説明

遊技機

【課題】特別図柄抽選の結果を、表示部を用いて報知する場合に、注目される図柄への視線をそらすことなく、特典に関する情報の報知内容を確実に取得することができ、この結果、遊技意欲の減退を防止する。
【解決手段】特図抽選と同時、又は特図抽選が当選のときに実行される確変抽選の結果を明確に報知しない遊技仕様において、リーチ演出の開始直前に、3列の内の2列分の図柄列が同一図柄(リーチ図柄)で仮停止し、この図柄が縮小され、かつLCD表示部106の隅に移動したとき、当該仮停止したリーチ図柄の色を変更することで、確変抽選していることを示唆するようにした。仮停止したリーチ図柄は、遊技者が注目するべき図柄であるため、単純にLCD表示部106の一部にキャラクタ等を出現させたり、背景の一部を変更して、確変抽選の結果を示唆するよりも確実に遊技者に情報を伝達させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、始動入賞口に遊技球が入賞することで実行される抽選の結果を、予め定められた図柄列の変動を含む画像演出、並びに当該画像演出後に停止される図柄配列状態を表示装置に表示することによって報知する報知手段を備えた遊技機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機、例えば、パチンコ機やパチスロ機においては、LCD表示部を備えており、遊技の進行に応じて、当該LCD表示部に演出画像を表示し、遊技を盛り上げるようにしている。また、LCD表示部では、遊技の進行の下で重要な情報を予告報知したり、遊技抽選の当落結果を報知することもなされている。
【0003】
例えば、パチンコ機においては、遊技盤面上に設けられた特別図柄始動入賞口に遊技球が入賞すると、特別図柄抽選が実行される。前記LCD表示部では、当該特別図柄抽選の結果を、演出を交えて報知する。
【0004】
特別図柄抽選の結果が当たりの場合、遊技機は通常遊技状態から特別遊技状態となり、予め定めた入賞口(「アタッカー」或いは「大入賞口」等という場合がある)を、通常遊技状態における閉鎖状態から所定期間開放する大役処理が実行される。なお、「所定期間」とは、連続した開放に限らず、例えば、1回の開放時間が設定され、これを予め定められた回数(ラウンド数)繰り返したときの累積時間であってもよい。また、1回の開放時間中に予め定めた入賞数がカウントされた場合、開放時間に到達していなくても閉止し、1ラウンド分の開放を終了させてもよい。
【0005】
遊技機の遊技仕様は、特別遊技状態が終了すると、通常遊技状態に戻ることになるが、このとき、前記特別図柄抽選の当選時に、さらに、確率変動(以下、「確変」という場合がある)等の特典を取得する場合がある。特典として確変を得た場合は、この通常遊技中の特別図柄抽選の当選確率が、通常確率よりも高くなる場合がある。なお、報知する内容は、内部制御的には、フラグの成否等で判別しており、以下において、特別図柄抽選の当選は大役フラグの成立、確変の獲得は確変フラグの成立等と言う場合がある。
【0006】
従って、前記演出は、前記特別図柄抽選の結果の報知に加え、特典(確変等)が付与されたか否か、或いは確変を直接的に報知せず確変が潜伏している可能性(隠し確変)を報知する場合がある。
【0007】
例えば、大役フラグが成立している場合、特別図柄抽選図柄(或いは、報知に用いる演出図柄)の1つが、LCD表示部に表示される全ての図柄変動列で揃うことで報知する例えば、「666」や「777」)。また、確変フラグが成立している場合は、揃う数字を奇数とする(例えば、「555」や「777」)。
【0008】
さらには、前述した大役処理による入賞口の開放期間を通常よりも短くし(例えば、2ラウンド〜4ラウンド、1ラウンドの開放時間が0.1秒〜1.0秒)、大役処理による遊技者への賞球を無くし(或いは、極めて少なくし)、実質的にその後の特典(確変等)を付与することを主目的とした、「突然確変」という遊技仕様が設定されている場合は、この突然確変フラグが成立した場合は、全ての図柄変動列の組み合せによって、意味のある図柄の配列とする(例えば、「123」や「松竹梅」等)。
【0009】
ところで、隠し確変に関しては、文字通り「確変を隠す」必要があるので、基本的には図柄変動列による報知、或いは文字情報、効果音、他の音声情報等に基づく積極的な報知は行わない。
【0010】
隠し確変の遊技仕様は、遊技者に対して特別遊技状態終了後の確変か否かを予測させることに遊技性を持たせているものの、その兆候が全く予測できない遊技仕様の場合、遊技初心者は隠し確変を全く予測できず、かえって遊技意欲を減退させる要因となる可能性がある。
【0011】
このため、LCD表示部等に表示される特別図柄(演出図柄)の他、各種成立フラグの態様を補助図柄(図柄変動列が3列であれば、第4列の図柄となる)として、例えば、小さな紋様を表示し、成立フラグの状態に応じて色を変化させるパチンコ機が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2011−45591号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、遊技者が注視するのはLCD表示部に表示される特別図柄(演出図柄)の変動態様であって、前記特許文献1に記載されているような、特別図柄(演出図柄)よりも小さい第4の図柄(紋様)の変化を常時注目する可能性は低く、確実な報知とはい得ない。
【0014】
本発明は上記事実を考慮し、特別図柄抽選の結果を、表示部を用いて報知する場合に、注目される図柄への視線をそらすことなく、特典に関する情報の報知内容を確実に取得することができ、この結果、遊技意欲の減退を防止することができる遊技機を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、遊技盤面上を移動する遊技球が、特定の位置で検出されることで実行される当落抽選と、少なくとも前記当落抽選が当たりの場合に有効とされ遊技者へ特典を付与するか否かを抽選する特典抽選とが実行される通常遊技の進行を制御する通常遊技制御手段と、前記当落抽選が当選のとき、前記遊技盤面上に設けられ前記通常遊技中は閉止されている大入賞口を所定期間開放することにより遊技球の入賞を可能とする特別遊技の進行を制御する特別遊技制御手段とを備え、前記特別遊技の終了後の通常遊技において、前記特典抽選に当選していることを条件に、当該通常遊技に特典を付与して遊技を進行する遊技機であって、表示装置に、予め定められた複数の図柄列の変動を含む画像演出を表示し、必要に応じて前記当落抽選の結果を報知する前に前記複数の図柄列の内最終停止図柄列のみを残し、当該最終停止図柄との組み合わせで当選を報知する図柄で仮停止させるリーチ演出を介して停止される各図柄列の図柄配列状態によって前記抽選の結果を報知する報知手段と、前記リーチ演出の開始時に仮停止した図柄の形態に基づく示唆情報によって、前記特典抽選の結果を示唆する特典抽選結果示唆手段と、
