説明

連結具及び照明器具

【課題】プルスイッチの駆動引き紐を連結する側とプルスイッチの操作引き紐を連結する側との間に必要な大きさの差を確保しつつ、容易に加工できる連結具を提供する。
【解決手段】金属線材からなる接続環12(連結具)は、操作引き紐を隙間12fから通して引っ掛けるための連結部12bを備える。連結部12bは、金属線材の一端部12g側を、操作引き紐が引っ掛けられるように正面視で略環形に折り曲げるとともに、側面視で金属線材の一端部12gと金属線材の中間部12eとの間に操作引き紐が通る隙間12fがあくように折り曲げて形成される。隙間12fに操作引き紐が通された後、連結部12bは、隙間12fが狭まる方向(略背面方向)にカシメ加工される。加工後は、隙間12fが閉じる。加工前後で連結部12bの直径D2は変化しない

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連結具及び照明器具に関するものである。本発明は、特に、プルスイッチの接続環に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、照明器具のプルスイッチ本体の導出孔から外部に導出した駆動引き紐と、プルスイッチの操作引き紐とを接続する接続環として、略S字状に形成されたものがある(例えば、特許文献1参照)。この接続環では、駆動引き紐を連結するための上部連結部と操作引き紐を連結するための下部連結部との直径に差をつけることで、直径の大きい下部連結部が、直径の小さい上部連結部より、先に広がる構造を採用している。また、それぞれの連結部に隙間が形成されており、駆動引き紐及び操作引き紐を隙間から通した後、カシメ加工で隙間を閉じて、駆動引き紐と操作引き紐とを接続する構造を採用している。
【0003】
また、従来、他の接続環として、略8字状に形成されたものがある(例えば、特許文献2参照)。この接続環では、操作引き紐を連結するための下部連結部が、駆動引き紐を連結するための上部連結部の両側にそれぞれ連続する第1連結部と第2連結部とからなり、第1連結部と第2連結部は端部にそれぞれ駆動引き紐及び操作引き紐を通過可能な隙間を確保し、第1連結部と第2連結部とを重層状態に形成する構造を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実開昭50−14575号公報
【特許文献2】特開2007−280736号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の略S字状の接続環では、操作引き紐に強い引張荷重が加わった場合、操作引き紐側(即ち、下部連結部)が開き出すとともに、プルスイッチ側(即ち、上部連結部)も開き出して隙間が生じる。そのため、引き紐が外れた際、衝撃により、その隙間から接続環が外れ、落下するおそれがあるという課題があった。また、カシメ加工で隙間を閉じると、それぞれの連結部の直径が小さくなるが、カシメ加工が手作業で行われた場合、直径にばらつきが生じるため、上部連結部と下部連結部との直径の差が十分に確保できないおそれがあるという課題があった。
【0006】
また、従来の略8字状の接続環では、接続環の形状を8字状に曲げる加工が容易ではなく、しかも第1連結部と第2連結部とを重層状態に形成しているため、線材の全長が長くなることから、コストが高くなるのが避けられないという課題があった。
【0007】
本発明は、例えば、プルスイッチの駆動引き紐を連結する側とプルスイッチの操作引き紐を連結する側との間に必要な大きさの差を確保しつつ、容易に加工できる連結具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一の態様に係る連結具は、
照明器具のプルスイッチに取り付けられる第1紐と前記プルスイッチの操作のために引っ張られる第2紐とからなる引き紐の第1紐と第2紐とを連結する連結具であり、弾性を有する線材からなる連結具であって、
前記線材の一端部側を、前記第2紐が引っ掛けられるように正面視で略環形に折り曲げるとともに、側面視で前記線材の一端部と前記線材の中間部との間に前記第2紐が通る隙間があくように折り曲げて形成された、前記第2紐を前記隙間から通して引っ掛けるための引掛部を備え、
