説明

連結果実袋

【課題】
果実にスムーズに袋掛けすることができる連結果実袋を提供する。
【解決手段】
袋の上端部及び/又は下端部に連結接着片20を突出した果実袋2を複数枚用意する。この果実袋2の連結接着片20を同様に形成した他の果実袋2の他端部に接着して連結する。こうして複数枚の果実袋2を連結して連結果実袋1とする。連結果実袋1の端の果実袋2内に果実を収納し、果樹の枝に結束して果実袋2を取り付け、下に連なる二重果実袋2を引っ張り、連結接着片20を切り離し袋掛けする。次に、切り離された連結二重果実袋1の端の果実袋2内に、同様にして果実を収納して果実袋2を取り付け、連結接着片20を切離す。こうして、次々とスムーズに袋掛けを行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実の栽培に使用する連結果実袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、桃等の果実の栽培においては、生育中の果実全体を果実袋で覆って保護等することが広く行われている。果実に袋を掛けるときには、果実袋の中に果実を収納した状態で果樹の枝に結束して取付けている。
しかし、こうした果実袋は一枚一枚が別体に形成されているので、通常、前掛け等のポケットに多数の袋を収納しておき、袋をポケットから取り出して使用しており、袋を取付ける毎に上に挙げた手を1回づつ下ろしてポケットから袋を取り出すという動作を繰り返さねばならず、手の上下動作も多くなって疲労も大きく、迅速な結束作業の妨げになり、作業効率が上がらないことが多かった。
【0003】
そうしたことから、例えば、右利きの人は左手の薬指と小指の間に7〜8枚の袋を持った状態で、余った左手の3本の指と右手を使って袋掛けし、更に左手から袋を引き出して順次袋掛けを行っており、または7〜8枚の袋を口に咥えておいて一枚ずつ抜き取りながら袋掛けすることをしているが、いずれにしても作業し難い点が多くて能率が上がらず、その改善が求められていた。
【0004】
また、果実袋において、紙等からなる筒状体の長手方向に対して直角にミシン線を一定間隔ごとに入れ、上記筒状体を巻き取るかまたは上記ミシン線に沿って折り重ねた果実袋が提案されているが、このものは連結状態のままで袋掛けを行うものではなく(特許文献1)、仮にこれを連結状態のまま袋掛けに使用しても、袋同士の連結力が強いので、果実袋を簡単に切離することができず、結束作業に手間取る上に、切離するために力任せに引っ張ると果実や枝を傷つけてしまうおそれがあった。
【特許文献1】実公昭57−149760号公報(実用新案登録請求の範囲、第2図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記課題を解決すべく、果実袋を連結状態にすると共に、その連結状態で袋掛けが行えるようにし、袋掛け後に容易に連結状態を解いて果実に取り付けることができるようにして袋掛け作業の効率化を図ろうとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、果実袋の上端部及び/又は下端部から突出する連結接着片を形成した果実袋を複数枚用意し、この連結接着片を他の上記果実袋の他端部と順次接着して連結した連結果実袋が提供される。
上記果実袋は、遮光性を有し上方に開口する外袋内に、上下に開口し側部に拡開可能な折込部を形成した透光性を有する内袋の下方部を挿入して収納し、上記外袋の上端縁より上方に露出している内袋の開口上縁中央部に果樹の枝を挿入するための挿入切欠部を設け、該外袋を内袋から取り外し可能に接着した二重果実袋とすることができる。さらに、上記連結接着片を外袋の下端部に形成して隣接する内袋の上端部に接着して連結するようにする。
また、一重の果実袋でも同様に連結果実袋とすることができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、上記のように、果実袋の上端部及び/又は下端部から突出する連結接着片を形成し、該連結接着片を他の果実袋の対向する他端部に接着して連結したので、袋掛けする際には連結された複数枚の果実袋が手元に位置しており、袋掛けした後で連結接着片による連結部を引き離せば次の果実袋が自然と手元に来る。したがって、次の袋掛けが容易にでき、従来の果実袋を一枚ずつ前掛けのポケットから取り出す場合に比べて、手を上下させることもなく、効率的に作業を進めることができる。また、この連結果実袋を上記連結接着片で折り重ねるようにして手に持つこともできるから、こうした状態で作業することもできる。
