説明

遊技機管理方法、遊技機管理装置および遊技機管理プログラム

【課題】 見本機と量産機との区別なく遊技機に組み込まれる主要部品をリユース可能か否かを選別すること。
【解決手段】 遊技機管理装置40の処理装置42は、読取装置30から回収時のユニット10AのタグIDを取得し、そのタグIDをキーとして記憶装置41を検索して、遊技機10の種別を判別する。処理装置42は、その種別をキーとして記憶装置30のユニット対応表d2の中のリユース可能基準を参照する。処理装置42は、参照したリユース可能基準を基準として設定し、タグIDをキーとして、記憶装置30の稼動履歴情報d9を参照する。処理装置42は、その稼動履歴がリユース可能基準を満たしているか否かにより、各ユニット10Aのリユースの可否を選別し、その結果をローカルサーバ92の出力装置から出力させて、回収作業を行う作業者に報知するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出荷された遊技機の遊技場(ホール)での設置後に、IDタグを用いて遊技機を管理する遊技場における遊技機管理方法、遊技機管理装置および遊技機管理プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、パチンコ遊技機や回胴式遊技機(スロットマシン(パチスロ))等の遊技機は、製造会社の管理責任が行政から厳しく問われるため、製造工場から出荷、遊技場への納品途上における遊技機の不正を防止することが求められている。そのために、拠点倉庫や運送会社倉庫等の各チェックポイントで伝票や製品シール等によりチェックを行って遊技機の出荷先を厳格に管理可能となるようになされている。しかしながら、伝票や製品シールによるチェックでは、その管理が煩雑なばかりでなく人為的なミスが発生することから、二次元バーコードや無線式のIDタグを用いてコンピュータによるチェックを行うことが提案され、検討されている。
【0003】
また、近年施行されたリサイクル法により遊技機のリサイクルが義務化された背景から、遊技場(ホール)で使用済みとなった遊技機を回収して再利用可能な部品(ユニット等)を選別して再利用する、いわゆるリユースも行われてきている。そのため、近年では、このようなリユースについても二次元バーコードやIDタグを用いて管理できるような技術が検討され、提案されてきている。
【0004】
なお、IDタグを用いて遊技機を管理する技術としては、遊技機自体に製品履歴情報記憶手段を備え、主制御基板等のユニットにIDタグを取り付けてユニットごとに管理できるようにしたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−30008号公報(段落0013−0027,図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、遊技機業界では、新製品が月に1機種程度発表されるため、全国一斉に遊技場の経営者等を各営業所や展示特設会場等に集めて展示会を行うことが多い。このような全国の営業所や展示特設会場等には、製造工場から大量(200〜300台/回程度)の新機種の見本機が発送され、次の新機種発表会の場として展示されている。そのため、営業所等では、頻繁に新機種が展示されるため、従前の機種が頻繁に撤去されている。
【0006】
このような背景のもと、大量の見本機が出荷され、回収される一方で、見本機のリサイクルについての対応は、一般の遊技場からの返却機と異なる対応を行う必要が生じ、見本機のリサイクルは立ち遅れているのが現実である。また、システム上で機械の来歴管理を実施するとなれば、多数の遊技機を棚卸し外として取り扱うことは管理上見過ごせず、システム上の対策を講じる必要がある。
さらに、短い期間で新機種が発表される遊技機業界では、大量の量産機と共に大量の見本機が製造されるため、廃品となった量産機としての遊技機のリユースのみならず、見本機としての遊技機のリユースの必要性が高まっている。
【0007】
そのため、単に、特許文献1に記載の管理する技術を用いて、見本機や量産機の各遊技機に組み込まれている複数の各ユニットの交換履歴等の各種情報を管理するようにしても、見本機と量産機との区別も付けにくく、全ての対象遊技機ごとに製品履歴情報記録装置を備えておく必要があるため、運用面で非常に煩雑であるという問題がある。
【0008】
そこで、本発明は、回収された量産機のみならず、回収された見本機をもリユースの対象として容易に扱えるようにし、遊技機全体のリユースの効率を高めることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前述した課題を解決するために本発明では、見本機または量産機の遊技機の回収前に、各ユニットのリユース可能基準、遊技機が見本機または量産機のいずれとして出荷されたのかを示す種別、および、運用時に適宜収集した各ユニットの交換履歴を含む稼動履歴が、それぞれタグ識別情報に対応付けられて記憶装置に記憶している。まず、遊技機の回収時に、IDタグ読取装置は、回収された遊技機に組み込まれた複数のユニットに付随したIDタグに記録された回収時のタグ識別情報を読み取って遊技機管理装置に送る。
【0010】
そして、遊技機管理装置は、IDタグ読取装置から送られてきた回収時のタグ識別情報を取得し、そのタグ識別情報をキーとして記憶装置を検索して、回収された遊技機の種別を判別する。また、遊技機管理装置は、その種別をキーとして記憶装置に記憶してあるリユース可能基準を参照する。次に、遊技機管理装置は、参照した該当するリユース可能基準をリユース選別基準として設定し、タグ識別情報をキーとして、記憶装置に記憶しておいた各ユニットの交換履歴を含む稼動履歴を参照する。続いて、遊技機管理装置は、その稼動履歴がリユース可能基準を満たしているか否かにより、各ユニットのリユースの可否を選別し、選別した結果を出力装置から出力させるようにした。
【発明の効果】
【0011】
本発明によると、回収された量産機のみならず、回収された見本機をもリユースの対象として容易に扱えるようにし、遊技機全体のリユースの効率を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態の遊技機管理方法、遊技機管理装置および遊技機管理プログラムについて説明する。なお、ここにいう遊技機としては、パチンコ遊技機(パチンコ機)を例にして説明するが、風営法等により法規制がある遊技機であれば、これに限らない。例えば、一般にスロットマシン(パチスロ)と呼ばれる回胴式遊技機であってもよい。
【0013】
≪パチンコ遊技機の構成≫
まず、パチンコ遊技機の構成について詳細に説明する。
図1は、本実施の形態における管理対象の遊技機の一例であるパチンコ遊技機の前面側における基本的な構造を示す正面図である。図1に示したパチンコ遊技機10は、主に遊技機枠と遊技盤4とから構成される。
【0014】
パチンコ遊技機10の遊技機枠は、外枠1、前枠2、ガラス扉3、上受け皿5、下受け皿6および発射装置ハンドル7を含んで構成される。外枠1は、開口部分を有する方形状の枠体であり、ホール等のパチンコ遊技機10を設置すべき位置(遊技島)にて固定される。前枠2は、外枠1の開口部分に整合する枠体であり、外枠1へ開閉自在に取り付けられる。
【0015】
ガラス扉3は、前枠2へ開閉自在に取り付けられる。賞球装置から払い出された賞球は、所定の流路を経由して上受け皿5または下受け皿6に供給される。上受け皿5は、遊技球の貯留、発射レールへの遊技球の送り出し、下受け皿6への遊技球の抜き取り等の機構を有する。下受け皿6は、遊技球の貯留、抜き取り等の機構を有する。遊技者が発射装置ハンドル7を回動させると遊技球が発射される。
【0016】
パチンコ遊技機10の遊技盤4には、遊技部品として図柄表示装置8、第1種始動入賞口(以下、「始動口」という)9、大入賞口19等が設けられる。図柄表示装置8は、例えば、その画面に第1種特別図柄と呼ばれる図柄(以下、「特別図柄」という)と、特別図柄に連動する装飾図柄を変動させながら表示する。ここで、特別図柄は、始動口9への遊技球の落入を契機として行われる抽選の結果に応じて大当たりを発生させるか否かを示すための図柄であり、装飾図柄は、抽選の結果を視覚的に演出するための図柄である。図柄表示装置8は、例えば液晶ディスプレイで構成される。大入賞口19は、特別図柄が特定の態様にて停止したときに「大当たり」として開放状態となる横長方形状の入賞口である。
【0017】
次に、図2は、パチンコ遊技機10の背面側における基本的な構造を示す背面図である。図2を参照して、パチンコ遊技機10の背面側における基本的な構造を説明する(適宜、図2参照)。
主基板ユニット11は、パチンコ遊技機10の全体動作を制御する主基板を内包したユニットであり、この主基板は、特に始動口9へ入賞したときの抽選等、遊技動作全般を処理する。この主基板には、図示しないCPU(Central Processing Unit)等の電子部品が実装されている。液晶ユニット12は、主基板ユニット11による抽選結果に応じて表示内容を変動させて図柄表示装置8に図柄を表示する。
【0018】
払出ユニット13は、各入賞口への入賞に応じて賞球タンク14から供給される遊技球を上受け皿5へ払い出す。払出制御基板ユニット15は、払出ユニット13による払出動作を制御する払出制御基板を内包している。発射装置16は、上受け皿5の貯留球を、発射装置ハンドル7の操作量に応じた強さで、遊技領域へ1球ずつ発射する。発射制御基板ユニット17は、発射装置16の発射動作を制御する発射制御基板を内包している。電源ユニット18は、パチンコ遊技機10の各部へ電力を供給する。
