説明

通知装置、通知方法及びコンピュータプログラム

【課題】電子棚札の設置環境に関する情報を管理者が容易に取得できる技術を提供すること。
【解決手段】照度センサを備えた複数の電子棚札から照度の測定結果を表す照度情報を受信し、前記照度情報に基づいて管理者に通知をする通知装置であって、前記照度情報に基づいて、前記電子棚札の設置環境を判定し、判定結果を前記管理者に通知する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子棚札の設置環境について判定し通知するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電子棚札は、デパートやコンビニエンスストア等の様々な場所で活用されている。その表示内容は、電子棚札を集中して管理する管理装置から、中継機を介して無線で各電子棚札に伝送されている。赤外線通信が用いられた場合は、電子棚札と中継機との間に遮蔽物が存在した場合などに正常な無線通信が行われず、電子棚札に表示内容が正しく表示されない等の問題を生じていた。このような問題に対し、中継機の設置位置などを工夫することによって、電子棚札と中継機との間の通信環境を向上させる技術が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−148074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電子棚札と中継機との間の通信環境が向上すると、電子棚札の設置環境に問題が生じている場合にも正常に無線通信が行われるため、システムの管理者が問題に気付かないことがあった。例えば、本来設置されているべき場所から電子棚札が外れて床に落ちている場合や、電子棚札の表示面に障害物が覆い被さっている場合などには、買い物を行っている者が電子棚札の表示面を見ることができない。そのため、システムの管理者はそのような電子棚札の設置環境の問題を発見し対処しなければならない。しかしながら、従来は設置環境に問題が生じた場合には無線通信にも障害が生じることが多かったため、管理者は無線通信の障害に伴って設置環境の問題を容易に発見できたが、通信環境の向上により設置環境の問題の発見が困難となった。
【0005】
上記事情に鑑み、本発明は、電子棚札の設置環境に関する情報を管理者が容易に取得できる技術を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、照度センサを備えた複数の電子棚札から照度の測定結果を表す照度情報を受信し、前記照度情報に基づいて管理者に通知をする通知装置であって、前記照度情報に基づいて、前記電子棚札の設置環境を判定する判定部と、前記判定部による判定結果を前記管理者に通知する通知部と、を備える。
【0007】
本発明の一態様は、上記の通知装置であって、前記判定部は、閾値よりも暗い照度情報を送信した電子棚札について、設置環境に異常が生じていると判定する。
【0008】
本発明の一態様は、上記の通知装置であって、前記判定部は、照度情報の時間変化に基づいて、前記電子棚札の設置環境を判定する。
【0009】
本発明の一態様は、上記の通知装置であって、前記判定部は、前記閾値よりも暗い状態が所定時間以上継続している電子棚札について、設置環境に異常が生じていると判定する。
【0010】
本発明の一態様は、上記の通知装置であって、前記複数の電子棚札が設置された空間の照明が点灯しているか否か判定する照明点灯判定部をさらに備え、前記判定部は、前記照明点灯判定部によって照明が点灯していると判定されている場合に、前記閾値よりも暗い照度情報を送信した電子棚札について、設置環境に異常が生じていると判定する。
【0011】
本発明の一態様は、照度センサを備えた複数の電子棚札から照度の測定結果を表す照度情報を受信し、前記照度情報に基づいて管理者に通知をする通知装置が行う通知方法であって、前記通知装置が、前記照度情報に基づいて、前記電子棚札の設置環境を判定する判定ステップと、前記通知装置が、前記判定部による判定結果を前記管理者に通知する通知ステップと、を有する。
【0012】
本発明の一態様は、照度センサを備えた複数の電子棚札から照度の測定結果を表す照度情報を受信し、前記照度情報に基づいて管理者に通知をする通知装置としてコンピュータを動作させるためのコンピュータプログラムであって、前記照度情報に基づいて、前記電子棚札の設置環境を判定する判定ステップと、前記判定部による判定結果を前記管理者に通知する通知ステップと、を前記コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、電子棚札の設置環境に関する情報を管理者が容易に取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】電子棚札システムのシステム構成を表すシステム構成図である。
