説明

遊技機のメダル供給経路の構造

【課題】 メンテナンスや調整、新台への入れ替え等による遊技機の移動作業を容易にする。
【解決手段】 メダル搬送ラインに設けたメダルの分配路から遊技機の背面に設けたメダルの受入口へメダル供給を中継する中継部40を設ける。中継部40はその上面に取込口41を開口し、下面に遊技機の受入口と連通される排出口42を開口し、底面はメダルmを排出口42へ滑落させる傾斜面43を形成し、長手方向の側壁44は分離して複数の掛止穴45と突起47で取り付け位置を上下方向へ変更可能に脱着自在にしており、遊技機とは反対側に面する側壁44を分配路のノズルが接触せず且つメダルが外部へこぼれない間隔となる位置に取り付けて設置することで、稼動時にはメダルを従来通り円滑に供給し、遊技機の水平移動時には中継部40の取り外し作業を省略でき、メンテナンスや調整、新台への入れ替え作業を迅速に実施できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダル搬送ラインに設けたメダルの分配路と遊技機の背面に設けたメダルの受入口との間のメダル供給経路の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技設備のメダル自動補給装置が特許文献1に開示されている。この技術は、隣設される複数の遊技機にメダルを搬送する搬送ラインを設け、搬送ラインのメダルを分配する複数の分配路を所定間隔おいて設け、搬送ラインを流れるメダルを塞き止めて分配路へ誘導する取込装置を設け、メダルの受入口を背面に備えた遊技機を各分配路の下方の定位置にそれぞれ設置し、分配路から受入口へメダルを送り込む送給路を接続している。
【0003】
ところで、前記技術の送給路は容易に外れないように分配路と受入口に比較的強固に接続されているから、頻繁に実施されるメンテナンスや調整、新台への入れ替え等で遊技機を水平に移動する際は、送給路の取り外しが面倒で作業に手間を要していた。
【0004】
また、送給路の取り外し作業を省略できるメダル供給経路の構造も提案されており、分配路から遊技機へメダルを導く中継部を遊技機の受入口に取り付け、その上面の取込口は分配路のノズルと固定しないようにした構造である。しかしながら、遊技機の受入口や搬送ラインの高さ位置によっては遊技機を水平に移動する際に分配路のノズルが中継部と接触して中継部の取り外し作業が必要な場合があり、作業の省力化がさらに求められていた。
【特許文献1】特開2004−236783号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、メンテナンスや調整、新台への入れ替え等による遊技機の移動作業を容易にする遊技機のメダル供給経路の構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) メダル搬送ラインに設けたメダルの分配路と遊技機の背面に設けたメダルの受入口との間のメダル供給経路の構造であって、分配路から遊技機の受入口へメダルを導く中継部を設け、同中継部はその上面に取込口を形成し、下面に遊技機の受入口と連通する排出口を形成し、遊技機の幅方向の対向する側壁をそれぞれ分離してその取り付け位置を上下方向へ変更可能に脱着自在にし、中継部と遊技機とを固定し、中継部と分配路とは固定しない構造としたことを特徴とする、遊技機のメダル供給経路の構造
2) 中継部が遊技機の幅方向に横長形状で、上面の取込口を横長に形成し、下面の排出口を片方寄りの位置に形成した、前記1)記載の遊技機のメダル供給経路の構造
3) 中継部の排出口と遊技機の受入口との間に接続部材を介装し、同接続部材に排出口を中継部が左右逆向きに脱着可能に固定した、前記2)記載の遊技機のメダル供給経路の構造
4) 接続部材に中継部を遊技機の奥行き方向へ位置変更可能に取り付けできる構造とした、前記3)記載の遊技機のメダル供給経路の構造
