説明

遊具装置

【課題】ユーザの興味を持続させることが可能な山型の遊具装置の提供。
【解決手段】本発明の遊具装置100は、登り台200と、装飾台300とを備える。登り台200は、ユーザが遊戯するための中空の空洞が形成されている。そして、空洞の内壁は、鏡220面になっている。装飾台300は、空洞の登り台200外側近傍に備えられ、装飾台300に備えた回転板の一部又は全部が、登り台200に形成された空洞から視認可能であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊具装置に関し、特に装置の外側を登り降り可能とし、装置の内部に鏡を備えた遊具装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、遊園地や公園に設置される、幼児等の年少のユーザが登り降り可能な遊具装置が開発されており、例えば、下記特許文献1には、周面に複数の階段部が形成され、滑り台を備えたコンクリート製の遊具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−116959号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来技術の遊具は、山型等のドーム型の登り台に、登り台、滑り台、トンネル等が備わっているもので、遊び方も単純なものとなり、ユーザが興味を持続することは少なかった。
上記遊具装置で対象とする幼児等の年少者は、動くものに対して興味を持続させ易いのであるが、従来の山型等のドーム型の遊具装置では、当該装置を動かすことについての考慮はされていなかった。上記のように、幼児等は、動くものについて興味を持続させ易いので、そのような遊具に対する要請は強い。
【0005】
本発明の目的は、山型の遊具装置においても、その一部を動かすことで幼児等の興味を持続させることのできる遊具装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するための本発明の遊具装置は、登り台と、装飾台とを備える。登り台は、ユーザが遊戯するための中空の空洞が形成され、空洞の内壁は、鏡面になっている。装飾台は、空洞の登り台外側近傍に備えられ、装飾台に備えた回転板の一部又は全部が、登り台の空洞から視認可能であることを特徴とする。
【0007】
上記登り台は、空洞内壁が鏡面となっており、上記装飾台は、装飾を施した回転板を設けた面を装飾面とし、装飾台に備えた回転板の一部又は全部が、登り台の空洞から視認可能な位置に(当該装飾面を空洞に対向する位置に)配置されるので、装飾を施した回転板が回転すると、その回転動作が、登り台の内壁に備えた鏡に映しだされることになる。
上記空洞を多角形状とすると、多角形状の各辺(各辺を一辺とする壁面をいう)に設けられた鏡に、上記回転板で回転する装飾部材の映像が繰り返し反射されることになる。したがって、空洞内にいるユーザに、万華鏡のように様々に変化する像を見せることが可能となる。
【0008】
上記の構成において、登り台に、ユーザが登り台を登り降り可能な把持部材を備えることが望ましい。登り台の外側は、ユーザが登り降りすることを補助するために、梯子等の把持部材を備える構成を採用することができる。この把持部材は、ユーザが掴める程度の大きさの岩を模した部材を登り台側面に備える構成を採用しても構わない。
更に、遊具装置の表面を衝撃吸収材で被覆することが望ましい。上記衝撃吸収材として、ウレタンが好適に用いられる。例えば、遊具装置の表面すなわち、登り台の側面や、装飾台の表面をウレタン等で被覆する構成を採用することができる。上記ウレタンを削って、遊具装置の表面が、岩場を模したように加工してもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、空洞内壁が鏡面となった登り台と、装飾を施した回転板を設けた面を装飾面とした装飾台を、当該装飾面を空洞に対向する方向に配置している。したがって、装飾を施した回転板が回転すると、その回転動作が、登り台の内壁に備えた鏡に映しだされることになる。これにより、登り台形状の遊具装置であっても、内部に備えた鏡に映る映像を様々に変化させることによって、幼児等の興味を持続させることが可能となる。
【0010】
登り台の外側は、梯子等の把持部材を備える構成を採用することで、ユーザが登り降りすることを補助することができる。
更に、遊具装置の表面を衝撃吸収材で被覆することで、ユーザが誤って遊具装置にぶつかったとしても、上記衝撃吸収材が衝撃を吸収することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る遊具装置の全体構成を示す概念図である。
【図2】把持部材及び、衝撃吸収材を被覆した本発明の実施形態に係る遊具装置を示す概念図である。
【図3】装飾台の正面図及び、装飾台を設置する位置を示す図である。
【図4】本発明の実施形態に係る遊具装置に使用される装飾台の回転機構を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明の遊具装置100について図面を参照して説明する。図1は、本発明の遊具装置100の全体構成を示す概略模式図であり、図2は後述の装飾カバーを示す図であり、図3、図4は、回転基体の概略模式図を示している。ただし、本発明に直接には関係しない各部の詳細は省略している。
すなわち、図1に示すように、本発明の遊具装置100は、中空の登り台200と、当該登り台の側面に設置される装飾台300とを備える。
