説明

遊技機積載用パレット

【課題】遊技機の積載や積み卸しを容易に行えるとともに、遊技機の保管や運搬を効率的に行うことができる遊技機積載用のパレットを提供する。
【解決手段】パレット20は、パレットフレーム30と前後に整列して回動可能に配設されたローラ部材45と、ローラ部材の上方に設けられた転倒規制ユニット50とからなる。転倒規制ユニット50には、左右に延びるビーム51から下方に突出して整列状態で設けられ、各々が自重により垂下した下部突出位置から上方に移動可能な多数の保持プレート55を備え、パレット20の前方から導入された遊技機がローラ部材45の上面を転がり移動し、遊技機の上方に位置する一部の保持プレートが上方に退避して遊技機の上面に当接して配設され、その左右側方に位置する他の保持プレートが遊技機の上部を左右から挟み込んで、遊技機が立設姿勢で保持されるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチンコ機やアレンジボール機、スロットマシンなどのような縦型遊技機の保管及び輸送に好適な遊技機積載用パレットに関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような縦型遊技機は、正面視における形状が大型の縦長方形状である一方、これと比較した奥行き寸法が小さく薄型である。そのため、遊技機を自立させた立設姿勢において不安定であり、遊技機メーカにおいて遊技機が完成された後、遊技施設の遊技島に固定設置される以前の段階、例えば遊技機メーカの倉庫に保管し、あるいは遊技施設に出荷運搬する際に遊技機が転倒しないように保持する手段が必要となる。
【0003】
そのため、完成された遊技機を倉庫で保管するような場合には、遊技機の枠下部を左右から挟み込む平面視凹状のレール状部材を左右対向してパレット上に固定し、これにより遊技機を立設状態で保管し得るような遊技機積載用のパレットが用いられていた(例えば、特許文献1を参照)。一方、遊技機をトラック等に積載して運搬する場合には、上記パレットから遊技機を1台ずつ取り出してトラックの荷台まで搬送し、多数の遊技機を荷室の幅方向に立設姿勢で並列に並べたうえで、遊技機の上方に複数の桟木を渡して各桟木の端部を荷室の側壁に突き当て、桟木の上方から遊技機の外枠に釘を打ち込んで遊技機を荷室内に固定する方法が広く一般的に採られていた。
【0004】
【特許文献1】特開2002−293395号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような従来の遊技機積載用パレットでは、遊技機をパレット上に搭載する際、及びパレットから取り出す際に、遊技機の全重量を支持した状態でレール状部材に沿って鉛直上下に移動させる必要がある。ところが、本発明が適用される遊技機はいずれも大型且つ重量物であり、上記作業を人手で行うとすれば相当な重労働である。そのため、遊技機のパレットへの積載及びパレットからの取り出しはハンドリングロボットを利用せざるを得ず、生産設備の高額化を招く一因になるとともに、入出庫における柔軟な対応が難しく、遊技施設での搬出作業を考慮すると出荷時の輸送に用いることも難しいという課題があった。
【0006】
また従来では、パレット上に積載された遊技機を取り出してトラックの荷台まで搬送したうえで1台ずつ遊技機を釘打ち固定する工数を要するため、出庫から積み込みに時間がかかるという課題があった。また、このような輸送方法では、直接的な影響が軽微であるとはいえ、製品である遊技機の外枠に釘孔が形成されるという問題や、打ち込み位置を誤ると前枠やガラス扉等の遊技機本体に損傷を与えてしまうおそれがあるという問題、近年では、木材資源の有効活用の観点から外枠に金属型材や樹脂成型品を用いた遊技機が検討されており、釘を用いない輸送手段の開発が課題となっていた。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、遊技機の積載や取り出しを容易に行うことができるとともに、遊技機の保管や運搬を効率的に行うことができるような遊技機積載用パレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的達成のため、本発明に係る遊技機積載用パレットは、平面視において矩形枠状のパレットフレームと、このパレットフレームに前後に整列しそれぞれ左右に延びる回動軸まわりに回動可能に配設された複数のローラ部材と、複数のローラ部材の上方に遊技機の高さ寸法に応じた所定間隔を隔てて設けられた転倒規制部材(例えば、実施形態における転倒規制ユニット50)とからなる。転倒規制部材は、下面に開口を有して左右に延びるビームと、この開口から下方に突出してビームに左右に整列状態で設けられ、各々が自重により垂下した下部突出位置から上方に移動可能であるが、左右方向への移動が規制された状態で保持された多数の薄板状の保持プレートとを備え、パレットフレームの前方または後方から導入された遊技機がローラ部材の上面を転がり移動して収容され、遊技機の上方に位置する一部の保持プレート(例えば、実施形態における上方保持プレート55a)が下部突出位置から上方に退避して遊技機の上面に当接して配設され、当該一部の保持プレートの左右側方に位置する他の保持プレート(例えば、実施形態における側方保持プレート55b)が遊技機の上部を左右から挟み込んで、遊技機が立設姿勢で保持されるように構成される。
【0009】
本発明において、前記保持プレートは、開口から下方に突出する本体部の下端側に遊技機の上端角部と係脱して遊技機を受け入れる誘導部を有し、パレットフレームの前方または後方から遊技機を導入したときに、移動軌跡上に位置する一部の保持プレートの誘導部が遊技機の上端角部と係合して当該遊技機に乗り上げるように上方に退避し、遊技機の上面に当接して配設されるように構成することが好ましい。
【0010】
本発明において、前記転倒規制部材が、パレットフレームに対して昇降可能に設けられ、遊技機が収容された状態で転倒規制部材を下動させたときに、遊技機の上面に当接しビームに対して相対上動する一部の保持プレートがビームの上部内面に当接して上動が規制される上部収容位置に配設され、遊技機が当該一部の保持プレートにより下方に押圧されて立設姿勢で固定保持されるように構成することが好ましい。
