説明

遊技媒体搬送装置

【課題】搬送パイプ内で螺旋状の搬送バネを回転させて遊技媒体を搬送する遊技媒体搬送装置において、搬送パイプの端部に連通する収容室の側壁が、回転しつつ伸張した搬送バネの自由端の当接によって損傷することを防止する。
【解決手段】搬送バネ13が回転しつつ伸張した際に該自由端13の接触による損傷から、搬送バネ13の自由端と対向する収容室の側壁30bを保護するための保護部材70を搬送バネ13の自由端に取り付ける。保護部材70は、搬送バネ13の自由端に固定された基部71と、収容室の側壁30bに当接する当接部72と、基部71と当接部72の間に介在する転動部73とを有し、当接部72が側壁30bに当接した場合に、基部71が回転し、当接部72は回転しないように構成される。
【選択図】図

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ玉などの遊技媒体を搬送する遊技媒体搬送装置に係わり、特に、搬送パイプ内で螺旋状の搬送バネを回転させることにより遊技媒体を搬送する遊技媒体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
螺旋状の搬送バネを、モータなどに一端を接続し、他端を自由端にした状態で回転駆動することによって、搬送パイプ内の遊技媒体を掻き揚げるようにして搬送する遊技媒体搬送装置では、急激に遊技媒体の搬送量が増えると搬送バネが回転しつつ伸張し、この伸張した搬送バネの自由端を収容する収容室の側壁に自由端が当接することがある。該当接が頻繁に起こると、回転する自由端との摩擦によって側壁が破損したり、搬送バネに対する負荷が増加して搬送バネが折れたり変形したりするという事態が生じていた。
【0003】
こうした事態に対して、つる巻き状の搬送バネの一端を回転アッセンブリに固定するようにした搬送装置が提案されている(たとえば、特許文献1参照。)。また、螺旋線輪の内側に該螺旋線輪の長手方向に沿って線状の補強体を設けて螺旋線輪の伸びを防止するようにした搬送装置がある(たとえば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−79913号公報
【特許文献2】実開昭51−19093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、回転アッセンブリに搬送バネの一端を固定した場合には、遊技媒体の搬送時に搬送バネに加わる負荷が増加し、搬送バネを回転駆動するモータが故障する虞があった。
【0006】
また、回転アッセンブリに搬送バネの一端を固定したり、螺旋線輪に線状の補強体を設けたりすると、搬送すべき遊技媒体が増えた場合でも搬送バネや螺旋線輪の伸張が抑制されてピッチが拡張しなくなり、一端を自由端にしている場合に比べてピッチに入り込む遊技媒体が減少する。また、伸張しない結果、搬送バネや螺旋線輪の復元力も増大せず、この復元力によって掻き揚げられる遊技媒体も少なくなる。このように、回転アッセンブリに搬送バネの一端を固定したり、螺旋線輪に線状の補強体を設けたりすると、自由端にして伸張させる場合に比べて、搬送能力が減少するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、一端を自由端にして搬送バネを伸張させることの利点を維持しながら、伸張した自由端の接触による搬送パイプの端部内壁の損傷を防止することのできる遊技媒体搬送装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0009】
[1]螺旋状の搬送バネ(13)と、前記搬送バネ(13)を通す搬送パイプ(12)と、前記搬送パイプ(12)の端部に連通し、伸張した前記搬送バネの一端を収容する収容室(30)と、前記搬送バネ(13)の内、前記収容室(30)と反対側の他端と接続されて前記搬送バネ(13)を回転駆動する搬送バネ駆動手段(14)とを備え、前記搬送バネ(13)の一端を自由端にした状態で前記搬送バネ駆動手段(14)によって前記搬送バネ(13)を回転させることにより、前記搬送パイプ(12)内の遊技媒体を搬送する遊技媒体搬送装置において、
前記搬送バネ(13)の自由端に、前記搬送バネ(13)が回転しつつ伸張した際に前記自由端の接触による損傷から前記搬送バネ(13)の自由端と対向する前記収容室(30)の側壁(30b)を保護するための保護部材(70)を取り付け
前記保護部材は、前記搬送バネの自由端に固定された基部と、
前記収容室の側壁に当接する当接部とを有し、前記当接部が前記側壁に当接した場合に、前記基部が回転し、前記当接部は回転しないように構成される
