説明

遊技機

【課題】遊技機において画像表示器の前方側に出現させる可動物を一方向のみに移動させることができる構成とし、遊技者にとって意外な可動物の出現形態を実現する。
【解決手段】遊技機1は、遊技盤10の背面側から画像表示器13の前方上部に出現し、画像表示器13の前方を上部から下部に向かって移動していき、画像表示器13の前方下部で遊技盤10の背面側へと移動する装飾可動物21と、遊技盤10と画像表示器13との間に設けられ、画像表示器13の前方側に進退可能であり、画像表示器13の前方側に進出することにより装飾可動物21が画像表示器13の前方側を移動する際の複数の案内路34,35を形成する可動アーム30とを備える。装飾可動物21は、可動アーム30により形成される複数の案内路34,35のうちの一の案内路に沿って画像表示器13の前方を上部から下部に向かって移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技球が打ち出される遊技盤のほぼ中央に各種演出のための画像を表示する画像表示器が設けられたパチンコ遊技機などの遊技機に関する。
【背景技術】
【0002】
パチンコ遊技機などの遊技機において、遊技盤面上に打ち出された遊技球が所定の始動口に入球することを条件として特別図柄の変動表示を行い、その変動表示が特定の図柄で停止すると大当たりとなって大入賞口を開放する大入賞口開放遊技に移行し、遊技者に有利な遊技価値を付与するものが数多く提供されている。この種の遊技機では、一般に、遊技盤のほぼ中央に画像表示器が設けられている。このような画像表示器では、遊技の進行に伴って各種の演出画像が表示される。例えば特別図柄の変動表示に連動させてリーチ演出などの動画像を表示することにより、大当たりに当選するかもしれないという遊技者の期待感を高揚させる演出などが行われる。ところが、画像表示器において演出画像を表示するのみでは、遊技機で行われる演出が単調なものになってしまう。また、遊技者の視線が画像表示器の表示画面だけに固定されてしまうので、遊技の興趣性を高めることができない。
【0003】
そのため、従来の遊技機は、画像表示器の周囲に種々の可動役物を配置し、画像表示器で表示される演出画像と連動させて可動役物を動作させることにより、遊技機において多彩な演出を行うことができるように構成されている。これにより、可動役物の動作に遊技者の視線を集中させることも可能になる。このような遊技機のひとつとして、例えば、ワイヤで吊り下げた可動役物を画像表示器の前方側で昇降動作させることにより、演出効果を高めるようにしたものが知られている(例えば特許文献1)。この従来技術によれば、画像表示器の前方に可動役物が下降してくるため、遊技者の視線は必然的に画像表示器の表示画面から可動役物へと移り、可動役物の動作に注目するようになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−72336号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来の遊技機に設けられる可動役物は、画像表示器の周囲で待機する待機位置と、画像表示器の前方側に進出させた作動位置との間で往復移動するように構成されている。このような構成では、可動役物を待機位置から作動位置へ動作させるときには、遊技者が注目している画像表示器の前方に可動役物が突然進出してくることになるので、遊技者を驚かせるようなインパクトのある演出を行うことが可能である。しかし、その反面、画像表示器の前方に進出させた可動役物を元の待機位置へと戻すときには、その可動役物の動作は遊技者によって視認されるものの、遊技者に対して特別な印象を抱かせるものではない。それ故、従来の遊技機では、可動役物を作動させた後、その可動役物を元の待機位置へと戻す際には特別な演出効果を発揮しないにもかかわらず、その動作が遊技者に視認されるという問題がある。
【0006】
また従来の遊技機は、可動役物を単に往復移動させる構成であるため、可動役物の動作が単調なものにならざるを得ない。そのため、遊技者によって可動役物の動作が予測され易く、また遊技者にとって意外な可動役物の出現形態を実現することが難しいという問題がある。
【0007】
そこで本発明は、上述した従来の問題点を解決することを目的としてなされたものであり、画像表示器の前方側に出現させる可動物を一方向のみに移動させることができる構成とし、遊技者にとって意外な可動物の出現形態を実現できるようにした遊技機を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明は、遊技機であって、遊技球が打ち出される遊技領域を有し、該遊技領域の中央に開口部が設けられた遊技盤と、前記遊技盤の背面側に配置され、前記開口部を通して前記遊技盤の正面側から視認可能な画像表示器と、前記遊技盤の背面側から前記画像表示器の前方上部に出現し、前記画像表示器の前方を上部から下部に向かって移動していき、前記画像表示器の前方下部で前記遊技盤の背面側へと移動する装飾可動物と、前記遊技盤と前記画像表示器との間に設けられ、前記画像表示器の前方側に進退可能であり、前記画像表示器の前方側に進出することにより前記装飾可動物が前記画像表示器の前方側を移動する際の複数の案内路を形成する少なくとも1つの可動アームと、を備え、前記装飾可動物は、前記可動アームにより形成される前記複数の案内路のうちの一の案内路に沿って前記画像表示器の前方を上部から下部に向かって移動していくことを特徴とする構成である。
【0009】
請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の遊技機において、前記装飾可動物は、前記一の案内路に沿って前記画像表示器の前方を自重で移動することを特徴とする構成である。
【0010】
請求項3にかかる発明は、請求項1又は2に記載の遊技機において、前記可動アームは、前記複数の案内路のそれぞれに対応する複数の初期位置を有し、前記画像表示器の前方から退避した状態で前記複数の初期位置のうちの少なくとも1つに前記装飾可動物を保持しておき、前記画像表示器の前方側に進出することにより前記初期位置で保持する前記装飾可動物を前記一の案内路に沿って移動させることを特徴とする構成である。
【0011】
請求項4にかかる発明は、請求項1又は2に記載の遊技機において、前記可動アームは、前記画像表示器の前方側に進出することにより一の案内路が前記画像表示器の前方所定位置で分岐した複数の分岐案内路を形成することを特徴とする構成である。
【0012】
請求項5にかかる発明は、請求項4に記載の遊技機において、前記装飾可動物は、第1の装飾可動物と、第2の装飾可動物とを有し、前記可動アームは、前記第1の装飾可動物を前記画像表示器の前方所定位置で第1の分岐案内路に案内し、前記第2の装飾可動物を前記画像表示器の前方所定位置で第2の分岐案内路に案内することを特徴とする構成である。
【0013】
請求項6にかかる発明は、請求項1乃至5のいずれかに記載の遊技機において、前記画像表示器の前方を移動した後の前記装飾可動物を前記遊技盤の背面側で回収する回収手段と、前記回収手段によって回収される前記装飾可動物を、前記画像表示器の上方に設けられる前記可動アームへ向けて前記遊技盤の背面側で搬送を行う搬送手段と、をさらに備えることを特徴とする構成である。
【0014】
請求項7にかかる発明は、請求項6に記載の遊技機において、前記搬送手段は、前記遊技盤の背面側で上下に掛架される無端ベルトと、該無端ベルトの一部に設けられる支持部とを有し、前記支持部が前記装飾可動物を支持した状態で前記無端ベルトを駆動することにより、前記装飾可動物を、前記画像表示器の上方に設けられる前記可動アームへ向けて搬送することを特徴とする構成である。
【0015】
請求項8にかかる発明は、請求項6に記載の遊技機において、前記搬送手段は、前記遊技盤の背面側で昇降する昇降部材を有し、該昇降部材が前記装飾可動物を支持した状態で上昇することにより、前記装飾可動物を、前記画像表示器の上方に設けられる前記可動アームへ向けて搬送することを特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、装飾可動物は、可動アームが画像表示器の前方に進出することにより、画像表示器の前方に形成される複数の案内路のうちの一の案内路に沿って画像表示器の前方を上部から下部に向かって移動するように構成される。これにより、画像表示器の前方側で移動させる装飾可動物を、前回とは異なる案内路に沿って移動させることができるようになる。そのため、遊技者にとって意外な装飾可動物の出現形態を実現可能である。また、このような出現形態により、遊技者を驚かせるようなインパクトのある演出だけを行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】遊技機の一構成例を示す正面図である。
【図2】遊技機の前枠部材を開放した状態を示す図である。
【図3】第1の実施の形態における遊技盤の構成を示す分解斜視図である。
【図4】第1の実施の形態における役物動作機構の詳細な一構成例を示す分解斜視図である。
【図5】第1の実施の形態において画像表示器の前方を移動する装飾可動物の一構成例を示す拡大図である。
【図6】第1の実施の形態における可動アームの拡大図である。
【図7】無端ベルトに設けられる2種類の支持部を示す図である。
【図8】無端ベルトによって搬送される装飾可動物の振り分け態様の一例を示す図である。
【図9】第1の実施の形態における役物動作機構の動作の順序を示す図である。
【図10】第1の実施の形態における役物動作機構の動作の順序を示す図である。
【図11】第1の実施の形態における役物動作機構の動作の順序を示す図である。
【図12】第1の実施の形態における役物動作機構の動作の順序を示す図である。
【図13】第1の実施の形態における役物動作機構の動作の順序を示す図である。
【図14】第1の実施の形態において遊技盤の正面側からみた装飾可動物の移動による演出態様の一例を示す図である。
【図15】第1の実施の形態において遊技盤の正面側からみた装飾可動物の移動による演出態様の一例を示す図である。
【図16】第2の実施の形態における遊技盤の構成を示す分解斜視図である。
【図17】第2の実施の形態における役物動作機構の詳細な一構成例を示す分解斜視図である。
【図18】第2の実施の形態において画像表示器の前方を移動する装飾可動物の一構成例を示す拡大図である。
【図19】第2の実施の形態において画像表示器の前方下部に進出する可動アームの動作機構を詳細に示す拡大図である。
【図20】第2の実施の形態において画像表示器の前方上部に進出する可動アームの動作機構を詳細に示す拡大図である。
【図21】第2の実施の形態における搬送機構の詳細を示す拡大図である。
【図22】第2の実施の形態において昇降部材による装飾可動物の搬送形態を示す図である。
【図23】第2の実施の形態において昇降部材による装飾可動物の搬送形態を示す図である。
【図24】第2の実施の形態において昇降部材による装飾可動物の搬送形態を示す図である。
【図25】第2の実施の形態における可動アームと保持部材との動作過程を示す図である。
【図26】第2の実施の形態における可動アームと保持部材との動作過程を示す図である。
【図27】第2の実施の形態における可動アームと保持部材との動作過程を示す図である。
【図28】第2の実施の形態における可動アームと保持部材との動作過程を示す図である。
【図29】第2の実施の形態における可動アームと保持部材との動作過程を示す図である。
