説明

連結具

【課題】 開閉ロッドが開放方向に移動してフックの開口部が不測に開くのを防止できると共に容易に製造することができる連結具を提供する。
【解決手段】 連結具本体3のフック2基部の両側に一対の係止孔20,21が設けられ、誤作動防止部材23の両端部に内方に屈曲されて前記一対の係止孔20,21に係合される一対の係合部26,27が設けられて、誤作動防止部材23の中途部23aがフック2の先端側から開放操作体13に向けて接離移動自在とされ、誤作動防止部材23の中途部23aをフック2の先端側から開放操作体13に向けて付勢するように、前記一対の係合部26,27及び一対の係止孔20,21はその軸心が互いにずらされ、誤作動防止部材23の付勢に抗して誤作動防止部材23の中途部23aを開放操作体13に近接する位置で止めるストッパー28が連結具本体3に設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば犬等のペットの首輪や胴輪などに取り付けた係止リングに引き紐や鎖などを繋ぐ際等に使用する連結具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
連結具には、従来より、一端部にフックを形成した連結具本体を備え、連結具本体にフックの先端に向けて開口するように収納孔が形成されると共に、収納孔を外部に連通するようにガイド溝が収納孔に沿って形成され、前記収納孔にフックの先端に向けて出退自在に収納保持されてフックの開口部を開閉自在に閉鎖する開閉ロッドと、前記収納孔に収納されて開閉ロッドを閉鎖方向に付勢するバネと、開閉ロッドにガイド溝を摺動する連結部を介して外方に突設された開放操作体とが具備されたものがある(例えば特許文献1)。
【0003】
この種の従来の連結具は、図6に示すように、例えば犬等のペットの首輪や胴輪などに取り付けたリングなどにフックを引っ掛けて引き紐や鎖などを繋ぐ際に使用されるが、犬等のペットが動き回ることにより、開放操作体が不測に押圧されて、開閉ロッドが開放方向に移動し、これによりフックの開口部が開いて連結具がリングなどから外れることがあった。
【0004】
そこで、従来の連結具には、連結具本体にガイド溝から分岐したロック溝を形成し、このロック溝に開放操作体の連結部を係合することにより、開閉ロッドをフックの開口部を閉鎖する閉鎖位置にロックできるようにして、フックの開口部が不測に開いて係止リングから連結具が外れるのを防止できるようにしたものがある(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭62−288711号公報
【特許文献2】特開2009−72080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の連結具では、連結具本体にガイド溝に連通するロック溝をL字状等に形成しなければならず、連結具本体に面倒な加工を施す必要があった。
本発明は上記問題点に鑑み、開閉ロッドが開放方向に移動してフックの開口部が不測に開くのを防止できると共に容易に製造することができる連結具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明における課題解決のための具体的手段は、次の通りである。
この技術的課題を解決する本発明の技術的手段は、一端部にフック2を形成した連結具本体3を備え、連結具本体3にフック2の先端に向けて開口するように収納孔5が形成されると共に、収納孔5を外部に連通するようにガイド溝7が収納孔5に沿って形成され、前記収納孔5にフック2の先端に向けて出退自在に収納保持されてフック2の開口部4を開閉自在に閉鎖する開閉ロッド10と、前記収納孔5に収納されて開閉ロッド10を閉鎖方向に付勢するバネ11と、開閉ロッド10にガイド溝7を摺動する連結部12を介して外方に突設された開放操作体13とが具備された連結具において、
連結具本体3のフック2基部の両側に一対の係止孔20,21が設けられ、弾性線材によりリング状に形成された誤作動防止部材23が具備され、該誤作動防止部材23の両端部に内方に屈曲されて前記一対の係止孔20,21に係合される一対の係合部26,27が設けられて、誤作動防止部材23の中途部23aがフック2の先端側から開放操作体13に向けて接離移動自在とされ、誤作動防止部材23の中途部23aをフック2の先端側から開放操作体13に向けて付勢するように、前記一対の係合部26,27及び一対の係止孔20,21はその軸心が互いにずらされており、前記誤作動防止部材23の付勢に抗して誤作動防止部材23の中途部23aを開放操作体13に近接する位置で止めるストッパー28が連結具本体3に設けられている点にある。
【0008】
また、本発明の他の技術的手段は、前記一対の係止孔20,21はその底部が連結具本体3の厚み方向中央部を挟んで互いに離間するように連結具本体3の厚みに対して短く設定されている点にある。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、例えば連結具を、犬等のペットの首輪や胴輪などに取り付けた係止リングにフックを引っ掛けて引き紐や鎖などを繋ぐ際に使用した場合、犬等のペットが激しく動き回っても、不測に開放操作体が押圧されるのを誤作動防止部材で防ぐことができ、開閉ロッドが開放方向に不測に移動して、フックの開口部が開いて連結具が係止リングから外れるのを防止することができる。