ことを特徴とする遊技媒体搬送装置。
【0010】
上記発明では、搬送バネ(13)の自由端側に保護部材(70)を設けることで、側壁(30b)の損傷が防止される。保護部材(70)は、回転しながら側壁(30b)と接触しても側壁(30b)に損傷を与えない。たとえば、保護部材(70)と側壁(30b)とが軸受けなどを介した転がり接触するように構成されている。
【0011】
[2]回転しつつ伸張する前記搬送バネ(13)の自由端を、前記側壁(30b)に向けて案内する案内部材をさらに有する
ことを特徴とする[1]に記載の遊技媒体搬送装置。
【0012】
上記発明では、回転しつつ伸張する搬送バネ(13)の自由端に取り付けられた保護部材(70)は、案内部材(34)によって側壁(30b)に向けて案内される。案内部材(34)は、搬送バネ(13)の螺旋の内側に侵入するガイドシャフト(34)などでもよいし、搬送バネ(13)の進路を外側から規制する案内板などでもかまわない。
【0013】
[3]前記案内部材は、前記側壁から前記収容室の内側へ前記搬送パイプの軸方向に延びるガイドシャフトを備え、
前記当接部材および前記基部は、前記ガイドシャフトを通すための貫通した穴部を有し、
回転しつつ伸張した前記搬送バネの先端の前記当接部材および前記基部に設けられた前記穴部の内側に前記ガイドシャフトが入って前記当接部材を前記側壁へ案内する
ことを特徴とする[2]記載の遊技媒体搬送装置。
【0014】
[4]前記保護部材は、前記基部と前記当接部との間に転がり接触する転動部が介在するように構成されている
ことを特徴とする[1]乃至[3]のいずれか1つに記載の遊技媒体搬送装置。
【0015】
上記発明では、保護部材(70)は、転がり接触する転動部(73)を備えている。たとえば、スラスト軸受などの転動部(73)を介して側壁(30b)に接触するようにすれば、搬送バネ(13)に対する負荷がより一層低減する。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係わる遊技媒体搬送装置によれば、一端を自由端にして搬送バネを伸張させることの利点を維持しながら、回転しつつ伸張した搬送バネの自由端の接触による収容室側壁の損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の参考形態に係わる遊技媒体搬送装置を遊技機島へ設置した状態の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の第1の参考形態に係わる遊技媒体搬送装置の内部構造を示す説明図である。
【図3】本発明の第1の参考形態に係わる遊技媒体搬送装置の収容室内部(遊技球の搬送量小のとき)を拡大図示した説明図である。
【図4】本発明の第1の参考形態に係わる遊技媒体搬送装置の収容室内部(遊技球の搬送量大のとき)を拡大図示した説明図である。
【図5】本発明の第2の参考形態に係わる遊技媒体搬送装置の収容室内部を拡大図示した説明図である。
【図6】本発明の実施の形態に係わる遊技媒体搬送装置の収容室内部を拡大図示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態および参考形態を説明する。
【0019】
図1は、本発明の第1の参考形態に係わる遊技媒体搬送装置10の遊技機島2への設置状態の一例を示し、図2は遊技媒体搬送装置10の内部構成を示している。遊技機島2は、遊技店のフロア上に構築したフレームに遊技機3を多数背中合わせにして表裏面に並設収容している。以後、本例では、遊技機3をパチンコ機とし、遊技媒体を遊技球(パチンコ球)として説明する。
【0020】
遊技機島2は、遊技機3で使用された遊技球を遊技機3の下方で回収して遊技機島2の中央へ搬送する回収路4と、回収路4で回収されて搬送されてきた遊技球を研磨しながら上方へ搬送する揚送研磨装置としての遊技媒体搬送装置10と、遊技媒体搬送装置10によって搬送された遊技球を貯留する上部タンク5と、上部タンク5から各遊技機3へ遊技球を補給するための補給路6などを備え、遊技機島2の内部で遊技球を循環して再利用するように構成されている。
【0021】
遊技媒体搬送装置10は、遊技球と研磨粒とを混合し攪拌しながら揚送することで遊技球の研磨と揚送とを同時に行なうように構成されている。研磨粒は、米粒くらいの大きさの樹脂の粒である。研磨粒は、遊技球より充分小さく、遊技球との攪拌により遊技球の汚れを除去し得るものであれば、その材質や形状は適宜に設定されてよい。
【0022】