を有している。
【0016】
本発明によれば、遊技盤に放たれた遊技球が遊技盤面に沿って移動し、特定の位置で検出される場合がある。例えば、遊技盤面に遊技球が入賞可能な始動入賞口を設け、この始動入賞口に入賞した遊技球を案内する流路に球検出センサを取り付けることで、球検出センサで遊技球を検出(すなわち、始動入賞)することが、「特定の位置で検出」となり得る。
【0017】
なお、始動入賞口に限らず、単に遊技盤面上に球検出センサが内蔵された通過口(スルーゲート)を設けてよく、この場合、遊技球がこの通過口を通過した時点が、「特定の位置で検出」となり得る。
【0018】
通常遊技制御手段では、遊技球が特定の位置で検出されると、当落抽選と特典抽選が実行される。なお、特典抽選は、当落抽選が当選したときにのみ実行するようにしてもよい。
【0019】
前記当落抽選の結果は、報知手段によって、表示装置に視覚を通じて報知される。すなわち、当落抽選の結果が決定すると、予め定められた複数の図柄列の変動を含む画像演出を表示し、必要に応じて前記当落抽選の結果を報知する前に前記複数の図柄列の内最終停止図柄列のみを残し、当該最終停止図柄との組み合わせで当選を報知する図柄で仮停止させるリーチ演出を介して停止される各図柄列の図柄配列状態によって前記当落抽選の結果を報知する。
【0020】
当落抽選の結果が当たりの場合、特別遊技制御手段によって特別遊技が実行される。
【0021】
特別遊技は、遊技盤面上に設けられ前記通常遊技中は閉止されている大入賞口(アタッカーという場合がある)を所定期間開放することにより遊技球の入賞を可能とする遊技である。所定期間とは、大入賞口(アタッカー)の開放時間と開閉回数との積算によるものであり、例えば、1回の開放時間を30秒とし、これを15回(15ラウンド(以下「R」という場合がある)繰り返すことを含む。また、1回の開放中の遊技球の入賞数を制限し、例えば、8〜10球の入賞があった時点で、予め設定した開放時間に到達しなくても1Rの終了としてもよい。
【0022】
ここで、特典抽選結果示唆手段では、リーチ演出時に仮停止した図柄の表示形態(以下、図柄の形態という)に基づく示唆情報によって、特典抽選の結果を示唆している。
【0023】
従来、特典が付与されている場合、当落抽選の結果の報知と同時期から特別遊技が終了するまでの間に報知される、或いは一切特典が付与されていることを報知しない、の何れかによる形態が一般的である。また、変則的には、所謂「ガセ情報(偽情報)」を含み、遊技者に特典が潜伏しているか否かを表示装置全体の背景で示唆する場合があった。その背景による示唆は、例えば、モードやステージの遷移によって表示画面が切り替わる等の演出である。
【0024】
これに対して本願発明では、リーチ演出時に仮停止した図柄の形態に基づく示唆情報によって、特典抽選の結果を示唆している。すなわち、仮停止した図柄がリーチ演出の開始を報知するため、遊技者はこの図柄の変動を凝視し、リーチ演出の開始が確定するか否かを認識する。
【0025】
このリーチ演出の開始を報知するために仮停止した図柄の形態に基づく示唆情報によって、特典抽選の結果を示唆するため、あいまいであるが、遊技中の遊技者の視野範囲での報知であり、確実に遊技者に対して、特典抽選の結果の示唆情報を遊技者の視野から提供することができる。
【0026】
なお、示唆情報は、当然正確な特典抽選の結果の報知を含むものとする。例えば、示唆するための図柄の形態が複数種類ある場合に、その内の1つの種類で示唆すると、100%の確率で特典抽選に当選していることとすればよい。
【0027】
なお、特典は、前記当落抽選の当選確率を、通常確率よりも高くする確率変動(以下「確変」という場合がある)を含む。この場合の示唆情報は、確変か否かの情報である。この特典としての確変が付与されると、特別遊技終了後は、確変の下で通常遊技が進行、すなわち当落抽選が実行される。なお、確変状態の下での通常遊技は、当落抽選が当たりになるまで継続してもよいし、予め定めた遊技回数(当落抽選の回数)に達した時点で当落抽選の当選確率を通常確率に戻すようにしてもよい。
【0028】
本発明において、前記仮停止した図柄が、前記リーチ演出時には前記表示装置の表示画面上で縮小表示され、当該縮小表示領域に遊技者の視線を案内する視線案内手段をさらに有することを特徴としている。
【0029】
リーチ演出は、表示装置の全画面を用いることが多く、この場合、リーチ演出時に仮停止した図柄を縮小表示し、かつ表示装置の四隅(縮小表示領域)に移動させる場合がある。この場合、遊技者の視線は、表示装置の中央部であることが多いため、視線案内手段によって、図柄の縮小表示領域に遊技者の視線を案内する。これにより、遊技者は、示唆情報の確認を確実に行うことができる。
【0030】
例えば、仮停止した図柄に重ねて、或いはその近傍を閃光が走るような画像演出をすることで、遊技者は、この閃光を目で追う可能性が高く、縮小表示された仮停止した図柄を確認することができる。
【0031】
また、本発明において、前記特典抽選結果示唆手段による仮停止した図柄の形態に基づく示唆情報を、色相、彩度、明度の少なくとも何れか一つを含む色情報によって表現することを特徴としている。
【発明の効果】
【0032】
以上説明した如く本発明では、特別図柄抽選の結果を、表示部を用いて報知する場合に、注目される図柄への視線をそらすことなく、特典に関する情報の報知内容を確実に取得することができ、この結果、遊技意欲の減退を防止することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本実施の形態に係るパチンコ機の正面図である。
【図2】本実施の形態に係る遊技盤の正面図である。
【図3】本実施の形態に係る制御系のハード構成を示すブロック図である。
【図4】本実施の形態に係る演出制御部における図柄変動パターン実行制御のための機能ブロック図である。
【図5】LCD表示部の正面図であり、確変抽選の結果を示唆することを含めた図柄変動パターン演出の遷移図である。
【図6】演出制御部における図柄変動制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図7】図6のステップ320で実行される、図柄制御部による図柄変動表示制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図8】図7のステップ346で実行されるリーチ図柄で仮停止した図柄が縮小表示されたときに実行される点灯制御の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(パチンコ機の構成)
図1に示されるように、パチンコ機10の前面下部には、化粧パネルとなる下飾り12が取り付けられている。
【0035】
