連続晶析装置
【課題】本発明は、良好な特定結晶形の晶析を実現する連続晶析装置を提供することを目的とする。
【解決手段】第1外筒の内壁との間に第1間隙を形成し、回転する第1内筒を備える第1反応装置において、第1間隙で被反応材をテイラー渦状の螺旋流動で進行させ、被反応材の混合と核発生とを行う。また、第2外筒の内壁との間に第2間隙を形成し、回転する第2内筒を備える第2反応装置において、第1反応装置から抽出された被反応材を、第2間隙で混合し、結晶成長を行う。
【解決手段】第1外筒の内壁との間に第1間隙を形成し、回転する第1内筒を備える第1反応装置において、第1間隙で被反応材をテイラー渦状の螺旋流動で進行させ、被反応材の混合と核発生とを行う。また、第2外筒の内壁との間に第2間隙を形成し、回転する第2内筒を備える第2反応装置において、第1反応装置から抽出された被反応材を、第2間隙で混合し、結晶成長を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続晶析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CT(Couette−Taylor)反応装置、STT(Spinning Tube in a Tube)反応装置(STT反応装置)およびこれらを用いた製造方法に関する従来技術は、特許文献1から特許文献6に開示されている。
【0003】
特許文献1は、CT反応装置(STT反応装置)の基本構成と物理的な処理について記載している。
【0004】
特許文献2は、CT反応装置(STT反応装置)をカスケード(直列)に連結した構成を示し、たとえば酸化・エステル化・再酸化・再エステル化・水添といった複数の異なる化学反応を(連続)フロー系で行う方法を開示している。
【0005】
一方、特許文献3から特許文献6は、CT反応装置(STT反応装置)をもちいた(連続)フロー系の貧濃度晶析(Drowing−out crystallization)法、および装置(システム)を開示している。
【0006】
同様に、非特許文献1から非特許文献7は、CT反応装置(STT反応装置)をもちいた(連続)フロー系の気液反応、乳化晶析、貧濃度晶析(Drowing−out crystallization)の実験と従来装置と比較したその効果について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本国特許第3309093号公報
【特許文献2】米国特許第7098360号明細書
【特許文献3】韓国特許出願公開第10−2006−0067823号明細書
【特許文献4】韓国特許出願公開第10−2006−0067824号明細書
【特許文献5】韓国特許出願公開第10−2006−0067867号明細書
【特許文献6】韓国特許出願公開第10−2006−0067870号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Woo-Sik KIM.et al [Gas-liquid reaCTion of CaCO3] Cryst Res Tech 2005
【非特許文献2】Woo-Sik KIM.et al [Micro Emulation Crystallization] I&EC-Res 2005
【非特許文献3】Woo-Sik KIM. et al [Drowing-out crystallization of GMP] I&EC-Res 2009
【非特許文献4】Sung Hoon Kang, Woo-Sik Kim, Journal of Crystal Growth 254 (2003) 196-205.
【非特許文献5】Wang Mo Jung, Woo-Sik Kim, Chemical Engineering Science 55 (2000) 733-747.
【非特許文献6】Dong-Myung Shin, Woo-Sik Kim, Chemical Engineering of Japan 35 (2002)1083-1090
【非特許文献7】Taesung Jung, Woo-Sik Kim, Crystal Growth & Design 4 (2004) 419-495
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、従来の晶析装置では、有用結晶径以外の結晶が混在して現れるため、後工程で分離が必要であって生産歩留まりが極めて悪いといった問題点があった。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するために発明されたものであり、良好な特定結晶径の晶析を実現し、後工程において分離させることなく有用結晶を得ることができるようにし、生産歩留まりを向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の連続晶析装置は、第1固定中空外筒と、第1固定中空外筒の内壁との間に第1間隙を形成し、第1固定中空外筒と同軸上に配置される第1内筒と、第1内筒を回転させる第1回転手段と、第1間隙に被反応材を供給する第1供給手段と、第1内筒の回転によって第1間隙を進んだ被反応材を第1間隙から抽出する第1抽出手段とを有する第1反応装置と、第2固定中空外筒と、第2固定中空外筒の内壁との間に第2間隙を形成し、第2固定中空外筒と同軸上に配置される第2内筒と、第2内筒を回転させる第2回転手段と、第1抽出手段から抽出された被反応材を第2間隙に供給する第2供給手段と、第2内筒の回転によって第2間隙を進んだ被反応材を第2間隙から抽出する第2抽出手段とを有する第2反応装置とを備える連続晶析装置であって、第1反応装置は、被反応材が第1間隙をテイラー渦状の螺旋流動で進行し、被反応材の混合と核発生とが生じるように第1回転手段を制御する第1内筒回転レート制御手段を備え、第2反応装置は、第2間隙で前記被反応材の混合と結晶成長とが生じるように第2回転手段を制御する第2内筒回転レート制御手段を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、第1反応装置において核発生を行い、第2反応装置において結晶成長を行うことができるので、結晶径の揃った結晶を作成することができ、そのことにより後工程における分離を不要とし、生産歩留まりを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態の連続晶析装置を示す概略図である。
【図2】図1のII-II断面の一部を示す概略図である。
【図3】晶析現象の段階を示す模式図である。
【図4】(a)テイラー渦が生じた流動状態を示す図である。(b)テイラー渦が生じていない流 動状態を示す図である。
【図5】(a)テイラー渦状流動状態における粒子の流れを示す図である。(b)非テイラー渦状 流動状態における粒子の流れを示す図である。
【図6】連続晶析装置の他の例を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態における連続晶析装置の概略図である。
【図8】本発明の第3実施形態における連続晶析装置の概略図である。
【図9】図8のXI-XI断面における概略図である。
【図10】連続晶析装置の他の例を示す図である。
【図11】図10のA矢視図である。
【図12】連続晶析装置の他の例を示す図である。
【図13】図12のA矢視図である。
【図14】本発明の第4実施形態における連続晶析装置の概略図である。