【図2】電子棚札の外観を表す図である。
【図3】電子棚札の構成を表す機能ブロック図である。
【図4】閾値テーブルの具体例を表す図である。
【図5】電子棚札管理装置の構成を表す機能ブロック図である。
【図6】商品テーブルの具体例を表す図である。
【図7】判定部が判定する明暗パターンの具体例を表す図である。
【図8】電子棚札管理装置の動作の一例を表すフローチャートである。
【図9】変形された商品テーブルの具体例を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、電子棚札システム1のシステム構成を表すシステム構成図である。まず、電子棚札システム1の特徴について説明する。電子棚札システム1では、照度センサ32を備えた複数の電子棚札30が設置され、各電子棚札30は照度センサ32による照度の測定結果を表す情報(以下、「照度情報」という。)を電子棚札管理装置10へ送信する。電子棚札管理装置10は、照度情報に基づいて電子棚札30の設置環境を判定し、管理者に判定結果を通知する。設置環境の判定結果は、例えば設置環境に異常が生じていることや、設置された位置の付近における人の動作や、設置された位置の付近の照明の状態などである。設置環境に生じている異常の具体例としては、電子棚札30が商品棚から外れて商品棚の下や裏などに落ちている状態や、電子棚札30の表示部31が遮蔽されている状態や、表示部31が遮蔽されることが多い状態などがある。人の動作の具体例としては、電子棚札30の前に人が一定時間立ち止まったことや、電子棚札30の前を多くの人が通っていることなどがある。照明の状態の具体例としては、点灯しているべき照明が消灯している状態や、消灯しているべき照明が点灯している状態などがある。
【0016】
次に、電子棚札システム1のシステム構成の概略について説明する。電子棚札システム1は、電子棚札管理装置10、複数台の中継機20、複数台の電子棚札30を備える。電子棚札管理装置10と各中継機20とは、LAN(Local Area Network)等の有線ネットワークで接続されている。各中継機20の通信範囲には1台以上の電子棚札30が設置され、各中継機20は電子棚札30と無線で通信する。
電子棚札管理装置10は、中継機20を介して電子棚札30と通信を行い、各電子棚札30の表示内容を制御する。中継機20は、電子棚札管理装置10と電子棚札30との通信を中継する。電子棚札30は、商品などが陳列された棚に設置され、陳列されている商品などの名称や価格などを表示する。
【0017】
図2は、電子棚札30の外観を表す図である。次に、電子棚札30について詳細に説明する。電子棚札30は、その表面に表示部31、照度センサ32を備える。表示部31には、電子棚札管理装置10から送信される表示データが表示される。表示データには、商品の名称、価格、商品の重さ等の情報が含まれる。照度センサ32は、電子棚札30の周囲の照度を計測する。望ましくは、照度センサ32は表示部31と同一の面又は略並行した面に設けられる。更に望ましくは、照度センサ32は表示部31の近傍に設けられる。
【0018】
次に、電子棚札30について詳細に説明する。図3は、電子棚札30の構成を表す機能ブロック図である。電子棚札30は、バスで接続されたCPU(Central Processing Unit)やメモリや補助記憶装置などを備え、電子棚札プログラムを実行する。電子棚札30は、表示部31、照度センサ32、通信部33、計時部34、電源部35、記憶部36、制御部37を備える装置として機能する。なお、電子棚札30の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。電子棚札プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置である。
【0019】
表示部31及び照度センサ32は、上述した通りでありここでの説明を省略する。
