説明

遊技機の球研磨装置

【課題】遊技球を正確に、かつ、迅速に研磨でき、しかも、大量の球の研磨に対し、メンテナンス性に優れる遊技機の球研磨装置を提供する。
【解決手段】外周部に螺旋体173Gを有したスパイラル軸173Aを備え、スパイラル軸173Aと協働して遊技球Pを挟むように研磨布179を配置し、スパイラル軸173Aを駆動し、螺旋体173Gの動作により遊技球Pをスパイラル軸173Aの軸方向に搬送しつつ、研磨布179により遊技球を研磨する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技領域に発射された遊技球を回収して、再び遊技に供する封入球式遊技機等に好適な球研磨装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、遊技機内部に循環流路(循環経路)を形成して該循環流路内に遊技球を封入して、封入した遊技球を繰り返して遊技領域に発射することで遊技を行うようにした封入球式遊技機が知られている。
このような封入球式遊技機においては、遊技盤の遊技領域の入賞具(一般入賞口、変動入賞装置等)に入賞して該遊技盤の裏面側に導出されたセーフ球や、該入賞具に入賞せずに遊技領域の下方に到達してアウト口から遊技盤の裏面側に導出されたアウト球を回収する必要がある。
ところで、セーフ球や、アウト球の回収経路に遊技球を研磨するための球研磨装置が介設される場合がある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−323434号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、この種の球研磨装置には、セーフ球や、アウト球などが高速で供給されるため、一つ一つの遊技球を正確に、かつ、迅速に研磨でき、しかも、大量の球の研磨に対し、メンテナンス性に優れることが望まれている。
そこで、本発明の目的は、上述した従来の技術が有する課題を解消し、遊技球を正確に、かつ、迅速に研磨でき、しかも、大量の球の研磨に対し、メンテナンス性に優れる遊技機の球研磨装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、外周部に螺旋体を有したスパイラル軸を備え、スパイラル軸と協働して遊技球を挟むように研磨布を配置し、スパイラル軸を駆動し、螺旋体の動作により遊技球をスパイラル軸の軸方向に搬送しつつ、研磨布により遊技球を研磨することを特徴とする。
また、外周部に螺旋体を有したスパイラル軸と、スパイラル軸の駆動時に螺旋体と協働して遊技球をスパイラル軸の軸方向に搬送するためのフラッパと、フラッパと遊技球の間に研磨布を設けて遊技球を研磨するための球研磨機構と、球研磨機構の研磨布を布送りするための研磨布送り機構とを備えたことを特徴とする。
本発明では、外周部に螺旋体を有したスパイラル軸を備え、スパイラル軸と協働して遊技球を挟むように研磨布を配置し、スパイラル軸を駆動し、螺旋体の動作により遊技球をスパイラル軸の軸方向に搬送しつつ、研磨布により遊技球を研磨するため、遊技球を正確に、かつ、迅速に研磨でき、しかも、大量の球の研磨に対し、メンテナンス性に優れる球研磨装置を提供することができる。
この場合において、前記フラッパがスパイラル軸の軸方向に蛇行してもよい。
フラッパが、スパイラル軸の軸方向に波打つように蛇行すれば、このフラッパの蛇行形態に従って遊技球Pの揚上時に、一個一個の遊技球Pには不規則な回転(自転)が与えられ、この状態で一個一個、揚上される。従って、遊技球Pの表面が研磨布に満遍なく接触するため、遊技球を正確に、かつ、迅速に研磨できる。
【0006】
本発明は、発射位置の遊技球を遊技盤の前面側に形成される遊技領域に向けて発射するとともに、該遊技領域の入賞具に入賞して該遊技盤の裏面側に導かれたセーフ球および該入賞具に入賞しないアウト球の各々を回収して、再び該遊技領域に発射するようにした封入球式の遊技機において、前記遊技領域の下方域に配置されると共に、外周部に螺旋体を有したスパイラル軸と、スパイラル軸の駆動時に螺旋体と協働して遊技球をスパイラル軸の軸方向に搬送するためのフラッパと、フラッパと遊技球の間に研磨布を設けて遊技球を研磨するための球研磨機構と、球研磨機構の研磨布を布送りするための研磨布送り機構とを備えていてもよい。
ここで、「封入球式遊技機」とは、例えば、遊技球を用いる各種パチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機等の弾球遊技機であるとともに、遊技領域に発射された遊技球を遊技機外に排出することなく、遊技機内に封入された遊技球を循環させて使用する遊技機であれば、すべて含まれる。
例えば、上記構成において、遊技盤の遊技領域の下方域で、遊技盤のセンターより右寄りに発射ユニットを配置し、発射ユニットに対向して、遊技盤のセンターより左寄りに揚上ユニットを配置してもよい。
【0007】
この場合において、スパイラル軸と、フラッパと、球研磨機構と、研磨布送り機構とにより研磨ユニットが構成され、研磨ユニットが本体ケースと当該本体ケースに着脱自在なカセットを備え、前記本体ケースにスパイラル軸が配置され、前記カセットにフラッパと、球研磨機構と、研磨布送り機構とが一体化されてもよい。
本体ケースにスパイラル軸が配置され、カセット側にフラッパと、球研磨機構と、研磨布送り機構とが一体化されているため、例えば研磨布のメンテナンス時にカセット毎交換できるなど、容易にメンテナンスできる。
