説明

通気性のある耐水性衣類

外側層布帛および任意選択の内側層布帛に結合されていてもよい通気性の積層体を含む衣類。この通気性の積層体は、ナノウェブと対向する関係で位置し、かつそれに結合されていてもよい微多孔膜から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条に基づいて、米国仮特許出願第61/002,796号(2007年11月13日出願)の優先権を主張するものであり、その開示内容は、完全に記載されているかのようにあらゆる目的のために参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、通気性かつ耐水性の層を含む衣類およびその層の構成に関する。
【背景技術】
【0003】
衣類に通気性を与える一方、衣類を耐水性にすることで使用者がより着心地良くなるように、衣類に通気性かつ耐水性の膜を設けることが周知である。例えば、発泡ポリテトラフルオロエチレン膜(ePTFE)がこの用途に用いられてきた。
【0004】
時間と共に、身体の油および滲出物の形態の汚れの作用は、膜の細孔を塞ぐことによって膜の性能に深刻な影響を及ぼし得る。水蒸気を透過させるポリマーで膜をコーティングすることによって膜を保護しようとすると、衣類の通気性の低下が引き起こされる。したがって、寿命と着心地の良さとが両立しない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の材料は、これらの課題を解決して、防汚性の通気性の高い構造を提供するように設計される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態では、本発明は、通気性の積層体および外側層布帛を含む、外側および内側を有する衣類に関し、前記通気性の積層体は、ナノウェブと対向する関係で位置する微多孔膜を含む。
【発明を実施するための形態】
【0007】
層の位置を表すのに用いられる際の「外側」という用語は、衣類の、着用者と反対側の面を指す。「内側」という用語は、衣類の使用者に面する側を指す。
【0008】
「ナノ繊維層」および「ナノウェブ」という用語は、本明細書において同義的に用いられる。ナノウェブは、ナノ繊維を含む不織布である。
【0009】
本明細書で用いられる際の「ナノ繊維」という用語は、約1000nm未満、さらには約800nm未満、さらには約50nm〜500nm、さらには約100〜400nmの数平均直径または断面を有する繊維を指す。本明細書で用いられる際の直径という用語は、非円形の最大断面を含む。
【0010】
「衣類」とは、使用者の身体の一部の領域を覆い、または風雨または身体の外側の環境における他の要因から保護するために、使用者によって着用される任意の物品を意味する。例えば、コート、ジャケット、パンツ、帽子、手袋、靴、靴下、およびシャツは全て、この定義での衣類とみなされる。
【0011】
「不織布」という用語は、複数のランダムに分布した繊維を含むウェブを意味する。繊維は、一般に、互いに結合されていてもまたは結合されていなくてもよい。繊維は、短繊維または長繊維であり得る。繊維は、単一の材料、あるいは異なる繊維の組合せとしてかまたは異なる材料からそれぞれ構成される類似の繊維の組合せとして複数の材料を含み得る。
【0012】
「圧延」は、ウェブを2つのロール間のニップに通すプロセスである。これらのロールは互いに接触していてもよく、またはロール表面間に固定された間隙または可変の間隙があってもよい。「型押されていない」ロールは、それらを製造するのに用いられるプロセスの能力の範囲内で平滑な表面を有するロールである。点結合ロールとは異なり、ウェブをニップに通すにつれてウェブ上に意図的にパターンを形成するための点またはパターンは存在しない。
【0013】
本発明の衣類は、微多孔膜と共に1つ以上のナノ繊維層のナノ繊維ウェブから作製される複合ウェブを含む。この組合せは、ナノ繊維ウェブを膜に接着積層することによって、またはナノウェブ紡糸プロセス中に膜に直接ナノ繊維層を形成して、膜/ナノ繊維層構造を形成することによって作製することができる。また、ナノ繊維層は、機械的交絡によって膜に接着させることもできる。膜の例としては、延伸された、充填ポリマーおよび発泡ポリテトラフルオロエチレン(ePTFE)などの様々な微多孔フィルムが挙げられ、これらは、ナノ繊維層を基材に加えることができる限り、限定されずに使用することができる。
【0014】