また、パチンコ機10の下飾り12の上部には、互いに平行、かつ奥行き方向に所定の間隔をおいて配置された一対のガラス板14を装着したガラス枠16が配置されており、ガラス枠16は、図1に示す状態で左側端部が軸支されて開閉可能に取り付けられている。このガラス枠16の奥側には、着脱交換可能な遊技盤18がセットされており、遊技盤18は、ガラス枠16で閉塞された状態でガラス板14に対向するようになっている。
【0036】
ガラス枠16の下部には、一体皿24が配置されている。一体皿24の図1の右端部には、鍵穴27が設けられ、この鍵穴27にキーを差し込み、左右の内、一方に回すとガラス枠16が開放し、他方に回すと一体皿24が開放する。なお、回す角度が浅いとガラス枠16が開放し、さらに同じ方向に深く回すと一体皿24が開放する構成であってもよい。
【0037】
一体皿24には、上皿部28と、下皿部30とが設けられている。上皿部28を形成する周縁部32には、上皿球抜きレバー34が設けられ、この上皿球抜きレバー34を操作することで、上皿部28に貯留された遊技球を下皿部30へ送り出すことができるようになっている。また、下皿部30には、下皿球抜きボタン36が設けられ、この下皿球抜きボタン36を操作することで、下皿部30に貯留された遊技球PBを外部(例えば、所謂「ドル箱」)へ排出することができるようになっている。
【0038】
上皿部28の周縁部32における図1の右端部には、球貸ボタン42と、返却ボタン44が設けられている。
【0039】
また、一体皿24の右側下部には打球の発射力(飛距離)を調整するためのグリップユニット(発射ハンドル)26が取り付けられ、左側下部には、灰皿46が取り付けられている。
【0040】
一体皿24における下皿部30の図1の右側には受け皿スピーカ60Uが配置されている。
【0041】
ここで、一体皿24における上皿部28の周縁部32には、遊技者が操作可能な操作ボタン50が設けられている。この操作ボタン50は、遊技中において、操作有効期間中に操作することで、演出画像に対して介入することができるようになっており、それぞれの遊技仕様によって設定される。
【0042】
ガラス枠16におけるガラス板14の周囲には、アーチ状に遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による視覚的効果や、音声等による聴覚的効果等の演出効果を生み出す上部演出部52が配置されている。この上部演出部52の下端部は、一体皿24の周囲に略U字型に配置された下部演出部54の上端部と連結されている。
【0043】
この結果、上演出部52と下演出部54とで、遊技盤18の周囲を取り囲むように、演出部56が形成されている。
【0044】
この演出部56は、上演出部52及び下演出部54共に、照明部材(LED等の発光素子やランプ)が取り付けられた基板(図示省略)と、この基板を覆うように、所定の意匠で形成されたレンズカバー58が取り付けられている。
【0045】
レンズカバー58は、前記照明部材が点灯する領域を区画するよう凹凸状にカットされており、区画された領域(以下、必要に応じて「レンズ部」という)毎に照明部材の点灯制御がなされる。なお、照明部材は基本的にR(赤色)、G(緑色)、B(青色)の3色に点灯するLEDが1組となっており、それぞれの点灯時の光量比により、様々な配色の点灯が可能となっている。また、ガラス枠の上部角部には、それぞれ三連表示62が設けられ、遊技状態の報知(エラー報知等を含む)に適用される。
【0046】
また、前記上演出部52における、ガラス枠16の上部円弧の約1/3に相当する領域の中央及び両端には、ガラス枠スピーカ60C、60L、60Rが内蔵され、照明と同時に、音声を出力する。
【0047】
なお、以下では、前述した受け皿スピーカ60Uと、このガラス枠スピーカ60C、60L、60Rを総称して、「スピーカ60」という。
【0048】
(遊技盤の構成)
図2に示される遊技盤18は、基板となるベニヤ板に樹脂製シート状のセルが貼着されてそのセルの表面が盤面となっており、盤面の外周端部付近に、円弧状の外レール102及び内レール104が取り付けられている。これらの外レール102及び内レール104によって囲まれた円形状の領域は、発射装置165(図3参照)から発射されて打ち込まれた遊技球PBが自重落下により移動可能とされ、この領域が遊技を行う遊技領域とされている。
【0049】
遊技盤18の遊技領域には、釘(図示省略)及び風車21が点在して打ち込まれている。また、遊技領域におけるほぼ中央には、センター役物105が配置されている。センター役物105は、各種演出等の映像を表示する液晶表示部(LCD表示部)106を備えている。
【0050】
LCD表示部106では、例えば、3列の図柄列が独立して変動し、最終的に3列の図柄列が同一図柄で停止した場合に特別図柄抽選の当選を報知するといった、図柄変動パターン演出が実行される。なお、3列の内、先に2列が同一図柄で停止(仮停止)して、残りの1列が変動中の場合を、「リーチ」という。
【0051】
センター役物105の下辺部は、ステージ105Sが形成されている。ステージ105Sには、釘等で跳ね返えることで受け入れた遊技球PB、或いは図示しないワープ路に案内されて受け入れた遊技球PBが送り込まれるようになっている。
【0052】
ステージ105Sは、傾斜面や突起部等が形成され、前記遊技球PBの移動が当該傾斜面や突起部等により不規則に変化し、最終的に下辺手前から遊技盤18へ戻されるようになっている。
【0053】
前記センター役物105における、LCD表示部106の図2の左右側には、それぞれ複数の発光素子を備えた左発光部202及び右発光部204が設けられている。以下、左発光部202及び右発光部204を含み、「左」「右」という表現に関しては、特段の言及がないかぎり、図2の正面視による方向する。
【0054】
この左発光部202及び右発光部204を結ぶ線上は、前記LCD表示部106の表示画面の一部となっている(以下、「線上画面部106Aという)。また、左発光部202の左端の発光素子は矢印の先端形状(略三角形)とされ、それ以外は長方形とされている。
【0055】
ここで、後述する演出制御部152(図3参照)では、右発光部204の右端の発光素子から、LCD表示部106の前記線上画面部106Aの複数の区画領域を介して、左発光部202の左端の発光素子まで、時間差を持って点灯制御されるようになっている。この点灯制御によって、擬似的にLCD表示部106の右から弓矢が放たれて、LCD表示部106上を通過して、当該LCD表示部106の左側へ至る軌跡が光の移動(閃光)によって表現される。
【0056】
図2に示される如く、センター役物105の図2に向かって左側には、普通図柄抽選の始動機能を持つ通過ゲート118が配置されている。
【0057】
また、センター役物105の下部には、特別図柄始動入賞口(A)129と特別図柄始動入賞口(B)134とが縦列に配置されている。
【0058】
特別図柄始動入賞口(A)129は、常時入賞可能に上部が開口しており、一方、特別図柄始動入賞口(B)134の上部開口は、常態において特別図柄始動入賞口(A)129が閉塞している。