スパイラル軸の遊技球の入口がセーフ球やアウト球の各々を回収する回収部の最下部よりも低く、スパイラル軸の遊技球の出口が発射位置よりも高くてもよい。
この構成では、遊技球を自由落下させながら、入口まで導くことができると共に、出口から発射台まで遊技球を自由落下させながら導くことができ、狭隘なスペース内に効率よく、遊技球の回収経路を配置できる。
【発明の効果】
【0008】
この発明では、外周部に螺旋体を有したスパイラル軸を備え、スパイラル軸と協働して遊技球を挟むように研磨布を配置し、スパイラル軸を駆動し、螺旋体の動作により遊技球をスパイラル軸の軸方向に搬送しつつ、研磨布により遊技球を研磨するため、遊技球を正確に、かつ、迅速に研磨でき、しかも、大量の球の研磨に対し、メンテナンス性に優れる球研磨装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態を示す封入球式遊技機の斜視図である。
【図2】ガラス枠を開いた状態を示す封入球式遊技機の斜視図である。
【図3】封入球式遊技機の正面側を示す正面図である。
【図4】封入球式遊技機の裏面側を示す背面図である。
【図5】封入球式遊技機の遊技盤を示す模式図である。
【図6】Aは発射台の上面図、Bはハンマーにより遊技球が発射される状態を示す図、Cは球抜きされる状態を示す図である。
【図7】封入球式遊技機の下部裏面を示す要部模式図である。
【図8】Aは研磨ユニットの正面を示す斜視図、Bは裏面を示す斜視図である。
【図9】研磨ユニットの分解斜視図である。
【図10】研磨ユニットの本体ケースを示す正面図である。
【図11】研磨ユニットのカセットを示す横断面図である。
【図12】研磨ユニットのフラッパを示す横断面図である。
【図13】研磨ユニットのフラッパを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の一実施の形態について、図面を参照して説明する。
本実施の形態の封入球式遊技機は、本発明をパチンコ遊技機に応用したものであり、例えば、遊技内容等は、従来のパチンコ遊技機と同様とすることが可能となっているとともに、外形等のサイズも同様となっており、パチンコ遊技店の現状の島設備に設置可能となっているが、島設備の球供給機構や球排出機構を用いることがないものとなっている。すなわち、封入球式遊技機として、予め封入された遊技球を用い、遊技者の持球数を限度に遊技球を遊技領域に発射可能とされる。持球数は、遊技球貸出装置(CRユニット)に投入中のカードやコイン等の記録媒体に記録されている獲得球数と、封入球式遊技機が保持している発射可能球数との合計値に相当する。獲得球数は、封入球式遊技機の発射可能球数を遊技球貸出装置の記録媒体に価値移行したものであり、同じ封入球式遊技機で遊技する条件の下、封入球式遊技機の発射可能球数への価値移行(払い戻し)が許可されている。発射可能球数から獲得球数への価値移行は、遊技終了に伴う記録媒体の返却操作時に行われ、このときには発射可能球数の全部が獲得球数に価値移行される。この記録媒体を同じ遊技球貸出装置に再投入したときには獲得球数が発射可能球数に価値移行可能になる。なお、発射可能球数の一部だけを、他の遊技者の記録媒体の獲得球数に価値移行可能にして、持球を他の遊技者に分け与えることもできる。
封入球式遊技機で遊技球を発射すると発射された遊技球数に対応して発射可能球数のデータが減算され、また、発射された遊技球が各種入賞口や変動入賞装置等の入賞具に入賞して賞球(遊技球)が発生した場合は、実際の遊技球を払い出すことなく、前記発射可能球数のデータに賞球数が加算されるようになっている。また、発射可能球数のデータがゼロとなると、遊技球の発射ができない状態となる。この状態でカード等の記憶媒体に記録されている獲得球数を発射可能球数に移行して発射可能球数を補充すると再び遊技球の発射が可能となる。
遊技球貸出装置に投入される記録媒体には、プリペイド残価値が記録されており、獲得球数及び発射可能球数がゼロとなり持球が無くなった場合には、球貸操作によってプリペイド残価値を対価に貸球を受けることができ、かかる貸球数が持球数に加算される。また、遊技者が遊技店に預けている遊技球(いわゆる「貯球」)を記録媒体に紐付けておくことで、貯球の払出操作によって貯球を持球数に移行することもできる。
【0011】
また、発射された遊技球は、遊技領域に至って一部は、入賞して遊技盤の裏面側に導かれてセーフ球として回収されるとともに、残りの入賞しなかった遊技球はアウト球として回収され、これら回収された遊技球が再び発射可能な状態となり、遊技球は封入球式遊技機内で循環するようになっている。
すなわち、この封入球式遊技機は、発射位置の遊技球を遊技盤の前面側に形成される遊技領域に向けて発射するとともに、遊技領域の入賞具に入賞して遊技盤の裏面側に導かれたセーフ球および入賞具に入賞しないアウト球の各々を回収して、再び遊技領域に発射する封入球式遊技機である。
【0012】
図1及び図2に示すように、この封入球式遊技機100は、矩形枠状に構成された機枠110を備え、この機枠110の一側方には、該機枠110に対し回動可能に矩形枠状の前面枠120が軸支されている。また、前面枠120は、当該前面枠120に備えられる各種部材等の取付用のベースとなる前面枠本体130(本体枠)と、当該前面枠本体130に対して、その前面側に回動可能に軸支されたガラス枠140とを備え、前面枠本体130の前面のガラス枠140を開けると、前面枠本体130の下側に発射ユニット150が臨む構成となっている。200は遊技球貸出装置(CRユニット)である。
【0013】