にある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、遊技機の受入口や搬送ラインの高さに応じて中継部の側壁を分配路のノズルが接触しない位置で且つメダルが外部へこぼれない間隔となる位置に取り付けて設置することで、稼動時にはメダルは従来通り円滑に供給され、遊技機の水平移動時には従来の面倒な取り外し作業を省略してそのまま引き出すことができ、メンテナンスや調整、新台への入れ替え作業を迅速に実施できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明では、側壁の取り付け位置の変更手段としては、側壁を複数の掛止穴と突起で脱着自在にする方法の他に、側壁を上下方向へスライドさせる方法があり、少なくとも遊技機の水平移動時に分配路のノズルが接触しない位置で且つメダルが外部へこぼれない間隔(10〜20mm)となる位置に保持させる。中継部の取込口を横長に形成し、下面の排出口を片方寄りの位置に形成すると、受入口の位置が左右に異なっても分配路のノズルが取込口の横幅の範囲内に配置されれば遊技機を左右にずらすことなく定位置に設置できる。また、受入口に取り付けた接続部材に排出口を中継部が左右逆向きに脱着可能に固定すると、中継部を左右逆向きに固定してメダルの取り込み可能範囲を遊技機の幅方向へ移行させることで、受入口の位置が取込口の横幅以上に大きく異なる遊技機でも定位置への設置を維持できる。接続部材に中継部を遊技機の奥行き方向へ位置変更可能に取り付けできる構造とすると、奥行きの異なる遊技機の設置位置を前後方向へ容易に調整できる。以下、本発明の各実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0009】
図1〜5に示す実施例1は、接続部材を用いて中継部を左右逆向きに脱着可能に固定したメダル供給経路の構造の例である。図1は実施例1のメダル供給経路の側面図、図2は実施例1の中継部の一部切り欠き分解斜視図、図3は実施例1の中継部の側壁の取り付けパターンを示す説明図、図4は実施例1の中継部の取り付けパターンを示す説明図、図5は実施例1の遊技機の設置位置の調整を示す説明図である。
【0010】
図中、10は遊技機、11は筐体、12は受入口、13はホッパー、20はメダル搬送ライン、30は分配路、31はノズル、40は中継部、41は取込口、42は排出口、43は傾斜面、44は側壁、45は掛止穴、46はフック、47は突起、48,49は掛止穴、50は接続部材、51は突起、52はネジ穴、mはメダルである。
【0011】
実施例1の遊技機10は、図1に示すように筐体11の背面に外部から取り込んだメダルmを内部へ受け入れる受入口12を開口し、受入口12の直下の筐体11の内部に受け入れたメダルmを払い出し時まで貯留するホッパー13を取り付けている。メダル搬送ライン20の途中位置に樋状の分配路30を取り付け、メダル搬送ライン20のメダルmを分配路30へ誘導する取込装置を備え(図示せず)、分配路30に取り込まれたメダルmを筐体11の受入口12へ導く中継部40を設けている。
【0012】
中継部40は、図2に示すように遊技機10の幅方向に横長形状で、上面に横長の取込口41を開口し、下面の左右いずれか片方寄りの位置に遊技機10の受入口12と連通する排出口42を開口し、底面はメダルmを排出口42へ滑落させる傾斜面43を形成している。長手方向の対向する側壁44は分離して複数の掛止穴45と突起47で取り付け位置を上下調整可能に脱着できるようにし、下端のフック46は中継部40の上縁部又は掛止穴48に掛止して取り付けを強固に保持できるようにしている。
【0013】
遊技機10の受入口12には連通する接続部材50を取り付け、接続部材50に中継部40の排出口42を掛止穴49と突起51で中継部40の取り付け位置を遊技機10の奥行き方向へ調整できるように脱着自在に取り付けている。
【0014】
実施例1では、図3(a)に示すように遊技機10の受入口12の位置bが下方寄りの場合は、対向する側壁44をそれぞれ最上位置に取り付ける。図3(b)に示すように受入口12の位置bが中位の場合は、遊技機10とは反対側に面する側壁44をメダルmが外部へこぼれない間隔aとなる中位置に取り付ける。図3(c)に示すように受入口12の位置bが上方寄りの場合は、遊技機10とは反対側に面する側壁44を最下位置に取り付ける。遊技機10とは反対側に面する側壁44とノズル31との間隔aはいずれも10mm程度に保持される。
【0015】
このように、遊技機10とは反対側に面する側壁44はノズル31と接触せず且つメダルmが外部へこぼれない間隔aとなる位置に取り付け、対向する側壁44は少なくともノズル31の路端より高く配置される位置に取り付けることで、稼動時はメダルmをこぼすことなく従来通り円滑に供給し、メンテナンス等で遊技機10を手前へ引き出す際は、分配路30のノズル31が中継部40に接触することなく水平移動でき、中継部40の取り外し作業が省略されてメンテナンスや調整、新台への入れ替え作業を迅速に実施でき、作業を大幅に省力化できる。
【0016】
