説明

遊具用返し具及び、これを用いた遊具装置

【課題】ユーザの危険な行為を未然に防ぐことのできる返し具及び、遊具装置の提供。
【解決手段】本発明の遊具装置用返し具100は、無端枠体110と、連結部材120と、弾性シート130とを備える。連結部材120は無端枠体110に掛け渡され、弾性シート130が無端枠体110に張り渡される。そして、遊具装置用返し具100が、連結部材120により遊具装置上部に連結されることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊具装置に備えられる部材に関し、特に遊具用返し具や、これを用いた遊具装置である。
【背景技術】
【0002】
現在、ユーザ(幼児や年少の子供を想定している)が登り降り可能な遊具が、公園や遊園地等に設置されている。上記遊具は平衡感覚を高める遊具として、保護者にも人気がある。例えば、下記特許文献1には、従来の登り降り可能な遊具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−33137号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献に開示の技術のように、登り降り可能な遊具は、子供やその保護者に人気がある。上記のような遊具を設置する場合、遊具下方に柔らかい部材のマットや、ネット等を配置することが多い。ユーザが上記遊具から落下しても、上記マットやネットがユーザにかかる衝撃を緩和し、怪我を効果的に防止するからである。
しかしながら、上記遊具を提供するメーカが予想しない遊戯を上記子供等のユーザがすることが多い。遊具の上部に起立することも上記予想しない遊戯の一つである。登り降り可能な従来の遊具は、遊具上部に関する危険防止のための構成が採用されていなかった。もちろん屋根を備えた遊具は存在するが、この場合の屋根は、装飾のためや、雨風を防ぐためのものであった。本発明の目的は、室内遊園地等で設置される遊具装置で使用される返し具、及びこれを用いた遊具装置であって、簡単な構成でユーザに対する危険を防止する遊具装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を達成するための本発明は、遊具装置用返し具である。そして本発明の遊具装置用返し具は、無端枠体と、連結部材と、弾性シートとを備える。連結部材は無端枠体に掛け渡され、弾性シートが無端枠体に張り渡される。そして、遊具装置用返し具が、連結部材により遊具装置上部に連結されることを特徴とする。上記の構成を採用することにより、上記返し具により天井を形成することができる。そして、遊具装置上部に登るユーザに対し、これ以上登ることはできないという心理的抵抗を与えることができる。
【0006】
上記の構成において、無端枠体周囲に、垂れ幕を垂下することで、ユーザが、遊具装置上部に登ったとしても、垂れ幕によりそれ以上の高さに登ることを防止することができる。すなわち、上部に登ったユーザが垂れ幕に掴まることで、ユーザにこれ以上登ることができないと強く思わせることが可能となる。無端枠体の形状は設置する遊具装置に合わせて任意の形状を採用することができるが、リング形状を採用することで、多くの遊具装置に適用可能返し具を構成することが可能となる。
【0007】
無端枠体に張り渡される弾性シートの一部をメッシュ140で形成する構成を採用してもよい。これにより、遊具装置上部の風通しが良くなり、当該遊具装置上部から、更に上方の景色を視認することが可能となる。
遊具装置上部の外径より広い外径を備えた上記の構成の遊具装置用返し具を当該遊具装置上部に備えた遊具装置を構成することが望ましい。遊具装置上部に上記返し具により天井を形成し、上記遊具装置に登るユーザに、これ以上登ることはできないという心理的抵抗を与えることが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の遊具装置用返し具は、無端枠体と、連結部材と、弾性シートとを備える。連結部材は無端枠体に掛け渡され、弾性シートが無端枠体に張り渡される。そして、遊具装置用返し具が、連結部材により遊具装置上部に連結されることを特徴とする。上記の構成を採用することにより、上記返し具により天井を形成することができる。そして、遊具装置上部に登るユーザに対し、これ以上登ることはできないという心理的抵抗を与えることができる。
【0009】
更に、無端枠体周囲に、垂れ幕を垂下することで、ユーザが、遊具装置上部に登ったとしても、垂れ幕によりそれ以上の高さに登ることを防止することができる。すなわち、上部に登ったユーザが垂れ幕に掴まることで、ユーザにこれ以上登ることができないと強く思わせることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係る遊具用返し具の全体構成を示す概念図である。
【図2】本発明の実施形態に係る遊具用返し具を備えた遊具装置の全体構成を示す概念図である。
【図3】本発明の実施形態に係る遊具用返し具の全体構成を示す概念図である。