前面枠本体130は、矩形枠状の機枠110内にちょうど収まるように、概略矩形板状に構成されるとともに、その中央から上端部に渡る部分に後述する遊技盤1を嵌め込んで収容するための方形状の開口部が形成されている。そして、前面枠本体130に収容された遊技盤1の前面が前面枠本体130の開口部121から前側に臨むようになっている。また、前面枠本体130の全域に渡る部分を覆ってガラス枠140が配置されており、遊技盤1の前面とガラス枠140に嵌め込まれたガラス板141との間で、図3に示すように、遊技盤1の前面に設けられたガイドレール2に囲まれた部分が、遊技球が発射されて流下する遊技領域1aとされている。
【0014】
また、図2に示すように、ガラス枠140の一方の側部(左側部)は、前面枠本体130の一方の側部に回動可能に軸支されて、扉状に開閉自在とされ、ガラス枠140を開くことにより、遊技盤1の前面側の遊技領域1aの前側を開放可能となっている。
ガラス枠140には、前面枠本体130の開口部をほぼ閉塞するように、該開口部に嵌め込まれた遊技盤1との間に遊技球が流下可能な遊技領域1aとなる間隔を開けてガラス板141が固定されている。そして、ガラス枠140において、封入球式遊技機100の前側からガラス板141を介して遊技盤1の前面側の少なくとも遊技領域1aの部分が視認可能となっている。
【0015】
ガラス枠140の前面側には、遊技領域1aの視認を妨げない位置に、図1に示すように、装飾ランプ11、サイドランプ12、スピーカ13等が設けられている。
封入球式遊技機100では、上述のように賞球の払い出しは行われず、上述の出球数(遊技球が入賞口等に入って出てきた賞球数)、入球数(遊技者が遊技機に打ち込んだ球数)、差球数(出球数から入球数を引いた球数)、持球数等は、実際の遊技球の個数ではなく、データ上の数値となる。すなわち、実際に使用される遊技球は、循環使用される、限られた所定数(遊技内容や機種によって異なるが例えば80〜90発)しかなく、持球数は、例えば、遊技領域に発射される遊技球を検知してカウントした発射球数、発射されたが戻ってしまった遊技球を検知してカウントしたファウル球数、遊技領域に発射されて回収された遊技球を検知してカウントした回収球数、入賞した場合の賞球数、遊技店から借りた貸球数等の数値から上述の入球数、出球数、差球数、持球数が得られる。
【0016】
前面枠本体130の前面側のガラス枠140の下側には、表示装置としての液晶ディスプレイを有する表示ユニット151や、遊技球を発射する発射ユニット150を操作するための回転操作式の操作ハンドル153などが取り付けられている。表示ユニット151は、例えば、持球数の情報、金額情報(カード等の記憶媒体に記憶された残額等)、貯球情報(景品と交換せずに遊技店側に貯蓄した遊技球数等)等の遊技情報を表示し、実際の遊技球の払い出しがなくても、いつでも、持球数を確認できるようになっている。操作ハンドル153は、回転することにより発射勢を調整できるようになっている。また、操作ハンドル153にはタッチセンサ(図示略)が設けられ、遊技者の手を接触させることで、信号を発射制御装置(図示略)に出力し、発射制御装置の制御に基づいて発射ユニット150の発射装置を作動させて遊技球を発射させる。
【0017】
以上のような封入球式遊技機において、前面枠本体130の開口部に嵌め込まれた遊技盤1の前面側の遊技領域1aにおいて遊技が行われることになる。
すなわち、封入球式遊技機100は、遊技盤1のガイドレール2で囲まれた遊技領域1a内に遊技球(打球;遊技媒体)を発射して遊技を行うものであり、該遊技領域1aには、図1に示すように、普図始動ゲート6、この普図始動ゲート6を遊技球が通過して普図変動表示ゲームが未処理となっている未処理回数を表示する普図始動記憶表示器(図示略)、普通図柄(普図)の変動表示ゲームを表示する普図変動表示器(図示略)、普通変動入賞装置9、この普通変動入賞装置9に遊技球が入賞して特図変動表示ゲームが未処理となっている未処理回数を点灯表示する特図始動記憶表示器(図示略)、特別図柄(特図、識別情報)の変動表示ゲームの表示等を行う変動表示装置(図示略)、特別変動入賞装置5、一般入賞口8,8,8…、風車と呼ばれる打球方向変換部材(図示略)、多数の障害釘(図示略)などが設けられている。
【0018】
普通変動入賞装置9は左右一対の開閉部材を具備し、この開閉部材は、常時は遊技球が1個流入可能な程度の間隔で閉じた状態(遊技者にとって不利な状態)を保持しているが、普図変動表示器の普図変動表示ゲームの結果が所定の停止表示態様(例えば、「7」)となった場合には、逆「ハ」の字状に開いて普通変動入賞装置9に遊技球が流入し易い状態(遊技者にとって有利な状態)に変化されるようになっている。この普通変動入賞装置9は、特図の始動入賞口も兼ねている。
普図始動ゲート6内には、該普図始動ゲート6を通過した遊技球を検出するための普図始動センサが設けられている。そして、遊技領域1a内に打ち込まれた遊技球が、普図始動ゲート6内を通過すると、普図変動表示器において普図の変動表示ゲームが行われる。ここで、普図変動表示器は、例えば、LEDなどによって構成され、普通図柄(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)の変動表示ゲームは、普図変動表示器の点灯状態を所定時間変動表示させた後、停止表示させることにより行うようになっている。この普図の変動表示ゲームの結果、普図変動表示器における停止表示が特別の結果態様となれば、普図の当たりとなって、普通変動入賞装置9の開閉部材が所定時間(例えば、0.5秒間)上述のように開放される。これにより、普通変動入賞装置9に遊技球が入賞しやすくなり、特図の変動表示ゲームの始動が容易となる。