遊技媒体搬送装置10は、螺旋状の搬送バネ13と、搬送バネ13を通す搬送パイプ12と、搬送パイプ12の端部に連通し、伸張した搬送バネ13の一端を収容するための収容室30と、搬送バネ13の内、収容室30と反対側の他端と接続されて搬送バネ13を回転駆動する搬送バネ駆動手段としての搬送モータ14とを備えている。搬送バネ13の反駆動端側の一端(下端)は自由端13aになっている。
【0023】
収容室30は、内周壁30aと側壁30bとを備え、これらにより、搬送パイプ12とほぼ同じ内径であって搬送パイプ12と連通し、搬送パイプ12を延長したような円筒状の内部空間を形成している。収容室30の内周壁30aには回収路4によって回収された遊技球を内部に導入するための遊技球導入口31が開設され、収容室30と搬送パイプ12との接続部分には、研磨粒を導入するための研磨粒導入口32が形成されている。研磨粒導入口32の下方付近における搬送パイプ12内は、遊技球と研磨粒とを合流させるための合流部33を成している。なお、本発明は、収容室30を円筒状にせずに箱状にした場合にも適用することができる。
【0024】
遊技媒体搬送装置10はさらに、搬送パイプ12の終端(収容室30と反対側の端部)から流出した遊技球と研磨粒とを分離するための分離レール15と、分離された研磨粒を回収する回収塔16と、回収塔16によって回収された研磨粒を研磨粒導入口32へ案内する研磨粒回収路17とを備えている。
【0025】
また、回収塔16の途中には、モータ18で回転される回転板19が設けてあり、該回転板19の下方近傍には集塵ノズル21が配置されている。集塵ノズル21は、集塵ホース22を通じて集塵装置23に連結されている。
【0026】
モータ18で回転駆動される回転板19は、回収塔16の中を落下する研磨粒を叩いて研磨粒から付着物を飛散させる。飛散した付着物は、集塵ノズル21から集塵装置23へと吸引されて回収される。
【0027】
遊技媒体搬送装置10の概略の動作は次の通りである。遊技媒体搬送装置10は搬送パイプ12に挿通された螺旋状の搬送バネ13を搬送モータ14で所定方向に回転させることで遊技球と研磨粒とを攪拌・混合しながら合流部33から上部タンク5へ向かって搬送すると共に、この間に遊技球を研磨粒によって研磨する(図2の矢印P1)。
【0028】
搬送された遊技球と研磨粒は搬送パイプ12の終端から分離レール15へ次々と流出する(図2の矢印P2)。分離レール15は、複数本のレールを研磨粒は通すが遊技球は通さない間隔で配置して構成されている。分離レール15によって分離された遊技球は、上部タンク5へ落下して貯留される(図2の矢印P3)。一方、研磨粒は分離レール15の隙間から下方に抜けて回収塔16内を落下し(図2の矢印P4)、その途中で、回転板19に衝突し、飛散した汚れや粉塵などの付着物は集塵ノズル21から吸引されて除去される。回収塔16をさらに落下してきた研磨粒は、研磨粒回収路17から収容室30内の合流部33へ導かれ、合流部33で回収路4からの遊技球と合流・混合されて再使用される。
【0029】
次に、収容室30の構成をより詳細に説明する。
【0030】
図3は、収容室30の内部構造を示している。搬送バネ13の自由端13aと対向する収容室30の側壁30bには、搬送パイプ12の軸方向(収容室30との接続部分における搬送パイプ12の軸中心に向かう方向)に突出する細長い円柱状のガイドシャフト34が固定ナット35で取り付けられている。ガイドシャフト34は、搬送される遊技球が比較的少ない状態のとき、先端34aが搬送バネ13の自由端13aの近傍に達する程の長さを備えており、先端34aの近傍で支持部材34bにより支持されている。ガイドシャフト34の外径は搬送バネ13の螺旋の内径より小さい。
【0031】
また、先細りした円柱形状を成し、中心軸上を貫通した挿通穴36aを有する当接体36が、その先細りした先端36bを側壁30bの反対側に向けた状態で、ガイドシャフト34に挿通穴36aを通して嵌め込まれている。挿通穴36aの内径はガイドシャフト34の外径より大きく、その差の分だけ当接体36はガイドシャフト34の径方向に変位可能になっている。挿通穴36aの内径とガイドシャフト34の外径との差は、遊技球Yの直径より大きく(ここでは、遊技球Yの1個分の直径よりやや大きく)設定されている。
【0032】