【図30】第2の実施の形態における役物動作機構の全体的な動作態様を示す図である。
【図31】第2の実施の形態における役物動作機構の全体的な動作態様を示す図である。
【図32】第2の実施の形態における装飾可動物の画像表示器の前方での移動態様を示す図である。
【図33】第2の実施の形態において遊技盤の正面側からみた装飾可動物の移動による演出態様の一例を示す図である。
【図34】第2の実施の形態において遊技盤の正面側からみた装飾可動物の移動による演出態様の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。尚、以下に説明する実施形態において互いに共通する部材には同一符号を付しており、それらについて重複する説明は省略する。
【0019】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明における遊技機1の外観構成の一例を示す正面図である。この遊技機1は、遊技者の指示操作により打ち出された遊技球が各種入賞口に入球すると賞球を払い出すように構成された弾球式の遊技機である。遊技機1は、遊技機本体1aの正面側に開閉可能に取り付けられた前枠部材3を備えている。
【0020】
前枠部材3は、その中央に透明ガラス板2aが嵌め込まれた窓部2を有している。遊技者は、この透明ガラス板2aを介して遊技機1の正面側から遊技機本体1aに取り付けられる遊技盤10を視認可能である。前枠部材3は、窓部2の下部右側に、遊技者が操作するハンドルレバー4を備えており、遊技者がこのハンドルレバー4を右回り方向(時計回り方向)に回転操作すると、その操作角度に応じた打球力で遊技球が遊技盤10の盤面に所定の時間間隔で打ち出されるようになっている。
【0021】
また前枠部材3は、窓部2の上部左右両側に設けられた一対のスピーカ5と、窓部2の上部および下部のそれぞれ中央に設けられた枠ランプ6とを備えている。スピーカ5は楽曲や音声、効果音などを発することで各種の演出を行い、枠ランプ6は点灯点滅のパターンや発光色の違いなどで各種の演出を行うように構成されている。
【0022】
図2は、遊技機1の前枠部材3を開放した状態を示す斜視図である。図2に示すように前枠部材3は、遊技機本体1aの左側に設けられた支持部1bで回動可能に軸支されている。遊技者が遊技を行うときには、図1に示すように前枠部材3は遊技機本体1aに閉じられ、施錠された状態となる。遊技中、例えば遊技盤10の遊技領域11において球詰まりなどが生じると、店員が前枠部材3を解錠して図2に示すように前枠部材3を開放することにより、球詰まりなどを解消することができる。
【0023】
図2に示すように遊技機本体1aには、遊技盤10が取り付けられている。この遊技盤10の正面側には、遊技球が打ち出される略円形の遊技領域11が形成されている。遊技領域11のほぼ中央にはセンター役物などとも称される飾り枠体12が設けられている。さらに飾り枠体12の中央の背面側には画像表示器13が配置されている。画像表示器13は、例えばカラー液晶ディスプレイなどで構成され、遊技の進行状況に応じて各種の演出画像を表示する。
【0024】
また図示を省略しているが、遊技領域11の内側には、多数の釘、スルーゲート、風車、普通入賞口、始動口、電動チューリップ、大入賞口等の公知の部材が配置される。そして遊技機1は、始動口に遊技球が入球すると、それに伴って乱数を取得し、その取得した乱数が所定値であるか否かを判定することにより大当たり抽選を行う。遊技機1において大当たり抽選が行われると、画像表示器13は、例えば1〜9までの数字が付された3つの装飾図柄画像の変動表示を個別に行い、変動表示を開始してから所定時間が経過したタイミングで3つの装飾図柄画像を停止させる。このとき、3つの装飾図柄画像が揃った状態で停止すれば大当たりとなり、遊技機1は大入賞口を開放させる大入賞口開放遊技へと移行し、遊技者に有利な遊技価値が付与される。すなわち、大入賞口開放遊技では、大入賞口に多数の遊技球が入球するので、遊技者は多くの賞球を獲得することができるようになる。
【0025】
次に図3は、遊技機1における遊技盤10の構成を示す分解斜視図である。図3に示すように、遊技盤10のほぼ中央には開口部10aが形成されている。遊技盤10の背面側に配置される画像表示器13の表示画面は、この開口部10aを通して遊技盤10の正面側から視認可能である。この開口部10aの周縁部には、遊技盤10の正面側から飾り枠体12が取り付けられる。これにより、飾り枠体12は、画像表示器13の画面枠を構成する。
【0026】
一方、画像表示器13は、遊技盤10の背面側に役物保持枠体14を介して取り付けられる。つまり、遊技盤10の背面側には役物保持枠体14が取り付けられ、その役物保持枠体14のさらに背面側に画像表示器13が取り付けられる。
【0027】
役物保持枠体14は、一定の厚みを有する箱形の枠体であり、正面側が全面開放されており、背面側に画像表示器13の表示画面サイズに対応した窓部16が形成された構造である。役物保持枠体14の正面側縁部には、その上下に一対のフランジ部14a,14bが設けられている。これらフランジ部14a,14bが遊技盤10の背面側の所定位置にビス止めされることにより、役物保持枠体14は遊技盤10の背面側に固定される。そして画像表示器13は、表示画面の周縁部が役物保持枠体14における窓部16の周囲に取り付けられることにより役物保持枠体14の背面側に固定される。
【0028】
遊技盤10と画像表示器13との間に設けられる役物保持枠体14の内側には、役物動作機構20が設けられる。この役物動作機構20は、可動アーム30と、駆動機構40と、回収レール50と、搬送機構60とを備えている。
【0029】
図4は、役物保持枠体14に設けられる役物動作機構20の詳細を示す分解斜視図である。可動アーム30は、例えば無色透明な合成樹脂で形成され、基端部31から先端部32に向かって2つに分岐した略Y字状の部材である。可動アーム30は、基端部31から第1の先端部32aに向かってスリット状に形成される第1の案内路34を有し、また基端部31から第2の先端部32bに向かってスリット状に形成される第2の案内路35を有している。この可動アーム30は、その中央よりも基端部31側の所定位置に、回動軸33が設けられる。この回動軸33は、役物保持枠体14の右上部の所定箇所に取り付けられる。したがって、可動アーム30は、役物保持枠体14の右上部に設けられる回動軸33を中心に回動し、画像表示器13の前方側であって、遊技盤10の正面側から開口部10aを通して視認可能な領域に対して進退するように構成される。
【0030】
通常、この可動アーム30は、画像表示器13の前方側から退出した待機状態となっており、遊技盤10の正面側から開口部10aを通して視認することができない状態となっている。この待機状態では、可動アーム30の中央部から基端部31の部分がほぼ水平な状態となる。これに対し、遊技機1において特別な演出を行うときに可動アーム30が駆動されると、可動アーム30は回動軸33を中心に回動して先端部32を下降させていき、画像表示器13の前方側に進出した状態となる。
【0031】
可動アーム30に形成される案内路34,35は、可動アーム30が画像表示器13の前方側に進出したとき、装飾可動物21,22,23を画像表示器13の前方側で上部から下部に向かって移動させるための案内路である。したがって、装飾可動物21,22,23は、可動アーム30が画像表示器13の前方に進出したとき、その可動アーム30に形成される2つの案内路34,35のいずれか一方に沿って画像表示器13の前方を移動する。尚、第1の案内路34として形成されるスリットの幅と、第2の案内路35として形成されるスリットの幅とは同じ幅である。
【0032】
図5は、装飾可動物21,22,23の一構成例を示す拡大図である。本実施形態では、役物保持枠体14に対して3つの装飾可動物21,22,23が設けられており、可動アーム30が画像表示器13の前方に進出したとき、これら3つの装飾可動物21,22,23のうちのいずれか一つが、その可動アーム30に形成された2つの案内路34,35のいずれか一方に沿って移動していくように構成される。
【0033】
図5(a),(b),(c)に示すように、装飾可動物21,22,23のそれぞれは、その正面側に星形などの所定の形状に造形された装飾部70を有し、その装飾部70の背面側に円柱状の軸部71が設けられた構成である。軸部71の直径は、各案内路34,35のスリット幅よりも小さくなっている。この軸部71の先端部には、環状溝71aが設けられており、この環状溝71aに留め具72が取り付けられる。これにより、軸部71の先端部が拡径するので、装飾可動物21,22,23は案内路34,35から離脱することなく、案内路34,35に沿って転動可能となる。
【0034】
また装飾可動物21,22,23は、装飾部70の内部に、LEDや電球などの発光体73を備えており、発光体73が所定の明るさで発光することにより装飾部70の前面全体が明るく点灯させるようになっている。軸部71の中央部の表面には、発光体73に対して電力を供給するための接点となる導線パターン74,75が環状に形成されており、これら導線パターン74,75は例えば軸部71の内部配線を経由して発光体73に電力を供給するように構成されている。
【0035】
図6は、可動アーム30の拡大図である。可動アーム30に形成される案内路34,35は、可動アーム30の基端部31の端面に繋がって形成されている。また案内路34は、可動アーム30の先端部32aの端面に繋がって形成され、案内路35は可動アーム30の先端部32bの端面に繋がって形成される。つまり、スリット状の案内路34,35はその両端部が開放された状態となっている。
【0036】
上述した装飾可動物21,22,23は、可動アーム30が待機状態にあるとき、可動アーム30の基端部31の端面から第1の案内路34又は第2の案内路35に供給される。各案内路34,35は、基端部31において下方に湾曲した初期位置34a,35aを有している。この初期位置34a,35aは、可動アーム30が待機状態にあるとき、基端部31の端面から供給される装飾可動物21,22,23を保持しておくためのものである。
【0037】
また図6において破線部分に拡大して示すように、各案内路34,35の下面側には、装飾可動物21,22,23の軸部71に形成された導線パターン74,75のそれぞれと接触する導線パターン78,79が形成されている。これら導線パターン78,79は、発光体73に対して給電するためのパターンである。これら導線パターン78,79は、図示しないスイッチ手段により、電源に接続された通電状態と、電源に接続されていない非通電状態とに切り替えられる。例えば、可動アーム30が駆動され、画像表示器13の前方での可動アーム30の傾斜角度が所定角度を超えると、導線パターン78,79は通電状態となり、それ以外の状態では非通電状態となる。尚、導線パターン78,79を通電状態にする可動アーム30の傾斜角度は、装飾可動物21,22,23が案内路34,35に沿って移動を開始する前の角度に設定しておくことが好ましい。
【0038】