【図15】連続晶析装置から流体を素早く抽出するときの第2反応装置の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1実施形態における連続晶析装置について図1、図2を用いて説明する。図2は、図1のII-II断面の一部を示す概略図である。本実施形態の連続晶析装置は、第1反応装置10と、第2反応装置11とを備える。第1反応装置10と第2反応装置11とはカスケード(直列)接続されている。
【0015】
第1反応装置10は、第1固定中空外筒1と、第1固定中空外筒1の内壁と概一定な第1間隙4を保ちつつ、第1固定中空外筒1と同軸に配置された第1内筒2と、第1内筒2を回転させる第1回転部3と、第1間隙4の一端に被反応材を圧入する第1供給部5と、第1間隙4の他端から反応後の被反応材を抽出する第1抽出部6と、第1間隙4での流動が、被反応材の混合と核発生とがなされる第1間隙内流動パターンとなるように第1内筒2の回転レートを制御する第1内筒回転レート制御部7とを具備する。第1反応装置10は、第1内筒2の回転軸が水平方向に沿うように配置される。なお、第1反応装置10の配置は、これに限られることはなく、横置きであればよい。
【0016】
第1供給部5は、第1間隙4に圧入する被反応材の流動レートを制御する。被反応材の流動レートは、第1間隙4において第1間隙内流動パターンとなるように制御される。つまり、流動レートは、第1間隙4において、被反応材の混合と核発生とがなされるように設定される。これにより、被反応材の混合と核発生に必要な滞留時間が得られる。
【0017】
第1抽出部6は、鉛直方向下側から被反応材が抽出されるように設けられる。これにより、被反応材を第1抽出部6から抽出する流動エネルギーを重力によっても得ることができる。
【0018】
第1反応装置10は、第1固定中空外筒1の内径と、第1内筒2の外径とによって決まる第1間隙4の径方向の長さが、第1間隙4において第1間隙内流動パターンとなるように設けられている。また、第1反応装置10の第1内筒2の長さは、第1間隙4内で被反応材の混合と所望の核発生とが完了するために十分な長さである。そのため、被反応材の混合と核発生に必要な滞留時間が得られる。
【0019】
第1反応装置10においては、第1内筒2の回転中に、被反応材が第1供給部5によって第1間隙4に概一定な流動レートで圧入され、被反応材が第1間隙4で螺旋状の流路を形成して高いせん断力を受けながら流動することで、被反応材が物理・化学反応する。すなわち、被反応材にメカノケミカル反応を起こさせる事ができる。
【0020】
第2反応装置11は、第2固定中空外筒21と、第2固定中空外筒21の内壁と概一定な第2間隙24を保ちつつ、第2固定中空外筒21と同軸に配置された第2内筒22と、第2内筒22を回転させる回転部23と、第1反応装置10の第1抽出部6と管路によって結合して第2間隙24の一端に被反応材を供給する第2供給部25と、第2間隙24の他端から反応後の被反応材を抽出する第2抽出部26と、第2間隙24で被反応材の混合と結晶成長とがなされる第2間隙内流動パターンとなるように第2内筒22の回転レートを制御する第2内筒回転レート制御部27とを具備する。第2反応装置11は、第2内筒22の回転軸が水平方向に沿うように配置される。なお、第2反応装置11の配置は、これに限られることはなく、横置きであればよい。
【0021】
第2供給部25は、第2間隙24に圧入する被反応材の流動レートを制御する。被反応材の流動レートは、第2間隙24において第2間隙流動パターンとなるように制御される。つまり、流動レートは、第2間隙24において、被反応材の混合と結晶成長とがなされるように設定される。これにより、被反応材の混合と結晶成長に必要な滞留時間が得られる。
【0022】
第2反応装置11は、第2固定中空外筒21の内径と、第2内筒22の外径とによって決まる第2間隙24の径方向の長さが、第2間隙24において第2間隙内流動パターンとなるように設けられる。また、第2反応装置11の第2内筒22の長さは、第2間隙24内で被反応材の混合と所望の結晶成長とが完了するために十分な長さである。これにより、被反応材の混合と結晶成長に必要な滞留時間が得られる。
【0023】
第2反応装置11においては、第2内筒22の回転中に、被反応材が第1反応装置10の第1抽出部6を経由して第2間隙24に流入し、被反応材が第2間隙24に沿った流路にてせん断力を受けながら流動することで、被反応材が物理・化学反応する。すなわち、被反応材にメカノケミカル反応を起こさせる事ができる。
【0024】
第1反応装置10の第1内筒2の長さ、第2反応装置11の第2内筒22の長さなどは、実験や理論計算などによって適宜決められる。
【0025】
第1反応装置10の第1抽出部6と第2反応装置11の第2供給部25とを接続する管路の内面は、全面的に流体力学的に円滑な表面である。また、かみ合わせ部や、溶接などの接合部位の表面も円滑な表面とすることが望ましい。
【0026】
第1内筒2の回転レートおよび第2内筒22の回転レートの最適値は、被反応材で異なるので一概に言えないが、概して第1内筒2の回転レートは、第2内筒22の回転レートよりも遅く、第1間隙4で被反応材にテイラー渦状の螺旋流動が誘起されることが必要である。
【0027】
ここで、テイラー渦状と記したのは、厳密には、流体を流入流出させることのない二重円筒容器における「テイラー渦(Taylor−Vortex)」と異なり、本実施形態では外部から二重円筒容器に流体を流入し、螺旋流動が誘起されているからである。
【0028】
ここで、テイラー渦が生じている状態を、図4(a)に示す。この状態では、間隙にドーナツ状の擬似管路ができ、かかる管路中に二次旋回が発生している。テイラー渦の生じていない流動状態では、内筒回転からせん断力をうけた流体はクリーピング(擦れ)によって内筒より遅い相対速度で同軸回転するが、前記の擬似管路も二次旋回もない。
【0029】
テイラー渦が生じているテイラー渦流動状態では、ドーナツ状の准孤立流動(反応)ゾーンができ、円筒管軸方向(Z方向)の流体混合がきわめて小さい。簡単に言えば、テイラー渦の流動状態では、流体がドーナツ状の疑似管路に閉じ込められる(図4(a)参照)。
【0030】
一方、テイラー渦が生じていない非テイラー渦流動状態では、ドーナツ状の准孤立流動(反応)ゾーンはできず、円筒管軸方向(Z方向)の流体混合は、乱流域の流動であれば活発である(図4(b)参照)。
【0031】
1930−40年代から蓄積された論文や数値データベース資料に記載された、種々の流体種を密度と粘性係数などでキャラクタライズした無次元数、レイノルズ数のような流速にかかわる無次元数、同様に装置スケール(間隙幅や円筒径)の無次元数等と、テイラー渦流動状態の有無との関係から、テイラー渦流動状態を生ぜしめる条件が決定できる。ここでは、詳述は割愛するが、晶析させたい対象物の物性と装置スケールから、テイラー渦流動状態となる内筒の回転レートの範囲は決定される。
【0032】
第1反応装置10における流動状態は、テイラー渦状流動状態であり、上記の過去の知見から得られるテイラー渦流動状態となる回転レートで内筒を回転させると、流動レートに応じて、やや斜めのドーナツ状の疑似管路が形成される。つまり、第1間隙4には流動レートに応じて、やや斜めドーナツ状となった螺旋管路が形成される。第1反応装置10では、円筒管軸方向(Z方向)の流体混合がきわめて小さい。このテイラー渦状の流動状態が、第1間隙流動パターンである。なお、第1間隙流動パターンは、螺旋管路内でも二次旋回流動ベクトルを有する進行型のテイラー渦状の流動状態となることが望ましい。
【0033】