前記引掛部は、前記線材の一端部を含む一部に正面方向から一定の力を加えることにより前記隙間が縮小又は閉塞するように塑性変形可能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一の態様によれば、照明器具のプルスイッチに取り付けられる第1紐と前記プルスイッチの操作のために引っ張られる第2紐とからなる引き紐の第1紐と第2紐とを連結する連結具において、弾性を有する線材の一端部側を、前記第2紐が引っ掛けられるように正面視で略環形に折り曲げるとともに、側面視で前記線材の一端部と前記線材の中間部との間に前記第2紐が通る隙間があくように折り曲げて形成された引掛部が、前記線材の一端部を含む一部に正面方向から一定の力を加えることにより前記隙間が縮小又は閉塞するように塑性変形可能であるため、第1紐を連結する側と第2紐を連結する側との間に必要な大きさの差を確保しつつ、容易に加工できる連結具を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施の形態1に係る照明器具を示す正面部分断面図である。
【図2】実施の形態1に係るプルスイッチと接続環とを示す斜視図である。
【図3】実施の形態1に係るカシメ加工前の接続環を示す正面図及び側面図である。
【図4】実施の形態1に係るカシメ加工後の接続環を示す正面図及び側面図である。
【図5】実施の形態1に係る下側の連結部が開いた状態の接続環を示す正面図である。
【図6】実施の形態1に係る接続環の下側の連結部の直径と引き紐に加わる力との関係を示す表及びグラフである。
【図7】実施の形態1の変形例に係る照明器具を示す正面部分断面図である。
【図8】実施の形態2に係る接続環のプレス加工の様子を示す図である。
【図9】実施の形態3に係る接続環を示す正面図及び側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について、図を用いて説明する。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本実施の形態に係る照明器具10を示す正面部分断面図である。図2は、本実施の形態に係るプルスイッチ11と接続環12とを示す斜視図である。
【0013】
図1において、照明器具10は、吊り下げ型照明器具である。照明器具10は、器具本体13、電線14、ランプ15(光源)、セード16、引き紐17を備える。器具本体13には、ランプ15の点灯/消灯(ON/OFF)又は調光を切り替えるためのプルスイッチ11、プルスイッチ11により制御されてランプ15を点灯/消灯又は調光する点灯装置等が内蔵される。電線14は、天井に設けられた引掛シーリングに取り付けられ、器具本体13に接続される。ランプ15は、器具本体13に取り付けられる。セード16は、器具本体13の上面周枠部に取り付けられる。引き紐17は、器具本体13の中央部に取り付けられる。
【0014】
図2において、引き紐17は、器具本体13内に備えられるプルスイッチ11に取り付けられる駆動引き紐17aと、照明器具10の使用者がランプ15の点灯/消灯又は調光の切り替え操作を行うために引っ張る操作引き紐17bからなる。駆動引き紐17a及び操作引き紐17bは、繊維からなる紐に限らず、金具(チェーン等)、あるいは、その他の連結部材であってもよい。接続環12は、弾性を有する線材からなる。本実施の形態では、接続環12は、金属線材からなるものとするが、他の材質の線材からなるものとしてもよい。接続環12は、2つの略円形の連結部12a,12bを備え、これらによって駆動引き紐17aと操作引き紐17bとを接続する。
【0015】
上記のように、本実施の形態では、引き紐17は、照明器具10のプルスイッチ11に取り付けられる駆動引き紐17a(第1紐)とプルスイッチ11の操作のために引っ張られる操作引き紐17b(第2紐)とからなる。接続環12(連結具)は、駆動引き紐17aと操作引き紐17bとを連結する。プルスイッチ11は、引き紐17が引っ張られることで操作される。
【0016】
図3は、カシメ加工前の接続環12を示す(a)正面図及び(b)側面図である。図4は、カシメ加工後の接続環12を示す(a)正面図及び(b)側面図である。
【0017】
図3及び図4において、接続環12は金属線材を略S字状に形成したものであり、駆動引き紐17a取付側(プルスイッチ11側)の連結部12aと操作引き紐17b取付側の連結部12bとを有する。後述するように、連結部12aと連結部12bとの直径の比は1:1.1〜1.4となることが望ましい。
