説明

遊技機、電源ユニット、及びメイン基板

【課題】低コストで耐ノイズ性に優れ、異常の発生により正常動作と同様に動作することを防止する遊技機、電源ユニット、及びメイン基板を提案し、快適な遊技環境を提供する。
【解決手段】スイッチ信号を送信するスイッチ手段と、受信した該スイッチ信号に基づいて操作の可否を決定する制御手段とを備えた遊技機であって、前記スイッチ手段に、前記スイッチ信号を複数の信号として2以上の接続線で送信する送信手段を備え、前記制御手段に、上記2以上の接続線に接続して上記複数の信号を受信する受信手段を備えた遊技機。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば価値媒体等の価値に対応する遊技数にしたがって遊技を許容するパチンコ機やパチスロ機のような遊技機、及び該遊技機に使用する電源ユニット及びメイン基板に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばパチスロ機には、大当たり確率を変更できるように設定変更する設定変更スイッチを筐体内部のメイン基板に接続して備えている。該設定変更スイッチは、店員が鍵を使って正面パネルを開くと操作できるようになっている。
【0003】
さらに、不正防止のために、上記設定変更を可能にするための変更許可スイッチを電源ユニットに備えている。当該変更許可スイッチは、店員が鍵を差込み回すことでONとなるように形成しており、ONの間のみ、前記設定変更スイッチの操作が有効となるように構成している。
【0004】
しかし、前記変更許可スイッチのON/OFFは、電源ユニットの回路基板上の配線を通じて一本の接続線でメイン基板に接続しているため、例えば針金が配線に接触する等の事態により、前記変更許可スイッチONと同一状態が配線上で発生してしまうこととなる。
【0005】
このように、不正やトラブルによる異常が発生しやすいスイッチとその配線に対して、スイッチのON/OFFの切替え時に一定のパルス幅の信号を送信し、該信号の有無等により異常や不正を検出するパチンコ機が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−262669号公報。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記パルス幅の信号を用いた方法では、送信部及び受信部の回路規模が大きくなり、コスト高となる上に、耐ノイズ性も低下することとなっていた。
【0008】
この発明は、低コストで耐ノイズ性に優れ、異常の発生により正常動作と同様に動作することを防止する遊技機、電源ユニット、及びメイン基板を提案し、快適な遊技環境を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この発明は、スイッチ信号を送信するスイッチ手段と、受信した該スイッチ信号に基づいて操作の可否を決定する制御手段とを備えた遊技機であって、前記スイッチ手段に、前記スイッチ信号を複数の信号として2以上の接続線で送信する送信手段を備え、前記制御手段に、上記2以上の接続線に接続して上記複数の信号を受信する受信手段を備えたことを特徴とする。
【0010】
前記スイッチ信号は、ON/OFF等の2値信号、あるいは切替えにより複数の状態を示す切替信号等の信号で構成することを含む。
前記スイッチ手段は、鍵を回すこと又は押下すること等によりON/OFFを切替えるON/OFFスイッチ、又は、選択ボタン等の複数の選択肢が選択可能な選択スイッチ等のスイッチで構成することを含む。
【0011】
前記操作は、大当たり確率等の遊技条件設定操作、又は、メダル投入等の価値入力に基づく遊技操作等、係員や利用者が行う操作とすることを含む。
前記制御手段は、CPU又はMPU等の制御装置で構成することを含む。
前記遊技機は、パチスロ機やパチンコ機等、遊技を行う装置で構成することを含む。
【0012】
前記送信手段は、入力されたスイッチ信号を一方の接続線にはそのまま出力し他方の接続線には逆転して出力する差動式ドライバ等の送信ドライバ、入力されたスイッチ信号を複数の接続線に分配してそのまま送信する分配器、あるいは、前記スイッチ手段を1操作で同時に切替える複数のスイッチで形成した場合に各スイッチの信号をそれぞれの接続線で送信する接続インタフェース等、スイッチ信号を2以上の接続線で送信する装置で構成することを含む。