さらにガイドシャフト34には、当接体36の抜け落ちを阻止するための抜止部材37が嵌め込まれている。抜止部材37は、断面円形で側壁30bを臨む側の端部およびその反対側の端部がそれぞれ先細りに形成されると共に、中心軸上にはガイドシャフト34を通すための挿通穴37aが貫通して設けられており、若干の隙間を空けて当接体36を当該抜止部材37と側壁30bとの間に挟むようにしてガイドシャフト34に固定されている。上記構成により、当接体36はガイドシャフト34を中心に自在に回転すると共に、抜止部材37の存在によりガイドシャフト34からの抜け落ちが防止される。
【0033】
次に、遊技媒体搬送装置10の収容室30内での動きを説明する。
【0034】
回収路4を通じて回収された遊技球は遊技球導入口31から収容室30に流入する。一方、回収塔16および研磨粒回収路17を経て回収された研磨粒Kは研磨粒導入口32から収容室30の合流部33に流入し、遊技球Yと合流する。さらに、合流した遊技球Yと研磨粒Kとは、搬送モータ14に駆動されて搬送パイプ12内で所定方向に回転する搬送バネ13により攪拌され混合され、搬送パイプ12の中を上部タンク5に向けて研磨されながら搬送される。
【0035】
ここで、遊技球Yの搬送量が少ないときは、図3に示すように、搬送バネ13の伸張量は少なく、自由端13aがガイドシャフト34の先端34a付近にある状態で回転する。
【0036】
遊技球Yの搬送量が増加すると搬送負荷が増えて搬送バネ13は、図4に示すように伸張する。このとき、伸張する搬送バネ13の螺旋の内側にガイドシャフト34が入り込み、搬送バネ13はガイドシャフト34に沿ってその自由端13aが当接体36へ向かうように案内される。
【0037】
回転しつつ伸張した搬送バネ13の自由端13aが当接体36に当接して当接体36を側壁30bに向けて押圧するようになると、当接体36は搬送バネ13の自由端13aを受け止めて支持すると共に、搬送バネ13の回転に伴って回転する。これにより、回転する搬送バネ13の自由端13aが収容室30の側壁30bと直接接触し、摩擦などで側壁30bに損傷を与えることが防止される。
【0038】
また、当接体36が円滑に回転することから、自由端13aが側壁30bと直接接触して大きな摩擦が生じる場合に比べて、搬送バネ13を回転させるための負荷が減り、搬送バネ13が途中で折れたり変形したりするなどの障害を防止することができる。
【0039】
さらに、搬送バネ13の反駆動端を自由端13aにしているので、遊技球Yの搬送時に搬送モータ14に加わる負荷が少なくなり、搬送モータ14の劣化や故障が防止される。また、遊技球Yが増えたときは搬送バネ13が伸張し、ピッチが長くなって該ピッチに入り込む遊技球Yが増加する。また、伸張により搬送バネ13の復元力も強まり、この復元力によって掻き揚げられる遊技球Yも増加する。したがって、搬送バネ13の一端を自由端13aにしておくことで、遊技球Yの搬送量を増加させることができる。
【0040】
また、当接体36に設けた挿通穴36aの内径をガイドシャフト34の外径よりも遊技球Y1個分の直径以上大きくしてあるので、図4に示すように、収容室30内の遊技球Yが当接体36の下方に入り込んだ場合には、この遊技球Yに押されて当接体36の位置がガイドシャフト34の径方向(すなわち、伸張した搬送バネ13の自由端13aによって当接体36が押圧される方向に対して直交する方向)にシフトする。このため、遊技球Yの量が増えて、収容室30の内周壁30aと当接体36との隙間に遊技球Yが入り込んだ場合でも、遊技球Yが収容室30の内周壁(底面)30aと当接体36との間に噛み込まれなくなって、当接体36の円滑な回転が維持される。
【0041】
また、ガイドシャフト34により搬送バネ13の自由端13aを当接体36に向けて案内するので、収容室30の内周壁30aに自由端13aが当たって損傷を与えることが防止される。また、伸張した搬送バネ13の自由端13aを当接体36に確実に当接させることができる。ガイドシャフト34などによる案内は、搬送パイプ12がJ字状などに曲がっている場合に特に効果がある。
【0042】
また、側壁30bと反対側の端部側に向けて抜止部材37および当接体36が先細りの形状を成しているので、搬送バネ13が伸張する際に当該搬送バネ13の螺旋の中に抜止部材37や当接体36に円滑に侵入して行く。一方、抜止部材37の側壁30b側の端部は側壁30bに向けて先細りの形状を成しているので、搬送バネ13は抜止部材37に引っ掛かることなく伸張した状態から円滑に縮退することができる。
【0043】
また、当接体36の挿通穴36aにガイドシャフト34を嵌め込み、側壁30bと抜止部材37との間に若干の隙間を持って挟みこむようにして当接体36を取り付けたので、自在に回転しかつガイドシャフト34の径方向に移動し得る当接体36の取り付け構造が簡単な構成で実現される。なお、当接体36と側壁30bとの接触はできるだけ摩擦の少ない接触、たとえば、平滑な面での接触や、潤滑剤などによる接触が好ましい。
