説明

造雪促進の方法とその装置

【課題】 外気温度が−3℃から+5℃以内の範囲内で、霧状水噴射式スノーマシンで造雪するにおいて、氷雪を容易に生成することを可能として造雪促進する方法、ならびにその装置を提供する。
【解決手段】 スノーマシンから噴射している噴霧流に対して絶対湿度0.1g/m3以下の低湿で−20℃以下の低温の圧縮空気を噴霧水に噴射して雪氷結晶への変化させる造雪を行う方法で、その空気は空気圧縮機で圧縮した後、水分吸着剤を使用した除湿装置で除湿した後、冷凍機で低温とし、空気膨張弁から噴射させてスノーマシンから出る噴霧流に接触させる造雪促進装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は外気温が0℃以下の場合だけでなく+5℃までの気温下においても、氷結晶を含む雪成分をスノーマシン噴霧水から生成して造雪する方法、ならびに造雪促進装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来スキー場では自然条件において十分な降雪が得られない時はスノーマシンによって人工的に雪を生成し雪面の生成を行なっている。スノーマシンは約−3℃以下の大気中に冷却した水と圧縮空気を混合してノズルから吹出させて地表に落下する前に雪を生成させるものであり、スノーマシンの微細水滴は自然の寒冷大気による蒸発熱にて短時間に大量の雪を生成することが可能である。
【0003】
しかし外気温度が−3℃から0℃の間では結晶化する速度が遅く造雪は困難である。(特許文献2参照)液体窒素を使用して雪結晶を作るアイデアがあるがコストが甚大であり実用化されていない。その他雪面の維持方法や乾燥空気の使用による方法があるが(特許文献1、3、5、6、参照)これらでは密閉空間に対して自然に雪結晶が生成出来る条件を作り出すための方法であって主に室内空間の温度、湿度をコントロールする方法が示されている。
【0004】
(特許文献3、参照)この方法は密閉空間に対して湿度、温度を維持する方法及び霧状水噴霧時の高さを確保して霧の落下する時間によって雪に変化させる方法であって新規の造雪方法とまで言える物ではない。(特許文献4参照)この方法によると屋外での造雪について記載されているが指示される条件は温度0℃以下露点0℃以下の空気を使用すると記載されている。
【0005】
しかしこの条件では相対湿度は100%RHであって水の蒸発を利用出来ないため人工的造雪は期待できない。低温側の温湿度は極端に低い値が記載されているが実際に利用される外気温度域は0℃近辺であって凍結するか、しないかの微妙な温度帯である。
従って記述は作用させる空気の上限付近での温度が不明確である。実際に造雪可能な条件は少なくとも外気条件が最優先されるのであって、造雪の絶対的条件としては湿球温度が0℃以下でないと自然に降った雪であっても融けてしまう。逆に言えばその温度以下でないと水滴は自然には雪にならないのである。
【0006】
またスノーマシンの2流体ノズルの空気側に直接投入している例もある。(特許文献7、参照)これは噴出直前で水と混合してしまうので水の中に冷熱エネルギーが吸収されてしまい低温低湿空気の利点を全く利用できない。近年において国内では多くのスキー場で12月頃に−3℃以下の外気温になることが稀であり、スノーマシンの稼働日が少なく滑走可能な積雪量にすることが出来ない。
【0007】
これを打開するために近年、気温が高くても雪面を生成することができる製氷機を用いた造雪も行なわれているが製氷機を用いる場合、消費電力が大きすぎてスキー場の経営が成り立たないほどであるから容易に採用出来ないのが現状である。
【0008】
【特許文献1】特開2001−201221
【特許文献2】特開平8−110137
【特許文献3】特開平10−339532
【特許文献4】特開2001−304732
【特許文献5】特表平3−501404
【特許文献6】特開平11−172940
【特許文献7】特開平6−257917