【0018】
図3(a)に示すように、駆動引き紐17a取付側(上側)の連結部12aは、駆動引き紐17aが通る隙間12cを側面方向に有する。図3(b)に示すように、連結部12aは、その先端が少なくとも金属線材断面の直径と同じだけ正面方向に折り曲げられて形成される曲げ突起12dを有する。即ち、連結部12aは、その先端に線径分の曲げ突起12dを有する。隙間12cにプルスイッチ11から出ている駆動引き紐17aが通された後、連結部12aは、隙間12cが狭まる方向(略側面方向)にカシメ加工される。図4は、図3に示した部品が加工された状態を示している。図4(a)及び(b)に示すように、加工後は、曲げ突起12dと接続環12の中間部12eとが重なり合う。そのため、駆動引き紐17aが通れる隙間がなくなり、駆動引き紐17aが抜けるのを防止できる。また、引張荷重による連結部12aの変形により隙間が生じるのを抑制できる。さらに、カシメ加工によって連結部12aの直径D0が小さくなる(直径D1となり、D0>D1である)ため、連結部12aが、引張荷重に対し、より強固になる。
【0019】
図3(a)に示すように、操作引き紐17b取付側(下側)の連結部12bの先端と接続環12の中間部12eとの間には、側面方向の隙間がないか、あったとしても、その幅は操作引き紐17bの太さより狭いものとする。図3(b)に示すように、連結部12bは、操作引き紐17bが通る隙間12fを正面方向に有する。隙間12fに操作引き紐17bが通された後、連結部12bは、隙間12fが狭まる方向(略背面方向)にカシメ加工される。図4(b)に示すように、加工後は、隙間12fが閉じるため、操作引き紐17bが外れにくくなる。連結部12bでは、加工前後の直径D2が変化しない(直径D2のままとなり、D2>D1である)ようにカシメ方向を略背面方向(正面方向と略平行)にすることで、カシメ加工が手作業で行われた場合等の引張強度のばらつきを抑制する。また、連結部12bの先端と接続環12の中間部12eとの間に側面方向の隙間があったとしても、その幅が操作引き紐17bの太さより狭くなるようにすることで、通常使用時に操作引き紐17bが外れるのを防止できる。
【0020】
上記のように、本実施の形態では、接続環12(連結具)は、操作引き紐17bを隙間12fから通して引っ掛けるための連結部12b(引掛部)を備える。連結部12bは、金属線材の一端部12g側を、操作引き紐17bが引っ掛けられるように正面視で略環形に折り曲げるとともに、側面視で金属線材の一端部12gと金属線材の中間部12eとの間に操作引き紐17bが通る隙間12fがあくように折り曲げて形成される。連結部12bは、金属線材の一端部12gを含む一部に正面方向から一定の力を加えることにより隙間12fが縮小又は閉塞するように塑性変形可能である。このような構成としたことで、連結部12bは、たとえ手作業で加工された場合であっても、加工前後の直径D2が変化しないため、連結部12aと連結部12bとの間に必要な大きさの差を確保することができる。ここで、連結部12bの加工は、一方向へのカシメ加工であるから、容易に行うことができるものである。
【0021】
また、本実施の形態では、接続環12は、駆動引き紐17aを取り付けるための連結部12a(取付部)を備える。連結部12aは、金属線材の他端部12h側を、駆動引き紐17aが取り付けられるように正面視で略環形に折り曲げて形成される。このような構成としたことで、連結部12aは、加工後の直径D0が小さくなる(直径D1となる)ため、連結部12aと連結部12bとの間に必要な大きさの差を確保することができる。ここで、連結部12aの加工は、一方向へのカシメ加工であるから、容易に行うことができるものである。
【0022】
また、本実施の形態では、連結部12bと連結部12aとは、金属線材が略S字形をなすように金属線材の両端部(一端部12g及び他端部12h)側を互いに異なる方向に折り曲げて形成される。このように、金属線材を略S字形に曲げているため、加工が容易であり、しかも線材の全長が短くなるため、コストを下げることができる。
【0023】