【0013】
前記受信手段は、一方の接続線と他方の接続線から受信する信号が逆転しているときに一方の信号をそのまま出力する差動式レシーバ等の受信ドライバ、複数の接続線から受信した信号に基づいて1の信号出力を行う統合器、あるいは、複数の接続線のそれぞれをそのまま接続する接続インタフェース等、2以上の接続線から受信する信号に基づいて1の結果を得ることが可能な装置で構成することを含む。
【0014】
前記構成により、配線への針金の接触等により、スイッチ手段を操作していないにもかかわらずON信号やOFF信号等のスイッチ信号が発生する異常動作を防止することができ、正常動作を確保することが可能となる。
【0015】
この発明の態様として、前記接続線を2本で形成し、前記送信手段を、入力されたスイッチ信号を一方の接続線にはそのまま出力し他方の接続線には逆転して出力する差動式ドライバで形成し、前記受信手段を、一方の接続線と他方の接続線から受信する信号が逆転しているときに一方の信号をそのまま出力する差動式レシーバで形成することができる。
これにより、1のスイッチ信号から正逆2つの信号を回路的に同時生成してタイムラグのない論理回路を形成することができ、低コストで異常動作の防止を実現することができる。
【0016】
またこの発明の態様として、前記接続線のそれぞれから受信する各信号に基づいて異常の有無を検知する異常検知手段を備えることができる。
【0017】
前記異常検知手段は、差動式レシーバに入力する一方の接続線と他方の接続線で信号が逆転しているときに正常信号を出力し、それ以外のときに異常信号を出力する検知手段、又は、差動式レシーバに入力する一方の接続線と他方の接続線で信号が同一であるときに正常信号を出力し、それ以外のときに異常信号を出力する検知手段等、各接続線から受信する各信号が正常動作ではありえない組合せ(論理値)となったことを検出可能な装置で構成することを含む。
【0018】
前記構成により、異常動作の発生を検知することができる。例えば2本の接続線の場合であれば、1方の接続線でスイッチ手段をスイッチONした状態が発生し、その後にさらに他方の接続線でスイッチ手段をスイッチONした状態が発生したような場合であっても、途中に存在する正常動作ではありえない組合せを検知できるため、スイッチ手段を操作せずに制御手段で制御する操作の可否を変更するといったことを防止することができる。
【0019】
またこの発明の態様として、差動式レシーバに入力する一方の接続線と他方の接続線が逆転しているときに正常信号を出力し、それ以外のときに異常信号を出力するフォトカプラ式検知手段を備えることができる。
【0020】
前記フォトカプラ式検知手段は、正方向の信号で発光するLEDと逆方向の信号で発光するLEDを組合せ、いずれか一方の発光をフォトトランジスタで検知すれば正常、それ以外は異常として検出するように形成することを含む。
【0021】
前記構成により、一方の接続線の信号切替えと他方の接続線の信号切替えにタイムラグが発生した場合にこれを検出することができ、異常な動作による操作の可否の変更を防止することができる。
【0022】
またこの発明は、スイッチ信号を送信するスイッチ手段に、該スイッチ信号を複数の信号として2以上の接続線で送信する送信手段を備えた電源ユニットとすることができる。
【0023】
これにより、電源ユニットに備えたスイッチ手段に対して、異常状態によるスイッチ信号の発生を防止することができる。
【0024】
またこの発明は、スイッチ信号を受信する受信手段に、2以上の接続線に接続して複数の信号を受信する受信手段を備えたメイン基板とすることができる。 前記メイン基板は、CPU又はMPU等の制御手段を備えて、遊技機のメインとなる主基板で構成することを含む。
前記構成により、異常状態でのスイッチ信号が発生することを防止し、正常なスイッチ信号の受信時に実行する動作をスイッチ手段の操作なく実行する事態を防止することができる。
【0025】
【発明の効果】