【0011】
なお、パレットフレームの前方または後方から遊技機を導入するときのパレットフレームに対する転倒規制部材の高さ位置は、遊技機に乗り上げるように上方に退避した前記一部の保持プレートが、下部突出位置と上部収容位置との中間の高さ位置(例えば、実施形態における中間位置Pc)に配設されるように設定することが好ましい。
【0012】
また本発明において、前記複数のローラ部材が、パレットフレームに対して昇降可能に設けられるとともに、これらの複数のローラ部材を下動させたローラ退避位置において各ローラ部材の上面よりも上方に突出する複数の支持部材を備え、遊技機が収容された状態でローラ部材をローラ退避位置に下動させたときに、遊技機が複数の支持部材により支持されるように構成することが好ましい。
【0013】
本発明において、前記複数のローラ部材は、第1の遊技機の厚さ寸法に合わせた左右方向幅の複数の第1ローラと前記第1ローラよりも大径の複数の第2ローラとからなり、第1ローラ及び第2ローラが各回動軸に沿って配設され、複数の第1ローラが前後方向に整列状態で並ぶ第1ローラ列と、複数の第2ローラが前後方向に整列状態で並ぶ第2ローラ列とが、左右方向に各々複数列形成されるように構成することが好ましい。
【0014】
本発明において、前記パレットフレームにおける下面側の四隅に下向きに開く皿状の脚部を有するとともに、各脚部から転倒規制部材の配設高さよりも上方に延びて他の遊技機積載用パレットの脚部をそれぞれ支持する支持支柱を備え、遊技機が立設姿勢で保持された複数の遊技機積載用パレットを上下に複数段積み重ねて配設可能に構成することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る遊技機積載用パレットでは、パレットフレームの前方または後方から導入された遊技機がローラ部材の上面を転がり移動して収容され、遊技機の上方に位置する一部の保持プレートが上方に退避して遊技機の上面に倣って当接配設され、これら一部の保持プレートの左右側方に位置する他の保持プレートが遊技機の上部を左右から挟み込んで遊技機が立設姿勢に保持される。保持プレートは薄板状であり、パレット上への遊技機の導入位置が左右方向にずれても多数の保持プレートが遊技機の位置及び上部形状に倣って配設され、隣接する左右の保持プレートが遊技機上部を左右から挟持して転倒しないように保持する。このため、大型且つ重量のある遊技機であっても、遊技機のパレットへの積載及びパレットからの積み卸し作業を一人で容易に行うことができ、且つ積み込みや積み卸しタイミングを人間の判断により柔軟に対応することができる。
【0016】
また、保持プレートの下端側に誘導部を形成した構成によれば、遊技機をパレットに導入する過程において、移動軌跡上に位置する一部の保持プレートが遊技機の位置及び上部形状に倣って遊技機に乗り上げるように上方に退避し、その左右に位置する他の保持プレートが遊技機の上部左右を挟みながら相対摺動して、ローラ部材上を転がり移動する遊技機がパレット上に収容される。すなわち、本構成によれば、遊技機をパレットに導入する過程においても転倒が防止され、作業者が遊技機を順次パレットに流し入れてゆくだけで遊技機を立設姿勢で収容保持することができる。
【0017】
転倒規制部材をパレットフレームに対して昇降可能に設け、遊技機が収容された状態で転倒規制部材を下動させたときに、遊技機の上面に当接して上動する一部の保持プレートがビームの上部内面に当接して上動規制される上部収容位置に配設され、遊技機が当該一部の保持プレートにより下方に押圧されて立設姿勢で固定保持されるような構成によれば、遊技機をパレットに積載した状態で、そのままフォークリフトやトラック等により運搬することができる。また、パレットフレームの前方または後方から前記遊技機を導入するときの転倒規制部材の高さ位置を、遊技機に乗り上げて上方に退避した一部の保持プレートが下部突出位置と上部収容位置との中間の高さ位置に配設されるように設定した構成によれば、遊技機上面にうねりや凹凸があり、あるいは遊技機の高さにばらつき等があっても、保持プレートが上面位置にこれらに倣って昇降し遊技機を受容するため、高さの許容度が広く柔軟性の高い遊技機搬送用パレットを構成することができる。
【0018】
前記複数のローラ部材をパレットフレームに対して昇降可能に設け、ローラ部材を退避位置に下動させたときに、遊技機が複数の支持部材により支持されるような構成によれば、遊技機が支持部材上に安定支持されるため、上記同様にフォークリフトやトラック等により運搬することができる。従って、このような構成の遊技機積載用パレットによれば、遊技機を1台ずつトラックの荷室に搬送したり、桟木を用いて遊技機を固定するような繁雑な作業を廃止して、効率的な出荷、運搬作業を行うことができる。また、釘を用いない構成のため、外枠に釘孔が形成されたり遊技機本体に損傷を与えたりすることがなく、外枠が金属材料や樹脂材料で形成されたものあっても、材質を問わずに遊技機を立設状態で運搬することができる。
【0019】
なお、複数のローラ部材が、第1の遊技機の厚さ寸法に合わせた左右方向幅の第1ローラと、この第1ローラよりも大径の複数の第2ローラとからなり、複数の第1ローラが前後方向に整列状態で並ぶ第1ローラ列と、複数の第2ローラが前後方向に整列状態で並ぶ第2ローラ列とが、左右方向に各々複数列形成されるような構成によれば、左右に並ぶ複数の第1ローラ列に、例えばパチンコ機やアレンジボールなどの外枠の厚さ寸法が共通の第1の遊技機を整列状態で収容保持することができるとともに、第1ローラ列を挟む左右の第2ローラ列に、箱詰めにされた第1の遊技機やスロットマシンなどのように第1の遊技機よりも厚さ寸法が大きい第2の遊技機を収容保持することができる。すなわち、本構成によれば、遊技機の種別や厚さ寸法に拘わらず共通の遊技機積載用パレットを用いることができる。
【0020】