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
製氷機では製氷するためのエネルギーとして大気中の低温エネルギーを利用できないため多大な電力によって造雪するため非常にコストが掛かる。これに比べスノーマシンでは水の蒸発気化熱を大気から得られるため低消費電力で大量の造雪が可能であるが、造雪に合致した外気条件がなかなか得られないと言う問題があった。
【0010】
現実的に十分な造雪量を得るには外気温度が−3℃以下でなければ不能である。スノーマシンから噴出する際の水滴は概ね20ミクロンから1ミリ程度の粒径であって圧縮空気と加圧水とをノズル中で混合して噴出させる。これは水滴が氷結しやすいように出来るだけ表面積を多くする意味もある。
【0011】
空気、水、共に温度は低くする方が良いが圧縮空気は水分が飽和状態となっており空気管路中で水分が凍結閉塞するため0℃以下に温度を下げる事は出来ない。このようにスノーマシン噴出側の条件を最良に調整した場合でも外気が−3℃以上での造雪運転は不可能であった。
【課題を解決するための手段】
【0012】
外気が+0℃以上のときでも噴霧水に例えば液体窒素の蒸発ガスを吹付けると蒸発促進作用により噴霧水に接触した微細水滴は瞬時に結晶化して氷晶となる。また噴出流中の微細水滴は氷点下に過冷却した水滴もあって、この水滴に結晶化した氷晶や空気中の塵など氷核となる物が衝突すると連鎖して氷晶が出来ることが分かっている。
【0013】
この作用によって水から雪への変化は急激に進み噴出している霧状水全体に波及して造雪を促進させることができる。この方法にてスノーマシン単独では不可能であった0℃以上の外気温で造雪が実現できる。但しこの場合においても外気湿度条件は湿球温度が0℃以下であることは絶対条件である。
【0014】
外気温度が−3℃から+5℃までの範囲内で、外気相対湿度が約90%RH以上の場合には、一般の霧状水噴射式スノーマシンによる造雪は殆んど不可能である。本発明は上記のように液体窒素の使用など高コスト造雪方法ではなく雪が出来る条件を持つ空気を作って低温窒素ガスと同じような凍結作用を持たせた造雪促進方法である。
【0015】
ガスボンベに入っている窒素ガスは製造過程において水分がほぼ100%除去されている。この状態に近い空気を製造して使用することで従来不可能であった温度域での造雪を可能とした。この空気は液体窒素のようにマイナス百数十度などと言う極低温は不要でおよそ−40℃程度もあれば水滴を結晶化させるエネルギーとして十分である。
【0016】
低湿、低温の空気の製造方法は0.3〜2Mpaの範囲に圧縮した空気を冷凍機によって−20℃程度まで冷却する。この空気を1段目とするなら、大気中に放出する際にニードル弁等で膨張圧力を調整して噴射させることにより減圧によって温度を低下させ、さらにこのときの体積膨張で体積あたりの水分含有量も減少させる2段階での除湿冷却が可能となる。
【0017】
ここで絶対湿度は圧力比分の1となり温度も膨張オリフィスの調整にて1段目から数十度低下する。除湿装置は水分吸着剤を含有しており吸着剤はモレキュラシーブ、ゼオライト、活性炭、活性アルミナ等を使用する。例えば絶対湿度0.1g/m3は霜点温度に換算すると−40℃以下になる。
【0018】
冷却する場合には霜点温度より高くないと装置内で霜が発生して空気流路が閉塞してしまう。これによってその霜点温度まで冷却しても冷却熱交換器内から出口噴射ノズルまでの空気流路と噴出後のノズル外側周囲まで霜による閉塞を発生することはない。
【0019】
冷却器内部の微量水分は昇華して気体となり霜を生じない。したがって本発明の装置では霜取り運転を不要として連続運転が可能である。−3℃以上の外気温時、霧状水噴霧型スノーマシンの水噴流に向かって噴射する低湿度、低温空気はガン式スノーマシンの場合(図3)にはその噴出流の外側から噴射することができる。
【0020】