【図4】遊具装置本体の全体構成を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明の遊具装置用返し具100について図面を参照して説明する。図1は、本発明の遊具装置用返し具100の全体構成を示す概略模式図であり、図2は本発明の遊具装置用返し具100を備えた遊具装置200の概略模式図である。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
まず、本発明の遊具装置用返し具100について説明する。上記返し具100を設ける遊具装置本体210には、上部に把持部材240(ユーザが掴まることや、起立することが可能な部材をいう。)が備わっている。すなわち、上記把持部材210に危険な態様で掴まることや、起立することを防止するために、本発明の返し具100を当該遊具装置本体210に設けることになる。
【0012】
返し具100は、枠体110に連結部材120を取り付けることで構成される。例えば、円形の返し具100を形成する場合、リング形状の枠体110(本発明の無端枠体110に相当する。)を形成し、当該枠体110に連結部材120を連結する。本発明では、上記リング枠体110の中心に対して対称となるように、上記連結部材120を固定した。上記連結部材120により、返し具100が遊具装置本体210に固定されることになる。すなわち、遊具装置本体210上部にある部材(上記連結部材120に連結可能な形状であればよい。)と、上記連結部材120を公知の連結手段により連結することになる。なお、上記返し具100は円形以外の形状であっても構わない。例えば、矩形状の返し具100を形成する場合は、上記枠体110を矩形状に形成すればよい。
【0013】
次に、上記のように構成した枠体110に弾性シート130を張る。まず、枠体110及び連結部材120を所定の衝撃吸収材で被覆する。この衝撃吸収材は、枠体110及び連結部材120の外周等にウレタン等の発泡体を被覆する。そして、衝撃吸収材を枠体110及び連結部材120に被覆した後、当該衝撃吸収材の表面に、ゴム樹脂を塗布することで、衝撃吸収材の表面を撥水加工する。なお、上記衝撃吸収材は、ウレタン以外の組成物であってもよく、ポリエチレン等の発泡体等の衝撃吸収材が好適に用いられる。なお、ゴム樹脂の他に、可撓性の装飾シートで被覆しても構わない。
【0014】
そして、上記枠体110内部の開口に、合成樹脂等の弾性シート130を張り渡し、本発明の返し具100が構成される。なお、上記のように構成した返し具100には垂れ幕135を設けてもよい。例えば、図2(B)に示すように、上記枠体110から垂れ幕135を垂下する構成を採用する。なお、弾性シート130の一部をメッシュ140で形成することで、上記メッシュ140から上方の景色を視認することができる。
【0015】
無端枠体110は、一体形成されなくても構わない。例えば、図3に示す遊具装置用返し具100に示すように、複数の枠体部材115を多角形状(本実施例では12角形状)に連結する構成を採用しても構わない。枠体部材115として鉄以外に、プラスチック等の高分子樹脂を用いることで、返し具100全体の重量を減少させることが可能となる。
次に、上記のように構成した遊具装置用返し具100を設置する遊具装置本体210を説明する。図2(B)、図4に示すように、本発明の遊具装置本体210は、基板220に立設した支柱230と、当該支柱230上方から回転可能に垂下されたアーム240を備える。まず、所定の基板220を形成し、当該基板220中央に、支柱230を立設することになる。上記基板220に立設される支柱230は、後述の駆動モータ設置装置300を嵌合可能なように、内部が空洞の円筒を用いることが望ましい。
【0016】
次に、駆動モータ310を支柱230上部に配置するための駆動モータ設置装置300を形成する。上記駆動モータ設置装置300は、上部回転体320と下部連結部材350とを有する。上部回転体320は、駆動モータ310を支持する駆動モータ支持部330及び、アーム240(ユーザが掴まるための部材を称する。以下同じ。)を支持するアーム支持部340を備える。そして、上部回転体320は、下部連結部材350に対して同心軸に支持され、上部回転体320が上記同心軸周りに回転可能に支持されている。更に、駆動モータ310はその回転軸を下にした状態で上記上部回転体320に支持され、駆動モータ310の回転軸が回転すると、当該上部回転体320が下部連結部材350の同心軸周りに回転するように構成されている。例えば固定板362上面中心にシャフト360を立設し、当該シャフト360を上部回転体320に形成された貫通孔に回転可能に貫通させる。そして、上記駆動モータ310により回転可能なカップリングを上記シャフト360に固定することで、当該駆動モータ310の回転軸が回転すると、駆動モータ310を支持している上部回転体320が上記シャフト360を軸として回転することになる。なお、上記固定板362及び、シャフト360が、下部連結部材350に相当する。