また、パレットフレームの四隅に、下向きに開く皿状の脚部と、各脚部から上方に延びる支持支柱とを設け、複数の遊技機積載用パレットを上下に複数段積み重ねて配設可能にした構成によれば、下段のパレットに積載された遊技機に上段からの荷重を作用させることなく、上段のパレットが安定支持されるため、それぞれ遊技機が積載されたパレットを上下に複数段積み重ねて保管し、あるいは運搬することが可能となり、効率的な保管及び運搬を行うことができる。
【0021】
従って、本発明によれば、遊技機の積載や積み卸しを容易に行うことができるとともに、遊技機の保管や運搬を効率的に行うことができる遊技機積載用パレットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。図12に本発明に係る遊技機積載用パレットに積載される遊技機の一例として、縦型遊技機の代表例とされるパチンコ機の正面図(a)及び側面図(b)を示しており、まず、この図面を参照しながらパチンコ機PMの概要構成について説明する。
【0023】
パチンコ機PMは外郭方形枠サイズに構成されて縦向きの固定保持枠をなす外枠1の開口前面に、これに合わせた方形枠サイズに構成されて開閉搭載用の前枠2が互いの正面左側上下に配設されたヒンジ部材3a,3bを介して横開き開閉および着脱が可能に取り付けられ、正面右側に設けられた施錠装置4を利用して常には外枠1と係合連結された閉鎖状態に保持される。
【0024】
前枠2の各部には、パチンコ機を構成する遊技機構成部材として、前枠2の前側面域に合わせた方形状のガラス扉5および上球皿6が正面左側部に設けられたヒンジ機構を利用して横開き開閉および着脱が可能に組付けられ、上球皿6の下側に下球皿7、発射ハンドル8および遊技球発射装置などが装備されている。前枠2の上方奥部には、後方に開く額縁上の収容枠が前枠2と一体に形成されており、この収容枠に所定のゲージ設定で構成された遊技盤10が着脱可能にセット保持され、常には閉鎖保持されるガラス扉5に遊技盤正面の遊技領域PAを臨ませている。
【0025】
前枠2の裏側には、球貯留タンクや球払出装置等を有する裏セット盤12が遊技盤10の背面を覆うように後方に横開き開閉および着脱可能に装備されるとともに、この裏セット盤12の裏面各部に、主制御基板や電源基板、画像制御基板等の回路基板や各種の電子部品が取り付けられ、これらがコネクタケーブルで接続されてパチンコ機PMが動作可能に構成される。
【0026】
このような構成を有するパチンコ機PMは、図12(a)(b)に示すように、正面視における左右幅及び高さ寸法に比べて奥行きが小さく、平坦なパレット上に自立させた状態で安定的に保管することが困難である。本発明に係る遊技機積載用パレットは、このような縦型遊技機を保管し及び運搬するのに特に好適なものであり、以下、図1〜図4の各図を参照しながら本発明に係る遊技機積載用パレット(以下、パレットという)20について説明する。ここで、図1は本発明に係るパレット20の全体斜視図、図2は図1中のII矢視方向に見たパレット20の全体構成図、図3はパレット上部に設けられた転倒規制部材の正面図(部分断面図)、図4(a)(b)はそれぞれ図3中のIVa矢視及びIVb矢視の側面図である。なお、本明細書においては、図1中に付記する矢印Fの指す方向を前方、及矢印Rの指す方向を右方と称して説明する。
【0027】
パレット20は、大別的には、平面視において矩形枠状のパレットフレーム30と、このパレットフレーム30に前後に整列状態で配設された複数のローラユニット40と、これらのローラユニット40の上方に遊技機の高さ寸法に応じた所定間隔を隔てて設けられた転倒規制ユニット50とから構成される。パレット20の前後左右方向の大きさは、このパレットに積載する遊技機の台数に応じて適宜に設定することができるが、各図には、左右方向に4列、各列の前後方向に3台の遊技機を立設姿勢で積載可能に構成した実施形態を例示する。
【0028】
パレットフレーム30は、上記台数設定に応じた矩形枠状に形成されており、例えば、所定形状寸法の角形鋼管31,32を矩形に枠組みし、溶接等の連結固定手段により一体に構成される。パレットフレーム30の上面側には、前後に延びて4列のローラユニット40がボルト締結される。ローラユニット40は、左右のローラ支持レール41,41と、これらのローラ支持レール41間に前後に整列してそれぞれ左右に延びる回動軸43まわりに回動自在に配設された複数のローラ部材45とからなり、例えば、左右外方に開くみぞ形鋼やアルミ合金の引き抜き型材等を利用した左右のローラ支持レール41,41に、各々側方からシャフトを嵌入固定して回動自在に配設される。
【0029】
各ローラ部材45は、軸方向中間部に形成された第1ローラ部46と、この第1ローラ部46よりも大径の第2ローラ部47とからなり、第1ローラ部46の左右に第2ローラ部47が設けられて、前方から見た形状が概略ダンベル状に形成される。第1ローラ部46の長さは、パチンコ機PMにおける外枠1の下面の厚さ(図12における寸法D)に合わせてこれよりも幾分大きめに設定されるとともに、第1ローラ部46と第2ローラ部47との間に形成されたテーパ面48により両者の外周面が滑らかに繋がっている。これによりパレットフレーム30の前方または後方から導入された遊技機が、第1ローラ部46の上面または第2ローラ部の上面を転がり移動してパレット上に収容可能になっている。なお、ローラ部材45を3つの独立したローラで構成しても良い。
【0030】
パレット20の四隅には、パレットフレーム30から鉛直上方に延びて支持支柱33が設けられ、パレット20の左右上部には、それぞれ前後の支持支柱33,33を結んで支柱連結桟34が前後に水平に延びて設けられている。左右の支柱連結桟34,34の内側には、平面視において互いに内向きに開くU字状の昇降レール35が対向して複数組(本実施形態において6組)設けられており、各昇降レール35,35間に、転倒規制ユニット50が昇降可能に設けられる。
【0031】
また、パレット20の前後には、ローラ部材45上に導入された遊技機の転落を防止するストッパ部材36が、各々上下に変位可能に設けられており、ローラ部材45,45…の上面により形成されるパスラインよりも下方に退避させた退避位置と、パスラインよりも上方に位置してローラ部材上に支持された遊技機の前後方向移動を規制し転落を防止するガード位置とに設定可能になっている。なお、図1及び図2では、パイプ状のストッパ部材36を左右の支持支柱33,33の間に上下揺動可能に設けた構成例を示し、前後のストッパ部材36をガード位置に設定した状態を示している。