【0019】
そして、このパチンコ遊技機10は、外枠1と、遊技盤4と、主基板ユニット11と、液晶ユニット12と、払出ユニット13と、賞球タンク14と、払出制御基板ユニット15と、発射装置16と、発射制御基板ユニット17と、電源ユニット18とに、それぞれ固有なタグIDを記憶したIDタグ20をそれぞれ貼付している。このIDタグ20の機能については、後述することとする。
【0020】
≪遊技機の製造から回収までの流通概要≫
次に、図3を用いて、パチンコ遊技機10(以下「遊技機10」と省略する。)の製造から回収(廃棄・再利用)までの流れを説明する。その流れは、大別して製造工程、流通工程、運用工程および回収工程に分けられる。ここでは、まず、製造工程および流通工程について簡潔に説明すると共に、運用工程および回収工程について簡単に触れることとする。なお、運用工程および回収工程については、本発明に密接に関連するため後に詳述することとする。また、前述したIDタグ20による管理等が適宜箇所でなされているが、これらについても後にまとめて説明する。
【0021】
まず、ユニット工場群Uでは、遊技機10で使用される遊技部品が、それぞれユニット化した主基板ユニット11等のユニット部品としての製品(装置)にまとめられる。そして、ユニット工場群Uでは、製造工場Kからの要求に基づいて各ユニットを製品として製造工場Kに出荷し、製造工場Kに納品されている。ここで、ユニットの具体例としては、枠ユニット、主基板ユニット11、および、液晶ユニット12等が挙げられる。枠ユニットは、上受け皿5や下受け皿6の球皿とガラス扉3と前枠2とセット盤4等とを外枠1に組み込んで収容ユニット化している。主基板ユニット11は、前述したように、回路基板に電子部品等を実装してケースに収容している。液晶ユニット12は、液晶パネルとバックライトと画像制御基板等とをケースに収容している。
【0022】
製造工場Kでは、ユニット工場群Uから納品された各ユニットは、入庫・保管工程で、入庫手続きを経て図示しない倉庫内に一旦保管され、製造ラインの出荷要求に基づいてユニット組立工程に配送される。
【0023】
ユニット組立工程では、製造指示に従ってユニットを図示しない倉庫へ入庫して保管する(入庫・保管工程)か、或いは、リユース倉庫(リユース倉庫については後述)から取り出してユニット同士を組み立てた後に、通電検査や目視検査等の検査(基本検査工程)を経て、遊技機10を製品として図示しない倉庫に保管する(倉庫保管工程)。そして、倉庫に保管された遊技機10としての製品は、出荷要求に応じて梱包作業等の出荷作業が適宜行われ(出荷工程)、トラック等の運送手段により営業店B又はホールH1に運送される。ここで、図示省略するが、製造工場Kから営業店BやホールH1等に入荷するまでには各運送業者の図示しない倉庫等を経由することがある。また、ここでは、出荷工程から営業店B又はホールH1等に入荷するまでの過程を運送工程と定義することとする。
【0024】
なお、前述したユニット組立工程では、遊技機10として組み込まれた各ユニットに貼付されたIDタグ20(図1,2参照)からタグID(タグ識別情報)を読み出して、ユニット(ユニットID)とタグIDとをヒモ付けて記憶装置41(図4参照)に記憶していく。また、製造工場Kでは、各ユニットの配給日(発送日)や配給先(ユニット工場U1等)を含む出庫情報を個々のIDタグ20に対応付けて、後述する遊技機管理装置(コンピュータ)(図4参照)40上で管理する。また、製造工場Kでは、IDタグ20の管理の効率化を図るため、配給先のユニット工場U1等に割り当てるIDタグ20のタグID(タグ識別情報)を登録する。例えば、ユニット工場U1には1番から100番までのタグIDを登録したり、またユニット工場U2(図4参照)には100番以降のタグIDを登録したりする。なお、付与される番号は、連番でなく、ランダムなものでもよい。
【0025】
営業所Bに入荷された製品は、遊技島と呼ばれる設置枠台に設置されて運用されることとなる(運用工程)。具体的には、営業店Bでは、遊技機10が製造工場Kから製品として納品されて販売促進用の見本機として運用される。すなわち、営業店Bに納品される遊技機10は、営業店Bにおいて営業担当者が担当エリアのホール経営者等を招いて新製品を実際に試打するための製品といえる。このため、営業店Bでの設置期間は製品の販売期間に限定されて1ヶ月と短く、また、営業店Bでの稼働時間は、高い稼働率を示す設置後2〜3日間の展示会開催日では長いが、1日当たりの平均稼動時間にすると比較的短い、という特徴がある。
【0026】
また、ホールH1等に入荷された製品としての遊技機10は、遊技島と呼ばれる設置枠台に設置されて運用されることとなる(運用工程)。具体的には、ホールH1では、新しい遊技機10が遊技者の遊技に供するための製品として運用される。すなわち、通常の遊技機10の運用といえ、リユース時の一般的な算出基準に合致した運用であるといえる。
【0027】
前述のように、運用された遊技機10は、不要となった時点で回収工場Kに発送されることになる(回収工程)。具体的な回収時期は、営業店Bでは当該製品としての遊技機10の販売期間が満了したときであり、ホールH1等では当該製品の稼動率が落ちて他の製品の遊技機10に入れ替えた方が高い営業利益を得ることができるとホール経営者が判断したときである。そして、営業店BやホールH1等では、この回収時期になると、遊技機10が、回収業者等によって回収工場Kに輸送されていくこととなる。
【0028】
回収工場Kに入荷した遊技機10は、入荷工程で入荷チェック等を行った後、選別工程でリユースやリサイクルの是非等を確認し、リユース可能な遊技機10は検査工程を経て図示しない保管倉庫に保管され、製造工場Kからの要求によってリユース倉庫に入荷して新製品のユニットとして利用される。なお、リユース不可能な製品は廃棄工程にてリサイクル又は廃棄されることとなる。
【0029】
なお、後述するように、廃品としての遊技機10では、見本機の場合と量産機の場合とで実稼動時間に差があるため、貼付されているIDタグ20(図1,2参照)にヒモ付けられた情報に従って見本機か量産機かが判別されることにより、組み込まれている各ユニットのリサイクル(リユース)の可否および期間が決定されることとなる。
【0030】
そして、製造工場Kにおいて、リユース倉庫に入庫されたリユース部品(ユニット)は、ユニット組立工程で遊技機10内に適宜組み込まれて新しい遊技機10の一部として出荷される。また、回収工場Rにおいて、選別工程でリユースができないと判定されたユニットは、廃棄工程により廃棄処理が適宜なされることとなる。なお、前述の製造から流通から回収までの過程では、IDタグ20の貼り付けやIDタグ20を用いた様々な管理・情報収集等が行われている。
【0031】
そして、以上のように、遊技機10の製造・回収にいたるこれら一連の流れ及びその情報は、IDタグ20や遊技機管理装置40等によって管理されている。
以下では、図3に加えて図4を用いてIDタグ20、遊技機管理装置40、並びに、遊技機10と遊技機管理装置40との関連について説明する。
【0032】
≪IDタグ≫
前述したIDタグ20は、後述するように各パーツ(ユニット)を管理するためのものであるが、特に、各パーツのリユースまたはリサイクルの選別を行うための機能も有する。なお、発射装置ハンドル7等の各パーツについては、IDタグ20を付していないが、これらの各パーツについてもリユース等の選別を行うためには、表面に現れない部分に適宜取り付けておくのが好ましい。
【0033】
このIDタグ20には、タグID(タグ識別情報)の他の情報は記録されていない。IDタグ20は、アンテナが内蔵されている非接触ICチップのことであり、非書換型のもの(例えば、日立製作所製のミューチップ(登録商標))が望ましい。また、タグIDは遊技機10やそれを構成するユニットとは直接関係のない番号である。こうすることで、データの単一性、システムの信頼性が向上し、また関係者および第三者における改ざんが防止できる。また、このように書換不可能なIDタグ20を用いることにより、書換可能なIDタグ20を用いた場合に懸念されるIDタグ20の書換行為による不正ユニットの正規化や、これを予防するための措置を行うことなくセキュリティ性を高めることが可能となる。
【0034】
また、ここでは、IDタグ20を貼付した場合を説明するが、二次元バーコードやバーコード等の代替えコードを各ユニットに付与するようにしてもよい。但し、この場合には、無線式のIDタグ20の場合に比べて、光学的な読み取りとなるため、遊技機10の筐体を開けて至近距離での読み取り作業を行う必要があり、作業員の手間が掛かってしまう。
【0035】
次に、本発明における管理システムについて詳細に説明する。
≪システムの構成≫
図4は、本発明の実施の形態に係る遊技機管理システムを示すブロック図である。
この遊技機管理システムは、遊技機管理装置40、受注入力端末50および管理者用端末60がLAN(Local Area Network)70を介して接続され、さらに、そのLAN70、複数のローカルサーバ91,92および基地局93が通信ネットワーク網80を介して接続されて構成される。通信ネットワーク網80は、例えば、インターネット網や無線ネットワーク網等を含んで構成されている。
【0036】