第1反応装置10における、晶析の核発生現象に注目すると、やや斜めドーナツ状となった螺旋管路が形成された状態で晶析すべき液相分子が、テイラー渦状の斜めドーナツ状准孤立流動(反応)ゾーンにて、併走して核形成反応を行う。被反応材を第1反応装置10に連続的に流入して観測すると、流動レートごとに該一定の微小粒径の核の発生が観測できた。この観測は、リアルタイム(in situ)物性変化を分光学的に定量化する観測機器を第1抽出部6の出口にセットして、流動レートをパラメータに粒径を観測することで実現される。なお、マクロな微小粒径の全体像を得るには、濁度計を用いてもよい。
【0034】
これに対して、非テイラー渦流動状態では、観測される微小粒径の分布は幅の広いものとなる。
【0035】
これを、図5で模式的に説明する。図5(a)は、テイラー渦状流動状態(Z方向における混合量がきわめて小さい状態)における粒子の流れを示す図である。図5(b)は、非テイラー渦状流動状態(Z方向における混合量が大きい状態)における粒子の流れを示す図である。
【0036】
ここに供給口から、△と○の2つの粒子(分子)を同時投入したとすれば、図5(a)では、2つの粒子は、並行して間隙内を流動して概同時に出てくる。その間に、たとえば核発生などの△と○の相互作用が起こる。しかし、図5(b)では2つの粒子は間隙内で離散し、抽出部から出てくる時刻は異なる。したがって、核発生などの△と○の相互作用は起こりにくい。
【0037】
一方、核発生がある程度進行すると、その核を中心に結晶成長が始まり、マクロ的には液相から固相の相転移、結晶化が進行する。この結晶成長においては、すでに形成された核を成長センターとして、雪だるま式に結晶化が進行するので、流動状態は、テイラー渦状流動状態でなくてもよい。むしろテイラー渦状流動状態ではなく、やや斜めのドーナツ状となった螺旋管路が形成されない非テイラー渦状流動状態となることが望ましい。
【0038】
第2反応装置11は、流動状態を第2間隙24で被反応材の混合と結晶成長とがなされる第2間隙内流動パターンとし、結晶成長を行う。
【0039】
なお、本実施形態では第1反応装置10と第2反応装置11とをカスケード接続したが、これに限られることはなく、複数の反応装置をカスケード接続してもよい。例えば図6に示すように3つの反応装置12〜14をカスケード接続してもよい。
【0040】
また、連続晶析装置では、連続晶析装置のメンテナンス後の立ち上げ時のように、装置内に被反応材がない状態から、被反応材、または被反応材に相当する流体を流す場合、トラブルによって装置から被反応材を早急に抽出する場合がある。
【0041】
このような場合には、連続晶析装置の中間付近である第2反応装置11の上流側に位置する第2固定中空外筒21の側壁の一部を可撓性とし、図15に示すように可撓性の箇所を外部から押圧して、第2間隙24の径方向の幅を小さくし、第2反応装置の第2内筒22の回転レートを高速回転とする。これにより、第2間隙24の径方向の幅を小さくした固定中空外筒21近傍の静圧を低くし、上流側との圧力差によって、上流側の流体を下流側へ吸引して、流体を連続晶析装置から抽出する。
【0042】
以下、実施例により本発明を説明するが、下記実施例により本発明が限定されるものではない。
【0043】
第1反応装置において、第1固定中空外筒の内径は84.3mmであり、第1内筒の外径は75.7mmである。第1間隙の径方向の長さは、4.3mmである。第1内筒の回転軸方向の長さは230mmである。
【0044】
また、第2反応装置において、第1固定中空外筒の内径は84.3mmであり、第2内筒の外径は78.8mmである。第2間隙の径方向の長さは、2.75mmである。第2内筒の回転軸方向の長さは130mmである。
【0045】
被反応材は0.8mol/Lの塩化バリウム(BaCl2)水溶液と0.8mol/Lの硫酸ナトリウム(Na2SO4)水溶液とを用いる。この被反応材を1ml/minで第1反応装置の第1供給部へ圧入した。第1内筒の回転数は1500rpmとし、第1反応装置における反応時間は10秒とした。
【0046】
そして、第1反応装置から抽出された被反応材を第2反応装置の第2供給部へ圧入する。第1反応装置の第2内筒の回転数は1300rpmとし、第2反応装置の反応時間は10秒とした。
【0047】
第2反応装置から抽出された被反応材を調べたところ、スラリー濃度は18.7%であり、平均粒径は0.837μmの硫酸バリウムを含む被反応材を得ることができた。
【0048】
本実施形態の効果について説明する。
【0049】
本発明の連続晶析装置は、第1反応装置10において、第1間隙4の流動状態をテイラー渦状流動状態とすることで、被反応材に核を発生させる。そして第1反応装置10から第2反応装置11へ被反応材を供給し、第2反応装置11において、被反応材の結晶成長を進行させる。これにより、図3に示すように、第1反応装置10において核発生をさせた後に、第2反応装置11において結晶成長が行われる。そのため、良好な特定結晶径のみを晶析させることができ、後工程における分離が不要となり、生産歩留まりを向上することができる。
【0050】
次に本発明の第2実施形態について図7を用いて説明する。図7は、本実施形態の連続晶析装置を示す概略図である。ここでは、第1実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
【0051】
第2反応装置32の第2供給部33は、第2反応装置32の第2抽出部34よりも第1反応装置30の第1抽出部31に近い位置に配置される。ここでは、第2反応装置32の第2供給部33が、第1反応装置30の第1抽出部31と対峙するように設けられる。第1反応装置30の第1抽出部31と第2反応装置32の第2供給部33とは、管路によって接続されている。なお、第1抽出部31と第2供給部33と接続する管路は、できる限り短くすることが望ましい。
【0052】
本実施形態の効果について説明する。
【0053】
第2反応装置32の第2供給部33を、第2反応装置32の第2抽出部34よりも第1反応装置30の第1抽出部31に近い位置に配置する。これにより、第1反応装置30の第1抽出部31と第2反応装置32の第2供給部33とを接続する管路の長さを短くすることができる。また、管路を曲げずに第1反応装置30の第1抽出部31と第2反応装置32の第2供給部33とを連結することができる。これによって、管路における被反応材の流動に乱れが生じることを抑制し、第1反応装置30で形成された核が破壊されることを抑制し、また核が不均一なサイズとなることを抑制し、第2反応装置32での結晶成長を効率よく行うことができる。
【0054】
次に本発明の第3実施形態について図8、図9を用いて説明する。図8は、本実施形態の連続晶析装置を示す概略図である。図9は図8のXI-XI断面の概略図である。ここでは、第2実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
【0055】
本実施形態は、第1反応装置40の第1内筒41の回転軸および第2反応装置42の第2内筒43の回転軸が、鉛直方向に沿うように、第1反応装置40および第2反応装置42が配置される。なお、第1反応装置40および第2反応装置42の配置は、これに限られることはなく、第1反応装置40および第2反応装置42が縦置きに配置されればよい。
【0056】
第1反応装置40は、第2反応装置42よりも鉛直方向上側に配置される。第1反応装置40では、鉛直方向上側に第1供給部44が設けられ、第1供給部44よりも下側に第1抽出部45が設けられる。
【0057】
第2反応装置42では、鉛直方向上側に第2供給部46が設けられ、第2供給部46よりも下側に第2抽出部47が設けられる。
【0058】