【0032】
転倒規制ユニット50は、左右に延びるビーム51と、このビーム51に左右に整列状態で保持され上下に出没変位可能な多数の薄板状の保持プレート55とを主体として構成される。
【0033】
ビーム51は、ビーム直交方向の側端面視において中空の矩形断面で、一面に開口が設けられたリップみぞ形鋼状に形成されており、例えば板厚0.8〜1.5mm程度のステンレス鋼板やアルミ合金板を曲げ成形して構成される。ビーム51の左右の端部には、側端開口を閉鎖する側端部材が着脱可能に設けられており、この側端部材をビーム51の左右端部に固定することによりビーム内部に概略矩形のプレート収容空間52が形成され、ビーム下面に細長く開くスリット状の連通開口53を介して下向きに開放されている。
【0034】
保持プレート55は、本体部56と、この本体部56の上部に前後に張り出して形成されたショルダ部57とからなり、ビーム直交方向に見た側面視において下向き凸のT字状に形成される。本体部56の前後方向幅は連通開口53の開口幅よりも幾分小さく、ショルダ部57の前後法幅は連通開口53の開口幅よりも大きくかつプレート収容空間52の内面幅よりも幾分小さめに設定される。本体部56の下端側は、遊技機の上端角部と滑らかに係脱して遊技機を受け入れるため、誘導部58が形成される。本実施例では、誘導部の一例として本体部の下端を楕円形状に構成した構成例を示す。保持プレート55は厚さが2〜10mm程度の薄板状の素材を用いて形成され、本実施例においては厚さ5mmの素材を用いた構成例を示す。
【0035】
なお、保持プレート55は、表面硬度が前枠2やガラス扉5を形成する樹脂材料(例えばABS樹脂)の表面硬度よりも低く、本体部56に作用する板面直交方向の押圧力に対して一定の抗力を保ちつつ弾性的に受け止める素材を用いて形成される。このような素材として、ナイロン(PA)やフッ素樹脂等の樹脂材料、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等を基体とする独立気泡発泡体の樹脂フォーム、種々のゴム材料などが例示されるが、本実施形態では、素材自身の摩擦係数が小さい(隣接する保持プレート相互の摺動抵抗が小さい)高分子ポリエチレンのシート(薄板定尺材)を用い、これを図4に示す形状に打ち抜いて形成している。
【0036】
保持プレート55は、ビーム51の左右の端部開口から順次プレート収容空間52内に挿入され、各々ショルダ部57の下面が連通開口53を挟む前後の下部内壁面に当接した状態で支持される。そして、プレート収容空間52が多数の保持プレート55でほぼ満たされた状態で、左右の端部開口に側端部材を固定してプレート収容空間52を閉鎖することにより、保持プレート55がビーム51の全長にわたってほぼ隙間なく整列状態で装着され、転倒規制ユニット50が形成される。
【0037】
転倒規制ユニット50は、左右の支柱連結桟34,34に対向して設けられた昇降レール35,35に支持されて、ローラユニット40の上方に遊技機の高さ寸法に応じた所定間隔を隔てて配設され、詳細図示を省略する規制ユニット昇降機構により上下昇降可能に配設される。昇降レール35,35は前後方向に6対設けられており、パレット20の上部に6本、すなわち、1列当たり前後方向に3台収容されるパチンコ機PMに対して各2本の転倒規制ユニット50が配設される構成になっている。
【0038】
こうして転倒規制ユニット50がパレット20の上部に取り付けられると、ビーム51に装着保持された各保持プレート55は、図4(b)に示されるように、それぞれ自重により垂下して本体部56が連通開口53から下方に突出し、ショルダ部57の下面57dがビーム部材の連通開口53を挟む下部内面に支持された下部突出位置Pdから、図4(a)に示されるように、ショルダ部57の上面57uがビーム51の上部内面に当接する上部収容位置Puまでの高さ範囲で、各々独立して上下に移動自在に配設される。一方、ビーム51の延びる左右方向には、多数の保持プレート55,55…が隣接してほぼ満たされた状態で配設されており、各保持プレートの左右方向への移動が規制されている。
【0039】
このため、パレット20にパチンコ機PMが導入される以前の状態では、保持プレート55,55…が各々自重により垂下して下端の下部突出位置Pdに配設され、各保持プレートの下端が平坦に配列される。一方、パレット20にパチンコ機PMが導入された状態で転倒規制ユニット50を下動させると、パチンコ機PMと当接した保持プレート55のみが上方に持ち上げられてプレート収容空間52に退避し、最も上方に持ち上げられた保持プレートの上面57uがビーム51の上部内面に当接した上部収容位置Puに配設される。上部収容位置Puに配設された保持プレートを挟んで隣接する左右の保持プレートは、パチンコ機PMの上部形状に倣った高さ位置に配設され、パチンコ機と当接しない保持プレートは上動することなく自重により垂下した下部突出位置Pdに配設されたままである。
【0040】
すなわち、転倒規制ユニット50では、パレット20に導入されるパチンコ機PM等の対象物の上部形状に倣って一部の保持プレート55が上動退避するとともに、このように退避した一部の保持プレートの左右側方に隣接する他の保持プレートがパチンコ機PM等の対象物の上部を左右から挟み込んで左右方向への自由な相対移動を規制し、転倒を防止するように作用する。
【0041】
本実施形態では、遊技機をパレット20に導入し、あるいはパレット20から導出する作業を行う際の転倒規制ユニット50の高さ位置として、遊技機の種別に応じた基準の高さ位置が設けられており、例えば、パレット20にパチンコ機を搭載する場合の基準高さ位置(以下、「作業位置」という)として、前後に整列する第1ローラ部46の上端面を結んで形成される第1パスライン上にパチンコ機PMを配置した状態において、パチンコ機PMの外枠1に乗り上げた保持プレート55が、上述した上部収容位置Puと下部突出位置Pdとの中間の高さ位置(「中間位置」という)Pcに配設されるような高さ位置に設定している。
