ端末(請求項2)やプリンタ端末(請求項3)を転送出力先とする転送処理をサブアドレスに対応させて設定登録することができる。また、端末の種別の如何にかかわらず接続可能なLAN接続端末(請求項4)を転送出力先とする転送処理をサブアドレスに対応させて設定登録することができる。
【0033】なお、本実施例では図1および図2の通信装置11をファクシミリメール装置(請求項5)またはファクシミリ装置(請求項6)として説明するが、他にPCやWS、あるいは電子メールサーバなどであっても上述したような手段を備えることが可能である。次に、作用を説明する。
【0034】図6はG3サブアドレスの通信手順を示す通信フロー図である。図示のように、着呼側からデジタル識別信号DISによりサブアドレスの受信可が示される。発呼側はSUB信号によりサブアドレスを送信する。発呼側にサブアドレスの通信能力が無い場合は、図6中のサブアドレスSUBの手順が無く、発呼側は前記デジタル識別信号DISに対してデジタル命令信号DCSを送信する。なお、図6に示す手順は一例を示すもので、場合によっては他のオプション手順が存在する場合もある。
【0035】図1において、CCITTグループ3(G3)のファクシミリ通信を制御する手段は、ファクシミリ通信部17内に示される、G3ファクシミリ通信手順制御部18、モデム19、およびNCU20である。ファクシミリデータ受信に先立って前記G3サブアドレスの有無を判別する手段はG3ファクシミリ通信手順制御部18の中にある。ファクシミリデータ受信に先立つという意味は、図6のフェーズBでということを意味する。図6に示していないフェーズCは、ファクシミリデータの受信手順になる。サブアドレスが有りと判別された場合に、サブアドレスを抽出する手段もG3ファクシミリ通信手順制御部18中にある。G3ファクシミリ通信手順制御部18で判別されたサブアドレスの有無、および抽出されたサブアドレスは、システム制御部12に伝えられる。システム制御部12は、サブアドレスの有無、および抽出された場合はそのサブアドレスをサブアドレス処理メモリ24に記憶されている情報に基づいて処理する。ファクシミリデータは一旦、画像メモリ25に蓄積され、通信終了後に前記サブアドレス処理メモリ24に基づいた処理が行われる。付属のプリンタ14に出力する場合は、通信終了を待たずに、プリンタ14による印字出力を行う場合もある。処理としては、図3〜5に示される内容等がある。これらの設定はユーザの要求に基づき、操作表示部16の表示を見ながら、操作入力部15を操作し入力され、サブアドレス処理メモリ24に記憶し管理される。
【0036】請求項2記載の発明に係る実施例において、例えばG3ファクシミリ装置31などのファクシミリ端末への出力は、いわゆる転送処理になる。図3の処理No.03や図4の処理No.13のように、予めアドレスが入力されている場合もあり、図5の処理No.23のように、サブアドレスを基にWANのアドレスが求められ場合もある。これらの送信(出力)は、図1のファクシミリ通信部17によって実行される。この送信により、画像メモリ25に蓄積された受信ファクシミリデータが出力される。
【0037】請求項3記載の発明に係る実施例において、プリンタ端末への出力は、本実施例の通信装置11にプリンタ14が接続されている場合は、図3の処理No.01や図4の処理No.11のように、そのプリンタ14に出力される。一方、通信装置11にプリンタ14が直接接続されていないファクシミリメール装置などの場合、図2に示すLANによって接続されたプリンタ37に出力される。処理No.としては、図3のNo.02、図4のNo.12、図5のNo.22である。これらの出力は、図1の電子メール/ファイル転送通信手順制御部22、LAN−I/F23により、特に電子メール/ファイル転送通信手順制御部22によるファイル転送通信手順により、図2のプリンタ37に出力される。
【0038】図7はサブアドレスに関連付けた受信ファクシミリデータの転送処理の設定登録手順を示すフローチャートである。まず、操作入力部15を用いて転送処理の設定登録ファンクションキーを押すと、操作表示部16には、図3に示したようなサブアドレス無し時の処理No.と、その転送出力先が表示される(ステップS1)。オペレータが操作入力部15を用いて処理No.を選択すると、その処理No.がシステム制御部12によって受領される(ステップS2)。システム制御部12は、受領した処理No.をサブアドレス無し時の処理として、サブアドレス処理メモリ24に格納する(ステップS3)。
【0039】次いで、操作表示部16には、図4に示したようなサブアドレス有り時の処理No.と、その転送出力先が表示される(ステップS4)。この表示に対して操作入力部15から処理No.が入力されると、これをシステム制御部12が受領し(ステップS5)、受領した処理No.が「19」であるかどうかをチェックする(ステップS6)。ここで、処理No.が「19」でなければ、サブアドレスが有る場合はサブアドレスの内容とは無関係に転送処理を行うものとして、受領した処理No.、すなわち「11」〜「14」のいずれかを、個別サブアドレス処理無し時の処理としてサブアドレス処理メモリ24に格納する(ステップS7)。