【0013】
登り台200は、所定の高さを備えた上面視矩形状の基体210の上面短手方向両端部に、一対の登り台側面215を形成する。上記一対の登り台側面215は、その各上端を結合することで、上記登り台200に断面形状(側面形状)が三角形状の空洞が形成される。上記登り台200の断面形状は、三角形状だけでなく、四角形、五角形、六角形等の多角形になるように形成してもよい。この場合、基体210上面(登り台200の空洞内の床に相当する)を水平にした状態で、上記多角形を構成することが望ましい。なお、登り台200の中空の形状のみを上記多角形状として構成してよい。すなわち、登り台200の外側を三角形状に、登り台200の内側を多角形状として構成する。
【0014】
上記登り台200の内側には、鏡220が張り付けられる。すなわち、上記基体210の上面及び、上記一対の登り台200側面の内側全面に鏡220を張り付ける。上記鏡220は、通常のガラス素材やアクリル素材の鏡220でもよいし、透明板にアルミを蒸着した鏡シートを採用しても構わない。
上記登り台200側面の外側には、ユーザ(幼児や年少者を想定している)が登り降り可能な昇降手段が設けられる。例えば、本実施例では、上記登り台200側面に梯子250をかけて昇降手段とする。
【0015】
更に、図2に示すように、上記昇降手段として、岩の形状を模した大小様々の把持部材260を複数形成し、各把持部材260を所定間隔空けて上記登り台200側面に固定する構成を採用することができる。
次に装飾台300を形成する。装飾台300は、上記登り台200の側面に設けられる台で、後述のように、装飾台300の一方面には、装飾が施された回転板が設けられる。
【0016】
まず、上記登り台200の側面形状(空洞の形状をいう)と略同じ形状の側面基体305を形成する。例えば、本実施例では、登り台200の側面形状は三角形状としたので、側面基体305の形状も三角形状とする。上記登り台200の側面(空洞)と、側面基体305の一方端面が対向するように当該側面基体305を設置した場合、側面基体305の他端面から見たとき、上記登り台200の側面が隠れるように、側面基体305の大きさを調整する。
【0017】
上記側面基体305の一方端面には、回転可能な装飾部材が設けられる。図4は、本発明で使用する装飾部材の回転機構である。図4では、説明の都合上、側面基体305を省略して記載しているが、後述の回転板と、積層プーリ320の間に側面基体305が配置されることになる。
まず、大小一対のプーリを積層し、積層したプーリ(以下積層プーリ320と称す)を形成し、当該積層プーリ320の下面中央を回転軸330により軸支する。回転軸330の他端(上記積層プーリ320が固定されていない側)を突出させた状態(すなわち、側面基体305に貫通させた状態)で、当該回転軸330を上記側面基体305の一方端面に配置する。回転軸305の配置は任意であるが、本実施例では、複数の回転軸330を配置し、所定間隔をあけて上記側面基体305の一方端面に各回転軸330を配置した。図4では、各回転軸330が三角形の頂点及び、重心に位置するように配置した。
【0018】
回転軸330に固定された積層プーリ320には無端状のベルト335が巻掛けられる。例えば、所定の位置に固定された駆動モータ340の駆動軸に小プーリ341を固定する。そして、上記回転軸330の内、駆動モータ340に最も近い位置の回転軸330に固定された積層プーリ320の下方に位置するプーリと上記小プーリ341とに無端状のベルト335(以下ベルトとも称す)を巻き掛ける。
【0019】
次に、上記積層プーリ320の上方に位置するプーリと、まだ上記無端状のベルト335が巻き掛けられていない積層プーリ330の下方に位置するプーリとに、上記ベルト335を巻き掛ける。そして、全ての積層プーリ320を上記ベルト335で巻き掛けることになる。
本実施例では、三角形の頂点に配置した回転軸330に固定された積層プーリ320に上記無端状のベルト335を巻き掛け、最後に、三角形の重心に位置するプーリ350に上記ベルト335を巻き掛ける構成を採用した。
【0020】
上記積層プーリ330に巻き掛ける無端状のベルト335は、通常のように平行に巻き掛けてもよいが、図4(B)に示すように、八の字状に巻き掛けても構わない。上記無端状のベルト335を八の字状に巻き掛けることで、回転軸330を逆回転させることができるからである。
次に、図3(A)に示すように、上記回転軸330に、円形状の回転板を固定して装飾台300を形成する。本実施例では、三角形の頂点及び、重心の位置に回転軸330を配置したので、装飾台300の一方端面中央付近に小回転板315が配置され、上記小回転板315を囲むように、大回転板310が3つ配置されることになる。上記駆動モータ340を駆動すると、駆動モータ340の駆動軸に固定された小プーリ341が回転することで、上記回転軸330が回転し、回転軸330に固定された回転板(大回転板310、小回転板315)も回転することになる。
【0021】
次に、上記円形状の回転板に、装飾部材を配置する。本実施例では、上記回転板を装飾シートで被覆し、当該装飾シートの上に、LED等の電飾部材を複数配置した。上記装飾台300の一方端面の領域の内、登り台200の側面に設置したときに当該登り台200の側面から見える領域(以下、万華鏡側面領域)の全面が被覆されるように、上記装飾部材を配置する。そして、各大回転板310の隙間を埋めるように、装飾シート360を張り付ける構成を採用した。上記装飾シート360は例えば、透明シートにラメ(金糸・銀糸または金属の切り箔を織り込んだ織物をいう)をあしらった素材や、アルミニウム等で表面を加工したシートを使用することができる。装飾シート360の表面を更に透明シートで加工しても構わない。