上記連結接着片は、その大きさや個数等を変更したり、不連続切線を設けたりすることによって連結部分の強弱を調整することができ、袋掛けする際の果実袋の切り離しの容易さを調節することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の実施例について述べれば、図示するものは、連結果実袋1を構成する果実袋が二重果実袋2であって、遮光性を有する外袋3内に透光性を有する内袋4が収納された二重構造になっている。上記外袋3は、略長方形状の紙片を折曲線5で折り曲げ、側方貼着部6で貼着して筒状とし、下方貼着部7で貼着して底部の両側に排水口8を備えた有底の袋状に形成されている。この外袋3には、その上端縁9から下方に延びて再び上端縁9に至る連結部のある切線10が設けられ、これによって接着部11が切取り可能に形成されている。また、果実の成熟期に外袋3のみを剥がすことができるよう上端縁9と下端部12を結んでミシン線13も切裂き可能に形成されている。
図では、連結部のある切線10が、上端縁9から下方に延びる切裂き線14と、この切裂き線14の下端部から上端縁9まで傾斜して延びる切込線15によって形成され、接着部11が略三角形状になっているが、ミシン目その他の適宜の不連続切線により切取り可能に形成することもでき、また、略四角形状、略扇形状等適宜の形状に形成することもできる。
【0009】
上記内袋4は、上下に開口し、上記外袋3より幅広の筒状体に形成され、その両側部には拡開可能な折込部16を設けて幅を狭くし、上記外袋3内に収納されている。上縁部17の中央部には果樹の枝に挿入するための略V字形状の挿入切欠部18が形成されているが、この挿入切欠部の形状は略U字形状、略楕円形状等の果樹の枝を挿入できる適宜の形状にすることができる。
上記外袋3に設けられた接着部11を上記挿入されている内袋4の外面に接着することにより該外袋3と内袋4が一体化され、二重果実袋2が形成される。内袋4の上方側部には、止金19が封止されている。
【0010】
この二重果実袋2は、連結接着片20によって隣り合う二重果実袋2と順次連結されている。図示するものでは、上記外袋3の下端部12から下方に突出形成された連結接着片20の形状は略楕円形状になっているが、略方形状、略半円形状、略三角形状その他の形状にすることができる。
この連結接着片20は、図において表面側に1個、裏面側に1個が、左右対称になるように設けてあるが、片面側に左右対称になるように2個設けることができる。また、2個以上設けたり、左右非対称に設けることも可能である。
【0011】
この連結接着片20を、外袋用の紙片の下端部12となる部分から下方に屈曲して凸出部を形成するようにして裁断し、これを外袋の長さの間隔で順次繰り返すように形成すれば、従来外袋に使用されている紙片と同じ量で上記連結接着片20を経済的に設けることができる。このようにして外袋を作成した場合には、図に示すように、連結接着片の裁断跡20aが形成されるが、外袋としての機能には何ら影響がない。
【0012】
この二重果実袋2の外袋の下端部に設けた連結接着片20を下方に位置する他の二重果実袋2の内袋4の上縁部(他端部)17側に接着することにより、二重果実袋2は連結状態にされ、同様にして逐次連結することによって連結二重果実袋1が形成される(図2)。こうして連結する果実袋の枚数は適宜に選択することができ、例えば7〜8枚連結したり、予め多数枚連結しておいて使用の際に各人が使い易い連結枚数に切り離して使用することもできる。
この連結二重果実袋1は、連結接着片20で九十九折に折り曲げて畳むこともできるので、収納、運搬にも都合がよい。
【0013】
こうして上記7〜8枚が連結された連結二重果実袋1を使用する場合、まず端に位置する二重果実袋2内に果実を収納し、内袋4の挿入切欠部18に果樹の枝を挿入して、止金19で結束すれば果実袋を取り付けることができる。