なお、この実施の形態では、基地局93は、製造工場K、回収工場R、倉庫W2、ホールH1、営業店(展示会場)B等におけるチェックポイントでの通信が1箇所のものとして示したが、これに限らず、例えば、各チェックポイントで1箇所の基地局となるような構成としてもよい。また、遊技機管理装置40、受注入力端末50、管理者用端末60およびローカルサーバ92は、製造工場Kおよび回収工場Rの遊技機製造会社内に設置されている。また、ローカルサーバ91は、ユニット製造委託会社のユニット工場U1内に設置されている。
【0037】
≪遊技機管理装置≫
遊技機管理装置40は、記憶装置41および処理装置42を具備し、CPUやメモリを含む一般的なコンピュータの構成となっている。記憶装置41はメモリ等であり、処理装置42はCPU等である。
記憶装置41には、種別情報d1(図5参照)と、ユニット対応表d2(図6参照)と、ユニット管理情報d3(図7参照)と、ユニットの組み合わせ情報d6(図8参照)と、チェック情報d7(図9参照)と、稼動履歴情報d9(図10参照)と、住所情報d10(図11参照)と、設置場所情報d12(図12参照)とが記憶されている。なお、各情報については、「データ構成」として改めて後述することとする。
【0038】
この遊技機管理装置40は、遊技機製造会社等に設置され、製造工程時のユニット管理・出荷から納入までの流通過程での遊技機管理・出荷された遊技機10の稼動管理・遊技機/ユニット再利用の可否判断等を行うものである。この遊技機管理装置40は、遊技機10に組み込まれるユニット10A等に貼付されるIDタグ20のタグIDに基づいて、各シチュエーション(工程や過程)での遊技機10についての管理を行う。
【0039】
≪受注入力端末および管理者用端末≫
受注入力端末50は、例えば、パーソナルコンピュータであり、図示しない表示装置や記憶装置51や処理装置52を具備している。記憶装置51はメモリ等であり、処理装置52はCPU等である。記憶装置51には、出荷先情報d81、運送経路情報d82、製品管理番号d83が記憶されている。これらの情報は、後述するように、遊技機10の受注時にオペレータによって入力されるものであり、処理装置52が記憶装置51に記憶すると共に、遊技機管理装置40に各情報を転送し、遊技機管理装置40では運送予定を示す情報(図示省略)として記憶装置41に記憶される。
管理者用端末60も、例えば、パーソナルコンピュータであり、メモリやCPUを含み、遊技機10の製造工程、稼動管理、流通過程、リサイクルの有無等を担当する管理者が使用する端末である。その管理者が、遊技機管理装置40に所望の情報を要求したり、遊技機管理装置40からその情報を受けたりするときに使用される。
【0040】
≪ローカルサーバ、読取装置、基地局および携帯読取装置≫
各ローカルサーバ91,92には、複数のIDタグ用読取装置(以下単に「読取装置」という)30が接続され、各読取装置30は、ユニット10Aや遊技機10に組み込まれた各ユニット10Aに取り付けられたIDタグ20との通信を行い、そのIDタグ20にあらかじめ記録されているタグIDを読み取るようになっている。
【0041】
ローカルサーバ91および読取装置30は、ユニット10Aを製造するユニット工場U1に設置されている。具体的には、図3に示したユニット工場U1等内や製造工場K内に設置される。また、ローカルサーバ92は、各ユニット10Aを組み立てて遊技機10を製造し、ホールH1等に出荷する製造工場Kや回収工場Rに設置されている。なお、ローカルサーバ91,92は、工場単位でユニット10Aの製造工程や回収工程を管理するためのものであり、メモリやCPU等を含む一般的なコンピュータの構成となっている。
【0042】
ユニット工場群Uの各工場内には、第1工程から第N工程までの製造工程を行うための製造工程エリアがあり、これらの製造工程エリアには、ライン設備等の製造設備が設置されている。ここでの製造工程とは、部品同士を組み立ててユニット10Aを製品として製造する部品組立工程や組み立てられたユニットを検査するユニット検査工程等を含む一連の工程のことである。
【0043】
回収工場Rでは、特に、選別工程において、遊技機10が見本機か量産機か否か、リユース可能なユニット10Aを搭載しているか否か等の判別を行う。このときに、読取装置30が、遊技機10に組み込まれた各ユニット10Aに貼り付けられたIDタグ20からタグIDを読み出し、ローカルサーバ92を介して、遊技機管理装置40に送信して、遊技機管理装置49に前述したような判断を行わせるようになっている。
【0044】
また、製造工場K内には、第1工程から第N工程までの製造工程を行うための製造工程エリアがあり、これらの製造工程エリアには、ライン設備等の製造設備が設置されている。ここでの製造工程とは、図3に示したユニット組立工程や基本検査工程の各工程を含む一連の工程のことである。
【0045】
本実施の形態においては、ユニット工場U1や製造工場Kや回収工場Rでの各工程における風営法規則に伴う行政機関への事前の届出にも、それらの一連の工程で用いる製造設備によって遊技機10やユニット10Aを製造する旨の記載を行うこととする。なお、前述した第1工程から第N工程までの各工程エリアに読取装置30が設置されている。
【0046】
各基地局93では、携帯読取装置(携帯型のIDタグ用読取装置)31が接続可能になっている。各基地局93は、遊技機管理装置40と携帯読取装置31との間のデータ中継を行うようになっている。
携帯読取装置31は、遊技機10に組み込まれている複数のユニット10Aに取り付けられた複数のIDタグ20との通信を行い、そのIDタグ20にあらかじめ記録されている各タグIDを読み取る。この携帯読取装置31には、自己を識別するためのリーダIDが保持されている。また、この携帯読取装置31は、作業の担当者が所持するものであり、例えば、運送会社の運搬者、ホールH1等に営業活動を行う担当者、ホールの管理者等の各種管理者が所持する。なお、この実施の形態では、携帯読取装置31は、1台の端末として説明するが、IDタグ20との通信を行う読取装置を別体とし、ノート型パーソナルコンピュータやPDA(Personal Digital Assistant)や携帯電話等の可搬な小型電子機器に各種インターフェースを介して接続するようにした構成としてもよい。
【0047】
≪遊技機と遊技機管理装置との関係≫
ここでは、遊技機10の受注時の受注入力端末50および遊技機管理装置40の機能を説明する(図4等を適宜参照)。
受注入力端末50は、次のような機能を有している。遊技機10の受注時に、受注入力端末50では、オペレータの操作によって、納入ホール、納品日、台数、製品等の出荷先情報d81が入力され、製品管理番号d83が入力されると、処理装置52がそれらを記憶装置51に記憶すると共に、遊技機管理装置40に転送する。処理装置52は、遊技機管理装置40から出荷対象の遊技機10の組み立ての終了のレスポンスの有無によって、組み立てが終了したか否かを判断する。
【0048】
そして、組み立てが終了していない場合には、処理装置52は遊技機管理装置40へ各情報を転送する。一方、組み立てが終了すると、処理装置52は、出荷日、地域情報等に基づいて運送経路情報d82をオペレータに入力させ、処理装置52は遊技機管理装置40へ各情報を転送し、遊技機管理装置40で各情報の整理を行わせる。
【0049】
一方、遊技機管理装置40では、前述したユニット組立工程のときに、遊技機10として組み込まれた各ユニットに貼付されたIDタグ20(図1,2参照)からタグID(タグ識別情報)を読み出して、ユニット(ユニットID)とタグIDとをヒモ付けて記憶装置41に記憶していく。また、製造工場Kでは、各ユニットの配給日(発送日)や配給先(ユニット工場U1等)を含む出庫情報を個々のIDタグ20に対応付けて、後述する遊技機管理装置(コンピュータ)(図4参照)40上で管理するようになっている。また、製造工場Kでは、IDタグ20の管理の効率化を図るため、配給先のユニット工場U1等に割り当てるIDタグ20のタグID(タグ識別情報)を登録する。例えば、ユニット工場U1には1番から100番までのタグIDを登録したり、またユニット工場U2(図4参照)には100番以降のタグIDを登録したりする。なお、付与される番号は、連番でなく、ランダムなものでもよい。
【0050】
また、遊技機管理装置40では、受注入力端末50から送られてくる各情報の整理を、次のように行う。遊技機10の組み立てが終了すると、処理装置42は、運送経路情報d82を、受注入力端末50を介して入力するようにオペレータに報知する。そして、受注入力端末50では、オペレータは出荷日、地域情報および他の出荷予定等に基づいて運送経路情報d82を入力する。運送経路情報d82が入力されると、処理装置52は、遊技機管理装置40に運送経路情報d82を送信する。そして、遊技機管理装置40では、処理装置42が、出荷先情報d81、運送経路情報82および製品管理情報d83を運送予定を示す情報(図示省略)として記憶装置41に記憶する。これにより、遊技機管理装置40により取得可能な情報(製品管理番号、製品ID、各ユニットID等の対応関係(チェック情報に該当))も、運送予定情報とリンク可能となる。
【0051】
なお、種別情報d1等を含めた各情報は、遊技機管理装置40で一元管理するだけでなく、図示しないコンピュータに分散させて随時参照して対応付けるように構成してもよい。また、運送経路情報d82を入力するタイミングは製造終了時でもよいし、運送予定が決まった段階で行うこととしてもよい。また、遊技機管理装置40では、処理装置42が運送予定を示す情報として含まれる運送経路情報d82に基づいて各チェックポイントまでの所要予定時間を演算し記憶装置41に記憶する。