通信部33は、無線通信を行う装置であり、中継機20を介して電子棚札管理装置10との間で通信を行う。通信部33は、制御部37から入力された信号に対して符号化処理及び変調処理を行い、中継機20を介して電子棚札管理装置10へ信号を送信する。通信部33が送信する信号の具体例としては照度情報がある。また、通信部33は、中継機20を介して電子棚札管理装置10から信号を受信すると、受信した信号に対し復調処理及び復号化処理を行い、復号化された信号を制御部37へ出力する。通信部33が受信する信号の具体例としては表示データがある。
【0020】
計時部34は、定期的にクロック信号を制御部37へ出力する。
電源部35は、電子棚札30の各機能に対し電力を供給する。
記憶部36は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成され、閾値テーブルを記憶する。閾値テーブルは、明暗閾値を有する。明暗閾値とは、制御部37が照度センサ32の測定結果に基づいて電子棚札30の設置環境の明るさの程度を判断するための閾値である。閾値テーブルは複数の明暗閾値を有しても良い。
【0021】
制御部37は、電子棚札30の動作を制御する。例えば、通信部33が電子棚札管理装置10から表示データを受信した場合は、制御部37は受信された表示データを表示部31に表示させる。また、制御部37は、照度センサ32の測定結果と、記憶部36に記憶される閾値テーブルとに基づいて、その時点における自装置(電子棚札30)の設置環境の明るさの程度を判断する。閾値テーブルが有する明暗閾値が一つの場合、制御部37は自装置の設置環境の明るさの程度について、「明るい状態(明状態)」か「暗い状態(暗状態)」のどちらかであると判断する。閾値テーブルが有する明暗閾値が複数の場合、制御部37は自装置の設置環境の明るさの程度を複数の段階で判断する。制御部37は、自装置の設置環境の明るさの程度についての判断結果を照度情報として、通信部33を介して電子棚札管理装置10へ送信する。制御部37が照度情報を送信するタイミングは、例えば10秒毎、1分毎、数分毎、のように定期的なタイミングとして設定されても良いし、判断結果が変化する度として設定されても良いし、他のタイミングとして設定されても良い。
【0022】
図4は、閾値テーブルの具体例を表す図である。図4の場合、閾値テーブルは、第一明暗閾値及び第二明暗閾値を有する。第一明暗閾値は150ルクスであり、第二明暗閾値は300ルクスである。制御部37は、照度センサ32の測定結果が第一明暗閾値(150ルクス)未満である場合には、自装置の設置環境の明るさの程度を「暗い」と判断する。以下、このような判断結果が得られる状態を「暗状態」という。制御部37は、照度センサ32の測定結果が第一明暗閾値(150ルクス)以上且つ第二明暗閾値(300ルクス)未満である場合には、自装置の設置環境の明るさの程度を「少し暗い」と判断する。以下、このような判断結果が得られる状態を「中状態」という。制御部37は、照度センサ32の測定結果が第二明暗閾値(300ルクス)以上である場合には、自装置の設置環境の明るさの程度を「明るい」と判断する。以下、このような判断結果が得られる状態を「明状態」という。なお、閾値テーブルが有する明暗閾値が一つの場合は、上述したように「明状態」及び「暗状態」のいずれかに判断される。
【0023】
次に、電子棚札管理装置10について詳細に説明する。図5は、電子棚札管理装置10の構成を表す機能ブロック図である。電子棚札管理装置10は、バスで接続されたCPUやメモリや補助記憶装置などを備え、電子棚札管理プログラムを実行する。電子棚札管理装置10は、通信部11、記憶部12、制御部13、照明点灯判定部14、判定部15、通知部16を備える装置として機能する。なお、電子棚札管理装置10の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されても良い。電子棚札管理プログラムは、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。
【0024】
通信部11は、無線通信を行う装置であり、中継機20を介して電子棚札30との間で通信を行う。通信部11は、制御部13から入力された信号に対して符号化処理及び変調処理を行い、中継機20を介して電子棚札30へ信号を送信する。通信部11が送信する信号の具体例としては表示データがある。また、通信部11は、中継機20を介して電子棚札30から信号を受信すると、受信した信号に対し復調処理及び復号化処理を行い、復号化された信号を制御部13へ出力する。通信部11が受信する信号の具体例としては照度情報がある。
【0025】
記憶部12は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置などの記憶装置を用いて構成され、商品テーブル、営業時間判断閾値、複数の表示データを記憶する。
