説明

遊技機の擬似球演出装置

【課題】大当たり確定後の遊技球による演出性を向上させ、また、遊技機の制御を簡素化する。
【解決手段】
擬似球演出装置1は、1つの演出口2、2つの非演出口2aを有する回転体3と、この回転体3の外周囲に近接形成され遊技球4を回転体3へ誘導するための誘導通路5と、回転体3への入球を検出する入球検出部6を備え、磁石7を上部に備え固定する磁石取付部8と、磁石取付部8を支持する支持体9と、を有し、誘導通路5の下部に配置され、第一位置Lとこれよりも位置が高く回転体3に近接する第二位置Hを採り、第一位置Lと第二位置Hの間で磁石を移動させる磁石移動装置10を備え、回転体2の回転に同期させて磁石7を移動させ、必ず擬似球4を演出口2へ入球させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弾球遊技機等の各種の遊技機に係り、特に、遊技機の遊技領域に発射された遊技球を所定の入賞に対応するように誘導する遊技機の擬似球演出装置である。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に示す通り、第一種遊技機と第三種遊技機とのそれぞれの遊技を組み合わせて、特別価値の発生確率がクルーン役物手段の形状その他の機械的要素に基本的に起因していて、必要に応じてコンピュータソフトによる制御を用いるようにして、遊技性が高く、面白みがある遊技機を提供するため、特別価値の発生確率が、当所予定された確率より大幅に低くなる場合には、磁力発生位置調整手段40の磁性部材46を環状部材21の円周に沿って移動し、所定の位置に停止するようにし、クルーン役物手段20に流下した遊技球が、所定の位置近傍に誘導され、所定の位置近傍にある特定の入賞穴25に落とされ易くなり、特定の入賞穴25に遊技球が連続して落とされ、三つの表示欄17a,17b,17cに特定の入賞穴25に係る絵柄が揃い、特定絵柄が表示され、特別価値が発生し易くした発明が提案されている。
【0003】
特許文献2に示す通り、所定の入賞に対応させるように遊技球を振り分けるにあたり、遊技球を、磁力を利用しつつも、遊技者に不自然に感じさせることなく転動させるようにした遊技機の振り分け装置を提供するため、遊技盤の遊技領域で転動する遊技球が球誘導部材130により誘導されてケーシング100aの蓋体120の円板状内側壁120bの上面の外周部上にその円周方向に向け落下すると、当該遊技球は、内側壁120bの上面の円周方向に沿い緩やかに転動しつつその中心Ocに向けて螺旋状に転動する。このとき、磁石片142が、内側壁120bに設けた当たり孔部124aの外周部の後側半円周部に下方から当接していると、当該遊技球は、その転動の勢いに伴い、磁石片142の磁力を受けて吸引されながら、当たり孔部124aの外周部の上記後側半円周部に沿い外れ孔部123aに向かうように転動する発明が提案されている。
【0004】
特許文献3に示す通り、従来にない新規性の高い演出によって遊技者に対して面白みを与えることができる遊技台を提供するため、遊技球を所定の領域と所定の領域以外の領域に案内する磁石を備え、遊技球が所定の領域を通過した場合に抽選を行い、抽選に当選した場合に当選が確定したことを示唆しない情報を表示装置に表示し、その後に遊技球が所定の領域以外の領域を通過した場合に当選が確定したことを示唆する情報を表示装置に表示する。
【0005】
【特許文献1】特開平11−333080号公報
【特許文献2】特開2009−254480号公報
【特許文献3】特開2009−66271号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術に示す発明は、いずれも、磁石によって、遊技球を誘導させた後に、特定価値が発生させるものであり、特定価値が発生した後に、磁石を利用する発明は皆無である。また、引用発明1は磁石が円周方向に沿って移動するため、一長一短があった。引用発明2は構造が複雑である。引用発明3は、所定領域と所定領域以外の領域に案内するので、制御が複雑になるという問題がある。
【0007】
本発明は、大当たり確定後の遊技球による演出性を向上させ、また、遊技機の制御を簡素化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題に鑑み、本発明は、演出口を有する回転体と、該演出口に遊技球を誘導するための誘導通路と、前記誘導通路への入球を検出する入球検出部を備える遊技機の擬似球演出装置であって、前記回転体の下部に配置され、磁石と、磁石を移動させる磁石移動駆動部と、前記磁石を第一位置と、該第一位置より前記回転体に近い第二位置との間で移動させる磁石移動装置を備え、大当たりが決定した状態において、前記入球検出部による入球を検出すると、これに応答して、第一位置と第二位置の間で磁石を移動させることにより、前記演出口に擬似球を誘導し、入球させることを特徴とする遊技機の擬似球演出装置である。ここでいう演出口には、V入賞口、チャンス穴、時短穴、通過孔等、種々の機能を実現するため遊技球が入球可能なものが挙げられる。ここでいう移動には、移動、スライド、往復動等が挙げられる。また、磁石には、励磁電流により磁界を発生する電磁石も含む。