これにより、可動アーム30が画像表示器13の前方に進出して傾斜した状態となり、装飾可動物21,22,23が案内路34,35のいずれかに沿って移動していくとき、軸部71に形成された導線パターン74,75と、案内路34,35に形成された導線パターン78,79とが互いに接触した状態で移動していくため、発光体73が発光して装飾部70の前面全体を明るく点灯させながら画像表示器13の前方を移動していく。ここで、可動アーム30は、無色透明であるため、画像表示器13の前方側に進出した状態に駆動されても、遊技者は画像表示器13で表示される画像を視認することができる。つまり、可動アーム30が画像表示器13の前方に対して進退する動作は、画像表示器13の視認性に何ら影響を与えるものではない。そして可動アーム30が画像表示器13の前方側に進出した後、装飾可動物21,22,23が明るく点灯しながら画像表示器13の前方側を移動していくようになる。
【0039】
図4に戻り、役物保持枠体14の内部には、上記のような可動アーム30を駆動する駆動機構40として、モータブラケット41と、モータ42と、カム43aを有する円形歯車43とを備えている。モータ42は、可動アーム30を駆動すると共に、搬送機構60を駆動する駆動手段であり、役物保持枠体14の内面に取り付けられるモータブラケット41によって支持される。このモータ42は、その回転軸を時計回り方向に回動させる。モータ42の回転軸には円形歯車43が取り付けられており、モータ42は、この円形歯車43を時計回り方向へ回動させる。円形歯車43の正面側には、カム43aが設けられている。
【0040】
カム43aは、可動アーム30の基端部31の上面と接触した状態で、円形歯車43と一体的に時計回りに回転する。可動アーム30は、回動軸33周りに回動自在であり、その重心位置が回動軸33よりも先端部32側にある。そのため、可動アーム30の基端部31はカム43aと常に接触するようになっている。このカム43aは、モータ42が停止しているとき、可動アーム30の基端部31を最も押し下げた状態となる。つまり、この状態が、可動アーム30を画像表示器13の前方から退避させた待機状態である。
【0041】
この待機状態からカム43aが時計回りに回動すると、カム43aと基端部31との接触位置が次第に変化していくので、可動アーム30は自重で回動軸33を中心に回動し、先端部32を下降させていく。そして可動アーム30が画像表示器13の前方側で最大の傾斜角度になると、その状態で一定時間保持される。可動アーム30の初期位置34a,35aに保持される装飾可動物21,22,23は、可動アーム30の傾斜角度が所定角度よりも大きくなると、初期位置34a,35aから抜けだし、画像表示器13の前方を自重で各案内路34,35に沿って移動していくようになる。可動アーム30を最大の傾斜角度で保持しておく時間は、装飾可動物21,22,23が各案内路34,35を移動し終えるのに要する時間である。そして各案内路34,35を移動し終えた装飾可動物21,22,23は、可動アーム30の先端部32a,32bから回収レール50に導かれる。
【0042】
そしてカム43aが更に時計回りに回動していくと、カム43aが可動アーム30の基端部31を再び押し下げるように作用するので、可動アーム30は画像表示器13の前方側から退避していき、再び待機状態へと戻る。このように本実施形態では、モータ42によってカム43aが時計方向へ1回転することにより、可動アーム30が待機状態から画像表示器13の前方側に進出して最大の傾斜角度で保持され、その後、画像表示器13の前方側から退避して再び元の待機状態へと戻るようになっている。また装飾可動物21,22,23は、可動アーム30が画像表示器13の前方に進出して傾斜している状態で画像表示器13の前方を移動していき、回収レール50に回収される。
【0043】
回収レール50は、役物保持枠体14の窓部16の下方に取り付けられる。回収レール50は、案内路34,35と同様に、装飾可動物21,22,23を一方向へ導くための回収路51を備えている。回収路51は、左側から右側に向かって下降傾斜している。この回収路51の左端部には、可動アーム30が最大の傾斜角度となっている状態で先端部32aから落下する装飾可動物21,22,23を回収路51に導入するための第1の受入口52が設けられている。また回収路51の途中所定箇所には、可動アーム30が最大の傾斜角度となっている状態で先端部32bから落下する装飾可動物21,22,23を回収路51に導入するための第2の受入口53が設けられている。これら第1又は第2の受入口52,53から回収路51に導かれた装飾可動物21,22,23は、その傾斜により、回収路51の右端部に設けられる受渡部54に向かって自重で移動していく。尚、このような回収レール50は、遊技盤10の正面側からは視認することができないように配置されている。
【0044】
次に搬送機構60は、回収レール50の受渡部54に移動してきた装飾可動物21,22,23を遊技盤10の背面側で上方へ搬送し、可動アーム30の初期位置34a,35aに供給するものである。搬送機構60は、遊技盤10の背面側で上下に掛架される無端ベルト61を有しており、この無端ベルト61が、モータ42によって駆動される円形歯車43と連動して動作することで装飾可動物21,22,23を搬送する。
【0045】
すなわち、モータブラケット41には、円形歯車43と歯合する歯車65が設けられており、さらにこの歯車65に歯合して無端ベルト61を駆動する駆動歯車63が設けられている。無端ベルト61の上部は、この駆動歯車63に掛架されている。一方、無端ベルト61の下部は、役物保持枠体14の内面に取り付けられるブラケット67に対して回動自在に設けられる従動歯車64に掛架されている。
【0046】
また無端ベルト61の左側には、ベルト表面から所定間隔を隔てて対向するガイド部材66が設けられている。このガイド部材66は役物保持枠体14に固定されている。またガイド部材66の先端部には、無端ベルト61の表面と対向するガイド溝66aが上下方向に形成されている。このガイド溝66aの上部には、可動アーム30の案内路34,35のいずれか一方に対して装飾可動物21,22,23を供給する供給部材44が設けられている。
【0047】
また無端ベルト61の表面には所定間隔ごとに突出した支持部62a,62bが設けられており、これら支持部62a,62bが回収レール50の受渡部54に位置する装飾可動物21,22,23の軸部71を支持する。モータ42が駆動され、円形歯車43が時計回りに回動すると、それに連動して駆動歯車63が時計回りに回動するので、無端ベルト61は、左側のベルトを上昇させ、右側のベルトを下降させるようにして循環移動する。そして支持部62a,62bは、回収レール50の受渡部54の位置で装飾可動物21,22,23の軸部71を支持して上昇していく。
【0048】
本実施形態では無端ベルト61に2種類の支持部62a,62bが設けられる。図7は、無端ベルト61に設けられる2種類の支持部62a,62bを示す図である。図7(a)は、第1の支持部62aを示しており、無端ベルト61のベルト表面から突出する長さがL1となっている。また図7(b)は、第2の支持部62bを示しており、無端ベルト61のベルト表面から突出する長さがL2となっている。これら突出長さL1,L2は、L1<L2の関係が成立するようになっている。すなわち、第2の支持部62bは、第1の支持部62aよりもベルト表面から長く突出した形態となっている。また各支持部62a,62bはその上面が突出した先端部に向けて下降傾斜している。これら支持部62a,62bの突出した先端部は、装飾可動物21,22,23を上方へ搬送する際、ガイド溝66aの内側に進入した状態となる。そして支持部62a,62bは、ガイド溝66aを構成する壁部とベルト表面との間で軸部71を支持し、その状態で上昇することにより、装飾可動物21,22,23を上方へ搬送する。
【0049】
上記のようにして無端ベルト61の支持部62a,62bによって搬送される装飾可動物21,22,23は、供給部材44において可動アーム30に形成された2つの案内路34,35のうちのいずれか一方へ振り分けられる。図8は、無端ベルト61によって搬送された装飾可動物21,22の振り分け態様の一例を示す図である。まず、図8(a),(b)に示すように、供給部材44には、無端ベルト61によって搬送されてくる装飾可動物21,22,23を、案内路34へ供給するための供給路44aと、案内路35へ供給するための供給路44bとが形成されている。これら供給路44a,44bはいずれも、可動アーム30が待機状態にあるとき、各案内路34,35と連通し、しかも各初期位置34a,35aへ向けて下降傾斜している。ここで、供給路44bは、供給路44aよりも無端ベルト61に近い位置に形成されている。
【0050】
まず図8(a)に示すように、可動アーム30が待機状態であるとき、第1の支持部62aが装飾可動物21を搬送してくる場合について説明する。この場合、支持部62aの上面が供給部材44の上面高さ位置を超えると、装飾可動物21が支持部62aの上面の傾斜方向に転動を開始する。このとき、支持部62aの突出長さL1は短いため、支持部62aの上面の傾斜方向に沿って転動する装飾可動物21は、供給部材44の供給路44bに向かって転動していき、供給路44bに進入する。そして装飾可動物21は、供給路44bに沿って移動し、第2の案内路35の初期位置35aへと導かれる。
【0051】
次に図8(b)に示すように、可動アーム30が待機状態であるとき、第2の支持部62bが装飾可動物22を搬送してくる場合について説明する。この場合、支持部62bの上面が供給部材44の上面高さ位置を超えると、装飾可動物22が支持部62bの上面の傾斜方向に転動を開始する。このとき、支持部62bの突出長さL2はL1よりも長く、供給路44bを閉鎖した状態となる。そのため、支持部62bの上面の傾斜方向に沿って転動する装飾可動物22は、供給部材44の供給路44bを超えて更に供給路44aに向かって転動していき、供給路44aに進入する。そして装飾可動物22は、供給路44aに沿って移動し、第1の案内路34の初期位置34aへと導かれる。
【0052】
このように装飾可動物21,22,23は、第1の支持部62aによって搬送されてきた場合、第2の案内路35へ供給される。また第2の支持部62bによって搬送されてきた場合は、第1の案内路34へ供給される。
【0053】
次に上記のような役物動作機構20の動作について説明する。図9乃至図13は、役物動作機構20の動作の順序を示す図である。図9に示すように、円形歯車43に設けられたカム43aが下向きであるとき、可動アーム30の基端部31が押し下げられた状態となるので、可動アーム30はほぼ水平な待機状態となっており、画像表示器13の前方側から退避している。この待機状態のとき、可動アーム30に形成された案内路34,35の初期位置34a,35aに対し、装飾可動物21,22,23のいずれか1つがセットされる。尚、図9では第2の案内路35の初期位置35aに装飾可動物21がセットされた状態を示している。
【0054】
例えば図9に示す状態から、モータ42がカム43aを時計回り(図中矢印R1で示す方向)へ回転させると、それに伴い、可動アーム30が回動する。このとき可動アーム30の先端部32がその自重により下降していくので、可動アーム30はその傾斜角度を徐々に大きくしながら下降傾斜していき、画像表示器13の前方側に進出する。そしてカム43aが所定角度回転すると、図10に示すように、可動アーム30が、画像表示器13の前方の視認可能な領域において最大の傾斜角度で傾斜した状態となる。
【0055】