またファン式スノーマシンの場合(図4)はその大気吸引部の流れに沿って内部に噴射することができる。文献によると上層大気の雲中には−40℃から0℃までの水は氷晶の場合と液体のまま過冷却状態で存在する場合もある。しかし−40℃を境界にして、それ以下では自然に氷晶となり結晶化することが知られている。
【0021】
例えばコップの中の水は0℃以下の温度で長時間を経過すればいずれは氷となるが、雪製造のスノーマシンでこのように長時間かかるのでは実際の役に立つことはない。スノーマシンでの造雪は水滴が噴出ノズルから出て地面に到達するまで長くても10秒程度で雪へと変化しなければならない。この状態に出来るようにしたのが本発明である。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の発明によれば、今まで造雪が不可能であった外気温度−3℃から+5℃の温度範囲で湿度条件が湿球温度0℃以下のときスノーマシンから噴出する微細水滴に対して低湿度、低温空気を噴射して造雪を可能にしたことで大きい経済的効果が得られる。
第一に既設の造雪設備が運用可能となり運転可能な日数が増えるので早期のスキー場開場が可能となること。第二に極めて低消費電力で造雪が可能となること。製氷機に比べれば約1/20の消費電力となる。
【0023】
また製氷機による造雪方法では、ほぼ1ヶ月以上の造雪運転中に気象の影響で概ね総製氷量の80%が溶解して失われるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明は低温空気によって噴霧水滴から水蒸気を蒸発させて冷却、結晶化させる方法である。例えば高度3000m以上の大気を想定した空気を作るように構成した装置である。空気状態は非常に低温で湿度も極端に低く数値で言えば(温度−40℃、絶対湿度0.02g/m3このときの霜点温度は−55℃以下の状態である。)
【0025】
この状態に調整した空気を以下略して調整空気と言う。図1のA部はスノーマシンの一種スノーガンである。このスノーガンから噴出する水と空気の噴出流束を取り囲むように小ノズルを多数配置した図3が造雪促進空気噴出し部を組合せた図である。この調整空気を噴射することによって微細水滴を高速に凍結させて雪の結晶、氷晶を生成する造雪促進装置とした。
【実施例1】
【0026】
スノーマシン造雪に使用する圧縮空気は以下の方法で生成する。図1の1は空気圧縮機である。空気圧縮機は空気取入口2から空気を取込む。このときの空気状態は相対湿度で80%RH、気温0℃、絶対湿度3.89g/m3である。吸気温度が0℃近辺から0.7Mpaまで圧縮すると空気温度は30℃位に昇温して、このままでは噴出する時の温度が高いので雪になりにくい。
【0027】
そこで冷却のため空気圧縮機1を出た後に空冷式冷却器4で水分凍結しない+5℃程度の温度まで冷却する。3は圧縮飽和水を排出するドレン処理フィルターである。吐出空気はフランジ5から高圧空気ホース12を通りスノーガンの空気接続口9へ接続する。
【0028】
水は貯水槽6からフィルター7を通り加圧送水ポンプ8にて1.5Mpa程度まで昇圧され高圧水ホース13を通り水接続口10に接続する。従来のスノーマシンによる造雪はここまでの方法で行うが、外気温が−3℃以下に低下しないと造雪は不可能である。
【0029】
この図1に造雪促進装置、(図2のB枠内)を付加して運転した。図5にこの詳細を示す。空気除湿器54は同じ2つの容器からなっており一方の槽で水分を吸着して乾燥空気を作り他方の槽では乾燥させる工程を行なう。除湿方法は水分吸着剤ゼオライト56に空気から水分を吸収させて行なう。
【0030】
加圧状態の空気をこの方法で除湿すると絶対湿度は0.1g/m3霜点温度では−40℃程度となる。この温度以上であれば霜が発生しないので例えば冷凍機で−30℃まで冷却しても空気流路内で霜付を発生しない。
【0031】