第1反応装置40の第1抽出部45と、第2反応装置42の第2供給部46とは、図9に示すように管路48によって接続されている。管路48は、第1反応装置40の第1内筒41の回転方向に沿って管路48内を被反応材が流れるように設けられる。つまり、管路48は、第1反応装置40の第1内筒41の回転方向に沿って湾曲し、第1反応装置40の第1抽出部45から第2反応装置42の第2供給部46へ斜め下方に延びる管路である。管路48は、第1反応装置40で核を含む被反応材の流動ベクトルにできるだけ沿った管路とすることが望ましい。
【0059】
本実施形態では、第1反応装置40と第2反応装置42とは縦置きに配置されたが、これに限られることはなく、図10〜図13に示すように一方を横置きに配置しても良い。図10は第1反応装置15を横置きに配置した連続晶析装置を示す概略図であり、図11は図10のA矢視図である。図12は第2反応装置16を横置きに配置した連続晶析装置を示す概略図であり、図13は図12のA矢視図である。
【0060】
本実施形態の効果について説明する。
【0061】
本実施形態においても第2実施形態と同様の効果を得ることができ、特に本実施形態では管路48を第1反応装置40の第1内筒41の回転方向に沿って斜め湾曲し、さらに下方に延設することで、管路48における核の破壊をさらに抑制し、また核が不均一なサイズとなることをさらに抑制することができる。
【0062】
次に本発明の第4実施形態について図14を用いて説明する。図14は本実施形態の連続晶析装置を示す概略図である。ここでは第2実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
【0063】
第1反応装置50は、第1反応装置50の第1抽出部51から抽出される被反応材中の核発生状態を検出する第1検出部52と、第1検出部52による核発生状態に基づいて第1供給部53から圧入される被反応材の流動レートを制御する流動レート制御部54とをさらに備える。第1内筒回転レート制御部55は、第1検出部52による核発生状態に基づいて第1内筒2の回転レートを制御する。
【0064】
第1検出部52は、第1抽出部51の近傍に設けられ、被反応材の濁度によって被反応材の核発生状態を検知する。なお、第1検出部52は、特定の分子振動を赤外吸収、ラマン散乱で検知してもよい。
【0065】
流動レート制御部54は、第1検出部52の検知信号に基づいて、被反応材の核発生が促進されるように流動レートを微調整制御する。
【0066】
第2反応装置60は、第2反応装置60の第2抽出部61から抽出される被反応材中の結晶成長状態を検出する第2検出部62をさらに備える。第2内筒回転レート制御部63は、第2検出部62による結晶成長状態に基づいて第2内筒22の回転レートを制御する。
【0067】
第2検出部62は、第2抽出部61の近傍に設けられる。第2検出部62の構成は、第1検出部52と同様の構成である。
【0068】
なお、本実施形態では、第1検出部52を第1抽出部51の近傍に設け、第2検出部62を第2抽出部61の近傍に設けたが、これに限られることはない。例えば、第1反応装置の固定中空外筒の全部または一部が電磁波(光を含む)を透過する素材である場合には、この透過部位において核発生状態を検出することができる。また、例えば、第1反応装置の固定中空外筒の全部または一部が、ガラスや透明アクリル樹脂で或る場合には、ガラスなどの部位において核発生状態を検出することができる。これらの情報を用い、例えば第1反応装置における流動レートを制御することで、高度な晶析クオリティを得ることができる。
【0069】
本実施形態の効果について説明する。
【0070】
第1検出部52によって第1反応装置50における核発生状態を検出し、その検出結果に基づいて被反応材の流動レート、第1内筒2の回転レートを制御することで、第1反応装置50における核形成を正確に行うことができる。また、第2検出部62によって第2反応装置60における結晶成長状態を検出し、その検出結果に基づいて第2内筒22の回転レートを制御することで、第2反応装置60における結晶成長を正確に行うことができる。
【0071】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0072】
1 第1固定中空外筒
2、41 第1内筒
3 第1回転部(第1回転手段)
5、44、53 第1供給部(第1供給手段)
6、31、45、51 第1抽出部(第1抽出手段)
7、55 第1内筒回転レート制御部(第1内筒回転レート制御手段)
10、15、30、40、50 第1反応装置
11、16、32、42、60 第2反応装置
22、43 第2内筒
23 第2回転部(第2回転手段)
25、33、46 第2供給部(第2供給手段)
26、34、47、61 第2抽出部(第2抽出手段)
27、63 第2内筒回転レート制御部(第2内筒回転レート制御手段)
52 第1検出部(第1検出手段)
54 流動レート制御部
62 第2検出部(第2検出手段)
【技術分野】
【0001】
本発明は、連続晶析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
CT(Couette−Taylor)反応装置、STT(Spinning Tube in a Tube)反応装置(STT反応装置)およびこれらを用いた製造方法に関する従来技術は、特許文献1から特許文献6に開示されている。
【0003】
特許文献1は、CT反応装置(STT反応装置)の基本構成と物理的な処理について記載している。
【0004】
特許文献2は、CT反応装置(STT反応装置)をカスケード(直列)に連結した構成を示し、たとえば酸化・エステル化・再酸化・再エステル化・水添といった複数の異なる化学反応を(連続)フロー系で行う方法を開示している。
【0005】
一方、特許文献3から特許文献6は、CT反応装置(STT反応装置)をもちいた(連続)フロー系の貧濃度晶析(Drowing−out crystallization)法、および装置(システム)を開示している。
【0006】
同様に、非特許文献1から非特許文献7は、CT反応装置(STT反応装置)をもちいた(連続)フロー系の気液反応、乳化晶析、貧濃度晶析(Drowing−out crystallization)の実験と従来装置と比較したその効果について開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】日本国特許第3309093号公報
【特許文献2】米国特許第7098360号明細書
【特許文献3】韓国特許出願公開第10−2006−0067823号明細書
【特許文献4】韓国特許出願公開第10−2006−0067824号明細書
【特許文献5】韓国特許出願公開第10−2006−0067867号明細書
【特許文献6】韓国特許出願公開第10−2006−0067870号明細書
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Woo-Sik KIM.et al [Gas-liquid reaCTion of CaCO3] Cryst Res Tech 2005
【非特許文献2】Woo-Sik KIM.et al [Micro Emulation Crystallization] I&EC-Res 2005
【非特許文献3】Woo-Sik KIM. et al [Drowing-out crystallization of GMP] I&EC-Res 2009
【非特許文献4】Sung Hoon Kang, Woo-Sik Kim, Journal of Crystal Growth 254 (2003) 196-205.
【非特許文献5】Wang Mo Jung, Woo-Sik Kim, Chemical Engineering Science 55 (2000) 733-747.