商品テーブルは、各電子棚札30が設置された棚に陳列されている商品に関する情報を有する。図6は、商品テーブルの具体例を表す図である。商品テーブルは、各電子棚札IDに対応付けて、商品コードや商品名などの情報を有する。電子棚札IDは、各電子棚札30に重複せずに付与された識別情報である。商品コードは、各商品に重複せずに付与された識別情報である。
【0026】
営業時間判断閾値は、電子棚札30の設置場所が営業時間内であるか否かを判断するための閾値であり、電子棚札30の台数に関する値である。営業時間判断閾値は、例えば、全電子棚札30に対して明状態となっている電子棚札30が占める台数の割合であっても良い。営業時間判断閾値は、例えば、明状態となっている電子棚札30の台数であっても良い。
【0027】
制御部13は、電子棚札管理装置10を制御する。例えば、制御部13は、商品テーブルに基づいて電子棚札30に関連する商品コードを判定し、商品コードに対応付けられた表示データを電子棚札30に送信する。この処理の後、電子棚札30は表示データを受信し、受信した表示データを表示部31に表示する。また、制御部13は、各電子棚札30の設置環境に関する通知を行うための処理を制御する。
【0028】
照明点灯判定部14は、電子棚札30の設置場所が営業時間内であるか否か判断する。照明点灯判定部14はどのような基準に基づいて判断を行っても良い。例えば、照明点灯判定部14は、通信部11によって受信された各電子棚札30の照度情報に基づいて、明状態となっている電子棚札30の台数に関する値を取得する。そして、照明点灯判定部14は、取得した値と、記憶部12に記憶されている営業時間判断閾値とに基づいて、電子棚札30の設置場所が営業時間内であるか否か判断する。
【0029】
営業時間判断閾値が、全電子棚札30に対して明状態となっている電子棚札30が占める台数の割合である場合は、照明点灯判定部14は以下のように判断する。照明点灯判定部14は、通信部11によって各電子棚札30から受信された照度情報に基づいて、全電子棚札30に対して明状態となっている電子棚札30が占める台数の割合を算出する。そして、照明点灯判定部14は、算出された値が営業時間判断閾値以上である場合には、営業時間内であると判断する。一方、照明点灯判定部14は、算出された値が営業時間判断閾値未満である場合には、営業時間外であると判断する。
【0030】
営業時間判断閾値が、明状態となっている電子棚札30の台数である場合は、照明点灯判定部14は以下のように判断する。照明点灯判定部14は、通信部11によって各電子棚札30から受信された照度情報に基づいて、明状態となっている電子棚札30の台数を取得する。そして、照明点灯判定部14は、取得された値が営業時間判断閾値以上である場合には、営業時間内であると判断する。一方、照明点灯判定部14は、算出された値が営業時間判断閾値未満である場合には、営業時間外であると判断する。
【0031】
判定部15は、電子棚札30から受信された照度情報に基づいて、その電子棚札30の設置環境を判定する。例えば、判定部15は、電子棚札30の照度情報が暗状態を表す場合には、その電子棚札30の設置環境に異常が生じていると判定しても良い。また、判定部15は、照明点灯判定部14が営業時間内であると判断し、且つ、電子棚札30の照度情報が暗状態を表す場合に、その電子棚札30の設置環境に異常が生じていると判定しても良い。また、判定部15は、照明点灯判定部14が営業時間外であると判断し、且つ、電子棚札30の照度情報が明状態を表す場合に、その電子棚札30の設置された位置の付近の照明に異常が生じていると判定しても良い。
【0032】
また、判定部15は、照度情報の時間変化に基づいて電子棚札30の設置環境を判定しても良い。以下、照度情報の時間変化に基づいた判定部15の判定処理について説明する。図7は、判定部15が判定する明暗パターンの具体例を表す図である。図7A〜図7Fは、それぞれ第一明暗パターン〜第六明暗パターンを表す。各明暗パターンは、照度情報の時間変化を表す。第一明暗パターン(図7A)は、暗状態が所定時間以上継続している状態を表す。第二明暗パターン(図7B)は、中状態が所定時間以上継続している状態を表す。第三明暗パターン(図7C)は、暗状態である時間が所定時間以上占めており、一時的に明状態になる状態を表す。第四明暗パターン(図7D)は、明状態である時間が所定時間以上占めており、一時的に暗状態になる状態を表す。第五明暗パターン(図7E)は、明状態と暗状態とが周期的に繰り返す状態を表す。第六明暗パターン(図7F)は、明状態が所定時間以上継続している状態を表す。