【0019】
特図の変動表示装置(図示略)は、液晶ディスプレイ(図示略)を備え、表示内容が変化可能な表示画面を有している。この表示画面における表示内容は、表示制御手段としての機能を有する演出制御装置となる演出制御基板(サブ基板、盤用演出基板)により制御されるようになっている。そして、遊技領域1a内に打ち込まれた遊技球が特図の始動口を兼ねる普通変動入賞装置9へ進入して始動条件が成立することに基づき、表示画面にて複数種類の識別情報(例えば、数字、記号、キャラクタ図柄など)を変動表示させる特図の変動表示ゲームを実行可能となっている。この特図の変動表示ゲームの結果として、表示画面の表示態様が特別結果態様となった場合には、大当たりとなって特別遊技状態(いわゆる、大当たり状態)となる。
【0020】
特別変動入賞装置5は、上端側が手前側に倒れる方向に回動して開放可能になっているアタッカー形式の開閉扉によって開閉される大入賞口を備え、特別遊技状態中は、大入賞口を閉じた状態から開いた状態に変換することにより大入賞口内への遊技球の流入を容易にさせるサイクル遊技が、所定回数(所定ラウンド数)を限度に行われる。大入賞口の内部(入賞領域)には、該大入賞口に入った遊技球を検出するためのカウントセンサが配設されている。なお、各一般入賞口8,8,8…の内部(入賞領域)には、該入賞口8,8,8…に入った遊技球を検出するための入賞口センサが配設されている。ここで、遊技領域1a内に打ち込まれた遊技球が、一般入賞口8、普通変動入賞装置9、特別変動入賞装置5の大入賞口等の入賞口の何れかに流入して入賞が発生すると、該入賞した遊技球が各入賞口のセンサにより検出され、該検出に基づき、各入賞口に対応して設定された所定の賞球数が、上述の遊技球数(持球数)のデータに加算されるようになっている。
【0021】
図5は遊技盤1を前面から見て示す模式図である。
この遊技盤1はガイドレール2で囲まれた遊技領域1aを備え、この遊技領域1a内に遊技球Pを発射して遊技を行うものであり、この遊技盤1の遊技領域1aは下端部まで上述のガイドレール2で囲われている。遊技盤1には一般入賞口8、普通変動入賞装置9、特別変動入賞装置5の大入賞口等の入賞口の他に、遊技領域1aの下端部にアウト穴10が設けられている。そして、入賞口の何れかに流入した遊技球(セーフ球)P1や、遊技領域1aをその下端部まで流下しても入賞しなかった遊技球(アウト球)P2などが、上述の入賞口やこのアウト穴10を通過して遊技盤1の裏面側に導かれて、遊技領域1aから遊技盤1の裏面側に移動するようになっている。
【0022】
遊技球を発射する発射ユニット150は、遊技領域1aの下方位置であって前面側から見て遊技盤1のセンターよりやや右寄りに配置され、遊技球Pを弾くためのハンマー150Aを備えて構成されている。ハンマー150Aは上述の回転操作式の操作ハンドル153の操作で駆動され、遊技者の手を操作ハンドル153に接触させることで、タッチセンサ(図示略)を介し信号を発射制御装置(図示略)に出力し、発射制御装置の制御に基づいて発射装置(図示略)がハンマー150Aを作動させて遊技球Pを発射させる。153Aは発射停止スイッチである。ハンマー150Aで弾かれた遊技球Pは、スタートレール2Aにより案内されて、ガイドレール2に沿って遊技領域1a内に発射される。スタートレール2Aとガイドレール2の間には開口155が設けられており、ハンマー150Aで弾かれた遊技球Pのうち、遊技領域1a内に発射されることなく、この開口155に落ちた遊技球(ファウル球)P3は、ファウルレール2Bで下方へ案内されて通路152Aに落下する。一方、ハンマー150Aの弾球位置には、発射台150Bが設けられている。この発射台150Bは図6A〜図6Cに示す球抜き機構を備えている。図6Aは発射台150Bの上面図である。発射台150Bの側縁部には略円弧状の切り欠き150Cが形成され、この切り欠き150Cは後述する球抜き通路152Bに連絡する。ハンマー150Aに隣接して球抜きアクチュエータ150Dが配置され、この球抜きアクチュエータ150Dは軸方向に突出自在に球抜きピン150Eを備えている。ユーザが操作ハンドル153を操作すると、図6Bに示すようにハンマー150Aが動作して、当該ハンマー150Aにより遊技球Pが発射される。ユーザが操作ハンドル153から手を離すと、図6Cに示すようにハンマー150Aによる弾球が停止し、球抜きアクチュエータ150Dが動作し、球抜きピン150Eが突出して遊技球Pが突き出されて、後述する球抜き通路152Bに落下し、発射台150Bの上の遊技球Pが球抜きされる。この球抜き球P4は球抜きされて、図5に示すように球抜きレール2Cで斜め下方へ案内されて通路152Bに落下し、この球抜き球P4と上述のファウル球P3も、すべて通路152A,152Bを通って遊技盤1の裏面側に移動するようになっている。
なお、発射台150Bの球抜きは、球抜きピン150Eにより遊技球Pを突き出す構成に限らず、発射台150Bを後退させ、或いは発射台150Bを球抜き通路152B側に傾斜させて行う構成としても良い。
【0023】