【0009】
本発明は、前記回転体を回転させる回転体駆動部と、前記演出口の回転位置を検出する回転位置検出部と、前記検出された回転位置に基づいて、前記回転体駆動部と前記磁石移動駆動部とを同期制御することにより、擬似球を前記演出口に誘導し、入球させる制御装置と、を備えることが好ましい。
【0010】
本発明は、磁石が横長に配列され、前記誘導通路の下に配置されることが好ましい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、遊技機が内部的に大当たりを決め、大当たりが決まった状態でも、遊技者にとってはまだ大当たりはわからないので、大当たりを遊技者にわからせるため、本発明による回転体と磁石による演出をして、演出口に意図的に擬似球を入球させ、大当たりであるという演出をすることができる。また、液晶画面と連動させて数字が揃う等の演出と同時に演出口に入球させることもでき、そういった他の演出と組み合わせた演出も可能となる。これにより、大当たりが決まった状態での疑似的な演出を行い、趣興性を大いに高めることができる。さらに磁石により、環状通路で擬似球を留め、擬似球が遊んでいるように見せ、演出口に入球させることにより、趣興性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施形態の遊技機の擬似球演出装置を示す正面図である。
【図2】本実施形態の遊技機の擬似球演出装置を示す右側面図である。
【図3】本実施形態の遊技機の擬似球演出装置の筐体を取り外した状態を示す正面図である。
【図4】本実施形態の遊技機の擬似球演出装置の筐体を取り外した状態を示す右側面図である。
【図5】本実施形態の遊技機の擬似球演出装置を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態の遊技機の擬似球演出装置1(以下単に、擬似球演出装置1という)につき図面を参照して説明する。一般的に二種遊技機等では、抽選してV入賞口に入ったら大当たりというのが一般的であるが、本発明は、大当たりが決まった状態で、そのあとに見せる演出としての構造を主眼とする。
【0014】
擬似球演出装置1は、1つの演出口2、2つの非演出口2aを有する回転体3と、この回転体3の外周囲に近接形成され遊技球4を回転体3へ誘導するための誘導通路5と、回転体3への入球を検出する入球検出部6を備えるものである。回転体3と誘導通路4は、遊技機の中央に搭載される回転体の役物である。この役物は回転体3に穴が3個開設されており、遊技球4がルーレットのように誘導通路5を回動し、3つの穴のうちのいずれか1つに入る仕組みになっている。その内、1つが演出口2である。また、擬似球演出装置1は、磁石7を上部に備え固定する磁石取付部8と、磁石取付部8を支持する支持体9と、を有し、誘導通路5の下部に配置され、第一位置Lとこれよりも位置が高く回転体3に近接する第二位置Hを採り、第一位置Lと第二位置Hの間で磁石を移動させる磁石移動装置10を備えている。ここでは磁石7の移動は上下方向(昇降)の往復動が例示されている。
【0015】
遊技機(図示略)が大当たりを決定した状態において、入球検出部6による遊技球4(以下、大当たり決定状態での遊技球を擬似球4という。)の入球を検出すると、これに応答して、第一位置Lから第二位置Hに磁石7と磁石取付部8が上昇し、磁石7が擬似球4に及ぼす磁力を増大させ、磁石7と磁石取付部8が第二位置Hから第一位置Lへ下降することにより、擬似球4に加わる磁石の磁力が弱まり、擬似球4が回転体3に落下し、演出口2に擬似球4が入球することを特徴とする。以下、詳細に説明する。
【0016】
擬似球演出装置1は、溝11〜13を有する一対の側板14、15、溝16〜19を有する一枚の底板20を備え、これにより筐体を構成する。溝12に後述の傾斜板30が嵌合される。溝11に後述の通路盤50が嵌合される。側板14,15の下部は溝16,17にそれぞれ嵌合される。溝18は外部に開口する通路を構成する。
【0017】
傾斜板30は、後述の貫通穴53からの遊技球を誘導する誘導溝31、後述のフォト・センサ59を収容する溝32、歯車57を軸支する軸受33、歯車56を軸支するボス34を備えている。