紡糸されたままの不織ウェブは、電界紡糸、例えば従来の電界紡糸または電気ブロー加工、および場合によってはメルトブロー加工プロセスによって製造されるナノ繊維を主に含むかまたはそれだけを含む。従来の電界紡糸は、全体が参照により本明細書に援用される米国特許第4,127,706号明細書に示されている技術であり、溶液中のポリマーに高い電圧をかけて、ナノ繊維および不織マットを生成する。しかしながら、電界紡糸プロセスの総処理量が低すぎて、より重い坪量のウェブを形成する際に商業的に存立できない。
【0015】
「電気ブロー加工」プロセスは、全体が参照により本明細書に援用される国際特許公報、国際公開第03/080905号パンフレットに開示されている。ポリマーおよび溶媒を含むポリマー溶液流れを、貯蔵タンクから紡糸口金内の一連の紡糸ノズルへと供給する。紡糸口金には高い電圧がかけられ、また、そこからポリマー溶液が放出される。一方、加熱されていてもよい圧縮空気が、紡糸ノズルの側面または周囲に配置された空気ノズルから出される。この空気は、吹込みガス流としてほぼ下方向に向けられ、新たに出されたポリマー溶液を覆って送出し、繊維ウェブの形成に役立つ。繊維ウェブは、真空チャンバーの上方の接地された多孔質の収集ベルト上に集められる。電気ブロー加工プロセスにより、比較的短い期間で、約1gsmを超える、さらには約40gsm以上もの坪量での、商業的な規模および量のナノウェブの形成が可能になる。
【0016】
基材またはスクリムをコレクタに配置し、基材上に紡糸されたナノ繊維ウェブを集めて組み合わせることができる。基材の例としては、メルトブローン不織布、ニードルパンチ不織布またはスパンレース不織布などの様々な不織布、織布、編布、紙などが挙げられ、ナノ繊維層を基材上に追加することができる限り、限定されずに用いることができる。不織布は、スパンボンド繊維、ドライレイド繊維もしくはウェットレイド繊維、セルロース繊維、メルトブローン繊維、ガラス繊維、またはそれらのブレンドを含み得る。
【0017】
本発明のナノウェブを形成するのに用いることができるポリマー材料は、特に限定されないが、これらとしては、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィン、セルロースエーテルおよびエステル、ポリアルキレンスルフィド、ポリアリーレンオキシド、ポリスルホン、変性されたポリスルホンポリマーおよびそれらの混合物などの付加ポリマーおよび縮合ポリマー材料の両方が挙げられる。これらの一般的種類に含まれる好ましい材料としては、ポリ(塩化ビニル)、ポリメチルメタクリレート(および他のアクリル樹脂)、ポリスチレン、およびそれらのコポリマー(ABA型ブロックコポリマーを含む)、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニリデン)、架橋および非架橋形態にある様々な加水分解度(87%〜99.5%)のポリビニルアルコールが挙げられる。好ましい付加ポリマーはガラス質である傾向がある(室温より高いTg)。これは、ポリ塩化ビニルおよびポリメチルメタクリレート、ポリスチレンポリマー組成物あるいは合金の場合であり、あるいはポリフッ化ビニリデンおよびポリビニルアルコール材料では結晶性が低い場合である。ポリアミド縮合ポリマーの1つの好ましい種類は、ナイロン−6、ナイロン−6,6、ナイロン6,6−6,10などのナイロン材料である。本発明のポリマーナノウェブは、メルトブロー加工によって形成され、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリブチレンなどのポリオレフィン、ポリ(エチレンテレフタレート)などのポリエステル、および上記のナイロンポリマーなどのポリアミドを含む、メルトブロー加工してナノ繊維にすることが可能な任意の熱可塑性ポリマーを用いることができる。
【0018】