【0022】
上記のように構成した装飾台300の一方端面(上記装飾部材を配置した方の面)を登り台200の側面(登り台200の空洞に装飾台300の装飾面が対向する方向)に設置することになる。このとき、上記登り台200の側面と、上記装飾台300とは、上記回転板が回転可能なだけの隙間を空けた状態で配置されることになる。上記隙間は、後述の衝撃吸収材により、被覆されることはいうまでもない。更に、登り台200の内側からは、回転板の全体が見えないように回転板の一部をはみ出した状態で装飾台300を設置する構成を採用する。
【0023】
次に、本発明の遊具装置100に、所定の衝撃吸収材400が被覆される。例えば、上記登り台200及び、装飾台300に所定の厚さのウレタン等の衝撃吸収材400を貼りつける。上記登り台200の側面と、上記装飾台300との隙間は、上記衝撃吸収材400で埋められることになる。なお、上記衝撃吸収材400は、ウレタン以外の組成物であってもよく、ポリエチレン等の発泡体等の衝撃吸収材400が好適に用いられる。上記遊具装置100を衝撃吸収材400で被覆することで、ユーザが誤って遊具にぶつかったとしても、衝撃吸収材400によって衝撃が緩和され怪我をするのを効果的に防止することができる。
【0024】
上記衝撃吸収材400は加工されても構わない。例えば、衝撃吸収材400の表面を岩等のような形状になるように、衝撃吸収材400の表面を削る等の加工を行う。更に、衝撃吸収材400の表面をある程度硬化させる加工を施す構成を採用してもよい。
次に本発明の遊具装置100の使用方法を説明する。本発明では、装飾台300に配置された回転板が回転することで、回転板に設けられた装飾部材も回転する。更に、登り台の内側には、鏡220が張り付けられるので、ユーザが登り台200の内側に入ることで、登り台200の内側に貼り付けられた鏡に上記装飾部材が映る様子をユーザが認識できることになる。装飾部材は回転しているので、ユーザは、回転する装飾部材が鏡に移る様子を視認できる効果を奏することになる。更に、鏡220にはもちろんユーザ自身も映り、上記の効果により、ユーザの興味を持続させる遊具装置100となる。
【0025】
したがって、本発明の遊具装置100は、登り台200の外側を通常の山型の遊具装置100として使用でき、登り台200の内側に貼り付けられた鏡220に映る像が万華鏡のように次々と変化する遊具として機能することができる。登り台200の内側からは、装飾台300に設けられた回転板が全ては見えないように、回転板の一部がはみ出るように装飾台300を設置しているので、更に変化に富んだ像を上記鏡220に映すことが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0026】
本発明を使用して遊戯を行うと、装飾を施した回転板が回転し、その回転動作が、登り台の内壁に備えた鏡に映しだされることになる。これにより、登り台形状の遊具装置であっても、内部に備えた鏡に映る映像を様々に変化させることによって、幼児等の興味を持続させる遊具装置を提供することが可能となる。
また、登り台の外側は、梯子等の把持部材を備える構成を採用することで、ユーザが登り降りすることを補助することができる。
【0027】
更に、遊具装置の表面を衝撃吸収材で被覆することで、ユーザが誤って遊具装置にぶつかったとしても、上記衝撃吸収材が衝撃を吸収することが可能となる。したがって、その産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0028】
100 遊具装置
200 登り台
210 基体
220 鏡
250 梯子
300 装飾台
305 側面基体
310 大回転板
315 小回転板
335 無端状のベルト
340 駆動モータ
400 衝撃吸収材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザが遊戯するための中空の空洞が形成され、当該空洞の内壁が鏡面である登り台を備え、
装飾を施した回転板を設けて装飾面とした装飾台を前記空洞の登り台外側近傍に備え、前記装飾台に備えた前記回転板の一部又は全部が、前記登り台の空洞から視認可能であることを特徴とする遊具装置。
【請求項2】
前記登り台に形成された中空の空洞が、多角形状である、請求項1に記載の遊具装置。
【請求項3】
ユーザが前記登り台を登り降り可能な把持部材を当該登り台に備えた請求項1または2に記載の遊具装置。
【請求項4】
前記遊具装置の表面を衝撃吸収材で被覆した請求項1から3いずれか一項に記載の遊具装置。
【請求項5】
前記衝撃吸収材がウレタンである請求項1から4いずれか一項に記載の遊具装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−103971(P2011−103971A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−259837(P2009−259837)
【出願日】平成21年11月13日(2009.11.13)
【出願人】(301033639)ビーエルデーオリエンタル株式会社 (40)