【0059】
この特別図柄始動入賞口(B)134には、電動チューリップ136が取り付けられている。電動チューリップ136は、遊技盤18の裏面側に配設された電チューソレノイド138(図3参照)の通電・非通電によって開閉する構成となっている。
【0060】
ここで、電動チューリップ136が開放状態になると、特別図柄始動入賞口(B)134の入賞開口部への遊技球PBの受け入れが可能となり、遊技球PBの入賞が可能となる。
【0061】
さらに、図2に示される如く、前記特別図柄始動入賞口(B)134のさらに下部には、遊技領域の下端部付近に位置してアタッカー112が配置されている。
【0062】
アタッカー112には、開閉扉116が設けられている。この開閉扉116が、アタッカーソレノイド148(図3参照)の通電・非通電によって開放又は閉塞する。すなわち、開閉扉116の開放時には、開閉扉116上に落下した遊技球PBが開閉扉116に案内されてアタッカー112へ入賞する。
【0063】
また、遊技領域の最下位置には、外れ球を遊技盤18の裏側へ排出するアウト口124が設けられている。
【0064】
さらに、センター役物105よりも下、かつ特別図柄始動入賞口(A)129と特別図柄始動入賞口(B)134の左右には、複数の一般入賞口120(本実施の形態では、図2に向かってアタッカー112よりも左側に2個の一般入賞口120A、120Bが設けられ、アタッカー112よりも右側に1個の一般入賞口120C)が設けられている。なお、一般入賞口120は、3個の限られるものではなく、例えば、入賞率等の設計上の演算によってその数を決めればよい。
【0065】
また、この遊技領域に設けられたセンター役物105や盤面周縁には、遊技の進行に応じて点灯、消灯、及び点滅し照明による演出効果を生み出す照明演出用の発光素子137(図3参照)が多数設けられている。
【0066】
ここで、特別図柄始動入賞口(A)129又は特別図柄始動入賞口(B)134に遊技球PBが入賞すると、特別図柄抽選(当落抽選)が実行され、この特別図柄抽選に当選すると、前記アタッカー112の開閉扉116が所定のパターンで開閉動作し、これを所定回数(所定ラウンド)繰り返すようになっている(「特別遊技状態」又は「大役処理」等と言う場合がある)。
【0067】
また、本実施の形態では、前記特別図柄抽選と同時に、大役処理の終了後の通常遊技での特別図柄抽選の当接確率を通常の確率よりも高くするか否かの特典抽選として確率変動抽選(以下、「確変抽選」という場合がある。)が実行されるようになっている。この確変抽選は、前記特別図柄抽選が当選したときのみ有効であるので、当該特別図柄抽選の当選時に実行してもよいし、特別図柄抽選の当落に関係なく実行し、特別図柄抽選の当選時に適用するようにしてもよい。
【0068】
なお、以下において、非確率変動時(非確変時)の当選確率を「通常確率」、確率変動時(確変時)の当選確率を「高確率」という場合がある。
【0069】
一例として、通常確率が1/200〜1/400とすると、高確率は1/20〜1/40となり、当選確率は約10倍となる。
【0070】
なお、前記特別図柄抽選の当選/落選は、主としてLCD表示部106の図柄変動表示演出において報知され、この図柄変動パターン演出中、或いは、前記大役処理中の場合は、抽選結果を保留し、順次報知していくようになっている。また、図柄変動表示演出と共に、動物などが擬人化されたキャラクタが表示され、抽選で当選した旨を暗示させることにより、遊技者に期待感を持たせるといった、視覚的な演出をすることがあり、その場合は効果音によって聴覚からも遊技者の興趣を増大させる。
【0071】
本実施の形態では、1個の特別図柄始動入賞口に対して最大4個(本実施の形態では、特別図柄始動入賞口(A)129及び特別図柄始動入賞口(B)134の2個の特別図柄始動入賞口なので、8個となる。)の保留が可能となっている。なお、この保留球数に限定されるものではない。
【0072】
保留球数は、センター役物105における、図2に向かって右下に配置され、主として特図表示部を備えた遊技進行ガイドランプユニット109の一部である保留ランプによって報知される他、LCD106の一部を用いて、遊技者に見易く表示するようになっている。
(制御系の構成)
次に、図3を用いてパチンコ機10の制御系について説明する。
【0073】
図3に示されるように、本実施形態に係るパチンコ機10の制御系は、主制御部150を中心として構成されており、この主制御部150には、演出制御部152と払出制御部154とが接続されている。主制御部150には、遊技に関する基本的なプログラムが記憶されており、この主制御部150からの命令信号に基づいて、各部の動作が制御されるようになっている。
【0074】
主制御部150からは盤用外部端子190を介してホールコンピュータ(図示省略)へ遊技の進行状態を示す情報(始動入賞信号や大当たり信号、図柄確定回数信号)が送信される。
【0075】
主制御部150には、入力系として、通過ゲート118を通過する遊技球PBを検出する通過ゲートセンサ118S、特別図柄始動入賞口(A)129への入賞球を検出する特図A始動口センサ129S、特別図柄始動入賞口(B)134への入賞球を検出する特図B始動口センサ134S、特別遊技状態の際に開放するアタッカー112への入賞球を検出するアタッカーセンサ112S、一般入賞口120A、120B、120Cへの入賞球を検出する一般入賞センサ120AS、120BS、120CSが接続されている。
【0076】
また、主制御部150には、出力系として、遊技情報をランプの点灯状態で報知するガイドランプユニット109、電動チューリップ136を開閉する電チューソレノイド138、アタッカー112の開閉扉116を開閉するためのアタッカーソレノイド148が接続されている。
【0077】
演出制御部152には、入力系として、操作ボタン50が接続されている。また、演出制御部152には、出力系として、遊技盤18の各種遊技部品に設けられた照明演出用の発光素子137(左発光部202、右発光部204を含む)、スピーカ60(ガラス枠スピーカ60L、60C、60R、受け皿スピーカ60U)が接続されている。
【0078】
さらに、演出制御部152には、図柄制御部156を介してLCD表示部106が接続されている。
【0079】
払出制御部154には、払出装置160及び発射制御部164が接続され、発射制御部164には発射装置165が接続されている。この払出制御部154は、パチンコ機10内に設けられた払出装置160の払出動作と停止動作を制御して、所定数の遊技球PBを賞球又は貸し球として払い出す。また、発射制御部164は、遊技者によるグリップユニット26(図1参照)の操作により発射装置165を作動させて、遊技球PBの発射開始、及び、グリップユニット26の操作量に応じた発射力を制御する。
【0080】
さらに、払出制御部154では、枠用外部端子191を介して払出情報をホールに設置されたホールコンピュータ(図示省略)へ送信するようになっている。