この発明により、異常の発生により正常動作と同様に動作することを防止することができ、遊技機を設置している遊技ホールが思わぬ不利益を被ることを防止することができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
この発明の一実施形態を以下図面と共に説明する。
まず、図1に示すパチスロ機1の正面図と共に、パチスロ機1の外観について説明する。
【0027】
該パチスロ機1は、前面上部に多数のLED12と上部ランプ13を備える。前面中央部には液晶表示装置14、中間ランプ15、7セグメントLED16、プレイヤ操作用のプレイヤ操作スイッチ17、遊技操作用の押しボタン18、メダル投入口19および返却ボタン20を備える。前面下部にはメダル返却口(価値出力手段)21とスピーカ22を備える。
【0028】
上記構成により、プレイヤによるメダル投入口(受付手段)19へのメダル(価値)の投入(入力)を受け付け、投入されたメダル数に応じて遊技を許容することを可能にしている。
【0029】
該遊技に際しては、入力装置であるプレイヤ操作スイッチ17及び押しボタン18の押下操作を利用者に許容し、これらの操作に基づいて遊技を実行する。プレイヤに返却ボタン20が押下された場合は、メダル返却口21からメダルを返却する。
【0030】
次に、図2に示す前面開放状態のパチスロ機1の正面図と共に、パチスロ機1の内部構造について説明する。
該パチスロ機1は、縦長の箱形状に設けられた筐体の本体23側と、その前面を片開き式に開閉自由に覆う前面パネル24とで構成している。
【0031】
前面パネル24の内面には、サブ基板26、ランプ基板27、LED基板28、音源基板29、及び液晶基板30を取り付けている。
本体23側には、主基板25、及び電源ユニット31を取り付けている。
【0032】
前記電源ユニット31は、主基板25、ボタン制御基板32、メダルセレクタ(価値入力手段)33、7セグメントLED基板34などの機器に対して、電源ライン用のハーネス35を用いて接続している。なお、主基板25に対して2本のハーネス35,35で接続している。
【0033】
前記主基板25は、CPU、ROM、及びRAMで構成した制御装置、及びデータ管理端末(図示省略)と通信する通信インタフェース(通信手段)とを備えており、リール37の駆動制御等遊技に必要な制御を実行する。
【0034】
前記サブ基板26は、主基板25から各基板(装置)への制御信号を、信号線36を介して中継する。
前記ランプ基板27は、上部ランプ13(図1)及び中間ランプ15(図1)を配設しており、該上部ランプ13及び中間ランプ15の点灯/消灯を制御する。
【0035】
前記LED基板28は、LED12(図1)を配設しており、該LED12の点灯/消灯を制御する。
前記音源基板29は、遊技用の効果音や音楽等を発音するための音源であり、スピーカ22を介して効果音や音楽を鳴らす。
【0036】
前記液晶基板30は、液晶表示装置14(図1)を備え、遊技等に関する表示を行う。
前記電源ユニット31は、各装置に必要な電源を供給する。また、後述する鍵スイッチユニットを備えている。
【0037】
前記ボタン制御基板32は、プレイヤ操作スイッチ17(図1)及び押しボタン18(図1)を備えており、利用者によって押下された押下信号を、主基板25に送信する。
【0038】
前記メダルセレクタ33は、メダル投入口19(図1)から投入されたメダルを真偽判別し、真メダルをカウントして偽メダルを排除する。
前記7セグメントLED基板34は、前記7セグメントLED16(図1)を備えており、主基板25の制御に従って7セグメントLED16に必要な表示を行う。
リール37は、駆動装置であるモータ(図示省略)の回転により回転し、停止位置をセンサ(図示省略)で検出して主基板25に送信する。
【0039】
以上の内部構造により、パチスロ機1は、利用者によるプレイヤ操作スイッチ17及び押しボタン18の操作に基づいて、リール37の回転、停止を実行し、該リール37の停止位置によって主基板25の制御によりメダルを払いだす遊技を実行することができる。
【0040】
次に、図3及び図4に示す斜視図と共に、電源ユニット31の外観と構成について説明する。
電源ユニット31は、図3に示すように、筐体40の正面に上からリセットボタン41、鍵スイッチ43、押下スイッチ45を備えており、筐体40の右側面には空気対流による放熱用の放熱穴46を形成している。