次に、記憶装置41に記憶する種別情報d1等のデータ構成について説明する。
【0052】
≪データ構成≫
[種別情報]
種別情報d1は、図5に示すように、遊技機10が見本機として出荷されて営業店B等に設置されて運用されたか、または、量産機として出荷されてホールH1等に設置されて運用されたかを区別するための種別である。ここでは、製造工場Kからの出荷時に、遊技機管理装置40では、見本機として出荷されるときには、見本機欄100にフラグ「0」を付与して、量産機として出荷されるときには、量産機欄101にフラグ「1」を付与するような情報となっている。そして、遊技機管理装置40が、後述するように、ユニット10Aの組み合わせ情報d6、稼動履歴情報d9、設置場所情報d12等にヒモ付けて管理するようになっている。
【0053】
[ユニット対応表]
ユニット対応表d2には、図6に示すように、タグID102とユニットID103とが対応付けられている。タグID102は、IDタグ20に予め記録されている、IDタグ20に固有の番号である。ユニットID103は、遊技機10を構成するユニット10Aに固有の番号である。つまり、ユニット対応表d2を参照することによって、IDタグ20に対応するユニットID103が一意に決定されるため、ユニットID103をキーとして他の情報を検索することができる。
【0054】
[ユニット管理情報]
ユニット管理情報d3には、図7に示すように、ユニット固有の情報を示すものであり、ユニットID103、製造場所104、製造年月日105、素材情報106、再利用可否フラグ107、量産機として運用された場合の最大転用回数108、量産機として運用された場合の最大稼動時間109、出荷年月日110および製品管理番号111を有するレコードから構成される。ユニットID103は、前述の通りである。
製造場所104は、ユニット10Aが製造された場所(ユニット工場名等)を示す。製造年月日105は、ユニット10Aが製造された年月日を示す。製造場所104および製造年月日105は、ユニット10Aの製造が終了したときに設定される。
【0055】
なお、見本機として運用された場合は、量産機に比べて実稼動時間が短いため、例えば、次のように換算するようにしてもよい。ここで、見本機の設置時間(営業店Bに設置された時間)をSnとし、量産機の稼動時間Smとする。この場合、Sn≦Smである。そこで、A・Sn=Smの比例関係があることとし、A(≧1)を換算パラメータと呼ぶこととする。特に、A=1の場合は、特別に来場者が見込めるようなビジネス・ショーで展示され、ホール等に設置されたときと同様の実稼動時間となる可能性があるときに相当する。そこで、遊技機管理装置40(図4参照)は、営業店Bに設置された時間や来場者数等を考慮して、換算パラメータAを決定し、見本機の場合の稼働時間を量産機の場合の実稼動時間に換算して、リユースの可否を判断することとする。
【0056】
素材情報106は、ユニット10Aの主たる材料を示す。再利用可否フラグ107は、ユニット10Aが再利用できるか否かを示すものであり、オンであれば、再利用可能であることを示し、オフであれば、再利用不可であることを示す。これは、各ユニット10Aの材料や性質に応じて固定的に設定されるフラグである。最大転用回数108(再利用可能な使用回数)は、ユニット10Aを転用できる最大回数を示すものであり、出荷後初めての稼動時は「転用回数1回」に相当する。したがって、例えば、最大転用回数108=1であれば、出荷後あるホールで1度稼動すると、その後の転用は望ましくないことになる。最大稼動時間109(稼動可能な使用時間)は、ユニット10Aを稼動させることのできる最大時間であり、これ以上の時間にわたってユニット10Aを稼動させているときは、その後の転用は望ましくないことになる。素材情報106、再利用可否フラグ107、最大転用回数108および最大稼動時間109は、リサイクル促進法に基づく製品アセスメントに関連する情報であるので、これらの情報により製品アセスメントに基づいた、遊技機10の再利用管理を行うことができる。
【0057】
出荷年月日110は、ユニット10Aが遊技機10として出荷された年月日を示す。製品管理番号111は、出荷される遊技機10に固有の番号であり、その同じ番号が遊技機10を構成する各ユニット10AのユニットID103ごとに設定される。製品管理番号111には、外枠1や遊技盤4のユニットID103を設定してもよい。これによって、外枠1や遊技盤4と、それ以外のユニット10Aとが相互に対応付けられる。これによれば、例えば、遊技機10を回収したとき、外枠1や遊技盤4の製品管理番号111と、他のユニット10Aの製品管理番号111とが異なっていれば、ユニット10Aの交換が行われたことを示す。すなわち、ユニット10Aの交換の有無をチェックすることができる。出荷年月日110および製品管理番号111は、遊技機10の出荷時に設定される情報である。
【0058】
[ユニットの組み合わせ情報]
ユニットの組み合わせ情報d6には、遊技機10の出荷時または正当なユニット交換時のユニット10Aの組み合わせパターンが示されている。ユニットの組み合わせ情報d6は、図8に示すように、遊技機10の製品名117、種別情報d1に従ったフラグを示す種別118、納入設置場所ID119、製品ID番号120、その製品管理番号111、それに組み込まれた各ユニット10Aに貼付されたIDタグ20のタグID(タグ識別情報)に対応付けられたユニットIDが含まれている。ここでは、ユニットIDとして、例えば、主基板ID121、主基板を管理する基板管理No.122、液晶ユニットID123、発射装置ID124、発射制御基板ユニットID125、電源ユニットID126、払出制御基板ユニットID127等が対応付けられている。なお、製品名を特定するための製品ID番号120、遊技機10を納入する納入設置場所ID119をユニットIDに含めることとしてもよい。ここでは、これらがユニットIDに含むことを想定する。そして、これら各ユニットIDが、各ユニット10Aに貼付されたIDタグ20のタグIDに対応付けられている。
【0059】
これらの情報は、遊技機10の製造工程時にヒモ付けられている。そのため、まず、遊技機管理装置40が、IDタグ20から読み込まれたタグIDをキーとしてユニット対応表d2を参照してユニットID103(図7参照)の値を取得する。そして、遊技機管理装置40は、取得したその値がユニットの組み合わせ情報d6の主基板ID121、基板管理No.122、液晶ユニットID123、発射装置ID124、発射制御基板ユニットID125、電源ユニットID126、払出制御基板ユニットID127、製品ID番号120、納入設置場所ID119等のユニットIDの値として登録されているか否かを判断して出力する。これにより、遊技機10が製造工場Kから出荷された後のいずれのチェックポイントにおいても、正当なユニット10Aが遊技機10に組み込まれているか否かを作業者に認識させることができる。また、回収時において、ユニット10Aのリユースの可否を判断する際の情報として利用することができる。
なお、正当なユニット交換時とは、遊技機10に組み込まれているユニット10Aの交換を、製造工場Kの遊技機製造会社自体が把握して行う場合である。例えば、故障した場合等に行われる交換である。
【0060】
[チェック情報]
チェック情報d7は、前述したチェックポイントで遊技機10が適正に搬送されているか否かを検査する判断材料、あるいは、出荷先の設置後に遊技機10が不正な改造が加えられてないか否かを検査する判断材料となるものである。なお、遊技機10の任意のユニット10Aが交換された場合には、そのユニット10AのタグIDを記憶することとする。また、チェックポイントとしては、例えば、出荷工場(製造工場K等)、図示しない倉庫、ホールH1、営業所B等がある。
【0061】
具体的には、図9に示すように、チェック情報d7は、リーダID100と、チェックポイントを示す位置情報128と、各種ユニットIDを含む読取情報129とがこれに含まれている。位置情報128は、携帯読取装置31の読取位置を示すものであり、ここでは、例えば、GPS(Global Positioning System)技術により取得されるものを用いることとする。なお、設置先(納入先)のホールを特定するホールIDを用いてもよい。
【0062】
また、読取情報129は、携帯読取装置31が読み取ったタグIDに対応するユニット10A相互の関連付けを示すものである。なお、チェックポイントに設けられたゲートタイプの読取装置を用いて、読取装置の識別コードから位置を特定してもよい。
読取情報129は、具体的には、製品ID番号120、主基板ID121、液晶ユニットID123、発射装置ID124、発射制御基板ユニットID125、電源ユニットID126、払出制御基板ユニットID127であり、遊技機10に貼り付けられたIDタグ20のタグIDである。
【0063】
[稼動履歴情報]
稼動履歴情報d9は、図10に示すように、ユニットID103、転用回数130、経過日数131、想定実稼動時間132、種別118、設置場所名133、製品名117、稼動開始年月日134、稼動終了年月日135、稼動日数136、設置場所名137、製品名138、稼動開始年月日139、稼動終了年月日140、稼動日数141等を有するブロックから構成される。