また、本実施の形態では、連結部12aは、金属線材の他端部12h側を正面視で直径D1(第1直径)を有する略円環形に折り曲げて形成される。連結部12bは、金属線材の一端部12g側を正面視で直径D1より長い直径D2(第2直径)を有する略円環形に折り曲げて形成される。このように、連結部12bの直径D2を連結部12aの直径D1より長くしたことで、引き紐17に一定以上の引張荷重が加わったとき、連結部12bが連結部12aより先に開いて、接続環12から操作引き紐17bが外れ、接続環12は駆動引き紐17aと接続したままとなるため、接続環12の落下を防止できる。
【0024】
図5は、大きな引張加重がかかることにより下側の連結部12bが開いた状態の接続環12を示す正面図である。
【0025】
前述したように、操作引き紐17b取付側の連結部12bの直径D2は、駆動引き紐17a取付側の連結部12aの直径D1より大きい。そのため、操作引き紐17bに強い引張荷重が加わった場合、図5に示すように、連結部12bが大きく変形して連結部12bの先端と接続環12の中間部12eとの間に側面方向の隙間があき、この隙間から操作引き紐17bが外れる。また、連結部12aのカシメ加工前の直径D0はカシメ加工後に小さくなる(直径D1になる)ので、連結部12aは、カシメ加工されることで、引張荷重に対し、より強固になる。そのため、操作引き紐17bが外れた際も、接続環12は駆動引き紐17aと接続したままとなり、落下するおそれがない。
【0026】
図6は、接続環12の下側の連結部12bの直径D2と引き紐17に加わる力との関係を示す(a)表及び(b)グラフである。
【0027】
図6(a)では、操作引き紐17b取付側の連結部12bの直径D2及び金属線材の材質(具体的には、SUS304W−1、SUS304W−2)が違う接続環12について、連結部12bに取り付けた操作引き紐17bに徐々に荷重を加え、操作引き紐17bと接続環12とが分離したときの荷重(分離加重)を記録した表を示している。なお、駆動引き紐17a取付側の連結部12aの直径D1は5.0mm(ミリメートル)、金属線材断面の直径は1.0mmとする。図6(b)では、図6(a)の数値から得られる、連結部12bの直径D2と分離加重との関係を表す近似線を示している。
【0028】
電気用品の技術上の基準を定める省令では、家庭用吊り下げ型蛍光灯器具の引き紐取付部及び引き紐について、以下の基準が定められている。
a.器具を通常の使用状態に取り付け、引き紐取付部に70N(ニュートン)の引張荷重を1分間加えたとき、これに耐えること。
b.aの試験の後、引き紐の先端に50Nの引張荷重を1分間加えたとき、引き紐は切断せず、かつ、150Nの引張荷重を加えたとき、引き紐は切断すること。
c.a及びbの試験の後、器体に異状が生じないこと。
【0029】
上記の基準に従い、通常の引き紐17の操作によって接続環12がオープンにならない引張荷重、即ち、分離荷重の最大値を70N〜100Nの範囲に収めることを目標とする。言い換えれば、分離荷重が70N〜100Nの範囲で設定した数値を超えると、連結部12bから操作引き紐17bが外れるようにすることを目標とする。
【0030】
図6(b)に示すように、接続環12の材質にSUS304W−1を使用すると、連結部12bの直径D2が約4.5mmのときに分離荷重が100Nとなり、連結部12bの直径D2が約6.0mmのときに分離荷重が70Nとなる。つまり、上側の連結部12aと下側の連結部12bとの直径の比が1:0.9となるとき、分離荷重が100Nとなる。そして、上側の連結部12aと下側の連結部12bとの直径の比が1:1.2となるとき、分離荷重が70Nとなる。一方、接続環12の材質にSUS304W−2を使用すると、連結部12bの直径D2が約5.5mmのときに分離荷重が100Nとなり、連結部12bの直径D2が約7.0mmのときに分離荷重が70Nとなる。つまり、上側の連結部12aと下側の連結部12bとの直径の比が1:1.1となるとき、分離荷重が100Nとなる。そして、上側の連結部12aと下側の連結部12bとの直径の比が1:1.4となるとき、分離荷重が70Nとなる。
【0031】
前述したように、引き紐17に一定以上の引張荷重が加わったとき、連結部12bが連結部12aより先に開いて、接続環12から操作引き紐17bが外れ、接続環12は駆動引き紐17aと接続したままとなるように、連結部12bの直径D2を連結部12aの直径D1より長くする必要がある。したがって、接続環12の材質としては、SUS304W−1よりもSUS304W−2を使用することが望ましい。上側の連結部12aの直径D1は5.0mm前後となるケースが多いことから、上側の連結部12aと下側の連結部12bとの直径の比は1:1.1〜1.4が最適となる。
