説明

遊戯設備及び遊戯設備施工方法

【課題】所定場所において複数の遊び場用空間を容易迅速に形成することができる遊戯設備及び遊戯設備施工方法を提供する点にある。
【解決手段】所定間隔を置いて配置した6本の縦柱3を上端及び下端のそれぞれで連結して平面視において外形が正六角形となる内部に遊び場用空間を備えた遊び場用ユニット1を設け、前記遊び場用ユニット1の複数を、該特定の遊び場用ユニット1の隣り合う2本の縦柱3,3と該ユニットと連結する他の遊び場用ユニット1の隣り合う2本の縦柱3,3とが水平方向で重複する状態で連結したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばたくさんのボールを入れて遊ぶための遊び場用空間や玩具を入れて遊ぶための遊び場用空間などの複数の遊び場用空間を形成することにより、幼児や子供が遊ぶことができる遊戯設備及び遊戯設備施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記遊戯設備においては、例えば多数の柱材と梁材を所定場所まで運搬してから、それらを立体的に枠組みすることによって、複数の遊び場用空間を形成するものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−87413号公報(第1図参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記特許文献1では、多数の柱材と梁材とを連結具を用いて一々連結しながら、遊び場空間を形成することになるため、所定場所での枠組み作業に多大な時間がかかるものであった。特に多数の遊び場空間を形成する場合にはより一層多くの作業時間がかかるものになり、改善の余地があった。
【0004】
本発明が前述の状況に鑑み、解決しようとするところは、所定場所において複数の遊び場用空間を容易迅速に形成することができる遊戯設備及び遊戯設備施工方法を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の遊戯設備は、前述の課題解決のために、所定間隔を置いて配置した6本の縦柱を上端及び下端のそれぞれで連結して平面視において外形が正六角形となる内部に遊び場用空間を備えた遊び場用ユニットを設け、前記遊び場用ユニットの複数を、該特定の遊び場用ユニットの隣り合う2本の縦柱と該ユニットと連結する他の遊び場用ユニットの隣り合う2本の縦柱とが水平方向で重複する状態で連結したことを特徴としている。
上記のように複数の遊び場用ユニットを設けておけば、それらを所定場所に運搬して連結するだけで、複数の遊び場用空間を直ちに形成することができる。又、外形が正六角形となる遊び場用ユニットであることから、特に多数の遊び場用ユニットを組んだ場合に、矩形状の遊び場用ユニットに比べて、組まれて構成された遊戯設備の外周の形状を変化のあるものにすることができる。又、2本の縦柱を重複させて連結することによって、遊戯設備の強度面において飛躍的に高めることができる。
【0006】
前記遊び場用ユニットの下部に、移動用の複数のキャスターと、移動後において該遊び場用ユニットを持ち上げて該キャスターを浮かせた状態で該遊び場用ユニットを床面に接地支持するための複数のアジャスターとを備え、前記アジャスターにて接地支持した状態で床面に前記遊び場用ユニットを固定するための固定部材を該遊び場用ユニットに上下移動可能に取り付けてもよい。
【0007】
前記隣り合う縦柱間にボード又は網体を取り付けるための取付孔が上下方向に沿って所定間隔を置いて形成された縦長状のブラケットを、該縦柱に備えさせてもよい。
【0008】
内部に遊び場用空間を備え、かつ、下部に移動用の複数のキャスターと、移動後において該遊び場用ユニットを持ち上げて該キャスターを浮かせた状態で該遊び場用ユニットを床面に接地支持するための複数のアジャスターと、該アジャスターにて接地支持した状態で床面に前記遊び場用ユニットを固定するための固定部材とを備えてなる遊び場用ユニットの複数のそれぞれを、該遊び場用ユニットに備えるキャスターにて所定位置に移動させた後、連結予定の隣り合う遊び場用ユニットのそれぞれを持ち上げてアジャスターにて接地支持した状態にしてから、両者を連結し、各遊び場用ユニットに備える固定部材にて床面に各遊び場用ユニットを固定することにより遊戯設備を施工するための遊戯設備施工方法であってもよい。