このとき、可動アーム30は、所定角度の左下がり傾斜状態となり、各案内路34,35もまた左下がり傾斜状態となる。そして第2の案内路35の傾斜角度が所定角度を超えると、第2の案内路35の初期位置35aに保持されている装飾可動物21は、案内路35に沿って画像表示器13の前方側を右上から左下に向かって自重で移動していく。このとき、上述した各案内路34,35の導線パターン78,79は、電源に接続された通電状態となっているため、装飾可動物21に設けられた発光体73が発光し、装飾可動物21は、その表面を明るく点灯させながら画像表示器13の前方を移動していく。そして案内路35を移動する装飾可動物21は、画像表示器13の下方へと移動していき、遊技盤10に設けられた開口部10aの下縁部よりも更に下方へ移動すると、再び遊技盤10の背面側に隠れた状態となる。
【0056】
図10に示す状態で、カム43aが更に時計回りへ回転していく場合、カム43aが約半回転するまでの間は可動アーム30の基端部31を押し下げることはない。そのため、カム43aが継続的に時計回りに回転していく場合でも、カム43aが約半回転するまでの間、可動アーム30は図10に示すように最大の傾斜角度で傾斜状態を保持する。このようにして可動アーム30が最大角度で傾斜した状態で保持されている間に、装飾可動物21は、可動アーム30の案内路35に沿って移動していき、回収レール50によって回収される。
【0057】
一方、可動アーム30が最大角度で傾斜した状態で保持されている場合でも、無端ベルト61は、円形歯車43が時計回りに回転し続けることによって駆動される。そのため、この間に、支持部62a,62bは、他の装飾可動物22,23を支持して上方へ搬送する。
【0058】
そして図10に示す状態からカム43aが更に時計回りに半回転以上回転すると、図11に示すようにカム43aが可動アーム30の基端部31を下方へ押し下げるようになり、それに伴って可動アーム30の先端部32は次第に上方へ引き上げられていく。このとき、装飾可動物21は、回収レール50に回収されており、回収レール50に形成された回収路51に沿って受渡部54に向かって自重で移動していく。
【0059】
図11に示す状態からカム43aが更に時計回りに回転して下向きになると、図12に示すように、可動アーム30の基端部31が最も押し下げられた元の状態(図9と同様の状態)に戻る。つまり、図12は、図9に示す状態からカム43aが時計回りに1回転した状態を示している。このとき、可動アーム30はほぼ水平な待機状態となり、画像表示器13の前方側から退避する。また可動アーム30が待機状態に戻るのとほぼ同じタイミングで無端ベルト61に設けられた支持部62a又は62bの上面が供給部材44の上面を超え、無端ベルト61によって搬送されてきた次の装飾可動物22が可動アーム30に形成された案内路34又は35に供給される。尚、図12の例では、装飾可動物22が支持部62bによって搬送され、第1の案内路34の初期位置34aにセットされた状態を示している。このような状態でモータ42は停止され、次回の演出を行うタイミング(すなわち、装飾可動物22を画像表示器13の前方で上方から下方に向けて移動させるタイミング)となるまで待機する。
【0060】
そして次回の演出を行うタイミングになると、モータ42が再びカム43aを時計回り(図中矢印R1で示す方向)へ回転させる。これに伴い、可動アーム30が回動し、画像表示器13の前方側に進出する。そしてカム43aが所定角度回転すると、図13に示すように、可動アーム30が、画像表示器13の前方の視認可能な領域において最大の傾斜角度で傾斜した状態となる。そして第1の案内路34の傾斜角度が所定角度を超えると、第1の案内路34の初期位置34aに保持されている装飾可動物22は、案内路34に沿って画像表示器13の前方側を右上から左下に向かって自重で移動していく。このときもまた、上述した各案内路34,35の導線パターン78,79は、電源に接続された通電状態となっているため、装飾可動物22に設けられた発光体73が発光し、装飾可動物22は、その表面を明るく点灯させながら画像表示器13の前方を移動していく。そして案内路34を移動する装飾可動物22は、画像表示器13の下方左側へと移動していき、遊技盤10に設けられた開口部10aの左縁部よりも更に左方へ移動すると、再び遊技盤10の背面側に隠れた状態となる。そして装飾可動物22は遊技盤10の背面側で回収レール50によって回収される。これ以降は、上記と同様の動作が繰り返される。
【0061】
図14および図15は、遊技盤10の正面側からみた装飾可動物21,22,23の移動による演出態様の一例を示す図である。まず図14に示すように、装飾可動物21が案内路35に沿って移動する場合について説明する。可動アーム30が画像表示器13の前方で最大角度の傾斜状態になると、遊技盤10の背面側から装飾可動物21が画像表示器13の前方に現れる。このとき、遊技者が注目している画像表示器13の前方側に装飾可動物21が突然進出してくることになり、しかも装飾可動物21は明るく点灯しているので、遊技者を驚かせるようなインパクトのある演出を行うことが可能である。この装飾可動物21は、案内路35に沿って自重で移動するため、画像表示器13の前方を、矢印F1で示すように画像表示器13の前方を右上から左下に向かい、その後、飾り枠体12の下枠に向かっていく。そして画像表示器13の前方を通過すると、再び遊技盤10の背面側に隠れた状態となる。その後、可動アーム30が画像表示器13の前方から遊技盤10の背面側に退避する。そして画像表示器13の前方を移動した装飾可動物21は、遊技盤10の背面側を通って再び可動アーム30の初期位置34a,35aにセットされる。
【0062】
次に図15に示すように、装飾可動物22が案内路34に沿って移動する場合について説明する。可動アーム30が画像表示器13の前方で最大角度の傾斜状態になると、遊技盤10の背面側から装飾可動物22が画像表示器13の前方に現れる。このとき、遊技者が注目している画像表示器13の前方側に装飾可動物22が突然進出してくることになり、しかも装飾可動物22が明るく点灯しているので、遊技者を驚かせるようなインパクトのある演出を行うことが可能である。この装飾可動物22は、案内路34に沿って自重で移動するため、画像表示器13の前方を、矢印F2で示すように画像表示器13の前方を右上から左下に向かい、その後、飾り枠体12の左枠に向かっていく。そして画像表示器13の前方を通過すると、再び遊技盤10の背面側に隠れた状態となる。その後、可動アーム30が画像表示器13の前方から遊技盤10の背面側に退避する。そして画像表示器13の前方を移動した装飾可動物22は、遊技盤10の背面側を通って再び可動アーム30の初期位置34a,35aにセットされる。
【0063】
ここで、図14および図15に示すように、可動アーム30が画像表示器13の前方側に進出した場合でも、可動アーム30は無色透明であるので、画像表示器13の視認性を極端に低下させることがない。そのため、遊技者は可動アーム30が画像表示器13の前方側に進出してくるときでも画像表示器13で表示される演出画像に注目しておくことができる。そして装飾可動物21,22又は23が画像表示器13の前方側に現れると、その装飾可動物21,22又は23は明るく点灯しているので、遊技者は必然的にその装飾可動物21,22又は23を注目するようになる。
【0064】
また可動アーム30には上述したように複数の案内路34,35が形成されており、装飾可動物21,22又は23は、可動アーム30に形成された複数の案内路34,35のうちの一の案内路に沿って画像表示器13の前方を上部から下部に向かって移動していく。そのため、可動アーム30が画像表示器13の前方に進出してくるときには、複数の案内路34,35のうちのいずれを装飾可動物21,22又は23が通過していくかを遊技者は予測することができない。そのため、画像表示器13の前方における装飾可動物21,22,23の動作は、その都度異なる動作となるため、遊技者にとって意外な動作となる。また画像表示器13の前方に現れる装飾可動物についても、複数の装飾可動物21,22,23のうちから選択された一の装飾可動物となるため、遊技者に対し、その都度異なる装飾可動物が画像表示器13の前方を移動していく印象を与えることができるようになる。
【0065】
そして装飾可動物21,22,23が画像表示器13の前方側を一方向に移動した後、その装飾可動物21,22,23を可動アーム30の初期位置34a,35aに復帰させるための動作は、遊技者が視認することができない遊技盤10の背面側で行うように構成されている。そのため、そのような動作が遊技者に見られることはなく、遊技者にとって意外な装飾可動物21,22,23の出現形態を実現することが可能である。
【0066】
以上のように本実施形態の遊技機1は、画像表示器13の前方側に進退する可動アーム30に複数の案内路34,35が形成されており、その可動アーム30が画像表示器13の前方側に進出することにより、装飾可動物21,22,23がそれら複数の案内路34,35のうちのいずれかに沿って移動していくことが可能になる。そして装飾可動物21,22,23は、可動アーム30が画像表示器13の前方側に進出することにより複数の案内路34,35のうちの一の案内路に沿って画像表示器13の前方を上部から下部に向かって一方向へ移動していく構成である。このような構成により、遊技者は、装飾可動物21,22,23が画像表示器13の前方を上部から下部へ向かって移動していく動作だけを見ることになる。したがって、本実施形態の遊技機1は、遊技者に対して意外な装飾可動物21,22,23の出現形態を実現することができ、しかも遊技者を驚かせるようなインパクトのある演出だけを行うことが可能である。
【0067】
また本実施形態の遊技機1は、装飾可動物21,22,23のそれぞれが画像表示器13の前方を案内路34,35に沿って自重で移動するように構成されている。そのため、装飾可動物21,22,23を画像表示器13の前方で移動させるための移動手段などを別途設ける必要がなく、簡単な構造で装飾可動物21,22,23を移動させることが可能である。また、画像表示器13の前方に進退する可動アーム30を簡単な構成とすることもできる。それ故、可動アーム30を無色透明に構成することもでき、画像表示器13の前方に進出したときに、画像表示器13で表示される画像を高い透過率で透過させることが可能な可動アーム30を実現することが可能である。これにより、可動アーム30によって画像表示器13の視認性が低下することを防止できる。
【0068】
また本実施形態では、装飾可動物21,22,23が、案内路34,35の一端側から他端側に向かって画像表示器13の前方を移動した後、遊技盤10の背面側で、回収レール50と搬送機構60とにより元の初期位置34a,35aに復帰するようになっている。このような初期位置34a,35aへの復帰動作は、遊技盤10の背面側で行われるため、遊技者は視認することができない。それ故、装飾可動物21,22,23を元の初期位置34a,35aへと戻すために行われる特別な演出効果を発揮しない動作が、遊技者に視認されることを防止することができる。その結果、本実施形態の遊技機1は、遊技者を驚かせるようなインパクトのある演出だけを効果的に行うことが可能である。
【0069】
また特に本実施形態では、可動アーム30が、複数の案内路34,35のそれぞれに対応する複数の初期位置34a,35aを有しており、画像表示器13の前方から退避した状態でそれら複数の初期位置34a,35aのうちの1つに装飾可動物21,22又は23を保持しておくように構成される。そして可動アーム30が画像表示器13の前方側に進出することにより1つの初期位置34a又は35aで保持する装飾可動物21,22又は23を、その初期位置に対応する一の案内路34又は35に沿って移動させるようになっている。このような構成では、可動アーム30が画像表示器13の前方に進出してくるときには、遊技者はいずれの案内路に沿って装飾可動物が移動するかを予測することができないため、特に興趣性の高い演出を行うことができる。