【0040】一方、ステップS6の判断でYESすなわち処理No.が「19」である場合は、図5に示したようなサブアドレスの入力を受け付ける旨を操作表示部16に表示する(ステップS8)。この表示に対して操作入力部15から入力されたサブアドレスをシステム制御部12は受領し(ステップS9)、図5に示したような処理No.と変換アドレスの入力を受け付ける旨を操作表示部16に表示する(ステップS10)。この表示に対して操作入力部15から入力された処理No.と変換アドレスをシステム制御部12は受領し(ステップS11)、サブアドレス有り時の個別サブアドレス処理としてサブアドレス処理メモリ24に格納する(ステップS12)。次いで、入力終了のコマンドを待機し(ステップS13)、処理を終了する。
【0041】図8はファクシミリデータの受信時の処理を示すフローチャートである。まず、ファクシミリ通信部17を通して着信が有ると、G3ファクシミリ通信手順制御部18によってサブアドレスの有無、また有る場合はその内容を抽出し、システム制御部12に転送する(ステップT1)。その後、G3ファクシミリ通信手順制御部18によってファクシミリデータを受信し(ステップT2)、画像メモリ25に蓄積する(ステップT3)。蓄積後、まずサブアドレスの有無をチェックし(ステップT4)、無い場合は図3に示すサブアドレス処理メモリ24からサブアドレス無し時の処理方法を読み取り(ステップT5)、一方、有る場合は図4および図5に示すサブアドレス処理メモリ24からサブアドレス有り時の処理方法を読み取り(ステップT6)、それぞれの転送処理を実行する(ステップT7)。
【0042】このように、本実施例においては、一台のファクシミリを一つの部署で多人数で共用するような場合であっても、一般的なCCITTグループ3のサブアドレスを使って配布先の個人を特定し、電子メールで転送し配布したり、ファクシミリ端末に出力したり、プリンタ端末に出力でき、要求に応じた多様な処理ができる。
【0043】また、従来技術である特開平4−223656号公報に記載の転送方法と比較すると、従来技術では、ISDNサブアドレスが無いと受信を拒否せざるを得ないが、本実施例ではサブアドレスが無くとも受信ファクシミリデータを転送処理することができる。さらに、従来技術では、全ての受信ファクシミリデータは、メールとして蓄積され、プリンタに出力する操作をしないと印字されず、プリンタ出力で受け取りたい人にとっては不都合であると共に、電子メールのアドレスを持っていない人は受信できないという不都合もあったが、本実施例ではサブアドレスの有無に関連付けてプリンタ出力やファクシミリ転送を自動化でき、操作性を向上できる。
【0044】また、従来技術では、受信ファクシミリデータを電子メールとして管理するために電子メールの機能を完全に持たなければならないので、装置の構成が大規模になってしまう。これに対して、本実施例では電子メールの通信機能を持つだけで良いため、装置の構成を簡略化できる。また、従来のファクシミリメール装置においては、各種のサービスを受けるにはオーダリングという操作があり、通常PBトーンにより行なわれている。しかし、この操作は、通常通信でもサービスコードを入力する等の操作の煩わしさがある。これに対して本実施例では、発呼側のファクシミリ端末からグループ3のサブアドレスを指定するだけで、通常通信のオーダリングに代えることができるため、着呼側におけるオーダリングおよび配信操作を省略でき、配信時の操作性を向上できる。
【0045】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1記載の発明に係る通信装置によれば、第1の設定登録手段にG3サブアドレスが無い場合に行う蓄積データの転送処理を予め設定登録し、第2の設定登録手段にG3サブアドレスが有る場合にG3サブアドレスの内容とは無関係に行う蓄積データの転送処理を予め設定登録し、第3の設定登録手段にG3サブアドレスが有る場合にG3サブアドレスの内容に対応して行う蓄積データの転送処理を予め設定登録しておき、上記第1〜第3の設定登録手段に設定登録された転送処理を行う出力制御手段によって、蓄積手段に蓄積されたファクシミリデータを転送出力するので、国際標準のG3ファクシミリのサブアドレスの有無、および有る場合のサブアドレスの内容によりユーザの要求に基づいて多様な処理が可能となる。
【0046】また、請求項2記載の発明に係る通信装置によれば、第1〜第3の設定登録手段にファクシミリ端末を転送出力先とする転送処理を設定登録するので、受信ファクシミリデータを転送するだけでなく、ユーザの要求によってはファクシミリ端末のプリンタによって、何の操作も必要としないで印字出力が可能となり、受信したら自動的にプリンタに出力される従来の使い方をしたいユーザの要望に応えることができる。
【0047】また、請求項3記載の発明に係る通信装置によれば、第1〜第3の設定登録手段にプリンタ端末を転送出力先とする転送処理を設定登録するので、ユーザの要求によっては付属またはLAN接続されたプリンタによって、何の操作も必要としないで印字出力が可能となり、受信したら自動的にプリンタに出力される従来の使い方をしたいユーザの要望に応えることができ、例えば本通信装置にプリンタが無くともLAN上のプリンタを利用できる。