【0081】
遊技盤18の裏面側(遊技者と対面する側を表面とする)における、センター役物105の下部には、球案内パネル200が取り付けられている。この球案内パネル200は、図2に鎖線で示されるように、センター役物105の下部に集中している入賞口(特別図柄始動入賞口(A)129、特別図柄始動入賞口(B)134、一般入賞口120A、120B、120C)に対応するように取り付けられている。
【0082】
ここで、本実施の形態において、前記特別図柄抽選と同時又は当選時に実行される確変抽選に依存する特典の付与状態(確変か否か)は、特別図柄抽選の当選確定時にLCD表示部106に表示される図柄列の図柄の種類によって報知するようになっている場合が多い。例えば、図柄の種類が0〜9までとすると、偶数による特別図柄抽選の当選報知(「000」「222」「444」「666」「888」)は同時に「非確変」を報知し、奇数による特別図柄抽選の当選報知(「111」「333」「555」「777」「999」)は同時に「確変」を報知している。
【0083】
ところで、パチンコ機10の遊技仕様によっては、図柄による報知はせず、LCD表示部106に表示される文字や背景画像等によって、特典の付与状態(確変か否か)を遊技者に示唆するような報知(例えば、「123」、「456」等の規則性のある図柄配列や、予め定められた特別な図柄の配列「松竹梅」等)、さらには、全く特典の付与状態を報知しない場合がある。本実施の形態においても、特別図柄抽選の当選時、並びに、大役処理中、大役処理後においても、特典の付与状態(確変か否か)について、積極的に報知しない遊技仕様としている(以下、「隠し確変」という)。隠し確変の最大の特徴は、例えば、通常の確率変動状態では、電動チューリップ136のサポート(電動チューリップ136の開放時間が通常時よりも長くなる遊技仕様。以下「電チューサポート」という。)があるのに対して、この電チューサポートが伴わないため、遊技の進行上は通常遊技と何ら変わらないことである。
【0084】
ところが、このような隠し確変を備えた遊技仕様は、遊技者に対して特別遊技状態終了後の確変か否かを予測させることに遊技性を持たせているものの、その兆候が全く予測できない遊技仕様の場合、遊技初心者は隠し確変を全く予測できず、かえって遊技意欲を減退させる要因となる可能性がある。
【0085】
そこで、本実施の形態では、特別図柄抽選の当選結果を報知する図柄変動に伴うリーチ演出時、仮停止されてLCD表示部106の四隅の何れかで縮小表示されるリーチ図柄を利用して、当該リーチ図柄の色の違いによって、特典の付与状態(確変か否か)を示唆するようにした。すなわち、リーチ図柄の通常の色(例えば、青色)に対して、確変が確定している場合は、通常の色以外の色(金色やレインボー色等)に変化する。
【0086】
すなわち、図柄変動は、単純に図柄が所定の順序で停止していく外れの他、ノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等のリーチ演出を実行した後に最終停止図柄で停止するリーチ演出が付加される場合がある。
【0087】
リーチ演出の直前は、3列の図柄の内、2図柄が同一の図柄で仮停止する(例えば、「6↓6」「7↓7」等。なお、下向き矢印「↓」は変動中を表す。)。また、仮停止とは、図柄が完全停止せず、前後左右に微動している状態であり、遊技者に最終確定した図柄ではないことを表現するための演出の1つである。
【0088】
さらに、本実施の形態では、リーチ図柄に施す色の一例として、通常の色の他に、複数の色を設定し、それぞれの色に信頼度合いを対応付けている。
【0089】
この対応付けは、表1に示される如く、示唆(確変確定)の信頼度合いの高い方から順に、最も目立つレインボー色→反射率が高い金色→可視光線の周波数の高い順(例えば、赤色→緑色→黄色→青色)としている。色そのものに優先度合いは存在しないが、遊技者からみて目立つと思われる順とすることで、経験が浅くても信頼度合いとの関係を予測しやすくするための1つの手法である。
【0090】
また、上記設定に限らず、色と信頼度合いとの関係を固定化しておけば、遊技者は経験的に示唆(確変確定)の信頼度合いの高い演出なのか、示唆の信頼度合いの低い演出なのかを認識することができる。
【0091】
【表1】

【0092】
図4は、本実施の形態に係る演出制御部152における、図柄変動演出制御のための機能ブロック図である。なお、このブロック図は、実行される処理を機能別に示したものであり、演出制御部152のハード構成を限定するものではない。
【0093】
主制御部150からのコマンドは、コマンド受付部206に入力され、当該コマンド受付部206では、受け付けたコマンドを解析する。
【0094】
コマンド受付部206におけるコマンドの解析の結果、特図抽選情報及び図柄変動時間情報は図柄変動パターン種決定部208へ送出され、確変抽選情報は最終停止図柄決定部210へ送出されるようになっている。
【0095】
また、図柄変動パターン種決定部208は、特図抽選の当選/落選を判定し、かつ当該判定結果に基づいて図柄変動パターン種を決定する役目を有している。
【0096】
図柄変動パターン種決定部208は、最終停止図柄決定部210に接続されており、特図抽選が当たりの場合に、当たり信号を最終停止図柄決定部210へ送出する。
【0097】
さらに、図柄変動パターン種決定部208は、図柄変動パターン種得情報読出部212及びリーチ演出情報読出部214に接続され、それぞれに対して、決定した図柄変動パターン種情報を送出する。
【0098】
図柄変動パターン種情報読出部212では、受信した図柄変動パターン種情報に基づいて、図柄変動パターン種情報記憶部216から図柄変動パターン種情報を読み出し、基本図柄変動パターン編集部218へ送出する。
【0099】
一方、リーチ演出情報読出部214では、受信した図柄変動パターン種情報に基づいて、リーチ演出情報記憶部220からリーチ演出情報を読み出して、基本図柄変動パターン編集部218へ送出する。
【0100】
また、前記最終停止図柄決定部210では、受信した確変抽選情報に基づいて、最終停止図柄を決定し、基本図柄変動パターン編集部218へ送出する。
【0101】
基本図柄変動パターン編集部218では、図柄変動パターン種情報、リーチ演出情報、最終停止図柄情報に基づいて、基本となる図柄変動パターン(LCD表示部106に表示するための動画等)を編集し、当該編集した図柄変動パターンを図柄変動パターン修正部222へ送出するようになっている。
【0102】
例えば、図柄変動パターンには、特図抽選が外れの場合でリーチを行わず単純に外れ図柄で停止されるパターン、特図抽選が外れの場合でリーチを介して外れ図柄で停止させるパターン、特図抽選が当たりの場合でリーチを介して当たり図柄で停止させるパターンがある。さらに、リーチ演出においては、ノーマルリーチ、スーパーリーチ、プレミアムリーチ等、図柄変動時間情報等に基づいて決定される。