【0010】
しかも、リング状に形成された誤作動防止部材を連結具本体に装着するには、誤作動防止部材の一対の係合部を連結具本体の一対の係止孔に係合すればよく、このため、連結具本体にはそのフック基部の両側に一対の係止孔を形成しておけばよく、連結具本体にロック溝等の面倒な加工を施す必要がなくなり、連結具の製造が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態を示す連結具の側面図である。
【図2】同連結具の正面図である。
【図3】同連結具の上面図である。
【図4】同図1のA−A線断面図である。
【図5】同図2のB−B線断面図である。
【図6】同連結具の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1〜図5において、連結具1は、一端部にフック2を形成した連結具本体3を備え、フック2と連結具本体3との間に開口部4が設けられている。連結具本体3にフック2の先端に向けて開口するように円形の収納孔5が連結具本体3の長手方向に形成されると共に、収納孔5を外部に連通するようにガイド溝7が収納孔5に沿って形成されている。
【0013】
連結具1には、収納孔5にフック2の先端に向けて出退自在に収納保持されてフック2の開口部4を開閉自在に閉鎖する開閉ロッド10と、収納孔5に収納されて開閉ロッド10を閉鎖方向に付勢するコイルバネ11と、開閉ロッド10にガイド溝7を摺動する連結部12を介して外方に突設された開放操作体13とが具備されている。
連結具1の他端部(フック2とは反対側)には、連結リング16が設けられ、連結リング16は取付軸部17廻りに回転自在に支持されている。
【0014】
なお、連結具本体3、開閉ロッド10、開放操作体13、連結リング16等は金属により構成されている。
連結具本体3のフック2基部の厚み方向両側に左右一対の係止孔20,21が設けられ、連結具本体3のフック2側に誤作動防止部材23が具備されている。誤作動防止部材23は弾性線材により平面視U字形のリング状に形成され、誤作動防止部材23の両端部に左右方向(連結具本体3の厚み方向)内方に屈曲した一対の係合部26,27が設けられている。一対の係合部26,27は一対の係止孔20,21にそれぞれ係合されて、誤作動防止部材23の中途部23aが係合部26,27を支点にフック2の先端側から開放操作体13に向けてa方向及びb方向に接離移動自在(揺動自在)とされている。
【0015】
一対の係合部26,27及び一対の係止孔20,21はその軸心が互いに前後方向にずらされている。即ち、一方の係合部26(係止孔20)と他方の係合部27(係止孔21)とが前後方向にずれて配置されている。これにより、係合部26,27を支点に誤作動防止部材23を開放操作体13から離間する方向(a方向)に揺動したときに、誤作動防止部材23の捩れによる弾性変形の復元力により、誤作動防止部材23の中途部23aをフック2の先端側から開放操作体13に向けてb方向に付勢するようになっている。連結具本体3のフック2側の厚み方向両側に、前記誤作動防止部材23の付勢に抗して誤作動防止部材23の中途部23aを開放操作体13に近接する位置で止めるストッパー28が左右一対設けられている。
【0016】
前記一対の係止孔20,21はその底部が連結具本体3の厚み方向中央部を挟んで互いに離間するように連結具本体3の厚みに対して短く設定されている。また、誤作動防止部材23がストッパー28に接当した状態で、該誤作動防止部材23の中途部23aは図3に示すように開放操作体13の外端(前端)よりも大きく外方突出(前方突出)するようになっている。
【0017】
上記実施形態によれば、例えば図6に示すように犬等のペットの首輪29や胴輪などに取り付けた係止リング30に引き紐や鎖など31を繋ぐ場合、引き紐や鎖など31の先端部に連結リング16を介して連結した連結具1のフック2を係止リング30に引っ掛ければよい。
連結具1のフック2を係止リング30に引っ掛けるには、誤作動防止部材23をその付勢力に抗してa方向に押圧して、誤作動防止部材23の中途部23aをフック2の先端側に向けて移動させることにより開放操作体13から離間させた後、開放操作体13をc方向に押圧して、コイルバネ11の付勢に抗して開閉ロッド10をc方向(開方向)に動かし、フック2の開口部4を開放する。この状態で、フック2で係止リング30を引っ掛ける。その後、開放操作体13のc方向への押圧を解除すると共に、誤作動防止部材23のa方向への押圧を解除すれば、コイルバネ11の付勢により開閉ロッド10乃至開放操作体13がd方向(開方向)に移動して、フック2の開口部4を閉鎖する。また、このとき、誤作動防止部材23がその付勢力によってb方向に揺動し、開放操作体13に近接する位置でストッパー28に接当する。