【0033】
照明点灯判定部14が営業時間内であると判断し、且つ、照度情報の時間変化が第一明暗パターンに該当する場合、判定部15は、電子棚札30の設置環境に異常が生じていると判定する。より具体的には、判定部15は、電子棚札30が商品棚から外れて商品棚の下や裏などに落ちている状態や、表示部31が遮蔽されている状態にあると判定する。
照明点灯判定部14が営業時間内であると判断し、且つ、照度情報の時間変化が第二明暗パターンに該当する場合、判定部15は、電子棚札30の設置された位置の付近の照明に異常が生じていると判定する。より具体的には、判定部15は、電子棚札30が設置された付近の照明が消灯している、故障している、又は光量が不十分であると判定する。
【0034】
照明点灯判定部14が営業時間内であると判断し、且つ、照度情報の時間変化が第三明暗パターンに該当する場合、判定部15は、電子棚札30の設置環境に異常が生じていると判定する。より具体的には、判定部15は、電子棚札30の表示部31が、商品の陰に隠れるなどして遮蔽されることが多い状態にあると判定する。
照明点灯判定部14が営業時間内であると判断し、且つ、照度情報の時間変化が第四明暗パターンに該当する場合、判定部15は、電子棚札30の前に人が一定時間立ち止まったと判定する。
【0035】
照明点灯判定部14が営業時間内であると判断し、且つ、照度情報の時間変化が第五明暗パターンに該当する場合、判定部15は、電子棚札30の前を多くの人が通っていると判定する。
照明点灯判定部14が営業時間外であると判断し、且つ、照度情報の時間変化が第六明暗パターンに該当する場合、判定部15は、電子棚札30の設置された位置の付近の照明に異常が生じていると判定する。より具体的には、判定部15は、電子棚札30が設置された付近の照明が点灯していると判定する。
上述したいずれの条件にも該当しない場合、判定部15は、特に通知すべき事象は生じていないと判定する。
判定部15は、判定対象となった電子棚札30の電子棚札IDと判定結果とを対応付けて制御部13に出力する。
【0036】
通知部16は、判定対象となった電子棚札30の電子棚札IDと判定結果とを対応付けて管理者に通知する。通知部16は、電子棚札IDと判定結果とを管理者に通知可能な構成であればどのように構成されても良い。例えば、通知部16は液晶ディスプレイや有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等の表示装置であり、判定結果を表す文字や画像を表示しても良い。また、通知部16はスピーカー等の音声出力装置であり、判定結果を表す音声を出力しても良い。また、通知部16は発光装置であり、判定結果を表す態様で発光装置を点灯させても良い。また、通知部16は無線通信又は有線通信によって管理者が使用可能な情報処理装置に対して判定結果を送信しても良い。この場合、管理者は、情報処理装置によって表示や音声出力された判定結果を認識することができる。
【0037】
図8は、電子棚札管理装置10の動作の一例を表すフローチャートである。図8は特に、各電子棚札30の設置環境に関する通知を行うための処理に関するフローチャートである。所定のタイミングが到来するまで制御部13は待機する(ステップS101−NO)。なお、制御部13が待機する処理は、各電子棚札30の設置環境に関する通知を行うための処理(照明点灯判定部14、判定部15、通知部16による処理)であり、その他の処理は必要に応じて制御部13によって実行される。
【0038】
所定のタイミングが到来すると(ステップS101−YES)、制御部13は照明点灯判定部14に処理の開始を指示する。照明点灯判定部14は、明状態の電子棚札30の台数と営業時間判断閾値とを比較する(ステップS102)。明状態の電子棚札30の台数が営業時間判断閾値以上である場合(ステップS102−YES)、現在は営業時間内であると照明点灯判定部14が判定する(ステップS103)。一方、明状態の電子棚札30の台数が営業時間判断閾値未満である場合(ステップS102−NO)、現在は営業時間外であると照明点灯判定部14が判定する(ステップS104)。照明点灯判定部14は、判定結果を制御部13に出力する。なお、照明点灯判定部14の処理は、上述したように他の態様で行われても良い。
【0039】