【非特許文献6】Dong-Myung Shin, Woo-Sik Kim, Chemical Engineering of Japan 35 (2002)1083-1090
【非特許文献7】Taesung Jung, Woo-Sik Kim, Crystal Growth & Design 4 (2004) 419-495
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、従来の晶析装置では、有用結晶径以外の結晶が混在して現れるため、後工程で分離が必要であって生産歩留まりが極めて悪いといった問題点があった。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するために発明されたものであり、良好な特定結晶径の晶析を実現し、後工程において分離させることなく有用結晶を得ることができるようにし、生産歩留まりを向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の連続晶析装置は、第1固定中空外筒と、第1固定中空外筒の内壁との間に第1間隙を形成し、第1固定中空外筒と同軸上に配置される第1内筒と、第1内筒を回転させる第1回転手段と、第1間隙に被反応材を供給する第1供給手段と、第1内筒の回転によって第1間隙を進んだ被反応材を第1間隙から抽出する第1抽出手段とを有する第1反応装置と、第2固定中空外筒と、第2固定中空外筒の内壁との間に第2間隙を形成し、第2固定中空外筒と同軸上に配置される第2内筒と、第2内筒を回転させる第2回転手段と、第1抽出手段から抽出された被反応材を第2間隙に供給する第2供給手段と、第2内筒の回転によって第2間隙を進んだ被反応材を第2間隙から抽出する第2抽出手段とを有する第2反応装置とを備える連続晶析装置であって、第1反応装置は、被反応材が第1間隙をテイラー渦状の螺旋流動で進行し、被反応材の混合と核発生とが生じるように第1回転手段を制御する第1内筒回転レート制御手段を備え、第2反応装置は、第2間隙で前記被反応材の混合と結晶成長とが生じるように第2回転手段を制御する第2内筒回転レート制御手段を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明では、第1反応装置において核発生を行い、第2反応装置において結晶成長を行うことができるので、結晶径の揃った結晶を作成することができ、そのことにより後工程における分離を不要とし、生産歩留まりを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態の連続晶析装置を示す概略図である。
【図2】図1のII-II断面の一部を示す概略図である。
【図3】晶析現象の段階を示す模式図である。
【図4】(a)テイラー渦が生じた流動状態を示す図である。(b)テイラー渦が生じていない流 動状態を示す図である。
【図5】(a)テイラー渦状流動状態における粒子の流れを示す図である。(b)非テイラー渦状 流動状態における粒子の流れを示す図である。
【図6】連続晶析装置の他の例を示す図である。
【図7】本発明の第2実施形態における連続晶析装置の概略図である。
【図8】本発明の第3実施形態における連続晶析装置の概略図である。
【図9】図8のXI-XI断面における概略図である。
【図10】連続晶析装置の他の例を示す図である。
【図11】図10のA矢視図である。
【図12】連続晶析装置の他の例を示す図である。
【図13】図12のA矢視図である。
【図14】本発明の第4実施形態における連続晶析装置の概略図である。
【図15】連続晶析装置から流体を素早く抽出するときの第2反応装置の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1実施形態における連続晶析装置について図1、図2を用いて説明する。図2は、図1のII-II断面の一部を示す概略図である。本実施形態の連続晶析装置は、第1反応装置10と、第2反応装置11とを備える。第1反応装置10と第2反応装置11とはカスケード(直列)接続されている。
【0015】
第1反応装置10は、第1固定中空外筒1と、第1固定中空外筒1の内壁と概一定な第1間隙4を保ちつつ、第1固定中空外筒1と同軸に配置された第1内筒2と、第1内筒2を回転させる第1回転部3と、第1間隙4の一端に被反応材を圧入する第1供給部5と、第1間隙4の他端から反応後の被反応材を抽出する第1抽出部6と、第1間隙4での流動が、被反応材の混合と核発生とがなされる第1間隙内流動パターンとなるように第1内筒2の回転レートを制御する第1内筒回転レート制御部7とを具備する。第1反応装置10は、第1内筒2の回転軸が水平方向に沿うように配置される。なお、第1反応装置10の配置は、これに限られることはなく、横置きであればよい。
【0016】
第1供給部5は、第1間隙4に圧入する被反応材の流動レートを制御する。被反応材の流動レートは、第1間隙4において第1間隙内流動パターンとなるように制御される。つまり、流動レートは、第1間隙4において、被反応材の混合と核発生とがなされるように設定される。これにより、被反応材の混合と核発生に必要な滞留時間が得られる。
【0017】
第1抽出部6は、鉛直方向下側から被反応材が抽出されるように設けられる。これにより、被反応材を第1抽出部6から抽出する流動エネルギーを重力によっても得ることができる。
【0018】
第1反応装置10は、第1固定中空外筒1の内径と、第1内筒2の外径とによって決まる第1間隙4の径方向の長さが、第1間隙4において第1間隙内流動パターンとなるように設けられている。また、第1反応装置10の第1内筒2の長さは、第1間隙4内で被反応材の混合と所望の核発生とが完了するために十分な長さである。そのため、被反応材の混合と核発生に必要な滞留時間が得られる。
【0019】
第1反応装置10においては、第1内筒2の回転中に、被反応材が第1供給部5によって第1間隙4に概一定な流動レートで圧入され、被反応材が第1間隙4で螺旋状の流路を形成して高いせん断力を受けながら流動することで、被反応材が物理・化学反応する。すなわち、被反応材にメカノケミカル反応を起こさせる事ができる。
【0020】
第2反応装置11は、第2固定中空外筒21と、第2固定中空外筒21の内壁と概一定な第2間隙24を保ちつつ、第2固定中空外筒21と同軸に配置された第2内筒22と、第2内筒22を回転させる回転部23と、第1反応装置10の第1抽出部6と管路によって結合して第2間隙24の一端に被反応材を供給する第2供給部25と、第2間隙24の他端から反応後の被反応材を抽出する第2抽出部26と、第2間隙24で被反応材の混合と結晶成長とがなされる第2間隙内流動パターンとなるように第2内筒22の回転レートを制御する第2内筒回転レート制御部27とを具備する。第2反応装置11は、第2内筒22の回転軸が水平方向に沿うように配置される。なお、第2反応装置11の配置は、これに限られることはなく、横置きであればよい。
【0021】
第2供給部25は、第2間隙24に圧入する被反応材の流動レートを制御する。被反応材の流動レートは、第2間隙24において第2間隙流動パターンとなるように制御される。つまり、流動レートは、第2間隙24において、被反応材の混合と結晶成長とがなされるように設定される。これにより、被反応材の混合と結晶成長に必要な滞留時間が得られる。
【0022】
第2反応装置11は、第2固定中空外筒21の内径と、第2内筒22の外径とによって決まる第2間隙24の径方向の長さが、第2間隙24において第2間隙内流動パターンとなるように設けられる。また、第2反応装置11の第2内筒22の長さは、第2間隙24内で被反応材の混合と所望の結晶成長とが完了するために十分な長さである。これにより、被反応材の混合と結晶成長に必要な滞留時間が得られる。
【0023】