そして、この取付けられた二重果実袋2の下方に連結されている二重果実袋2をもって引っ張れば、上記連結接着片20が切り離されて一つの袋掛けが終了する。
次いで、切り離した連結二重果実袋1の上端に位置する二重果実袋2内に、同様にして他の果実を収納し、内袋4の挿入切欠部18に果樹の枝を挿入して、止金19で結束する、という結束作業を繰り返すことによって、次々と手間を要することなくスムーズに袋掛けを行うことができる。
【0014】
図4は他の実施例を示し、内袋21の上縁部22から上方に突出する連結接着片23が設けられており、また、内袋21の上縁部22の延長線上に不連続切線24を設けて切り離しを容易にしている。
そして、この内袋21の連結接着片23を他の二重果実袋25の外袋26の下端部側に接着することにより、各二重果実袋25が逐次連結され、連結二重果実袋27が形成される。
上記不連続切線は、上記連結接着片23を果実袋から切り離し易くするもので、各種の連結接着片に同様に設けることができる。
また、上記連結接着片の一方を外袋の下端部側に設け、もう一方の連結接着片を内袋の上縁部側に設けることによって連結するようにしてもよい。
【0015】
本発明は、上記のような二重果実袋以外にも適宜の果実袋に適用することができる。図5は一重果実袋に適用した一実施例を示し、下端から突出する連結接着片28が形成された一重果実袋29が複数枚設けられ、この連結接着片28を他の一重果実袋29の上端部側外面に接着することにより、各一重果実袋29を逐次連結し、連結一重果実袋30が形成されている。
図に示す一重果実袋30は、上方に開口し、上縁部31の中央部には果樹の枝に挿入するための略V字形状の挿入切欠部32が形成され、この挿入切欠部32の下頂部から袋の下端部を結んで切裂き線33が形成されている。袋内には、止金34が封止されている。
上記連結接着片28は、上記したように袋用紙片の下端部から下方に屈曲して凸出部を形成するような裁断線によって袋の長さの間隔で順次切断して裁断跡28aを設けながら形成することができる。
この一重果実袋においても、上記二重果実袋に準じて同種の変形例を形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施例を示す斜視図である。
【図2】連結状態を示す説明図である。
【図3】二重果実袋の裏面を示す説明図である。
【図4】他の実施例を示す正面図である。
【図5】他の実施例を示す正面図である。
【符号の説明】
【0017】
1、27 連結二重果実袋
2、25 二重果実袋
3、26 外袋
4、21 内袋
20、23、28 連結接着片
29 一重果実袋
30 連結一重果実袋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋の上端部及び/又は下端部に連結接着片を突出形成した果実袋を複数枚備え、上記連結接着片を他の上記果実袋の他端部に接着して順次連結したことを特徴とする連結果実袋。
【請求項2】
上記連結接着片は、不連続切線により該果実袋から切り離し可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の連結果実袋。
【請求項3】
上記果実袋は、遮光性を有し上方に開口する外袋内に、上下に開口し側部に拡開可能な折込部を形成した透光性を有する内袋の下方部を挿入して収納し、上記外袋の上端縁より上方に露出している内袋の開口上縁中央部に果樹の枝を挿入するための挿入切欠部を設け、該外袋を内袋から取り外し可能に接着した二重果実袋である請求項1または2に記載の連結果実袋。
【請求項4】
上記連結接着片は上記外袋の下端部に形成され、他の上記二重果実袋の内袋の上端部に接着された請求項3に記載の連結果実袋。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−189249(P2009−189249A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−30154(P2008−30154)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(390026491)小林製袋産業株式会社 (6)
【Fターム(参考)】