ユニットID103は、前述の通りである。転用回数130(使用回数)は、ユニット10Aを転用した回数を示す。転用回数130の初期値には、0が設定される。経過日数131は、ユニット10Aの出荷年月日から経過した日数を示す。想定実稼動時間132は、ユニット10Aが稼動した日数等から算出される実稼動時間を示す。設置場所名133は、ユニット10Aを転用(最初の出荷を含む)して稼動させたホールの名前を示す。製品名133は、当該ユニット10Aを含む遊技機10の製品名を示す。稼動開始年月日134は、ユニット10Aが稼動を開始した年月日を示す。稼動終了年月日135は、ユニット10Aが稼動を終了した年月日を示す。稼動日数136は、ユニット10Aが稼動した日数を示す。
【0064】
ここで、設置場所名133、製品名117、稼動開始年月日134、稼動終了年月日135および稼動日数136は、転用回数130が1のとき(初回)の稼動履歴(繰り返しユニットRU)である。また、設置場所名137、製品名138、稼動開始年月日139、稼動終了年月日140および稼動日数141は、転用回数130が2のとき(2回目)の稼動履歴(繰り返しユニットRU)である。以下、同様に、設置場所名、製品名、稼動開始年月日、稼動終了年月日および稼動日数を含む繰り返しユニットRUが追加されていく。
【0065】
[住所情報]
住所情報d10は、遊技機管理装置40が管理するホールH1や営業所Bを登録したものであり、図11に示すように、設置場所ID142、設置場所名133,137、住所143等の情報である。
【0066】
[設置場所情報]
設置場所情報d12は、遊技機10が設置されているホールH1や営業所B等の場所を特定する情報であり、図12に示すように、遊技機10の製品名118、これに対応する製品ID番号144、同じくこれに対応する製品管理番号145、製造工場Kから納入した納入ホールおよびその設置位置を表す納入設置場所151、種別118、納入設置責任者152、設置確認者153、稼動時確認者154がある。また、転売等でホールや営業所等を移動した場合には、第1回目の移動では、移動日時155、移動設置場所156、種別118、設置移動確認者157、稼動時確認者158が、繰り返しユニットRUとして追加される。また、第2回目の移動では、稼動日時159、移動設置場所160、種別118、設置移動確認者161、稼動時確認者162が、繰り返しユニットRUとして追加される。このように、移動するたびに、稼動日時163、移動設置場所164…を含む繰り返しユニットRUを追加していく。
なお、各情報は、ホールや営業所等への設置確認時に作業者の所有する携帯読取装置31により入力される。
【0067】
ここで、納入設置場所151、移動設置場所156,160,164等は、例えば、「H001」「B0001」のようなデータとする。「H001」がホールを特定する設置場所ID142(図11参照)を示している。この設置場所ID142が設置場所情報d12で特定されることにより、設置場所IDをキーとして住所情報d10を参照することで対応する設置場所の住所を特定することができる。また、「B0001」は、営業所Bを特定する設置場所ID142(図11参照)を示している。
【0068】
≪遊技機の運用工程時の補足説明≫
製造工場Kでは、遊技機10の量産機としての出荷要求(受注)に応じて出荷工程で出荷作業を行った後に、運送業者等の手によりホールH1に遊技機10を搬送する。遊技機10は、ホールH1に納入されると設置担当者により遊技島への設置作業が行われ、所要期間(3ヶ月〜12ヶ月程度)の遊技に供されることとなる。
【0069】
そして、図3に示すように、遊技機10がホールH1の遊技島に設置された後、稼動中にユニットが故障した場合には、その旨がホールH1から製造工場K(メーカ)に連絡される。そうすると、図3の一点鎖線で示すように、故障したユニット10Aの代替ユニット10Aをリユース倉庫から発送し、ユニット10Aの交換が行われる。ユニット交換の形態は、様々であるが、メーカの担当者が交換する場合を例にすると、担当者が製造工場Kから当該ホールH1に代替品を持参し、故障したユニット10Aと交換する。この際に、後述する携帯読取装置31(図4参照)により交換した製品(ユニット10A)のIDタグ20を読み取ると、遊技機(製品)10にヒモ付けられたタグIDが、遊技機管理装置40(図4参照)上で書き換えられるように構成される。
【0070】
なお、担当者を介さずに行う場合には、ユニット10Aの交換後に担当者が携帯読取装置31を用いて当該ホールH1で確認してヒモ付けし直す方法でもよいし、不良品の返品時にそのユニットIDに基づいてヒモ付けし直す方法を用いてもよい。このときの日付け等も併せてヒモ付けることにより、交換履歴として、遊技機管理装置40(図4参照)で管理されることとなる。
【0071】
また、本例では、代替ユニット10Aとしてリユース倉庫から発送する形態を例示し遊技機(製品)10内のユニット10Aの稼働時間をなるべく統一してリユース時における作業の容易化を図っているが、新品のものを収容する図示しない倉庫から代替ユニット10Aとして発送するようにしてもよい。
【0072】
また、遊技機10が見本機として製造工場Kから出荷される場合にも、出荷作業を行った後に、運送業者等の手により運搬される。この場合、遊技機10は、営業店(展示会場)B等に搬送される。そして、量産機の場合と同様に、適宜な場所に設置されて、新機種発表会等の場で、運用されることとなる。そして、営業店Bに設置された見本機は、次の新機種の発表会までの間(約1ヶ月間)、営業店Bに設置されて、顧客に操作させることなる。そして、その期間が終了したら、営業店Bから撤去され、回収工場Rに入荷されることとなる。そのため、前述したように、見本機の場合は、約1ヶ月の間に稼動する時間が、量産機の場合に比べて短い。
【0073】
また、見本機のユニット10Aを取り出して、ホールH1等に設置されている量産機としての遊技機10に取り付けるようにしてもよい。この場合には、見本機に組み込まれているユニット10Aが純正で正規なものか否かを区別する必要があるため、見本機に組み込まれているユニット10AのIDタグ20に記録されたタグIDを読み取って、遊技機管理装置40(図4参照)に問い合わせるようにすればよい。そして、ホールH1等で新たに組み込まれた遊技機10のタグIDに、組み込んだユニット10AのタグID20をヒモ付けて遊技機管理装置40(図4参照)が管理するようにすれば、遊技機10に組み込まれたユニット10Aの交換履歴を管理することができる。
【0074】
また、図3に示すホールH2で遊技機10の入れ替え時に、ホール責任者や運送者等の担当者が、携帯読取装置31(図4参照)により、遊技機10に組み込まれている各IDタグ20のタグIDを読み出し、リユース対象ユニット10Aの有無により、廃棄(廃棄工程行き(波線))かリユース(回収工場R行き(廃品ルート(実線)))かの選別を行うようにしてもよい(ホールで行う選別工程)。なお、このときに、リユース可能なユニット10Aは、ホールH2に設置されている他の遊技機10に用いることができる。そして、リユース可能なユニット10Aが他の遊技機10に組み込まれたときに、携帯読取装置31が、新たに組み込まれた遊技機10からタグIDを読み出して、組み込んだユニット10AのタグIDをヒモ付けて遊技機管理装置40(図4参照)に送って、遊技機管理装置40に管理させることとする。これにより、この場合にも遊技機管理装置40は、新たに遊技機10に組み込まれたユニット10Aの交換履歴を管理することができる。
【0075】
また、図3において、定期的に担当者がホールH1に稼動情報を収集する場合には、担当者が持参した携帯読取装置31(図4参照)を用いて、実稼動情報を遊技機管理装置40(図4参照)に反映させることも可能である。具体的には、携帯読取装置31(図4参照)に図示しない情報入力部を併設し、その情報入力部を用いて遊技機10(つまり、台)ごとの稼動情報、設置場所情報、ホール情報等を入力する。そして、入力された情報を携帯読取装置31から遊技機管理装置40に送信させることにより、遊技機管理装置40内で稼動調査日や稼動情報を保存し、加工するようにする。
これによれば、ホールH1にIDタグ20の読取装置30を設置しない場合に、不透明になりがちな稼動情報をより明確に把握することができ、その稼動情報に基づいてリユース時の判定をより正確に行うことが可能となる。
【0076】
≪回収工場Rでの回収工程の内容≫
次に、図13を参照して、回収工場Rにおける各工程について、さらに詳細に説明する。回収工場Rに入荷された廃品としての遊技機10は、リサイクル(リユース)可能なユニットが含まれている場合があるため、選別工程にてリユース可能な部品の有無を選別する。この工程にて、リユース可能と判定されたユニット(部品)は、検査工程により所定の検査を経て保管工程において倉庫に保管され、製造工場Kのリユース倉庫に保管された後に新たな遊技機(製品)10に組み込まれることとなる。したがって、回収工場Rでは、前述したように、入荷工程および選別工程(入荷・選別工程)と、検査工程と、保管工程と、廃棄工程とが行われる。
【0077】
(入荷・選別工程)