【0009】
前記遊び場用ユニットが、所定間隔を置いて配置した6本の縦柱を上端及び下端のそれぞれで連結して平面視において外形が正六角形となる内部に遊び場用空間を備えたものでなり、前記特定の遊び場用ユニットの隣り合う2本の縦柱と該ユニットと連結する他の遊び場用ユニットの隣り合う2本の縦柱とが水平方向で重複する状態で連結することによって、遊戯設備の強度面において飛躍的に高めることができる。
【発明の効果】
【0010】
複数の遊び場用ユニットを設けておけば、それらを所定場所に運搬して連結するだけで、複数の遊び場用空間を直ちに形成することができ、所定場所において複数の遊び場用空間を容易迅速に形成することができる遊戯設備及び遊戯設備施工方法を提供することができる。又、外形が正六角形となる遊び場用ユニットであることから、特に多数の遊び場用ユニットを組んだ場合に、矩形状の遊び場用ユニットに比べて、組まれて構成された遊戯設備の外周の形状を変化のあるものにすることができ、商品価値を高めて、集客力を向上させることができる。又、円形の遊び場用ユニットを連結して遊戯設備を構成した場合に、ユニット間に不必要な隙間が発生することがあるが、外形が正六角形となる遊び場用ユニットの場合には、そういったことも回避することができる。又、2本の縦柱を重複させて連結することによって、遊戯設備の強度面において飛躍的に高めることができ、遊び場用ユニットの軽量化を図ることができる。
【0011】
前記遊び場用ユニットの下部に、移動用の複数のキャスターと、移動後において該遊び場用ユニットを持ち上げて該キャスターを浮かせた状態で該遊び場用ユニットを床面に接地支持するための複数のアジャスターとを備え、前記アジャスターにて接地支持した状態で床面に前記遊び場用ユニットを固定するための固定部材を該遊び場用ユニットに上下移動可能に取り付けることによって、遊び場用ユニットの移動をキャスターにて軽快かつ容易に行うことができる利点がある。前記移動後はアジャスターにて遊び場用ユニットを水平に保つように床面上に支持させることができる。この後、遊び場用ユニットに備えている固定部材にて床面に迅速かつ確実に固定することができる。
【0012】
前記隣り合う縦柱間にボード又は網体を取り付けるための取付孔が上下方向に沿って所定間隔を置いて形成された縦長状のブラケットを、該縦柱に備えさせることによって、隣り合う縦柱間にボード又は網体を容易かつ迅速に取り付けることができ、さらに所定場所での作業の容易迅速化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1に、遊び場用空間Aを形成するために平面視において正六角形に構成された遊び場用ユニット1の7個を水平方向で連結して構成された遊戯設備を示している。ここでは、柱2を迂回させる状態で遊び場用ユニット1を連結しているが、柱2が無いときには、図1の柱2のところに遊び場用ユニット1を連結して隙間の無い状態としてもよい。又、前記遊び場用ユニット1の個数及び連結する形態は、図に示されるもの以外であってもよい。このように正六角形に構成された遊び場用ユニット1の7個(2個以上)が連結されることによって、遊戯設備の外形を変化のある凹凸状に構成することができる。前記遊び場用空間Aには、例えばたくさんのボールを入れて遊ぶための遊び場用空間としたり、玩具や遊具を入れて遊ぶための遊び場用空間などのいろんな種類の遊び場用空間Aを形成することができる。
【0014】