繊維ポリマーのTgを低下させるために、当該技術分野において公知の可塑剤を上記の様々なポリマーに添加することが好都合であり得る。好適な可塑剤は、電界紡糸または電気ブロー加工されるポリマー、ならびにナノウェブを組み込むことになる特定の最終用途に応じて決まることになる。例えば、ナイロンポリマーは、水で、または電界紡糸または電気ブロー加工プロセスから残っている残留溶媒でも可塑化され得る。ポリマーTgを低下させるのに有用であり得る他の当該技術分野において公知の可塑剤としては、限定はされないが、脂肪族グリコール、芳香族スルファミド(sulphanomides)、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル(dihexl phthalate)、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジドデカニル、およびフタル酸ジフェニルからなる群から選択されるものを含むがこれらに限定されないフタル酸エステルなどが挙げられる。参照により本明細書に援用される「Handbook of Plasticizers」、George Wypych編、2004 Chemtec Publishingには、本発明に用いることができる他のポリマー/可塑剤の組合せが開示されている。
【0019】
本発明の布帛に所望の物理的特性を与えるために、本発明の紡糸したままのナノウェブは、同時係属中の米国特許出願第11/523,827号明細書(2006年9月20日に出願され、全体が参照により本明細書に援用される)に開示されているように圧延され得る。紡糸したままのナノウェブは、2つの型押されていないロール間のニップ内に供給することができ、この2つのロールのうち、一方のロールは型押されていない軟質のロールであり、一方のロールは型押されていない硬質ロールであり、ナノウェブのナノ繊維がカレンダーニップに通した際に可塑化された状態にあるように、硬質ロールの温度は、Tg(ポリマーがガラス質からゴム状の状態に変化する温度として本明細書で定義される)〜Tom(ポリマーの溶融開始の温度として本明細書で定義される)の間の温度に維持される。ロールの組成および硬度は、布帛の所望の最終用途特性を得るために、様々であり得る。一方のロールはステンレス鋼などの超硬合金であり、他方は軟質金属またはポリマーでコーティングしたロールであり、またはロックウェルB70未満の硬度を有する複合ロールであり得る。2つのロール間のニップにおけるウェブの滞留時間は、ウェブの線速度(好ましくは約1m/分〜約50m/分)によって制御され、2つのロール間のフットプリントは、ウェブが両方のロールと同時に接触して移動するMD距離である。フットプリントは、2つのロール間のニップにかけられる圧力によって制御され、ロールのCDの線寸法当たりの力で一般に測定され、好ましくは約1mm〜約30mmである。
【0020】
さらに、不織ウェブを、任意にナノ繊維ポリマーのTg〜最低Tomの間の温度に加熱しながら、延伸することができる。延伸は、ウェブがカレンダーロールにMDまたはCDのいずれかあるいはその両方で供給される前および/または後のいずれかで行うことができる。
【0021】
ナノウェブは、帯電防止剤をさらに含み得る。例えば、試剤としてポリ−(アルキレンエーテル)−グリコールを縮合混合物または溶融ポリアミド(例えば、米国特許第3,329,557号明細書、同第3,374,288号明細書、および同第3,966,835号明細書;1969年1月9日に発行された独国特許発明第1,286,683号明細書、ベルギー特許第631,199号明細書、スイス特許第456,029号明細書を参照。これらは全て、全体が参照により本明細書に援用される)のいずれかに加えることによって、繊維またはフィラメントなどの帯電防止ポリアミドベースの成形品が得られることが知られている。従来の帯電防止製品は、帯電防止剤としてカーボンブラックのような導電性充填剤、導電性金属繊維、金属粉末、または白土粉末(china powder)を加えて、その効果的な帯電防止特性を高めることによって作製される。上記の製品は、低コストであり、かつ高い導電性を有するという利点を有し、また、本発明に使用するのにも適している。
【0022】
変性された帯電防止高分子量繊維および織物の別の製造方法が、米国特許第5,364,582号明細書に開示されており、ここで、0.8〜約2.5重量%の低分子量アミノ−オレフィンが帯電防止剤として加えられて、帯電防止特性、耐紫外線性、染色能力および染料の取込み特性(uptake properties)が高められる。当業者は、本発明に使用可能な他の帯電防止剤を認識するであろう。
【0023】
ナノウェブを化合物でさらに処理して、その表面を疎油性または疎水性にすることができる。当業者は、適切な化合物を知っているであろう。このような処理の例は、全体が本明細書に援用される、本発明と同一の譲受人に譲渡された米国特許第出願第11/592,644号明細書(2006年11月3日に出願)に記載のようなZonylフッ素化界面活性剤(DuPont(Wilmington,DE))である。