【0070】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態について説明する。図16は、第2の実施の形態における遊技盤10の構成を示す分解斜視図である。図16に示すように、遊技盤10のほぼ中央には開口部10aが形成されている。遊技盤10の背面側に配置される画像表示器13の表示画面は、この開口部10aを通して遊技盤10の正面側から視認可能である。この開口部10aの周縁部には、遊技盤10の正面側から飾り枠体12が取り付けられる。これにより、飾り枠体12は、画像表示器13の画面枠を構成する。
【0071】
一方、画像表示器13は、遊技盤10の背面側に役物保持枠体14を介して取り付けられる。つまり、遊技盤10の背面側には役物保持枠体14が取り付けられ、その役物保持枠体14のさらに背面側に画像表示器13が取り付けられる。
【0072】
役物保持枠体14は、一定の厚みを有する箱形の枠体であり、正面側が全面開放されており、背面側に画像表示器13の表示画面サイズに対応した窓部16が形成された構造である。役物保持枠体14の正面側縁部には、その上下に一対のフランジ部14a,14bが設けられている。これらフランジ部14a,14bが遊技盤10の背面側の所定位置にビス止めされることにより、役物保持枠体14は遊技盤10の背面側に固定される。そして画像表示器13は、表示画面の周縁部が役物保持枠体14における窓部16の周囲に取り付けられることにより役物保持枠体14の背面側に固定される。
【0073】
遊技盤10と画像表示器13との間に設けられる役物保持枠体14の内側には、第1の実施の形態とは異なる役物動作機構20が設けられる。この役物動作機構20は、複数の可動アーム81,82,83と、回収レール50と、搬送機構60とを備えている。
【0074】
図17は、第2の実施の形態の役物保持枠体14に設けられる役物動作機構20の詳細を示す分解斜視図である。可動アーム81,82,83は、例えば第1の実施の形態と同様に、無色透明な合成樹脂で形成される。
【0075】
可動アーム81は、役物保持枠体14の内側で、窓部16の上方に支持される長尺状の部材であり、その基端部から先端部に向かってスリット状に形成される第1の案内路36を有している。役物保持枠体14の上部には、モータ45を支持するモータブラケット46が取り付けられる。このモータブラケット46に対して可動アーム81の基端部が回動自在に軸支される。またモータ45は、可動アーム81を画像表示器13の前方に対して進退駆動する駆動手段であり、その回転軸には可動アーム81を回動させるためのカムを備えた回転部材47が設けられる。またモータブラケット46には、回転部材47と連動して回転する従動部材48と、可動アーム81に対して装飾可動物を供給するための供給部材49とが設けられる。
【0076】
可動アーム82,83はそれぞれ役物保持枠体14の内側で窓部16の下方に支持される長尺状の部材である。可動アーム82は、その基端部から先端部に向かってスリット状に形成される第2の案内路37を有している。また可動アーム83は、その基端部から先端部に向かってスリット状に形成される第3の案内路38を有している。
【0077】
役物保持枠体14の下部には、これら可動アーム82,83を回動可能に支持するフレーム85が取り付けられる。またフレーム85の左端部には、モータ84が装着される。モータ84は可動アーム82,83を回動させることにより画像表示器13の前方に対して進退させる駆動手段であり、その回転軸には可動アーム82の基端部が装着されている。したがって、可動アーム82はモータ84によって直接回転駆動される。
【0078】
一方、可動アーム83はフレーム85に対して回動自在に取り付けられている。この可動アーム83は、可動アーム82の回動動作に連動して所定の回動軸周りに回動するようになっている。すなわち、フレーム85には水平方向のガイド長孔85aが設けられており、このガイド長孔85aには可動アーム82の回動に伴って水平方向に往復移動するスライダ86が設けられている。そしてフレーム85の右側にはスライダ86の往復移動に連動して回動する回動部材87が設けられており、可動アーム83はこの回動部材87に連動して回動するようになっている。
【0079】
さらに、フレーム85の下部には、画像表示器13の前方を移動してきた装飾可動物を回収するための回収レール50が取り付けられている。この回収レール50は、可動アーム82,83の下方に位置している。
【0080】
搬送機構60は、役物保持枠体14の内側で窓部16の右側に設けられる。この搬送機構60は、役物保持枠体14に取り付けられるブラケット92を有し、このブラケット92に対してモータ91と複数の円形歯車93とが取り付けられている。各円形歯車93は、ブラケット92の正面壁に対して回動自在に取り付けられる。各円形歯車93の回動軸は、ブラケット92の正面壁に対して上下方向に平行な左右2列に配置されており、しかも互いに隣接する円形歯車93同士が互いに歯合した状態となっている。モータ91は、これら複数の円形歯車93のうちの一の円形歯車を回動させることにより、全ての円形歯車93を駆動する。このモータ91は正逆双方に回転可能である。
【0081】
また搬送機構60は、円形歯車93の正面側に設けられるガイド部材98を有しており、このガイド部材98と円形歯車93との間に昇降部材94を保持している。昇降部材94は、回収レール50によって回収された装飾可動物を支持して窓部16の上方に位置する可動アーム81に搬送するためのものである。この昇降部材94は、複数の円形歯車93がモータ91によって回転駆動されることにより、ガイド部材98に沿って上下方向に昇降する。また搬送機構60は、昇降部材94が装飾可動物を支持して上昇していく際に、昇降部材94から装飾可動物が落下することを防止するための落下防止ガイド99を備えている。この落下防止ガイド99は、ガイド部材98と所定間隔を隔てた状態でブラケット92に取り付けられる。
【0082】
図18は、第2の実施の形態における装飾可動物24,25を示す図である。本実施形態では、役物保持枠体14に対して2つの装飾可動物24,25が設けられており、可動アーム81,82,83が画像表示器13の前方に進出したとき、これら2つの装飾可動物24,25のうちのいずれか一つが、その可動アーム81,82,83によって形成される複数の案内路のうちのいずれか一つに沿って移動していくように構成される。
【0083】
図18(a),(b)に示すように、装飾可動物24,25のそれぞれは、第1の実施の形態と同様に、その正面側に星形などの所定の形状に造形された装飾部70を有し、その装飾部70の背面側に円柱状の軸部71が設けられた構成である。ただし、各装飾可動物24,25の軸部71の直径はそれぞれ異なっている。すなわち、装飾可動物24の軸部71の直径は、装飾可動物25の軸部71よりも大径となっている。このような軸部71が可動アーム81、82,83に形成されたスリット状の案内路36,37,38を転動することで、装飾可動物24,25がそれらの案内路に沿って移動する。また装飾可動物24,25の軸部71の先端部は拡径部71bを有しており、この拡径部71bによって装飾可動物24,25が案内路36,37,38から離脱しないようになっている。
【0084】
また装飾可動物24,25は、第1の実施の形態と同様に、装飾部70の内部に、LEDや電球などの発光体73を備えており、発光体73が所定の明るさで発光することにより装飾部70の前面全体が明るく点灯させるようになっている。そのため、軸部71の中央部の表面には、発光体73に対して電力を供給するための接点となる導線パターン74,75が環状に形成されており、これら導線パターン74,75は例えば軸部71の内部配線を経由して発光体73に電力を供給するように構成されている。
【0085】
図19は、可動アーム82,83の動作機構を詳細に示す拡大図である。可動アーム82に形成されるスリット状の案内路37は、そのスリット幅が装飾可動物24の軸部71の直径よりも大きくなっている。これに対し、可動アーム83に形成されるスリット状の案内路38は、そのスリット幅が装飾可動物24の軸部71の直径よりも小さく、装飾可動物25の軸部71の直径よりも大きくなっている。そのため、軸径の大きな装飾可動物24は、可動アーム83の案内路38には進入せず、可動アーム82の案内路37に沿って移動するようになっている。また軸径の小さな装飾可動物25は、可動アーム83の案内路38には進入し、その案内路38に沿って移動する。
【0086】
また上述したように、可動アーム82は、基端部82aにモータ84が接続されている。可動アーム82はこの基端部82aを中心に回動することにより、先端部82bを画像表示器13の前方に対して進退させる。この基端部82aには、円盤状のギア部82cが設けられている。
【0087】
またスライダ86は、その背面側に2つの突起部86aを有しており、これら突起部86aがガイド長孔85aに対して挿入した状態で取り付けられることにより、ガイド長孔85aに沿って左右水平方向に往復移動可能となっている。このスライダ86の左端部上面には、可動アーム82のギア部82cと歯合するギア86bが形成されている。したがって、スライダ86は、可動アーム82が回動することによりガイド長孔85aに沿って水平方向へ移動する。またスライダ86の右端部下面には、回動部材87の第1のギア87aと歯合するギア86cが形成されている。回動部材87は、第1のギア87aと第2のギア87bとを有しており、フレーム85に対して回動自在に取り付けられる。
【0088】
可動アーム83は、フレーム85に取り付けられる基端部83aを中心に回動可能となっている。この基端部83aには、円盤状のギア部82cが設けられており、回動部材87の第2のギア87bと歯合している。そのため、可動アーム83は、可動アーム82がモータ84によって回転駆動されると、それに連動して基端部83aを中心に回動し、先端部83bを画像表示器13の前方に対して進退させる。
【0089】
可動アーム82は、画像表示器13の前方から退避した待機状態のとき、遊技盤10の背面側でほぼ垂直に起立した状態となっている。また可動アーム83は、画像表示器13の前方から退避した待機状態のとき、遊技盤10の背面側でほぼ水平に横倒した状態となっている。
【0090】
そのような待機状態で、モータ84が可動アーム82の基端部82aを時計回り方向へ回動させると、可動アーム82の先端部82bは、画像表示器13の前方側に向かって傾倒していく。これに伴い、スライダ86は、ガイド長孔85aに沿って左方向へ移動し、回動部材87は反時計回り方向へ回動する。回動部材87が反時計回り方向へ回動することにより、可動アーム83は基端部83aを中心に時計回り方向へ回動するので、先端部83bを持ち上げながら画像表示器13の前方側へと進出していく。
【0091】
そして可動アーム82,83のそれぞれが、画像表示器13の前方側で所定角度に傾斜した状態となると、可動アーム82の先端部82bと可動アーム83の先端部83bとが互いに接合する。モータ84は、先端部82bと83bとが接合するタイミングで停止し、一定時間そのままの状態を保持する。このとき、可動アーム81も同時に駆動されており、可動アーム81の先端部81bもまた、可動アーム82の先端部82bと可動アーム83の先端部83bとに接合した状態となる。そして可動アーム81,82,83の先端部81b,82b,83bが互いに接合した状態で、2つの装飾可動物24,25のいずれか一方が画像表示器13の前方側を移動する。