【0103】
ここで、前記最終停止図柄決定部210は、信頼度合い決定部224に接続されており、前記図柄変動パターン種決定部208から当たり情報が入力された場合において、最終停止図柄情報をこの信頼度合い決定部224に送出している。この信頼度合い決定部224では、予め定めた信頼度合いの決定手段に基づいて信頼度合いを決定する。この信頼度合いは、特図抽選が当たりの場合で、かつ確変抽選に当選しているか否かを報知する場合の信頼度であり、本実施の形態では、50%〜100%の間とされている(表1では6種類)。
【0104】
例えば、信頼度合いは、予め定めたルーチンで均一に選択、或いは偏った選択をするようにしてもよいし、別途抽選で選択してもよい。さらには、メーカーの初期設定、或いは店の設定によって自由に選択率を変えてもよい。また、このような複数の選択のパターンを日時等によって変更してもよい。この変更の一例として、例えば、通常の日(晴天等)は50%の信頼度合いとし、特定の日(雨天等)は100%の信頼度合いとするような意図的な選択を行ってもよい。
【0105】
信頼度決定部224で決定した信頼度合い情報は、仮停止図柄色読出部226へ送出されるようになっている。この仮停止図柄色読出部226には、信頼度合い−色情報テーブル記憶部228が接続されている。信頼度合い−色情報テーブル記憶部228には、前記表1に示されるようなテーブルが記憶されている。
【0106】
仮停止図柄色読出部226は、前記入力された信頼度合い情報に基づいて、信頼度合い−色情報テーブル記憶部228に記憶されたテーブル(表1参照)から色情報を読み出し、図柄変動パターン修正部222に送出する。なお、確変抽選に落選している場合は、信頼度合いとは関係なく、所謂ガセ情報として、図柄変動パターン修正部222で適宜色を設定してもよい。
【0107】
この図柄変動パターン修正部222では、前記編集した図柄変動パターンに対して、その実行中にリーチとなったときの仮停止した図柄の色を変更する動作を加えるように修正する。
【0108】
すなわち、LCD表示部106での図柄変動パターンにおいて、3列の図柄の変動が開始されると(図5(A)参照)、リーチ演出に発展する場合はその前にリーチ図柄が仮停止状態で表示されるようになっている(図5(B)参照)。
【0109】
なお、この仮停止した図柄(リーチ図柄)は、リーチ演出をLCD表示部106の中央領域で実行するときの邪魔になる可能性があるため、当該リーチ図柄が表示された時点で、左図柄はLCD表示部106の左上隅、右図柄はLCD表示部106の右上隅にそれぞれ縮小表示されるようになっている(図5(C)参照)。
【0110】
この位置は、前記LCD表示部106における線上画面部106Aに相当する位置となっており、前記左発光部202、線上画面部106A、右発光部204による点灯制御に重なるようになっており、この仮停止したリーチ図柄に遊技者の視線を向かせるようになっている。
【0111】
図柄変動パターン修正部222は、コマンド生成部230に接続され、図柄変動パターン(リーチ図柄の色変更の修正の有り又は無しを含む)の実行を指示するコマンドを生成し、コマンド出力部232を介して図柄制御部156へ送出する。
【0112】
図柄制御部156では、受け付けたコマンド(図柄変動パターンの実行に必要な識別情報)に基づいて、当該図柄制御部156側に保存されている実際の画像データを読み出して、LCD表示部106に表示する。
【0113】
なお、上記では、図柄制御部156側に画像データを記憶する記憶部(以下、「画像データ記憶部」という)を設けた構成を示したが、演出制御部152側に画像データ記憶部を設け、前記基本図柄変動パターン編集部218や図柄変動パターン修正部222がこの画像データ記憶部から画像データを読み出し、図柄制御部156へ送出するようにしてもよい。この場合、図柄制御部156は単にLCD表示部106のドライバとしての機能を持つことになる。
【0114】
以下に本実施の形態の作用を説明する。
【0115】
パチンコ機10による遊技では、遊技者がグリップユニット26(図1参照)を操作すると、遊技球PBは一球ずつ発射装置165(図3参照)によって上方へ発射される。図2に示される如く、発射された遊技球PBは、外レール102に沿って遊技盤18の遊技領域に打ち込まれ、遊技釘や風車21に当たり方向(流下方向)を変えながら遊技領域内を落下する。そして、入賞せずに遊技領域の下端部に至った遊技球PBはアウト口124からパチンコ機10内に回収される。
【0116】
また、遊技球PBが遊技領域内に設けた特別図柄始動入賞口(A)129、特別図柄始動入賞口(B)134に入賞したり、通過ゲート118を通過すると、それぞれの遊技仕様に基づく処理(例えば、特別図柄抽選、普通図柄抽選等)が実行されると共に、LCD表示部106への画像表示演出(例えば、図柄変動パターン演出等)、スピーカ60を用いた効果音演出等が実行される。また、図示は省略したが、一般入賞口120に入賞すると、予め定めた数の賞球(払い出し)が実行される。
【0117】
(遊技仕様の概要)
まず、主制御部150における抽選処理を中心とした遊技制御について説明する。
【0118】
特別図柄始動入賞口(A)129又は特別図柄始動入賞口(B)134に、遊技球PBが入賞すると、有効始動入賞か否かが主制御部150によって判断される。この有効始動入賞とは、保留球が満杯(例えば、1個の始動口に対して4個)ではなく、かつ特別図柄始動入賞口(A)129又は特別図柄始動入賞口(B)134へ遊技球PBが入賞したことを言い、これによって抽選権利を得ることになる。なお、無効始動入賞時は、抽選の権利は与えられないが、所定数(3〜5個程度)の賞球払出しがなされる場合もある。
【0119】
上記始動入賞が有効始動入賞であった場合に主制御部150は、図示を省略した乱数発生部から入賞タイミングに応じて当落抽選用の乱数を取得し、かつ、予め記憶されている当り値を読み出し、双方を比較して、特別図柄抽選が当りか外れかを判定する。
【0120】
なお、現在の遊技状態が大当たり処理中、或いは図柄変動パターン演出中の場合は、特別図柄抽選の権利を保留にするべく、保留数を1つ加算(+1)し、現在の遊技状態が大当たり処理中ではなく、或いは図柄変動パターン演出中でもなくなったときに、保留数を1つ減算して特別図柄抽選処理が実行される。
【0121】
この特別図柄抽選の当り/外れに基づいて、図柄変動パターン演出時間を設定し、特別図柄抽選結果、図柄変動パターン時間を含むコマンドを演出制御部152へ送出する。
【0122】
演出制御部152では、LCD表示部106やスピーカ60等の出力系デバイスを制御して、特別図柄抽選の結果を、設定された演出時間を使って報知する。例えば、LCD表示部106では、図柄変動パターン演出が実行される。
【0123】