つぎに、遊技球Pの回収経路を説明する。図7は上述のセーフ球P1、アウト球P2、ファウル球P3、及び球抜き球P4の回収経路を遊技盤1の裏面から見て示す模式図である。図7及び図4を参照して、161は遊技盤1の裏面側に配置された上回収皿(上回収部)であり、遊技盤1の前面の各入賞口からのセーフ球P1や、遊技盤1の前面のアウト穴10からのアウト球P2は、すべて各入賞口5,8,9及びアウト穴10を通って遊技盤1の裏面側に移動し、上回収皿161に回収される。そして、これらの球P1,P2は上回収皿161から図4に示す略くの字状に曲がる遊技盤1の裏面側に配置された上下樋162を通って、図7に示す同じく遊技盤1の裏面側に配置された下回収皿(下回収部)163に回収される。また下回収皿163には上述の通路152A,152Bを通ってファウルレール2Bに案内されるファウル球P3や、上述の球抜きレール2Cに案内される球抜き球P4が、セーフ球P1やアウト球P2と合流して回収され、各球は下回収皿163上を徐々に自由落下して揚上待ちレーン164上に一つ一つ整列される。揚上待ちレーン164は研磨揚上ユニット(球研磨装置)171の入口171Aに連なり、研磨揚上ユニット171の入口171Aに流入した遊技球Pは、後述のように研磨揚上ユニット171を揚上して研磨揚上ユニット171の出口171Bに至り、当該出口171Bから自由落下により送り出されて発射待ちレーン165上に整列される。上述の入口171Aには入口球検知センサ172Aが設けられ、入口球検知センサ172Aは揚上待ちレーン164上に整列する遊技球Pの先頭側に配置されている。上述の出口171Bには出口球検知センサ172Bが設けられ、出口球検知センサ172Bは発射待ちレーン165上に整列する遊技球Pの後端側に配置されている。なお、入口171Aと出口171Bの高低差は実機において例えば7〜8cm程度に設定されている。発射待ちレーン165上に整列した遊技球Pは、球繰り出し機構166を介して通路152Cを通って遊技盤1の表面側に一つ一つ送り出され、適宜に図5に示す発射台150B上に移動する。
【0024】
実際には、図4に示すように、各入賞口5,8,9及びアウト穴10の真下に、中央部を両側より低くした上回収皿(上回収部)161が配置され、上回収皿161の中央部に上下樋162の上端が連結される。上下樋162は略くの字に曲がって、その下端が真下に下り、下回収皿(下回収部)163に連結される。この構成では、上回収皿161に回収された遊技球Pが上回収皿161の中央部に集まり、この中央部から殆ど真下に落下して下回収皿163に回収されるため、遊技球Pの途中での詰まりが抑制され、下回収皿163まで迅速に回収される。また、下回収皿163には上述の通路152A,152Bが連結され、各通路152A,152Bはアウト穴10の略真下に、すなわち遊技盤1の略センターに延在し、各通路152A,152Bよりも下回収皿163の下流に向けて、略くの字に曲がった上下樋162の下端が連絡される。この構成では、通路152A,152Bの位置が、発射ユニット150の配置との関係から、ほぼ限定されており、この位置を避けて、下回収皿163の下流に上下樋162の下端を連絡するため、上下樋162からのセーフ球P1やアウト球P2と、通路152A,152Bからのファウル球P3や球抜き球P4とが衝突せず、遊技球Pの干渉が抑制できる。セーフ球P1やアウト球P2の数は、ファウル球P3や球抜き球P4の数よりも圧倒的に多く、遊技球P間の干渉を考慮した場合には、上下樋162の下端は、通路152A,152Bよりも下回収皿163の下流に連絡することが望ましいが、反対に上下樋162の下端を、通路152A,152Bよりも下回収皿163の上流に連絡することは可能である。
【0025】
下回収皿163は揚上待ちレーン164として機能し、揚上待ちレーン164の下端は研磨揚上ユニット171の入口171Aに連絡している。ここから遊技球Pは、後述するように、研磨揚上ユニット171を揚上して出口171Bに至り、出口171Bから送り出されて発射待ちレーン165に連絡する。発射待ちレーン165は上述の上下樋162と十文字状に重なるように立体交差して延出し、研磨揚上ユニット171と対向して配置された発射ユニット150に連絡する。なお、この発射待ちレーン165は遊技盤1の前面側から見て上下樋162の背側に重なっている。この構成では、すべての遊技球Pが、まず、最下位に位置する下回収皿163に集められ、遊技領域1aの下方域において、一方のスペース(一半部)に配置された研磨揚上ユニット171の入口171Aに至り、ここを揚上し、最上位に位置する出口171B、発射待ちレーン165を経て、他方のスペース(他半部)に配置された発射ユニット150に連絡するため、遊技領域1aの狭隘な下方域に、遊技球Pの回収経路を効率よく纏めて配置できる。また、発射待ちレーン165と上下樋162とが、十文字状に立体交差して延出するため、これら経路を交差させない場合と比較して最短距離で連絡でき、遊技球Pの迅速な回収が可能となる。
【0026】
研磨揚上ユニット171は、図8A,B及び図9に示すように、本体ケース173と当該本体ケース173に着脱自在に組み合わされるカセット175とを備えている。本体ケース173は透明体でもよい。本体ケース173は、図4に示す遊技領域1aの下方位置であって遊技盤1の裏面側から見てセンターより右寄り(前面側から見てセンターより左寄り)に、発射ユニット150と対向するように組み込まれており、カセット175は後述する研磨布を保持して、遊技盤1に固定された本体ケース173に着脱自在に組み合わされている。この本体ケース173は、図9及び図10に示すように、上述の入口171Aに連なる揚上スパイラル軸173Aを備え、この揚上スパイラル軸173Aは上下に延出して、本体ケース173に対し、上下端が一対の軸受け173B,173Cにより回転自在に保持されている。揚上スパイラル軸173Aは、外周部に螺旋状に形成された螺旋体173Gを備え、螺旋体173Gは遊技球Pを、一個一個間隔をあけて保持し、一個一個保持した遊技球Pを、例えば100発/分以上揚上可能に、その駆動回転数が設定されている。揚上スパイラル軸173Aは一対の縦リブ174,174間に収容されている。揚上スパイラル軸173Aの下端には歯車173Dが固定され、歯車173Dは歯車173Eに噛み合い、歯車173Eは駆動モータ173Fの回転軸に固定されている。そして、駆動モータ173Fの回転により揚上スパイラル軸173Aが回転すると、上述の入口171Aから流入した遊技球Pが揚上スパイラル軸173Aの螺旋体173Gの間に一つ一つ収められ、揚上されて揚上スパイラル軸173Aの上端から上述の出口171Bに至り、当該出口171Bから送り出されて発射待ちレーン165上に整列される。