第2反応装置11においては、第2内筒22の回転中に、被反応材が第1反応装置10の第1抽出部6を経由して第2間隙24に流入し、被反応材が第2間隙24に沿った流路にてせん断力を受けながら流動することで、被反応材が物理・化学反応する。すなわち、被反応材にメカノケミカル反応を起こさせる事ができる。
【0024】
第1反応装置10の第1内筒2の長さ、第2反応装置11の第2内筒22の長さなどは、実験や理論計算などによって適宜決められる。
【0025】
第1反応装置10の第1抽出部6と第2反応装置11の第2供給部25とを接続する管路の内面は、全面的に流体力学的に円滑な表面である。また、かみ合わせ部や、溶接などの接合部位の表面も円滑な表面とすることが望ましい。
【0026】
第1内筒2の回転レートおよび第2内筒22の回転レートの最適値は、被反応材で異なるので一概に言えないが、概して第1内筒2の回転レートは、第2内筒22の回転レートよりも遅く、第1間隙4で被反応材にテイラー渦状の螺旋流動が誘起されることが必要である。
【0027】
ここで、テイラー渦状と記したのは、厳密には、流体を流入流出させることのない二重円筒容器における「テイラー渦(Taylor−Vortex)」と異なり、本実施形態では外部から二重円筒容器に流体を流入し、螺旋流動が誘起されているからである。
【0028】
ここで、テイラー渦が生じている状態を、図4(a)に示す。この状態では、間隙にドーナツ状の擬似管路ができ、かかる管路中に二次旋回が発生している。テイラー渦の生じていない流動状態では、内筒回転からせん断力をうけた流体はクリーピング(擦れ)によって内筒より遅い相対速度で同軸回転するが、前記の擬似管路も二次旋回もない。
【0029】
テイラー渦が生じているテイラー渦流動状態では、ドーナツ状の准孤立流動(反応)ゾーンができ、円筒管軸方向(Z方向)の流体混合がきわめて小さい。簡単に言えば、テイラー渦の流動状態では、流体がドーナツ状の疑似管路に閉じ込められる(図4(a)参照)。
【0030】
一方、テイラー渦が生じていない非テイラー渦流動状態では、ドーナツ状の准孤立流動(反応)ゾーンはできず、円筒管軸方向(Z方向)の流体混合は、乱流域の流動であれば活発である(図4(b)参照)。
【0031】
1930−40年代から蓄積された論文や数値データベース資料に記載された、種々の流体種を密度と粘性係数などでキャラクタライズした無次元数、レイノルズ数のような流速にかかわる無次元数、同様に装置スケール(間隙幅や円筒径)の無次元数等と、テイラー渦流動状態の有無との関係から、テイラー渦流動状態を生ぜしめる条件が決定できる。ここでは、詳述は割愛するが、晶析させたい対象物の物性と装置スケールから、テイラー渦流動状態となる内筒の回転レートの範囲は決定される。
【0032】
第1反応装置10における流動状態は、テイラー渦状流動状態であり、上記の過去の知見から得られるテイラー渦流動状態となる回転レートで内筒を回転させると、流動レートに応じて、やや斜めのドーナツ状の疑似管路が形成される。つまり、第1間隙4には流動レートに応じて、やや斜めドーナツ状となった螺旋管路が形成される。第1反応装置10では、円筒管軸方向(Z方向)の流体混合がきわめて小さい。このテイラー渦状の流動状態が、第1間隙流動パターンである。なお、第1間隙流動パターンは、螺旋管路内でも二次旋回流動ベクトルを有する進行型のテイラー渦状の流動状態となることが望ましい。
【0033】
第1反応装置10における、晶析の核発生現象に注目すると、やや斜めドーナツ状となった螺旋管路が形成された状態で晶析すべき液相分子が、テイラー渦状の斜めドーナツ状准孤立流動(反応)ゾーンにて、併走して核形成反応を行う。被反応材を第1反応装置10に連続的に流入して観測すると、流動レートごとに該一定の微小粒径の核の発生が観測できた。この観測は、リアルタイム(in situ)物性変化を分光学的に定量化する観測機器を第1抽出部6の出口にセットして、流動レートをパラメータに粒径を観測することで実現される。なお、マクロな微小粒径の全体像を得るには、濁度計を用いてもよい。
【0034】
これに対して、非テイラー渦流動状態では、観測される微小粒径の分布は幅の広いものとなる。
【0035】
これを、図5で模式的に説明する。図5(a)は、テイラー渦状流動状態(Z方向における混合量がきわめて小さい状態)における粒子の流れを示す図である。図5(b)は、非テイラー渦状流動状態(Z方向における混合量が大きい状態)における粒子の流れを示す図である。
【0036】
ここに供給口から、△と○の2つの粒子(分子)を同時投入したとすれば、図5(a)では、2つの粒子は、並行して間隙内を流動して概同時に出てくる。その間に、たとえば核発生などの△と○の相互作用が起こる。しかし、図5(b)では2つの粒子は間隙内で離散し、抽出部から出てくる時刻は異なる。したがって、核発生などの△と○の相互作用は起こりにくい。
【0037】
一方、核発生がある程度進行すると、その核を中心に結晶成長が始まり、マクロ的には液相から固相の相転移、結晶化が進行する。この結晶成長においては、すでに形成された核を成長センターとして、雪だるま式に結晶化が進行するので、流動状態は、テイラー渦状流動状態でなくてもよい。むしろテイラー渦状流動状態ではなく、やや斜めのドーナツ状となった螺旋管路が形成されない非テイラー渦状流動状態となることが望ましい。
【0038】
第2反応装置11は、流動状態を第2間隙24で被反応材の混合と結晶成長とがなされる第2間隙内流動パターンとし、結晶成長を行う。
【0039】
なお、本実施形態では第1反応装置10と第2反応装置11とをカスケード接続したが、これに限られることはなく、複数の反応装置をカスケード接続してもよい。例えば図6に示すように3つの反応装置12〜14をカスケード接続してもよい。
【0040】
また、連続晶析装置では、連続晶析装置のメンテナンス後の立ち上げ時のように、装置内に被反応材がない状態から、被反応材、または被反応材に相当する流体を流す場合、トラブルによって装置から被反応材を早急に抽出する場合がある。
【0041】
このような場合には、連続晶析装置の中間付近である第2反応装置11の上流側に位置する第2固定中空外筒21の側壁の一部を可撓性とし、図15に示すように可撓性の箇所を外部から押圧して、第2間隙24の径方向の幅を小さくし、第2反応装置の第2内筒22の回転レートを高速回転とする。これにより、第2間隙24の径方向の幅を小さくした固定中空外筒21近傍の静圧を低くし、上流側との圧力差によって、上流側の流体を下流側へ吸引して、流体を連続晶析装置から抽出する。
【0042】
以下、実施例により本発明を説明するが、下記実施例により本発明が限定されるものではない。
【0043】
第1反応装置において、第1固定中空外筒の内径は84.3mmであり、第1内筒の外径は75.7mmである。第1間隙の径方向の長さは、4.3mmである。第1内筒の回転軸方向の長さは230mmである。
【0044】
また、第2反応装置において、第1固定中空外筒の内径は84.3mmであり、第2内筒の外径は78.8mmである。第2間隙の径方向の長さは、2.75mmである。第2内筒の回転軸方向の長さは130mmである。
【0045】
被反応材は0.8mol/Lの塩化バリウム(BaCl2)水溶液と0.8mol/Lの硫酸ナトリウム(Na2SO4)水溶液とを用いる。この被反応材を1ml/minで第1反応装置の第1供給部へ圧入した。第1内筒の回転数は1500rpmとし、第1反応装置における反応時間は10秒とした。
【0046】
そして、第1反応装置から抽出された被反応材を第2反応装置の第2供給部へ圧入する。第1反応装置の第2内筒の回転数は1300rpmとし、第2反応装置の反応時間は10秒とした。
【0047】
第2反応装置から抽出された被反応材を調べたところ、スラリー濃度は18.7%であり、平均粒径は0.837μmの硫酸バリウムを含む被反応材を得ることができた。
【0048】
本実施形態の効果について説明する。
【0049】