【0042】
図5及び図6は、ローラユニット40の第1ローラ部46にパレット20の前方(又は後方)からパチンコ機PMが導入されたときの保持プレート55の状態を示したものであり、このうち図5はパチンコ機PMの移動軌跡上にある保持プレート(以下では便宜的に「上方保持プレート」と称し、符号55aを付して示す)の状態、図6は移動軌跡を挟んで左右の隣接位置にある保持プレート(同様に「側方保持プレート」と称し、符号55bを付して示す)の状態を、それぞれ(1)(2)(3)の順に時系列で示したものである。
【0043】
各転倒規制ユニット50の各保持プレート55は、パチンコ機PMがパレット20に導入される以前においては自重で垂下した下部突出位置Pdに位置している。ここにパチンコ機PMが導入されると、パチンコ機PMの移動軌跡上に位置する上方保持プレート55aは、本体部56の下部縁面がパチンコ機PMの上端角部と当接する(図5(1))。本体部56の下部には滑らかな円弧状の導入部58が形成されており、当接した上方保持プレート55aはこの導入部58の誘導作用により押し上げられてパチンコ機PMの上端角部と摺接しながら上動し、パチンコ機PMの上面に乗り上げる(図5(2))。パチンコ機PMが、例えば後方のストッパ部材36に当接した収容位置まで導入されると、前後の転倒規制ユニット50,50がパチンコ機PMの上方を跨いで対称位置に配置され、上方保持プレート55a,55aがともにパチンコ機PMの上面に乗り上げた状態で配設される(図5(3))。
【0044】
パチンコ機PMの導入・導出時には、転倒規制ユニット50が作業位置に設定されているため、パチンコ機PMの上面に乗り上げた上方保持プレート55aは、上部収容位置Puと下部突出位置Pdとの間の中間位置Pcに配設される。この状態ではショルダ部57がプレート収容空間52の上下中間の高さに位置しているため、パチンコ機PMの上面にうねりや凹凸があり、あるいはパチンコ機PMの高さにばらつき等があっても、上方保持プレート55aが上面位置に応じて昇降し、上面を滑らかに摺動してパチンコ機を受容する。
【0045】
一方、パチンコ機PMの移動軌跡を挟んで左右(パチンコ機PMにとっては機体の前後)に隣接する側方保持プレート55bは、本体部56の下部縁面がパチンコ機PMの上端角部と当接せず、パチンコ機PMの前面または後面と摺接する(図6(1))。このため、側方支持プレート55bは上動することなく下部突出位置Pdにとどまり、それぞれパチンコ機PMの前面または後面と摺接しながらパチンコ機PMを受容する(図6(2))。これらの側方保持プレート55bは、いずれもパチンコ機の前後面方向(ビーム51の延びる左右方向)への移動が規制された状態にあり、機体前後に位置する側方保持プレート55b,55bがあたかも下向きに開く凹状のガイドレールのように作用して、パチンコ機PMの前後方向への移動を許容しつつ転倒を規制する。パチンコ機PMが収容位置まで導入されると、前後の転倒規制ユニットの各側方保持プレート55bが、それぞれパチンコ機PMの上部対称位置を挟み込むように支持した転倒規制状態で配設される(図6(3))。
【0046】
こうして、パチンコ機PMの移動軌跡上に位置する上方保持プレート55aが図5(3)に示す状態、移動軌跡を挟んで左右に隣接する側方保持プレート55bが図6(3)の状態になると、パチンコ機PMが上部の対称位置において左右の側方保持プレート55bに挟み込まれ、前後方向の移動を許容されつつ左右方向への移動が規制された転倒規制状態で保持される。このため、パレット20へのパチンコ機PMの収容に際し、各列のローラユニット40上を前後(例えば後方)に移動するパチンコ機は、前後方向に整列した複数の転倒規制ユニット50,50…の下方を通過する過程においても、各ユニットの左右の側方保持プレート55b,55bに支持されて転倒が規制された状態で順次後方に送り込まれ、後方のストッパ部材36に当接した収容位置で停止する。
【0047】
ローラユニット40の各列にパチンコ機PMが3台ずつ送り込まれてパレット20への収容作業が終了し、前方のストッパ部材36をガード位置に設定すると、各列のパチンコ機PMは前後方向への移動が規制され、パレット20上に転倒規制された状態で収容保持される。
【0048】
本実施形態のパレット20では、転倒規制ユニット50を昇降させる昇降機構が設けられており、収容されたパチンコ機PMを強固に固定可能になっている。図7(1)(2)は、転倒規制ユニット50が作業位置に設定された状態(1)と、転倒規制ユニット50を下動させてパチンコ機を固定する固定位置に設定した状態(2)とについて、上方保持プレート55a及び側方支持プレート55bの状態を、それぞれ図中の左右に示したものである。
【0049】
この図7(1)に示すように、転倒規制ユニット50が作業位置に設定された状態において、上方保持プレート55aは、本体部56下端の誘導部58の下面がパチンコ機PMの上面に乗り上げてショルダ部57がプレート収容空間52の上下中間部に位置する中間位置Pcに配設されている。また側方保持プレート55bは、本体部56の下部がパチンコ機PMの前面側及び後面側に位置して摺接し、ショルダ部の下面57dがビーム51の下部内周面に支持されてプレート収容空間52の下端に位置している。
【0050】
上記(1)の状態から、転倒規制ユニット50を下動させると、パチンコ機PMの上面に乗り上げた状態の上方保持プレート55aは、ビーム51の下動に伴って相対的に上動し、本体部56がプレート収容空間52に収容されるとともに、ショルダ部の上面57uがビーム51の内部上面に当接する。そして、この当接位置で上動を規制して転倒規制ユニット50の自重を作用させ、またはバネ等によりビーム51を下方に付勢した状態で保持することで、パチンコ機PMが上方保持プレート55aにより下方に押圧された状態で固定される。一方、側方保持プレート55bはビーム51とともに下動し、本体部56がパチンコ機PMの前面側及び後面側の下方にさらに張り出した状態で配設される(固定位置という)。