制御部13は、照明点灯判定部14から判定結果を受けると、判定部15に処理の開始を指示する。このとき、制御部13は、照明点灯判定部14の判定結果を判定部15に通知する。判定部15は、全ての電子棚札30について、その照度情報の時間変化が第一明暗パターン〜第六明暗パターンのいずれかに該当するか判定する。判定部15は、明暗パターンに該当する電子棚札30があると判定した場合(ステップS105−YES)、判定結果を制御部13に出力する。制御部13は、判定結果(該当する明暗パターン)を管理者に通知することを通知部16に指示する。通知部16は、判定対象となった電子棚札30の電子棚札IDと判定結果とを管理者に通知する(ステップS106)。その後、ステップS101の処理に戻り、上記の処理が繰り返し実行される。
【0040】
このように構成された電子棚札システム1では、電子棚札30は、照度センサ32の測定結果に基づいた照度情報を電子棚札管理装置10へ送信する。そして、電子棚札管理装置10は、各電子棚札30の設置環境について照度情報に基づいて判定し、判定結果を管理者に通知する。そのため、電子棚札の設置環境に関する情報を管理者が容易に取得することが可能となる。
【0041】
具体的には以下のとおりである。電子棚札30の設置環境に生じている異常が通知されるため、管理者は障害に迅速に対応することができる。また、電子棚札30の設置された位置の付近における人の動作が通知されるため、人の動作に応じた商品の陳列を行うことができる。例えば、人が一定時間立ち止まった電子棚札30の商品は注目度が高いと推測できるため、管理者は、この商品をより多く仕入れすることや、より注目されやすい場所に移して陳列するなどの対応を行うことができる。また、多くの人が通っている位置には、優先的に販売したい商品を陳列することも可能である。また、点灯しているべき照明が消灯している状態や、消灯しているべき照明が点灯している場合などには、管理者は照明の問題に対して迅速に対応することが可能となる。
【0042】
また、照明点灯判定部14が、明状態となっている電子棚札30の台数に基づいて営業時間内であるか否か判断する。そのため、管理者は電子棚札管理装置10に対して事前に開店時間や閉店時間などを設定する必要が無い。また、営業時間が日に応じて異なるような場合には特に顕著な効果を奏する。
【0043】
<変形例>
電子棚札30の設置環境の明るさの程度は、電子棚札30が判断するのではなく、電子棚札管理装置10が判断しても良い。この場合、電子棚札管理装置10及び電子棚札30は以下のように変形して構成される。閾値テーブルは電子棚札30によって記憶されるのではなく、電子棚札管理装置10によって記憶される。電子棚札30の制御部37は、自装置の設置環境の明るさの程度についての判断結果ではなく、照度センサ32の測定結果を電子棚札管理装置10へ送信する。電子棚札管理装置10は、各電子棚札30から測定結果を受信し、測定結果と閾値テーブルとに基づいて、各電子棚札30の設置環境の明るさの程度について判断する。
【0044】
照明点灯判定部14は、明状態となっている電子棚札30の台数にかかわらずに、時間に応じて営業時間内であるか否か判断しても良い。例えば、予め営業時間が設定されていても良い。この場合、照明点灯判定部14は、現在時刻を取得することによって現在が営業時間内であるか否か判断しても良い。この場合、記憶部12は営業時間判断閾値を記憶する必要は無い。
判定部15は、照明点灯判定部14の判定にかかわらずに、第一明暗パターン〜第六明暗パターンのいずれか、又はそれ以外の判定部15が判定可能な全ての明暗パターンに該当するか否かのみに基づいて、電子棚札30の設置環境について判定しても良い。
照明点灯判定部14と、判定部15と、通知部16とは、電子棚札管理装置10とは別の装置(通知装置)に備えられるように構成されても良い。この場合、電子棚札システム1は、既存の技術にしたがって動作する電子棚札管理装置10とは別に、通知装置を備える。
【0045】
第三明暗パターンは、暗状態である時間が所定時間以上占めており、一時的に中状態になる状態を表しても良いし、中状態である時間が所定時間以上占めており、一時的に明状態になる状態を表しても良い。第四明暗パターンは、明状態である時間が所定時間以上占めており、一時的に中状態になる状態を表しても良いし、中状態である時間が所定時間以上占めており、一時的に暗状態になる状態を表しても良い。第五明暗パターンは、明状態と中状態とが周期的に繰り返す状態を表しても良いし、中状態と暗状態とが周期的に繰り返す状態を表しても良い。
【0046】