廃品として遊技機10が回収工場Rに搬入されると、図示しない倉庫への入庫時にIDタグ20の読み取りを行い(倉庫入庫読取工程)、遊技機管理装置40に、読み取ったタグIDを送信する。そして、遊技機管理装置40は、設置場所情報d12等(図4参照)を更新する。続いて、後述するように、見本機か量産機かを判別し、各種別に応じてリユース可能なユニット(製品)10Aの選別を行う(製品選別工程)。ここで、リユース対象でないか、リユース期間を過ぎたユニット10Aは、廃棄工程へ移行させる。
【0078】
次に、作業者が、製品選別工程で選別されたユニット10Aの状態を目視して、リユース可能か否かを判断し、ユニット10Aを選別する(ユニット選別工程)。ここで、作業者が、リユース不可と判断したユニット10Aは、廃棄工程へ移行させる。一方、作業者がリユース可能と判断したユニット10Aは、利用可能なユニット10Aとして取り出され(利用可能ユニット取出工程)、検査工程へ移行する。
【0079】
(検査工程)
検査工程では、作業者がユニット10AへのIDタグ20の貼付状態を検査し(タグ耐久確認工程)、耐久性がない場合には、新しいIDタグ20を貼付した(タグ貼付工程)後に、検査担当が携帯読取装置31等(図4参照)でタグIDの読み取りを行う(検査担当読取工程)。そして、正常にタグIDが読み取られると、作業者が、各種検査を行う(各種検査工程)。このとき、ローカルサーバ92に対象のタグIDを送り、対象のタグIDのユニット10Aが検査工程にあることを管理させることとする。
【0080】
一方、作業員は、検査終了時にタグIDを読み取り(検査終了読取工程)、ローカルサーバ92に検査が終了したことを管理させる。次に、ローカルサーバ92は、作業者のキーボード等の操作に従い、検査が終了してリユース可能なユニット10AのタグIDのリユース回数(転用回数)を更新させるために、通信ネットワーク網80を経由して遊技機管理装置40に、その指令を送る(リユース回数更新工程)。また、作業者は、対象のユニット10Aを、保管工程へと移行させる。
【0081】
(保管工程)
作業者は、図示しない倉庫へのユニット10Aの入庫時にIDタグ20の読み取りを行い(倉庫入庫読取工程)、遊技機管理装置40に、読み取ったタグIDを送信する。そして、遊技機管理装置40は、設置場所情報d12等(図4参照)を更新する。一方、作業者は、対象のユニット10Aを保管倉庫へ入庫する(保管倉庫)。
【0082】
(廃棄工程)
ところで、廃棄工程へと移行してきたユニット10Aは、まず、所定のリサイクルの方法に従って、分別される(廃棄分別工程)。この廃棄分別工程では、ユニット10Aを燃焼させて熱エネルギを取り出し、製造工場や回収工場の稼動エネルギ等として利用するサーマルリサイクル工程と、ユニットを分解して、再びユニット工場群Uでユニット10Aとして製造させるための材料に戻すマテリアルリサイクル工程と、ごみとして完全に廃棄する完全廃棄工程とにユニット10Aを分別する。
【0083】
≪システムの処理≫
次に、以上のシステム構成および遊技機管理装置40の記憶するデータ構成を踏まえ、システムの遊技機管理処理をフローチャートに従って説明する。なお、以下の説明では、図1〜13を適宜参照する。
ここでは、まず、図5に示すように、読取装置30や携帯読取装置31が、遊技機10を構成するユニット10Aに取り付けられているIDタグ20のタグID102を読み取り、そのタグID102およびその読取装置30や携帯読取装置31のリーダIDを、通信ネットワーク網80を介して、遊技機管理装置40に順次送信していることとする。
【0084】
以下では、稼動終了後の遊技機10の管理について説明する。
なお、遊技機10がホールH1等に設置された後の管理は、ホールH1等に担当者が出向いて携帯読取装置31を用い、IDタグ20を読み込んで、遊技機管理装置40の記憶装置41に送信して記憶されている各情報と整合させることとする。そのため、出荷後の遊技機10に組み込まれているユニット10Aの稼動履歴を、遊技機管理装置40が、IDタグ20のタグ情報を元にして把握することもできる。
【0085】
[稼動終了時処理]
図14は、遊技機稼動終了時の遊技機管理装置の処理を示すフローチャートである。この処理は、遊技機10が転用や回収のためホールから移動するときにタグID102の読み込みをトリガにして行われるが、遊技機管理装置40の処理装置42は、記憶装置41に記憶された機器稼動予定情報や移動伝票のデータ(図示せず)等を参照することによって、遊技機10のホール移動、すなわち、稼動終了を認識する。なお、タグID102の読み込みは、遊技機製造業者の担当者やホールの管理者等が携帯読取装置31を使用することによって行われる。
【0086】
まず、遊技機管理装置40の処理装置42は、あるホールの携帯読取装置31から複数のタグID102およびホール名を受信する(Sj1)。次に、記憶装置41に記憶されているユニット対応表d2(図8)を参照して、受信したタグID102に対応するユニットID103を読み出す(Sj2)。そして、処理装置42は、読み出したユニットID103ごとに、稼動履歴情報d9(図10)の設定を行う。最初に、経過日数131および想定実稼動時間132を更新する(Sj3)。具体的には、ユニット管理情報d3(図9)の出荷年月日110および現在の年月日から経過日数131を算出して、設定する。そして、後述する式1を使って想定実稼動時間132を算出して、設定する。
【0087】
次に、稼動終了年月日135および稼動日数136を設定する(Sj4)。稼動日数136には、稼動終了年月日135から稼動開始年月日134を差し引いた値を設定する。この説明は、更新後の転用回数130が1の場合であり、例えば、その転用回数130が2の場合には、稼動終了年月日140および稼動日数141を設定する。すなわち、更新後の転用回数130に応じて稼動終了年月日および稼動日数を設定すべき箇所は変わることになる。
【0088】
以上説明した遊技機10の稼動開始時処理および稼動終了時処理によれば、遊技機10を構成するユニット10Aごとに、転用回数、出荷日からの経過日数、想定実稼動時間および稼動日数を把握することができる。なお、稼動履歴情報d9の経過日数131、想定実稼動時間132、稼動日数136、141、・・・は、管理者用端末60から稼動履歴情報d9の参照を要求されるタイミングで随時更新設定することも可能である。
【0089】
[遊技機回収時処理]
図15は、遊技機回収時の遊技機管理装置の処理を示すフローチャートである。この処理は、ホールH1から量産機として運用された遊技機10が回収のため回収工場R等に着いたときにタグID102の読み込みをトリガにして行われるが、遊技機管理装置40の処理装置42は、読取装置30のリーダIDが回収工場R内のものであること(記憶装置41の情報。図示せず)等によって、遊技機10の回収を認識する。なお、タグID102の読み込みは、回収工場Rの作業者等が携帯読取装置31を使用することによって行われる。
【0090】
まず、遊技機管理装置40の処理装置42は、各携帯読取装置31から複数のタグID102およびリーダID100を受信する(Sk1)。ここで、複数のタグID102は、回収された遊技機10を構成する複数のユニット10Aにそれぞれ付されたIDタグ20のタグID102のことである。また、作業者により量産機であることが遊技機管理装置40に入力されて、通知されているものとする。次に、記憶装置41に記憶されているユニット対応表d2(図6)を参照して、受信したタグID102に対応するユニットID103を読み出す(Sk2)。そして、処理装置42は、読み出したユニットID103ごとに、ユニット管理情報d3(図7)および稼動履歴情報d9(図10)を参照しながら、遊技機10が再利用可能なのか、または、廃棄すべきなのかを判断する。
【0091】
まず、遊技機10に再利用可能なユニット10Aがあるか否かをチェックする(Sk3)。具体的には、ユニット管理情報d3を参照して、Sk2で読み出したユニットID103ごとに再利用可否フラグ107がオンか否かをチェックする。1つ以上のユニットID103の再利用可否フラグ107がオンである、すなわち、再利用可能なユニット10Aがあるとき(Sk3の「Yes」)、当該ユニットID103の転用回数が最大転用回数より小さいか否かをチェックする(Sk4)。
【0092】
具体的には、再利用可否フラグ107がオンであるユニットID103に対応する、稼動履歴情報d9の転用回数130およびユニット管理情報d3の最大転用回数108の大小比較を行う。転用回数が最大転用回数より小さいユニットID103があるとき(Sk4の「Yes」)、当該ユニットID103の稼動時間(使用時間)が最大稼動時間より小さいか否かをチェックする(Sk5)。具体的には、まず、転用回数が最大転用回数より小さいユニットID103について、稼動履歴情報d9の稼動開始年月日134、139、・・・および稼動終了年月日135、140、・・・から稼動時間を算出する。その稼動時間は、式1(式2)によって求めることができる。
【0093】
稼動時間 = 24×[(稼動終了年月日135−稼動開始年月日136)+(稼動終了年月日140−稼動開始年月日139)+・・・] ・・・式1
つまり、
稼働時間 = (初回稼働時間+転用1回目稼働時間+転用2回目稼働時間+…) ・・・式2
【0094】
そして、その求めた稼動時間と、当該ユニットID103に対応するユニット管理情報d3の最大稼動時間109との大小比較を行う(Sk5)。稼動時間が最大稼動時間より小さいユニットID103があるとき(Sk5の「Yes」)、そのユニットID103を再利用可能なユニット10Aの識別情報として管理者に通知する(Sk6)。管理者への通知は、例えば、遊技機管理装置40の処理装置42が、LAN70経由で管理者用端末60に再利用可能なユニットID103を送信することによる。