【0051】
固定位置では、パレット20に収容されたパチンコ機PMは、上方保持プレート55aの下面との摩擦係合により下方に押圧された状態で固定され、この上方保持プレート55aを挟んで隣接する側方保持プレート55bに前後が挟まれて転倒が規制された状態で保持される。このため、パチンコ機PMが固定保持されたパレット20をフォークリフトやクレーン等により運搬して倉庫に保管し、あるいはトラック等により遊技施設に運搬することができる。
【0052】
このように、パレット20によれば、パレットの前面側または後面側にローラコンベアを接続し、転倒規制ユニット50を作業時基準位置に設定してパチンコ機PMを順次流し込んでゆくことで、移動軌跡上に位置する上方保持プレート55aがパチンコ機PMの位置及び上部形状に倣って上方に退避し、その左右に位置する側方保持プレート55bがパチンコ機PMの上部左右を挟みながら相対摺動してパチンコ機PMがパレット20に収容される。そして、転倒規制ユニット50を下動させて固定位置に設定すると、パチンコ機PMが転倒規制された状態でパレット20に固定され、フォークリフトやクレーン等により運搬して倉庫に保管し、あるいはトラック等により遊技施設に運搬することができる。
【0053】
従って、以上説明したようなパレット20によれば、比較的大型且つ重量物であり、立設姿勢で不安定とされるパチンコ機PMであっても、パレット20への積載及びパレット20からの積み卸し作業を一人で容易に行うことができ、且つ積み込みや積み卸しタイミングを人間の判断により柔軟に対応することができる。
【0054】
また、ローラ部材45に、パチンコ機PMにおける外枠1の下面の厚さに合わせた第1ローラ部46と、これよりも大径の第2ローラ部47とを設けた2段ローラの構成により、パチンコ機PMと外枠1の厚さ寸法が共通であるアレンジボール機や雀球遊技機等の第1の遊技機を第1ローラ部46の列(第1ローラ列)に整列状態で収容し保持することができるとともに、第1ローラ部46を挟む左右の第2ローラ部47の列(第2ローラ列)に、図2に示すように、スロットマシンSMや箱詰めにされたパチンコ機等のように第1の遊技機よりも厚さ寸法が大きい第2の遊技機を収容保持することができる。
【0055】
この場合において、第2ローラ列に配置されたスロットマシンSMの上面の高さ位置が、第1ローラ列に配設されたパチンコ機PMの上面の高さ位置と異なる場合には、パチンコ機PMについて設定したパチンコ機用の作業位置と同様に、スロットマシン用の作業位置を選択設定可能に構成することができる。このような構成により、異なる種別の遊技機ごとに異なるパレットを作成したり、搭載される遊技機ごとに細かい位置調整等を行うことなく、共通のパレットで異なる形状寸法の遊技機を効率的に運搬し保管することができる。
【0056】
なお、以上説明では、転倒規制ユニット50における保持プレート55の下縁を楕円状の形成して誘導部58を構成した構成形態を例示したが、誘導部58は、遊技機の上端角部と滑らかに係合して前後方向に作用する押圧力を上向きに変換可能な形態であれば良く、例えば、本体部56の下端部に前後に傾斜したテーパ状の平面に形成し、あるいは図8に示すように、本体部56の下部に薄板円盤状のローラプレート59を回動自在に配設する構成としても良い。
【0057】
また、ローラユニット40に、各ローラ部材45の外周面と係脱可能に摩擦係合してローラ部材45の回動を規制するローラロック機構を設け、遊技機の収容後に、転動規制ユニット50による遊技機の固定とともにローラ部材45の回動をロックするように構成してもよい。このようなローラロック機構を備えた構成によれば、ローラ部材45の回動をロックすることにより、パレット20に収容された遊技機を、より強固に固定保持することができる。
【0058】
また、上記ローラロック機構に代えて、図9に概要構成を示すようなローラ退避機構60を設けて構成しても良い。ローラ退避機構60は、ローラ部材45が遊技機を支持する導入・導出位置と、この導入導出位置から下方に退避させたローラ退避位置とにローラユニット40を昇降設定可能にパレットフレーム30に設けるとともに、ローラユニット40を下動させたローラ退避位置において、各ローラ部材45の上面よりも上方に突出する複数の支持部材65をパレットフレーム30に設け、パチンコ機PMが収容された状態でローラユニット40をローラ退避位置に下動させたときに、パチンコ機PMが複数の支持部材65により支持されるように構成される。このようなローラ退避機構60を備えた構成によれば、ローラユニット40を退避位置にセットすることにより、遊技機が支持部材65に安定支持されるため、パレット20に収容された遊技機をさらに安定させて固定保持することができる。
【0059】
なお、パレットフレーム30の四隅設けられた支持支柱33の下端部に、下面の形状が支持支柱33の断面形状に合わせた角錐状で、下向きに開く皿状の脚部38が設けられており、それぞれ支持支柱33の上端部と係合して、パレット20を上下に複数段(例えば4段)積み重ねて配設可能に構成されている。このため、下段のパレットに積載された遊技機に上段からの荷重を作用させることなく、それぞれに遊技機が積載されたパレットを上下に複数段積み重ねて倉庫に保管し、あるいは運搬することができ、効率的な保管及び運搬を行うことができる。
【0060】
次に、このパレット20を用いた遊技機の入出庫システムの構成例を図10に平面図で示しており、以下、この入出庫システム70について簡潔に説明する。図10における左側にローラコンベアを利用した入庫ライン71が設けられ、この入庫ライン71を介して組立作業の完了したパチンコ機PMが図中左側から右側に搬送されてくる。入庫ライン71の終端には架台72が設けられ、搬送レール73に沿って移動され架台72にセットされたパレット20に、入庫ライン71を搬送されてきたパチンコ機PMが順次導入され、収容作業の終了したパレット20が搬送レール73に沿って移動されて、クレーン75により収容ラック76に搬送され、あるいはフォークリフト77によりトラックの荷台に積み込まれて出荷される。
【0061】