本発明の連続晶析装置は、第1反応装置10において、第1間隙4の流動状態をテイラー渦状流動状態とすることで、被反応材に核を発生させる。そして第1反応装置10から第2反応装置11へ被反応材を供給し、第2反応装置11において、被反応材の結晶成長を進行させる。これにより、図3に示すように、第1反応装置10において核発生をさせた後に、第2反応装置11において結晶成長が行われる。そのため、良好な特定結晶径のみを晶析させることができ、後工程における分離が不要となり、生産歩留まりを向上することができる。
【0050】
次に本発明の第2実施形態について図7を用いて説明する。図7は、本実施形態の連続晶析装置を示す概略図である。ここでは、第1実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
【0051】
第2反応装置32の第2供給部33は、第2反応装置32の第2抽出部34よりも第1反応装置30の第1抽出部31に近い位置に配置される。ここでは、第2反応装置32の第2供給部33が、第1反応装置30の第1抽出部31と対峙するように設けられる。第1反応装置30の第1抽出部31と第2反応装置32の第2供給部33とは、管路によって接続されている。なお、第1抽出部31と第2供給部33と接続する管路は、できる限り短くすることが望ましい。
【0052】
本実施形態の効果について説明する。
【0053】
第2反応装置32の第2供給部33を、第2反応装置32の第2抽出部34よりも第1反応装置30の第1抽出部31に近い位置に配置する。これにより、第1反応装置30の第1抽出部31と第2反応装置32の第2供給部33とを接続する管路の長さを短くすることができる。また、管路を曲げずに第1反応装置30の第1抽出部31と第2反応装置32の第2供給部33とを連結することができる。これによって、管路における被反応材の流動に乱れが生じることを抑制し、第1反応装置30で形成された核が破壊されることを抑制し、また核が不均一なサイズとなることを抑制し、第2反応装置32での結晶成長を効率よく行うことができる。
【0054】
次に本発明の第3実施形態について図8、図9を用いて説明する。図8は、本実施形態の連続晶析装置を示す概略図である。図9は図8のXI-XI断面の概略図である。ここでは、第2実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
【0055】
本実施形態は、第1反応装置40の第1内筒41の回転軸および第2反応装置42の第2内筒43の回転軸が、鉛直方向に沿うように、第1反応装置40および第2反応装置42が配置される。なお、第1反応装置40および第2反応装置42の配置は、これに限られることはなく、第1反応装置40および第2反応装置42が縦置きに配置されればよい。
【0056】
第1反応装置40は、第2反応装置42よりも鉛直方向上側に配置される。第1反応装置40では、鉛直方向上側に第1供給部44が設けられ、第1供給部44よりも下側に第1抽出部45が設けられる。
【0057】
第2反応装置42では、鉛直方向上側に第2供給部46が設けられ、第2供給部46よりも下側に第2抽出部47が設けられる。
【0058】
第1反応装置40の第1抽出部45と、第2反応装置42の第2供給部46とは、図9に示すように管路48によって接続されている。管路48は、第1反応装置40の第1内筒41の回転方向に沿って管路48内を被反応材が流れるように設けられる。つまり、管路48は、第1反応装置40の第1内筒41の回転方向に沿って湾曲し、第1反応装置40の第1抽出部45から第2反応装置42の第2供給部46へ斜め下方に延びる管路である。管路48は、第1反応装置40で核を含む被反応材の流動ベクトルにできるだけ沿った管路とすることが望ましい。
【0059】
本実施形態では、第1反応装置40と第2反応装置42とは縦置きに配置されたが、これに限られることはなく、図10〜図13に示すように一方を横置きに配置しても良い。図10は第1反応装置15を横置きに配置した連続晶析装置を示す概略図であり、図11は図10のA矢視図である。図12は第2反応装置16を横置きに配置した連続晶析装置を示す概略図であり、図13は図12のA矢視図である。
【0060】
本実施形態の効果について説明する。
【0061】
本実施形態においても第2実施形態と同様の効果を得ることができ、特に本実施形態では管路48を第1反応装置40の第1内筒41の回転方向に沿って斜め湾曲し、さらに下方に延設することで、管路48における核の破壊をさらに抑制し、また核が不均一なサイズとなることをさらに抑制することができる。
【0062】
次に本発明の第4実施形態について図14を用いて説明する。図14は本実施形態の連続晶析装置を示す概略図である。ここでは第2実施形態と異なる箇所を中心に説明する。
【0063】
第1反応装置50は、第1反応装置50の第1抽出部51から抽出される被反応材中の核発生状態を検出する第1検出部52と、第1検出部52による核発生状態に基づいて第1供給部53から圧入される被反応材の流動レートを制御する流動レート制御部54とをさらに備える。第1内筒回転レート制御部55は、第1検出部52による核発生状態に基づいて第1内筒2の回転レートを制御する。
【0064】
第1検出部52は、第1抽出部51の近傍に設けられ、被反応材の濁度によって被反応材の核発生状態を検知する。なお、第1検出部52は、特定の分子振動を赤外吸収、ラマン散乱で検知してもよい。
【0065】
流動レート制御部54は、第1検出部52の検知信号に基づいて、被反応材の核発生が促進されるように流動レートを微調整制御する。
【0066】
第2反応装置60は、第2反応装置60の第2抽出部61から抽出される被反応材中の結晶成長状態を検出する第2検出部62をさらに備える。第2内筒回転レート制御部63は、第2検出部62による結晶成長状態に基づいて第2内筒22の回転レートを制御する。
【0067】
第2検出部62は、第2抽出部61の近傍に設けられる。第2検出部62の構成は、第1検出部52と同様の構成である。
【0068】
なお、本実施形態では、第1検出部52を第1抽出部51の近傍に設け、第2検出部62を第2抽出部61の近傍に設けたが、これに限られることはない。例えば、第1反応装置の固定中空外筒の全部または一部が電磁波(光を含む)を透過する素材である場合には、この透過部位において核発生状態を検出することができる。また、例えば、第1反応装置の固定中空外筒の全部または一部が、ガラスや透明アクリル樹脂で或る場合には、ガラスなどの部位において核発生状態を検出することができる。これらの情報を用い、例えば第1反応装置における流動レートを制御することで、高度な晶析クオリティを得ることができる。
【0069】
本実施形態の効果について説明する。
【0070】
第1検出部52によって第1反応装置50における核発生状態を検出し、その検出結果に基づいて被反応材の流動レート、第1内筒2の回転レートを制御することで、第1反応装置50における核形成を正確に行うことができる。また、第2検出部62によって第2反応装置60における結晶成長状態を検出し、その検出結果に基づいて第2内筒22の回転レートを制御することで、第2反応装置60における結晶成長を正確に行うことができる。
【0071】
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、その技術的思想の範囲内でなしうるさまざまな変更、改良が含まれることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0072】
1 第1固定中空外筒
2、41 第1内筒
3 第1回転部(第1回転手段)
5、44、53 第1供給部(第1供給手段)
6、31、45、51 第1抽出部(第1抽出手段)
7、55 第1内筒回転レート制御部(第1内筒回転レート制御手段)
10、15、30、40、50 第1反応装置
11、16、32、42、60 第2反応装置
22、43 第2内筒
23 第2回転部(第2回転手段)
25、33、46 第2供給部(第2供給手段)