【0092】
可動アーム81の案内路36に沿って移動してきた装飾可動物24,25は、接合部で可動アーム82の案内路37と可動アーム83の案内路38とのいずれか一方に導かれる。すなわち、装飾可動物24は軸部71の直径が大きいため、可動アーム83の案内路38へは流入せず、可動アーム82の案内路37に沿って移動していくようになる。これに対し、装飾可動物25は軸部71の直径が小さいため、可動アーム83の案内路38に流入し、その案内路38に沿って移動していくようになる。
【0093】
可動アーム82の案内路37に流入した装飾可動物24は、可動アーム82の先端部82bから基端部82aに向かって自重で移動していく。そして可動アーム82の基端部82aから落下する装飾可動物24は、回収レール50の第1の受入口52から回収路51へと流入する。また可動アーム83の案内路38に流入した装飾可動物25は、可動アーム83の先端部83bから基端部83aに向かって自重で移動していく。そして可動アーム83の基端部83aから落下する装飾可動物25は、回収レール50の第2の受入口53から回収路51へと流入する。これら第1又は第2の受入口52,53から回収路51に導かれた装飾可動物24,25は、その回収レール50の傾斜により、回収路51の右端部に設けられる受渡部54に向かって自重で移動する。
【0094】
上記のように可動アーム82,83を移動する装飾可動物24,25が回収レール50によって回収されると、モータ84は、可動アーム82の基端部82aを反時計回り方向へ回動させる。これにより、可動アーム82は画像表示器13の前方から退避していき、再び元のほぼ垂直な起立状態へと戻っていく。これに伴い、スライダ86は、ガイド長孔85aに沿って右方向へ移動し、回動部材87は時計回り方向へ回動する。回動部材87が時計回り方向へ回動することにより、可動アーム83は基端部83aを中心に反時計回り方向へ回動するので、先端部83bを持ち下げながら画像表示器13の前方から退避していき、再び元のほぼ水平な横倒状態へと戻っていく。
【0095】
次に図20は、可動アーム81の動作機構を詳細に示す拡大図である。可動アーム81に形成されるスリット状の案内路36は、そのスリット幅が装飾可動物24の軸部71の直径よりも大きくなっており、可動アーム82に形成される案内路37のスリット幅とほぼ同じである。したがって、この案内路36は、装飾可動物24,25のそれぞれが移動可能となっている。また可動アーム81の先端部81bには、案内路36が2方向に分岐する分岐部36cが設けられている。この分岐部36cから分岐する一方の案内路は、スリット幅が狭くなっており、可動アーム83に形成される案内路38のスリット幅とほぼ同じである。
【0096】
可動アーム81は、その中央よりも基端部81a側の所定位置に、回動軸81cが設けられる。この回動軸81cは、モータブラケット46の所定箇所に取り付けられる。したがって、可動アーム81は、その回動軸81cを中心に回動し、画像表示器13の前方側であって、遊技盤10の正面側から開口部10aを通して視認可能な領域に対して進退するように構成される。
【0097】
通常、この可動アーム81は、画像表示器13の前方側から退出した待機状態となっており、遊技盤10の正面側から開口部10aを通して視認することができない状態となっている。この待機状態では、可動アーム81の先端部81bが基端部81aよりも若干高い位置に持ち上げられた状態となっている。これに対し、遊技機1において特別な演出を行うときに可動アーム81が駆動されると、可動アーム81は回動軸81cを中心に回動して先端部81bを下降させていき、上述したように画像表示器13の前方で可動アーム82,83の先端部82b,83bと接合する。
【0098】
ここで、可動アーム81,82,83のそれぞれに設けられる案内路36,37,38には、第1の実施の形態と同様に、装飾可動物24,25の軸部71の導電パターン74,75と接合する導電パターン78,79が設けられている(図6参照)。そのため、装飾可動物24,25が案内路36,37,38に沿って移動していくとき、軸部71に形成された導線パターン74,75と、案内路36,37,38に形成された導線パターン78,79とが互いに接触した状態で移動していくため、装飾可動物24,25の発光体73が発光して装飾部70の前面全体を明るく点灯させながら画像表示器13の前方を移動していく。そのため、遊技者の視線を装飾可動物24,25に集めることができる。また可動アーム81,82,83は、無色透明であるため、画像表示器13の前方側に進出した状態に駆動されても、遊技者は画像表示器13で表示される画像を視認することができる。つまり、可動アーム81,82,83が画像表示器13の前方に対して進退する動作は、画像表示器13の視認性に何ら影響を与えるものではない。そして可動アーム81,82,83が画像表示器13の前方側に進出した後、装飾可動物24,25が明るく点灯しながら画像表示器13の前方側を移動していくようになる。
【0099】
可動アーム81を動作させるモータ45は、回転部材47を反時計周り方向へ回転させる。回転部材47は、円形歯車47aと、その円形歯車47aの正面側に設けられたカム47bとを備えている。
【0100】
カム47bは、可動アーム81の基端部81aの上面と接触した状態で、円形歯車47aと一体的に反時計回りに回転する。可動アーム81は、回動軸81c周りに回動自在であり、その重心位置が回動軸81cよりも先端部81b側にある。そのため、可動アーム81はその自重によって先端部81bを下げ、基端部81aを上げる方向に回動しようとするので、基端部81aの上面はカム47bと常に接触するようになっている。このカム47bは、モータ42が停止しているとき、可動アーム81の基端部81aを最も押し下げた状態となる。つまり、この状態が、可動アーム81を画像表示器13の前方から退避させた待機状態である。この待機状態にあるとき、案内路36に連通する供給口36aから装飾可動物24,25が供給される。そして案内路36に供給された装飾可動物24,25は、待機状態における案内路36の最下点である初期位置36bで保持される。
【0101】
この待機状態からカム47bが反時計回りに回動すると、カム47bと基端部81aとの接触位置が次第に変化していくので、可動アーム81は自重で回動軸81cを中心に回動し、先端部81bを下降させていく。そして可動アーム81が画像表示器13の前方側で最大の傾斜角度になると、その状態で一定時間保持される。可動アーム81の初期位置36bに保持される装飾可動物24,25は、可動アーム81の傾斜角度が所定角度よりも大きくなると、初期位置36bからの移動を開始し、画像表示器13の前方を自重で案内路36に沿って先端部81bに向かって移動していくようになる。可動アーム81を最大の傾斜角度で保持しておく時間は、装飾可動物24,25が画像表示器13の前方を移動して回収レール50に回収されるまでに要する時間である。
【0102】
そしてカム47bが更に時計回りに回動していくと、カム47bが可動アーム81の基端部81aを再び押し下げるように作用するので、可動アーム81は画像表示器13の前方側から退避していき、再び元の待機状態へと戻る。このように本実施形態では、モータ45によってカム47bが反時計方向へ1回転することにより、可動アーム81が待機状態から画像表示器13の前方側に進出して最大の傾斜角度で保持され、その後、画像表示器13の前方側から退避して再び元の待機状態へと戻るようになっている。
【0103】
またモータ45は、可動アーム82,83を動作させるモータ84と同期して可動アーム81を動作させる。そのため、可動アーム81は、画像表示器13の前方で最大の傾斜角度になると、その先端部81bが、可動アーム82,83の先端部82b、83bと接合した状態となる。このとき、可動アーム81の先端部81bの分岐部36cで分岐する2つの案内路が、可動アーム82の案内路37と可動アーム83の案内路38とのそれぞれに連通した状態となる。そのため、可動アーム81の初期位置36bに保持されていた装飾可動物24,25は、可動アーム81の案内路36を移動し、分岐部36cにおいて可動アーム82の案内路37と可動アーム83の案内路38のいずれか一方に移動していく。例えば、軸部71の直径が大径である装飾可動物24が初期位置36bに保持されていた場合、その装飾可動物24は、分岐部36cにおいて可動アーム82の案内路37に向かって移動していく。また、軸部71の直径が小径である装飾可動物25が初期位置36bに保持されていた場合、その装飾可動物25は、分岐部36cにおいて可動アーム83の案内路38に向かって移動していく。そして、それら装飾可動物24,25が回収レール50に回収された後、可動アーム81,82,83のそれぞれが画像表示器13の前方側から退避する。
【0104】
また回転部材47の円形歯車47aは、従動部材48の円形歯車48aと歯合している。そのため、回転部材47が反時計回りに1回転すると、従動部材48は時計回りに1回転する。この従動部材48の正面側には、所定角度範囲の円弧上にギアが形成されたギア部材48bが設けられている。このギア部材48bは、供給部材49のギア部49aと歯合している。供給部材49は、所定角度範囲の円弧上にギアが形成されたギア部49aと、正面視略L字状の凹部を有する保持部材49bとを有しており、モータブラケット46に対して回動可能に取り付けられる。また供給部材49は、モータブラケット46に取り付けられる際、その回動軸に付勢バネ49cが装着される。付勢バネ49cは、例えばコイルバネなどによって構成され、その巻き回し方向に弾性力を発生させる。付勢バネ49cの一端は、モータブラケット46の表面に設けられた突起部46aに係合しており、他端は供給部材49の背面側に係合している。この付勢バネ49cは、保持部材49bのL字状の凹部が搬送機構60の上端部に臨む状態となるように、供給部材49を時計回り方向へ付勢する。保持部材49bは、搬送機構60によって搬送される装飾可動物24,25を搬送機構60の上端部で搬送機構60から受け取って保持するためのものである。
【0105】
従動部材48が時計回りに1回転する際、従動部材48のギア部材48bは所定角度範囲を回動する間、供給部材49のギア部49aと互いに歯合し、供給部材49を付勢バネ49cの付勢力に抗して反時計回りに回動させる。すると、L字状の凹部に装飾可動物24,25を保持している保持部材49bは、反時計回りに回動する。これに伴い、保持部材49bは、L字状の凹部が搬送機構60の上端部に臨む状態から可動アーム81の供給口36aに臨む状態へと姿勢を変化させていく。そしてL字状の凹部の一面が可動アーム81の供給口36aに向かって下降傾斜した状態になると、装飾可動物24,25がその傾斜に従って転動していき、供給口36aから案内路36へと供給される。
【0106】
そして従動部材48がさらに回動して、従動部材48のギア部材48bと、供給部材49のギア部49aとの歯合状態が解除されると、供給部材49は付勢バネ49cの付勢力により、L字状の凹部が再び搬送機構60の上端部に臨む状態へと復帰する。
【0107】