この報知後、特別図柄抽選の結果が当たりの場合には、特別遊技状態(大役処理)が実行される。通常遊技状態では常に閉止状態のアタッカー112を所定のラウンド数(5R,10R,15R)だけ開閉する。なお、アタッカー112の開放時間は最大30秒であり、アタッカー112が開放中に所定数(例えば、8〜10個)の遊技球の入賞があった時点で閉止し、所定の閉止時間をおいて、次のラウンド(開放)に移行する。これにより、遊技者は短時間で多くの遊技球の賞球を受けることができる。
【0124】
ここで、前記特別図柄抽選の結果が判明すると、その抽選情報が、主制御部150から演出制御部152へ送出され、演出制御部152では、指示された演出時間等に基づいて、図柄変動パターン種を選択することになる。図柄変動パターン演出は、基本的には、3列の図柄の変動が開始され、様々な演出画像を経て各列の図柄が確定(本停止)するという流れであり、その中から、指示された演出時間に基づいて、リーチの有無、リーチ種等を選択する。なお、リーチ種とは、一般的には演出の違いを示し、特別図柄抽選の当選の可能性を示す比率(期待値等)が定められており、通常は、演出に登場するキャラクタやストーリーの違い、並びに、演出時間に差異を持たせている。これにより、リーチは、期待値の低い順にノーマルリーチ群、スーパーリーチ群、プレミアムリーチ群等に分類され、期待値に基づくそれぞれの選択比率によって選択される。
【0125】
前記大役処理が終了すると、遊技状態は、特別遊技状態から通常遊技状態に戻ることになるが、この特別遊技状態になる契機となった特別図柄抽選(特図抽選)と同時に、或いは特図抽選の結果が当選したとき、確率変動抽選(確変抽選)が実行されており、この確変抽選に当選した場合は、大役処理の終了後の通常遊技における特図抽選の当選確率が高確率状態となる。なお、例えば、通常確率が1/200〜1/400の場合、高確率は約10倍の1/20〜1/40程度となる。
【0126】
このため、遊技者は通常確率の下での通常遊技よりも早い時期に次の特図抽選の当選を引き当てることができるため、遊技意欲を増大させることができる。
【0127】
ところが、逆に確変抽選に不当選の場合は、大役処理の終了後の通常遊技が通常確率の下での遊技に確定してしまうため、遊技意欲を減退させる場合がある。
【0128】
そこで、本実施の形態では、確変抽選の結果を明確に報知せず、示唆する程度に留めている。この示唆の手段として、特図抽選の結果を報知する図柄の色を変更することで、確変抽選の当選を示唆させるようにしている。より詳しくは、LCD表示部106において、図柄変動パターンとして3列の図柄が変動を開始し、その内の2列の図柄が同一の図柄で仮停止するとリーチが確定し、その後リーチ演出が実行される。
【0129】
このとき、リーチ演出の邪魔にならないように、仮停止したリーチ図柄(例えば、左列及び右列の図柄)は、LCD表示部106の左上隅、右上隅にそれぞれ縮小表示される。この縮小表示された仮停止されたリーチ図柄の色を変更する。
【0130】
図6は、演出制御部152における図柄変動制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0131】
ステップ300では、主制御部150からコマンドが入力されたか否かが判断され、否定判定された場合はこのルーチンは終了する。
【0132】
また、ステップ300で肯定判定されると、ステップ302へ移行して特図抽選の当たり判定処理を行い、次いでステップ304へ移行して確変抽選の判定処理を行い、ステップ306へ移行する。
【0133】
ステップ306では、最終停止図柄を決定し、次いでステップ308で図柄変動パターン種を決定してステップ310へ移行する。
【0134】
ステップ310では、決定した図柄変動パターンにリーチ演出が存在するか否かが判断され、肯定判定されると、特図抽選の結果は当たり又は外れの何れの可能性もあり、ステップ312ヘ移行してリーチ演出種を選択し、ステップ314へ移行する。
【0135】
ステップ314では、信頼度合いを決定する。ここで、特図抽選の結果が外れの場合は、そもそも確変抽選の結果に関する情報の保存、並びに確変抽選の結果の報知は不要であるため、信頼度合いを決定する必要はない。しかし、特図抽選が外れの場合に信頼度合いの決定を不実行とすると、図柄の色が変わることがなくなるため、所謂「ガセ」として図柄の色を変更するための偽の信頼度合いを決定することが好ましい。
【0136】
次のステップ316では、決定した信頼度合いに基づいて、図4の信頼度合い−色情報テーブル記憶部228に記憶されているテーブル(表1参照)に基づいて、図柄の色を選択し、ステップ318へ移行する。なお、前記ステップ310で否定判定された場合は、外れ(リーチ演出がない)であり、ステップ318へ移行する。
【0137】
ステップ318では、図柄変動パターンの編集、修正処理がなされ、次いでステップ320へ移行して図柄制御部156による図柄変動表示制御(図7のフローチャート参照)を実行し、このルーチンは終了する。
【0138】
図7は、図6のステップ320で実行される、図柄制御部156による図柄変動表示制御ルーチンを示すフローチャートである。
【0139】
ステップ330では、全図柄列の変動を開始し、次いでステップ332へ移行して2列分の図柄列を対象として仮停止制御を実行し、ステップ334へ移行する。
【0140】
ステップ334では、仮停止した2列分の図柄でリーチとなったか否か判断される。
【0141】
ステップ334で肯定判定されると、ステップ336へ移行して仮停止した図柄を縮小し、それぞれLCD表示部106の左上隅、右上隅へ移動する。これにより、LCD表示部106の中央部は広くなりリーチ演出を仮停止した図柄が邪魔をすることなく、リーチ演出を見やすい状態で実行することができる。
【0142】
次のステップ338では、リーチ演出の開始を指示し、次いで、ステップ340へ移行して、仮停止した図柄の設定色を読み出し、ステップ342へ移行する。
【0143】
ステップ342では、確変抽選の結果を示唆する時期か否かが判断され、肯定判定されると、ステップ344へ移行して仮停止図柄の色を変更し、ステップ346へ移行する。
【0144】
ステップ346では、左発光部202及び右発光部204、並びにLCD表示部106の線上画面部106Aを用いた点灯制御(閃光表示)を実行し(図8のフローチャート参照)、ステップ348へ移行する。また、ステップ342で否定判定された場合は、ステップ348へ移行する。
【0145】
ステップ348では、最終図柄列の変動停止時期か否かが判断され、否定判定された場合はステップ342へ戻り、肯定判定された場合は、ステップ350へ移行する。また、前記ステップ334で否定判定(リーチではないという判定)された場合はステップ350へ移行する。
【0146】
ステップ350では、各図柄列の本停止制御が実行され、停止図柄が確定すると、このルーチンは終了する。
【0147】
図8は、図7のステップ346で実行されるリーチ図柄で仮停止した図柄が縮小表示されたときに実行される点灯制御の流れを示すフローチャートである。
【0148】