図11は、架台72にセットされたパレット20と入庫ラインとの関係を平面図で示しており、パレット20は架台72に設けられたレール72rに沿って図11における上下に移動可能に設けられている。なお、図中に既述したパレット20における前方を矢印F、右方を矢印Rで付記するように、両図の上下がパレット20の左右方向に該当する。
【0062】
空の状態で架台72に搬送されてきたパレット20は、図11に示すように、パレット20に左右方向に並んで設けられた4列のローラユニット40(便宜的に第1〜第4のローラユニット列といい、符号21〜24を付して示す)のうち、第1のローラユニット列21が出庫ライン71と整合する第1整合位置にセットされる。そして、パレット前方のストッパ部材36を退避位置、転倒規制ユニット50を作業位置にそれぞれセットし(さらに、ローラロック機構を備える場合にはローラ部材45のロックを解除し、ローラ退避機構を備える場合にはローラユニット40をローラ退避位置から導入・導出位置に切り換えて)、3台のパチンコ機PMを第1のローラユニット列21に順次導入する。
【0063】
このとき、ローラ上を転動移動するパチンコ機PMは、機体の下部が外枠1の幅よりもわずかに大きめの幅に設定された第1ローラ部46上を転動し、機体の上部が左右の側方保持プレート55b,55bに挟まれてガイドされながらパレット20の後方に移動する。このため、パチンコ機PMがパレット20の前方から後方に移動する過程で転倒することがなく、滑らかにローラ部材上を転動移動して後方のストッパ部材36に当接した収容位置で停止する。後続のパチンコ機PMも同様に導入され、第1のローラユニット列21に3台のパチンコ機が収容される。
【0064】
第1ローラユニット列21に3台のパチンコ機が導入されると、パレット20が図11における下方(パレット20における右方)に移動され、第2のローラユニット列22が出庫ライン71と整合する第2整合位置にセットされる。このとき、第1のローラユニット列に収容されたパチンコ機PMは、機体の上部及び下部がともに左右に移動が規制された状態にあり、パレット20の移動により転倒するようなことがない。そして第1のローラユニット列21と同様に第2のローラユニット列22に3台のパチンコ機が導入され、以降これを繰り返して第4のユニット列24まで合計12台のパチンコ機PMが導入される。
【0065】
なお、左右の移動レール72r,72rのうちパレット後方の移動レール(図11における右側の移動レール)を低めに配置し、架台72にパレット20がセットされた状態において第1〜第4ローラユニット列のパスラインが、パレット後方に向けてわずかに下傾する(右下がりになる)ように構成してもよい。このような構成によれば、パレット上に導入されたパチンコ機が、途中停滞することなく傾斜に従って滑らかに後端位置まで移動して収容されるとともに、入庫ライン71と整合するローラユニット列を切り換えるためにパレット20を左右(図11における上下)に移動させたときに、既にローラユニット列に収容されたパチンコ機が滑り出てくるようなことがない。
【0066】
パチンコ機PMの導入作業が終了したら、転倒規制ユニット50を作業位置から下動させて固定位置にセットし、前方のストッパ部材36をガード位置にセットする(さらに、ローラロック機構を備える場合にはローラ部材45をロックし、ローラ退避機構を備える場合にはローラユニット40をローラ退避位置から導入・導出位置に切り換えたうえで転倒規制ユニットを保管基準位置にセットする)。これによりパレット20に収容されたパチンコ機PMがパレット上に固定保持される。こうしてパチンコ機の積載が完了したパレット20は搬送レール73に沿って移動され、クレーン75により収容ラック76に搬送されて保管され、あるいはフォークリフト77によりトラックの荷台に積み込まれて出荷される。
【0067】
このように、パレット20を用いた入出庫システムによれば、比較的大型且つ重量物であり立設姿勢で不安定とされるパチンコ機PMであっても、パレット20への積載及び積み卸しを、高額且つシステム構成が複雑なハンドリングロボット等を用いない簡明なライン構成で構築することができ、かつ、パレット20への積み込みや積み卸し(特に遊技施設での積み卸し作業)を人間が実行することも可能な柔軟なシステムを構築することができる。
【0068】
また、パレット20では、寸法自由度の高い転倒規制ユニット50によりパレット上の遊技機を一体的に固定保持することができる。そのため、遊技機を1台ずつトラックの荷室に搬送したり、桟木を用いて遊技機を固定するような繁雑な作業を廃止して効率的な出荷、運搬作業を行うことができる。また、釘を用いない構成のため、外枠に釘孔が形成されたり遊技機本体に損傷を与えたりすることがなく、外枠が金属材料や樹脂材料で形成されたものあっても、材質を問わずに遊技機を安定して運搬することができる。
【0069】
なお、実施例では、パレットフレーム30に対してローラユニット40を昇降可能に構成したローラ退避機構60の構成を例示したが、パレットフレーム30に対して支持部材65を昇降させるように構成しても良い。また、パレットフレーム30にローラユニット40を設けずにローラ部材45の上面が出没可能なローラ開口を多数整列状態で設ける一方、架台72にローラユニット40を設け、遊技機の導入時にパレットフレーム30の下方からローラユニット40を上昇させてローラ部材の上面をローラ開口を通してパレットフレーム上に露出させ、この露出したローラ部材の上面を転動させて遊技機を導入するように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】本発明に係る遊技機積載用パレットの全体斜視図である。
【図2】図1中のII矢視方向に見た遊技機積載用パレットの全体構成図である。
【図3】パレット上部に設けられた転倒規制部材の正面図(部分断面図)である。
【図4】図3中に付記するIVa矢視の側面図(a)、及びIVb矢視の側面図(b)である。
【図5】パレットの前方からパチンコ機が導入されたときのパチンコ機の移動軌跡上にある保持プレートの状態を(1)(2)(3)の順に時系列で示した説明図である。