【0017】
更に、本実施例では、上記上部回転体320にアーム240を支持するアーム支持部340を備える。例えば、図4(A)、図4(B)に示すように、円周上に複数の管体(例えばパイプ342)を並べ、当該複数のパイプ342の内径と同一形状の孔を形成した上下板(2枚の板344,346で構わない)で当該複数のパイプ342を挟むことでアーム支持部340を形成する。従って、上記アーム支持部340は、上記複数のパイプ342の孔が貫通した状態で当該複数のパイプ342が上下板344,346で挟まれた構成である。もちろん、上記アーム支持部340の中央は上記シャフト360が回転可能に貫通する程度の孔が形成されることになる。
【0018】
一方、上記アーム支持部340に支持されるアーム240には、その一方端部から所定距離離れた箇所にフランジが形成される。そして、上記アーム支持部340に形成された孔に上記アーム240の上記フランジが形成された方の端部を挿入することで、アーム240が支持される構成を採用する。
なお、駆動モータ支持部330は、図4(A)、図4(B)に示すように、上記アーム支持部340の上面に設けられる。上記のように駆動モータ支持部330は、駆動モータ310の回転軸を下にした状態で支持可能な構成を採用する。例えば、上記アーム支持部340の上面に駆動モータ支持台を形成する。そして、駆動モータ支持台の天板には、駆動モータ310の回転軸が貫通可能な孔が形成される。上記アーム支持部340上面に上記駆動モータ支持台を配置することで、上部回転体320が形成される。そして、上記上部回転体320を下部連結部材350に回転可能に支持し、駆動モータ310の回転軸と上記下部連結部材350のシャフト360とを例えばカップリングとで連結することで、駆動モータ設置装置300が形成される。上記の構成であれば、カップリングを介して、上記駆動モータ310の回転が上記シャフト360に伝えられ、上部回転体320が下部連結部材350に対して回転する構成となる。
【0019】
そして、上記のように構成した駆動モータ設置装置300を上記支柱230に取り付けることで、本発明の遊具装置本体210が形成される。すなわち、上記支柱230上部に上記駆動モータ設置装置300の下部連結部材350を嵌合し、ボルト、ナット等の固定手段で固定することで、図4に示すような、上部に駆動モータ310が配置された遊具装置本体210が形成される。
【0020】
上記のように構成した遊具装置本体210に本発明の返し具100が配置される。例えば、上記遊具装置本体210のアーム240上部に本発明の返し具100を配置することで、返し具100を配置した遊具装置200が構成される。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、遊具装置用返し具である。そして本発明の遊具装置用返し具は、無端枠体と、連結部材と、弾性シートとを備える。連結部材は無端枠体に掛け渡され、弾性シートが無端枠体に張り渡される。そして、遊具装置用返し具が、連結部材により遊具装置上部に連結されることを特徴とする。上記の構成を採用することにより、上記返し具により天井を形成することができる。そして、遊具装置上部に登るユーザに対し、これ以上登ることはできないという心理的抵抗を与えることができる。簡単な構成でユーザの危険な行為を未然に防止することが可能となるので、その産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0022】
100 返し具
110 無端枠体
120 連結部材
130 弾性シート
135 垂れ幕
140 メッシュ
200 遊具装置
220 基板
230 支柱
240 把持部材(アーム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端枠体と、
前記無端枠体に掛け渡された連結部材と、
当該無端枠体に張り渡される弾性シートとを備え、
前記連結部材により遊具装置上部に連結されることを特徴とする遊具装置用返し具。
【請求項2】
前記無端枠体周囲に、垂れ幕を垂下した、請求項1に記載の遊具装置用返し具。
【請求項3】
前記無端枠体がリング形状である請求項1に記載の遊具装置用返し具。
【請求項4】
前記無端枠体に張り渡される弾性シートの一部をメッシュで形成した請求項1に記載の遊具装置用返し具。
【請求項5】
遊具装置上部の外径より広い外径を備えた請求項1から4いずれか一項に記載の遊具装置用返し具を当該遊具装置上部に備えた遊具装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−100740(P2012−100740A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249552(P2010−249552)
【出願日】平成22年11月8日(2010.11.8)
【出願人】(301033639)ビーエルデーオリエンタル株式会社 (40)