【0041】
筐体40の内部には、陰線に示すように電源基板44を備えており、該電源基板に鍵スイッチユニット(スイッチ部)42を装着している。
該鍵スイッチユニット42は、図4に示すように金属部材(若しくは樹脂部材)で形成した外装50で囲繞しており、外部から針金やゴミ等が入り込まないように遮蔽している。
【0042】
外装50の内部には、スイッチ基板51を備え、該スイッチ基板に前記鍵スイッチ43を装着している。
ここで、該鍵スイッチ43は、鍵60が差し込まれて回されると、スイッチをONする。
【0043】
また、上記スイッチ基板51は、後述する差動式ドライバを備えており、鍵スイッチ43からの信号を2本の配線により接続インタフェース53から出力する。該接続インタフェースを装着するスイッチ基板51の接続インタフェース54では、2本の配線からの各信号を配線パターン55で2つの配線により送信する構成としている。
【0044】
以上の構成により、鍵スイッチ43のスイッチ信号を外部から操作することを難易にしている。すなわち、スイッチ信号が1出力である鍵スイッチ43の近傍は、外装50で遮蔽されて外部から接触することが物理的に不可能となっている。また、放熱穴46から針金等の挿入が可能な電源基板44では、すでにスイッチ信号を送信する配線が2本となっており、物理的に手を加えて信号操作することを難易にしている。
【0045】
次に、図5に示す回路図と共に、前記電源ユニット31と主基板25との接続部について説明する。
電源ユニット31には、前述したようにスイッチ基板51を備えており、該スイッチ基板51に、鍵スイッチ43、抵抗R1、差動式ドライバ60を備えている。
【0046】
前記鍵スイッチ43は、差動式ドライバの入力の電圧レベルを切替えるスイッチである。該鍵スイッチ43は、上記5V電源との間に入力ラインaで接続している差動式ドライバ60に対して、鍵スイッチ43をOFFにすると信号H(High)が入力され、ONにすると信号L(Low)が入力されるように切替えを行う構成としている。
【0047】
前記差動式ドライバ60は、鍵スイッチ43がOFFの間は、入力ラインaの信号Hに対し、出力ラインbから信号Hを出力し、出力ラインcから信号Lを出力する。
【0048】
鍵スイッチ43がONの間は、入力ラインaの信号Lに対し、出力ラインbから信号Lを出力し、出力ラインcから信号Hを出力する。
【0049】
上記出力ラインb,cは、前述した配線パターン55,55で形成しており、電源ユニット31の外部に存在する主基板25に対しては、ハーネス35,35で形成する接続ラインd,eを介して接続する。
【0050】
主基板25には、上記接続ラインd,eをそれぞれ差動式レシーバ62に接続する入力ラインf,g(配線パターン61,61)を備える。上記差動式レシーバ62には出力ラインh(配線パターン63)を備え、該出力ラインhは、バッファ69を介してCPU70に接続する。
【0051】
上記差動式レシーバ62は、入力ラインfから信号H、入力ラインgから信号Lを受信すると出力ラインhから信号Hを送信する。入力ラインfから信号L、入力ラインgから信号Hを受信すると出力ラインhから信号Lを送信する。入力ラインf,gから受信する信号が上記組合せ以外であれば、出力ラインhから不定な信号(HやL等に一意に定まらない信号)を出力する。
【0052】
また、前記入力ラインf,gには、フォトカプラ64を接続する。該フォトカプラ64は、入力ラインfから信号H、及び入力ラインgから信号Lを受信したときに発光するLED65と、入力ラインfから信号L、及び入力ラインgから信号Hを受信したときに発光するLED66とを備える。
【0053】
該フォトカプラ64には、フォトトランジスタ67も備える。該フォトトランジスタ67は、LED65,66のいずれか一つが発光すると出力ラインiから信号Lを出力してバッファ69を介してCPU70に送信する。それ以外の場合では、出力ラインiから信号Hを出力する。
【0054】
前記バッファ69には、CPU70を接続すると共に、ボタン制御基板(SW基板)32及び7セグメントLED基板(7セグ基板)34を接続する。
前記ボタン制御基板32には、設定終了後に設定を確定するための確定スイッチ32aを備える。