図2の20の位置で分岐した空気は図5のカプラー50からゴミフィルター67ドレン水フィルター51逆止弁52四方弁53を通りゼオライト56の入った片方の除湿タンク54を通過する時に除湿する。左右のタンクは交互に除湿と再生を繰り返すが概ね再生に15%の乾燥空気を使用する。再生に使用した空気は排気カプラー66から排出する。
【0032】
除湿された空気は逆止弁52、フィルター57を通り熱交換容器59内で冷却する。冷却方法は冷凍機62から送出される冷媒が膨張弁58で絞り膨張して冷却コイル60中で蒸発温度−35℃から−40℃で冷却する。熱交換した冷媒は戻り配管61を通って冷凍機62まで戻り冷凍サイクルを形成する。
【0033】
この冷却方法は一般的な方法なので特にこの冷凍機器、冷媒など詳細については記載していない。ここで霜点温度以上の−30℃まで乾燥空気を冷却して造雪促進用の調整空気とした。
【0034】
圧縮空気入口50から入気する空気量が吸着除湿器54の容量より大きい場合には所定の除湿度が得られないので、これを調整するため流量計65の指示値を見て所定の空気量となるように空気膨張弁63で流量を調整及び減圧膨張させる。このことによって圧力下の空気は体積膨張してさらに減湿し温度も低下する。
【0035】
試験ではこの状態で8時間程度運転を行なったが冷却空気の流路には全く霜付きは発生せず閉塞する事がない事を確認した。図3は図1のA部の状態で運転するスノーマシンに造雪促進装置を付加して運転している状態を示す。スノーガン31本体に取付け支柱32で組付けた調整空気を噴射するノズル装置である。但し断熱膨張はこのノズルで行う物ではない。
【0036】
33はリング状の調整空気送気管であり、ここに円形に配置された吹出しノズル34が付いている。このノズルは穴径など特に注意する必要はなく吹出し角度、広がりを考慮し噴霧水に接触するように調整すれば良い。調整空気は接続部30から入気される。
【0037】
スノーガン31から高圧で噴射される噴霧水14に対して、これを外側から取り囲む様にノズル34から調整空気35が断熱膨張して水分量で言えば圧力比とほぼ同じ1/7に低下して絶対湿度0.014g/m3となり、温度はノズル出口で−60℃が測定された。
【0038】
スノーマシンの噴流14を観察すると噴流が前方に進むに従い調整空気35の空気層と噴霧流14が混じるような状態となって、5〜6m前方で手をかざすと1ミリ位の氷の粒になっているのが確認できた。図4はファン式スノーマシンの構造を示す。
【0039】
ファン式スノーマシンは円筒状風洞48の中に送風機44がセットされておりヘアドライヤーのような形で風を前方に吹出す方式である。本図ではファンの駆動方法として軸部46をベルト掛けモーターまたは油圧モーターなどによって回転させる方法を取る。
【0040】
この風洞部前方に円形に配置された加圧水配管49が設置されており水が複数のノズル40から内部の吹出し外気に乗って前方へ送られる構造となっている。雪になる原料水はガン式、図1Aと同じく加圧水ポンプ8から図4の接続ホース42へ接続される。
【0041】
ここに造雪促進装置で作られた調整空気送気口、図5の64から47Aに接続し1個の吹出し口47から風洞吸い込み口45へ向かって吹き込む。除湿された低温空気はこの場合でも水分付着凍結を起こさない為、ファン44や内部風洞48に霜付きを発生させないのでガン式と同様、連続した造雪促進効果を得ることができた。
【0042】
このときの運転条件は接続ホース42の位置で水圧1.5Mpa 水量約200L/min 外気温度+3.6℃、湿球温度−2.1℃、相対湿度18.5%RHで、風洞内側にノズル47から吹き込んだ調整空気はスノーマシン本体のノズル40から噴射する霧状水に接触して噴出水の全量を雪に変化させた。
【0043】
風洞出口からどの位の距離で雪になっているかは目測では判断しづらく地面への降雪で確認できる。もちろん調整空気の送気を停止すると即座に霧雨となる。
【実施例2】
【0044】