ここでは、水平方向にのみ遊び場用ユニット1の複数を連結したものを説明しているが、上下方向にも遊び場用ユニット1を連結してもよい。上下方向に遊び場用ユニット1を連結する場合には、図6に示すように、階段用の遊び場用ユニット1を設けて、このユニット1を利用して上に設けられた遊び場用ユニット1へ上っていくことができるようにしてもよい。図6では、遊び場用空間Aを水平方向でほぼ2つの空間に分割するための分割位置に階段を構成する上下に段違いに配置する2枚の板部材15,16の一端を支持するための一対の支持部材17,18を設けて、階段用の遊び場用ユニット1を構成できるようにしている。従って、図6に示すように、先ず階段用の遊び場用ユニット1の土台4上に上がってから矢印X1で示すように左側の低い側の板部材15に上り、次に矢印X2に示すように右側の高い側の板部材16に上がった後、矢印X3で示すように、図示していない上部に配置された遊び場用ユニット1の床面に上がるようにしている。
【0015】
前記遊び場用ユニット1は、所定間隔を置いて配置した6本の縦柱3の下端を土台4に連結するとともに、該隣り合う縦柱3,3の上端同士を断面形状角型のパイプ5にて連結して構成されている。前記土台4の縦柱3のほぼ真下に、遊び場用ユニット1を床面に接地支持するための接地部6Aを下端に備えた複数のアジャスター6を取り付けている。又、前記土台4の裏面のうちの前記アジャスター6が取り付けられた外縁位置よりも内部側に寄った位置に複数のキャスター7を取り付け、前記土台4の外周面の特定箇所に、床面に遊び場用ユニットを固定するための固定部材8を上下移動可能に取り付けている。前記土台4は、上端に床面を備えるとともに周囲に6枚の化粧用側板を備えたものから構成されているが、他の構成であってもよい。
【0016】
前記遊び場用ユニット1の複数を、該特定の遊び場用ユニット1の隣り合う2本の縦柱3,3と該ユニット1と連結する他の遊び場用ユニット1の隣り合う2本の縦柱3,3とが水平方向で重複する状態で連結することによって、遊戯設備全体の強度を高めるようにしている。前記縦柱3は、図7に示すように2つの縦長状の部材3A,3Aを溶接又はボルトにより連結することにより、構成してあり、縦柱3自体の強度も高めることができるようになっているが、1つの部材から構成することもできる。図7では、前記特定の縦柱3(図では中央に位置するもの)を構成する2つの部材3A,3Aの合わせ部に、補強用の一対の板材19,20にて挟み込んだ状態で両者をボルト21にて連結することによって、さらに縦柱3自体の強度を高めるようにしている。残りの縦柱3も同様に構成して実施することもできる。
又、図7に示すように、前記隣り合う縦柱3,3間にボード又は網体を取り付けるための取付孔9Aが上下方向に沿って所定間隔を置いて多数形成された縦長状のL型のブラケット9を、該縦柱3,3の互いに向き合う面にそれぞれ溶接により備えさせている(ボルトにより固定してもよい)。図7では、図の左側に透明なアクリルボード10を取付孔9Aにボルト11を介して固定している。又、図7の右側に網体12を取付孔9Aを通して固定している。図示していないが、前記網体12は、前記取付孔9Aに複数回通した別の補強用の紐又はロープにくくりつけて固定してあり、取付孔9Aに網体12の端の紐を通して固定する場合に比べて、取付孔9Aで紐が切れ難いように構成している。図7に示す22は、ブラケット9に溶接により固定された断面形状が円形の棒状部材であり、前記別の補強用の紐又はロープを取付孔9Aを通して棒状部材22に複数回巻き付けることで取付孔9Aが切れにくいようにすることができるが、棒状部材22は省略して実施することもできる。
【0017】
図8に示すように、前記固定部材8は、長方形状で板状の金属製の部材の下端を90度折り曲げて床面と平行な先端部(下端部)を形成している。そして、前記固定部材8の先端部にアンカーボルト13を挿通させるための挿通孔(図示せず)を形成し、他端部である上端部に該固定部材8を土台に固定するための上下一対のボルト14,14を挿通させるための貫通孔を上下方向に長い長孔8A,8Aに構成して、固定部材8を土台4に対して上下方向で高さ調節することができるようにしている。
【0018】