【0048】また、請求項4記載の発明に係る通信装置によれば、第1〜第3の設定登録手段にLAN接続端末を転送出力先とする転送処理を設定登録するので、受信ファクシミリデータを電子メールと同じように扱うことができ、受信ファクシミリデータを電子メールとして利用するユーザの要望に応えることができる。また、請求項5記載の発明に係る通信装置によれば、G3サブアドレスに関連付けた転送処理をファクシミリメール装置によって実現するので、ファクシミリメールと電子メールとを融合できる効果がある。
【0049】また、請求項6記載の発明に係る通信装置によれば、G3サブアドレスに関連付けた転送処理をファクシミリ装置によって実現するので、ファクシミリ通信と電子メールとを融合できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】請求項1〜6いずれかに記載された発明の一実施例に係る通信装置を示す構成図である。
【図2】図1の通信装置を用いたネットワークの一実施例を示す構成図である。
【図3】第1の設定登録手段としてのサブアドレス処理メモリに設定登録されたG3サブアドレスが無い場合に行う蓄積データの転送処理の一実施例を示す図である。
【図4】第2の設定登録手段としてのサブアドレス処理メモリに設定登録されたG3サブアドレスが有る場合にG3サブアドレスの内容とは無関係に行う蓄積データの転送処理の一実施例を示す図である。
【図5】第3の設定登録手段としてのサブアドレス処理メモリに設定登録されたG3サブアドレスが有る場合にG3サブアドレスの内容に対応して行う蓄積データの転送処理の一実施例を示す図である。
【図6】G3サブアドレスの通信手順を示す通信フロー図である。
【図7】サブアドレスに関連付けた受信ファクシミリデータの転送処理の設定登録手順を示すフローチャートである。
【図8】ファクシミリデータの受信時の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
11 通信装置
12 システム制御部(出力制御手段)
14、37 プリンタ(プリンタ端末)
18 G3ファクシミリ通信手順制御部(G3通信制御手段、判別手段、解析手段)
22 電子メール/ファイル転送通信手順制御部
24 サブアドレス処理メモリ(第1〜第3の設定登録手段)
25 画像メモリ(蓄積手段)
31、32 G3ファクシミリ装置(ファクシミリ端末)
35 PC(LAN接続端末)

【特許請求の範囲】
【請求項1】G3ファクシミリのサブアドレス通信機能を有するG3通信制御手段と、このG3通信制御手段によるファクシミリデータの受信時にG3サブアドレスの有無を判別する判別手段と、この判別手段によりG3サブアドレスが有りと判別された場合に該G3サブアドレスの内容を解析する解析手段と、上記G3サブアドレスの有無および内容と共に前記G3通信制御手段により受信したファクシミリデータを蓄積する蓄積手段と、を備えた通信装置において、前記G3サブアドレスが無い場合に行う蓄積データの転送処理を予め設定登録する第1の設定登録手段と、前記G3サブアドレスが有る場合にG3サブアドレスの内容とは無関係に行う蓄積データの転送処理を予め設定登録する第2の設定登録手段と、前記G3サブアドレスが有る場合にG3サブアドレスの内容に対応して行う蓄積データの転送処理を予め設定登録する第3の設定登録手段と、上記第1〜第3の設定登録手段に設定登録された転送処理を行って前記蓄積手段に蓄積されたファクシミリデータを転送出力する出力制御手段と、を備えたことを特徴とする通信装置。
【請求項2】請求項1記載の通信装置において、第1〜第3の設定登録手段にファクシミリ端末を転送出力先とする転送処理を設定登録することを特徴とする通信装置。
【請求項3】請求項1記載の通信装置において、第1〜第3の設定登録手段にプリンタ端末を転送出力先とする転送処理を設定登録することを特徴とする通信装置。
【請求項4】請求項1記載の通信装置において、第1〜第3の設定登録手段にLAN接続端末を転送出力先とする転送処理を設定登録することを特徴とする通信装置。
【請求項5】請求項1〜4いずれかに記載の通信装置において、ファクシミリメール装置であることを特徴とする通信装置。
【請求項6】請求項1〜4いずれかに記載の通信装置において、ファクシミリ装置であることを特徴とする通信装置。

【図3】
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【図5】
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【図1】
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【図2】
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【図6】
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【図4】
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【図7】
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【図8】
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