【0044】
次に、第2の参考形態を説明する。
【0045】
第2の参考形態に係わる遊技媒体搬送装置10は当接体60の取り付け方が相違する他は第1の参考形態と同一の構成であり、以下、相違点を説明する。
【0046】
図5に示すように、当接体60は、側壁30bに当接する当接部材63と回転しつつ伸張した搬送バネ13の自由端13aを受けて支持する搬送バネ受け部材61との間に単式スラスト玉軸受62を介在させた構成を有している。
【0047】
回転しつつ伸張した搬送バネ13の自由端13aが搬送バネ受け部材61に当接して、搬送バネ受け部材61を側壁30bに向けて押圧すると、搬送バネ受け部材61および単式スラスト玉軸受62を介して当接部材63が側壁30bに向けて押圧され当接する。単式スラスト玉軸受62を介することで搬送バネ受け部材61は搬送バネ13の回転に伴って円滑に回転する一方、側壁30bに当接した当接部材63は回転せず、側壁30bとの間に摺動はない。そのため、側壁30bと当接部材63との摩擦による影響が軽減される。また、単式スラスト玉軸受62の介在によって円滑な回転が確保されるので、搬送バネ13を回転させるための負荷がさらに減少する。なお、単式スラスト玉軸受62は複式でもころ軸受けでもかまわない。さらに、軸方向に加わるアキシアル荷重と軸に対して直角な方向に加わるラジアル荷重の双方を受けることのできる軸受けであってもよい。要するにアキシアル荷重を受けることのできる軸受けであればよい。
【0048】
次に、実施の形態を説明する。
【0049】
本発明の実施の形態では、搬送バネ13の自由端13aに、接触による損傷から側壁30bを保護するための保護部材70を取り付けてある。実施の形態に係わる遊技媒体搬送装置は、当接体37がなく、搬送バネ13の自由端13aに保護部材70を有する点で相違する他は第1の参考形態と同一の構成であり、以下、相違点を説明する。
【0050】
図6に示すように、保護部材70は、搬送バネ13の自由端13aに取り付けられた円板状の基部71と、側壁30bに当接する同じく円板状の当接部72と、基部71と当接部72との間に介在する転動部73とから構成される。転動部73は、アキシアル荷重を受ける単式スラスト玉軸受けなどで構成される。基部71と当接部72とは、周縁に設けた係合部75で係合しており、基部71と当接部72とで挟むように転動部73を保持している。
【0051】
基部71、当接部72、転動部73はそれぞれガイドシャフト34を通すための貫通した穴部74を中心部に備えており、搬送バネ13の伸張時に、この穴部74の中にガイドシャフト34が入ることで、保護部材70は側壁30bに向けて案内されるようになっている。
【0052】
回転しつつ伸張した搬送バネ13の先端に設けた保護部材70の当接部72が側壁30bに当接すると、転動部73の存在により基部71は搬送バネ13と共に円滑に回転し、当接部72は回転することなく側壁30bに当接し、側壁30bが保護される。なお、保護部材70は、上記の構成に限定されず、搬送バネ13の自由端13aと側壁30bとの接触による側壁30bの損傷を防止できるものであればよい。すなわち、側壁30bと摩擦の少ない接触を確保する部材であればよく、単に、側壁30bとの接触面として平滑な平面や球面を備えるものであってもよい。
【0053】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は参考形態および実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0054】
たとえば、実施の形態では搬送パイプ12をJ字状に湾曲させて設置したが、真っ直ぐなパイプでもよい。また、搬送パイプ12は垂直、水平、斜めのいずれに設置されてもよい。
【0055】
側壁30bは収容室30の端部を密閉するものに限らず、網状や格子などでもよく、遊技媒体が抜け出ない程度に収容室30の端部を塞ぐものであれば、穴や隙間を有してもかまわない。
【0056】
当接体36をガイドシャフト34の径方向(搬送バネ13の自由端13aによって押圧される方向と直交する方向)に移動させるための構成は、当接体36の挿通穴36aの内径をガイドシャフト34の外径より大きくするといった例示の構成に限定されず、たとえば、ガイドシャフト34の径方向に移動可能な台座を設け、この台座に対して当接体を回転可能に取り付けるような構成であってもかまわない。また、径方向への移動方向は、たとえば、ガイドシャフト34が水平に設置される場合は、垂直方向に移動できればよく、任意の径方向へ移動可能な構成でなくてもかまわない。要するに当接体36と収容室30の内周壁30aとの間へ遊技球が入った場合に、その遊技球の噛み込みを避ける方向(該遊技球からガイドシャフト34の中心軸へ向かう方向)に当接体36が移動すればよい。