【0024】
ナノウェブは、微多孔膜に隣接し、微多孔膜に結合されていてもよい。この膜は、発泡PTFE(ePTFE)であってもよく、または当業者に公知の任意の他の種類の微多孔膜であってもよい。本発明に用いられる膜において、ePTFEは、焼結されてもまたは焼結されなくてもよい。
【0025】
ePTFE膜は、いくつかの異なる公知のプロセスによって作製され得るが、米国特許第4,187,390号明細書;同第4,110,239号明細書;および同第3,953,566号明細書(これらは全て参照により本明細書に援用される)に記載されているように、ポリテトラフルオロエチレンを発泡させてePTFEを得ることによって作製されるのが好ましい。「多孔質」とは、膜が、20mmの水量ゲージにおいて少なくとも0.05m3/分/m2(m/分)の透気率を有することを意味する。20mmの水量において200m/分またはそれ以上の透気率を有する膜を使用することができる。孔は、ePTFEの節点(nodes)とフィブリルとの間に形成される細孔である。
【0026】
同様に、米国特許第5,234,751号明細書、同第5,217,666号明細書、同第5,098,625号明細書、同第5,225,131号明細書、同第5,167,890号明細書、同第4,104,394号明細書、同第5,234,739号明細書、同第4,596,837号明細書、特開平10−78823号公報および特開平3−221541号公報のいずれかに記載の膜を使用することができ、その際、発泡されていない、押し出されたかまたは成形されたPTFEを加熱してその物品を焼結または半焼結させる。次に、この焼結または半焼結された物品を延伸して、所望の多孔質および所望の特性を生み出す。
【0027】
特殊な用途では、特殊な用途用のPTFEの特性を改変するためにPTFEに充填材を設けることができる。例えば、セラミックフィルタ(SiO2)および限られた量の微細ガラス繊維をPTFE材料に導入できることが米国特許第4,949,284号明細書から知られており;欧州特許第0−463106B号明細書においては、二酸化チタン、ガラス繊維、カーボンブラック、活性炭などが充填剤として言及されている。
【0028】
高度に充填したポリマー(通常はポリオレフィン)から微多孔フィルムを作製するための技術が公知である。このようなウェブは、本発明の膜として使用するのにも適している。典型的に、ポリオレフィン(通常はポリエチレン)の組合せが、充填剤(通常はCaCO3)と配合され、押し出され、延伸されてフィルムにされて、微多孔フィルムが形成される。
【0029】
本発明のろ過膜として使用するための微多孔フィルムの好適な例としては、米国特許第4,472,328号明細書、同第4,350,655号明細書および同第4,777,073号明細書(これらは全て参照により本明細書に援用される)に記載されるものなどが挙げられる。
【0030】
微多孔膜およびナノウェブは、溶剤結合、接着結合、熱結合、および超音波結合などによって互いに結合されていてもよいが、当業者に公知の任意の結合手段を用いてもよい。好ましい実施形態では、例えば、膜またはナノウェブに被着された接着剤を溶融させるのに十分な温度で高温ロールニップに材料を通すことなどの好適な積層技術を用いて膜をナノウェブに結合させる。ロールの1つは、積層体に結合パターンを形成するために、その表面に隆起したパターンを有し得る。
【0031】
ナノウェブまたは膜を、積層する前に接着剤でコーティングする様々な方法を用いることができる。例えば、まず、ナノウェブの所要の領域を接着剤でコーティングすることができ、次に、ePTFE膜を、コーティングされた布帛の接着剤の側に設置する。伝導熱および十分な圧力を膜の側に加えて、接着剤が膜の細孔に流れ込むようにする。接着剤が架橋可能である場合、接着剤が熱により架橋し、その結果、膜が基材に機械的に結合される。
【0032】
フルオロポリマーおよびフッ素化されていないポリマーの積層体から形成される物品ならびに積層のプロセスの他の例として、米国特許第5,855,977号明細書には、実質的にフッ素化されていない層と、共重合されたモノマー単位を含むフルオロポリマーのフッ素化層とを含む多層物品が開示されている。多層物品は、脂肪族ジアミン、またはポリアミンをさらに含み、脂肪族ジアミン、またはポリアミンは、脂肪族ジアミン、またはポリアミンを含有しない多層物品と比較して向上した層間接着性を提供する。