【0018】
従って、フック2を係止リング30に引っ掛けた状態で、犬等のペットが激しく動き回っても、開放操作体13が開放方向(d方向)に押圧されるのを誤作動防止部材23で効果的に防ぐことができ、開閉ロッド10が開放方向に不測に移動して、フック2の開口部4が開いて連結具1が係止リング30から外れるのを確実に防止できる。
また、連結具1のフック2を係止リング30から外すには、フック2を係止リング30に引っ掛ける場合と同様に、誤作動防止部材23をその付勢力に抗してa方向に押圧して、誤作動防止部材23の中途部23aをフック2の先端側に向けて移動させて開放操作体13から離間させた後、開放操作体13をc方向に押圧して、コイルバネ11の付勢に抗して開閉ロッド10をc方向(開方向)に動かし、フック2の開口部4を開放する。この状態で、フック2を係止リング30から外せばよく、フック2を係止リング30から簡単に外すことができる。
【0019】
そして、リング状に形成された誤作動防止部材23を連結具本体3に装着するには、誤作動防止部材23の一対の係合部26,27を連結具本体3の一対の係止孔20,21に係合すればよく、従って、誤作動防止部材23を連結具本体3に装着するためには、連結具本体3のフック2基部の厚み方向両側に一対の係止孔20,21を形成しておけばよく、連結具本体3に面倒なロック溝等の加工を施す必要がなくなり、連結具1の製造が容易になる。
【0020】
また、一対の係止孔20,21はその底部が連結具本体3の厚み方向中央部を挟んで互いに離間するように連結具本体3の厚みに対して短く設定されており、また、一対の係止孔20,21はその軸心が互いにずれていることもあって、連結具本体3に一対の係止孔20,21を形成しても、一対の係止孔20,21の形成によって連結具本体3の剛性が大きく低下することはなく、連結具1を長期に亘って使用することができる。
【0021】
なお、前記実施の形態では、連結具1を、犬等のペットの首輪29や胴輪などに取り付けた係止リング30に引き紐や鎖など31を繋ぐ場合に使用しているが、連結具1はこのような使用に限定されず、ワイヤロープに繋がれた荷物をクレーンで運ぶ際やショルダバックに対し肩掛け用のベルトを着脱する際その他に使用するようにしてもよい。
また、前記実施の形態では、一対の係合部26,27の軸心が互いに前後方向にずらされているが、これに代え、例えば一対の係合部26,27(一対の係止孔20,21)の軸心を互いに前下がりに傾斜した方向にずらすようにしてもよく、これにより、誤作動防止部材23をより強い力でストッパー28に接当した状態で停止させておくことができる。
【符号の説明】
【0022】
1 連結具
2 フック
3 連結具本体
4 開口部
5 収納孔
7 ガイド溝
10 開閉ロッド
11 コイルバネ
12 連結部
13 開放操作体
20 係止孔
21 係止孔
23 誤動作防止部材
23a 中途部
26 係合部
27 係合部
28 ストッパー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一端部にフック(2)を形成した連結具本体(3)を備え、連結具本体(3)にフック(2)の先端に向けて開口するように収納孔(5)が形成されると共に、収納孔(5)を外部に連通するようにガイド溝(7)が収納孔(5)に沿って形成され、前記収納孔(5)にフック(2)の先端に向けて出退自在に収納保持されてフック(2)の開口部(4)を開閉自在に閉鎖する開閉ロッド(10)と、前記収納孔(5)に収納されて開閉ロッド(10)を閉鎖方向に付勢するバネ(11)と、開閉ロッド(10)にガイド溝(7)を摺動する連結部(12)を介して外方に突設された開放操作体(13)とが具備された連結具において、
連結具本体(3)のフック(2)基部の両側に一対の係止孔(20,21)が設けられ、弾性線材によりリング状に形成された誤作動防止部材(23)が具備され、該誤作動防止部材(23)の両端部に内方に屈曲されて前記一対の係止孔(20,21)に係合される一対の係合部(26,27)が設けられて、誤作動防止部材(23)の中途部(23a)がフック(2)の先端側から開放操作体(13)に向けて接離移動自在とされ、誤作動防止部材(23)の中途部(23a)をフック(2)の先端側から開放操作体(13)に向けて付勢するように、前記一対の係合部(26,27)及び一対の係止孔(20,21)はその軸心が互いにずらされており、前記誤作動防止部材(23)の付勢に抗して誤作動防止部材(23)の中途部(23a)を開放操作体(13)に近接する位置で止めるストッパー(28)が連結具本体(3)に設けられていることを特徴とする連結具。
【請求項2】
前記一対の係止孔(20,21)はその底部が連結具本体(3)の厚み方向中央部を挟んで互いに離間するように連結具本体(3)の厚みに対して短く設定されていることを特徴とする請求項1に記載の連結具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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