【0027】
駆動モータ173Fは、上述の入口171Aに設けた入口球検知センサ172Aと、上述の出口171Bに設けた出口球検知センサ172B(図7参照)の検知に対応して駆動制御される。入口球検知センサ172Aが遊技球Pを検知したとき、揚上すべき遊技球Pが存在しており、この場合には制御手段としての制御基板(図示略)により駆動モータ173Fを駆動し、遊技球Pの揚上を開始する。一方、出口球検知センサ172Bが遊技球Pを検知したとき、発射待ちレーン165上の遊技球Pが満杯の状態にあり、これ以上揚上すると、球詰まりを起こす可能性があり、この場合には上述の入口球検知センサ172Aによる制御に優先して、制御手段としての制御基板(図示略)により駆動モータ173Fの駆動を停止し、遊技球Pの揚上を停止する。また、揚上スパイラル軸173Aの上端には回転板175Kが固定され、この回転板175Kを囲うように回転検知センサ176Kが配置されている。仮に制御基板(図示略)から駆動モータ173Fに駆動信号が出力されている場合に、この回転検知センサ176Kが揚上スパイラル軸173Aの無回転、或いは低速回転を検知したときには、エラーとして外部へ報知される。上述の本体ケース173は透明体であってもよく、図2に示す研磨揚上ユニット171の入口171A及び/又は出口171Bに遊技球Pが球詰まりすれば、その球詰まりを外部から容易に視認できる。従って、図2に示すように、ガラス枠140を開いた状態で、入口171A及び出口171Bの遊技球Pの球詰まりを視認し、必要があれば例えばカセット175を取り外すことで球詰まりした遊技球Pを容易に除去できる。
【0028】
カセット175は、図11に示すように、球研磨機構176及び研磨布送り機構177を備えている。研磨布送り機構177は、遊技球Pを一つ一つ研磨するための不織布などの研磨布179を一方向に送る機構である。この研磨布179は、カセットケース175Aの内壁に軸支された複数のローラー177A〜177Gや、ピン177H,177Iの間に掛け渡されて、一対の送りローラー181,182の駆動により矢印方向に送られる。この例は片方向エンドレスであるが、これに限定されず、巻き切りの送りや、往復エンドレスの送りなどであってもよい。巻き切りでは、それ以上布送りができなくなったとき、布送りを停止する制御が必要となり、巻き切り後は球の汚れが極端に落ち難くなる。往復エンドレスでは、片側に巻き切った後、逆回転して布送りを行う。従って、駆動モータの逆回転制御が必要となり、常時駆動なので、球の汚れ落ちは徐々に低下する。これに対し、本構成による片方向エンドレスでは、一方向にのみ永遠に布送りが可能であり、制御が容易であると共に、球の汚れ落ちが漸進的悪化となり、研磨布179の交換頻度を少なくできるため、メンテナンスが容易である。
【0029】
上述の一方の送りローラー(布テンションローラー)181は揺動ブラケット183に回転軸181Aにより回転自在に支持されている。この揺動ブラケット183は一端183Aが、カセットケース175Aの内壁に固定された固定部184にヒンジ連結され、他端183Bが自由端となり、この他端183Bと、カセットケース175Aの内壁に固定された固定部184との間にはスプリング185が介装されている。このスプリング185のばね力により、一方の送りローラー181は上述の他方の送りローラー(布駆動ローラー)182側に付勢されている。他方の送りローラー182は布駆動ローラーであり、この送りローラー182の回転軸182Aはカセットケース175Aの上壁を貫通して上方に突出し、その先端には図8Aに示すように歯車186が固定されている。歯車186は、本体ケース173側に軸支された歯車187に噛み合い自在であり、歯車187は駆動歯車列(図示略)を介して布送り駆動モータ188の出力軸の歯車(図示略)に連結されている。本体ケース173からカセット175が抜かれると、歯車186と歯車187の噛み合いが解かれ、歯車187は本体ケース173側に残った状態となり、カセット175が本体ケース173に装着されると、歯車186と歯車187が噛み合い、布送り駆動モータ188の駆動力により研磨布179の布送りが可能となる。布送り駆動モータ188は制御基板(図示略)を介し所定周期で駆動制御される。
【0030】
この自動布送りでは、例えば下記(I)〜(V)の制御が択一的に実行される。