【0018】
誘導通路5が通路盤50の中央部に形成されている。通路盤50の誘導通路5の内側に回転体3を支持するための回転体支持盤51が形成され、その中央部にボス52、このボス52の近辺に演出口2からの遊技球を通過させる貫通穴53が形成される。また、回転体支持盤51の奥には通過した遊技球4を排出する排出口54が形成される。通路盤50の下側に回転体3を回転駆動するための、回転軸55を有し貫通穴が形成された歯車56、この歯車56と歯合する歯車57、歯車57を駆動するモータ58を備えている。歯車56に近接して歯車56の位置を検出するフォト・センサ59を備えている。これに基づいて、回転体3の演出口2の位置を検出する。
【0019】
入球検出部6は、遊技球の通過を検出する遊技球センサ60と、遊技球導入溝61と遊技球穴62とを有し遊技球センサ60に遊技球を導入する遊技球導入部63と、遊技球センサ60を固定するための固定板64を備えている。遊技球導入部63が通路盤50の一部を覆うように設置されている。
【0020】
磁石7はネオジム磁石が好ましいが、例示でありこれに限定されるものではない。磁石7は複数個(ここでは6個)が並設されている。ここでは磁石7が横長に配列され(図では弧状に)配置されて、回転体3の中心に対して凸状配置となっている。また、磁石7は、誘導通路4の下側に配置される。磁石7が第二位置Hにおいて誘導通路4の直下に配置され、第一位置Lでは下方に離隔された位置に配置される。また磁石7は永久磁石が好ましい。磁石7に代えて、電磁石、例えば、磁性材料の芯のまわりに、コイルを巻き、通電することによって一時的に磁力を発生させ、電流を止めると磁力が失われるものとしてもよい。
【0021】
磁石移動装置10は、磁石取付部8として、磁石を固定する磁石固定板101、複数の磁石7を被覆する被覆部102、103を備えている。また、磁石固定板101の下部に上下に分割され嵌合可能な分割体104,105を備えている。さらに分割体104の上部に磁石固体板101が固定される。
【0022】
分割体105に磁石移動駆動部として機能するソレノイド106が取り付けられ、ソレノイド106のプランジャーヘッド107の端部が分割体105の下部107に固定されている。これらは、位置が固定されている分割カバー108,109に収容され、ソレノイド106の駆動で一体的に移動される。分割カバー109の内側にソレノイド固定枠110が形成され、ソレノイド106が固定されている。図3では磁石7が第一位置Lであり、ソレノイド106が通電されると、矢印の通り、磁石7が上昇し、第二位置Hとなる。分割カバー109がネジ部111で傾斜板30の端部に固定される。
【0023】
制御装置250が図5の点線で示す通り、モータ58とソレノイド106にそれぞれ接続され、制御信号を送信する。この制御信号は、回転体3を駆動するモータ3に同期して、ソレノイド106を制御することにより、擬似球4を必ず演出口2に入球させるように構成している。その制御は種々なる態様で設計可能であり、ソレノイド106による移動制御に同期して、回転体3を駆動するモータ3に制御してもよい。制御信号は、マイクロコンピュータによるプログラムで設定することが好ましい。
【0024】
次に擬似球演出装置1の動作を説明する。遊技機の大当たり状態は、例えば、内部的に始動口への入賞に起因する抽選によって大当たりを決める。内部的に大当たりが決まった状態でも、遊技者にとってはまだ大当たりはわからないのである。遊技機の大当たりが内部的に決まっていて、それを遊技者にわからせるために、回転体3と磁石7による同期制御により、擬似球4の演出を行い、演出口2に意図的に入球させ、大当たりであるという演出をする。また、例えば、液晶画面と連動させて3ケタの数字がそろうと同時に演出口2に入球させる等、共演的な役割も可能である。二種弾球遊技機の場合、直接、大当たり演出口に入ったら大当たりであるのに対し、本実施形態は、大当たりが決まった状態での疑似的な演出ということであり、対照的な演出である。
【0025】
遊技機の大当たり状態において、擬似球4が遊技球誘導溝61、遊技球穴62を経て遊技球センサ60で検出されると、ソレノイド106が通電し、プランジャーヘッド107がソレノイド106に吸引され、磁石7と磁石取付部8が上昇する。そして、遊技球センサ60で検出された擬似球4は誘導通路5に落下し、誘導通路5に沿って回動する。回転体3下側のモータ58のステップ数をフォト・センサ59で検出し、制御装置250が監視している。モータ58のステップ数に基づいて、制御装置250は演出口2の回転位置を演算する。そして、その位置に対して、磁石7の上昇のタイミングを同期させて、磁石7の第二位置Hで擬似球4が磁力によって強制的に、その場に留まり、遊動又は停止させることができる。そして、演出口2の回転位置と同期させて演出口2に入るタイミングでソレノイド106を通電停止すれば、磁石7が下降し、磁力が弱くなって擬似球4に対する影響が少なくなり、擬似球4の自重によって誘導通路5から演出口2に落として、必ず擬似球4を演出口2に入球させることができる。そして、擬似球4は、貫通穴53を経て、誘導溝31に落下し、誘導されて、溝18から排出される。