大型スキー場では造雪設備(図1に示す空気圧縮機1、加圧ポンプ8を備えた送水装置と噴出部スノーガンA)を有している。そのため本発明による(図1のB枠内)に示す造雪促進装置を既設スノーマシン設備に付加して実際に霧状水滴を雪に変化できることを運転確認した。
【0045】
造雪試験は外気温度+3.6℃、湿球温度−2.1℃、湿度18.5%RHの状態で開始した。図2はスノーガンに調整空気を噴出させるノズルを組合せた図を示す。空気圧縮機1から0.7Mpaの空気約17m3/minと、水、接続ホース13内で圧力1.3Mpa 約200L/min 温度+3.5℃をスノーガンに接続して運転した。
【0046】
この状態では最初、噴射された霧状水が約8〜15m先の地面に落下した時には霧雨の状態であった。この状態のときに造雪促進装置、図5の装置内で作った温度−32℃、絶対湿度0.1g/m3、霜点温度−45℃の調整空気は空気膨張弁63で送気圧力を調整しカプラー15に接続した。
【0047】
この弁の弁主部はニードル弁である。この時点で空気温度は出口で−60℃以下、絶対湿度はさらに0.014g/m3まで下がっている。図3は図2M部の拡大詳細であるが調整空気はガンの空気接続部9に接続し水は10へ接続する。調整空気は噴出流14の外側にリング状に配管されたヘッダー33を通り、このリングに複数個付けられたノズル34から霧状噴出水14を囲むように噴射させた。
【0048】
このノズルの穴径は実施例1と同じく任意寸法とし噴出水にぶつかるように吹出し方向と角度のみ調整すれば良い。噴射とほぼ同時に今まで水滴であった噴出流はファン出口数メートルから雪に変化しているのが確認できた。この造雪中も自然条件は刻々と変化するが6時間経過後気温が+3.5℃に上昇したときも湿球温度は−1.2℃で造雪は継続した。外気温4.3℃、湿球温度0℃付近で雪への変化が減少して来たので水量を絞って調整した。
【0049】
この試験で明らかに調整空気を付加したことによってプラス温度域での造雪が認められた。また試験運転中も造雪促進装置図2のB内部からスノーガン、M部に至るまで凍結による閉塞、運転不能は全く生じなかった。
【実施例3】
【0050】
比較例として図1のスノーガン空気吹込み口9に造雪促進装置、図5で作った空気、温度−40℃、絶対湿度0.1g/m3、霜点温度−45℃の調整空気をカプラー64から直接接続して造雪運転を試みた。実施例1、2と比較してどのような効果をもたらすか試験運転を行ったが結果として外気−2℃で運転した時も全く霧状水から雪への結晶化は見られなかった。
【0051】
このように運転しているスノーマシンの吹出し噴流に向かって吹付けるのではなく、調整空気を直接スノーガン本体の空気部に接続しても本体内部の水と調整空気が空気混合部分11で混合した瞬間に水の中に空気の持つ冷熱が潜熱として吸収されてしまい何等、造雪の能力向上には寄与しなかった。水温がわずかに低下したのみと理解される。
【実施例4】
【0052】
運用例として図6に造雪促進装置の分離タイプ、遠距離使用の場合の効果的な使用例を示す。図5の造雪促進装置の枠内に分離線68があるが、右側を空気除湿装置側、左側を空気冷却装置側とする。これを図6では空気除湿装置、1に対して空気冷却装置、複数の配置で記載した物である。
【0053】
例えばゲレンデ下部に大型の空気除湿装置70を1台設置して山上500mや600m位の位置にスノーマシン本体が別々にあるとすればスノーマシン本体側に空気冷却装置71を複数設置すれば、図5に示す大型の装置ユニット状とせずに山上へ運べることになって工事量が減少する。
【0054】
また山上に設置を考慮する場合に、このように装置サイズを出来るだけ小型化することは設置工事を簡略化できて望まれることである。さらに麓で除湿装置によって除湿工程を終えておけば道中の管路72内は当然のことながら除湿されているので水分による管路凍結がなく請求項4の利点が生きてくる。
【0055】