【図6】パレットの前方からパチンコ機が導入されたときのパチンコ機の移動軌跡を挟んで左右の隣接位置にある保持プレートの状態を(1)(2)(3)の順に時系列で示した説明図である。
【図7】転倒規制ユニットが作業位置に設定された状態(1)と、固定位置に設定された状態(2)とについて、上方及び側方保持プレートの状態を示す説明図である。
【図8】保持プレートに設けられる誘導部の他の構成例を示す図面である。
【図9】ローラ退避機構の構成を示す説明図である。
【図10】遊技機積載用パレットを用いた入出庫システムの構成例を示す平面図である。
【図11】遊技機積載用パレットと入庫ラインとの関係を示す平面図である。
【図12】本発明に係る遊技機積載用パレットに積載される遊技機の一例として示すパチンコ機の正面図(a)及び側面図(b)である。
【符号の説明】
【0071】
PM パチンコ機(遊技機)
20 パレット(遊技機積載用パレット)
30 パレットフレーム
33 支持支柱
38 脚部
40 ローラユニット
43 回動軸
45 ローラ部材
46 第1ローラ部
47 第2ローラ部
50 転倒規制ユニット
51 ビーム
55 保持プレート(55a 上方保持プレート、55b 側方保持プレート)
56 本体部
58 誘導部
Pu 上部収容位置
Pc 中間位置
Pd 下部突出位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面視において矩形枠状のパレットフレームと、
前記パレットフレームに前後に整列し、それぞれ左右に延びる回動軸まわりに回動可能に配設された複数のローラ部材と、
前記複数のローラ部材の上方に遊技機の高さ寸法に応じた所定間隔を隔てて設けられた転倒規制部材とからなり、
前記転倒規制部材は、
下面に開口を有して左右に延びるビームと、
前記開口から下方に突出して前記ビームに左右に整列状態で設けられ、各々が自重により垂下した下部突出位置から上方に移動可能であるが、左右方向への移動が規制された状態で保持された多数の薄板状の保持プレートとを備え、
前記パレットフレームの前方または後方から導入された遊技機が前記ローラ部材の上面を転がり移動して収容され、
前記遊技機の上方に位置する一部の前記保持プレートが前記下部突出位置から上方に退避して前記遊技機の上面に当接して配設され、当該一部の保持プレートの左右側方に位置する他の保持プレートが前記遊技機の上部を左右から挟み込み、前記遊技機が立設姿勢で保持されるように構成したことを特徴とする遊技機積載用パレット。
【請求項2】
前記保持プレートは、前記開口から下方に突出する本体部の下端側に前記遊技機の上端角部と係脱して遊技機を受け入れる誘導部を有し、前記パレットフレームの前方または後方から前記遊技機を導入したときに、移動軌跡上に位置する前記一部の保持プレートの前記誘導部が前記遊技機の上端角部と係合して当該遊技機に乗り上げるように上方に退避し、前記遊技機の上面に当接して配設されるように構成したことを特徴とする請求項1に記載の遊技機積載用パレット。
【請求項3】
前記転倒規制部材が、前記パレットフレームに対して昇降可能に設けられ、前記遊技機が収容された状態で前記転倒規制部材を下動させたときに、前記遊技機の上面に当接し前記ビームに対して相対上動する前記一部の保持プレートが前記ビームの上部内面に当接して上動が規制される上部収容位置に配設され、前記遊技機が当該一部の保持プレートにより下方に押圧されて立設姿勢で固定保持されるように構成したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の遊技機積載用パレット。
【請求項4】
前記パレットフレームの前方または後方から前記遊技機を導入するときの前記パレットフレームに対する前記転倒規制部材の高さ位置は、前記遊技機に乗り上げるように上方に退避した前記一部の保持プレートが、前記下部突出位置と前記上部収容位置との中間の高さ位置に配設されるように設定されることを特徴とする請求項3に記載の遊技機積載用パレット。
【請求項5】
前記複数のローラ部材が、前記パレットフレームに対して昇降可能に設けられるとともに、前記複数のローラ部材を下動させたローラ退避位置において各前記ローラ部材の上面よりも上方に突出する複数の支持部材を備え、
前記遊技機が収容された状態で前記複数のローラ部材を前記ローラ退避位置に下動させたときに、前記遊技機が前記複数の支持部材により支持されるように構成したことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の遊技機積載用パレット。
【請求項6】
前記複数のローラ部材は、第1の遊技機の厚さ寸法に合わせた左右方向幅の複数の第1ローラと前記第1ローラよりも大径の複数の第2ローラとからなり、
前記第1ローラ及び前記第2ローラが各前記回動軸に沿って配設され、
複数の前記第1ローラが前後方向に整列状態で並ぶ第1ローラ列と、複数の前記第2ローラが前後方向に整列状態で並ぶ第2ローラ列とが、左右方向に各々複数列形成されるように構成したことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の遊技機積載用パレット。
【請求項7】
前記パレットフレームにおける下面側の四隅に下向きに開く皿状の脚部を有するとともに、各前記脚部から前記転倒規制部材の配設高さよりも上方に延びて他の前記遊技機積載用パレットの脚部をそれぞれ支持する支持支柱を備え、遊技機が立設姿勢で保持された複数の遊技機積載用パレットを上下に複数段積み重ねて配設可能に構成したことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の遊技機積載用パレット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−307323(P2008−307323A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−160172(P2007−160172)
【出願日】平成19年6月18日(2007.6.18)
【出願人】(390031783)サミー株式会社 (5,279)
【Fターム(参考)】