次に図21は、搬送機構60の詳細を示す拡大図である。複数の円形歯車93のそれぞれは、大径の円形歯車である大径歯車93aと、その大径歯車93aの正面側に設けられる小径の円形歯車である小径歯車93bとを備えている。そして互いに隣接する円形歯車93は、大径歯車93a同士が互いに歯合する。モータ91は、左右2列に配列された複数の円形歯車93のうち、右側に配列されている円形歯車93を時計回り方向へ回動させ、左側に配列されている円形歯車93を反時計回り方向へ回動させることにより、昇降部材94をガイド部材98に沿って上昇させる。また、モータ91は、右側に配列されている円形歯車93を反時計回り方向へ回動させ、左側に配列されている円形歯車93を時計回り方向へ回動させることにより、昇降部材94をガイド部材98に沿って下降させる。
【0108】
昇降部材94は、上下方向に一定長さを有する長尺状部材である。この昇降部材94の左側面には、左側に配列されている円形歯車93の小径歯車93bと歯合するギア94aが形成されており、右側面には、右側に配列されている円形歯車93の小径歯車93bと歯合するギア94bが形成されている。また昇降部材94の正面側には2つの突起95が形成されており、これら2つの突起95がガイド部材98のガイド長孔98aに挿入された状態となる。したがって、昇降部材94は、円形歯車93がモータ91によって回転駆動されることにより、ガイド長孔98aに沿って上下方向へ移動する。
【0109】
また昇降部材94の正面側には、支持部96が取り付けられる。支持部96は、装飾可動物24,25を上方へ搬送する際に装飾可動物24,25を支持するためのものである。支持部96は、落下防止ガイド99とガイド部材98との間で装飾可動物24,25の軸部71を支持した状態で上昇する。この支持部96は、昇降部材94に対して回動可能に取り付けられている。そのため、支持部96が下向きに回動してしまうことを防止するために、支持部96の下面に当接して支持部96をほぼ水平な状態に保持するためのピン97が昇降部材94に設けられる。尚、支持部96の上面は、先端部に向かって下降傾斜している。
【0110】
図22,図23および図24は、昇降部材94による装飾可動物25の搬送形態を示す図である。まず、図22は、昇降部材94の支持部96が装飾可動物25を支持するまでの過程を示している。図22(a)に示すように昇降部材94が上昇しているとき、回収レール50によって回収された装飾可動物25は、受渡部54に位置している。この状態で昇降部材94が下降してくると、図22(b)に示すように、支持部96の先端が装飾可動物25の軸部71と干渉し、支持部96の先端が上を向く方向に回動する。そして支持部96が更に一定量下降すると、支持部96の先端が軸部71と干渉しなくなり、支持部96が元の状態に戻る。すなわち、図22(c)に示すように、支持部96の先端は、装飾可動物25の軸部71の下方でほぼ水平な状態となり、支持部96の下面をピン97が保持する状態となる。
【0111】
この状態で、図23に示すようにモータ91が複数の円形歯車93のそれぞれを矢印で示す方向に回動させることにより、昇降部材94は、複数の円形歯車93の小径歯車93bに対して順次受け渡されるようにして上昇する。このようにして昇降部材94が上昇していくことにより、装飾可動物25は、支持部96に支持されてガイド部材98と落下防止ガイド99との間を上方へ移動する。
【0112】
そして昇降部材94が搬送機構60の上端部に達すると、図24に示すように昇降部材94の上面は、落下防止ガイド99の上端を超える。このとき、装飾可動物25は、支持部96の上面の傾斜方向に沿って矢印で示す方向に転動し、保持部材49bのL字状の凹部に保持される。
【0113】
次に図25,図26,図27,図28および図29は、可動アーム81と保持部材49bとの動作過程を示す図である。まず図25に示すように、可動アーム81が待機状態にあるとき、装飾可動物24が初期位置36bに保持されている。このとき保持部材49bは、L字状の凹部を案内路36に向けた状態となっている。
【0114】
例えば図25に示す状態から、モータ45がカム47bを反時計回り(図中矢印R2で示す方向)へ回転させると、それに伴い、可動アーム81が回動する。このとき可動アーム81の先端部81bがその自重により下降していくので、可動アーム81はその傾斜角度を徐々に大きくしながら下降傾斜していき、画像表示器13の前方側に進出する。そしてカム47bが所定角度回転すると、図26に示すように、可動アーム81が、画像表示器13の前方の視認可能な領域において最大の傾斜角度で傾斜した状態となる。このとき、従動部材48のギア部材48bと、供給部材49のギア部49aとの歯合状態が解除されるので、供給部材49は付勢バネ49cの付勢力により、L字状の凹部を搬送機構60の上端部へ向けた状態となる。
【0115】
また、このとき、同時に可動アーム82,83も駆動されており、3つの可動アーム81,82,83はその先端部81b,82b,83bを、画像表示器13のほぼ中央で互いに接合させた状態となっている。そして可動アーム81に形成された案内路36の傾斜角度が所定角度を超えると、案内路36の初期位置36bに保持されている装飾可動物24は、案内路36に沿って画像表示器13の前方側を自重で移動していく。
【0116】
図26に示す状態で、カム47bが更に反時計回りへ回転していく場合、カム47bが約半回転するまでの間は可動アーム81の基端部81aを押し下げることはない。そのため、カム47bが継続的に反時計回りに回転していく場合でも、カム47bが約半回転するまでの間、可動アーム81は図27に示すように最大角度での傾斜状態を保持する。このようにして可動アーム81が最大角度で傾斜した状態で保持されている間に、装飾可動物24は、可動アーム81および可動アーム82の案内路36,37に沿って移動していき、回収レール50によって回収される。また、図27に示すように、可動アーム81が最大角度の傾斜状態を保持している間、すなわち、保持部材49bのL字状の凹部が搬送機構60の上端部に向いている間に、搬送機構60が次の装飾可動物25を搬送して保持部材49bにセットする。
【0117】
そして図27に示す状態からカム47bが更に反時計回りに回転していくと、図28に示すようにカム47bが可動アーム81の基端部81aを下方へ押し下げるようになり、それに伴って可動アーム81の先端部81bは次第に上方へ引き上げられていく。このとき、従動部材48のギア部材48bと、供給部材49のギア部49aとが互いに歯合した状態となり、保持部材49bのL字状の凹部は次第に可動アーム81の供給口36aに向かって傾倒していく。
【0118】
そして図29に示すように、カム47bが更に反時計回りに回転して下向きになると、可動アーム81の基端部81aが最も押し下げられた元の状態(図25と同様の状態)に戻る。つまり、図29は、図25に示す状態からカム47bが反時計回りに1回転した状態を示している。このとき、可動アーム81は画像表示器13の前方側から退避した待機状態となる。また可動アーム81が待機状態に戻るのとほぼ同じタイミングで、保持部材49bから次の装飾可動物25が供給されるので、可動アーム81は、案内路36の初期位置36bで装飾可動物25を保持した状態となる。このような状態でモータ45は停止され、次回の演出を行うタイミング(すなわち、装飾可動物25を画像表示器13の前方で上方から下方に向けて移動させるタイミング)となるまで待機する。
【0119】
図30および図31は、上記のような役物動作機構20における全体的な動作態様を示す図である。図30に示すように、可動アーム81,82,83が待機状態にあるとき、各可動アーム81,82,83は、画像表示器13の前方の視認可能な領域から退避した状態となっている。この状態で、モータ45,84のそれぞれが駆動されると、図31に示すように、可動アーム81,82,83は、画像表示器13の前方の視認可能な領域に進出し、各可動アーム81,82,83の先端部81b,82b,83bが画像表示器13のほぼ中央で接合した状態となる。このように3つの可動アーム81,82,83が接合している状態で、案内路36の初期位置36bに保持されていた装飾可動物24,25が案内路36に沿って自重で移動し、下方の2つの可動アーム82,83に形成されている案内路37と案内路38とのいずれか一方に沿って自重で移動していく。このとき、案内路36,37,38に設けられる導線パターン78,79は、電源に接続された通電状態となっているため、装飾可動物24,25に設けられた発光体73が発光し、装飾可動物24,25は、その表面を明るく点灯させながら画像表示器13の前方を移動していく。
【0120】
図32は、装飾可動物24,25の画像表示器13の前方での移動態様を示す図である。図32(a)は、装飾可動物24の移動態様を示している。図32(a)に示すように可動アーム81に形成された案内路36を装飾可動物24が移動してくると、軸部71が大径であるので、分岐部36cにおいてスリット幅の狭い案内路38には流入せず、スリット幅の広い案内路37に向かって転動していく。したがって、装飾可動物24が画像表示器13の前方を移動する際には、画像表示器13の右上から左下に向かって移動していくようになる。
【0121】
これに対し、図32(b)は、装飾可動物25の移動態様を示している。図32(b)に示すように可動アーム81に形成された案内路36を装飾可動物25が移動してくると、軸部71が小径であるので、分岐部36cにおいてスリット幅の狭い案内路38に流入し、案内路38に沿って下方へ向かって転動していく。したがって、装飾可動物25が画像表示器13の前方を移動する際には、画像表示器13の右上から中央に向かって移動してきた後、中央から右下に向かって移動していくようになる。
【0122】
図33および図34は、遊技盤10の正面側からみた装飾可動物24,25の移動による演出態様の一例を示す図である。まず図33に示すように、装飾可動物24が案内路36,37に沿って移動する場合について説明する。可動アーム81,82,83が画像表示器13の前方に出現すると、遊技盤10の背面側から装飾可動物24が画像表示器13の前方に現れる。このとき、遊技者が注目している画像表示器13の前方側に装飾可動物24が突然進出してくることになり、しかも装飾可動物24は明るく点灯しているので、遊技者を驚かせるようなインパクトのある演出を行うことが可能である。この装飾可動物24は、案内路36,37に沿って自重で移動するため、画像表示器13の前方を、矢印F3で示すように右上から左下に向かっていく。そして画像表示器13の前方を通過すると、再び遊技盤10の背面側に隠れた状態となる。その後、可動アーム81,82,83が画像表示器13の前方から遊技盤10の背面側に退避する。そして画像表示器13の前方を移動した装飾可動物24は、遊技盤10の背面側を通って再び可動アーム81の初期位置36bにセットされる。
【0123】
次に図34に示すように、装飾可動物25が案内路36,38に沿って移動する場合について説明する。可動アーム81,82,83が画像表示器13の前方に出現すると、遊技盤10の背面側から装飾可動物25が画像表示器13の前方に現れる。このとき、遊技者が注目している画像表示器13の前方側に装飾可動物25が突然進出してくることになり、しかも装飾可動物25が明るく点灯しているので、遊技者を驚かせるようなインパクトのある演出を行うことが可能である。この装飾可動物25は、案内路36,38に沿って自重で移動するため、画像表示器13の前方を、矢印F4で示すように右上から中央に向かって移動し、その後、中央から右下に向かって移動していく。そして画像表示器13の前方を通過すると、再び遊技盤10の背面側に隠れた状態となる。その後、可動アーム81,82,83が画像表示器13の前方から遊技盤10の背面側に退避する。そして画像表示器13の前方を移動した装飾可動物25は、遊技盤10の背面側を通って再び可動アーム81の初期位置36bにセットされる。