前記遊戯設備を施工する施工方法について説明すれば、遊び場用ユニット1に備えるキャスター7にて所定位置に移動させた後、連結予定の遊び場用ユニット1のそれぞれを例えばジャッキなどを用いて持ち上げてアジャスター6をそれの接地部6Aを回転させて接地部6Aをキャスター7よりも下方へ突出位置させることでキャスター7を浮かせると同時にアジャスター6にて遊び場用ユニット1を接地支持した状態にしてから、両者を図2に示す連結手段(例えばボルト)B,Bにて連結し、各遊び場用ユニット1に備える固定部材8の下端の先端部8Bが床面Fに接当する状態になるように該固定部材8の上下位置を調節した後、アンカーボルト13にて各遊び場用ユニット1を固定することにより遊戯設備の施工が完了するようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】多数の遊び場用ユニットからなる遊戯設備の概略平面図である。
【図2】3つの遊び場用ユニットからなる遊戯設備の概略平面図である。
【図3】3つの遊び場用ユニットの上端に網体を取り付けた概略平面図である。
【図4】遊び場用ユニットの周囲6面のうちの網体を取り付けた一面を示す一部省略の正面図である。
【図5】遊び場用ユニットの縦断側面図である。
【図6】階段用の遊び場用ユニットの縦断側面図である。
【図7】縦柱の構造を示す横断平面図である。
【図8】遊び場用ユニットの下部を示す要部の側面図である。
【符号の説明】
【0020】
1 遊び場用ユニット
2 柱
3 縦柱
3A 部材
4 土台
5 パイプ
6 アジャスター
6A 接地部
7 キャスター
8 固定部材
8A 長孔
8B 先端部
9 ブラケット
9A 取付孔
10 アクリルボード
11 ボルト
12 網体
13 アンカーボルト
14 ボルト
15,16 板部材
17,18 支持部材
19,20 板材
21 ボルト
22 棒状部材
A 遊び場用空間
F 床面
X1,X2,X3 矢印


【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定間隔を置いて配置した6本の縦柱を上端及び下端のそれぞれで連結して平面視において外形が正六角形となる内部に遊び場用空間を備えた遊び場用ユニットを設け、前記遊び場用ユニットの複数を、該特定の遊び場用ユニットの隣り合う2本の縦柱と該ユニットと連結する他の遊び場用ユニットの隣り合う2本の縦柱とが水平方向で重複する状態で連結したことを特徴とする遊戯設備。
【請求項2】
前記遊び場用ユニットの下部に、移動用の複数のキャスターと、移動後において該遊び場用ユニットを持ち上げて該キャスターを浮かせた状態で該遊び場用ユニットを床面に接地支持するための複数のアジャスターとを備え、前記アジャスターにて接地支持した状態で床面に前記遊び場用ユニットを固定するための固定部材を該遊び場用ユニットに上下移動可能に取り付けてなる請求項1記載の遊戯設備。
【請求項3】
前記隣り合う縦柱間にボード又は網体を取り付けるための取付孔が上下方向に沿って所定間隔を置いて形成された縦長状のブラケットを、該縦柱に備えさせてなる請求項1又は2記載の遊戯設備。
【請求項4】
内部に遊び場用空間を備え、かつ、下部に移動用の複数のキャスターと、移動後において該遊び場用ユニットを持ち上げて該キャスターを浮かせた状態で該遊び場用ユニットを床面に接地支持するための複数のアジャスターと、該アジャスターにて接地支持した状態で床面に前記遊び場用ユニットを固定するための固定部材とを備えてなる遊び場用ユニットの複数のそれぞれを、該遊び場用ユニットに備えるキャスターにて所定位置に移動させた後、連結予定の複数の遊び場用ユニットのそれぞれを持ち上げてアジャスターにて接地支持した状態にしてから、両者を連結し、各遊び場用ユニットに備える固定部材にて床面に各遊び場用ユニットを固定することにより遊戯設備を構成するための遊戯設備施工方法。
【請求項5】
前記遊び場用ユニットが、所定間隔を置いて配置した6本の縦柱を上端及び下端のそれぞれで連結して平面視において外形が正六角形となる内部に遊び場用空間を備えたものでなり、前記特定の遊び場用ユニットの隣り合う2本の縦柱と該ユニットと連結する他の遊び場用ユニットの隣り合う2本の縦柱とが水平方向で重複する状態で連結することを特徴とする請求項4に記載の遊戯設備施工方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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