【0033】
様々な他の方法を用いて、フッ素化ポリマー層とポリアミドとの間の接着性を向上させることができる。例えば、接着剤層を、2つのポリマー層の間に加えることができる。米国特許第5,047,287号明細書には、アミノ基を有するアクリロニトリル−ブタジエンまたはアクリロニトリル−イソプレンゴムを含む接着剤によって少なくとも1つの表面に結合されたフッ素ゴム層を有する基布を含む、自動車用途に使用するのに適したダイアフラムが開示されている。
【0034】
また、場合により、層の一方または両方の表面処理を用いて結合を補助する。中には、例えば、充填された気体雰囲気でフルオロポリマー層を処理(例えば、コロナ処理)した後、第2の材料、例えば、熱可塑性ポリアミドの層を適用することを教示した者がいる。例えば、欧州特許出願公開第0185590号明細書(上野ら)および同第0551094号明細書(Krauseら)ならびに米国特許第4,933,060号明細書(Prohaskaら)および同第5,170,011号明細書(Martucci)。
【0035】
フルオロポリマーと異種層とのブレンドはそれ自体、場合によっては中間層として用いられて、2つの層を互いに結合させるのに役立つ。欧州特許出願公開第0523644号明細書(川島ら)には、ポリアミド樹脂表面層とフッ素樹脂表面層とを有するプラスチック積層体が開示されている。
【0036】
非フルオロポリマー層をフルオロポリマー層に結合する方法の他の例では、米国特許第6,869,682号明細書に、溶融加工可能な実質的にフッ素化されていないポリマーと、支持体(base)と、クラウンエーテルとの混合物の第2の層に結合されたフルオロポリマーの第1の層を含む物品が記載されている。
【0037】
非フルオロポリマー層をフルオロポリマー層に結合する方法のさらに他の例では、米国特許第6,962,754号明細書に、フルオロポリマー層と、その1つの側に直接結合された、少なくとも1種の二酸および特定の組成の少なくとも1種のジアミンを本質的に含むモノマーの縮合から得られるポリアミドの結合樹脂を含む結合層とを含む構造が記載されている。
【0038】
層を結合させる(例えば、共押出しまたは積層)ための方法の熱および圧力は、層間の十分な接着をもたらすのに十分なものであり得る。しかし、得られる多層物品を、例えばさらなる熱、圧力、またはその両方でさらに処理して、層間にさらなる接着結合強度を与えるのが望ましいことがある。多層物品を押出しによって作製するときにさらに熱を供給する1つの方法は、共押出しの後に積層体が冷えるのを遅らせることによるものである。あるいは、単にいくつかの成分を処理するのに必要な温度より高い温度で層を積層または共押出しすることによって、さらなる熱エネルギーを多層物品に加えてもよい。あるいは、別の代替例として、完成された積層体を、長期間にわたって高温に保ってもよい。例えば完成された多層物品を、炉または加熱された液体浴などの、物品の温度を上昇させるための別の手段の中に入れてもよい。また、これらの方法の組合せを用いてもよい。
【0039】
ナノウェブおよび膜の積層体は、衣類において、外側布帛層および任意選択の内側布帛層に隣接して配置される。多種多様な天然および合成の布帛が公知であり、例えば、スポーツウェア、丈夫な上着(rugged outerwear)およびアウトドアウェア、保護衣などの衣類(例えば、手袋、エプロン、革ズボン、パンツ、ブーツ、スパッツ(gators)、シャツ、ジャケット、コート、靴下、靴、下着、チョッキ、防水長靴、帽子、長手袋、寝袋、テントなど)を構成するための、本発明の1つまたは複数の布帛層として用いられてもよい。通常、丈夫な上着として使用するためにデザインされた衣類は、比較的低い強度または靭性を有する天然および/または合成繊維(例えば、ナイロン、綿、ポリエステル、ポリアクリル、ポリプロピレンなど)から作製された比較的緩く折られた布帛から構成されており、各繊維は、約8グラム/デニール(gpd)未満、より典型的には約5gpd未満、および場合によっては約3gpd未満の引張り強さまたは靭性を有する。このような材料は、例えば、可染性、通気性、軽さ、心地良さ、および場合によっては、耐磨耗性といった様々な有益な特性を有し得る。
【0040】