26、34、47、61 第2抽出部(第2抽出手段)
27、63 第2内筒回転レート制御部(第2内筒回転レート制御手段)
52 第1検出部(第1検出手段)
54 流動レート制御部
62 第2検出部(第2検出手段)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1固定中空外筒と、
前記第1固定中空外筒の内壁との間に第1間隙を形成し、前記第1固定中空外筒と同軸上に配置される第1内筒と、
前記第1内筒を回転させる第1回転手段と、
前記第1間隙に被反応材を供給する第1供給手段と、
前記第1内筒の回転によって前記第1間隙を進んだ前記被反応材を前記第1間隙から抽出する第1抽出手段とを有する第1反応装置と、
第2固定中空外筒と、
前記第2固定中空外筒の内壁との間に第2間隙を形成し、前記第2固定中空外筒と同軸上に配置される第2内筒と、
前記第2内筒を回転させる第2回転手段と、
前記第1抽出手段から抽出された前記被反応材を前記第2間隙に供給する第2供給手段と、
前記第2内筒の回転によって前記第2間隙を進んだ前記被反応材を前記第2間隙から抽出する第2抽出手段とを有する第2反応装置とを備える連続晶析装置であって、
前記第1反応装置は、
前記被反応材が前記第1間隙をテイラー渦状の螺旋流動で進行し、前記被反応材の混合と核発生とが生じるように前記第1回転手段を制御する第1内筒回転レート制御手段を備え、
前記第2反応装置は、
前記第2間隙で前記被反応材の混合と結晶成長とが生じるように前記第2回転手段を制御する第2内筒回転レート制御手段を備えることを特徴とする連続晶析装置。
【請求項2】
前記テイラー渦状の螺旋流動は、螺旋流動内で二次旋回流動ベクトルを有することを特徴とする請求項1に記載の連続晶析装置。
【請求項3】
前記第2供給手段は、前記第2抽出手段よりも前記第1抽出手段に近い位置に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の連続晶析装置。
【請求項4】
前記第1抽出手段と前記第2供給手段とを接続し、前記内筒の回転方向に沿って前記第1抽出手段から前記第2供給手段へ延設する管路を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の連続晶析装置。
【請求項5】
前記第1抽出手段は、前記第2供給手段よりも鉛直方向上側に位置することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の連続晶析装置。
【請求項6】
前記第1反応装置から抽出される前記被反応材の核発生状態を検出する第1検出手段を備え、
前記第1内筒回転レート制御手段は、前第1検出手段によって検出した前記核発生状態に基づいて前記第1内筒の回転レートを制御することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の連続晶析装置。
【請求項7】
前記第2反応装置から抽出される前記被反応材の結晶成長状態を検出する第2検出手段を備え、
前記第2内筒回転レート制御手段は、前記第2検出手段によって検出した前記結晶成長状態に基づいて前記第2内筒の回転レートを制御することを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の連続晶析装置。
【請求項8】
前記第1反応装置から抽出される前記被反応材の核発生状態を検出する第1検出手段と、
前記第1検出手段によって検出した前記核発生状態に基づいて前記第1供給手段による前記第1間隙への前記被反応材の流動レートを制御する流動レート制御手段とを備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の連続晶析装置。
【請求項1】
第1固定中空外筒と、
前記第1固定中空外筒の内壁との間に第1間隙を形成し、前記第1固定中空外筒と同軸上に配置される第1内筒と、
前記第1内筒を回転させる第1回転手段と、
前記第1間隙に被反応材を供給する第1供給手段と、
前記第1内筒の回転によって前記第1間隙を進んだ前記被反応材を前記第1間隙から抽出する第1抽出手段とを有する第1反応装置と、
第2固定中空外筒と、
前記第2固定中空外筒の内壁との間に第2間隙を形成し、前記第2固定中空外筒と同軸上に配置される第2内筒と、
前記第2内筒を回転させる第2回転手段と、
前記第1抽出手段から抽出された前記被反応材を前記第2間隙に供給する第2供給手段と、
前記第2内筒の回転によって前記第2間隙を進んだ前記被反応材を前記第2間隙から抽出する第2抽出手段とを有する第2反応装置とを備える連続晶析装置であって、
前記第1反応装置は、
前記被反応材が前記第1間隙をテイラー渦状の螺旋流動で進行し、前記被反応材の混合と核発生とが生じるように前記第1回転手段を制御する第1内筒回転レート制御手段を備え、
前記第2反応装置は、
前記第2間隙で前記被反応材の混合と結晶成長とが生じるように前記第2回転手段を制御する第2内筒回転レート制御手段を備えることを特徴とする連続晶析装置。
【請求項2】
前記テイラー渦状の螺旋流動は、螺旋流動内で二次旋回流動ベクトルを有することを特徴とする請求項1に記載の連続晶析装置。
【請求項3】
前記第2供給手段は、前記第2抽出手段よりも前記第1抽出手段に近い位置に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の連続晶析装置。
【請求項4】
前記第1抽出手段と前記第2供給手段とを接続し、前記内筒の回転方向に沿って前記第1抽出手段から前記第2供給手段へ延設する管路を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の連続晶析装置。
【請求項5】
前記第1抽出手段は、前記第2供給手段よりも鉛直方向上側に位置することを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の連続晶析装置。
【請求項6】
前記第1反応装置から抽出される前記被反応材の核発生状態を検出する第1検出手段を備え、
前記第1内筒回転レート制御手段は、前第1検出手段によって検出した前記核発生状態に基づいて前記第1内筒の回転レートを制御することを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の連続晶析装置。
【請求項7】
前記第2反応装置から抽出される前記被反応材の結晶成長状態を検出する第2検出手段を備え、
前記第2内筒回転レート制御手段は、前記第2検出手段によって検出した前記結晶成長状態に基づいて前記第2内筒の回転レートを制御することを特徴とする請求項1から6のいずれか一つに記載の連続晶析装置。
【請求項8】
前記第1反応装置から抽出される前記被反応材の核発生状態を検出する第1検出手段と、
前記第1検出手段によって検出した前記核発生状態に基づいて前記第1供給手段による前記第1間隙への前記被反応材の流動レートを制御する流動レート制御手段とを備えることを特徴とする請求項1から5のいずれか一つに記載の連続晶析装置。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図3】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図3】
【公開番号】特開2011−83768(P2011−83768A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207479(P2010−207479)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000230593)日本化学工業株式会社 (296)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000230593)日本化学工業株式会社 (296)
[ Back to top ]