また本装置の使用期間は冬季なので管路72が長ければ長いほど道中の大気で冷却されるために冷却装置71の冷凍機容量を小さく設計できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】ガンタイプスノーマシンの全体構成を説明するフロー図
【図2】ガンタイプスノーマシンに造雪促進装置を付加した全体フロー図
【図3】ガンタイプスノーマシンに造雪促進装置ノズルを付けた詳細図
【図4】ファンタイプスノーマシンに造雪促進装置ノズルを付けた詳細図
【図5】造雪促進装置内部のフロー図
【図6】造雪促進装置の分離タイプの全体図
【符号の説明】
【0057】
A スノーガン本体
B 造雪促進装置本体
M 調整空気組込スノーガン
1 空気圧縮機
2 空気取入口
3 エアーフィルター
4 圧縮空気冷却器
5 接続フランジ
6 造雪用貯水池、水槽
7 ゴミフィルター
8 加圧送水ポンプ
9 造雪用圧縮空気入口
10 造雪用加圧水入口
11 微粒水生成部
12 高圧空気接続管
13 高圧水接続管
14 霧状噴出水
20 高圧空気分岐部
21 調整空気送気管
30 除湿冷却空気接続位置
31 スノーガン
32 取付けステー
33 除湿冷却空気リングヘッダー
34 除湿冷却空気噴出しノズル
35 除湿冷却空気
40 霧状水噴出しノズル
41 霧状噴出水
42 高圧水接続管
43 水用回転ジョイント
44 送気ファン
45 大気吸入口
46 ファン駆動軸
50 圧縮空気入口
51 ドレン水フィルター
52 逆止弁
53 入口切替四方弁
54 除湿槽タンク
55 出口切替四方弁
56 水分吸着剤
57 空気フィルター
58 冷媒膨張弁
59 空気冷却タンク
60 冷却管コイル
61 冷媒管
62 冷凍機
63 空気膨張弁
64 調整空気出口
65 空気流量計
66 排気口
67 塵埃フィルター
70 空気除湿装置
71 空気冷凍装置
72 長距離接続管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外気条件は温度が−3℃から+5℃、湿球温度が0℃以下のとき圧縮空気を絶対湿度0.1g/m3以下、温度−20℃以下の低湿低温とした空気を、さらに空気膨張弁から大気に噴射膨張させ絶対湿度、約0.02g/m3以下、温度−50℃以下まで2段階で除湿、冷却して蒸発促進力を増加した大気圧空気を霧状水噴射式スノーマシンから噴出する噴霧水に対して送気接触させて氷晶を発生させることを特徴とする造雪促進方法。
【請求項2】
請求項1の造雪促進方法を用いる空気を発生する装置は空気圧縮機と圧縮空気から水分を吸着する装置と、この低湿の空気を低温に熱交換する冷却装置と、この圧縮空気を減圧膨張させる空気膨張弁と、空気吹出しノズルとこれらの運転制御装置からなっていることを特徴とする造雪促進装置。
【請求項3】
請求項2において圧縮空気の除湿装置は装置内に充填する吸着剤としてゼオライト、活性アルミナ、シリカゲル、モレキュラーシーブ、活性炭などの多孔質水分吸着材料を使用して除湿し、吸着水分の排出は生成した乾燥空気の一部を使用してすることを特徴とする造雪促進装置。
【請求項4】
請求項1において、低湿、低温の圧縮空気は霜点温度−40℃以下まで除湿して空気流路である冷却熱交換器内から出口の膨張弁と噴出後の膨張弁外側周囲までを霜点温度以上で送気させて連続運転を可能としたことを特徴とする造雪促進装置。
【請求項5】
請求項2の造雪促進装置から冷却装置と、空気膨張弁を分離した別置き装置を単独または複数にて分離して別設置することを特徴とする造雪促進装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−144986(P2008−144986A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−329437(P2006−329437)
【出願日】平成18年12月6日(2006.12.6)
【出願人】(391043505)アイスマン株式会社 (13)
【出願人】(506405770)