【0032】
なお、本実施の形態では、駆動引き紐17a取付側の連結部12aは、駆動引き紐17aが通る隙間12cを側面方向に有するものとしたが、操作引き紐17b取付側の連結部12bと同様に、駆動引き紐17aが通る隙間12cを正面方向に有していてもよい。この場合、連結部12aは、金属線材の他端部12h側を、駆動引き紐17aが取り付けられるように正面視で略環形に折り曲げるとともに、側面視で金属線材の他端部12hと金属線材の中間部12eとの間に駆動引き紐17aが通る隙間12cがあくように折り曲げて形成される。連結部12aは、金属線材の他端部12hを含む一部に正面方向から一定の力を加えることにより隙間12cが縮小又は閉塞するように塑性変形可能である。このような構成としたことで、連結部12bだけでなく、連結部12aも、たとえ手作業で加工された場合であっても、加工前後の直径が変化しない(直径D0のままとなる)ため、連結部12aと連結部12bとの間に必要な大きさの差を確保することができる。ここで、連結部12aの加工は、一方向へのカシメ加工であるから、容易に行うことができるものである。
【0033】
また、本実施の形態では、照明器具10を吊り下げ型照明器具としたが、本実施の形態は、天井直付型照明器具にも応用できる。
【0034】
図7は、本実施の形態の変形例に係る照明器具10aを示す正面部分断面図である。
【0035】
図7において、照明器具10aは、天井直付型照明器具である。照明器具10aは、器具本体13、ランプ15、セード16、引き紐17を備える。それぞれの部品については、図1に示した照明器具10のものと同様である。
【0036】
以上説明したように、本実施の形態に係る接続環12は、ランプ15、その点灯装置、ランプ15のON/OFF又は調光を切り替えるためのプルスイッチ11、引き紐17を有した吊り下げ型の照明器具10又は天井直付型の照明器具10aを対象とし、駆動引き紐17aと操作引き紐17bとを連結するものである。接続環12は、鉄又は非鉄線材を上/下部で直径の異なる略S字状に形成したものである。接続環12は、駆動引き紐17aを取り付ける上部の連結部12aと、操作引き紐17bを取り付ける下部の連結部12bを有する。上部の連結部12aは、駆動引き紐17aを通すための隙間12cを正面に有し、その先端には線径分の曲げ突起12dを有する。上部の連結部12aについては、線材が重なるようにカシメ加工を行い、プルスイッチ11と接続環12とを連結する。このような構成としたことで、引張荷重による上部の連結部12aの変形による隙間の発生を抑制することができる。また、カシメ加工によって上部の連結部12aの直径が小さくなり、上部の連結部12aが引張荷重に対し、より強固になるので、操作引き紐17bが外れた際も、接続環12が駆動引き紐17aと接続したままとなり、落下するおそれがない。一方、下部の連結部12bは、操作引き紐17bを通すための隙間12fを側面に有する。下部の連結部12bについては、カシメ加工によって、接続環12と操作引き紐17bとを結合する。カシメ方向が、加工時に下部の連結部12bの直径の変化を回避する方向であることから、カシメ加工による引張強度のばらつきを抑制することができる。また、引き紐17に強い引張荷重が加わったとき、下部の連結部12bから確実に外れる効果を得られる。さらに、側面方向の隙間を操作引き紐17bの太さ以下にしたことにより、通常使用時の操作引き紐17bの外れを防止することができる。
【0037】
実施の形態2.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0038】
図8は、本実施の形態に係る接続環12のプレス加工の様子を示す図である。
【0039】
図8において、接続環12は、実施の形態1に係るものと同様である。操作引き紐17b取付側の連結部12bは、操作引き紐17bが通る隙間12fを正面方向に有するため、ペンチ等で手作業によりカシメ加工する代わりに、プレス加工機18でカシメ加工する手法を用いることができる。
【0040】
このように、本実施の形態によれば、プレス加工機18で正面方向から一定の力を加えることにより連結部12bを塑性加工するため、カシメ加工の作業性が向上する。
【0041】
実施の形態3.