【0057】
また、回転しつつ伸張する搬送バネ13の自由端13aを収容室30内で当接体36に向けて案内する案内部材は、搬送バネ13の螺旋の内側に入るガイドシャフト34に限るものではなく、たとえば、収容室30の断面の径を当接体36に向かって少しずつ細めるようにして、搬送バネ13の進路を当接体36に向かって搬送バネ13の外周側から規制するような案内部材であってもかまわない。
【0058】
また当接体36や抜止部材37は断面円形である必要はなく、断面多角形などであってもかまわない。
【0059】
実施の形態では、遊技媒体として遊技球を例に説明したが、スロットマシンに使用されるメダルなどでもかまわない。
【符号の説明】
【0060】
K…研磨粒
Y…遊技球
2…遊技機島
3…遊技機
4…回収路
5…上部タンク
6…補給路
10…遊技媒体搬送装置
12…搬送パイプ
13…搬送バネ
13a…自由端
14…搬送モータ
15…分離レール
16…回収塔
17…研磨粒回収路
18…モータ
19…回転板
21…集塵ノズル
22…集塵ホース
23…集塵装置
30…収容室
30a…内周壁
30b…側壁
31…遊技球導入口
32…研磨粒導入口
33…合流部
34…ガイドシャフト
34a…ガイドシャフトの先端
34b…支持部材
35…固定ナット
36…当接体
36a…挿通穴
36b…当接体の先端
37…抜止部材
37a…挿通穴
60…当接体
61…搬送バネ受け部材
62…単式スラスト玉軸受
63…当接部材
70…保護部材
71…基部
72…当接部
73…転動部
74…穴部
75…係合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
螺旋状の搬送バネと、前記搬送バネを通す搬送パイプと、前記搬送パイプの端部に連通し、伸張した前記搬送バネの一端を収容する収容室と、前記搬送バネの内、前記収容室と反対側の他端と接続されて前記搬送バネを回転駆動する搬送バネ駆動手段とを備え、前記搬送バネの一端を自由端にした状態で前記搬送バネ駆動手段によって前記搬送バネを回転させることにより、前記搬送パイプ内の遊技媒体を搬送する遊技媒体搬送装置において、
前記搬送バネの自由端に、前記搬送バネが回転しつつ伸張した際に前記自由端の接触による損傷から前記搬送バネの自由端と対向する前記収容室の側壁を保護するための保護部材を取り付け
前記保護部材は、前記搬送バネの自由端に固定された基部と、
前記収容室の側壁に当接する当接部とを有し、前記当接部が前記側壁に当接した場合に、前記基部が回転し、前記当接部は回転しないように構成される
ことを特徴とする遊技媒体搬送装置。
【請求項2】
回転しつつ伸張する前記搬送バネの自由端を、前記側壁に向けて案内する案内部材をさらに有する
ことを特徴とする請求項に記載の遊技媒体搬送装置。
【請求項3】
前記案内部材は、前記側壁から前記収容室の内側へ前記搬送パイプの軸方向に延びるガイドシャフトを備え、
前記当接部材および前記基部は、前記ガイドシャフトを通すための貫通した穴部を有し、
回転しつつ伸張した前記搬送バネの先端の前記当接部材および前記基部に設けられた前記穴部の内側に前記ガイドシャフトが入って前記当接部材を前記側壁へ案内する
ことを特徴とする請求項2に記載の遊技媒体搬送装置。
【請求項4】
前記保護部材は、前記基部と前記当接部との間に転がり接触する転動部が介在するように構成されている
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1つに記載の遊技媒体搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−143311(P2011−143311A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101859(P2011−101859)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【分割の表示】特願2006−299419(P2006−299419)の分割
【原出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(000127628)株式会社エース電研 (339)
【Fターム(参考)】