【0055】
前記7セグメントLED基板34には、選択的に6つの設定を切替え可能な切替スイッチ34a、及び前述した7セグメントLED16を備える。
以上の構成により、鍵スイッチ43のスイッチのON/OFFを針金等により配線上で切替える不正や異物により、誤設定が発生することを防止することができる。
【0056】
次に、図6に示す論理値説明図と共に、上述した回路に発生し得る論理値の状態について説明する。
【0057】
まず正常状態について説明する。
1)鍵スイッチ43がOFFの場合
ラインa,b,d,f,hには信号Hが送信され、ラインc,e,gには信号Lが送信される。また、異常を検出するラインiには正常を示す信号Lが送信される。
【0058】
2)鍵スイッチ43がONの場合
ラインa,b,d,f,hには信号Lが送信され、ラインc,e,gには信号Hが送信される。また、異常を検出するラインiには正常を示す信号Lが送信される。
【0059】
次に、異常状態について説明する。
鍵スイッチ43は、設定変更を行うとき以外はOFFとなっているため、異常状態が発生するのは鍵スイッチ43がOFFの場合と考えられる。従って、ラインaが信号Hを送信している場合で考えられる異常状態について説明する。
【0060】
3)ラインbが針金等によってGNDラインと短絡したような場合
ラインb,d,fで送信する信号がHからLに変わり、差動式レシーバ62(図5)の出力信号を送信するラインhの信号は不定となる。フォトカプラ64の出力信号を送信するラインiの信号はHとなり、異常が検出できる。
【0061】
4)ラインcが針金等によって5V電源ラインと短絡したような場合
ラインc,e,gで送信する信号がLからHに変わり、差動式レシーバ62(図5)の出力信号を送信するラインhの信号は不定となる。フォトカプラ64の出力信号を送信するラインiの信号はHとなり、異常が検出できる。
【0062】
5)ラインdが断線したような場合
ラインd,e,f,gで送信する信号が消滅し、差動式レシーバ62の出力信号を送信するラインhの信号も消滅する。フォトカプラ64の出力信号を送信するラインiの信号はHとなり、異常が検出できる。
【0063】
6)ラインeが断線したような場合
ラインd,e,f,gで送信する信号が消滅し、差動式レシーバ62の出力信号を送信するラインhの信号も消滅する。フォトカプラ64の出力信号を送信するラインiの信号はHとなり、異常が検出できる。
【0064】
以上の動作により、鍵スイッチ43から主基板25の間で何らかの異常があった場合、フォトカプラ64で異常を検出することができる。
【0065】
従って、鍵スイッチ43をスイッチONしている間のみ、切替スイッチ34aで設定の切替え操作を許容することが実現可能となる。これにより、従来のように鍵スイッチ43がスイッチONのときと同一状態が発生してしまい、切替スイッチ34aで設定変更がされ、ボタン制御基板32の確定スイッチ32aで設定変更が確定するという事態を回避することができる。
【0066】
このようにして、図7の回路図に示す従来のパチスロ機のように、配線パターン155、ハーネス135、及び配線パターン163が各1本であり、どこかでGNDラインと短絡すれば鍵スイッチ143をONしたのと同一状態になって設定変更が可能となる問題を回避することができる。なお、図7に示す従来のパチスロ機は、バッファ169及びCPU170を備えた主基板125、鍵スイッチ143を内蔵するスイッチ基板151を備えた電源ユニット131、確定スイッチ132aを備えたボタン制御基板132、7セグメントLED116及び切替スイッチ134aを備えた7セグメントLED基板134で構成する。
【0067】
なお、以上の実施形態では、差動式ドライバ60を電源ユニット31に備えたが、これに加えて、又はこれの代わりに、メダルセレクタ33でメダル数をカウントするセンサ近傍に差動式ドライバ60を備えても良い。この場合は、メダルを投入せずに投入信号を作り出して不正に遊技するような行為を防止することができる。
【0068】
また、パチスロ機に限らず、パチンコ機等の他の遊技機に差動式ドライバ60、差動式レシーバ62、及びフォトカプラ64等を備えて異常を検知可能に構成しても良い。
【0069】