(I)研磨揚上ユニット171を通過した遊技球Pが一定量を超えることを基準とし、この基準を超えたことを認識したときに、遊技球Pから研磨布179へ転移した汚れが一定水準を超えたものとみなして自動布送りする。このとき、基準値の数値は遊技機の稼働中にカウントされる発射球数とする。(II)研磨揚上ユニット171の稼働中に、揚上スパイラル軸173Aを駆動する駆動モータ173Fの駆動と連動して少しずつ自動布送りする。(III)研磨揚上ユニット171の稼働直後に当該稼働時間に比例した分量だけ自動布送りする。(IV)電源投入時などの初期化処理の一環として行う、(V)研磨布179の汚れセンサを配置し、汚れ測定値が一定基準を超えたときに自動布送りする。(II)以外において、1回の布送り量は、布送りにより現れる研磨布の新しい面が、遊技球Pと研磨布179の接面の幅を超えると、綺麗な面が無駄になるため、遊技球Pと研磨布179の接面の幅を上限とする。研磨布179の遊技球Pとの接面率をXとした場合には、布送り量を2πrXにすると効率がよい。遊技球Pの半径をrとしたとき、この接面の幅の最大値は2πrとなる。現遊技球の直径が11mmとすると、その最大値は34.55mm程度となる。別の実施形態として、上述の研磨布179は、手動により布送りする構成としてもよい。この場合には、送りローラー182の回転軸182Aの先端に設けた上述の歯車186の代わりに、例えば手動で回転させる方式の操作ハンドル(図示略)などを設けてもよい。この場合の作業は、図2に示すように、ガラス枠140を開いた状態で、操作ハンドルの近くに手を入れ、手動により操作ハンドル(図示略)を回すことで、上述の研磨布179の布送りが可能となる。
【0031】
つぎに、球研磨機構176を説明する。
球研磨機構176は、図11に示すように、カセット175の略中央寄りに設けられ、研磨布送り機構177で送られる研磨布179を用いて遊技球Pを正確、かつ迅速に研磨可能に構成されている。球研磨機構176は、図12に示すように、一対のフラッパ178を備えて構成されている。一対のフラッパ178はポリカーボネート製であり、図13に示すように、揚上スパイラル軸173Aの軸方向に波打つように蛇行(蛇行フラッパ)し、フラッパ178の高さは研磨布179の高さ(幅)とほぼ等しい。一対のフラッパ178は、図12に示すように、支軸189の回りを揺動自在に支持され、一対のフラッパ178の内面178Aは、遊技球Pを抱え込み可能に凹状に湾曲形成されている。一対のフラッパ178の外面には略コの字状に曲げたフラッパスプリング190が配置され、一対のフラッパ178は、このフラッパスプリング190のばね力により矢印Aの方向に付勢されている。一対のフラッパ178の内面178Aの内側には、上述のローラー177Eや、ピン177H,177I(図11参照)などを巻回した、上述の研磨布179が、テンションを掛けた状態で巻き回され、この研磨布179は、上述のフラッパスプリング190のばね力により一対のフラッパ178と共に、矢印Aの方向に付勢されている。
カセット175の背面には一対の突起193が形成され、図8A,B、及び図9に示すように、本体ケース173にカセット175を装着するときには、一対の突起193が、本体ケース173側の係止部(図示略)に係合して位置決めされる。
本体ケース173にカセット175が装着された場合には、上述の歯車186と歯車187が噛み合い、布送り駆動モータ188の駆動力により、研磨布179の布送りが可能になると共に、図12に示すように、破線で示す揚上スパイラル軸173Aと、一対のフラッパ178との間に、一対の縦リブ174,174で囲われた、遊技球Pを挟み込むためのスペースSが形成される。
【0032】
つぎに、動作を説明する。図5,図7を参照し、セーフ球P1、アウト球P2、ファウル球P3、球抜き球P4などは、上述のように、すべて遊技盤1の裏面側に移動し、上回収皿161、上下樋162などを経て、すべて下回収皿163に回収され、揚上待ちレーン164上に一つ一つ整列される。そして、揚上待ちレーン164から研磨揚上ユニット171の入口171Aに流入し、研磨揚上ユニット171を揚上して研磨揚上ユニット171の出口171Bに至り、出口171Bから発射台150Bに向かう発射待ちレーン165上に整列される。発射待ちレーン165が例えば一杯の状態になると、遊技球Pの揚上は停止される。研磨揚上ユニット171の球研磨機構176では、図12に示すように、破線で示す揚上スパイラル軸173Aと、一対のフラッパ178の前面に掛け渡された研磨布179との間に、遊技球Pが挟み込まれ、揚上スパイラル軸173Aの回転、駆動により、揚上スパイラル軸173Aに一体の螺旋体173Gを介して、遊技球Pが一個一個、揚上される。このとき、一対のフラッパ178が、図13に示すように、揚上スパイラル軸173Aの軸方向に波打つように蛇行するため、このフラッパ178の蛇行形態に従って、遊技球Pの揚上時に、一個一個の遊技球Pには不規則な回転(自転)が与えられ、この状態で一個一個、揚上される。従って、遊技球Pの表面が研磨布179に満遍なく接触するため、遊技球Pを正確に、かつ、迅速に研磨できる。
【0033】
揚上の過程では、図12に示すように、一対のフラッパ178の内面178A側に配置した研磨布179が、不規則な回転を行いながら揚上する遊技球Pの表面に接触し、遊技球Pの表面に付着した汚れを拭き取ることで研磨される。一対のフラッパ178は、研磨布179のテンションにより、略ハの字状に開こうとするが、上述のフラッパスプリング190が、一対のフラッパ178を矢印Aの方向に付勢するため、フラッパ178に保持した研磨布179は適力で遊技球Pに接触し、そのため抵抗が減少し、遊技球Pはスムーズに揚上し、遊技球Pを一個一個、正確にかつ迅速に研磨できる。
【0034】
本実施の形態では、図2及び図3に示すように、遊技盤1の遊技領域1aの下方域で、遊技盤1のセンターより右寄りに発射ユニット150が配置され、発射ユニット150に対向して、遊技盤1のセンターより左寄りに研磨揚上ユニット171が配置される。遊技盤1の遊技領域1aの下方域は、図2及び図3から明らかなように、スペースの全高が低くなっており、本実施の形態では、この高さが低いスペース内で、効率よく遊技球Pを揚上可能に、研磨揚上ユニット171を配置できる。