【0026】
本実施形態によれば、遊技機が内部的に大当たりを決め、大当たりが決まった状態でも、遊技者にとってはまだ大当たりはわからないので、大当たりを遊技者にわからせるため、回転体3と磁石7による同期的な演出をして、演出口2に意図的に擬似球4を入球させ、大当たりであるという演出をする。また、液晶画面と連動させて数字が揃う等の演出と同時に演出口2に入球させることもでき、そういった他の演出と組み合わせた演出も可能となる。これにより、大当たりが決まった状態での疑似的な演出を行い、趣興性を大いに高めることができる。さらに磁石により、誘導通路5で擬似球4を留め、擬似球4が遊んでいるように見せ、演出口2に入球させることにより、趣興性を高めることもできる。
【0027】
なお、本発明は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲において、改変等を加えることが出来るものであり、それらの改変、均等物等も本発明の技術的範囲に含まれることとなる。上記実施形態では、磁石7の移動としては昇降を例示したが、別の形態としては、磁石7の昇降に代えて、磁石のスライドでもよく、スライドの方向には左右、前後、斜め等の種々の方向を含む。
【符号の説明】
【0028】
1・・・擬似球演出装置
2・・・演出口
3・・・回転体
4・・・遊技球
5・・・誘導通路
6・・・入球検出部
7・・・磁石
8・・・磁石取付部
9・・・支持体
10・・・磁石移動装置
L・・・第一位置
H・・・第二位置
11〜13・・・溝
14、15・・・側板
16〜19・・・溝
20・・・底板
30・・・傾斜板
31・・・誘導溝
59・・・フォト・センサ
32・・・溝
57・・・歯車
33・・・軸受
56・・・歯車
34,52・・・ボス
50・・・通路盤
51・・・回転体支持盤
53・・・貫通穴
54・・・排出口
55・・・回転軸
56,57・・・歯車
58・・・モータ
59・・・フォト・センサ
60・・・遊技球センサ
61・・・導入溝
62・・・遊技球穴
63・・・遊技球導入部
64・・・固定板
101・・・磁石固定板
102、103・・・被覆部
104,105・・・分割体
106・・・ソレノイド
107・・・プランジャーヘッド(磁石移動駆動部)
108,109・・・分割カバー
110・・・ソレノイド固定枠
111・・・ネジ部
250・・・制御装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
演出口を有する回転体と、該演出口に遊技球を誘導するための誘導通路と、前記誘導通路への入球を検出する入球検出部を備える遊技機の擬似球演出装置であって、
前記回転体の下部に配置され、磁石と、磁石を移動させる磁石移動駆動部と、を有し、前記磁石を第一位置と、該第一位置より前記回転体に近い位置にある第二位置との間で移動させる磁石移動装置を備え、
大当たりが決定した状態において、
前記入球検出部による入球を検出すると、これに応答して、第一位置と第二位置の間で磁石を移動させることにより、前記演出口に擬似球を誘導し、入球させることを特徴とする遊技機の擬似球演出装置。
【請求項2】
前記回転体を回転させる回転体駆動部と、
前記演出口の回転位置を検出する回転位置検出部と、
前記検出された回転位置に基づいて、前記回転体駆動部と前記磁石移動駆動部とを同期制御することにより、
擬似球を前記演出口に誘導し、入球させる制御装置と、
を備える請求項1の遊技機の擬似球演出装置。
【請求項3】
前記磁石が横長に配列され、前記誘導通路の下側に配置される請求項1又は2の遊技機の擬似球演出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−63233(P2013−63233A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215065(P2011−215065)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(593045053)株式会社内藤商会 (112)
【Fターム(参考)】