本実施の形態について、主に実施の形態1との差異を説明する。
【0042】
図9は、本実施の形態に係る接続環12を示す(a)正面図及び(b)側面図である。
【0043】
図9において、接続環12は金属線材を略8字状に形成したものであり、駆動引き紐17a取付側(プルスイッチ11側)の連結部12aと操作引き紐17b取付側の連結部12bとを有する。実施の形態1と同様に、連結部12aと連結部12bとの直径の比は1:1.1〜1.4となることが望ましい。
【0044】
図9(a)に示すように、駆動引き紐17a取付側(上側)の連結部12aは、円状に接続環12の中間部12eとクロスする。クロス終了部分から連結部12aの先端までは1.5mmあるとする。操作引き紐17b取付側(下側)の連結部12bは、半円を過ぎたところから、ストレートで接続環12の中間部12eとクロスする。クロス終了部分から連結部12bの先端までは1.5mm以上あるとする。図9(b)に示すように、連結部12a及び連結部12bは、接続環12の中間部12eに当接しており、駆動引き紐17a及び操作引き紐17bが通る隙間はない。そのため、駆動引き紐17a及び操作引き紐17bを接続環12に取り付ける際には、駆動引き紐17a及び操作引き紐17bを、それぞれ連結部12a及び連結部12bの先端に引っ掛け、接続環12の弾性により駆動引き紐17a及び操作引き紐17bをスライドさせて連結を行う。これにより、実施の形態1のようなカシメ加工が不要となる。したがって、駆動引き紐17a及び操作引き紐17bの取り付け時に引張強度が変化することはない。また、本実施の形態においても、上側の連結部12aと下側の連結部12bとの直径の比が1:1.1〜1.4にすることで、操作引き紐17bに強い引張荷重が加わったとき、操作引き紐17bが連結部12bから確実に外れる効果を得られる。さらに、クロス方向が連結部12aと連結部12bとで逆方向になっているので、連結部12aと連結部12bとが開き出した際に互いに干渉することがない。
【0045】
上記のように、本実施の形態では、接続環12(連結具)は、操作引き紐17bを引っ掛けるための連結部12b(引掛部)を備える。連結部12bは、金属線材の一端部12g側を、操作引き紐17bが引っ掛けられるように正面視で略環形に折り曲げるとともに、正面視で金属線材の一端部12gと金属線材の中間部12eとが交差するように折り曲げて形成される。連結部12bは、金属線材の一端部12gを含む一部に正面方向から一定の力を加えることにより側面視で金属線材の一端部12gと金属線材の中間部12eとの間に操作引き紐17bが通る隙間があくように弾性変形可能である。このような構成としたことで、連結部12bは、操作引き紐17bが取り付けられる前と後で直径D2が変化しないため、連結部12aと連結部12bとの間に必要な大きさの差を確保することができる。
【0046】
また、本実施の形態では、接続環12は、駆動引き紐17aを取り付けるための連結部12a(取付部)を備える。連結部12aは、金属線材の他端部12h側を、駆動引き紐17aが取り付けられるように正面視で略環形に折り曲げて形成される。連結部12bと連結部12aとは、金属線材が略8字形をなすように金属線材の両端部(一端部12g及び他端部12h)側を互いに異なる方向に折り曲げて形成される。金属線材の両端部は、金属線材の中間部12eを挟んで互いに異なる側で金属線材の中間部12eと交差する。このような構成としたことで、引き紐17に一定以上の引張荷重が加わったとき、連結部12a及び連結部12bが開いても互いに干渉せず、スムーズに開く。
【0047】
以上説明したように、本実施の形態に係る接続環12は、ランプ15、その点灯装置、ランプ15のON/OFF又は調光を切り替えるためのプルスイッチ11、引き紐17を有した吊り下げ型の照明器具10又は天井直付型の照明器具10aを対象とし、駆動引き紐17aと操作引き紐17bとを連結するものである。接続環12は、鉄又は非鉄線材を略8字状に形成したものである。接続環12は、駆動引き紐17aを取り付ける上部の連結部12aと、操作引き紐17bを取り付ける下部の連結部12bを有する。上部の連結部12aと下部の連結部12bとの比は1:1.1〜1.4である。上部の連結部12aは、略円状であり、接続環12の中間部12eとクロスし、クロス終了部から先端までが1.5mm以上である。下部の連結部12bは、略円状であるが、半円を過ぎたところから、ストレートで接続環12の中間部12eとクロスし、クロス終了部から先端までが1.5mm以上である。駆動引き紐17aと操作引き紐17bとをそれぞれの先端に引っ掛け、接続環12の弾性によりスライドすることで、駆動引き紐17aと操作引き紐17bとを上/下部の連結部12a,12bにそれぞれ結合する。クロス方向は、上部の連結部12aと下部の連結部12bとで逆方向とする。