異なる織物構造および異なる織物密度を用いて、本発明の構成要素としていくつかの他の複合織布が得られる。平織構造、強化された平織構造(2つのまたは多数のたて糸および/またはよこ糸を有する)、綾織構造、強化された綾織構造(2つのまたは多数のたて糸および/またはよこ糸を有する)、繻子織構造、強化された繻子織構造(2つのまたは多数のたて糸および/またはよこ糸を有する)などの織物構造を使用してもよい。ストレッチ織布、リップストップ、ドビー織り、およびジャカード織りも、本発明に用いるのに適している。
【0041】
あるいは、不織布は、外側布帛層および任意選択の内側布帛層として用いられ得る。不織布の例としては、スパンボンドウェブ、メルトブローンウェブ、多方向の多層梳毛ウェブ、エアレイドウェブ、ウェットレイドウェブ、スパンレースウェブおよび2種以上の不織布シートを含む複合ウェブが挙げられる。好適なスパンボンドウェブは、ポリオレフィン繊維、特にポリエチレンまたはポリプロピレンを含む。ポリオレフィン繊維は、少量の他のコモノマー単位を含んでいてもよい。本明細書で用いられる際の「スパンボンドウェブ」という用語は、押し出され、延伸され、連続した収集面上に堆積されたフィラメントで形成された不織ウェブを意味する。点結合もしくはパターン結合、圧延すなわち高い圧力で飽和蒸気室に不織布を通すことを含むいくつかの方法のいずれかによって結合を行うことができる。好適なスパンボンドポリオレフィンシート材料の一例は、E.I.du Pont de Nemours and CompanyからTyvek(登録商標)という商品名で入手可能なフラッシュ紡糸されたポリエチレンである。
【0042】
ナノウェブ/膜積層体は、その表面の一部にわたって布帛層に結合され、例えば、接着結合、熱結合、超音波音場を用いて、縫合または溶剤結合によるなどの当業者に公知の任意の手段によって布帛層に結合され得る。
【0043】
1種以上の接着剤を場合により用いて、ナノウェブおよび微多孔膜または積層体を内側の布帛または外側の布帛に結合してもよい。1種の好適な接着剤は熱可塑性樹脂接着剤であり、多数回の加熱および冷却サイクルにわたって、加熱すると軟化し、次に冷却すると硬化し得る。このような熱可塑性樹脂接着剤の例は、「ホットメルト」接着剤であり得る。一実施形態では、ナノウェブは、ポリウレタンなどのポリマー接着剤の溶液を用い、溶媒を蒸発させて接着結合される。さらなる実施形態では、ナノウェブが、布帛上に直接電界紡糸される場合、ナノウェブを紡糸する溶剤を用いて溶剤結合を行う。
【0044】
多孔質のePTFE膜を内側の布帛層または外側の布帛層に積層するのに用いられる接着剤はまた、ブタジエンアクリロニトリルコポリマー、アクリル酸エステルをベースとするコポリマー、乳化重合によって生成される塩化ビニルおよび塩化ビニリデンポリマーおよびコポリマー、スチレン−ブタジエンコポリマー、ならびにブタジエン、スチレン、およびビニルピリジンのターポリマーのアニオン性水性分散体を含めた、様々なフルオロケミカル分散体または合成ラテックスのうちの1種であり得る。
【0045】
本発明の一実施形態では、スペーサスクリムが、膜と外側布帛層との間に挿入可能であり、膜および外側布帛層のいずれかまたは両方に結合されていてもよい。「スクリム」は支持層であり、ナノウェブを結合、接着、または積層できる任意の平面構造であり得る。好都合には、本発明に有用なスクリム層は、スパンボンド不織布層であるが、不織繊維などの梳毛ウェブから作製可能である。
【実施例】
【0046】
本明細書に記載される実施例では、布帛の空気流透過性をフレージャ測定(ASTM D737)を用いて測定した。この測定において、124.5N/m2(0.5水柱インチ)の圧力差を好適に固定された布帛試料にかけて、得られた空気流量をフレージャ透気率またはより簡潔に「フレージャ」として測定し、m3/m2−分の単位で記録する。
【0047】
繊維直径を以下のように求めた。ナノ繊維層試料ごとに、倍率5,000倍の走査型電子顕微鏡(SEM)画像を10枚撮った。11の明らかに区別されるナノ繊維の直径を、写真から測定して記録した。欠陥(すなわち、ナノ繊維の塊、ポリマー液滴、ナノ繊維の交差)は含まれていなかった。各試料の平均繊維直径を計算した。
【0048】
例えば、ギ酸中のポリアミド−6,6の24%溶液を、ナノウェブから国際公開第03/080905号パンフレットに記載のように電気ブロー加工によって紡糸した。数平均繊維直径は約400nmであった。ナイロンと鋼製のロールとの間でナノウェブの圧延を行った。
【0049】
表1は、厚さ25ミクロンのePTFE膜を有するナノウェブの4つの積層体を示す。ナノウェブを、積層する前に任意に圧延した。