ステップ360では、初期設定として、変数Nをリセット(0)し、次いでステップ362へ移行してNをインクリメント(N←N+1)し、ステップ364へ移行する。
【0149】
ここで、右発光部204及び左発光部202、並びに線上画面部106Aの複数の区画領域は、当該右発光部204の右端から左発光部202の左端まで順番が設定されており、ステップ364では、N番目の発光素子を点灯する。この場合は、1番目(N=1)は、右発光部204の右端の発光素子となる。
【0150】
次のステップ366で所定時間(0.1〜0.5秒程度が好ましい)が経過したか否かが判断され、肯定判定されると、ステップ368へ移行して、前記N番目の発光阻止を消灯し、ステップ370へ移行する。ステップ370では、Nが最大値、すなわち、左発光部202の左端の発光素子を示す順番か否かが判断され、否定判定された場合は、ステップ362へ戻り、上記肯定を繰り返す。また、ステップ370で肯定判定された場合は、このルーチンは終了する。
【0151】
この繰り返し制御によって、右発光部204の右端から左発光部202の左端まで順に光が移動して発光することになり、この光の移動により、弓矢が放たれたかのような動作を表現することができ、遊技者の視線をこの光の移動している位置に移動させ易くなり、結果として、仮停止しているリーチ図柄の色の確認がし易くなる。なお、ステップ366の所定時間を0.1〜0.5秒としたが、これに限定されるものではなく、0.1秒よりも速く設定すれば、表現として弓矢の速度が速くでき、0.5秒よりも遅く設定すれば、表現として弓矢の速度を遅くすることができる。
【0152】
(図柄変動パターン実行例)
図5は、本実施の形態に係る確変抽選示唆を含む図柄変動パターン例を示したものである。
【0153】
図5(A)に示すように、まず3列の図柄列が変動を開始し、所定の時間が経過すると、左列、右列が同一図柄で仮停止する(図5(B)参照)。なお、この場合、左列と右列の停止時期に時間差があってもよい。また、このときの図柄(図5(B)では「6」)の色は通常の色である。なお、図5(B)では網掛けで表現したが、表1では青色に相当する。
【0154】
図5(C)に示される如く、「6↓6」のリーチが確定すると、仮停止している左図柄と右図柄は、それぞれLCD表示部106の左上隅、右上隅に縮小表示されて移動する。
【0155】
この移動後、図5(D)に示される如く、左発光部202からLCD表示部106の線上画面部106Aを介して右発光部へ閃光が走る。これにより、遊技者は縮小表示された仮停止した図柄に視線を向ける。
【0156】
この直後、図5(E)に示される如く、仮停止したリーチ図柄の色が通常色から期待度合いに基づいた色に変化する。図5(E)では黒ベタで表現したが、表1では、黄色、緑色、赤色、金色、レインボー色の何れかとなる。なお、色の変更は閃光の直前であってもよい。
【0157】
その後、図5(F)又は図5(G)に示される如く、中央の図柄が停止することで、特図抽選の当選(図5(F)参照)又は落選(図5(G)参照)が決定する。
【0158】
以上説明したように本実施の形態では、特図抽選と同時、又は特図抽選が当選のときに実行される確変抽選の結果を明確に報知しない遊技仕様において、リーチ演出の開始直前に、3列の内の2列分の図柄列が同一図柄(リーチ図柄)で仮停止し、この図柄が縮小され、かつLCD表示部106の隅に移動したとき、当該仮停止したリーチ図柄の色を変更することで、確変抽選していることを示唆するようにした。仮停止したリーチ図柄は、遊技者が注目するべき図柄であるため、単純にLCD表示部106の一部にキャラクタ等を出現させたり、背景の一部を変更して、確変抽選の結果を示唆するよりも確実に遊技者に情報を伝達させることができる。
【符号の説明】
【0159】
PB 遊技球
10 パチンコ機(遊技機)
18 遊技盤
105 センター役物
106 LCD表示部(表示装置)
106A 線上画面部
130 特別図柄始動入賞口(A)
134 特別図柄始動入賞口(B)
150 主制御部
152 演出制御部
154 払出制御部
156 図柄制御部
160 払出装置
164 発射制御部
165 発射装置
202 左発光部
204 右発光部
206 コマンド受付部
208 図柄変動パターン種決定部
210 最終停止図柄決定部
212 図柄変動パターン種得情報読出部
214 リーチ演出情報読出部
216 図柄変動パターン種情報記憶部
218 基本図柄変動パターン編集部
220 リーチ演出情報記憶部
222 図柄変動パターン修正部
224 信頼度合い決定部
226 仮停止図柄色読出部
228 信頼度合い−色情報テーブル記憶部
230 コマンド生成部
232 コマンド出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技盤面上を移動する遊技球が、特定の位置で検出されることで実行される当落抽選と、少なくとも前記当落抽選が当たりの場合に有効とされ遊技者へ特典を付与するか否かを抽選する特典抽選とが実行される通常遊技の進行を制御する通常遊技制御手段と、前記当落抽選が当選のとき、前記遊技盤面上に設けられ前記通常遊技中は閉止されている大入賞口を所定期間開放することにより遊技球の入賞を可能とする特別遊技の進行を制御する特別遊技制御手段とを備え、前記特別遊技の終了後の通常遊技において、前記特典抽選に当選していることを条件に、当該通常遊技に特典を付与して遊技を進行する遊技機であって、
表示装置に、予め定められた複数の図柄列の変動を含む画像演出を表示し、必要に応じて前記当落抽選の結果を報知する前に前記複数の図柄列の内最終停止図柄列のみを残し、当該最終停止図柄との組み合わせで当選を報知する図柄で仮停止させるリーチ演出を介して停止される各図柄列の図柄配列状態によって前記抽選の結果を報知する報知手段と、
前記リーチ演出の開始時に仮停止した図柄の形態に基づく示唆情報によって、前記特典抽選の結果を示唆する特典抽選結果示唆手段と、
を有する遊技機。
【請求項2】
前記仮停止した図柄が、前記リーチ演出時には前記表示装置の表示画面上で縮小表示され、当該縮小表示領域に遊技者の視線を案内する視線案内手段をさらに有することを特徴とする請求項1記載の遊技機。
【請求項3】
前記特典抽選結果示唆手段による仮停止した図柄の形態に基づく示唆情報を、色相、彩度、明度の少なくとも何れか一つを含む色情報によって表現することを特徴とする請求項1又は請求項2記載の遊技機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−278(P2013−278A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133187(P2011−133187)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000154679)株式会社平和 (1,976)
【Fターム(参考)】