また、差動式レシーバ62を備えず、配線パターン61,61のラインf,gを直接バッファ69に入力し、ラインf,gから受信する信号をCPU70で処理するように構成しても良い。
【0070】
この場合、CPU70はソフトウェア処理を実行し、ラインf,gからの入力信号の組合せに基づいて、図6の論理値表に示したようにラインaでの信号がHかLのいずれであったかを判定するように構成すればよい。
【0071】
さらにこの場合、フォトカプラ64も省略し、ラインf,gからの入力信号の組合せからソフトウェア処理にて異常状態の発生(例えば信号切替えのタイムラグ等)を検出するように構成しても良い。
これらにより、差動式レシーバ62やフォトカプラ64を省略して回路を簡略化することができる。
【0072】
この発明の構成と、上述の実施形態との対応において、
この発明の遊技機は、実施形態のパチスロ機1に対応し、
以下同様に、
制御手段及びメイン基板は、主基板25に対応し、
電源ユニットは、電源ユニット31に対応し、
接続線は、ハーネス35、配線パターン55,61に対応し、
スイッチ手段は、鍵スイッチ43に対応し、
送信手段は、差動式ドライバ60に対応し、
受信手段は、差動式レシーバ62に対応し、
異常検知手段及びフォトカプラ式検知手段は、フォトカプラ64に対応し、
スイッチ信号は、信号H,Lに対応するも、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】パチスロ機の外観を示す正面図。
【図2】パチスロ機の内部構造を示す正面図。
【図3】電源ユニットの外観と構成を示す斜視図。
【図4】鍵スイッチユニットの外観と構成を示す斜視図。
【図5】電源ユニットと主基板との接続部を示す回路図。
【図6】差動式レシーバとフォトカプラの入出力の論理値を示す説明図。
【図7】従来の電源ユニットと主基板との接続部を示す回路図。
【符号の説明】
1…パチスロ機
25…主基板
31…電源ユニット
35…ハーネス
43…鍵スイッチ
55…配線パターン
60…差動式ドライバ
61…配線パターン
62…差動式レシーバ
64…フォトカプラ
H,L…信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スイッチ信号を送信するスイッチ手段と、
受信した該スイッチ信号に基づいて操作の可否を決定する制御手段とを備えた遊技機であって、
前記スイッチ手段に、前記スイッチ信号を複数の信号として2以上の接続線で送信する送信手段を備え、
前記制御手段に、上記2以上の接続線に接続して上記複数の信号を受信する受信手段を備えた
遊技機。
【請求項2】
前記接続線を2本で形成し、
前記送信手段を、入力されたスイッチ信号を一方の接続線にはそのまま出力し他方の接続線には逆転して出力する差動式ドライバで形成し、
前記受信手段を、一方の接続線と他方の接続線から受信する信号が逆転しているときに一方の信号をそのまま出力する差動式レシーバで形成した
請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記接続線のそれぞれから受信する各信号に基づいて異常の有無を検知する異常検知手段を備えた
請求項1又は2記載の遊技機。
【請求項4】
差動式レシーバに入力する一方の接続線と他方の接続線が逆転しているときに正常信号を出力し、それ以外のときに異常信号を出力するフォトカプラ式検知手段を備えた
請求項2記載の遊技機。
【請求項5】
スイッチ信号を送信するスイッチ手段に、該スイッチ信号を複数の信号として2以上の接続線で送信する送信手段を備えた
電源ユニット。
【請求項6】
スイッチ信号を受信する受信手段に、2以上の接続線に接続して複数の信号を受信する受信手段を備えた
メイン基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2004−313569(P2004−313569A)
【公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2003−113845(P2003−113845)
【出願日】平成15年4月18日(2003.4.18)
【出願人】(000002945)オムロン株式会社 (3,542)