制御部13は、判定部15の判定対象となった電子棚札30に対応する商品の情報(例えば、設置位置を表す情報や、設置された棚に陳列されている商品名など)を記憶部12から読み出し、通知部16に出力しても良い。この場合、通知部16は、判定結果と共に商品の情報を通知する。このように構成されることによって、管理者は異常が生じている場所などを、商品に基づいてより容易に判断することが可能となる。
【0047】
通知部16は、電子棚札30が設置されている領域を表す識別情報(エリアID)を通知しても良い。この場合、電子棚札管理装置10は以下のように変形して構成される。図9は、変形された商品テーブルの具体例を表す図である。変形された商品テーブルはエリアIDをさらに有する。エリアIDは、各電子棚札30が設置された領域を表す。一つの領域には1台以上の電子棚札30が設置されている。制御部13は、判定部15から各電子棚札30に対する判定結果を受けると、エリア毎に判定結果を集計する。そして、所定の条件を満たした場合にのみ、そのエリアに関する判定結果を通知部16によって管理者に通知する。所定の条件とは、電子棚札30の台数に関する条件である。例えば、そのエリアに属する全電子棚札30に対して、そのエリアで最多数の判定結果となっている電子棚札30が占める台数の割合に関する条件であっても良い。例えば、そのエリアで最多数の判定結果となっている電子棚札30の台数であっても良い。
【0048】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0049】
10…電子棚札管理装置(通知装置), 11…通信部, 12…記憶部, 13…制御部, 14…照明点灯判定部, 15…判定部, 16…通知部, 20…中継機, 30…電子棚札, 31…表示部, 32…照度センサ, 33…通信部, 34…計時部, 35…電源部, 36…記憶部, 37…制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照度センサを備えた複数の電子棚札から照度の測定結果を表す照度情報を受信し、前記照度情報に基づいて管理者に通知をする通知装置であって、
前記照度情報に基づいて、前記電子棚札の設置環境を判定する判定部と、
前記判定部による判定結果を前記管理者に通知する通知部と、
を備える通知装置。
【請求項2】
前記判定部は、閾値よりも暗い照度情報を送信した電子棚札について、設置環境に異常が生じていると判定する請求項1に記載の通知装置。
【請求項3】
前記判定部は、照度情報の時間変化に基づいて、前記電子棚札の設置環境を判定する請求項1又は2に記載の通知装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記閾値よりも暗い状態が所定時間以上継続している電子棚札について、設置環境に異常が生じていると判定する請求項3に記載の通知装置。
【請求項5】
前記複数の電子棚札が設置された空間の照明が点灯しているか否か判定する照明点灯判定部をさらに備え、
前記判定部は、前記照明点灯判定部によって照明が点灯していると判定されている場合に、前記閾値よりも暗い照度情報を送信した電子棚札について、設置環境に異常が生じていると判定する請求項3に記載の通知装置。
【請求項6】
照度センサを備えた複数の電子棚札から照度の測定結果を表す照度情報を受信し、前記照度情報に基づいて管理者に通知をする通知装置が行う通知方法であって、
前記通知装置が、前記照度情報に基づいて、前記電子棚札の設置環境を判定する判定ステップと、
前記通知装置が、前記判定部による判定結果を前記管理者に通知する通知ステップと、
を有する通知方法。
【請求項7】
照度センサを備えた複数の電子棚札から照度の測定結果を表す照度情報を受信し、前記照度情報に基づいて管理者に通知をする通知装置としてコンピュータを動作させるためのコンピュータプログラムであって、
前記照度情報に基づいて、前記電子棚札の設置環境を判定する判定ステップと、
前記判定部による判定結果を前記管理者に通知する通知ステップと、
を前記コンピュータに実行させるためのコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−164077(P2012−164077A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−23119(P2011−23119)
【出願日】平成23年2月4日(2011.2.4)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】