【0095】
再利用可能なユニット10Aがないとき(Sk3の「No」)、転用回数が最大転用回数より小さいユニット10Aがないとき(Sk4の「No」)、または、稼動時間が最大稼動時間より小さいユニット10Aがないとき(Sk5の「No」)には、遊技機10の廃棄を管理者に指示する(Sk7)。管理者への指示は、例えば、遊技機管理装置40の処理装置42が、LAN70経由で管理者用端末60に遊技機10の廃棄を指示する旨のメッセージを送信することで行われる。
【0096】
なお、図15のフローチャートには示されていないが、処理装置42が、最初にユニット管理情報d3を参照して、外枠1と他のユニット10Aの製品管理番号111が異なっていた場合には、遊技機10においてユニット10Aの交換が行われた旨を管理者に通知する。その通知を受けた管理者は、ホールH1の管理者に事実確認を行う。
【0097】
この遊技機回収時処理によれば、遊技機10を構成する各ユニット10Aに付されたIDタグ20のタグID102を携帯読取装置31が無線で読み、遊技機管理装置40がそのタグID102を基にして再利用可能なユニット10Aがあるか否かをチェックするので、遊技機10をユニット10Aに分解することなく、そのまま廃棄すべきか否かを確認することができる。また、各ユニット10Aの実際の稼動時間を把握することができるので、製品アセスメントだけでなく、別の観点(例えば、耐久性等の品質の評価や管理)による機器の管理を行うことも可能になる。
【0098】
[製品選別工程処理]
この処理は、図13を用いて簡単に説明した「製品選別工程」である。図16は、製品の回収時に回収工場Rを介して行う製品選別工程の処理を説明するフローチャートである。そして、回収した遊技機10が見本機か量産機かの区別が作業者に分からない場合の処理である。但し、作業者がその区別を分かっている場合でも、その区別を遊技機管理装置40側に入力させなくてもよいため、この場合は、作業者の負担が少ない。
【0099】
まず、読取装置30または携帯読取装置31(以下、読取装置30が読み取ったものとして説明する。)が、回収された遊技機10に組み込まれたユニット10Aに付随したIDタグ20に記録されたタグIDを全て読み込む。次に、読取装置30が、読み取ったタグIDをローカルサーバ92に渡すと、ローカルサーバ92が通信ネットワーク網80を介して、全てのタグIDを遊技機管理装置40に送信する。
【0100】
そして、遊技機管理装置40では、処理装置42が受け取ったタグIDをキーとして、ユニット対応表d2(図6)を参照し、対応するタグID102の全てのユニットID103を抽出する。次に、処理装置42は、抽出した全てのユニットID103をキーとして、ユニットの組み合わせ情報d6(図9)中の製品ID番号120の欄を参照して、ユニットID103の値に対応する製品ID番号120の値を抽出し、その製品ID番号120を製品代表タグ情報として取得する(Sl1)。
【0101】
次に、処理装置42は、その製品代表タグ情報としての製品ID番号120の値が、リユース対象製品か否かを判定する(Sl2)。この判定は、例えば、製造終了製品を示す製品ID番号120の値か否で行う。なお、製造終了製品か否かを区別するための基準情報は、記憶装置41内に適宜格納しておくものとする。そして、処理装置42は、リユース対象製品でないと判断した場合(Sl2の「N」)には、廃棄処理(Sl3)へ移行する旨をローカルサーバ92に送信し、作業者に報知させ、対象の遊技機10全体を廃棄処分とする。
【0102】
一方、処理装置42は、リユース対象製品であると判断した場合(Sl2の「Yes」)には、製品ID番号120に対応付けられたレコードの種別118を参照し、見本機か否かの種別を判別する(Sl4)。処理装置42は、量産機であると判別すると(Sl4の「No」)、量産機用稼動時間(ユニット管理情報d3の最大稼動時間109の値を抽出し、量産機用稼動時間として設定する(Sl5)。なお、最大転用回数107を併用するようにしてもよい。
【0103】
一方、処理装置42は、見本機であると判別すると(Sl4の「Yes」)、見本機用稼働時間を設定する(Sl6)。この見本機用稼動時間は、量産機用稼働時間(最大稼動時間109)に比べて長い時間となる。例えば、前述した換算パラメータAを用いると、その値の逆数を量産機用稼動時間(最大稼動時間109)に乗算した値として設定することができる。なお、見本機が設置された営業店B等の状況に応じて、見本機用稼動時間を設定することとする。
【0104】
次に、処理装置42は、稼動履歴情報d9を参照して、対象のタグIDのユニットIDを含むレコードを検索する。そして、処理装置42は、ユニット10A(部品)ごとの転用回数(部品交換履歴)130や経過日数131や想定実稼動時間132等の部品交換履歴を含む稼動履歴を取得する(Sl7)。
【0105】
続いて、処理装置42は、所定の転用回数以内のユニット10Aである場合に、想定実稼働時間132と、量産機用稼動時間または見本機用稼動時間(リユース可能基準)とを比較し、リユース可能期間内か否かを判定する(Sl8)。そして、処理装置42は、想定実稼動時間132が、量産機用稼動時間または見本機用稼動時間を超えているか、直ぐに超えてしまうようなとき(所定のしきい値を超えているとき)(Sl8の「No」)には、リユース可能期間を超えているため、廃棄処理へ移行するものと選別し(Sl9)、その旨をローカルサーバ92に送り、ローカルサーバ92のディスプレイに、その旨を表示させる。
【0106】
一方、処理装置42は、想定実稼動時間132が、量産機用稼動時間または見本機用稼動時間を超えているとき(Sl8の「Yes」)には、リユース可能期間内であるため、リユース可能ユニット10AのタグID(ユニットID)等のユニット10Aを特定する情報をローカルサーバ92に送り、ローカルサーバ92のディスプレイに、その特定する情報を表示させる(Sl10)。これにより、作業者は、対象のユニット10Aがリユース対象か否かを判断して、見本機や量産機を区別することなく、遊技機10のリユース作業を行うことができる。
【0107】
以上本発明の実施の形態について説明したが、図4に示す遊技機管理装置40、受注入力端末50、管理者用端末60、ローカルサーバ91,92のそれぞれで実行されるプログラムをコンピュータによる読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、本発明の実施の形態に係る遊技機管理システムが実現されるものとする。
【0108】
以上の説明によれば、遊技機10を構成する各ユニット10AにIDタグ20を付与し、タグIDとユニットIDの対応関係およびユニット10Aに関する情報を管理するようにした。
そのため、出荷時のユニット構成と最新のユニット構成との比較確認を行うことができる。次に、遊技機10の稼動開始時および稼動終了時にタグIDを読むことによって、各ユニット10Aの実稼動時間を精度よく管理することができる。また、見本機と量産機とを区別するようにしたため、見本機の実稼働時間を推測して、見本機のユニット10Aのリユースの可否を選別することもできるようになる。
【0109】
さらに、IDタグ20は、ユニット10Aに直接関係しないタグIDだけを記録して書き換え不可とすることによって、万が一タグIDが盗み読まれたとしても、遊技機管理装置40の記憶装置41に記憶されたユニット10Aの情報に結び付けることはできず、また、管理者が知らないうちにタグIDが変わってしまうことはないので、システムの情報セキュリティを確保することができる。
【0110】
以上によれば、見本機を含めた遊技機10の再利用を精度よく、効率よく、低コストに運用することができる。さらに、ユニット10Aのトレーサビリティが向上し、製造責任を明確にすることができる。また、製造工程の疎明を行うこともできる。出荷後の流通過程や運用時における遊技機10のユニット構成を把握することができる。
【0111】
≪その他の実施の形態≫
以上本発明について好適な実施の形態について一例を示したが、本発明は前述した実施の形態に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。例えば、以下のような実施の形態が考えられる。
(1)遊技機管理装置40を含むシステム全体の構成およびデータ構成は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、種々の変更が可能である。例えば、遊技機管理装置40は、複数のコンピュータを用いて分散処理を行うように構成してもよい。
(2)前述した実施の形態によれば、遊技機10の稼動の開始および終了について年月日を記録するように記載したが、時分の時刻を含めて記録するようにしてもよい。これによれば、年月日だけでなく時刻を加味してユニット10Aの稼動時間を算出することができるので、さらに精度よく遊技機10の再利用管理を行うことができる。
(3)前述した実施の形態によれば、ユニット10Aの再利用の判断にユニット管理情報d3の素材情報106を使用していないが、転用回数や稼動時間の大小比較のときに素材情報106を加味するようにしてもよい。例えば、最大転用回数108や最大稼動時間109にはデフォルト値を設定しておいて、実際に転用回数や稼動時間と比較するときに、そのデフォルト値に素材情報106に応じた係数を掛け合わせた値を使用することが考えられる。このとき、素材情報106および係数の対応関係を示す表のデータを備えるものとする。これによれば、ユニット10Aの素材に応じた転用回数や稼動時間の評価を行うことができ、製品アセスメントに基づいた、遊技機10の再利用管理を行うことができる。