【0124】
尚、本実施形態では、2つの装飾可動物24,25が交互に可動アーム81の初期位置36bにセットされる。
【0125】
ここで、図33および図34に示すように、可動アーム81,82,83が画像表示器13の前方側に進出した場合でも、可動アーム81,82,83は無色透明であるので、画像表示器13の視認性を極端に低下させることがない。そのため、遊技者は可動アーム81,82,83が画像表示器13の前方側に進出してくるときでも画像表示器13で表示される演出画像に注目しておくことができる。そして装飾可動物24又は25が画像表示器13の前方側に現れると、その装飾可動物24又は25は明るく点灯しているので、遊技者は必然的にその装飾可動物24又は25を注目するようになる。
【0126】
また画像表示器13の前方に進出する複数の可動アーム81,82,83は、画像表示器13の前方に複数の案内路を形成する。すなわち、本実施形態では、案内路36から案内路37へと向かう案内路と、案内路36から案内路38へと向かう案内路との2つの案内路を形成する。そして装飾可動物24,25は、可動アーム81,82,83により形成される複数の案内路のうちの一の案内路に沿って画像表示器13の前方を上部から下部に向かって移動していく。ここで、可動アーム81,82,83が画像表示器13の前方に進出してくるときには、それら複数の案内路のうちのいずれの案内路を装飾可動物24,25が通過していくかを遊技者は予測することができない。そのため、画像表示器13の前方における装飾可動物24,25の動作は、遊技者にとって意外な動作となる。また画像表示器13の前方に現れる装飾可動物についても、複数の装飾可動物24,25のうちから選択された一の装飾可動物となるため、遊技者に対し、その都度異なる装飾可動物が画像表示器13の前方を移動していく印象を与えることができるようになる。
【0127】
そして装飾可動物24,25が画像表示器13の前方側を一方向に移動した後、その装飾可動物24,25を可動アーム81の初期位置36bに復帰させるための動作は、遊技者が視認することができない遊技盤10の背面側で行うように構成されている。そのため、そのような動作が遊技者に見られることはなく、遊技者にとって意外な装飾可動物24,25の出現形態を実現することが可能である。
【0128】
以上のように本実施形態の遊技機1は、画像表示器13の前方側に進退する複数の可動アーム81,82,83を備えており、それら複数の可動アーム81,82,83が画像表示器13の前方に進出することにより、装飾可動物24,25が画像表示器13の前方側を移動する際の複数の案内路を形成する。そして装飾可動物24,25は、可動アーム81,82,83により形成されるそれら複数の案内路のうちの一の案内路に沿って画像表示器13の前方を上部から下部に向かって移動していくように構成される。このような構成により、遊技者は、装飾可動物24,25が画像表示器13の前方を上部から下部へ向かって移動していく動作だけを見ることになる。したがって、本実施形態の遊技機1は、遊技者に対して意外な装飾可動物24,25の出現形態を実現することができ、しかも遊技者を驚かせるようなインパクトのある演出だけを行うことが可能である。
【0129】
また本実施形態の遊技機1は、装飾可動物24,25のそれぞれが画像表示器13の前方を案内路36,37,38に沿って自重で移動するように構成されている。そのため、装飾可動物24,25を画像表示器13の前方で移動させるための移動手段などを別途設ける必要がなく、簡単な構造で装飾可動物24,25を移動させることが可能である。また、画像表示器13の前方に進退する可動アーム81,82,83を簡単な構成とすることもできる。それ故、複数の可動アーム81,82,83のそれぞれを無色透明に構成することもでき、画像表示器13の前方に進出したときに、画像表示器13で表示される画像を高い透過率で透過させることが可能な可動アーム81,82,83を実現することが可能である。これにより、可動アーム81,82,83によって画像表示器13の視認性が低下することを防止できる。
【0130】
また本実施形態では、装飾可動物24,25が、案内路36,37,38に沿って画像表示器13の前方を移動した後、遊技盤10の背面側で、回収レール50と搬送機構60とにより元の初期位置36bに復帰するようになっている。このような初期位置36bへの復帰動作は、遊技盤10の背面側で行われるため、遊技者は視認することができない。それ故、装飾可動物24,25を元の初期位置36bへと戻すために行われる特別な演出効果を発揮しない動作が、遊技者に視認されることを防止することができる。その結果、本実施形態の遊技機1は、遊技者を驚かせるようなインパクトのある演出だけを効果的に行うことが可能である。
【0131】
特に本実施形態では、複数の可動アーム81,82,83が画像表示器13の前方側に進出することにより、一の案内路36が画像表示器13の前方の所定位置で分岐した複数の分岐案内路(案内路37と案内路38)を形成する。そのため、複数の可動アーム81,82,83が画像表示器13の前方側に進出した状態で装飾可動物24又は25が画像表示器13の前方に出現したときでも、遊技者はいずれの案内路37又は38に沿って装飾可動物24又は25が移動していくかを予測することができないため、特に興趣性の高い演出を行うことができる。
【0132】
(変形例)
以上、本発明に関するいくつかの実施形態について説明したが、本発明は上述した内容に限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0133】
例えば、上記実施形態では、可動アームが画像表示器13の前方に進出したとき、装飾可動物が複数の案内路のうちの一の案内路に沿って自重で移動する場合を例示した。しかし、装飾可動物の移動は必ずしも自重のみによるものでなくても良い。例えば、可動アームが画像表示器13の前方に進出したとき、装飾可動物を、その保持位置(初期位置)から案内路に向けて送り出す送出機構を別途設けたものであっても構わない。
【0134】
また第1の実施の形態では搬送機構60として無端ベルト61による機構を例示し、第2の実施の形態では搬送機構60として複数の円形歯車93が昇降部材94を昇降させることによる機構を例示した。これら搬送機構60は相互に置換可能である。すなわち、第1の実施の形態における搬送機構60として第2の実施の形態で説明した複数の円形歯車93による機構を採用しても良いし、また第2の実施の形態における搬送機構60として第1の実施の形態で説明した無端ベルト61による機構を採用しても良い。
【0135】
また、上記実施形態では、画像表示器13の前方を移動する装飾可動物が2つの経路のうちのいずれか一方の経路を通って移動する場合を例示した。しかし、経路(案内路)の数は、2つに限られるものではない。すなわち、画像表示器13の前方を移動する装飾可動物が3つ以上の経路のうちのいずれか一つの経路を通って移動するように構成しても構わない。
【符号の説明】
【0136】
1 遊技機
10 遊技盤
10a 開口部
11 遊技領域
12 飾り枠体
13 画像表示器
14 役物保持枠体
20 役物動作機構
21,22,23,24,25 装飾可動物
30,81,82,83 可動アーム
34,35,36,37,38 案内路
50 回収レール(回収手段)
60 搬送機構(搬送手段)
61 無端ベルト
94 昇降部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球が打ち出される遊技領域を有し、該遊技領域の中央に開口部が設けられた遊技盤と、
前記遊技盤の背面側に配置され、前記開口部を通して前記遊技盤の正面側から視認可能な画像表示器と、
前記遊技盤の背面側から前記画像表示器の前方上部に出現し、前記画像表示器の前方を上部から下部に向かって移動していき、前記画像表示器の前方下部で前記遊技盤の背面側へと移動する装飾可動物と、
前記遊技盤と前記画像表示器との間に設けられ、前記画像表示器の前方側に進退可能であり、前記画像表示器の前方側に進出することにより前記装飾可動物が前記画像表示器の前方側を移動する際の複数の案内路を形成する少なくとも1つの可動アームと、
を備え、
前記装飾可動物は、前記可動アームにより形成される前記複数の案内路のうちの一の案内路に沿って前記画像表示器の前方を上部から下部に向かって移動していくことを特徴とする遊技機。
【請求項2】
前記装飾可動物は、前記一の案内路に沿って前記画像表示器の前方を自重で移動することを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
【請求項3】
前記可動アームは、前記複数の案内路のそれぞれに対応する複数の初期位置を有し、前記画像表示器の前方から退避した状態で前記複数の初期位置のうちの少なくとも1つに前記装飾可動物を保持しておき、前記画像表示器の前方側に進出することにより前記初期位置で保持する前記装飾可動物を前記一の案内路に沿って移動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項4】
前記可動アームは、前記画像表示器の前方側に進出することにより一の案内路が前記画像表示器の前方所定位置で分岐した複数の分岐案内路を形成することを特徴とする請求項1又は2に記載の遊技機。
【請求項5】
前記装飾可動物は、第1の装飾可動物と、第2の装飾可動物とを有し、
前記可動アームは、前記第1の装飾可動物を前記画像表示器の前方所定位置で第1の分岐案内路に案内し、前記第2の装飾可動物を前記画像表示器の前方所定位置で第2の分岐案内路に案内することを特徴とする請求項4に記載の遊技機。
【請求項6】
前記画像表示器の前方を移動した後の前記装飾可動物を前記遊技盤の背面側で回収する回収手段と、
前記回収手段によって回収される前記装飾可動物を、前記画像表示器の上方に設けられる前記可動アームへ向けて前記遊技盤の背面側で搬送を行う搬送手段と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の遊技機。
【請求項7】
前記搬送手段は、前記遊技盤の背面側で上下に掛架される無端ベルトと、該無端ベルトの一部に設けられる支持部とを有し、前記支持部が前記装飾可動物を支持した状態で前記無端ベルトを駆動することにより、前記装飾可動物を、前記画像表示器の上方に設けられる前記可動アームへ向けて搬送することを特徴とする請求項6記載の遊技機。
【請求項8】
前記搬送手段は、前記遊技盤の背面側で昇降する昇降部材を有し、該昇降部材が前記装飾可動物を支持した状態で上昇することにより、前記装飾可動物を、前記画像表示器の上方に設けられる前記可動アームへ向けて搬送することを特徴とする請求項6記載の遊技機。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate


【公開番号】特開2011−172704(P2011−172704A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−38422(P2010−38422)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000161806)京楽産業.株式会社 (4,820)
【Fターム(参考)】