【0050】
表1

【0051】
結合のために、溶剤型接着剤(Brookwood Companies Incorporated(Wauregan,CT))を、グラビアコーティングロールを介してePTFEに塗布し、ナノウェブをePTFE/接着剤の組合せに塗布し、次に、その複合体を、21フィート/分の線速度でニップおよび乾燥機に通した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通気性の積層体および外側層布帛を含む、外側および内側を有する衣類であって、前記通気性の積層体がナノウェブと対向する関係で位置する微多孔膜を含む衣類。
【請求項2】
前記膜が前記外側層布帛に面する請求項1に記載の衣類。
【請求項3】
前記膜が衣類の内側に面する請求項1に記載の衣類。
【請求項4】
内側層布帛をさらに含む請求項1に記載の衣類。
【請求項5】
前記積層体が前記内側層布帛に結合される請求項4に記載の衣類。
【請求項6】
前記膜が、ePTFEおよび微多孔フィルムからなる群から選択される請求項1に記載の衣類。
【請求項7】
前記膜が、溶剤結合、接着結合、熱結合、超音波結合およびそれらの組合せからなる群から選択される手段によって前記ナノウェブに結合される請求項1に記載の衣類。
【請求項8】
前記積層体が、縫合、接着結合、熱結合、超音波結合およびそれらの組合せからなる群から選択される手段によって前記外側層布帛に結合される請求項2に記載の衣類。
【請求項9】
前記積層体が、縫合、接着結合、熱結合、超音波結合およびそれらの組合せからなる群から選択される手段によって前記内側層布帛に結合される請求項5に記載の衣類。
【請求項10】
前記外側層布帛が、ナイロン、綿、ポリエステル、ポリアクリル、ポリプロピレン、およびそれらの組合せからなる群から選択される織物材料を含む請求項1に記載の衣類。
【請求項11】
前記内側層布帛が、ナイロン、綿、ポリエステル、ポリアクリル、ポリプロピレン、およびそれらの組合せからなる群から選択される織物材料を含む請求項1に記載の衣類。
【請求項12】
前記積層体および前記布帛層が、その表面の一部にわたって互いに結合される請求項1、5、8または9のいずれか一項に記載の衣類。
【請求項13】
前記膜が、ポリウレタン接着剤で前記外側層布帛に結合されたePTFEである請求項6に記載の衣類。
【請求項14】
前記ナノウェブが、ポリアセタール、ポリアミド、ポリエステル、セルロースエーテル、セルロースエステル、ポリアルキレンスルフィド、ポリアリーレンオキシド、ポリスルホン、変性されたポリスルホンポリマーおよびそれらの混合物からなる群から選択されるポリマーのナノ繊維を含む請求項1に記載の衣類。
【請求項15】
前記ナノウェブが、ポリ(塩化ビニル)、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、およびそれらのコポリマー、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリ(塩化ビニリデン)、架橋形態および非架橋形態のポリビニルアルコールからなる群から選択されるポリマーのナノ繊維を含む請求項1に記載の衣類。
【請求項16】
前記ナノ繊維層が、ナイロン−6、ナイロン−6,6、およびナイロン6,6−6,10からなる群から選択されるポリアミドナノ繊維を含む請求項14に記載の衣類。
【請求項17】
前記ナノウェブが圧延される請求項1に記載の衣類。
【請求項18】
前記ナノウェブが疎油性または疎水性のいずれかである請求項1に記載の衣類。
【請求項19】
前記微多孔膜と前記外側布帛層との間に結合されたスペーサスクリムをさらに含む請求項1に記載の衣類。
【請求項20】
前記ナノウェブが帯電防止剤をさらに含む請求項1に記載の衣類。
【請求項21】
前記外側層布帛が不織布である請求項1に記載の衣類。

【公表番号】特表2011−503385(P2011−503385A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−534155(P2010−534155)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際出願番号】PCT/US2008/083334
【国際公開番号】WO2009/064841
【国際公開日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】