すなわち、研磨揚上ユニット171は遊技球Pを鉛直方向に揚上可能に配置され、その入口171Aは下回収皿163の最下端の位置よりも低く、その出口171Bは発射ユニット150の発射台150Bの位置よりも高くなるように配置される。従って、遊技球Pを自由落下させながら、入口171Aまで導くことができると共に、出口171Bから発射台150Bまで遊技球Pを自由落下させながら導くことができ、狭隘なスペース内に効率よく、遊技球Pの回収経路を配置することができる。
本実施の形態では、研磨揚上ユニット171が、揚上スパイラル軸173Aと、一対のフラッパ178と、球研磨機構176と、研磨布送り機構177とにより構成される。そして、研磨揚上ユニット171が本体ケース173と、当該本体ケース173に着脱自在なカセット175とを備えており、本体ケース173に揚上スパイラル軸173Aが配置され、カセット175側に一対のフラッパ178と、球研磨機構176と、研磨布送り機構177とが一体化されているため、例えば研磨布179のメンテナンス時にカセット175毎交換でき容易にメンテナンスできる。
【0035】
以上、一実施の形態に基づいて本発明を説明したが、本発明は、これに限定されるものでないことは明らかである。上記実施の形態では、揚上スパイラル軸173Aが遊技球Pを一個一個区別して揚上したが、一個一個区別せずに、複数個の遊技球Pを、例えば2個以上を同時に揚上してもよい。この構成では、揚上のスピードを上げられる。
本発明の封入球式の遊技機100は、遊技機として、上記実施の形態に示されるようなパチンコ遊技機に限られるものではなく、例えば、その他のパチンコ遊技機、アレンジボール遊技機、雀球遊技機などの遊技球を使用する全ての遊技機に適用可能である。
さらに、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は前記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図されることは明らかである。
【符号の説明】
【0036】
1 遊技盤
1a 遊技領域
5 特別変動入賞装置(入賞具)
8 一般入賞口(入賞具)
9 普通変動入賞装置(入賞具)
150B 発射台
161 上回収皿(上回収部)
162 上下樋
163 下回収皿(下回収部)
164 揚上待ちレーン
165 発射待ちレーン
171 研磨揚上ユニット
173 本体ケース
173A 揚上スパイラル軸
173G 螺旋体
175 カセット
176 球研磨機構
177 研磨布送り機構
178 フラッパ
179 研磨布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周部に螺旋体を有したスパイラル軸を備え、
スパイラル軸と協働して遊技球を挟むように研磨布を配置し、スパイラル軸を駆動し、螺旋体の動作により遊技球をスパイラル軸の軸方向に搬送しつつ、研磨布により遊技球を研磨することを特徴とする遊技機の球研磨装置。
【請求項2】
外周部に螺旋体を有したスパイラル軸と、スパイラル軸の駆動時に螺旋体と協働して遊技球をスパイラル軸の軸方向に搬送するためのフラッパと、フラッパと遊技球の間に研磨布を設けて遊技球を研磨するための球研磨機構と、球研磨機構の研磨布を布送りするための研磨布送り機構とを備えたことを特徴とする遊技機の球研磨装置。
【請求項3】
前記フラッパがスパイラル軸の軸方向に蛇行状に形成されていることを特徴とする請求項2に記載の遊技機の球研磨装置。
【請求項4】
発射位置の遊技球を遊技盤の前面側に形成される遊技領域に向けて発射するとともに、該遊技領域の入賞具に入賞して該遊技盤の裏面側に導かれたセーフ球および該入賞具に入賞しないアウト球の各々を回収して、再び該遊技領域に発射するようにした封入球式の遊技機において、
前記遊技領域の下方域に配置されると共に、
外周部に螺旋体を有したスパイラル軸と、スパイラル軸の駆動時に螺旋体と協働して遊技球をスパイラル軸の軸方向に搬送するためのフラッパと、フラッパと遊技球の間に研磨布を設けて遊技球を研磨するための球研磨機構と、球研磨機構の研磨布を布送りするための研磨布送り機構とを備えた
ことを特徴とする遊技機の球研磨装置。
【請求項5】
スパイラル軸と、フラッパと、球研磨機構と、研磨布送り機構とにより研磨ユニットが構成され、研磨ユニットが本体ケースと当該本体ケースに着脱自在なカセットを備え、
前記本体ケースにスパイラル軸が配置され、
前記カセットにフラッパと、球研磨機構と、研磨布送り機構とが一体化されていることを特徴とする請求項4に記載の遊技機の球研磨装置。
【請求項6】
スパイラル軸の遊技球の入口がセーフ球やアウト球の各々を回収する回収部の最下部よりも低く、スパイラル軸の遊技球の出口が発射位置よりも高いことを特徴とする請求項4または5に記載の遊技機の球研磨装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−105798(P2012−105798A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−256478(P2010−256478)
【出願日】平成22年11月17日(2010.11.17)
【出願人】(501468770)株式会社ジョイコシステムズ (66)
【Fターム(参考)】