【0112】
(4)IDタグ20の耐用年数に応じて、IDタグ20を貼り替える必要が発生する場合、ユニット工場群U等で貼り替えを行うことが考えられる。その際、ユニット対応表d2において古いタグID20を新しいタグID20に更新することにより、同じユニットID103を用いて、ユニット管理情報d3、ユニットの組み合わせ情報d6、チェック情報d7、稼動履歴情報d9を新しいタグID20に対応付けるようにする。
【0113】
(5)前述した実施の形態によれば、一旦中古機を回収工場Rに納品する例を示したが、ホールH1等での稼動が終了した場合に運送業者または新台設置担当者が保有する携帯読取装置31を用いて当該製品情報を送信し、遊技機管理装置40からの判定結果によりリユース可能なユニット10Aがない場合には、図3の破線で示すように、廃棄工程(工場)に直送するようにしてもよい。これによれば、選別前の中古機搬入倉庫等のスペースを減少させることが可能なだけでなく、より迅速な中古機の選別が可能となる。
さらに、中古機を所定の金額で買い取る場合には、ホールH1等からの撤去時にリユース可能な期間内にあるユニット10Aを遊技機管理装置40により判定させて、その判定結果に基づいて金額を設定するようにしてもよい。これによれば、中古機を適正な価格で購入することができ、リユース製品の低価格化を図ることができる。
【0114】
(6)また、運搬者やホール管理者が使用するものとして携帯読取装置31として説明したが、携帯読取装置31に代えて、製造工場Kや図示しない倉庫や営業所BやホールH1等に据え付ける据付型の読取装置を用いるようにしてもよい。また、遊技機10を輸送するトラック等の運搬車に読取装置を据え付けるようにしてもよい。また、ユニット工場群Uや製造工場Kや回収工場Rでは、ゲート型の読取装置やハンディタイプの読取装置を用いるようにしてもよい。
【0115】
(7)遊技機10としてパチンコ遊技機10を例示したが、回胴式遊技機(パチスロ)やアレンジボール機、雀球遊技機等他の遊技機にも適用可能なことは言うまでもない。
(8)なお、前述した実施の形態では、遊技機管理装置40が、リユースの可否を選別した結果を、ローカルサーバ92に送り、ローカルサーバ92のディスプレイに表示出力を行う場合を例にして説明したが、出力先は、ローカルサーバ92に限らない。例えば、管理者端末60や読取装置30や携帯読取装置30のディスプレイに表示させるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】本発明の実施の形態に係る遊技機管理方法および遊技機管理システムの管理対象の一例であるパチンコ遊技機を説明する図(遊戯面側を示す正面図)である。
【図2】本発明の実施の形態に係る遊技機管理方法および遊技機管理システムの管理対象の一例であるパチンコ遊技機を説明する図(内部構造を示す正面図)である。
【図3】遊技機の製造から流通および回収までの概略的な流れについて説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る遊技機管理システムを示すブロック図である。
【図5】図4に示した種別情報を説明する図である。
【図6】図4に示したユニット対応表を説明する図である。
【図7】図4に示したユニット管理情報を説明する図である。
【図8】図4に示したユニットの組み合わせ情報を示す説明図である。
【図9】図4に示したチェック情報を示す説明図である。
【図10】図4に示した移動履歴情報を説明する図である。
【図11】図4に示した住所情報を説明する図である。
【図12】図4に示した設置場所情報を説明する図である。
【図13】回収工場Rにおける各工程について説明する図である。
【図14】遊技機稼動終了時の遊技機管理装置の処理を示すフローチャートである。
【図15】遊技機回収時の遊技機管理装置の処理を示すフローチャートである。
【図16】回収工場での製品選別工程処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0117】
10 遊技機
10A… ユニット
20 IDタグ
30 読取装置
31 携帯読取装置
40 遊技機管理装置
50 受注入力端末
60 管理者用端末
70 LAN
80 通信ネットワーク網
91,92 ローカルサーバ(出力装置)
93 基地局
d1 種別情報
d2 ユニット対応表
d3 ユニット管理情報
d6 ユニットの組み合わせ情報
d7 チェック情報
d9 移動履歴情報
d10 住所情報
d12 設置場所情報


【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機をなす各ユニットのリユース可能基準、遊技機が見本機として出荷されたか否かを示す種別、および運用時に適宜収集した前記各ユニットの交換履歴を含む稼動履歴を、それぞれ各ユニットに付されるIDタグのタグ識別情報に対応付けて記憶した記憶装置と、
前記IDタグに記憶されたタグ識別情報を読み取るIDタグ読取装置と、
前記記憶装置の情報および前記IDタグ読取装置が読み込んだ前記タグ識別情報を取得して所定の処理を行う遊技機管理装置とにより、前記遊技機をなす各ユニットのリユースの管理を、前記見本機を含めて行う遊技機管理方法であって、
前記遊技機管理装置は、
前記IDタグ読取装置から送られてきた回収時のタグ識別情報を取得し、
当該タグ識別情報をキーとして前記記憶装置を検索して、回収された遊技機の種別を判別し、
当該種別をキーとして前記記憶装置に記憶してあるリユース可能基準を参照し、
参照した該当するリユース可能基準を基準として設定し、
前記タグ識別情報をキーとして、前記記憶装置に記憶しておいた各ユニットの交換履歴を含む稼動履歴を参照し、
当該稼動履歴がリユース可能基準を満たしているか否かにより、各ユニットのリユースの可否を選別し、
選別した結果を出力装置から出力させるようにしたこと、
を特徴とする遊技機管理方法。
【請求項2】
前記リユース可能基準を、見本機または遊技機の種別に応じた最大稼動時間としたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機管理方法。
【請求項3】
前記リユース可能基準を、見本機または遊技機の種別に応じた最大交換回数としたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機管理方法。
【請求項4】
遊技機をなす各ユニットのリユース可能基準、遊技機が見本機として出荷されたか否かを示す種別、および運用時に適宜収集した前記各ユニットの交換履歴を含む稼動履歴を、それぞれ各ユニットに付されるIDタグのタグ識別情報に対応付けて記憶した記憶装置の情報、および、前記IDタグに記憶されたタグ識別情報を読み取るIDタグ読取装置が読み込んだ前記タグ識別情報を取得して、前記遊技機をなす各ユニットのリユースの管理を、前記見本機を含めて行う遊技機管理装置であって、
前記遊技機管理装置は、処理装置を備え、
前記処理装置が、
前記IDタグ読取装置から送られてきた回収時のタグ識別情報を取得し、
当該タグ識別情報をキーとして前記記憶装置を検索して、回収された遊技機の種別を判別し、
当該種別をキーとして前記記憶装置に記憶してあるリユース可能基準を参照し、
参照した該当するリユース可能基準を基準として設定し、
前記タグ識別情報をキーとして、前記記憶装置に記憶しておいた各ユニットの交換履歴を含む稼動履歴を参照し、
当該稼動履歴がリユース可能基準を満たしているか否かにより、各ユニットのリユースの可否を選別し、
選別した結果を出力装置から出力させるようにしたこと、
を特徴とする遊技機管理装置。
【請求項5】
遊技機をなす各ユニットのリユース可能基準、遊技機が見本機として出荷されたか否かを示す種別、および運用時に適宜収集した前記各ユニットの交換履歴を含む稼動履歴を、それぞれ各ユニットに付されるIDタグのタグ識別情報に対応付けて記憶した記憶装置の情報、および、前記IDタグに記憶されたタグ識別情報を読み取るIDタグ読取装置が読み込んだ前記タグ識別情報を取得して、前記遊技機をなす各ユニットのリユースの管理を、前記見本機を含めて行う遊技機管理装置の処理装置により実行される遊技機管理プログラムであって、
前記処理装置に、
前記IDタグ読取装置から送られてきた回収時のタグ識別情報を取得し、
当該タグ識別情報をキーとして前記記憶装置を検索して、回収された遊技機の種別を判別し、
当該種別をキーとして前記記憶装置に記憶してあるリユース可能基準を参照し、
参照した該当するリユース可能基準を基準として設定し、
前記タグ識別情報をキーとして、前記記憶装置に記憶しておいた各ユニットの交換履歴を含む稼動履歴を参照し、
当該稼動履歴がリユース可能基準を満たしているか否かにより、各ユニットのリユースの可否を選別し、
選別した結果を出力装置から出力させること、
を実行させるようにしたことを特徴とする遊技機管理プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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