新台への入れ替え等で受入口12の位置が異なる遊技機10と交換する場合は、中継部40を新しい遊技機10の受入口12に取り付け替え、定位置に設置する。図4(a),(b)に示すように分配路30のノズル31は受入口12の位置に応じて左右にずれるが、ノズル31の位置が取込口41の横幅の範囲内であれば遊技機10を定位置に設置でき、分配されたメダルmは傾斜面43を滑落して円滑に供給される。
【0017】
受入口12の位置が取込口41の横幅以上に大きく異なる場合は、図4(c)に示すように中継部40を左右逆向きに固定するとともに、遊技機10側に配置された側壁44は最上位置に取り付け直し、遊技機10とは反対する側に配置された側壁44はノズル31と接触せず且つメダルmが外部へこぼれない間隔となる位置に取り付け直すことで、メダルmの取り込み可能範囲が遊技機10の幅方向へ移行し、遊技機10の定位置への設置を維持できる。分配路30のノズル31と中継部40の排出口42が鉛直方向に連通する場合は、中継部40は左右どちらの向きに取り付けてもよい。
【0018】
遊技機10の筐体11の奥行きが交換前の遊技機10と若干異なる場合は、図5に示すように中継部40を接続部材50に対して掛止穴49と突起51で遊技機10の奥行き方向へ取り付け位置をずらすことで設置位置を容易に調整できる。
【実施例2】
【0019】
図6に示す実施例2は、中継部の排出口を遊技機の受入口に直接固定したメダル供給経路の構造の例である。図6は実施例2のメダル供給経路の側面図である。実施例2では、図6に示すように中継部40の排出口52を遊技機10の背面側へ曲折して受入口12と直接固定できる構造にしており、分配路30のノズル31の位置が取込口41の横幅の範囲内であれば遊技機10を定位置に設置でき、実施例1と比較して低コストで実施できる。その他、符号、構成、作用効果は実施例1と同じである。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明の遊技機のメダル供給経路の構造は、メダルを用いて遊技する全ての遊技機に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施例1のメダル供給経路の側面図である。
【図2】実施例1の中継部の一部切り欠き分解斜視図である。
【図3】実施例1の中継部の側壁の取り付けパターンを示す説明図である。
【図4】実施例1の中継部の取り付けパターンを示す説明図である。
【図5】実施例1の遊技機の設置位置の調整を示す説明図である。
【図6】実施例2のメダル供給経路の側面図である。
【符号の説明】
【0022】
10 遊技機
11 筐体
12 受入口
13 ホッパー
20 メダル搬送ライン
30 分配路
31 ノズル
40 中継部
41 取込口
42 排出口
43 傾斜面
44 側壁
45 掛止穴
46 フック
47 突起
48,49 掛止穴
50 接続部材
51 突起
52 ネジ穴
m メダル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
メダル搬送ラインに設けたメダルの分配路と遊技機の背面に設けたメダルの受入口との間のメダル供給経路の構造であって、分配路から遊技機の受入口へメダルを導く中継部を設け、同中継部はその上面に取込口を形成し、下面に遊技機の受入口と連通する排出口を形成し、遊技機の幅方向の対向する側壁をそれぞれ分離してその取り付け位置を上下方向へ変更可能に脱着自在にし、中継部と遊技機とを固定し、中継部と分配路とは固定しない構造としたことを特徴とする、遊技機のメダル供給経路の構造。
【請求項2】
中継部が遊技機の幅方向に横長形状で、上面の取込口を横長に形成し、下面の排出口を片方寄りの位置に形成した、請求項1記載の遊技機のメダル供給経路の構造。
【請求項3】
中継部の排出口と遊技機の受入口との間に接続部材を介装し、同接続部材に排出口を中継部が左右逆向きに脱着可能に固定した、請求項2記載の遊技機のメダル供給経路の構造。
【請求項4】
接続部材に中継部を遊技機の奥行き方向へ位置変更可能に取り付けできる構造とした、請求項3記載の遊技機のメダル供給経路の構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−173147(P2008−173147A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−6601(P2007−6601)
【出願日】平成19年1月16日(2007.1.16)
【出願人】(000108247)株式会社ジェッター (42)