【0048】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、これらのうち、2つ以上の実施の形態を組み合わせて実施しても構わない。あるいは、これらのうち、1つの実施の形態を部分的に実施しても構わない。あるいは、これらのうち、2つ以上の実施の形態を部分的に組み合わせて実施しても構わない。
【符号の説明】
【0049】
10,10a 照明器具、11 プルスイッチ、12 接続環、12a,12b 連結部、12c,12f 隙間、12d 曲げ突起、12e 中間部、12g 一端部、12h 他端部、13 器具本体、14 電線、15 ランプ、16 セード、17 引き紐、17a 駆動引き紐、17b 操作引き紐、18 プレス加工機。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明器具のプルスイッチに取り付けられる第1紐と前記プルスイッチの操作のために引っ張られる第2紐とからなる引き紐の第1紐と第2紐とを連結する連結具であり、弾性を有する線材からなる連結具であって、
前記線材の一端部側を、前記第2紐が引っ掛けられるように正面視で略環形に折り曲げるとともに、側面視で前記線材の一端部と前記線材の中間部との間に前記第2紐が通る隙間があくように折り曲げて形成された、前記第2紐を前記隙間から通して引っ掛けるための引掛部を備え、
前記引掛部は、前記線材の一端部を含む一部に正面方向から一定の力を加えることにより前記隙間が縮小又は閉塞するように塑性変形可能であることを特徴とする連結具。
【請求項2】
前記連結具は、さらに、
前記線材の他端部側を、前記第1紐が取り付けられるように正面視で略環形に折り曲げて形成された、前記第1紐を取り付けるための取付部を備え、
前記引掛部と前記取付部とは、前記線材が略S字形をなすように前記線材の両端部側を互いに異なる方向に折り曲げて形成されていることを特徴とする請求項1に記載の連結具。
【請求項3】
照明器具のプルスイッチに取り付けられる第1紐と前記プルスイッチの操作のために引っ張られる第2紐とからなる引き紐の第1紐と第2紐とを連結する連結具であり、弾性を有する線材からなる連結具において、
前記線材の一端部側を、前記第2紐が引っ掛けられるように正面視で略環形に折り曲げるとともに、正面視で前記線材の一端部と前記線材の中間部とが交差するように折り曲げて形成された、前記第2紐を引っ掛けるための引掛部を備え、
前記引掛部は、前記線材の一端部を含む一部に正面方向へ一定の力を加えることにより側面視で前記線材の一端部と前記線材の中間部との間に前記第2紐が通る隙間があくように弾性変形可能であることを特徴とする連結具。
【請求項4】
前記連結具は、さらに、
前記線材の他端部側を、前記第1紐が取り付けられるように正面視で略環形に折り曲げて形成された、前記第1紐を取り付けるための取付部を備え、
前記引掛部と前記取付部とは、前記線材が略8字形をなすように前記線材の両端部側を互いに異なる方向に折り曲げて形成されていることを特徴とする請求項3に記載の連結具。
【請求項5】
前記線材の両端部は、前記線材の中間部を挟んで互いに異なる側で前記線材の中間部と交差していることを特徴とする請求項4に記載の連結具。
【請求項6】
前記取付部は、前記線材の他端部側を正面視で第1直径を有する略円環形に折り曲げて形成されており、
前記引掛部は、前記線材の一端部側を正面視で前記第1直径より長い第2直径を有する略円環形に折り曲げて形成されていることを特徴とする請求項2又は4又は5に記載の連結具。
【請求項7】
前記第2直径は、前記第1直径の1.1〜1.4倍であることを特徴とする請求項6に記載の連結具。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれかに記載の連結具と、
前記連結具により連結された引き紐と、
前記引き紐が引っ張られることで操作されるプルスイッチと、
前記プルスイッチにより制御される点灯装置とを備えることを特徴とする照明器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−282771(P2010−282771A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−133678(P2009−133678)
【出願日】平成21年6月3日(2009.6.3)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【出願人】(390014546)三菱電機照明株式会社 (585)